JP4149410B2 - 銀化合物被覆銅粉、その銀化合物被覆銅粉の製造方法、その銀化合物被覆銅粉の保管方法及びその銀化合物被覆銅粉を用いた導電性ペースト - Google Patents

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Description

本件発明は、銀化合物被覆銅粉、その銀化合物被覆銅粉の製造方法、その銀化合物被覆銅粉の保管方法及びその銀化合物被覆銅粉を用いた導電性ペーストに関する。
近年、電子機器の小型化・集積化に伴い、電子回路用基板として多層プリント配線板等が普及している。そして、これらの基板へ電子回路、例えばビアホール内に配線を施すために導電性ペースト用の導電性材料として、コスト的に有利であり、かつ、優れた導電性を持つ銅粉が一般に用いられている。
ところで、銅の融点は1083.4℃である一方、上記多層プリント配線板はこの融点よりもかなり低い温度でプレス成形されるため、銅粉を当該基板配線用の導電性ペーストとして使用するには、銅を微粉化して銅粒子の焼結温度を多層プリント配線板のプレス成形温度に可能な限り近づける必要がある。
「金属便覧」日本金属学会編 改訂5版 (P.935)
しかし、銅は上述したようにコストと導電性について長所を持つ反面、(特に水分と酸素を含む雰囲気中で)酸化し易いという短所を持つ。このような酸化のし易さは銅の微粉化により銅粉の比表面積が大きくなるとさらに助長される。この酸化された銅粉を含む導電性ペーストによる配線部では比抵抗値が高くなり当該配線部として実用性がなくなる。
したがって、(1)第一に、当該酸化によって特に比抵抗値の物性値に弊害が出ないように銅の微粉化をある程度に留めて酸化を防ぎ、銅粒子同士の焼結化を促進する必要がある。
また、(2)第二に、銅の微粉化の程度とは別に銅の酸化を防ぎ、銅粒子同士の低温焼結化を促進する必要がある。
本件発明の目的は、上述の課題(1)及び課題(2)を同時に解決することにある。なお、本件発明では、粒子表面を銀化合物で被覆した銅粉の全てを「銀化合物被覆銅粉」と称することとする。以下、本件発明に関して説明する。
本件発明者らは、鋭意検討の結果、銀化合物被覆銅粒子を含む銀化合物被覆銅粉を導電性ペーストの導電性材料として使用することによって、通常の銅粉の本質的な欠点から起因する課題(1)及び(2)を解決でき、上記目的を達成し得ることを知見した。
<本件発明に係る銀化合物被覆銅粉>
本件発明に係る銀化合物被覆銅粉とは、「芯材として銅粒子を用い、その表面を銀化合物で被覆した銀化合物被覆銅粉。」の概念を含むものとしている。
即ち、芯材に通常の銅粉をそのまま用い、芯材の表面を銀化合物で被覆することにより、通常の銅粉の銅粒子同士の焼結温度と比べ、低い銀化合物分解温度で銀化合物から分解する銀により、粒子同士が溶着することができるようになるのである。(本明細書において「溶着」とは、銀化合物から熱分解した溶融銀で金属粒子同士が連結することをいうものとする。)
従って、本件発明に言う銀化合物とは、銅の融点(1083.4℃)よりも大幅に低い分解温度400℃以下の銀化合物を用いることを意図している。即ち、酸化銀、炭酸銀、及び有機酸銀等の銀化合物、すなわち銀難溶性塩(水に溶けにくい銀塩)を銅粒子の表面に被覆させる。その結果、樹脂基板と配線形成のためのプレス成形時において、銅粒子表面を被覆している銀化合物が熱分解することによって生成される銀が隣接する銅粒子と溶着するのである。
そして、以下に述べる銀化合物被覆銅粉の製造方法を採用することで、上記銀化合物被覆銅粉は、以下の如き滑らかな表面層を持ち、且つ、微粒というレベルの粒径を持つ粉体特性を有するものとなる。
