JP4150625B2 - 合成樹脂製封緘用ベルト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンテナや倉庫等の扉や各種容器の封緘に使用される合成樹脂製封緘用ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
コンテナや容器等に詰められた製品や荷物の盗難、荷抜き、紛失等を防止するために使用されるこの種の合成樹脂製封緘用ベルトとして、従来一般には、可撓性の帯状体と、この帯状体の長さ方向一端側に形成された先端部と、前記帯状体の長さ方向他端側に該帯状体に対し直角に立設して形成され前記先端部が挿入される孔を有するヘッド部とにより構成され、先端部に抜止め突起を形成する一方、ヘッド部の孔の内壁に前記抜止め突起が反挿入方向に引抜き不可能に係合する係合部を形成し、かつ、抜止め突起より挿入方向の後方側の先端部あるいは帯状体部分に肉薄で引きちぎり可能な弱体部を形成してなるものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように構成された従来一般の合成樹脂製封緘用ベルトは、例えばコンテナの扉等の被封緘部材に帯状体を巻いたり通したりした上で、その先端部をヘッド部の孔内に挿入して、抜止め突起を孔内の係合突起に引抜き不可能に係合させることにより、所定の封緘機能が発揮される。また、この封緘状態から開封するときは、先端部あるいは帯状体部分に形成された弱体部をねじって引きちぎることで、開封機能が発揮される。
【0004】
ところで、従来一般の合成樹脂製封緘用ベルトでは、抜止め突起と係合部とを引抜き不可能に係合させることのみで所定の封緘機能を発揮させるようにしたものであって、その封緘状態においてヘッド部の孔の挿入側開口端の内壁と孔に挿入された先端部との間には隙間が存在しており、この隙間に、例えばマイナスドライバーの先端をこじ入れる等して抜止め突起を破損あるいは変形させて係合部との係合を解除することで開封し、その後、再び先端部を孔内に挿入して、見掛け上はいかにも封緘されているが如き偽装を施したり、ベルト自体を別の封緘に悪用するいわゆる使い回ししたりすことが可能であるという問題があった。
【0005】
また、従来一般の合成樹脂製封緘用ベルトにおいては、前記弱体部の引きちぎりにより開封したとき、ヘッド部の孔内に残存する先端部、つまり、ベルト滓が孔から抜け落ちて細かいごみとなり周囲に飛散するという難点もあった。
【0006】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、封緘後における故意による開封を規制して偽装や使い回しを防止できるとともに、意図した開封後にはベルト滓が細かいごみとして周囲に飛散することも防止できる合成樹脂製封緘用ベルトを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る合成樹脂製封緘用ベルトは、可撓性の帯状体と、この帯状体の長さ方向一端側に形成された先端部と、前記帯状体の長さ方向他端側に該帯状体に対し直角に立設して形成され前記先端部が挿入される孔を有するヘッド部とにより構成される合成樹脂製封緘用ベルトであって、
前記先端部の中間部位の表裏両側には、抜止め突起が該先端部の挿入方向に段差をおいて形成されている一方、前記ヘッド部の孔の内壁には、前記先端部がその先端部位をヘッド部の先端よりも外方へ突出するように孔に挿入された状態で、前記抜止め突起の一方が反挿入方向に引抜き不可能に係合する係合部及び他方の抜止め突起が挿入方向に引抜き不可能に係合する係合部が形成されており、かつ、前記先端部の抜止め突起よりも基端部位には、前記両抜止め突起が両係合部に係合した状態で、前記孔の挿入側開口端部に当接し開口端を閉塞する鍔部が形成され、前記鍔部よりも先端部の挿入方向の前方側で、かつ、前記抜止め突起よりも後方側には、引きちぎり可能な弱体部が形成されており、
前記弱体部が孔を有することを特徴とするものである。
【0008】
上記構成の合成樹脂製封緘用ベルトによれば、先端部の中間部位の表裏両側に形成された抜止め突起がヘッド部の孔の内壁に形成されている係合部にそれぞれ引抜き不可能に係合されて所定の封緘状態とされたとき、先端部の基端部位に形成されている鍔部が孔の挿入側開口端部に当接して開口端を閉塞することになるため、封緘状態でマイナスドライバーの先端などを孔内にこじ入れて抜止め係合を解除するといった故意による開封を規制することが可能であり、したがって、見掛け上はいかにも封緘されているが如き偽装や、ベルト自体を別の封緘に悪用する使い回しを防止することができる。
