JP4151397B2 - 光硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示素子やEL表示素子等に用いられるパターン化された透明膜を製造するための光硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2000−319354号公報
【特許文献2】
特開2001−324809号公報
【0003】
パターン化された透明膜は、スペーサー、絶縁膜、保護膜など液晶表示素子を構成する部位の多くで使用されている。
一般に、透明膜をパターン化するには以下の方法が用いられる。粘稠溶液である感光性樹脂組成物(光により分解するポジ型の感光性樹脂組成物もあるので、光硬化性とは限らない)をガラス等の基板にスピンコート法等により塗布し、ホットプレート等で乾燥する。次に所望のパターンを刻んだマスクを介して紫外線を照射すると、紫外線の当たる部分と当たらない部分ができる。この基板をアルカリ水溶液等の現像液で現像すると、ネガ型の感光性樹脂組成物(光硬化性樹脂組成物)の場合は紫外線の当たらなかった部分が溶解し、ポジ型の感光性樹脂組成物の場合は紫外線の当たった部分が溶解する。いずれにしても、所望のパターン以外は現像液に溶解する。得られたパターンを焼成すると、パターン化された透明膜が得られる。これらの工程において、感光性樹脂組成物には保存安定性や、高い感度、良好な現像性、広いプロセスマージンなどが求められる。一方、できあがったパターン化された透明膜には耐熱性、透明性、耐薬品性、耐アルカリ性、耐水性などが求められる。近年、スペーサー用にはセルギャップを一定に保つために、高い圧縮強度が要求されている。スペーサー用の光硬化性樹脂組成物として、プロセスマージンが広く、耐熱性、透明性、耐薬品性に優れた透明膜を与える組成物(例えば特許文献1を参照)、または、感度が高く、現像性に優れ、耐アルカリ性、耐水性に優れた透明膜を与える組成物(例えば特許文献2を参照)などが開示されているが、これらは圧縮強度の面では不十分なものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透明性、耐薬品性、耐アルカリ性、耐熱性、耐水性に優れ、かつ高い圧縮強度を併せ持ち、表示素子に用いられるパターン化された透明膜を与える、プロセスマージン、感度、現像性に優れた光硬化性樹脂組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、無水マレイン酸と他のエチレン性不飽和結合を有する化合物との共重合体の酸無水物部分に、水酸基とエチレン性不飽和基を有する化合物、及びアミノシランを反応させることにより得られるアルカリ可溶性樹脂(A)を用いることにより圧縮強度の飛躍的に向上した塗膜を与える光硬化性樹脂組成物を見出し、本発明に至った。
本発明は以下に示す各項から構成される。
【0006】
(1) 無水マレイン酸とエチレン性不飽和結合を有する化合物との共重合体の無水マレイン酸構成単位の酸無水物基を水酸基とエチレン性不飽和基を有する化合物でその一部を開環し、更に、下記式(1)
NH2−R6−SiR7 n(OR8)3-n (1)
(ここで、R6は炭素数1〜10の2価の有機基であり、R7はメチル基、エチル基若しくはフェニル基であり、R8はメチル基、エチル基若しくはプロピル基であり、nは0〜2の整数である)
で表わされるアミノシランで開環して得られるアルカリ可溶性樹脂(A)、エポキシ基を有する樹脂(B)、エチレン性不飽和結合を有する化合物(C)、光重合開始剤(D)及び溶媒(E)を含有する光硬化性樹脂組成物。
【0007】
(2) アルカリ可溶性樹脂(A)の酸価が30〜400である(1)項に記載された光硬化性樹脂組成物。
(3) アルカリ可溶性樹脂(A)の重量平均分子量が1,000〜200,000である(1)項に記載された光硬化性樹脂組成物。
(4) エポキシ基を有する樹脂(B)の重量平均分子量が1,000〜200,000である(1)項に記載された光硬化性樹脂組成物。
(5) エチレン性不飽和結合を有する化合物(C)が、エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物の少なくとも1つを、20〜100重量%含有する(1)項に記載された光硬化性樹脂組成物。
【0008】
(6) 光重合開始剤(D)が、下記一般式(2)
【化2】
(ここで、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立して炭素数1〜13のアルキル基、X1、X2はそれぞれ独立に−O−、−O−O−、または−NH−である)
で表される化合物、ビイミダゾール系化合物、ベンジルジメチルケタール系化合物、α−ヒドロキシケトン系化合物、α−アミノケトン系化合物、ビスアシルフォスフィンオキサイド系化合物、メタロセン系化合物、アミノ基とベンゾフェノン構造とを有する化合物、クマリン構造を有する化合物、トリハロメチル基とトリアジン環とを有する化合物からなる群の中から選ばれる化合物の少なくとも1つを含有する光重合開始剤である(1)項に記載された光硬化性樹脂組成物。
【0009】
(7) 溶媒(E)が、沸点が100℃〜250℃である化合物の少なくとも1つを20〜100重量%含有する(1)項に記載された光硬化性樹脂組成物。
(8) (1)〜(7)項の何れか1項に記載された光硬化性樹脂組成物から形成された塗膜。
(9) (8)項に記載された塗膜を備えた表示素子
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について以下に詳細に説明する。
