JP4149853B2 - 3次元計測装置及び3次元計測方法 - Google Patents

3次元計測装置及び3次元計測方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4149853B2
JP4149853B2 JP2003157177A JP2003157177A JP4149853B2 JP 4149853 B2 JP4149853 B2 JP 4149853B2 JP 2003157177 A JP2003157177 A JP 2003157177A JP 2003157177 A JP2003157177 A JP 2003157177A JP 4149853 B2 JP4149853 B2 JP 4149853B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
measured
grating
light
types
moire
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003157177A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004361142A (ja
Inventor
久利 藤原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Azbil Corp
Original Assignee
Azbil Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Azbil Corp filed Critical Azbil Corp
Priority to JP2003157177A priority Critical patent/JP4149853B2/ja
Publication of JP2004361142A publication Critical patent/JP2004361142A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4149853B2 publication Critical patent/JP4149853B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Length Measuring Devices By Optical Means (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モアレトポグラフィを用いた3次元計測装置及び3次元計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な工業部品等の非接触の3次元計測装置として、安価、且つ高精度な計測結果を得られる光切断法が最も頻繁に使用されている。しかし、光切断法は2次元的な走査を行うために、撮像時間が長くなる。そのため、生体のような被計測物体を固定することが難しい計測には向かない。また、光切断法の装置は目に対して有害なレーザ光線を使用するため、美容分野において主な計測部位となる生体顔面部に使用するには問題がある。そこで、生体に対して無害な白色光源を用いて高速、且つ高精度に計測を行えるモアレトポグラフィが注目されている。モアレトポグラフィは、モアレ縞によって対象物体の等高線画像を得る非接触の3次元計測法である。
【0003】
モアレトポグラフィには、モアレ縞を利用した位相シフト法(縞走査法)方法がある。モアレ縞は規則的な模様を重ねる、又は、標本化することで3次元計測をすることができる。例えば、直線格子の影が対象物に投影されると、格子線の影は物体の形状に応じて変形する。物体上の影と直線格子を重ね合わせることで、影と直線格子との干渉によるモアレ縞が観測される。光学系を適宜配置することにより、モアレ縞は物体の等高線に対応した画像となる。
3次元計測技術としてのモアレトポグラフィは、工学、医学、歯学及びファッション関係等の分野で利用されている。モアレトポグラフィによる形状計測には、大別して2つの方法がある。被計測物体の直前に格子を置き、格子の影と直前に置いた格子によりモアレ縞を発生させる方法(格子照射型)と、モアレ格子を被計測物体に投射し、被計測物体の形状により変化した格子の像を、結像レンズにより同じピッチの格子上に結像してモアレ縞を発生させる方法(格子投射型)である。格子照射型は、数10μm程度から数cmの凹凸までの計測に適用される。また、格子投射型は、比較的大きな凹凸(数mm〜数cm)の被計測物体を計測するときに適用される。また、モアレトポグラフィの光源は、モアレ縞の縞間隔Δhを計測位置により一意的に決定するために単一で計測される。
【0004】
従来の3次元計測は、位相シフト法による計測において、位相導出を行う際の位相連結の問題を逆正接関数により解決している。(例えば、特許文献1参照。)。また、モアレ縞を形成する格子からの反射を格子の角度を調整し、且つ偏向子を回転することにより、被測定物体からの反射光と基板からの反射回折光を区別して測定しているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
ここで、単一の光源で、干渉光の波長、即ちモアレ縞の縞間隔Δhより大きい高さA−Bを有する被計測物体の3次元計測をモアレ法によって計測する場合を考えてみる。図11(a)に示すように、被計測物体52aの形状がA−B間で線型な変化している場合は、干渉光の波長より大きい高さA−Bを有していても、形状変化に相当したモアレ縞が形成される。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−124534号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平7−332956号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図11(b)に示す被計測物体52bの形状のように、高さ方向の距離A−Bが干渉光の波長(モアレ縞の縞間隔Δh)より大きく、且つその変化が不連続である場合、高さA−Bに波長の整数倍の任意性が発生する。結果として、図11(a)と図11(b)では、被計測物体52a,52bの形状が異なるのに、全く同じモアレ縞を形成してしまうことがありうる。このため、高さA−Bが干渉光の波長より大きい場合は、被計測物体の形状を正確に計測をすることができない。
【0009】
微細な被計測物体の計測を目的とする場合、格子のピッチpを小さくすれば良い。しかし、格子のピッチpを小さくすると、モアレ縞の縞間隔Δhも小さくなるので、モアレ縞の縞間隔Δhよりも大きな高さを有する被計測物体の計測が不正確になる。逆に、高さ方向に距離の大きい被計測物体に対応するために、格子のピッチpを大きくしてΔhを大きくすると、微細な構造の被計測物体の計測を正確に行えなくなってしまう。
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、モアレ法に位相シフト法を組合わせた3次元計測で、微細な構造の被計測物体の測定を可能とし、且つモアレ縞の縞間隔Δhよりも高さが大きい任意の被計測物体でも正確な計測を行うことが可能な3次元計測装置及び3次元計測方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1の特徴は、(イ)Y軸方向に延びるスリットを一定のピッチでX−Y平面に配列した格子と、(ロ)被計測物体に対して、X−Y平面からなる格子の面をX−Y平面に直交するZ軸方向に移動させる格子位置制御部と、(ハ)Z軸方向の光強度の変化がそれぞれ互いに縞間隔の異なる2種類の正弦波で示される、被計測物体の2種類のモアレ縞を同時に形成するように格子に平行光を照射する照射系と、(ニ)格子を介して2種類のモアレ縞を取り込む第1及び第2受光部と、(ホ)第1及び第2受光部から得られた2種類の正弦波を加算し合成波を形成し、この合成波の包絡線の振幅の変化から、被計測物体のZ軸方向に測った高さを算出する画像処理部とを備える3次元計測装置であることを要旨とする。