粉体特性の一つとしての比表面積SSAは、0.1m/g〜10.0m/gの範囲が好ましい。ここで、SSAはBET1点法による比表面積である。SSAが0.1m/g未満であると低温焼結性を得ることが困難となる傾向にあり、SSAが10.0m/gより大であるとペースト作製時に吸油量が大きくペースト粘度が上昇し均一なペースト内分散が困難となる。
次の粉体特性は、レーザー回折散乱式粒度分布測定方法による50%の体積累積粒径D50であり、0.5μm〜10.0μmの範囲となる。D50が0.5μm未満であるとペースト作製時に吸油量が大きくペースト化が困難であり、当該銅粉が酸化し易く導電性を劣化させる、D50が10.0より大であると基板上に形成されるべき電子回路の配線のファイン化に支障が出る。
次に、銀化合物の付着量に関して説明する。本件発明において、前記銀化合物は、銀化合物被覆銅粉100wt%に対して1wt%〜40wt%の比率で銅粉に付されていることが好ましい。銀化合物の被覆量が1wt%未満の場合には、芯材の表面の被覆が極めて不均一となり、耐酸化性の向上及び低温焼結性能を安定して確保することが出来ないのである。一方、銀化合物の被覆量が40wt%を超えると、耐酸化性及び低温焼結性能が、それ以上に向上せず、資源の無駄となるからである。
<本件発明に係る銀化合物被覆銅粉の製造方法>
以上に述べてきた本件発明に係る銀化合物被覆銅粉の製造方法は、以下の方法を採用することが好ましい。湿式法のみによる製造方法、湿式法と物理的手法とを含む製造方法、物理的手法を主体とした製造方法がある。
(湿式法のみによる製造方法)
芯材である銅粉の粒子表面に湿式法で銀化合物を析出させるために、銀イオンを含む水溶液と、銀と塩を形成する陰イオンを含む塩の水溶液とを混合し、銀化合物を形成し、この銀化合物を銅粉粒子の表面に被覆することを特徴とした銀化合物被覆銅粉の製造方法である。
上記銀化合物被覆銅粉の製造方法をより具体的に示すと、以下の工程a.〜工程c.により銀化合物を銅粉粒子の表面に被覆することを特徴とするものである。
工程a:硝酸銀水溶液と、銀と塩を形成する陰イオンを含む塩の水溶液とを準備する工程。
工程b:銀と塩を形成する陰イオンを含む塩の水溶液に銅粉を分散させたスラリーを作る工程。
工程c:前記スラリーに硝酸銀水溶液を添加し、銀化合物被覆銅粉を形成する工程。
(湿式法と物理的手法とを含む製造方法)
この製造方法は、上記湿式法による銀化合物被覆銅粉の製造方法により得られた銀化合物被覆銅粉に対し、更に工程dの固着強化処理を施すのである。ここで、工程dとは、前記銀化合物被覆銅粉の粒子同士を物理的に衝突させ、表面を被覆した銀化合物を強固に固着させる固着強化処理工程である。
(物理的手法を主体とした製造方法)
本件発明に係る銀化合物被覆銅粉の製造方法であって、以下の工程a.〜工程c.により銀化合物を銅粉粒子の表面被覆することを特徴とする製造方法を採用することも出来る。
工程a:硝酸銀水溶液と、銀と塩を形成する陰イオンを含む塩の水溶液とを混合し、銀化合物を合成する工程。
工程b:前記銀化合物を乾燥し、当該銀化合物の乾燥粉を得る工程。
工程c:この乾燥粉を銅粉の粒子表面に物理的に固着させ、銀化合物を乾燥銀粉の表面上に固着させる工程。
そして、以上に述べてきた製造方法で用いる「銀と塩を形成する陰イオンを含む塩の水溶液」は、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、ヘキサン酸ナトリウム水溶液、マロン酸ナトリウム水溶液、蟻酸ナトリウム水溶液のいずれかを用いることが好ましい。
<本件発明に係る銀化合物被覆銅粉の保管方法>
当該銀化合物被覆銅粉は、その粒子表面に上記銀化合物が付着した構造を備えているため銀化合物が大気と接触し化学的に変質することを極力抑制することが好ましい。特に、炭酸銀等はペースト化する直前まで、有機溶剤に湿潤させた状態で保管することをが望ましいのである。