【0009】
また、封緘状態から意図した開封を行うときは、帯状体の後方部分をつかんで反挿入方向に引っ張ることにより弱体部を引きちぎることで鋏等の切断工具を用いなくても容易に開封することができ、さらに、開封によりヘッド部の孔内に位置する先端部、つまり、ベルト滓は、先端部の中間部位の表裏両側に段差をおいて形成された抜止め突起とヘッド部の孔の内壁に形成されている係合部との係合により反挿入方向及び挿入方向のいずれにも抜け落ちず、孔内に残留保持されることになるため、ベルト滓が細かいごみとなって周囲に飛散する事態も避けることができる。
【0010】
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づき説明する。図1は合成樹脂製封緘用ベルトの一実施例を示す平面図、図2は図1におけるA−A線断面図、図3はその合成樹脂製封緘用ベルトによる封緘状態を示す断面図である。
【0012】
本実施例における合成樹脂製封緘用ベルト1は、図1及び図2に示すように、全体がナイロン、ポリプロピレン等の合成樹脂からなる成形品であって、可撓性の帯状体2と、この帯状体2の長さ方向一端側に形成された先端部3と、帯状体2の長手方向他端側に該帯状体2に対し直角に立設され、その内部には前記先端部3が図2の矢印B方向から挿入される孔4を高さ方向に貫通するように形成された角柱状のヘッド部5とにより構成されている。
【0013】
前記先端部3の中間部位の表裏両側には、図2に明示のごとく、側面視において略直角三角形状の抜止め突起6Aと略台形状の抜止め突起6Bとが、該先端部3の挿入方向に段差hをおいて形成されている一方、前記ヘッド部5の孔4の内壁対向部位には、前記先端部3がその先端部位3aをヘッド部5の先端よりも外方へ突出させるように孔4内に挿入された状態で、一方の抜止め突起6Aが反挿入方向に引抜き不可能に係合する係合部7Aと他方の抜止め突起6Bが挿入方向に引抜き不可能に係合する係合部7Bとが前記段差hをおいて形成されている。
【0014】
前記先端部3の両抜止め突起6A,6Bより後方の基端部位には、挿入深さ規制用の鍔部10が形成されている。この鍔部10は、図3に示すごとく、先端部3が孔4内に挿入されて両抜止め突起6A,6Bが両係合部7A,7Bに引抜き不可能に係合した状態で、前記孔4の挿入側の開口端部に当接して該開口端を閉塞するように設けられている。この鍔部10よりも更に後方で該鍔部10に近い箇所には、抜き孔8を開けて引きちぎり可能な弱体部9が形成されている。この弱体部9は、図3に示すごとく、先端部3が孔4内に引き抜き不可能な深さにまで挿入された状態で孔4の外に位置するよう設けられている。
【0015】
また、前記鍔部10よりも後方の帯状体2部分には、その表裏両面に複数の突起11が列設されてなる滑り止め状のつかみ部12が形成されており、先端部3を孔4に挿入するときや弱体部9を引きちぎるときに該つかみ部12を指で滑らないようにつかみ易くしてある。
【0016】
次に、上記構成の合成樹脂製封緘用ベルト1の使用方法について説明する。
先ず、例えばコンテナの扉等の被封緘部材Pに帯状体2を巻いたり通したりした後、つかみ部12を指でつかみ、図3に示すように、先端部3の鍔部10がヘッド部5の孔4の挿入側の開口端部に当接して開口端を閉塞するまで先端部3をヘッド部5の孔4内に矢印B方向(図2参照)から挿入する。この先端部3を図3に示すように、その先端部位3aがヘッド部5の先端から突出する所定深さ位置まで挿入すると、表裏両抜止め突起6A,6Bが孔4の内壁対向部位に形成の係合部7A,7Bにそれぞれ係合して、反挿入方向にも挿入方向にも引抜き不可能に固定保持されて所定の封緘状態が得られる。
【0017】
この封緘状態の下では、鍔部10が孔4の挿入側開口端部に当接して開口端を閉塞しているので、例えばマイナスドライバーの先端などを孔4内にこじ入れて抜止め突起6A,6Bと係合部7A,7Bとの抜止め係合を解除するといった故意による開封を規制することが可能であり、故意に開封した後に再び先端部3を孔4内に挿入して、見掛け上はいかにも封緘されているが如き偽装を施したり、ベルト1自体を別の封緘に使い回ししたりすることを防止できる。
【0018】
また、図3に示すような封緘状態から意図した開封を行うときは、帯状体2のつかみ部分12をつかんで反挿入方向に引っ張ることにより弱体部9を引きちぎることで鋏等の切断工具を用いなくても容易に開封することができる。開封後には、図4に示すように、ヘッド部5の孔4内に位置する先端部3がその中間部位の表裏両側に段差hをおいて形成された抜止め突起6A,6Bとヘッド部5の孔4の内壁に形成されている係合部7A,7Bとの係合により反挿入方向及び挿入方向のいずれにも抜け落ちずに、孔4内に残留保持されることになるため、引きちぎられた先端部3のみからなるベルト滓が細かいごみとなって周囲に飛散する事態を避けることができる。