【0012】
本発明の第2の特徴は、(イ)被計測物体に対して、Y軸方向に延びるスリットを一定のピッチでX−Y平面に配列した格子の面をX−Y平面に直交するZ軸方向に移動させるステップと、(ロ)Z軸方向の光強度の変化がそれぞれ互いに縞間隔の異なる2種類の正弦波で示される2種類のモアレ縞が同時に形成されるように、格子に平行光を照射するステップと、(ハ)格子を介して形成された被計測物体の2種類のモアレ縞の画像を取り込むステップと、(ニ)2種類の正弦波を加算し合成波を形成し、この合成波の包絡線の振幅の変化から、被計測物体のZ軸方向に測った高さを算出するステップとを含む3次元計測方法であることを要旨とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明の第1〜第3実施の形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0014】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る3次元計測装置は、図1及び図2に示すように、Y軸方向に延びるスリットを一定のピッチでX−Y平面に配列した格子30と、(ロ)被計測物体50に対して、X−Y平面からなる格子30の面をX−Y平面に直交するZ軸方向に移動させる格子位置制御部4と、(ハ)それぞれ互いに空間周波数の異なる2種類の正弦波で示される、被計測物体50の2種類のモアレ縞を同時に形成するように格子30に平行光を照射する照射系(1a,1b)と、(ニ)格子30を介して2種類のモアレ縞を取り込む第1受光部2a及び第2受光部2bと、(ホ)第1受光部2a及び第2受光部2bから得られた2種類の正弦波を加算し合成波を形成し、この合成波の包絡線の振幅の変化から、被計測物体50のZ軸方向に測った高さを算出する画像処理部60とを備える3次元計測装置とを備える。格子30は、Y軸方向に延びるスリットを一定のピッチpでX−Y平面に配列している。
【0015】
図2に示す第1照射系1aは、図1に示す第1光源10aと、第1光源10aから照射した照明光を平行光に変換する第1コリメータレンズ11aとを備える。そして、図2に示す第1受光部2aは、図1に示す第1受光レンズ21aと、第1受光レンズ21aにより集光された光を更に絞り込む第1ピンホール板22aと、第1のモアレ縞の画像を取り込む第1イメージセンサ20aとを備える。第1ピンホール板22aを備えることにより、第1受光部2aはテレセントリックレンズを構成している。第1受光部2aは、格子30を通って被計測物体50の被計測面で反射した格子30の像と格子30との重ね合わせにより形成される第1のモアレ縞の画像を受光する。即ち、第1受光部2aは、第1照射系1aから照射される平行光により形成される被計測物体50の第1のモアレ縞の画像を取り込む。
【0016】
一方、図2に示す第2照射系1bは、第1照射系1aと同様に、図1に示す第2光源10bと、第2光源10bから照射した照明光を平行光に変換する第2コリメータレンズ11bとを備える。図2に示す第2受光部2bは、第2受光レンズ21bと、第2受光レンズ21bにより集光された光を更に絞り込む第2ピンホール板22bと、第2のモアレ縞の画像を取り込む第2イメージセンサ20bとを備える。第2ピンホール板22bを備えることにより、第2受光部2bはテレセントリックレンズを構成している。第2受光部2bは、格子30を通って被計測物体50の被計測面で反射した格子30の像と格子30との重ね合わせにより形成される第2のモアレ縞の画像を集光する。即ち、第2受光部2bは、第2照射系bから照射される平行光により形成される被計測物体50の第2のモアレ縞の画像を取り込む。
【0017】
第1照射系1aと第2照射系1bとは格子30に対して照射する平行光の入射角が互いに異なる。第1照射系1a及び第2照射系1bとが、格子30にそれぞれ入射角の異なる平行光を照射することで、縞間隔Δhが違う2種類の被計測物体50のモアレ縞を形成する。図2に示すように、第1照射系1a及び第2照射系1bには、第1光源10a及び第2光源10bの光強度を調整する光源駆動回路70が接続されている。
【0018】
縞間隔Δhは、平行光の格子30に対する入射角をθとし、格子30の一定のスリット間隔をpとすると、
Δh=p/2tanθ ・・・・・(1)
で表される。縞間隔Δhは、式(1)に示すように、平行光の格子30に対する入射角θに依存する。例えば、第1照射系1aと第2照射系1bから照射した平行光が格子30に入射し、それぞれの入射角をθ,θとする。そして、入射角θが入射角θより大きい場合(θ>θ)、式(1)より、
p/tanθ < p/tanθ ・・・・(2)
となる。入射角θのときの縞間隔をΔhとし、入射角θのときの縞間隔をΔhとすると、式(2)はΔh<Δhと表すことができる。つまり、平行光の入射角が異なると、異なる縞間隔Δhのモアレ縞を得ることができる。即ち、空間周波数の異なる2種類の被計測物体のモアレ縞が得られる。
【0019】
入射角θの第1照射系1aのモアレ縞から得られる光強度をIとし、入射角θの第2照射系1bのモアレ縞から得られる光強度をIとすると、
【数1】
1=A1cos(2πz/Δh)+B1 ・・・・・(3)
2=A2cos(2πz/Δh2)+B2 ・・・・・(4)
と表すことが可能である。図3の下段及び中段には、縞間隔の異なる2種類の正弦波I1及びI2を示した。即ち、空間周波数の異なる2種類の被計測物体のモアレ縞が得られる。図3の下段及び中段では、縦軸にモアレ縞の光強度を、横軸に格子30から計測点までの距離を表している。図3において、Iは、第1照射系1aから照射する平行光により形成される第1の干渉光(モアレ縞)の光強度I、I2は第2照射系1bから照射される平行光により形成される第2の干渉光(モアレ縞)の光強度I2を示す波形である。式(3)及び(4)で示したモアレ縞を加算すると、
【数2】
1+I2=2A12cos(πzH 2)cos(πzH+ 2)+B1+B2
・・・・・(5)
ここで
+ 2=(1/Δh)+(1/Δh2) ・・・・・(6)
である。式(5)は2種類のモアレ縞I1及びI2のビート信号を意味する。
【0020】
【数3】
φ=πzH 2 ・・・・・(7)
φ+=πzH+ 2 ・・・・・(8)
とすれば、式(5)は、
【数4】
1+I2=2A12cos(φ)cos(φ+)+B1+B2 ・・・・(9)
と表される。したがって、図3の最上段に示すように、I1+I2の包絡線の振幅は、2A12cos(φ)の関数で変化するので、0<φ<πの範囲で単調減少関数となる。ここで、
ξm=(Δh2−Δh)/(Δh+Δh2) ・・・・・(10)
を定義し、式(9)において、(1/Δh)と(1/Δh2)との平均の逆数を4で割った値を用いると、
【数5】
a=2A12cos(φ)cos(φ+)+B1+B2 ・・・・・(11)
b=2A12cos(φ+(π/2)ξm)cos(φ++(π/2))+B1+B2 ・・・・・(12)
c=2A12cos(φ+πξm)cos(φ++π)+B1+B2 ・・・・・(13)
d=2A12cos(φ+(3π/2)ξm)cos(φ++(3π/2))+B1+B2 ・・・・・(14)
となる。式(11)〜(14)において、(Δh2−Δh)≪(Δh+Δh2)となるように、第1照射系1a及び第2照射系1bのそれぞれの入射角θ及びθを選定すれば、ξm=0と近似できる。そこで、