本発明の光硬化性樹脂組成物で用いられるアルカリ可溶性樹脂(A)において、無水マレイン酸と共重合させる他のエチレン性不飽和結合を有する化合物として以下の化合物を列挙することができる。即ち、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリルアミド、トリシクロ[5・2・1・02,6]デカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸、ω―カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、コハク酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)等である。これらは単独で使用してもよく、2つ以上を混合して用いることもできる。
【0011】
中でもスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリレートが、得られた塗膜の圧縮強度が大きく、好ましい。特にスチレンを使用した場合には、得られた光硬化性樹脂組成物の現像性が良好で、得られた塗膜の圧縮強度が大きく、好ましい。
【0012】
無水マレイン酸とエチレン性不飽和結合を有する化合物のモル比は、無水マレイン酸1モルに対しエチレン性不飽和結合を有する化合物が1.0〜10モルの範囲であると、得られた塗膜の圧縮強度が大きく、好ましい。特に無水マレイン酸1モルに対しエチレン性不飽和結合を有する化合物が1.0〜5.0モルの範囲であると、得られた光硬化性樹脂組成物の現像性が良好で、得られた塗膜の圧縮強度が大きく、好ましい。
【0013】
無水マレイン酸と他のエチレン性不飽和結合を有する化合物との共重合体の酸無水物部分に反応させる、水酸基とエチレン性不飽和基を有する化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−シクロヘキセン−1−メタノール、アリルアルコール等をあげることができる。中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが、得られた塗膜の圧縮強度が大きいので好ましい。酸無水物基と反応させる水酸基とエチレン性不飽和基を有する化合物は酸無水物基の30〜99モル%であることが好ましく、より好ましくは50〜95モル%である。同様に反応させるアミノシランとのバランスからこの範囲が好ましいのである。
【0014】
無水マレイン酸と他のエチレン性不飽和結合を有する化合物との共重合体の酸無水物部分に反応させる前記式(1)で表わされるアミノシランとしては、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリエトキシシラン等をあげることができる。中でも、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランが、得られた塗膜の圧縮強度が大きいので好ましい。塗膜の圧縮強度が大きくなる効果を得るため、合わせて樹脂組成物の安定性の低下を防止するために、酸無水物基と反応させるアミノシランは1〜40モル%が好ましく、より好ましくは5〜30モル%である。
【0015】
本発明の光硬化性樹脂組成物において用いられるアルカリ可溶性樹脂(A)は、酸価が30〜400であると、未露光部分がアルカリ現像液で溶解されるまでの現像時間が適正であり、好ましい。さらに、アルカリ可溶性樹脂(A)の酸価が40〜300であると、現像時間が適正であり、現像時の膜荒れが少なく、一層好ましい。特に、アルカリ可溶性樹脂(A)の酸価が50〜200であると、現像時間が適正であり、現像時の膜荒れが少く、解像度が高く、なお一層好ましい。
【0016】
本発明の光硬化性樹脂組成物において用いられるアルカリ可溶性樹脂(A)は、ポリエチレンオキシドを標準としたGPC分析で求めた重量平均分子量が1,000〜200,000の範囲であると、未露光部分がアルカリ現像液で溶解されるまでの現像時間が適正であり、現像時に膜の表面が荒れないので好ましい。さらに、アルカリ可溶性樹脂(A)の重量平均分子量が1,500〜50,000の範囲であると、未露光部分がアルカリ現像液で溶解されるまでの現像時間が適正であり、現像時に膜の表面が荒れず、現像残渣も無いので、一層好ましい。特に、アルカリ可溶性樹脂(A)の重量平均分子量が2,000〜20,000の範囲であると、未露光部分がアルカリ現像液で溶解されるまでの現像時間が適正であり、現像時に膜の表面が荒れず、現像残渣も無く、解像度が高いので、より一層好ましい。
【0017】
本発明の光硬化性樹脂組成物において用いられるアルカリ可溶性樹脂(A)の割合は、重量比A/(A+B+C+D)が0.1〜0.7となるようにすると、現像時間が適正であり、好ましい。さらに、アルカリ可溶性樹脂(A)の割合が、重量比A/(A+B+C+D)が0.2〜0.6となるようにすると、現像時間が適正であり、パターン形状が適正であり、一層好ましい。特に、アルカリ可溶性樹脂(A)の割合が、重量比A/(A+B+C+D)が0.25〜0.55となるようにすると、現像時間が適正であり、パターン形状が適正であり、解像度が高く、より一層好ましい。
【0018】
本発明の光硬化性樹脂組成物において用いられるエポキシ基を有する樹脂(B)としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型のエポキシ樹脂をあげることができる。あるいは、側鎖にエポキシ基を有する分子量1,000〜200,000の樹脂、例えば、エポキシ基とエチレン性不飽和結合を有する化合物の重合体や、エポキシ基とエチレン性不飽和結合を有する化合物と他のエチレン性不飽和結合を有する化合物との共重合体等をあげることができる。中でもエポキシ基とエチレン性不飽和結合を有する化合物の重合体や、エポキシ基とエチレン性不飽和結合を有する化合物と他のエチレン性不飽和結合を有する化合物との共重合体が、得られた塗膜の耐薬品性が良好であるため好ましい。