<本件発明に係る銀化合物被覆銅粉を用いた導電性ペースト>
本件発明に係る銀化合物被覆銅粉は、その粒子表面に微粒の上記銀化合物が付着した構造を備えているため、低温での焼結特性に優れプリント配線板のスルーホール等の層間導通手段の形成に用いると粒子同士の良好な連結性が得られ、回路を形成する銅箔層との接合性をも良好に維持するものとなるのである。
本件発明の銀化合物被覆銅粉は、コスト的に有利で、良好な導電性を示し、しかも銅の融点よりも低い温度である銀化合物分解温度で粉体粒子同士を溶着でき、特にLTCC等の低焼成温度で形成される電子回路基板の配線部に好適である。
以下、実施の形態に関して説明し、各実施の形態に対応した実施例を随時示すこととする。
<具体例1:湿式法のみによる製造方法>
この製造方法は、銀イオンを含む水溶液と、銀と塩を形成する陰イオンを含む塩の水溶液とを混合することにより、銀化合物を形成し、この銀化合物を粒子の表面上に湿式法で被覆する銀化合物被覆銅粉の製造方法である。以下、上記銀化合物被覆銅粉の製造方法をさらに具体的に詳述する。
この銀化合物被覆銀粉の製造方法の具体例を示す。まず、0.01mol/L〜2mol/Lの硝酸銀水溶液(「溶液A」とする。)と、この硝酸銀水溶液に含まれる銀との反応当量の1倍〜2倍の、難溶性塩を形成する陰イオンを含む塩の0.01mol/L〜5mol/Lの水溶液(「溶液B」とする。)を準備する。次に、溶液Bに銅粉を10g/L〜700g/Lの割合で分散させたスラリーを作り、最後にこのスラリーに溶液Aを添加し、銀化合物被覆銅粉を得る。
さらに、ここで言う銀化合物は酸化銀、炭酸銀、又は有機酸銀である。従って、溶液Bは、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、ヘキサン酸ナトリウム水溶液、マロン酸ナトリウム水溶液、蟻酸ナトリウム水溶液のいずれかを用いることが好ましいのである。
そして、100mL〜10Lの純水で上記銀化合物被覆銅粉を洗浄し、その後、10mL〜10Lのメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソブタノール、イソプロパノール、ヘキサン、トルエン、テルピネオール、及びブチルカルビトールアセテート等の揮発性溶剤を添加し、銀化合物被覆銅粉に含まれる水分を除去し、銀化合物被覆銅粉を乾燥させることができる。一方、乾燥させることなく上記揮発性溶剤に銀化合物被覆銅粉を湿潤させ有機溶剤湿潤品として提供することもできる。
この実施例では、以下の工程を経て酸化銀被覆銅粉を得た。100mLの純水に硝酸銀17gを溶解させて得られた硝酸銀水溶液(溶液A)と、銀と塩(主に水に溶けにくい難溶性塩)を形成する陰イオンを含む塩の水溶液として水酸化ナトリウム10gを純水1Lに溶解させて得られた水酸化ナトリウム水溶液(溶液B)とを準備した。
そして、溶液Bに100gの銅粉を分散させたスラリーを作製し、このスラリーに溶液Aを添加し、30分間撹拌し、その後、水、メタノールにて濾過、洗浄、乾燥させて酸化銀被覆銅粉を得た。なお、ここで芯材として用いた銅粉のSSAは0.26m/g、レーザー回折散乱式粒度分布測定方法による50%の体積累積粒径D50 は4.65μmであった。そして、以下の実施例でも同様の銅粉を用いた。このときの銀酸化物被覆量は、銀酸化物被覆銅粉100wt%に対して10wt%であった。その他の粉体特性等に関しては、表1に示す。
この実施例では、以下の工程を経て炭酸銀被覆銅粉を得た。炭酸銀被覆銅粉の製造方法は、100mLの純水に硝酸銀17gを溶解させて得られた硝酸銀水溶液(溶液A)と、銀と難溶性塩を形成する陰イオンを含む塩の水溶液として炭酸水酸ナトリウム12gを純水1Lに溶解させて得られた水酸化ナトリウム水溶液(溶液B)と、を準備した。
