JP4150585B2 - 銅管の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅管に更に拡管加工あるいは縮管加工が施される際の割れ発生を防止した銅管の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷凍機、空調機などに汎用されている銅管の通常の製造方法は概ね以下の通りである。即ち、主としてりん脱酸銅などの純銅を溶解、鋳造後、熱間押出によって素管とされ、これをレデューサなどによって冷間圧延後、抽伸 (引き抜き、延伸) 加工され、仕上げ焼鈍されて、製品銅管とされる。この製品銅管は、前記仕上げ焼鈍後に、更に抽伸されて、より小径化される場合も含めて、前記冷凍機、空調機などの配管として、加工、組立される。
【0003】
近年、冷凍機、空調機などからの要求に伴い、これら銅管は益々小径化され、外径がΦ10mm以下のような小径銅管も汎用されるようになっている。そして、これらの小径銅管が、更に拡管加工あるいは縮管加工が施された上で、前記冷凍機、空調機などの配管として組立される場合も増している。
【0004】
しかし、小径銅管に、これら拡管加工あるいは縮管加工を施した場合、銅管加工部分に割れが生じやすくなる。この割れは、拡管率や縮管率が大きいなどの、拡管加工あるいは縮管加工の加工条件が厳しい場合に、特に生じやすくなる。
【0005】
また、この割れの発生は銅管が小径であるほど顕著になる傾向にある。近年では、小径銅管は、銅管の生産性の向上のために、大口径の押出素管を用い、押出素管に対し99% 以上の減面率 (押出素管に対する断面積比) となるような大きな冷間加工度で製造される。このような大きな冷間加工度となる、外径が特にΦ10mm以下の小径製品銅管の場合に、この割れの問題は顕著になる。
【0006】
そして、この割れの問題は、前記仕上げ焼鈍後に、更に抽伸されるか否かを問わず、拡管加工あるいは縮管加工される小径製品銅管の結晶粒が著しく粗大化したり、未再結晶粒 (ファイバー状加工組織) が組織に残留した場合に顕著になる傾向がある。
【0007】
従来から、製品銅管の結晶粒を緻密な再結晶粒とするために、外径がΦ10mm以下のような小径製品銅管を含め、前記冷間圧延後の抽伸の途中で銅管の中間焼鈍を行なうことが知られている (例えば、特許文献1 、2 参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001-96337号公報 (第1 〜5 頁)
【特許文献2】
特開2001-96338号公報 (第1 〜5 頁)
【0009】
また、これら特許文献1 、2 などの中間焼鈍条件よりも、より低温の400 〜600 ℃の温度での中間焼鈍条件も公知である (例えば、特許文献3 参照)。
【0010】
【特許文献3】
特開平11-92898号公報 (第1 〜6 頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1 、2 などの方法は、りん脱酸銅などの純銅を溶解、鋳造後、熱間押出によって素管とする、本発明で前提とする製造方法ではない。これらの製造方法は、りん脱酸銅を溶解後、連続鋳造によって、熱間押出を省略して、直接、外径がΦ36mm程度の比較的小径素管とし、その後抽伸して、外径がΦ10mm以下の小径製品銅管とするものである。
【0012】
このため、上記特許文献1 、2 などの方法では、その小径製品銅管の冷間加工における減面率は連続鋳造管に対して90% を越えることが無い。したがって、外径がΦ90mm以上の大口径の押出素管に対して99% 以上の減面率の大きな冷間加工を施して、外径がΦ10mm以下の小径製品銅管とするような、本発明で前提とする製造方法に比して、冷間加工における加工度は著しく低いものとなる。
【0013】
この結果、上記特許文献1 、2 などのような小径製品銅管の冷間加工度が低い場合の中間焼鈍では、銅管は比較的容易に、微細に再結晶しやすい。
【0014】