*=cos(φ) ・・・・・(15)
とすれば、式(11)〜(14)は、それぞれ、
【数6】
a=2A12*cos(φ+)+B1+B2 ・・・・・(16)
b=2A12*cos(φ++(π/2))+B1+B2
=2A12*sin(φ+)+B1+B2 ・・・・・(17)
c=2A12*cos(φ++π)+B1+B2 ・・・・・(18)
d=2A12*cos(φ++(3π/2))+B1+B2
=2A12*sin(φ+)+B1+B2 ・・・・・(19)
となる。合成波の包絡線の振幅2A12*は、コサイン関数A*=cos(φ)に従って変化するが、式(16)〜(19)から、
【数7】
*=((Ia−Ic2+(Ib−Id21/2/(4A12) ・・・・・(20)
であることが分かる。式(20)は、合成波の包絡線の振幅2A12*を規定するコサイン関数A*=cos(φ)の位相φを求めることにより、より大きな段差の測定ができることを意味する。
【0021】
式(20)の右辺のA1及びA2は、第1照射系1aの位相α1(0<|α1|<π)が異なる5枚のモアレ縞、及び第2照射系1bの位相α2(0<|α2|<π)が異なる5枚のモアレ縞からそれぞれ求めることができる。ここで、
α1・Δh=α2・Δh2 ・・・・・(21)
の関係がある。例えば、図4に示すように位相α1で異なる5枚の像を、第1照射系1a及び第2照射系1bのそれぞれで撮像するとする。実際には、位相シフト法により得られるモアレ縞の成分がノイズの大きな画像である場合、計測誤差が大きくなってしまう。そこで、同じ位相α1でのモアレ縞の画像を複数回取り込み平均化することで計測誤差が起こりにくいようする。即ち、第1照射系1aでは、
ψ1=2πz/Δh ・・・・・(22)
とすると、
【数8】
1a=A1cos(ψ1−2α1)+B1 ・・・・・(23)
1b=A1cos(ψ1−α1)+B1 ・・・・・(24)
1c=A1cos(ψ1)+B1 ・・・・・(25)
1d=A1cos(ψ1+α1)+B1 ・・・・・(26)
1e=A1cos(ψ1+2α1)+B1 ・・・・・(27)
の5枚の像が撮像され、これから
【数9】
1=(1/2)((I1d−I1b2/sin2α1+(2I1c−I1e−I1a2/(1−cos2α121/2 ・・・・・(28)
が求められる。同様に、
【数10】
2=(1/2)((I2d−I2b2/sin2α1+(2I2c−I2e−I2a2/(1−cos2α121/2 ・・・・・(29)
が求められる。第1照射系1aの位相ψ1は、
【数11】
ψ1=tan-1((1−cos2α1)(I1b−I1d)/(sinα1(2I1c−I1e−I1a))) ・・・・・(30)
が求められる。同様に、第2照射系1bの位相ψ2は、
ψ2=2πz/Δh2 ・・・・・(31)
とすると、
【数12】
ψ2=tan-1((1−cos2α2)(I2b−I2d)/(sinα2(2I2c−I21e−I2a))) ・・・・・(32)
となる。図5に、合成波の包絡線の振幅2A12*を規定するコサイン関数A*=cos(φ)の位相φと、式(30)が表す第1照射系1aにより形成される5枚の像から得られる第1の干渉光(モアレ縞)の光強度Iの位相ψ1を示す。
【0022】
式(16)〜(19)に示す合成波の包絡線の振幅2A12*を規定するコサイン関数A*=cos(φ)の位相φの変化と高さ方向の距離zとは互いに相関するので、振幅2A12*を規定するコサイン関数A*=cos(φ)の位相φの変化が分かることで、不連続な高さ方向の変化を有する被計測物体50に対する計測でも、正確な高さを得ることができる。
【0023】
但し、式(20)が示すコサイン関数A*=cos(φ)の位相φは、ξm=0の近似を用いているので、多少ムラが認められる。しかし、式(30)が表す光強度Iの位相ψ1が、図5に示すように不連続に跳んでも、振幅2A12*の位相φは連続であるので、より大きな高さの測定が可能になる。例えば、単一の照射系による計測では、図11(b)のような不連続な形状の場合、A点とB点の高さ間にモアレ縞の縞間隔Δhがいくつ入っているのか不明である。しかし、図5に示す合成波の包絡線の振幅2A12*の位相φと光強度Iの位相ψ1から、その高さを正確に求めることができる。
【0024】
図5に示すように、合成波の包絡線の振幅2A12*の位相φは、0〜πの間で単調増加であるため、Δh2とΔhの差が小さいほど単調増加の区間が長くなり、より大きな段差まで測定が可能となる。測定できる最大段差zmaxは、式(8)のH 2を用いると、
0 < zmax < 1/H 2 ・・・・・(37)
である。また、Δh2とΔhの差が大きくなりすぎると式(11)〜(14)中のξmによる誤差が大きくなり、合成波の包絡線の振幅2A12*の位相φが単調増加しなくなる。しかし、Δh2−Δh≦Δh2/2の範囲であれば、光強度Iの位相ψ1の不連続点での振幅位相φの値はzの増加に対して増加しているため、問題にはならない。
【0025】
図6は、鏡面状の物体(20mm角)を測定した結果を示す。本発明を使用して形状測定した結果は、図6(a)に示すようになるが、位相とびを考慮しない形状測定結果は、図6(b)に示すように、段差がでてしまう。
【0026】
図2に示す格子位置制御部4は、移動機構41と、この移動機構41を駆動する駆動部(ステージコントローラ)42とを備え、制御システム43から制御信号等を供給され位置移動を制御される。即ち、制御システム43は、駆動部42に制御信号等を供給し、移動機構41の動作を制御する。移動機構41は、ステップモータ等の駆動部42により駆動させられる。図示を省略しているが、移動機構41の移動位置は、例えばレーザ干渉計等により測定され、制御装置61にフィードバックされる。或いは位置変化に伴うインダクタンスを測定し電磁制御して、位置制御しても良い。制御システム43は、画像処理部60と、画像処理部60に接続された制御装置61を備える。格子位置制御部4は、格子30の面を水平に保ち、被計測物体50に対して格子30をX−Y平面に直交するZ軸方向に移動させる。
【0027】
画像処理部60は、2種類の正弦波I1及びI2の相互演算をして、合成波の包絡線の振幅2A12*を規定するコサイン関数A*=cos(φ)の位相φ(式(20))と、式(30)が表す第1照射系1aから照射する平行光により形成される5枚の像から得られる第1の干渉光(モアレ縞)の光強度Iの位相ψ1から、計測物体の高さを算出する。即ち、画像処理部60は、第1受光部2a及び第2受光部2bに取り込まれたモアレ縞の画像データである2種類の正弦波I1及びI2を式(11)〜(14)のように、加算し、2次的信号として、式(20)及び(30)を得て、これらの2次的信号に基づき高さ方向の距離が大きい被計測物体50の3次元計測データを取得、且つ保存する機能を備える。このため画像処理部60は、出力側を制御ボード62に接続し、入力側を画像取り込みボード63にそれぞれ接続したマイクロプロセッサ若しくはパーソナルコンピュータで校正すれば良い。
【0028】
図示を省略しているが、画像処理部60は、更に、横分解能を求めるための横分解能計測手段(モジュール)及び等高線の縞間隔Δhを求めるためのΔh計測手段(モジュール)を備える。また、画像処理部60は、位相アンラップ法の設定手段(モジュール)、位相アンラップ開始点の設定手段(モジュール)、平均化回数の設定手段(モジュール)、計測面の傾きを補正するための任意の領域の設定手段(モジュール)、被計測物体50が存在しない場所を自動的に検出してその場所のデータを削除する設定手段(不良点抽出設定手段)、及び、不良点を抽出するための閾値設定手段(モジュール)等を更に備える。平均化回数の設定手段(モジュール)は、上述したように、同じ位相α1,α2でのモアレ縞の画像を複数回取り込み平均化することで計測誤差が起こりにくいようにするときの画像取り込み回数を設定する。これらの計測手段及び設定手段に基づき、画像処理部60は、計測したモアレ縞の画像から、被計測物体50の3次元の画像データを取得、且つ保存する機能を有する。