そして、溶液Bに100gの銅粉を分散させたスラリーを作製し、このスラリーに溶液Aを添加し、30分間撹拌し、その後、水、メタノールにて濾過、洗浄、乾燥させて炭酸銀被覆銅粉を得た。このときの炭酸銀被覆量は、炭酸銀被覆銅粉100wt%に対して12wt%であった。その他の粉体特性等に関しては、表1に示す。
この実施例では、以下の工程を経てヘキサン酸銀被覆銅粉を得た。ヘキサン酸銀被覆銅の製造方法は、まず、100mLの純水に硝酸銀6gを溶解させて得られた硝酸銀水溶液(溶液A)と、銀と難溶性塩を形成する陰イオンを含む塩の水溶液としてヘキサン酸ナトリウム6gを純水1Lに溶解させて得られた水溶液(溶液B)を準備した。
次に、溶液Bに100gの銅粉を分散させたスラリーを作製する。そして最後に、このスラリーに溶液Aを添加し、すぐに水、メタノールにて濾過、洗浄、乾燥させてヘキサン酸銀被覆銅粉を得た。このときのヘキサン酸銀被覆量は、ヘキサン酸銀被覆銅粉100wt%に対して7wt%であった。その他の粉体特性等に関しては、表1に示す。
Figure 0004149410
<具体例2:湿式法と物理的手法とを含む製造方法>
さらに銀化合物被覆銅粉は、上記の湿式法のみによる製造方法で得られた銀化合物被覆銅粉を、粉粒同士が物理的に衝突し合うような固着強化処理を施すのである。このときの固着強化処理は、衝突摩擦式粉砕装置の如きものを用いるのである。いわゆるジェットミル、ディスインテグレータ、ハイブリタイザー等が使用でき、各々の粉粒同士を衝突させることで、ある程度の分散効果を得ながら、粒子表面の銀化合物を強固に固着させ、同時に滑らかな表面を形成することができる。また、単なる攪拌翼を備えた攪拌機内で銀化合物被覆銅粉を攪拌する方法、ボールミルの如きメカニカルな手法等を用いることも可能である。
<具体例3:物理的手法を主体とした製造方法>
本件発明の実施形態として、銀イオンを含む水溶液と、銀と塩を形成する陰イオンを含む塩の水溶液とを混合することにより、銀化合物を形成し、この銀化合物を乾燥させた後、銀化合物を銅粉粒子の表面上に物理的手法で固着する銀化合物被覆銅粉の製造方法である。この銀化合物被覆銅粉の製造方法の具体例を示す。
まず、0.01mol/L〜2mol/Lの硝酸銀を含む溶液Aと、溶液Aに含まれる銀との反応当量の1倍〜2倍の、銀と難溶性塩を形成する陰イオンを含む塩の0.01mol/L〜5mol/Lの水溶液(溶液B)と、を混合し、銀化合物(銀塩)を合成する。次に、前記銀化合物を乾燥し、当該銀化合物の乾燥粉を得る。そして、この乾燥銀化合物1g〜80gと芯材として銅粉200gとを混合し、銀化合物を当該芯材の粒子表面上に物理的に固着させ、銀化合物被覆銅粉を得る。このときの物理的固着は、上述の固着強化処理に用いたと同様の衝突摩擦式粉砕装置の如きものを用いるのである。
なお、上記製造法において、上記銀化合物が形成されるときの反応式は、yAgNO+NaX→AgX+yNaNO 、2AgNO+NaHCO→AgCO+NaNO+HNOのような式で表される。「AgX」で表される塩(銀化合物)は、yはそれぞれの式に応じて決まる妥当な価数(自然数)、XはOH 、CO 2− 、CH (CH COO 等である。
さらに、ここで言う銀化合物は酸化銀、炭酸銀、又は有機酸銀である。従って、上記水溶液(溶液B)は、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、ヘキサン酸ナトリウム水溶液、マロン酸ナトリウム水溶液、蟻酸ナトリウム水溶液のいずれかを用いることが好ましいのである。
比較例
(比較例1)