【0019】
エポキシ基とエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル−α−エチルアクリレート、グリシジル−α−プロピルアクリレート、グリシジル−α−ブチルアクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル−α−エチルアクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、β−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル−α−エチルアクリレート、3−メチル−3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、4−メチル−4,5−エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5−メチル−5,6−エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、および、下記一般式(3)
【0020】
【化3】
で示される化合物をあげることができる(ここで、R5は水素原子またはメチル基であり、mは1〜6の整数であり、nは1〜6の整数である)。
中でも、グリシジル(メタ)アクリレート、前記一般式(3)で示される化合物が、得られた塗膜の圧縮強度が大きく、好ましい。
【0021】
エポキシ基とエチレン性不飽和結合を有する化合物と共重合する、他のエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリルアミド、トリシクロ[5・2・1・02,6]デカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチルアクリレート等をあげることができる。中でも、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが、アルカリ可溶性樹脂(A)との相溶性に優れるので好ましい。
【0022】
エポキシ基とエチレン性不飽和結合を有する化合物と、他のエチレン性不飽和結合を有する化合物の共重合割合は、エポキシ基とエチレン性不飽和結合を有する化合物が30重量%以上であると、得られた塗膜の圧縮強度が大きく、耐薬品性に優れるので好ましい。
【0023】
本発明の光硬化性樹脂組成物において用いられるエポキシ基を有する樹脂(B)は、ポリエチレンオキシドを標準としたGPC分析で求めた重量平均分子量が1,000〜200,000の範囲であると、得られた塗膜の圧縮強度が大きく、好ましい。さらに、エポキシ基含有樹脂(B)の重量平均分子量が2,000〜50,000の範囲であると、得られた塗膜の圧縮強度が大きく、未露光部分がアルカリ現像液で溶解されるまでの現像時間が適正であり、一層好ましい。特に、エポキシ基含有樹脂(B)の重量平均分子量が3,000〜20,000の範囲であると、得られた塗膜の圧縮強度が大きく、未露光部分がアルカリ現像液で溶解されるまでの現像時間が適正であり、現像残渣も無く、解像度が高いので、より一層好ましい。
【0024】
本発明の光硬化性樹脂組成物において用いられるエポキシ基を有する樹脂(B)の割合は、重量比B/(A+B+C+D)が0.01〜0.3であると、得られた塗膜の圧縮強度が大きく、好ましい。さらに、エポキシ基を有する樹脂(B)の割合が、重量比B/(A+B+C+D)が0.02〜0.25であると、得られた塗膜の圧縮強度が大きく、現像時間が適正であり、パターン形状が適正であり、一層好ましい。特に、エポキシ基を有する樹脂(B)の割合が、重量比B/(A+B+C+D)が0.03〜0.2であると、得られた塗膜の圧縮強度が大きく、現像時間が適正であり、パターン形状が適正であり、解像度が高く、より一層好ましい。
【0025】
本発明の光硬化性樹脂組成物において用いられるエチレン性不飽和結合を有する化合物(C)としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能モノマー、
【0026】
(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、
【0027】
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸−[2−モノ(メタ)アクリロイルオキシ]エチル、3−シクロヘキセニルメチル(メタ)アクリレート、2−テトラヒドロフタルイミドエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン、4−アクリロイルモルホリン等の単官能モノマーをあげることができる。これらの多官能もしくは単官能モノマーは単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用してもよい。
【0028】
中でもトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジグリセリンテトラアクリレート、またはイソシアヌール酸エチレンオキシド変性トリアクリレートは硬化速度を早くする効果があり好ましい。
【0029】