【0029】
制御装置61は、入力側が画像処理部60に、出力側が光源駆動回路70、駆動部42、第1イメージセンサ20a及び第2イメージセンサ20b及び移動手段(ステージ)80にそれぞれ接続された制御ボード62と、入力側が第1イメージセンサ20a及び第2イメージセンサ20bに、出力側が画像処理部60にそれぞれ接続された画像取り込みボード63とを備える。
【0030】
図7に示すフローチャートを参照して、以下に、本発明の第1の実施の形態に係る3次元計測方法を説明する。
【0031】
(イ)先ず、3次元計測に用いる格子30、被計測物体50等を用意する。そして、ステップS100において、被計測物体50を移動手段(ステージ)80に載置する。ここで、画像処理部60から制御信号CSが出力され、制御ボード62に入力される。そして、制御ボード62からシフト信号SSが出力され、移動手段(ステージ)80に入力される。入力されたシフト信号SSによって、移動手段(ステージ)80に載置された被計測物体50がモアレ縞の計測を行うのに好適な箇所まで移動される。
【0032】
(ロ)次に、制御ボード62から輝度信号LCが出力され、光源駆動回路70に入力される。輝度信号LCは、第1光源10a及び第2光源10bから照射される光の光強度をそれぞれ調整するための信号である。ステップS110において、被計測物体50の個々に違う反射率を考慮し、第1光源10a及び第2光源10bから照射される光が、輝度信号LCにより最適な光強度に調整される。
【0033】
(ハ)次に、ステップS120において、3次元計測を行う計測環境(測定条件)が画像処理部60に設定される。ステップS120における画像処理部60にする測定条件の設定は、位相アンラップ法の設定、位相アンラップ開始点の設定、平均化回数の設定、計測面の傾きを補正するための任意の領域の設定、被計測物体50が存在しない場所を自動的に検出してその場所のデータを削除する設定(不良点抽出設定)、及び、不良点を抽出するための閾値設定等である。
【0034】
(ニ)次に、ステップS130において、測定とデータの取り込みがなされる。先ず、ステップS131において、制御ボード62から格子位置制御信号が出力され、図1に示した格子位置制御部(駆動部)4に入力される。格子位置制御信号を入力された格子位置制御部(駆動部)4は、被計測物体50に対して、格子30をZ軸方向に移動させる。ここで、格子30は、Y軸方向に延びるスリットを一定のピッチでX−Y平面に配列している。ステップS131において、格子30の面をX−Y平面に直交するZ軸方向に移動させながら、ステップS132において、第1光源10a及び第2光源10bから照射光が照射され、それぞれ第1コリメータレンズ11a及び第2コリメータレンズ11bに入射する。第1コリメータレンズ11a及び第2コリメータレンズ11bに入射した光は、平行光となり格子30に入射する。格子30に照射された平行光のうち、格子30のスリットを通った平行光によって、被計測物体50の上方に2種類のモアレ縞I1及びI2が形成される。形成されたそれぞれのモアレ縞I1及びI2は、第1照射系1a及び第2照射系1bから異なる入射角θ,θの平行光によって形成されるので縞間隔Δh,Δhを異にする。モアレ縞の縞間隔Δh,Δhが違うということは、モアレ縞は各々違う正弦波I1及びI2の空間周波数を有するということである。更に、ステップS133において、制御ボード62からシャッター信号FC,FCが位相2α1,α1,0,−α1,−2α1;2α2,α2,0,−α2,−2α2で出力され、第1イメージセンサ20a及び第2イメージセンサ20bにそれぞれ入力される。第1イメージセンサ20a及び第2イメージセンサ20bにそれぞれシャッター信号FC,FCが入力されると、第1イメージセンサ20a及び第2イメージセンサ20bのシャッターを位相2α1,α1,0,−α1,−2α1;2α2,α2,0,−α2,−2α2で開き、第1受光レンズ21a及び第2受光レンズ21bと第1ピンホール板22a及び第2ピンホール板22bで集光された被計測物体50に生じるモアレ縞の画像が5枚、それぞれ取り込まれる。一方、制御ボード62からステージ制御信号PSが出力され、駆動部42に入力される。ステージ制御信号PSを入力された駆動部42は、移動機構41を制御し、駆動することができる。現実には、ステップS130において、ステップS131、S132,S133が同時に実施される。
【0035】
(ホ)ステップS140においては、ステップS130において取り込まれたデータの解析がなされる。先ず、ステップS141において、モアレ縞の画像は第1イメージセンサ20a及び第2イメージセンサ20bからそれぞれ5枚分ずつ、画像アナログ信号GA,GAとして出力され、両者の和がそれぞれ算出される。ステップS141において算出された画像アナログ信号GA,GAの和から、ステップS142において、合成波の包絡線の振幅2A12*の位相相φと光強度Iの位相ψ1が、求められる。そして、ステップS143において、合成波の包絡線の振幅2A12*の位相φと光強度Iの位相ψ1から、3次元計測データとして詳細な高さzのデータが算出される。
【0036】
(ヘ)ステップS150においては、画像信号の処理がなされる。具体的には、ステップS151において、画像取り込みボード63に入力された画像アナログ信号GA,GAは、デジタル信号化され、画像デジタル信号として出力される。ステップS152においては、画像処理部60に画像デジタル信号が入力され、画像処理部60において、画像処理がなされ、3次元画像のデータが得られる。
【0037】
(ト)そして、ステップS150において、3次元画像のデータが、記憶装置に保存される。最後に、ステップS160において、3次元画像のデータが、画像表示装置に表示される。
【0038】
本発明の第1の実施の形態に係る3次元計測装置及び3次元計測方法によれば、モアレ法に位相シフト法を組合わせた3次元計測で、微細な構造の被計測物体50の測定を可能とし、且つ高さ方向に距離が大きい被計測物体50でも正確な計測を行うことができる。
【0039】
(第2の実施の形態)
図1においては第1照射系1a及び第2照射系1bの2つ照射系を用いて、それぞれ互いに空間周波数の異なる2種類の正弦波で示される2種類のモアレ縞を同時に形成した。本発明の第2の実施の形態に係る3次元計測装置及び3次元計測方法においては、図8に示すように、光源10と、光源10から照射した照明光を平行光に変換するコリメータレンズ11とからなる単一の照射系を備えている。単一の照射系から照射された平行光が、格子30に入射したときに図8に示すように生じる次数の異なる複数の回折光を利用することにより、被計測物体50からの複数のモアレ縞を同時に形成している。
【0040】
第2の実施の形態に係る3次元計測装置では、被計測物体50の表面が、鏡面状で正反射成分が支配的である測定対象のみ利用できる。図8に示すように、コリメータレンズ11から照射された平行光が、投影側の格子30で回折を起こし、被計測物体50の表面に入射する。被計測物体50の表面で正反射された光はまた格子30を通過することにより、回折を受けてそれぞれ同じ次数の回折光同士がモアレを作る。それを受光レンズ21cでフーリエ変換し、特定の次数のモアレだけを取り出す。回折の次数によって被計測物体50の表面への入射角(=反射角)が違うので、モアレの等高線間隔が次数によって結象位置が異なる現象を利用しているのである。
【0041】
