JP4151437B2 - 内燃機関の2次空気供給制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気通路内の触媒に2次空気を供給し活性化を促進する内燃機関の2次空気供給制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関の2次空気供給制御装置に関連する先行技術文献としては、特開平5−171973号公報にて開示されたものが知られている。このものでは、高容量のエアポンプを用いることなく触媒を早期に暖機する技術が示されている。
【特許文献】
特開平5−171973号公報(第2頁)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のものでは、内燃機関に供給される空燃比をリッチ側に設定すると共に、2次空気を供給することにより触媒を早期に暖機し活性化することができる。しかし、2次空気の供給終了直後に、空燃比フィードバック制御における目標空燃比を理論空燃比に設定することで、内燃機関に供給される空燃比の急変に起因して機関回転速度に変動が現われ、ドライバビリティが悪化するという不具合があった。
【0004】
そこで、この発明はかかる不具合を解決するためになされたもので、2次空気の供給終了直後における目標空燃比を適切に設定することで機関回転速度変動を抑制しドライバビリティを改善可能な内燃機関の2次空気供給制御装置の提供を課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の内燃機関の2次空気供給制御装置によれば、2次空気供給機構により触媒の上流側の排気通路内に供給される2次空気の供給終了直後の空燃比フィードバック制御における空燃比検出手段で検出される空燃比に対する目標空燃比の初期値が、目標空燃比設定手段にて内燃機関の各種運転パラメータに基づき空燃比推定手段で推定され、内燃機関に供給される空燃比に設定されると共に、この後の目標空燃比が初期値から理論空燃比となるまで徐変される。これにより、2次空気の供給終了直後の空燃比フィードバック制御において、目標空燃比の初期値が適切に設定され、この後理論空燃比まで徐変されるため、機関回転速度変動が抑制されドライバビリティが改善される。
【0006】
請求項2の内燃機関の2次空気供給制御装置では、各種運転パラメータが機関回転速度、負荷、吸入空気量、冷却水温、始動後経過時間のうち少なくとも1つを有する。これら各種運転パラメータによれば、内燃機関に供給される空燃比が正確に推定算出される。これにより、2次空気を含む触媒に導入される空燃比に対する目標空燃比が適切に設定でき、2次空気の供給中や供給終了直後における空燃比フィードバック制御が好適に実行される。
【0007】
請求項3の内燃機関の2次空気供給制御装置によれば、2次空気供給機構により触媒の上流側の排気通路内に供給される2次空気の供給終了直後の空燃比フィードバック制御における空燃比検出手段で検出される空燃比に対する目標空燃比の初期値が、空燃比フィードバック制御を一時中断して所定時間経過したのちの空燃比検出手段で検出される空燃比に設定されると共に、この後の目標空燃比が初期値から理論空燃比となるまで徐変される。これにより、2次空気の供給終了直後の空燃比フィードバック制御において、目標空燃比の初期値が適切に設定され、この後理論空燃比まで徐変されるため、機関回転速度変動が抑制されドライバビリティが改善される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0009】
図1は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の2次空気供給制御装置が適用された内燃機関及びその周辺機器を示す概略構成図である。
【0010】
図1において、10は内燃機関であり、内燃機関10の吸気通路11の上流側には、図示しないエアクリーナを介して供給される吸入空気量を検出するエアフローメータ12が配設されている。このエアフローメータ12の下流側には内燃機関10への吸入空気量を調整するスロットルバルブ13が配設されている。このスロットルバルブ13にはその開度を検出するスロットル開度センサ14が配設されている。吸気通路11から内燃機関10の各気筒の吸気ポート15近傍には燃料を噴射供給するインジェクタ(燃料噴射弁)16が配設されている。
【0011】