エチレン性不飽和結合を有する化合物(C)は現像時の接着性にも大きく影響する。エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物を、エチレン性不飽和結合を有する化合物(C)の20重量%以上含有するように調製すると、現像時の接着性が向上するので好ましい。
【0030】
エチレン性不飽和結合を有する化合物(C)は塗膜の圧縮強度にも大きく影響する。中でもペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、またはイソシアヌール酸エチレンオキシド変性トリアクリレートを、エチレン性不飽和結合を有する化合物(C)の20重量%以上含有するように調製すると、得られた塗膜の圧縮強度が大きく、好ましい。特に、ペンタエリスリトールテトラアクリレートをエチレン性不飽和結合を有する化合物(C)の50重量%以上含有するように調製すると、得られた塗膜の圧縮強度がより高くなり、一層好ましい。
【0031】
本発明の光硬化性樹脂組成物において用いられるエチレン性不飽和結合を有する化合物(C)の割合は、重量比C/(A+B+C+D)が0.1〜0.7となるようにすると、耐熱性、耐薬品性が高く、好ましい。さらに、エチレン性不飽和結合を有する化合物(C)の割合が、重量比C/(A+B+C+D)が0.2〜0.65となるようにすると、耐熱性、耐薬品性が高く、現像時間が適正であり、一層好ましい。特に、エチレン性不飽和結合を有する化合物(C)の割合が、重量比C/(A+B+C+D)が0.3〜0.6となるようにすると、耐熱性、耐薬品性が高く、現像時間が適正であり、解像度が高く、より一層好ましい。
【0032】
本発明の光硬化性樹脂組成物において用いられる光重合開始剤(D)としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4′−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、
【0033】
2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1− [4−(メチルチオ)フェニル ]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4′−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジ(メトキシカルボニル)−4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4′−ジ(メトキシカルボニル)−4,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′−ジ(メトキシカルボニル)−3,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、
【0034】
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−(4′−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3′,4′−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2′,4′−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2′−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4′−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2′−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4′−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、
【0035】
3,3′−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等をあげることができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することも有効である。
【0036】
中でも3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジ(メトキシカルボニル)−4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4′−ジ(メトキシカルボニル)−4,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′−ジ(メトキシカルボニル)−3,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、2−メチル−1− [4−(メチルチオ)フェニル ]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−(4′−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムから選ばれる化合物の少なくとも1つを含有すると、高感度であり一層好ましい。
【0037】