しかし、本発明の前提となる製造方法など、冷間加工度を大きくして、外径がΦ10mm以下の小径製品銅管を得るような製造方法では、上記特許文献1 、2 などで好ましいとされる、650 〜880 ℃の中間焼鈍を施すと、却って再結晶粒が粗大化する。この結果、拡管率や縮管率が大きい厳しい加工条件での、前記拡管加工あるいは縮管加工のなどの際に、逆に、割れが生じやすくなる。
【0015】
更に、前記特許文献3 などで公知のより低温での中間焼鈍条件も、その目的はあくまで、前工程で蓄積された加工歪みの除去や、酸化変色部分の還元、銅管内外面に残留する加工油の除去、などの域を出ないものであった。即ち、中間焼鈍条件と、本発明で課題とする前記拡管加工あるいは縮管加工で生じる割れとの関係については、言い換えると、前記拡管加工あるいは縮管加工で生じる割れの解決策については、これまで不明であったのが実情である。
【0016】
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、押出素管に対し99% 以上の大きな減面率の冷間加工を施した、外径がΦ10mm以下の小径銅管であって、拡管率や縮管率が大きい拡管加工あるいは縮管加工の際にも割れが生じにくい、銅管の製造方法を提供しようとするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明銅管の製造方法の要旨は、純銅の押出素管に対し99% 以上の減面率の冷間加工を施して仕上げ焼鈍した外径がΦ10mm以下の小径銅管であって、更に拡管加工あるいは縮管加工が施されて使用される銅管を製造するに際し、前記冷間加工の途中で銅管の中間焼鈍を450 650 ℃の温度で行ない、この中間焼鈍によって銅管をJIS の質別記号でO から1/8Hまでの範囲に調質するとともに、この中間焼鈍後で前記仕上げ焼鈍までの冷間加工における銅管の減面率を前記押出素管に対し10〜95% とすることである。
【0018】
本発明者らの知見によれば、押出素管に対し99% 以上の大きな減面率で冷間加工を施した外径がΦ10mm以下の小径製品銅管を製造する際に、中間焼鈍が施されるまでの銅管の減面率 (加工度) を制限し、更に、銅管をJIS の質別記号でO から1/8Hまでの範囲に調質すべく中間焼鈍してやれば、Φ10mm以下の小径銅管の平均結晶粒径が例え大きくても、あるいは小径銅管の平均結晶粒径によらず、前記割れの問題が解決できることを知見した。
【0019】
本発明条件での中間焼鈍は、特に、拡管率や縮管率が大きいなど、加工条件が厳しい拡管加工あるいは縮管加工の際の小径製品銅管の割れを防止するのに有効である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明が対象とする銅管は、冷凍機、空調機の配管などに汎用されている、直通管、内面溝付き管、外面溝付き管、内外面溝付き管などが主たる対象となる。このため、本発明製造方法では、製造工程自体は、これら銅管の通常の製造方法と同じである。即ち、先ず、主としてりん脱酸銅などの純銅を溶解、鋳造後、熱間押出によって素管とする。この押出素管を、前記中間焼鈍を含む、レデューサ等の冷間圧延、抽伸、引き抜き、延伸、などを適宜組み合わせた冷間加工を行なって、銅管となし、仕上げ焼鈍して製品銅管とする。なお、内面や外面に溝が付いた銅管の場合には、上記冷間加工後、あるいは冷間加工途中に、必要により再度中間焼鈍 (部分焼鈍を含む) が施された上で内面や外面に溝が加工され、その後仕上げ焼鈍して製品銅管とする。製品銅管の形態はコイル状であっても、管状であっても良い。
【0021】
先ず、本発明で用いる純銅は、無酸素銅、タフピッチ銅、脱酸銅などが例示される。ただ、この中でも、冷凍機、空調機の配管などに汎用されているりん脱酸銅が銅管材料として好ましい。りん脱酸銅としては、伸銅品のJIS 規格に化学成分が規定される、C1201 のりん脱酸銅1A種 (P:0.004 〜0.015 質量% 、Cu:99.90質量% 以上) 、1220のりん脱酸銅1B種(P:0.015〜0.040 質量% 、Cu:99.90質量% 以上) 、1221のりん脱酸銅2 種(P:0.004〜0.040 質量% 、Cu:99.75質量% 以上) などが例示される。これらのりん脱酸銅を小径製品銅管のグレードに合わせて、適宜選択して用いる。