そして、スロットルバルブ13にて設定される吸入空気量とインジェクタ16にて噴射供給される燃料との混合気が、吸気バルブ17が開くことによって内燃機関10の燃焼室18内に導入される。また、内燃機関10のシリンダヘッド側には各気筒毎に点火プラグ19が配設されている。この点火プラグ19の火花放電によって燃焼室18内の混合気が点火される。混合気は、燃焼室18内で燃焼されたのち、排出ガスとして排気バルブ21が開くことによって燃焼室18から排気通路22に排出される。
【0012】
この排気通路22途中には周知の三元触媒23が配設され、その上流側には排出ガスの空燃比に応じてリニアな信号を出力するA/F(空燃比)センサ24、下流側には排出ガスの空燃比が理論空燃比に対してリッチかリーンかによって出力電圧が反転する酸素センサ25がそれぞれ配設されている。また、内燃機関10のクランクシャフト26には、その回転角であるクランク角〔°CA(Crank Angle)〕を検出するクランク角センサ27が配設されている。内燃機関10の機関回転速度は、クランク角センサ27で検出されるクランクシャフト26が所定時間当たりに回転するクランク角に基づいて算出される。更に、内燃機関10にはその冷却水温を検出する水温センサ28が配設されている。
【0013】
次に、排気通路22内に外気を供給する2次空気供給機構30の構成について説明する。A/Fセンサ24の上流側の排気通路22には、2次空気を供給するための2次空気供給通路31が接続されている。2次空気供給通路31の大気側にはエアフィルタ32が配設され、このエアフィルタ32の下流側には2次空気を圧送するエアポンプ33が配設されている。
【0014】
このエアポンプ33の排気通路22側にはコンビネーションバルブ34が配設されている。このコンビネーションバルブ34は、2次空気供給通路31を開閉する圧力駆動型の開閉弁35及びその下流側の逆止弁36が一体化され構成されている。コンビネーションバルブ34の開閉弁35は、吸気圧導入通路37によって導かれる背圧によって開閉が切替えられる。この吸気圧導入通路37は吸気通路11に接続され、この吸気圧導入通路37の途中に配設された電磁駆動型の切換弁38によって開閉弁35の背圧が大気圧と吸気圧との間で切換えられる。
【0015】
つまり、2次空気を供給する場合には、吸気通路11の吸気圧を導入するために切換弁38を開弁する。そして、開閉弁35に吸気圧を導入することにより開閉弁35が開弁される。これにより、エアポンプ33から吐出された2次空気が開閉弁35を通過して逆止弁36側に流れる。この逆止弁36は、排気通路22からの排出ガスの流込みを規制するものであって、エアポンプ33の2次空気圧力が排出ガス圧力よりも高くなったときには、その圧力によって逆止弁36が開弁され、2次空気が排気通路22内に供給される。
【0016】
一方、2次空気を停止する場合には、エアポンプ33が停止されると共に、切換弁38を大気圧を導入する位置に切換えて開閉弁35に大気圧を導入する。これにより、開閉弁35が閉弁される。すると、排気通路22への2次空気が停止され、逆止弁36に2次空気の圧力が作用しなくなり排気通路22側の圧力が高くなる。このため、逆止弁36が自動的に閉弁され、排気通路22内の排出ガスがエアポンプ33側に逆流することが防止される。
【0017】
40はECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)であり、ECU40は、周知の各種演算処理を実行する中央処理装置としてのCPU41、制御プログラムや制御マップ等を格納したROM42、各種データ等を格納するRAM43、B/U(バックアップ)RAM44、入出力回路45及びそれらを接続するバスライン46等からなる論理演算回路として構成されている。ECU40には、上述の各種センサ信号が入力され、入力される信号に基づいてECU40からインジェクタ16、点火プラグ19、2次空気供給機構30のエアポンプ33や切換弁38等に制御信号が出力される。
【0018】
次に、本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の2次空気供給制御装置で使用されているECU40内のCPU41における2次空気供給制御の処理手順を図2のフローチャートに基づき、図8を参照して説明する。ここで、図8(a)は、本実施例の2次空気供給制御に対応する各種センサ信号や各種制御量等の遷移状態を示すタイムチャート、図8(b)は、比較のため従来の2次空気供給制御に対応する各種センサ信号や各種制御量等の遷移状態を示すタイムチャートである。なお、この2次空気供給制御ルーチンは所定時間毎にCPU41にて繰返し実行される。