特に、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジ(メトキシカルボニル)−4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4′−ジ(メトキシカルボニル)−4,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′−ジ(メトキシカルボニル)−3,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2−メチル−1− [4−(メチルチオ)フェニル ]−2−モルホリノプロパン−1−オン、から選ばれる化合物の少なくとも1つを含有すると、解像度が高く、高感度であり、現像マージンが広いため、さらに一層好ましい。
【0038】
本発明の光硬化性樹脂組成物において用いられる光重合開始剤(D)の割合は、重量比D/(A+B+C+D)が0.01〜0.5となるようにすると、高感度であり、好ましい。さらに、光重合開始剤(D)の割合が、重量比D/(A+B+C+D)が0.02〜0.3となるようにすると、高感度であり、現像時間が適正であり、一層好ましい。特に、光重合開始剤(D)の割合が、重量比D/(A+B+C+D)が0.03〜0.2となるようにすると、高感度であり、現像時間が適正であり、解像度が高く、より一層好ましい。
【0039】
本発明の光硬化性樹脂組成物において用いられる溶媒(E)としては、沸点が100℃〜250℃である化合物の少なくとも1つを、溶媒(E)の20〜100重量%含有することが好ましい。具体的な例としては、水、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、
【0040】
2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
【0041】
エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トルエン、キシレン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド等からなる群から選ばれる化合物を少なくとも1つ用いることが好ましい。
【0042】
中でもプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、乳酸エチルが、塗布均一性が高いために好ましい。
【0043】
特にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルが、塗布均一性が高く、人体への安全性が高いため、より一層好ましい。
【0044】
本発明の光硬化性樹脂組成物において用いられる溶媒(E)の割合は、重量比(A+B+C+D)/(A+B+C+D+E)が0.1〜0.7となるようにすると、塗布均一性が良好で好ましい。さらに、溶媒(E)の割合が、重量比(A+B+C+D)/(A+B+C+D+E)が0.15〜0.65となるようにすると、塗布均一性が良好で、膜厚コントロールが容易で、一層好ましい。特に、溶媒(E)の割合が、重量比(A+B+C+D)/(A+B+C+D+E)が0.2〜0.6となるようにすると、塗布均一性が良好で、膜厚コントロールが容易で、保存安定性が良好であるため、より一層好ましい。
【0045】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、接着性を向上させるためにシランカップリング剤を添加してもよい。シランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等をあげることができる。中でも3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが、密着性が良好で好ましい。
【0046】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、塗布均一性を向上させるためにアニオン系、カチオン系、ノニオン系もしくはフッ素系の界面活性剤、シリコン樹脂等の塗布性向上剤を添加してもよい。界面活性剤あるいは塗布性向上剤の具体例としては、ポリフローNo.45、ポリフローKL−245、ポリフローNo.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(以上いずれも商標、共栄社油脂化学工業製)、BYK300、BYK310、BYK320、BYK330、BYK344、BYK346、(以上いずれも商標、ビックケミー製)、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、
【0047】
ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、等をあげることができる。
【0048】
中でもフルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩が、塗布均一性が高く、好ましい。
【0049】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、感度、解像度、現像性、耐熱性を向上させるためにアルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤、メラミン化合物もしくはビスアジド化合物等の熱架橋剤、有機カルボン酸等のアルカリ溶解性促進剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
【0050】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、温度−5℃〜25℃の範囲で遮光して保存すると、組成物の経時安定性が良好である。保存温度が0℃〜10℃であれば、経時安定性が一層良好である。
【0051】