即ち、受光レンズ21cでフーリエ変換した光は、0次、1次、2次、・・・・・の回折成分を有するので、複数の回折成分の内から、受光系で生じる次数の異なる2つの回折光を選択することにより、被計測物体50の2種類のモアレ縞I1及びI2を同時に形成可能である。
【0042】
2種類の正弦波I1及びI2を合成して、合成波の包絡線の振幅2A12*を規定するコサイン関数A*=cos(φ)の位相φ(式(20))と、単一の照射系(10,11)により形成される5枚の像から得られる干渉光(モアレ縞)の光強度の位相から、被計測物体50の高さを算出する等の処理は、第1の実施の形態に係る3次元計測装置及び3次元計測方法と同様であり、重複した説明を省略する。
【0043】
このように、被計測物体50の表面が、鏡面状で正反射成分が支配的である場合でも、光学系における回折光を利用することにより、第1の実施の形態と同様に、異なる2種類の縞間隔Δh,Δhを有するモアレ縞を形成できるので、不連続に高さが急変し、且つモアレ縞のピッチよりも大きな高さを有する被計測物体50の高さであっても正確に測定できる。且つ、微細な構造の被計測物体50の測定も同時に可能である。
【0044】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る3次元計測装置及び3次元計測方法においては、図9に示すように、光源10と、光源10から照射した照明光を平行光に変換するコリメータレンズ11とからなる単一の照射系を備えている点では、図8に示した第2の実施の形態と同様である。
【0045】
第3の実施の形態に係る3次元計測装置の構成は、被計測物体50の表面の表面が粗面(例えばセラミック基板のような)の場合に利用できる。被計測物体50の表面が、粗面の場合は、被計測物体50の表面において、図9に示すような拡散反射をするため、結像部の角度が正反射角でなくてもモアレを形成することができる。しかし、被計測物体50の表面が鏡面の場合は正反射成分が支配的になるため、この方法は難しい。
【0046】
この場合も、2種類の正弦波I1及びI2を合成して、合成波の包絡線の振幅2A12*を規定するコサイン関数A*=cos(φ)の位相φ(式(20))と、単一の照射系(10,11)により形成される5枚の像から得られる干渉光(モアレ縞)の光強度の位相から、計測物体50の高さを算出する等の処理は、第1の実施の形態に係る3次元計測装置及び3次元計測方法と同様である。
【0047】
図9に示す粗面における拡散反射を利用することでも、第1の実施の形態と同様に、異なる2種類の縞間隔Δh,Δhを有するモアレ縞を形成できるので、不連続に高さが急変し、且つモアレ縞のピッチよりも大きな高さを有する被計測物体50の高さであっても正確に測定できる。且つ、微細な構造の被計測物体50の測定も同時に可能である。
【0048】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1〜第3の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。
【0049】
例えば、第1の実施の形態では、式(3)及び(4)で示したモアレ縞を加算し、式(5)を導いた。しかし、式(3)及び(4)で示したモアレ縞の位相の差Δφ=φ1−φ2を用いる方法も可能である。即ち、入射角θの第1照射系1aのモアレ縞から得られる光強度をIとし、入射角θの第2照射系1bのモアレ縞から得られる光強度をIとすると、図10(a)のグラフに示すような縞間隔Δh,Δhを示す2種類の正弦波I1及びI2が得られる。即ち、空間周波数の異なる2種類の被計測物体のモアレ縞が得られる。図10(a)では、縦軸にモアレ縞の光強度を、横軸に格子30から計測点までの距離を表している。図10(a)において、実線Iは、第1照射系1aから照射する平行光により形成される第1の干渉光(モアレ縞)の光強度I、破線I2は第2照射系1bから照射される平行光により形成される第2の干渉光(モアレ縞)の光強度I2を示す波形である。
【0050】
図10(a)の2種類の正弦波I1及びI2のグラフは、光強度I1及びI2と同時に第1照射系1a及び第2照射系1bから照射する平行光により形成される第1及び第2の干渉光(モアレ縞)の2π周期の位相φ1及びφ2を示している。位相シフト法によりそれぞれの位相を求めると、
【数13】
φ1=(2πz/Δh)+2lπ ・・・・・(38)
φ2=(2πz/Δh2)+2mπ ・・・・・(39)
図10(b)は、縦軸に第1照射系1a及び第2照射系1bから照射した平行光により形成されるモアレ縞の−π〜+πまで繰り返し変化する位相φ1及びφ2を表し、横軸に格子30から計測点までの距離を表している。図10(b)において、実線φ1は第1照射系1aからの、破線φ2は第2照射系1bからの照射される平行光により形成されるモアレ縞の位相の変化について示す。図10(b)のグラフに示した実線φ1と破線φ2から2つのモアレ縞の位相差φ1−φ2=Δφが求められる。
【0051】
【数14】
Δφ=(2πzH 2)+2(l−m)π ・・・・・(40)
ここで
【数15】
2=(1/Δh)−(1/Δh2) ・・・・・(41)
である。図10(b)は、高さ方向の距離zが進むにつれて、2つのモアレ縞の位相差Δφ=φ1−φ2も次第に大きくなることを示している。このモアレ縞の位相差Δφと高さ方向の距離zの相関関係は、図10(c)で示される。図10(c)は、縦軸に図10(b)で示した第1照射系1a及び第2照射系1bから照射する平行光により形成されるそれぞれのモアレ縞の位相差Δφを表し、横軸に格子30から計測点までの距離zを表している。図10(c)から明らかなように、モアレ縞の位相差Δφと高さの変化zとの関係は線型の変化を示す。即ち、2つのモアレ縞の位相差Δφを調べることにより、その高さzを求めることが可能になる。但し式(40)においてφ1<φ2の場合、Δφ=φ1−φ2に2πを加算する位相アンラップを行う。「位相アンラップ」とは、モアレ法に位相シフト法を組合わせた測定方法において、位相計算をすると2π単位で不連続になるので、補正して図10(b)に示すように、連続にすることである。位相アンラップは、周りの位相データから連続になるように2πn(nは0でない整数)を加算、又は、減算して位相を繋ぎ合わせる。「位相アンラップの開始点」は、位相計算を最初に行う箇所である。そこで被計測物体50がないところを計測の開始点とすると、モアレ縞が存在しないので、位相アンラップを行うことができない。被計測物体50があるところ(モアレ縞が存在する座標)を計測の開始点として指定することにより、破綻のない位相アンラップを行える。図10(b)に示すように、φ1及びφ2は、−π〜+πを超えると不連続になるが、Δφは、
|l−m|<2 ・・・・・(42)
の範囲で連続となる。モアレ縞の位相の差Δφを用いる方法では、若干複雑になるが、以下のように、前もって、標準計測物体を用いて、モアレ縞の位相差Δφと高さ方向の距離の相関関係を校正データ(校正曲線)として取得しておく:
(イ)先ず、図11(a)に示すような、高さが線型に変化する標準計測物体(モニタ)50aを用いて、予備的計測(モニタリング)を行う。ここで、第1照射系1aと第2照射系1bからの回折光の最大値が同じ光強度になるように、第1光源10a及び第2光源10bの出力を調整しておく。この結果、第1の実施の形態で説明した図10(a)のグラフに示すような縞間隔Δh,Δhを示す2つのモニタ正弦波が得られる。図10(a)の縦軸にモニタ・モアレ縞の光強度を、横軸に格子30から計測点までの距離を表している。図10(a)において、実線aは、第1照射系1aから照射する平行光により形成される標準計測物体からの第1のモニタ干渉光(モニタ・モアレ縞)の光強度、破線bは第2照射系1bから照射される平行光により形成される第2のモニタ干渉光(モニタ・モアレ縞)の強度を示す波形に対応する。
【0052】