【0019】
図2において、ステップS101では、三元触媒23を早期に暖機し活性化するための2次空気供給制御条件が成立しているかが判定される。この2次空気供給制御条件が成立するのは、水温センサ28で検出された冷却水温が所定温度以上で、内燃機関10の暖機後からの停止期間が短く、吸入空気量が比較的少ないとき等である。ステップS101の判定条件が成立、即ち、2次空気供給制御条件が成立しているときにはステップS102に移行し、エアポンプ33がON(オン)とされ(図8(a)に示す2次空気の供給中である時刻t0 〜時刻t2 参照)、本ルーチンを終了する。
【0020】
このエアポンプ33のON時には、上述したように、2次空気供給機構30を構成する切換弁38が開弁され、吸気圧導入通路37を介してコンビネーションバルブ34の開閉弁35に吸気圧が導入されることにより開閉弁35が開弁される。これにより、エアポンプ33から吐出された2次空気が開閉弁35を通過し、エアポンプ33の2次空気圧力が排出ガス圧力よりも高くなるとコンビネーションバルブ34の逆止弁36が開弁され、2次空気が2次空気供給通路31を通って2次空気供給孔31aから排気通路22内に供給される。
【0021】
一方、ステップS101の判定条件が成立せず、即ち、2次空気供給制御条件が不成立であるときにはステップS103に移行し、エアポンプ33がOFF(オフ)とされ(図8(a)に示す2次空気供給停止である時刻t0 以前、時刻t2 以降参照)、本ルーチンを終了する。このエアポンプ33のOFF時には、上述したように、2次空気供給機構30を構成する切換弁38が閉弁され、吸気圧導入通路37を介してコンビネーションバルブ34の開閉弁35に大気圧が導入されることで開閉弁35が閉弁される。これにより、排気通路22側の圧力が高くなり、コンビネーションバルブ34の逆止弁36が自動的に閉弁される。
【0022】
次に、本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の2次空気供給制御装置で使用されているECU40内のCPU41における燃料噴射制御の処理手順を図3のフローチャートに基づき、図8を参照して説明する。なお、この燃料噴射制御ルーチンは所定時間毎にCPU41にて繰返し実行される。
【0023】
図3において、ステップS201では、内燃機関10が始動完了しているかが判定される。ここでは、内燃機関10がクランキングにより機関回転速度が例えば、500〔rpm〕以上となり始動完了状態にあるかが判定される。ステップS201の判定条件が成立せず、即ち、内燃機関10が未だ始動完了となっていないときにはステップS202に移行し、始動時制御処理として、水温センサ28で検出される冷却水温等に基づく燃料噴射量の周知の始動時増量が実行され、本ルーチンを終了する。
【0024】
一方、ステップS201の判定条件が成立、即ち、内燃機関10が始動完了となっているときにはステップS203に移行し、空燃比F/B(フィードバック)制御条件が成立しているかが判定される。この空燃比F/B制御条件が成立するのは、A/Fセンサ24が活性化しており内燃機関10の運転状態が過渡状態でない定常状態にあるときである。ステップS203の判定条件が成立せず、即ち、A/Fセンサ24が非活性または内燃機関10の運転状態が過渡状態にあり空燃比F/B制御条件が成立しないときにはステップS204に移行し、後述のオープンループ制御処理が実行され、本ルーチンを終了する。
【0025】
一方、ステップS203の判定条件が成立、即ち、A/Fセンサ24が活性化、かつ内燃機関10の運転状態が定常状態にあり空燃比F/B制御条件が成立するとき(図8(a)に示す時刻t1 )にはステップS205に移行し、後述の空燃比F/B制御処理が実行され、本ルーチンを終了する。
【0026】
次に、図3の燃料噴射制御ルーチンのステップS204におけるオープンループ制御の処理手順を図4のフローチャートに基づき、図8を参照して説明する。
【0027】