本発明の光硬化性樹脂組成物を露光後に現像する場合の現像液としては、アルカリ水溶液が好ましい。アルカリの具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、等を使用することができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することも有効である。
【0052】
現像液には現像残渣の低減やパターン形状の適性化を目的として、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としてはアニオン、カチオン、ノニオン系から選択して使用することができる。特にノニオン系のポリオキシエチレンアルキルエーテルを添加すると、パターン形状が良好で好ましい。
本発明は現像方法によって限定されない。ディップ現像、パドル現像、シャワー現像、スプレー現像のいずれも用いることができる。
【0053】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
実施例および比較例で用いるアルカリ可溶性樹脂(A1)〜(A4)を以下に示す方法で合成した。
【0054】
アルカリ可溶性樹脂(A1)の合成
攪拌器付4つ口フラスコに以下の化合物を仕込み、120℃で3時間加熱した。
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 50.0g
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 30.0g
4−メトキシフェノール 0.1g
スチレン−無水マレイン酸共重合体
SMA1000(川原油化(株)製) 50.0g
【0055】
加熱終了後、冷却し、3−アミノプロピルトリエトキシシラン10.0gを滴下して30℃で3hr攪拌した。酢酸エチル300gとシクロヘキサン5000gの混合液中に滴下して沈殿を生成させ、この沈殿を35℃で真空乾燥し、72.1gのアルカリ可溶性樹脂(A1)を得た。得られたポリマーの酸価は172、ポリエチレンオキシドを標準としたGPC分析により求めた重量平均分子量は4,000であった。
【0056】
スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン性不飽和結合を有する化合物、アミノ基を有する化合物を表1に示すように変えて、アルカリ可溶性樹脂(A2)〜(A4)を合成した。得られた樹脂の収量、酸価、重量平均分子量を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
尚、SMA1000、SMA2000及びSMA3000は全て川原油化(株)製スチレン−無水マレイン酸共重合体であって、同社カタログによると以下の構造よりなる(ただし、Stはスチレンを、MAHは無水マレイン酸を意味し、nは6〜8である)。
SMA1000: (−St−MAH−)n
SMA2000: (−St2−MAH−)n
SMA3000: (−St3−MAH−)n
【0059】
比較例で用いるアルカリ可溶性樹脂(A5)を、以下のように合成した。
攪拌器付4つ口フラスコに以下を仕込み、64℃で6時間加熱した。
メタノール 41.7g
酢酸エチル 83.3g
ベンジルメタクリレート 32.5g
5−テトラヒドロフルフリル
オキシカルボニルペンチルアクリレート 7.5g
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 5.0g
メタクリル酸 5.0g
アゾビスイソブチロニトリル 0.25g
チオグリコール酸 0.75g
【0060】
加熱終了後、冷却し、大量のシクロヘキサンに投入した。生成した沈殿を50℃で真空乾燥し、38.4gのアルカリ可溶性樹脂(A5)を得た。得られたポリマーの酸価は60、ポリエチレンオキシドを標準としたGPC分析により求めた重量平均分子量は7,000であった。
【0061】
比較例で用いるアルカリ可溶性樹脂(A6)を以下のように合成した。
攪拌器付4つ口フラスコに以下の化合物を仕込み、120℃で3時間加熱した。
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 75.0g
4−メトキシフェノール 0.1g
スチレン−無水マレイン酸共重合体
SMA1000(川原油化(株)製) 50.0g
【0062】
加熱終了後、冷却し、酢酸エチル300gとシクロヘキサン5000gの混合液中に滴下して沈殿を生成させ、この沈殿を35℃で真空乾燥し、72.1gのアルカリ可溶性樹脂(A1)を得た。得られたポリマーの酸価は178、ポリエチレンオキシドを標準としたGPC分析により求めた重量平均分子量は4,100であった。
【0063】
実施例および比較例で用いるエポキシ基含有樹脂(B1)を次のように合成した。
攪拌器付4つ口フラスコに以下を仕込み、80℃で4時間加熱した。
2−ブタノン 200.0g
グリシジルメタクリレート 40.0g
メチルメタクリレート 10.0g
アゾビスイソブチロニトリル 2.0g
【0064】
加熱終了後、冷却し、シクロヘキサン5000g中に滴下した。生成した沈殿を50℃で真空乾燥し、45.1gのエポキシ基含有樹脂(B1)を得た。ポリエチレンオキシドを標準としたGPC分析により求めた重量平均分子量は6,500であった。
【0065】
実施例1〜9、比較例1〜3
表2に示した割合に各原料を仕込み、攪拌下に溶解し、孔径0.2μmのメンブレンフィルターでろ過することにより光硬化性樹脂組成物を調製した。
表2で使用している略号の正式名称は、以下である。
C1:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
C2:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
C3:ペンタエリスリトールトリアクリレート
C4:イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリアクリレート
D1:2−メチル−1− [4−(メチルチオ)フェニル ]−2−モルホリノプロパン−1−オン
D2:3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン
D3:4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
S510:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
DFX:ネオス(株)製フタージェント(商標)DFX−18(フッ素系界面活性剤)
PG:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0066】
【表2】
【0067】
実施例1〜9、および比較例1〜3で調製した光硬化性樹脂組成物をガラス基板上にスピンコート法で塗布した。回転数と回転時間は、ポストベイク後の膜厚が4μmとなるように調整した。塗布後の基板を100℃のホットプレート上で2分間乾燥した。この基板をウシオ(株)製UI−501C超高圧水銀灯でドットパターンのマスクを介して、空気中、ギャップ100μmで露光した。露光量はウシオ(株)製積算光量計UIT−102、受光器UVD−365PDで測定して80mJ/cm2とした。露光後の基板を25℃の0.2重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で40秒間ディップ現像し、未露光部を除去した。現像後の基板を純水で20秒間洗ってから、230℃で30分ポストベイクした。
【0068】
評価項目と評価方法は以下に示したとおりである。
現像性:基板表面が現れる時間を計測した。20秒以内に現れた場合、良好とした。
接着性:200倍の光学顕微鏡で観察し、接着している最小ドットパターンを調べた。より小さなドットパターンが接着しているほど、接着性は良好である。
圧縮硬度:15μm角のドットパターンを選び、島津製作所(株)製超微小硬度計DUH−W201型で負荷−除荷試験を行った。直径50μmの平面圧子を使用し、試験力10mN、負荷速度0.5mN/秒、保持時間を5秒としたときの最大変位を調べた。
鉛筆硬度:パターンのない部分を選択し鉛筆硬度を測定した。
保存安定性:光硬化性樹脂組成物を遮光した30℃のインキュベーター中で2週間保存し、光硬化性樹脂組成物の粘度、ポストベイク後の膜の接着性、圧縮硬度、鉛筆硬度に変化のないものを良好とした。評価結果は表3に示した。
【0069】
【表3】
【0070】
【発明の効果】
本発明の光硬化性樹脂組成物はプロセスマージン、感度、現像性に優れている。さらに、本発明の光硬化性樹脂組成物から製造された膜は、透明性、耐薬品性、耐アルカリ性、耐熱性、耐水性に優れ、かつ高い圧縮強度を併せ持つ。そのため、液晶パネル張り合わせ時のセルギャップの変化、バラツキが小さく、液晶パネルの不良品率を著しく低減することができる。
Claims (9)
- 無水マレイン酸とエチレン性不飽和結合を有する化合物との共重合体の無水マレイン酸構成単位の酸無水物基を水酸基とエチレン性不飽和基を有する化合物でその一部を開環し、更に、下記式(1)
NH2−R6−SiR7 n(OR8)3-n (1)
(ここで、R6は炭素数1〜10の2価の有機基であり、R7はメチル基、エチル基若しくはフェニル基であり、R8はメチル基、エチル基若しくはプロピル基であり、nは0〜2の整数である)
で表わされるアミノシランで開環して得られるアルカリ可溶性樹脂(A)、エポキシ基を有する樹脂(B)、エチレン性不飽和結合を有する化合物(C)、光重合開始剤(D)及び溶媒(E)を含有する光硬化性樹脂組成物。 - アルカリ可溶性樹脂(A)の酸価が30〜400である請求項1に記載された光硬化性樹脂組成物。
- アルカリ可溶性樹脂(A)の重量平均分子量が1,000〜200,000である請求項1に記載された光硬化性樹脂組成物。
- エポキシ基を有する樹脂(B)の重量平均分子量が1,000〜200,000である請求項1に記載された光硬化性樹脂組成物。
- エチレン性不飽和結合を有する化合物(C)が、エチレン性不飽和結合を3個以上有する化合物の少なくとも1つを、20〜100重量%含有する請求項1に記載された光硬化性樹脂組成物。
- 光重合開始剤(D)が、下記一般式(2)
で表される化合物、ビイミダゾール系化合物、ベンジルジメチルケタール系化合物、α−ヒドロキシケトン系化合物、α−アミノケトン系化合物、ビスアシルフォスフィンオキサイド系化合物、メタロセン系化合物、アミノ基とベンゾフェノン構造とを有する化合物、クマリン構造を有する化合物、トリハロメチル基とトリアジン環とを有する化合物からなる群の中から選ばれる化合物の少なくとも1つを含有する光重合開始剤である請求項1に記載された光硬化性樹脂組成物。 - 溶媒(E)が、沸点が100℃〜250℃である化合物の少なくとも1つを20〜100重量%含有する請求項1に記載された光硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜7の何れか1項に記載された光硬化性樹脂組成物から形成された塗膜。
- 請求項8に記載された塗膜を備えた表示素子。
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