【0022】
P は上記含有量範囲で含まれることによって、銅管の集合組織を発達させない効果が有り、前記厳しい加工条件の拡管加工あるいは縮管加工での割れを抑制する効果がある。また、銅合金などは、合金元素が集合組織を発達させるため、前記割れが生じやすくなる。したがって、この点からも、りん脱酸銅を用いることが好ましい。
【0023】
これらの純銅の溶解、鋳造によって、得られる丸棒の銅鋳片は、加熱されて均質化熱処理を受けた後、熱間押出加工によって素管とされる。この押出素管は、銅管製造工程の生産性を高めるために、外径がΦ90mm以上の大口径の押出素管とすることが好ましい。
【0024】
次いで押出素管は、前記中間焼鈍を含む冷間加工される。この際、冷間加工の途中における銅管の中間焼鈍は、この中間焼鈍が施されるまでの銅管の加工度を制約するとともに、この中間焼鈍によって銅管をJIS の質別記号でO から1/8Hまでの範囲に調質することとする。因みに、本発明では、上記中間焼鈍が施されるまでの銅管の加工度を、前記中間焼鈍後で前記仕上げ焼鈍までの冷間加工における銅管の減面率で規定し、押出素管に対し10〜95% の減面率とする。
【0025】
この中間焼鈍後の減面率が10% 未満となって、中間焼鈍が施されるまでの冷間加工における銅管の減面率 (加工度) が、前記押出素管に対して90% を越えた場合、上記条件で中間焼鈍しても、拡管加工あるいは縮管加工での割れが生じやすくなる。即ち、650 ℃以下の比較的低い処理温度での中間焼鈍条件では、銅管組織の微細な再結晶化が進まず、未再結晶粒 (ファイバー状加工組織) が組織に多く残留する。このため、中間焼鈍前の銅管の加工度が高い場合には、中間焼鈍を650 ℃を越える高温で行なう必要がある。しかし、このような高温の処理温度で中間焼鈍を施すと、再結晶粒が著しく粗大化し、小径製品銅管の平均結晶粒径も200 μm を大きく越えて粗大化する。このように200 μm を大きく越えて粗大化した場合は、本発明でも、拡管率や縮管率が大きい拡管加工あるいは縮管加工の際に、割れが生じやすくなる。
【0026】
この冷間加工途中の中間焼鈍によって、銅管を調質する際には、焼鈍後の銅管を、JIS の質別記号でO から1/8Hまでの範囲とする。この質別記号は、拡管率や縮管率が大きい拡管加工あるいは縮管加工の際に、割れが生じない、銅管組織の微細な再結晶化の程度を示している。
【0027】
直接、前記割れが生じない再結晶化の程度を定量化することは、測定方法や精度を含めて、非常に難しい。また、銅管組織の定量化した再結晶化が、一義的に、前記拡管加工時あるいは縮管加工時の割れに対応するとは言い難く、銅管の表面状況などの他の影響因子が関係してくる側面がある。これに対して、上記質別記号は、これら他の因子の影響も包含しているためか、前記割れの傾向と良く対応している。このため、本発明では、上記質別記号により、前記割れが生じない再結晶化の程度を示す。焼鈍後の銅管を、JIS の質別記号で1/8Hを越える、1/4H、1/2Hなどの硬さとした場合には、前記割れが生じやすくなる。
【0028】
焼鈍後の銅管を、JIS の質別記号でO から1/8Hまでの範囲とするためには、上記加工度の銅管であることを前提に、前記した通り、小径製品銅管の平均結晶粒径も200 μm を越えて粗大化させないように、中間焼鈍を450 〜650 ℃の比較的低温で施す。中間焼鈍が低温となった場合には、上記加工度の銅管であることを前提にすると、銅管組織の微細な再結晶化が進まず、未再結晶粒が組織に多く残留して、前記割れを防止できない可能性が高い。
【0029】
中間焼鈍時間は、JIS の質別記号の選択と、この温度範囲から選択される温度とによって、適宜選択される。この中間焼鈍は、不活性ガス雰囲気など、非酸化性雰囲気で行なわれることが好ましい。
【0030】