図4において、ステップS301では、機関回転速度及び吸入空気量に基づいて基本燃料噴射量TPが算出される。次にステップS302に移行して、冷間始動時であるかが判定される。ステップS302の判定条件が成立、即ち、冷却水温が所定温度未満と低く冷間始動時であるときにはステップS303に移行し、エアポンプ33がONとなっているかが判定される。ステップS303の判定条件が成立、即ち、エアポンプ33がONで2次空気が2次空気供給通路31を通って2次空気供給孔31aから排気通路22内に供給されているとき(図8(a)に示す時刻t0 〜時刻t2 )にはステップS304に移行する。
【0028】
ステップS304では、エアポンプ33からの2次空気供給に基づく燃料噴射量のエアポンプ補正量が算出される。次にステップS305に移行して、機関回転速度及び負荷に基づいて燃料噴射量の始動後補正量が算出される。次にステップS306に移行して、冷却水温に基づいて燃料噴射量の暖機補正量が算出される。次にステップS307に移行して、その他補正量1が算出される。
【0029】
一方、ステップS303の判定条件が成立せず、即ち、エアポンプ33がOFFで2次空気が供給されていないとき(図8(a)に示す時刻t0 以前、時刻t2 以降)にはステップS308に移行し、機関回転速度及び負荷に基づいて燃料噴射量の始動後補正量が算出される。次にステップS309に移行して、冷却水温に基づいて燃料噴射量の暖機補正量が算出される。次にステップS310に移行して、内燃機関10のその他の運転パラメータに基づいてその他補正量1が算出される。
【0030】
一方、ステップS302の判定条件が成立せず、即ち、冷却水温が所定温度以上と高く冷間始動時でないときにはステップS311に移行し、内燃機関10のその他の運転パラメータに基づいてその他補正量2が算出される。ステップS307、またはステップS310またはステップS311の処理ののちステップS312に移行し、最終的な燃料噴射量TAUが次式(1)にて算出され、本ルーチンを終了する。
【0031】
【数1】
TAU←TP+(エアポンプ補正量)+(始動後補正量)+(暖機補正量)+(その他補正量1)+(その他補正量2) ・・・(1)
【0032】
次に、図3の燃料噴射制御ルーチンのステップS205における空燃比F/B制御の処理手順を図5のフローチャートに基づき、図8を参照して説明する。
【0033】
図5において、ステップS401では、後述の目標空燃比設定処理が実行される。次にステップS402に移行して、ステップS401で設定された目標空燃比に対して空燃比F/B制御処理が実行され、本ルーチンを終了する。この空燃比F/B制御処理は、内燃機関10の機関回転速度、負荷、吸入空気量、冷却水温、始動後経過時間のうち少なくとも1つに基づき推定算出され、内燃機関10に供給され燃焼に寄与する空燃比である後述の燃焼空燃比を、周知のように、A/Fセンサ24にて検出される三元触媒23に導入される触媒前空燃比(図8(a)参照)に基づき設定されるリッチディザ係数とリーンディザ係数とによる目標空燃比に対してリッチ側とリーン側とに振らせるよう燃料噴射量を調整するものである。
【0034】
次に、図5の空燃比F/B制御ルーチンのステップS401における目標空燃比設定の処理手順を図6のフローチャートに基づき、図8を参照して説明する。
【0035】
図6において、ステップS501では、エアポンプ33がONからOFFとなったかが判定される。ステップS501の判定条件が成立、即ち、エアポンプ33がON→OFFで、エアポンプ33からの2次空気の供給終了直後であるときにはステップS502に移行し、エアポンプ33からの2次空気の供給終了直後であることを示すAPOFFフラグが「1」にセットされる。一方、ステップS501の判定条件が成立せず、即ち、エアポンプ33からの2次空気の供給終了直後でないときにはステップS502がスキップされる。
【0036】
次にステップS503に移行して、APOFFフラグが「1」であるかが判定される。ステップS503の判定条件が成立、即ち、APOFFフラグが「1」で、エアポンプ33からの2次空気の供給終了直後であるとき(図8(a)に示す時刻t2 )にはステップS504に移行し、後述のエアポンプOFF時における目標空燃比設定処理が実行され、本ルーチンを終了する。一方、ステップS503の判定条件が成立せず、即ち、APOFFフラグが「0」で、エアポンプ33からの2次空気の供給終了直後でないとき(図8(a)に示す時刻t1 〜時刻t2 )にはステップS505に移行し、周知の通常目標空燃比設定処理が実行され、本ルーチンを終了する。