(ロ)図10(a)のモニタ正弦波のグラフは、第1の実施の形態で説明したように、光強度と同時に第1照射系1a及び第2照射系1bから照射する平行光により形成される第1及び第2のモニタ干渉光(モニタ・モアレ縞)の2π周期の位相を示していることに対応する。すると、図10(b)は、縦軸に第1照射系1a及び第2照射系1bから照射した平行光により形成されるモニタ・モアレ縞の−π〜+πまで繰り返し変化する位相を表し、横軸に格子30から計測点までの距離を表していることに対応する。図10(b)において、実線aは第1照射系1aからの、破線bは第2照射系1bからの照射される平行光により形成されるモニタ・モアレ縞の位相の変化について示す。
【0053】
(ハ)図10(b)のグラフに示した実線aと破線bから標準計測物体からの2つのモニタ・モアレ縞の位相差が求められる。図10(b)は、高さ方向の距離が進むにつれて、2つのモニタ・モアレ縞の位相差も次第に大きくなることを示していることに対応する。このモニタ・モアレ縞の位相差と高さ方向の距離の相関関係は、図10(c)で示される。図10(c)は、縦軸に図10(b)で示した第1照射系1a及び第2照射系1bから照射する平行光により形成されるそれぞれのモニタ・モアレ縞の位相の差を表し、横軸に格子30から計測点までの距離を表している。図10(c)から明らかなように、モニタ・モアレ縞の位相差と高さの変化との関係は線型の変化を示す。即ち、標準計測物体からの2つのモニタ・モアレ縞の位相差を調べることにより、その高さを校正することが可能になる。こうして、図10(c)に示すようなモニタ・モアレ縞の位相差と高さの変化との関係を標準計測物体を用いて、予め調べておき校正曲線を得ておけば、未知の被計測物体が不連続な高さの変改を示していても、被計測物体から得られる2つのモニタ・モアレ縞の位相差を調べることにより、その高さを求めることができる。
【0054】
以下に、校正データ(校正曲線)を用いた3次元計測方法を、第1の実施の形態で用いた図2を参照しながら、説明する。
【0055】
(イ)先ず、第1の実施の形態と同様に、格子30、被計測物体50等を用意する。そして、被計測物体50を移動手段80に載置する。そして、制御ボード62から輝度信号LCが出力され、第1光源10a及び第2光源10bから照射される光が、輝度信号LCにより最適な光強度に調整される。更に、3次元計測を行う計測環境が画像処理部60に設定される。
【0056】
(ロ)次に、第1光源10a及び第2光源10bから照射光が照射され、それぞれ第1コリメータレンズ11a及び第2コリメータレンズ11bに入射する。第1コリメータレンズ11a及び第2コリメータレンズ11bに入射した光は、平行光となり格子30に入射する。格子30に照射された平行光のうち、格子30のスリットを通った平行光によって、被計測物体50の上方に2種類のモアレ縞が形成される。
【0057】
(ハ)次に、制御ボード62からシャッター信号FC,FCが出力され、第1イメージセンサ20a及び第2イメージセンサ20bにそれぞれ入力される。第1イメージセンサ20a及び第2イメージセンサ20bにそれぞれシャッター信号FC,FCが入力されると、第1イメージセンサ20a及び第2イメージセンサ20bのシャッターを開き、第1受光レンズ21a及び第2受光レンズ21bと第1ピンホール板22a及び第2ピンホール板22bで集光された被計測物体50に生じるモアレ縞の画像が取り込まれる。一方、制御ボード62からステージ制御信号PSが出力され、駆動部42に入力される。ステージ制御信号PSを入力された駆動部42は、移動機構41を制御し、駆動することができる。
【0058】
(ニ)次に、モアレ縞の画像は第1イメージセンサ20a及び第2イメージセンサ20bからそれぞれ画像アナログ信号GA,GAとして出力され両者の位相差が求められる。そして、予め測定された図10(c)に示す校正曲線と比較することにより、3次元計測データを算出する。画像取り込みボード63に入力された画像アナログ信号GA,GAは、図10(c)に示す校正曲線から得られた高さの情報と共に、デジタル信号化され、画像デジタル信号として出力され、画像処理部60に入力される。
【0059】
こうして、予め得られた校正曲線から情報を得ても、微細な構造の被計測物体の測定が可能であり、且つ高さ方向に距離が大きい被計測物体でも正確な計測を行うことができる。
【0060】
以上の様に、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、モアレ法に位相シフト法を組合わせた3次元計測で、微細な構造の被計測物体の測定を可能とし、且つモアレ縞の縞間隔よりも高さが大きい任意の被計測物体でも正確な計測を行うことが可能な3次元計測装置及び3次元計測方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る3次元計測方法の原理を示す概念図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る3次元計測装置の具体的な構成例を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る3次元計測方法の原理を示す概念図で、合成波の包絡線の振幅の変化を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る3次元計測方法の原理を示す概念図で、5フレーム法で採用される位相2α,α,0,−α,−2αの関係を説明する図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る3次元計測方法の原理を示す概念図で、合成波の包絡線の振幅2A12*を規定するコサイン関数A*=cos(φ)の位相φと、第1の干渉光(モアレ縞)の光強度Iの位相ψ1の変化を示す図である。
【図6】図6(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る3次元計測方法により、鏡面状の物体を測定した結果を示す図で、位相とびを考慮しない場合は、図6(b)に示すように段差がでてしまうを示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る3次元計測方法の具体的な処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る3次元計測を示す概念図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る3次元計測を示す概念図である。
【図10】図10(a)は、光強度とモアレ縞の格子30からの距離の関係を示すグラフであり、図10(b)は、位相とモアレ縞の格子30からの距離の関係を示すグラフであり、図10(c)は、縞間隔の異なるモアレ縞の位相差とモアレ縞の格子30からの距離の関係を示すグラフである。
【図11】図11(a)は、線型な変化を示す被計測物体に対するモアレ縞を示す図であり、図11(b)は、非線型(不連続)な高さの変化を示す被計測物体に対するモアレ縞を示す図であり
【符号の説明】
1a…第1照射系
1b…第2照射系
2a…第1受光部
2b…第2受光部
4…格子位置制御部
10a…第1光源
10b…第2光源
11a…第1コリメータレンズ
11b…第2コリメータレンズ
20a…第1イメージセンサ
20b…第2イメージセンサ
21a…第1受光レンズ
21b…第2受光レンズ
22a…第1ピンホール板
22b…第2ピンホール板
30…格子
41…移動機構
42…駆動部
43…制御システム
50,50a,52a,52b…被計測物体
60…画像処理部
61…制御装置
62…制御ボード
63…ボード
70…光源駆動回路
80…移動手段
CS…制御信号
LC…輝度信号
PS…ステージ制御信号
SS…シフト信号