このような条件で中間焼鈍された銅管を、更に冷間加工し、仕上げ焼鈍までに、最終的に、合計の減面率が、押出素管に対し99% 以上の減面率の冷間加工を施した、外径がΦ10mm以下の小径銅管とする。この小径銅管は、仕上げ焼鈍後、必要により、更に、強度向上のために冷間加工される場合を含めて、小径製品銅管とされる。仕上げ焼鈍自体は、光輝雰囲気下での光輝焼鈍など、常法による条件が選択される。そして、本発明小径製品銅管は、前記冷凍機、空調機などの配管として加工、組立される際に、更に拡管加工あるいは縮管加工が施される。
【0031】
なお、外径がΦ10mmを越えるような大きな外径の銅管や、押出素管に対し99% 未満の減面率の冷間加工を施した銅管の、拡管加工あるいは縮管加工は、比較的容易であり、割れが生じにくく、本発明では対象としない。
【0032】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。C1201 のりん脱酸銅1A種 (P:0.015 % 、Fe:0.002% 、Pb:0.001% 、Ni: <0.001%、Co: <0.001%、Sn: <0.001%、As: <0.001%、Sb: <0.001%、Zn: <0.001%、Cr: <0.001%、Mn: <0.001%、S:<0.001%、Ag: <0.001%、Si: <0.001%、Mg: <0.001%、その他不純物:0.004% 、O:24ppm 、残部Cu:99.90質量% 以上) を溶解、鋳造し、得られた丸棒の銅鋳片 (外径Φ300mm)を熱間押出温度に加熱後、熱間押出加工して、外径Φ94mm、肉厚10mmの押出素管を得た。この押出素管を、レデューサにて冷間圧延後、抽伸機で抽伸し、その後銅管の中間焼鈍を行なった。中間焼鈍後、更に抽伸機で抽伸後、450 ℃の温度で2 時間光輝仕上げ焼鈍して、仕上げ焼鈍までの段階で押出素管に対し99% 以上の減面率の冷間加工 (抽伸) を施した、外径Φ6.4mm 、肉厚0.8mm の小径製品銅管を製造した。
【0033】
そして、この小径製品銅管に、更に強度を得るための抽伸加工を施し、試験評価用の外径Φ6.35mm、肉厚0.8mm の小径製品銅管とした。なお、この仕上げ焼鈍後の抽伸加工を加えると、各例とも、最終的な減面率は約99.5% 程度となり、引張強度は約340MPa程度であった。なお、引張試験はJIS Z 2201にしたがって行うとともに、試験片形状はJIS 5 号試験片で行い、試験片長手方向が抽伸方向と一致するように作製した。したがって、各銅管の引張強さ (σB ) は抽伸方向に平行なL 方向の測定とした。また、クロスヘッド速度は5mm/分で、試験片が破断するまで一定の速度で行った。
【0034】
ここで、中間焼鈍を施さない比較例銅管 (表1 の比較例5)も製造したが、この比較例銅管も、仕上げ焼鈍までの段階で、他の例と同様に、押出素管に対し99.5% の減面率の抽伸を施した。
【0035】
この際、中間焼鈍が施されるまでの銅管の減面率 (押出素管に対する断面積比、%)、中間焼鈍温度、中間焼鈍後の銅管の調質度を変化させた。これらの条件を表1 に示す。但し、中間焼鈍が施されるまでの銅管の減面率は、中間焼鈍後仕上げ焼鈍までの減面率で記載している。なお、各例とも、仕上げ焼鈍までの段階での合計の減面率をほぼ同じとするために、中間焼鈍後の抽伸における減面率を各々変えている。
【0036】
これら得られた試験評価用の外径Φ6.35mm、肉厚0.8mm の小径製品銅管を、更に拡管加工した際の割れ発生度を求めた。また、これら小径製品銅管の平均結晶粒径は各例とも200 μm 以下であった。なお、平均結晶粒径は銅管の抽伸(L) 方向の結晶粒の平均径とした。より具体的には、銅管を0.05〜0.1mm 機械研磨した後電解エッチングした表面を光学顕微鏡を用いて平均結晶粒径を観察し、前記L 方向に、ラインインターセプト法で測定する。1 測定ライン長さは0.95mmとし、1 視野当たり各3 本で合計5 視野を観察することにより、全測定ライン長さを0.95×15mmとした。
【0037】