【0037】
次に、図6の目標空燃比設定ルーチンのステップS504におけるエアポンプOFF時で2次空気の供給終了直後の目標空燃比設定の処理手順を図7のフローチャートに基づき、図8を参照して説明する。
【0038】
図7において、ステップS601では、エアポンプOFF時で2次空気の供給終了直後であり、目標空燃比設定の初回であるかが判定される。ステップS601の判定条件が成立、即ち、目標空燃比設定の初回であるとき(図8(a)に示す時刻t2 )にはステップS602に移行し、内燃機関10に供給され燃焼に寄与する空燃比である燃焼空燃比を推定する燃焼空燃比推定処理が実行される。この燃焼空燃比は、内燃機関10の機関回転速度、負荷、吸入空気量、冷却水温、始動後経過時間のうち少なくとも1つに基づき推定算出される。次にステップS603に移行して、最終目標空燃比が理論空燃比に設定される。
【0039】
次にステップS604に移行して、目標空燃比徐変量がステップS602で推定された目標空燃比の初期値としての燃焼空燃比とステップS603で設定された理論空燃比との差分に基づき算出される。次にステップS605に移行して、ステップS602で推定された燃焼空燃比がエアポンプOFF時の初回の目標空燃比とされ、本ルーチンを終了する。
【0040】
一方、ステップS601の判定条件が成立せず、即ち、目標空燃比設定の初回でないとき(図8(a)に示す時刻t2 を越え燃焼空燃比が1.0(理論空燃比)となるまでの期間)にはステップS606に移行し、今回の目標空燃比が前回目標空燃比にステップS604で算出された目標空燃比徐変量が加算され算出される。次にステップS607に移行して、目標空燃比が最終目標空燃比としての理論空燃比に到達したかが判定される。ステップS607の判定条件が成立せず、即ち、目標空燃比が未だ理論空燃比に到達していないときには、本ルーチンを終了する。
【0041】
一方、ステップS607の判定条件が成立、即ち、目標空燃比が最終目標空燃比としての理論空燃比に到達したときにはステップS608に移行し、最終目標空燃比が目標空燃比とされる。次にステップS609に移行して、APOFFフラグが「0」にセット、即ち、2次空気の供給終了直後の空燃比制御終了であるとされ、本ルーチンを終了する。
【0042】
なお、図8(b)に示す従来の2次空気供給制御では、上述の実施例と同様に、時刻t01〜時刻t02の期間に2次空気が供給されている。しかしながら、時刻t02の2次空気の供給終了直後、目標空燃比が1.0(理論空燃比)に設定されている。このため、時刻t02から燃焼空燃比が直ちに理論空燃比に向かって急変される。この燃焼空燃比の急変に起因して時刻t02以降で機関回転速度に大きな変動が現われ、ドライバビリティが悪化することが分かる。
【0043】
このように、本実施例の内燃機関の2次空気供給制御装置は、内燃機関10の排気通路22途中に設置され、排出ガスを浄化する三元触媒23と、三元触媒23の上流側の排気通路22内に2次空気を供給する2次空気供給機構30と、三元触媒23の上流側の排気通路22内で2次空気供給通路31の2次空気供給孔31aより下流側に配設され、排出ガス中の空燃比を検出する空燃比検出手段としてのA/Fセンサ24と、内燃機関10に供給される空燃比を各種運転パラメータに基づき推定するECU40内のCPU41にて達成される空燃比推定手段と、2次空気供給機構30による2次空気の供給終了直後の空燃比F/B(フィードバック)制御におけるA/Fセンサ24で検出される空燃比に対する目標空燃比の初期値を、このとき前記空燃比推定手段で推定される空燃比に設定すると共に、この後の目標空燃比を初期値から理論空燃比となるまで徐変するECU40内のCPU41にて達成される目標空燃比設定手段とを具備するものである。また、本実施例の内燃機関の2次空気供給制御装置は、各種運転パラメータを機関回転速度、負荷、吸入空気量、冷却水温、始動後経過時間のうち少なくとも1つとするものである。
【0044】
つまり、2次空気供給機構30による2次空気の供給終了直後の空燃比F/B制御におけるA/Fセンサ24による空燃比に対する目標空燃比の初期値を、内燃機関10の各種運転パラメータに基づき推定され内燃機関10に供給され燃焼に寄与する空燃比に設定すると共に、この後の目標空燃比を初期値から理論空燃比となるまで徐変するものである。これにより、2次空気の供給終了直後の空燃比F/B制御において、目標空燃比の初期値を適切に設定でき、この後理論空燃比まで徐変することで、機関回転速度変動を抑制しドライバビリティを改善することができる。