Claims (6)

  1. Y軸方向に延びるスリットを一定のピッチでX−Y平面に配列した格子と、
    被計測物体に対して、前記X−Y平面からなる格子の面を前記X−Y平面に直交するZ軸方向に移動させる格子位置制御部と、
    前記Z軸方向の光強度の変化がそれぞれ互いに縞間隔の異なる2種類の正弦波で示される、前記被計測物体の2種類のモアレ縞を同時に形成するように前記格子に平行光を照射する照射系と、
    前記格子を介して前記2種類のモアレ縞を取り込む第1及び第2受光部と、
    前記第1及び第2受光部から得られた2種類の正弦波を加算し合成波を形成し、該合成波の包絡線の振幅の変化から、前記被計測物体のZ軸方向に測った高さを算出する画像処理部
    とを備えることを特徴とする3次元計測装置。
  2. 前記照射系は、前記格子に対する照射角度が互いに異なる平行光を照射する第1照射系と第2照射系とからなることを特徴とする請求項1に記載の3次元計測装置。
  3. 前記高さの算出は、前記包絡線の振幅を規定する正弦波の位相の変化を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の3次元計測装置。
  4. 被計測物体に対して、Y軸方向に延びるスリットを一定のピッチでX−Y平面に配列した格子の面を前記X−Y平面に直交するZ軸方向に移動させるステップと、
    前記Z軸方向の光強度の変化がそれぞれ互いに縞間隔の異なる2種類の正弦波で示される2種類のモアレ縞が同時に形成されるように、前記格子に平行光を照射するステップと、
    前記格子を介して形成された前記被計測物体の2種類のモアレ縞の画像を取り込むステップと、
    前記2種類の正弦波を加算し合成波を形成し、該合成波の包絡線の振幅の変化から、前記被計測物体のZ軸方向に測った高さを算出するステップ
    とを含むことを特徴とする3次元計測方法。
  5. 前記格子に平行光を照射するステップは、それぞれ互いに前記格子に対する照射角度が異なる2つの平行光を照射することを特徴とする請求項4に記載の3次元計測方法。
  6. 前記高さの算出は、前記包絡線の振
    幅を規定する正弦波の位相の変化を用いることを特徴とする請求項4又は5に記載の3次元計測方法。
JP2003157177A 2003-06-02 2003-06-02 3次元計測装置及び3次元計測方法 Expired - Fee Related JP4149853B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003157177A JP4149853B2 (ja) 2003-06-02 2003-06-02 3次元計測装置及び3次元計測方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003157177A JP4149853B2 (ja) 2003-06-02 2003-06-02 3次元計測装置及び3次元計測方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004361142A JP2004361142A (ja) 2004-12-24
JP4149853B2 true JP4149853B2 (ja) 2008-09-17