銅管を拡管加工した際の割れ発生度は、各例とも、長手方向にランダムに採取した10本の試験用銅管の各管端部にマンドレルを挿入して、拡管率200%で各管端部を拡管加工した際の、各管端部における割れ発生状況によって評価した。各例とも、試験銅管の内、1 本でも管端部に割れが発生している場合を×、1 本でも管端部に割れの前段階としての肌荒れが発生している (割れが発生する可能性がある) 場合を△、10本とも管端部に割れも肌荒れも発生していない場合を○、として評価した。これらの結果も表1 に示す。
【0038】
表1 のように、発明例1 〜4 は、冷間圧延後の抽伸の途中で銅管の中間焼鈍を行ない、この中間焼鈍によって銅管をJIS の質別記号でO から1/8Hまでの範囲に調質し、この中間焼鈍後から仕上げ焼鈍までの銅管の減面率を押出素管に対し10〜95% の減面率とすることで、中間焼鈍が施されるまでの銅管の減面率を制御している。この上で、押出素管に対し99% 以上の減面率の冷間加工を施した外径Φ10mm以下の小径製品銅管を製造している。
【0039】
このような発明例1 〜4 は、表1 から明らかな通り、前記拡管加工試験においても、銅管に割れが生じず、拡管性に優れていることが分かる。この結果から、同程度の減面率である縮管加工においても割れが発生しないことが予想でき、縮管性にも優れていると言うことができる。
【0040】
これに対して、上記中間焼鈍を施さない、言わば従来例に相当する比較例5 は前記拡管加工試験において割れが生じている。
【0041】
また、中間焼鈍後から仕上げ焼鈍までの銅管の減面率を押出素管に対し93% の減面率とし、中間焼鈍が施されるまでの銅管の減面率を発明例と同じく適正に制御した比較例6 は、中間焼鈍温度が400 ℃と低過ぎ、中間焼鈍による銅管の質別記号が1/4 となっており、前記拡管加工試験において割れが生じている。
【0042】
更に、中間焼鈍後から仕上げ焼鈍までの銅管の減面率が99.0% と高過ぎ、中間焼鈍が施されるまでの銅管の減面率が低過ぎる比較例7 は、550 ℃の中間焼鈍条件として、中間焼鈍による銅管の質別記号がO であっても、前記拡管加工試験において割れが生じている。
【0043】
また、中間焼鈍後から仕上げ焼鈍までの銅管の減面率が5.0%と低過ぎ、中間焼鈍が施されるまでの銅管の減面率が高過ぎる比較例8 は、630 ℃の中間焼鈍条件として、中間焼鈍による銅管の質別記号がO であっても、前記拡管加工試験において割れが生じている。
【0044】
したがって、これらの実施例から、中間焼鈍、中間焼鈍による銅管の質別記号、中間焼鈍後の銅管の減面率などの本発明の各要件の臨界的な意義が分かる。
【0045】
【表1】
Figure 0004150585
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、押出素管に対し99% 以上の大きな減面率の冷間加工を施した、外径がΦ10mm以下の小径銅管であって、拡管率や縮管率が大きい厳しい加工条件の拡管加工あるいは縮管加工などの際に割れが生じにくい、銅管の製造方法を提供することができる。したがって、銅管の前記拡管加工用途あるいは縮管加工用途への拡大を図ることができる点で、多大な工業的な価値を有するものである。

Claims (2)

  1. 純銅の押出素管に対し99% 以上の減面率の冷間加工を施して仕上げ焼鈍した外径がΦ10mm以下の小径銅管であって、更に拡管加工あるいは縮管加工が施されて使用される銅管を製造するに際し、前記冷間加工の途中で銅管の中間焼鈍を450 650 ℃の温度で行ない、この中間焼鈍によって銅管をJIS の質別記号でO から1/8Hまでの範囲に調質するとともに、この中間焼鈍後で前記仕上げ焼鈍までの冷間加工における銅管の減面率を前記押出素管に対し10〜95% とすることを特徴とする銅管の製造方法。
  2. 前記純銅がりん脱酸銅である請求項1に記載の銅管の製造方法。
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