【0045】
次に、上述の実施例における図7のエアポンプOFF次目標空燃比設定の処理手順の変形例を示す図9のフローチャートに基づき、図11を参照して説明する。ここで、図11は、本変形例の2次空気供給制御に対応する各種センサ信号や各種制御量等の遷移状態を示すタイムチャートである。
【0046】
図9において、ステップS701、ステップS703、ステップS704及びステップS706〜ステップS709については、上述の実施例におけるステップS601、ステップS603、ステップS604及びステップS606〜ステップS609に対応しているため、その詳細な説明を省略する。ここで、ステップS702では、後述の実空燃比算出処理が実行される。また、ステップS705では、ステップS702で算出され、実空燃比(図11の時刻t3 に示す実空燃比参照)がエアポンプOFF時の初回の目標空燃比とされ、本ルーチンを終了する。
【0047】
次に、図9のエアポンプOFF時目標空燃比設定ルーチンのステップS702における実空燃比算出の処理手順を図10のフローチャートに基づき、図11を参照して説明する。
【0048】
図10において、ステップS801では、空燃比F/B制御が一時中断のため停止される(図11に示す時刻t2 )。次にステップS802に移行して、所定時間(図11に示す時刻t2 〜時刻t3 の期間)が経過しているかが判定される。この所定時間としては、2次空気供給終了したのちA/Fセンサ24で空燃比が安定して検出可能となる期間が予め設定されている。ステップS802で、所定時間が経過するとステップS803に移行して、A/Fセンサ24で検出される空燃比検出値が読込まれる。次にステップS804に移行して、ステップS803で読込まれた空燃比検出値が実空燃比とされ、本ルーチンを終了する。なお、上述のように、燃焼空燃比は推定算出によるものであるが、実空燃比はA/Fセンサ24で実際に検出される空燃比検出値である。また、ステップS801における空燃比F/B制御の停止時間としては、所定時間より長くA/Fセンサ24からの空燃比検出値が読込可能な最小時間(図11に示す時刻t2 〜時刻t4 の期間)が設定される。
【0049】
このように、本変形例の内燃機関の2次空気供給制御装置は、内燃機関10の排気通路22途中に設置され、排出ガスを浄化する三元触媒23と、三元触媒23の上流側の排気通路22内に2次空気を供給する2次空気供給機構30と、三元触媒23の上流側の排気通路22内で2次空気供給通路31の2次空気供給孔31aより下流側に配設され、排出ガス中の空燃比を検出する空燃比検出手段としてのA/Fセンサ24と、2次空気供給機構30による2次空気の供給終了直後の空燃比F/B(フィードバック)制御におけるA/Fセンサ24で検出される空燃比に対する目標空燃比の初期値を、このとき空燃比F/B制御を一時中断して所定時間経過ののちにA/Fセンサ24で検出される空燃比検出値である実空燃比に設定すると共に、この後の目標空燃比を初期値から理論空燃比となるまで徐変するECU40内のCPU41にて達成される目標空燃比設定手段とを具備するものである。
【0050】
つまり、2次空気供給機構30による2次空気の供給終了直後の空燃比F/B制御におけるA/Fセンサ24による空燃比に対する目標空燃比の初期値を、空燃比F/B制御を一時中断して所定時間経過したのちのA/Fセンサ24による実空燃比に設定すると共に、この後の目標空燃比を初期値から理論空燃比となるまで徐変するものである。これにより、2次空気の供給終了直後の空燃比F/B制御において、目標空燃比の初期値を適切に設定でき、この後理論空燃比まで徐変することで、機関回転速度変動を抑制しドライバビリティを改善することができる。
【0051】
ところで、上記実施例及び変形例では、2次空気供給機構30をコンビネーションバルブ34を用い吸気圧導入通路37の途中に配設された切換弁38によって開閉弁35の背圧を大気圧と吸気通路11側の吸気圧との間で切換える構成を採用しているが、本発明を実施する場合には、これに限定されるものではなく、吸気通路11側の吸気圧を利用することなく、2次空気供給通路31の途中に電磁駆動弁を配設してエアポンプ33のON/OFFに連動させ、電磁駆動弁を開/閉するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の2次空気供給制御装置が適用された内燃機関及びその周辺機器を示す概略構成図である。
【図2】 図2は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の2次空気供給制御装置で使用されているECU内のCPUにおける2次空気供給制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】 図3は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関の2次空気供給制御装置で使用されているECU内のCPUにおける燃料噴射制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】 図4は図3におけるオープンループ制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】 図5は図3における空燃比F/B制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】 図6は図5における目標空燃比設定の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】 図7は図6におけるエアポンプOFF時目標空燃比設定の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】 図8は図2乃至図7の2次空気供給制御に対応する各種センサ信号や各種制御量等の遷移状態を従来の2次空気供給制御と比較して示すタイムチャートである。
【図9】 図9は図7のエアポンプOFF時目標空燃比設定の処理手順の変形例を示すフローチャートである。
【図10】 図10は図9における実空燃比算出の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】 図11は図9及び図10の2次空気供給制御の変形例に対応する各種センサ信号や各種制御量等の遷移状態を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
10 内燃機関
22 排気通路
23 三元触媒
24 A/F(空燃比)センサ
27 クランク角センサ
30 2次空気供給機構
31 2次空気供給通路
31a 2次空気供給孔
40 ECU(電子制御ユニット)
Claims (3)
- 内燃機関の排気通路途中に設置され、排出ガスを浄化する触媒と、
前記触媒の上流側の前記排気通路内に2次空気を供給する2次空気供給機構と、
前記触媒の上流側の前記排気通路内で2次空気の供給孔より下流側に配設され、排出ガス中の空燃比を検出する空燃比検出手段と、
前記内燃機関に供給される空燃比を各種運転パラメータに基づき推定する空燃比推定手段と、
前記2次空気供給機構による2次空気の供給終了直後の空燃比フィードバック制御における前記空燃比検出手段で検出される空燃比に対する目標空燃比の初期値を、このとき前記空燃比推定手段で推定される空燃比に設定すると共に、この後の前記目標空燃比を前記初期値から理論空燃比となるまで徐変する目標空燃比設定手段と
を具備することを特徴とする内燃機関の2次空気供給制御装置。 - 前記各種運転パラメータは、機関回転速度、負荷、吸入空気量、冷却水温、始動後経過時間のうち少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の2次空気供給制御装置。
- 内燃機関の排気通路途中に設置され、排出ガスを浄化する触媒と、
前記触媒の上流側の前記排気通路内に2次空気を供給する2次空気供給機構と、
前記触媒の上流側の前記排気通路内で2次空気の供給孔より下流側に配設され、排出ガス中の空燃比を検出する空燃比検出手段と、
前記2次空気供給機構による2次空気の供給終了直後の空燃比フィードバック制御における前記空燃比検出手段で検出される空燃比に対する目標空燃比の初期値を、このとき空燃比フィードバック制御を一時中断して所定時間経過の後に前記空燃比検出手段で検出される空燃比に設定すると共に、この後の前記目標空燃比を前記初期値から理論空燃比となるまで徐変する目標空燃比設定手段と
を具備することを特徴とする内燃機関の2次空気供給制御装置。
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