【0019】
さらに、本実施例では、前記弱体部9が鍔部10よりも挿入方向の後方側に形成されているので、弱体部9の引きちぎりによる開封後においても鍔部10が孔4の開口端を閉塞した状態のままで先端部3がヘッド部5の孔4内に残留保持されるために、開封により引きちぎられた帯状体2の先端部をヘッド部5の孔4内にこじ入れて見掛け上、封緘するといった偽装も防止することができる。
【0020】
なお、上記実施例では、弱体部9が鍔部10よりも挿入方向の後方側に形成されているものについて説明したが、図5に示すように、弱体部9を鍔部10よりも挿入方向の前方側で、かつ、抜止め突起6A,6Bよりも後方側に形成してもよい。この場合は、所定の封緘状態において弱体部9をヘッド部5の孔4内に位置させて外部衝撃物との当接や他物との引っ掛かりを避けることが可能であり、したがって、弱体部9が引きちぎられて不測に開封されるという不良事態の発生を回避できる。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、所定の封緘状態としたとき、先端部の基端部位に形成されている鍔部によりヘッド部の孔の挿入側開口端を閉塞するようにしているので、封緘状態でマイナスドライバーの先端などを孔内にこじ入れて抜止め係合を解除するといった故意による開封を規制することができ、開封後、再び先端部を孔内に挿入して見掛け上はいかにも封緘されているが如き偽装やベルト自体を別の封緘に使い回しを防止することができる。しかも、封緘状態からの意図した開封は、鋏等の切断工具を用いることなく、帯状体部分をつかんで反挿入方向に引っ張ることで容易に開封することができるとともに、開封によりヘッド部の孔内に位置する先端部を表裏両抜止め突起と係合部の係合により反挿入方向及び挿入方向のいずれにも抜け落とすことなく孔内に残留保持させることが可能であるため、引きちぎり後の先端部、すなわち、ベルト滓が細かいごみとなって周囲に飛散する事態も避けることができるという効果を奏する。
【0022】
特に、弱体部を鍔部よりも先端部の挿入方向の後方側に形成する構成を採用することによって、弱体部の引きちぎりによる開封後においても鍔部による孔の挿入側開口端の閉塞を保持できるために、開封後に引きちぎられた帯状体の先端部をヘッド部の孔内にこじ入れて見掛け上、封緘するといった偽装も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る合成樹脂製封緘用ベルトの一実施例を示す平面図である。
【図2】 図1におけるA−A線断面図である。
【図3】 同上合成樹脂製封緘用ベルトによる封緘状態を示す断面図である。
【図4】 同上合成樹脂製封緘用ベルトの開封後の状態を示す要部の拡大断面図である。
【図5】 本発明に係る合成樹脂製封緘用ベルトの他の実施例による封緘状態を示す要部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 合成樹脂製封緘用ベルト
2 帯状体
3 先端部
3a 先端部位
4 孔
5 ヘッド部
6A,6B 抜止め突起
7A,7B 係合部
9 弱体部
10 鍔部
h 段差

Claims (1)

  1. 可撓性の帯状体と、この帯状体の長さ方向一端側に形成された先端部と、前記帯状体の長さ方向他端側に該帯状体に対し直角に立設して形成され前記先端部が挿入される孔を有するヘッド部とにより構成される合成樹脂製封緘用ベルトであって、
    前記先端部の中間部位の表裏両側には、抜止め突起が該先端部の挿入方向に段差をおいて形成されている一方、
    前記ヘッド部の孔の内壁には、前記先端部がその先端部位をヘッド部の先端よりも外方へ突出するように孔に挿入された状態で、前記抜止め突起の一方が反挿入方向に引抜き不可能に係合する係合部及び他方の抜止め突起が挿入方向に引抜き不可能に係合する係合部が形成されており、
    かつ、前記先端部の抜止め突起よりも基端部位には、前記両抜止め突起が両係合部に係合した状態で、前記孔の挿入側開口端部に当接し開口端を閉塞する鍔部が形成され、
    前記鍔部よりも先端部の挿入方向の前方側で、かつ、前記抜止め突起よりも後方側には、引きちぎり可能な弱体部が形成されており、
    前記弱体部が孔を有することを特徴とする合成樹脂製封緘用ベルト
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