Family

ID=34051033

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003157177A Expired - Fee Related JP4149853B2 (ja) 2003-06-02 2003-06-02 3次元計測装置及び3次元計測方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4149853B2 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4786923B2 (ja) * 2005-03-31 2011-10-05 富士フイルム株式会社 縞計測装置の変換係数較正方法および装置ならびに該変換係数較正装置を備えた縞計測装置
JP4688625B2 (ja) * 2005-10-18 2011-05-25 株式会社山武 3次元計測装置、3次元計測方法、及び3次元計測プログラム
KR100841662B1 (ko) * 2006-06-23 2008-06-26 주식회사 고영테크놀러지 모아레와 스테레오를 이용한 3차원형상 측정시스템 및 방법
WO2008053738A1 (fr) * 2006-10-30 2008-05-08 Osaka University Système de portillonnage optique utilisant un phénomène de moiré
DE502008001698D1 (de) * 2007-10-18 2010-12-16 Nectar Imaging S R L Vorrichtung zur tomografischen Erfassung von Objekten
JP5032943B2 (ja) * 2007-11-06 2012-09-26 パナソニック株式会社 3次元形状計測装置及び3次元形状計測方法
JP5016520B2 (ja) * 2008-02-26 2012-09-05 パナソニック株式会社 3次元形状計測方法および装置
KR100969349B1 (ko) 2008-05-07 2010-07-09 주식회사 고영테크놀러지 에이오아이(aoi) 장치
JP5430612B2 (ja) * 2011-05-31 2014-03-05 Ckd株式会社 三次元計測装置
JP5924765B2 (ja) * 2012-02-23 2016-05-25 本田技研工業株式会社 距離測定装置及び距離測定方法
KR101410220B1 (ko) * 2012-05-22 2014-06-20 주식회사 고영테크놀러지 3차원 형상 측정장치의 높이 측정 방법
JP6236721B2 (ja) * 2013-02-12 2017-11-29 藤垣 元治 形状計測装置および形状計測方法
CN107121079B (zh) * 2017-06-14 2019-11-22 华中科技大学 一种基于单目视觉的曲面高度信息测量装置及方法
CN107339952B (zh) * 2017-07-28 2023-07-28 厦门思泰克智能科技股份有限公司 一种高低两组各三方向投影的三维测量装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004361142A (ja) 2004-12-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4149853B2 (ja) 3次元計測装置及び3次元計測方法
JP3738291B2 (ja) 三次元形状測定装置
KR101257538B1 (ko) 표면형상의 측정방법 및 이것을 이용한 장치
US20040130730A1 (en) Fast 3D height measurement method and system
US20090103103A1 (en) Device for tomographic scanning objects
JP5818341B2 (ja) 形状計測装置および形状計測方法
US9441959B2 (en) Calibration method and shape measuring apparatus
JP2011117917A (ja) スペックルの定位方法およびその定位系統
JP5385703B2 (ja) 検査装置、検査方法および検査プログラム
JP2010281621A (ja) 三次元形状計測装置
JP2008292296A (ja) 透明膜の膜厚測定方法およびその装置
KR101875467B1 (ko) 3차원 형상 측정 장치 및 측정 방법
JP3217243U (ja) 非接触式表面輪郭走査装置
US11013482B2 (en) Phase contrast X-ray imaging system
JP3936270B2 (ja) 3次元計測装置及び3次元計測方法
JP4192038B2 (ja) 表面形状および/または膜厚測定方法及びその装置
KR101613829B1 (ko) 미분 모아레를 이용한 3차원 형상 측정방법 및 장치
JP3157001B2 (ja) 3次元形状測定装置
JP2010151781A (ja) 周波数推定方法、周波数推定装置、表面形状測定方法及び表面形状測定装置
JP4170875B2 (ja) 3次元計測装置、3次元計測方法及び3次元計測プログラム
JP3236051B2 (ja) 3次元形状測定用格子板とその製造装置および3次元形状測定装置
JPH1047936A (ja) 形状計測方法
JP3848586B2 (ja) 表面検査装置
JPH06160046A (ja) 長尺材の歪み測定装置
JP4995041B2 (ja) 印刷はんだ検査方法、及び印刷はんだ検査装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051226

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080212

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080411

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080610

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080626

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110704

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120704

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130704

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130704

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140704

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees