JP4150852B2 - ブラシユニット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、プレス打ち抜き加工、レーザー加工、フライス加工などにおいて発生する金属(アルミ、真鍮、鉄、ステンレス鋼など)製品のかえりやバリ(以下、「バリ」と称す。)を取ったり、研磨や塗装剥離を行う装置などで好適に使用されるブラシユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のブラシユニットとして、特許文献1に、円盤部、円盤部の下面側に設けられた多数の毛および円盤部の上面中央に設けられた軸部を有するブラシと、ブラシ側の円筒状第1ホルダ部材および装置本体側の円筒状第2ホルダ部材からなるブラシ支持体とを備え、第1ホルダ部材にブラシの軸部を挿入するとともに、第1ホルダ部材の周壁に設けられた上下の水平方向ねじ孔にねじ合わされたおねじ部材をそれぞれ締め付けることによって、ブラシとブラシ支持体とを着脱自在に結合しているものが記載されている。
【0003】
一方、本出願人は、特許文献2において、装置の大型化および複雑化を抑えて手作業をなくすことができ、かつブラシの毛同士が絡み合うことがないバリ取り装置を提案した。同文献に例示されているブラシユニットは、円盤部およびこれに同心状に設けられた多数の研磨砥粒が混入された毛からなる一体成型品成型ブラシと、バリ取り装置のブラシ軸に基部が取り付けられる軸部および軸部の先端に設けられた円盤部を有するブラシ支持体とからなり、ブラシに設けられたねじ挿通用孔に挿通されたおねじ部材がブラシ支持体の円盤部の中央部に設けられためねじ部にねじ合わされることにより、ブラシがブラシ支持体に着脱自在に取り付けられており、ブラシ支持体の円盤部に設けられた少なくとも1つの位置決めピンにブラシに設けられた位置決めピン挿入用孔が嵌め合わされているものであった。
【0004】
【特許文献1】
特開平07−164293号公報(図4)
【0005】
【特許文献2】
特願2002−311541(図5)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献2のバリ取り装置によると、従来のバリ取り装置の問題点は解消されたが、本出願人は、このようなバリ取り装置に使用されるブラシユニットにおいて、ブラシ交換の容易さおよび芯出し精度の確保に対し、より一層の改良を加えるという課題を創出した。
【0007】
上記特許文献1のものによると、2本のおねじ部材を締め付ける必要があるため、交換が面倒であるばかりでなく、おねじ部材を軸方向に対して直角の方向から締め付けるため、ブラシとブラシ支持体との芯がわずかながらずれることになり、高速回転時に振動が発生するなどの問題があった。
【0008】
この発明の目的は、例えば、バリ取り装置において好適に使用されるブラシユニットであって、ブラシの交換が容易でしかも芯出し精度に優れたものを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
この発明によるブラシユニットは、円盤部下面にその中央部を除いて設けられた複数の植毛用孔に1または複数本の毛が植え付けられることにより形成されており、かつ円盤部の中央部にこれを貫通するねじ挿通用孔が設けられたブラシと、ブラシの円盤部の上面に下面が突き合わされる円盤部およびこれに一体に設けられた上方突出状軸部からなるブラシ側部分を有しており、かつブラシ側部分の中央部下面側にめねじ部が設けられたブラシ支持体と、ブラシのねじ挿通用孔に挿通されてブラシ支持体のめねじ部にねじ合わされることによってブラシとブラシ支持体とを着脱自在に結合する1本のおねじ部材とからなり、ブラシの円盤部の上面およびブラシ支持体のブラシ側部分の円盤部の下面のいずれか一方に回り止め用凸部が一体に設けられるとともに、同他方に、回り止め用凸部に係合する回り止め用凹部が設けられているものである。
【0010】
ブラシの毛の材質は、ステンレスなどの金属製とされることがあり、また、ナイロン繊維中に酸化アルミナ・シリコンカーバイトやダイヤモンド砥粒を混入させたものなどの研磨砥粒入り合成樹脂とされることがある。ブラシは、例えば、所要本数の毛(線材)を筒状の支持体内に挿入して形成してもよく、型にはめて形成された成型ブラシとしてもよい。ブラシの材質等を変更することにより、バリ取りのほかに、研磨や塗装剥離を行うこともできる。
【0011】
ブラシは、好ましくは、多数の植毛用孔が下面に設けられた円盤部と、各植毛用孔に植え付けられた1または複数本の可撓性を有する毛とからなるものとされる。この場合に、ブラシの円盤部は、例えば、エンジニアリングプラスチック製とされるが、これに限定されるものではない。毛の材質としては、ナイロン繊維中に酸化アルミナ、シリコンカーバイトまたはダイヤモンド砥粒を混入させたものが好適であるが、これに限定されるものではない。ブラシの円盤部には、ブラシ植毛用の孔が設けられ、植毛用孔は、例えば、円盤部の中央部分を除いて、同心円状に、2〜10列、より好ましくは、3〜6列設けられる。各孔同士の間隔は、孔径と同程度かそれより大きくされる。植毛用孔に毛を植え付けるには、例えば、1本の線材(糸)をU字状に折り曲げてその折り曲げ部を孔内に強制的に挿入すること(圧着すること)により得ることができる。これにより、1つの孔に2本の毛が植毛されたようになる。植毛用孔の径を毛の径の2倍程度とすることにより、接着等を施さなくても、毛の抜けを防止することができる。円盤部の下面から毛の先端までの距離(毛の長さ)は、例えば、15〜40mmとされる。各孔に植え付けられる線材は、1本(毛の本数としては2本)であることが好ましいが、円盤部の径が大きい場合には、植毛用孔の径を大きくするとともに、複数本としてもなお全体として可撓性を保持する範囲で、U字状の線材を複数本(例えば2本または3本、毛の本数としては、4本または6本)1つの孔に植え付けるようにしてもよい。線材をU字状に折り曲げないで使用することも可能であり、この場合には、1〜6本の線材=毛を1つの孔に挿入すればよい。このようにすると、ブラシの毛が可撓性を有しているので、バリ取り時において、毛がワークの面に押し付けられた状態から開放された状態に移行する際、バリをはたくことになり、ワークの角部のバリが取れやすくなる。さらに、毛が撓むことによって毛にかかる圧力が小さくなることから、摩耗が少なくなり、長寿命となる。毛の材質、太さおよび長さ、植毛用孔の大きさおよびピッチ、1つの植毛用孔に挿入される毛の本数などは、円盤部の径およびワークの材質等に応じ、上記作用効果を確保可能なように適宜設定される。なお、円盤部に設けられた植毛用孔に1または複数本の毛が植え付けられることによりブラシが形成されている場合には、ブラシの円盤部に、製造時位置決め孔が設けられることが好ましい。
【0012】
この発明のブラシユニットによると、円盤部の中央部に設けられたねじ挿通用孔におねじ部材を挿通してブラシ支持体の中央部に設けられためねじ部にねじ合わせることによって、ブラシとブラシ支持体とが結合されるので、1本のおねじ部材の締付け・ねじ戻しによって、ブラシの着脱が可能となり、ブラシの交換が容易に行える。また、おねじ部材の締付け力は、軸方向のみに作用して、軸方向と直角の方向には作用しないので、芯出しが精度よく行われかつ繰り返し着脱しても着脱ごとにその精度が変化することがない。また、ブラシの円盤部の上面およびブラシ支持体の下面のいずれか一方に回り止め用凸部が設けられるとともに、同他方に、回り止め用凸部に係合する回り止め用凹部が設けられているので、ブラシを新しいものに交換する際に、容易に位置決めされ、しかも、ねじの方向と逆の方向にブラシを回転させても、ねじがゆるむことがなく、したがって、正逆両方向にブラシを回転させても、ブラシが支持体から脱落することがない。
【0013】
回り止め用凸部および回り止め用凹部の形状は、特に限定されるものではないが、回転時にアンバランスが生じないように、ブラシ軸を中心として周方向に等間隔でまたはブラシ軸を中心とする正多角形となるように設けられることが好ましい。例えば、回り止め用凸部は、六角柱状に形成されており、回り止め用凹部は、六角柱状の有底孔とされていることがあり、また、回り止め用凸部は、放射状に等間隔で形成された複数のリブとされており、回り止め用凹部は、放射状に等間隔で形成された複数の溝とされていることがあり、さらにまた、回り止め用凸部は、周方向に等間隔で形成された複数の突起とされており、回り止め用凹部は、周方向に等間隔で形成された複数の凹所とされていることがある。
【0014】
上記のブラシユニットにおいて、ブラシ支持体は、上方突出状軸部を有しおねじ部材によってブラシに結合されているブラシ側部分と、ブラシ側部分の軸部が摺動可能に挿通された円筒状装置本体側部分とからなり、装置本体側部分内に、ブラシ側部分を下方に付勢する弾性部材が配置されていることがある。また、ブラシ支持体は、上方突出状軸部を有しおねじ部材によってブラシに結合されている円盤状体とされ、その軸部が直接装置本体側に挿入固定されるものであってもよい。前者の構成のものでは、ブラシが当たるワークの面に傾斜・凹凸などのばらつきがあっても、弾性部材の付勢力によってブラシがワークの面にムラなく押し付けられ、摩耗が少なくなるとともに、より効率的にバリ取りを行うことができるので、前記特許文献2に記載のバリ取り装置に好適に使用され、後者の構成は、作業者がワークへの押し付け力を調整できるハンドグラインダーのような簡易な装置に好適に使用される。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明の実施形態を、以下図面を参照して説明する。以下の説明において、図1については、その左を先端側、同右を基端側というものとする。また、この明細書においては、ブラシユニットについて、図2,図4,図6および図8のそれぞれの上下を上下というものとする。
【0016】
図1は、この発明のブラシユニットが使用されるバリ取り装置の1実施形態を示している。
【0017】
このバリ取り装置(31)は、特許文献2に記載のものであり、基端側の固定部(37)および先端側の可動部(38)よりなるボディ(32)と、ボディ(32)の固定部(37)および可動部(38)内に回転可能に支持された主軸(33)と、ボディ(32)の可動部(38)に回転可能に支持された複数(2本以上の任意の数が可能で、例えば3本)のブラシ軸(34)と、ボディ(32)の可動部(38)を回転させる可動部回転手段(35)と、各ブラシ軸(34)を回転させるブラシ軸回転手段(36)と、各ブラシ軸(34)の先端に着脱自在に取り付けられたブラシユニット(39)と、ボディ(32)の固定部(37)の基端部に設けられてマシニングセンタ・フライス盤・ボール盤・専用機等に取り付ける際の位置決めを行う位置決め部(40)とを備えている。
【0018】
ボディ(32)の固定部(37)は、基端側の小径部(41)および先端側の大径部(42)よりなる段付き円筒状に形成されている。大径部(42)の先端部には、可動部(38)を嵌め入れる凹所(42a)が設けられており、凹所(42a)の基端部には、環状の段部(42b)が設けられている。ボディ(32)の可動部(38)の基端面と固定部(37)の大径部凹所(42a)の底面との間には、可動部回転手段(35)およびブラシ軸回転手段(36)を収納するスペースが形成されている。
【0019】
主軸(33)は、ボディ(32)の固定部(37)の小径部(41)に軸受(43)を介して中間部分が回転可能に支持されるとともに、その先端部分がボディ(32)の可動部(38)に軸受(44)を介して回転可能に支持されている。主軸(33)は、ボディ(32)より基端側に突出しておりマシニングセンタ等の駆動装置に噛み合い可能に形成された基端部(33a)を有している。
【0020】
ブラシ軸(34)は、主軸(33)の先端部分を囲むように所定間隔をおいて配置されるとともに、ボディ(32)の可動部(38)に軸受(45)を介して回転可能に支持されている。
【0021】
可動部回転手段(35)は、主軸(33)の中間部分を囲むように所定間隔をおいて配置されボディ(32)の可動部(38)に固定された3本の旋回棒(46)と、旋回棒(46)の中間部分に回転可能に取り付けられた旋回用大径歯車(47)と、主軸(33)の中間部分に固定されて旋回用大径歯車(47)に噛み合わされた旋回棒駆動歯車(48)と、旋回棒(46)の基端側部分に固定された旋回用小径歯車(49)と、主軸(33)と同心になるようにボディ(32)の固定部(37)の大径部に固定されかつ旋回用小径歯車(49)に噛み合わされた内歯歯車(50)とを有している。
【0022】
旋回棒(46)は、先端部におねじ部(46a)を、基端部にフランジ部(46b)を有している。旋回用大径歯車(47)および旋回用小径歯車(49)は、一体とされて、それらの中央貫通孔に挿通された旋回棒(46)のおねじ部(46a)がボディ(32)の可動部(38)に設けられためねじ部にねじ込まれることにより、旋回棒(46)に相対的に回転可能に支持されている。内歯歯車(50)は、ボルトによってボディ固定部(37)の環状段部(42b)に固定されている。
【0023】
ブラシ軸回転手段(36)は、各ブラシ軸(34)の基端部に固定されたブラシ軸回転用歯車(51)と、主軸(33)の中間部分に固定されて中間歯車(53)を介してブラシ軸回転用歯車(51)に噛み合わされたブラシ軸駆動歯車(52)からなる。
【0024】
ブラシ軸(34)は、ボディ可動部(38)の基端側に突出している部分が小径とされており、ブラシ軸回転用歯車(51)は、この小径部(34a)に円筒状スペーサ(54)を介して相対的に回転不可能に取り付けられている。ブラシ軸駆動歯車(52)は、旋回棒駆動歯車(48)より大径であり、両歯車(48)(52)は、ブラシ軸駆動歯車(52)が基端側に位置するように一体に形成されている。中間歯車(53)の軸(55)は、先端部におねじ部を有しており、このおねじ部がボディ可動部(38)に設けられためねじ部にねじ込まれることにより、中間歯車軸(55)がボディ可動部(38)に固定されている。中間歯車軸(55)には、ボディ可動部(38)の基端面と中間歯車(53)先端面との間に介在される円筒状スペーサ(56)が嵌められている。
【0025】
ブラシユニット(39)は、金属製のブラシ支持体(61)と、研磨砥粒が混入された合成樹脂製のブラシ(62)と、ブラシ(62)を着脱自在にブラシ支持体(61)に取り付けるビス(おねじ部材)(63)と、ブラシ支持体(61)とブラシ(62)との間に設けられた位置決めピン(64)とからなる。ブラシ支持体(61)は、ブラシ軸(34)に取り付けられる軸部(65)および軸部(65)の先端に設けられた円盤部(66)からなる。ブラシ軸(34)の先端部(34b)は、大径とされてボディ可動部(38)の先端側に突出させられており、この大径先端部(34b)には、先端側に開口しているブラシ差込用凹所(57)と、径方向に貫通しているピン挿通用孔(58)とが設けられている。ブラシ支持体(61)の軸部(65)には、軸方向に長い径方向貫通孔(67)が設けられており、この貫通孔(67)とブラシ軸(34)のピン挿通用孔(58)とが位置合わせされて両孔(58)(67)に連結ピン(59)が挿通されている。ブラシ支持体(61)の軸部(65)の基端部とブラシ軸(34)のブラシ差込用凹所(57)底面との間には、ブラシユニット(39)を先端方向に付勢するコイルばね(弾性部材)(60)が介在されている。ブラシ支持体(61)の軸部(65)に設けられている径方向貫通孔(67)が軸方向に長いことから、ブラシユニット(39)は同孔(67)の範囲内で軸方向基端側に移動可能であり、移動に伴ってコイルばね(60)の先端向きの弾性力が増加する。したがって、各ブラシユニット(39)のブラシ(62)が当たるワークの面に傾斜・凹凸などのばらつきがあっても、コイルばね(60)の付勢力によってすべてのブラシ(62)がワークの面にほぼ均等にムラなく押し付けられ、効率的なバリ取りができる。
【0026】
上記バリ取り装置(31)によると、主軸(33)の回転によって旋回棒駆動歯車(48)およびブラシ軸駆動歯車(52)が回転し、ブラシ軸駆動歯車(52)の回転は、中間歯車(53)を介してブラシ軸回転用歯車(51)に伝えられ、ブラシ軸(34)が自転する。一方、旋回棒駆動歯車(48)の回転は、旋回用大径歯車(47)およびこれと一体の旋回用小径歯車(49)に伝えられる。旋回棒(46)自体は自転しないことから、旋回用小径歯車(49)の回転に伴って、同歯車(49)したがって旋回棒(46)は内歯歯車(50)に案内されて公転する。こうして、ブラシ軸(34)は、主軸(33)の回転に伴って、自転しながら公転し、バリ取りが行われる。また、ブラシ軸(34)を正回転および逆回転の両方に回転させても、ビス(おねじ部材)(63)がブラシ支持体(61)から外れることはなく、連続してかつ安全にバリ取りを行うことができる。そして、ブラシ(62)が消耗した場合には、ブラシ支持体(61)をブラシ軸(34)に取り付けたまま、ビス(63)を外してブラシ(62)をブラシ支持体(61)から取り外し、新品のブラシ(62)を同じビス(63)でブラシ支持体(61)に取り付ければよい。こうして、非常に簡単に消耗品であるブラシ(62)の交換ができる。
【0027】
この発明によるブラシユニット(70)は、上記のブラシユニット(39)をさらに改良したものであって、その第1実施形態を図2および図3に示す。このブラシユニット(70)は、ブラシ(71)と、ブラシ支持体(72)と、これらを着脱自在に結合するボルト(おねじ部材)(73)と、ブラシ(71)の上面側に設けられた回り止め用凸部(74)と、回り止め用凸部(74)に係合するようにブラシ支持体(72)の下面側に設けられた回り止め用凹部(75)とからなる。
【0028】
ブラシ(71)は、多数の植毛用孔が下面に設けられた円盤部(76)と、各植毛用孔ごとに植え付けられた2本の可撓性を有する毛(77)とからなる。円盤部(76)の中央部には、これを貫通するねじ挿通用孔(78)が設けられている。この実施形態では、回り止め用凸部(74)は、円盤部(76)の頂面にねじ挿通用孔(78)を囲むように形成された六角柱状部とされている。
【0029】
ブラシ支持体(72)は、図1のブラシ支持体(61)に相当しかつおねじ部材(73)によってブラシ(71)に結合されているブラシ側部分(79)と、図1のブラシ軸(34)の先端部(34b)に相当しブラシ側部分(79)の軸部(84)が摺動可能に挿通された円筒状の装置本体側部分(80)と、装置本体側部分(80)内に配置されてブラシ側部分(79)を下方に付勢する弾性部材(81)と、ブラシ側部分(79)と装置本体側部分(80)とを結合する水平方向にのびる結合ピン(82)からなる。
【0030】
ブラシ支持体(72)のブラシ側部分(79)は、円盤部(83)およびこれに一体に設けられた上方突出状軸部(84)からなる。円盤部(83)の下面には、ブラシ(71)に設けられた回り止め用凸部(74)にちょうど嵌まり合うように、回り止め用凹部(75)としての六角柱状有底孔が形成されている。円盤部(83)の厚み方向全厚にわたっておよび軸部(84)の中央部下面に、ボルト(73)の先端部分がねじ合わされるめねじ部(85)が設けられている。軸部(84)の上部には、上下に長い長孔(84a)が貫通状に形成されている。結合ピン(82)は、この長孔(84a)に挿通されて、その両端部が装置本体側部分(80)の周壁に設けられた貫通孔に嵌め入れられて固定されている。
【0031】
ブラシ(70)の円盤部(76)は、エンジニアリングプラスチック製とされており、毛(77)の材質は、ナイロン繊維中に酸化アルミナまたはシリコンカーバイトを混入させたものとされている。植毛用孔は、円盤部(76)の中央部分を除いて、同心円状に、3列設けられており、各孔同士の間隔は、孔径と同程度かそれより大きくされている。植毛用孔への毛(77)の植え付けは、1本の線材をU字状に折り曲げてその折り曲げ部を孔内に強制的に挿入すなわち圧着することにより行われている。
【0032】
上記のブラシユニット(70)によると、ブラシ(71)の毛(77)が可撓性を有しているので、バリ取り時には、毛(77)がワークの面に押し付けられた状態から開放された状態に移行する際、バリをはたくことになり、ワークの角部のバリが取れやすくなる。しかも、毛(77)が撓むことによって毛(77)にかかる圧力が小さくなることから、摩耗が少なくなり、長寿命となる。また、ブラシ(71)が正方向に回転または移動する時と、逆方向に回転または移動する時とで、ブラシ(71)の毛(77)のワークへの接触状態が異なることになり、正と逆とを切り換えることにより、より一層バリがよく取れる。このブラシユニット(70)は、正逆両方向に回転させても、ブラシ(71)の回り止め用凸部(74)とブラシ支持体(72)の回り止め用凹部(75)とが係合しているので、ボルト(73)はいずれの回転に対してもゆるむことがないため、図1に示したバリ取り装置で使用するのに非常に好適なものとなっている。
【0033】
この発明によるブラシユニットは、図1に示したバリ取り装置での使用に限定されるものではなく、上記第1実施形態のブラシユニット(70)と同じブラシを使用するとともに、ブラシ支持体の形状を変更することにより、移動可能なハンドグラインダーに取り付けて使用することができる。図4および図5は、その一例を第2実施形態として示すもので、このブラシユニット(90)は、ブラシ(91)と、ブラシ支持体(92)と、これらを着脱自在に結合するボルト(おねじ部材)(93)と、ブラシ(91)の上面側に設けられた回り止め用凸部(94)と、回り止め用凸部(94)に係合するようにブラシ支持体(92)の下面側に設けられた回り止め用凹部(95)とからなる。
【0034】
ブラシ(91)は、多数の植毛用孔(96a)が下面に設けられた円盤部(96)と、各植毛用孔(96a)ごとに植え付けられた2本の可撓性を有する毛(97)とからなる。円盤部(96)の中央部には、これを貫通するねじ挿通用孔(98)が設けられている。この実施形態では、回り止め用凸部(94)は、上記第1実施形態のブラシユニット(70)と同様に、ブラシ(91)の円盤部(96)の上面にねじ挿通用孔(98)を囲むように形成された六角柱状部とされている。
【0035】
ブラシ支持体(92)は、円盤部(99)およびこれに一体に設けられた上方突出状軸部(100)からなる。円盤部(99)の下面には、ブラシ(91)に設けられた回り止め用凸部(94)にちょうど嵌まり合うように、回り止め用凹部(95)としての六角柱状有底孔が形成されている。円盤部(99)の厚み方向全厚にわたっておよび軸部(100)の中央部下面に、ボルト(93)の先端部分がねじ合わされるめねじ部(92a)が設けられている。軸部(100)の上部は、グライダーに取付け可能なように角柱状に形成されている。
【0036】
なお、図5において、(96b)で示されている3つの孔は、回り止め用凸部(94)および回り止め用凹部(95)のうちのいずれか一方が、上記の六角形状とできないためにこれらが互いに係合しない場合、これらの孔を使用してブラシとブラシ支持体とを結合可能とするためのピン挿通用孔である。また、2つのピン挿通用孔(96b)のちょうど中間に設けられている孔(96c)は、毛(97)を植え付ける際に使用される製造時位置決め孔であり、これらのピン挿通用孔(96b)および製造時位置決め孔(96c)は、第1実施形態のブラシ(71)にも設けることができる。
【0037】
上記の第1および第2実施形態のブラシユニット(70)(90)では、回り止め用凸部(74)(94)は、六角柱状に形成されており、回り止め用凹部(75)(95)は、六角柱状の有底孔とされているが、回り止め用凸部および回り止め用凹部は、これらの形状に限られるものではない。
【0038】
図6および図7は、回り止め用凸部および回り止め用凹部の第1の変形例を第3実施形態として示すもので、このブラシユニット(70)においては、回り止め用凸部(101)は、放射状に等間隔で形成された複数(図示は3本)のリブとされており、回り止め用凹部(102)は、放射状に等間隔で形成された複数(図示は3本)の溝とされている。その他の構成については、第1実施形態のブラシユニット(70)と同じであるので、同じ符号を付してその説明は省略する。なお、回り止め用凸部(101)および回り止め用凹部(102)の数は、3本に限られるものではない。
【0039】
図8および図9は、回り止め用凸部および回り止め用凹部の第2の変形例を第4実施形態として示すもので、このブラシユニット(70)においては、回り止め用凸部(103)は、周方向に等間隔でブラシ(71)の円盤部(76)の外周部分に形成された複数(図示は3つ)の突起とされており、回り止め用凹部(104)は、ブラシ(71)の円盤部(76)よりも小径とされたブラシ支持体(72)の円盤部(83)の外周に周方向に等間隔で形成された複数(図示は3つ)の切欠き(凹所)とされている。その他の構成については、第1実施形態のブラシユニット(70)と同じであるので、同じ符号を付してその説明は省略する。なお、回り止め用凸部(103)および回り止め用凹部(104)の数は、3つに限られるものではなく、凸部および凹部を形成する箇所も円盤部の外周部分に限られるものではない。
【0040】
なお上記の図6から図9までに示した第1および第2の変形例は、第2実施形態のブラシユニット(90)に適用してももちろんよい。また、これらの変形例では、図5に示されている植毛用孔(96a)および製造時位置決め孔(96c)の図示を省略しているが、これらの孔は、第1および第2の変形例のものにも設けられている。
【0041】
また、上記各実施形態では、ブラシ(71)(91)に凸部(74)(94)(101)(103)を、ブラシ支持体(72)に凹部(75)(95)(102)(104)を設けているが、ブラシに凹部を、ブラシ支持体に凸部を設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるブラシユニットが使用されるバリ取り装置の1実施形態を示す縦断面図である。
【図2】この発明によるブラシユニットの第1実施形態の正面図である。
【図3】図2のIII-III線に沿う断面図である。
【図4】この発明によるブラシユニットの第2実施形態の正面図である。
【図5】同底図である。
【図6】この発明によるブラシユニットの第3実施形態の正面図である。
【図7】同底図である。
【図8】この発明によるブラシユニットの第4実施形態の正面図である。
【図9】同底図である。
【符号の説明】
(70)(90) ブラシユニット
(71)(91) ブラシ
(72)(92) ブラシ支持体
(73)(93) ボルト(おねじ部材)
(74)(94)(101)(103) 回り止め用凸部
(75)(95)(102)(104) 回り止め用凹部
(76)(96) 円盤部
(77)(97) 毛
(78)(98) ねじ挿通用孔
(79) ブラシ側部分
(80) 装置本体側部分
(81) コイルばね(弾性部材)
(85)(92a) めねじ部
(96a) 植毛用孔
(96c) 製造時位置決め孔

Claims (5)

  1. 円盤部下面にその中央部を除いて設けられた複数の植毛用孔に1または複数本の毛が植え付けられることにより形成されており、かつ円盤部の中央部にこれを貫通するねじ挿通用孔が設けられたブラシと、ブラシの円盤部の上面に下面が突き合わされる円盤部およびこれに一体に設けられた上方突出状軸部からなるブラシ側部分を有しており、かつブラシ側部分の中央部下面側にめねじ部が設けられたブラシ支持体と、ブラシのねじ挿通用孔に挿通されてブラシ支持体のめねじ部にねじ合わされることによってブラシとブラシ支持体とを着脱自在に結合する1本のおねじ部材とからなり、ブラシの円盤部の上面およびブラシ支持体のブラシ側部分の円盤部の下面のいずれか一方に回り止め用凸部が一体に設けられるとともに、同他方に、回り止め用凸部に係合する回り止め用凹部が設けられているブラシユニット。
  2. 回り止め用凸部は、六角柱状に形成されており、回り止め用凹部は、六角柱状の有底孔とされている請求項1のブラシユニット。
  3. 回り止め用凸部は、放射状に等間隔で形成された複数のリブとされており、回り止め用凹部は、放射状に等間隔で形成された複数の溝とされている請求項1のブラシユニット。
  4. 回り止め用凸部は、周方向に等間隔で形成された複数の突起とされており、回り止め用凹部は、周方向に等間隔で形成された複数の凹所とされている請求項1のブラシユニット。
  5. ブラシ支持体は、ブラシ側部分の軸部が摺動可能に挿通された円筒状装置本体側部分と、装置本体側部分内に配置されてブラシ側部分を下方に付勢する弾性部材と、ブラシ側部分と装置本体側部分とを結合する水平方向にのびる結合ピンとを有しており、ブラシ側部分の軸部の上部には、上下に長い長孔が貫通状に形成されて、結合ピンは、この長孔に挿通されて、その両端部が装置本体側部分の周壁に設けられた貫通孔に嵌め入れられている請求項1から4までのブラシユニット。
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