比較例1として用いたのは、実施例1に記載した芯材として用いた銅粉であり、粒子表面の銀化合物による被覆は何ら行っていないものである。
<実施例と比較例の評価結果>
表1は、実施例1〜実施例で示された銀化合物被覆銅粉、並びに比較例1で示された銅粉のみの評価結果をまとめたものである。この表1から分かるように、銀化合物による被覆が存在する方が、比抵抗が低くなり、同時に銅箔との密着性が良好という結果が出ている。これらの結果から各種銀化合物の銅粒子への被覆が銅の酸化を防ぐと同時に、銀化合物の分解温度が低いため銀化合物同士がまず溶着することで銅粉よりも高い密着性をもたらしていると考えられる。
以下、本件発明で評価に用いた手法を理解するために必要な事項に関して、説明しておくこととする。
<導電性ペーストの製造>
本件発明の導電性ペーストは、銀化合物被覆銅粉を85wt%、エチルセルロースを0.75wt%、タービネオールを14.25wt%の組成比率とし混練し作製した。
<比抵抗値の測定>
本件発明の各種粉体の比抵抗値(μΩ・m)は、上記の組成で作製された導電性ペーストを用いてセラミック基板上に1mm幅の回路を引き回し、180℃〜250℃の温度で焼結加工して得られた回路を用いて測定したものである。
<銅箔との密着性の測定>
上記と同様の導電性ペーストを作製し、5cm×2cmの大きさで公称厚さ35μmの厚さの銅箔に、膜厚500μmとなるように塗工機(ヨシミツ精機 Model YOA)を用いて上記導電性ペーストを銅箔の表面上にほぼ全面に塗布した。その後、この塗布による塗膜の上に、もう一枚の上記と同じサイズの銅箔を貼り合わせた。さらに、当該導電性ペーストがサンドイッチされたこれら二枚の銅箔を、10cm×3cmの大きさとし、約500μmの厚さの二枚のセラミック基板でさらに挟み込んだ。そして、事務用のダブルクリップの如き、簡易な圧着・挟持手段(ここでは、伊藤忠商事(株)製 ダブルクリップ形式 BCS−30(シルバー)を使用)を用いてセラミックス基板の上から挟みこみ、全体を圧着・挟持し固定した状態で、還元雰囲気中の恒温槽中において200℃×1時間の条件で全体を加熱した。
加熱終了後、自然冷却し、ダブルクリップを外し二枚のセラミック基板に挟まれていた、重なり合っている二枚の銅箔の端を、一枚ずつ右手と左手の人指と親指でつまんで互いに反対方向に引っ張ることによって二枚の銅箔が密着されているか否かという定性的な評価を行った。銅箔同士が完全に密着されていれば銅箔との密着性は「◎」とし、全く密着されていなければ当該密着性は「×」とし、その中間の密着性は「○」という評価を行い、表中の密着性の欄に記した。
本件発明の銀化合物被覆銅粉及びその製造方法等は、多層プリント配線板のビアホール内の層間導通手段や基板上の電子回路配線部を形成するための導電性ペースト用の導電性材料に適用することができる。

Claims (11)

  1. 芯材として銅粒子を用い、その表面を酸化銀、炭酸銀、及び有機酸銀のいずれかの銀化合物で被覆したことを特徴とする導電性ペースト用の銀化合物被覆銅粉。
  2. 請求項1に記載の銀化合物被覆銅粉であって、以下に示す粉体特性を備えることを特徴とする導電性ペースト用の銀化合物被覆銅粉。
    a.SSA(m/g):0.1〜10.0
    b.D50(μm):0.5〜10.0
    (ここで、SSAは、BET法による比表面積、D50は、レーザー回折散乱式粒度分布測定方法による、50%の体積累積粒径を指す。以下同様に表記する。)
  3. 前記銀化合物は、銀化合物被覆銅粉100wt%に対して1wt%〜40wt%の比率で、銅粉粒子表面に付されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の導電性ペースト用の銀化合物被覆銅粉。
  4. 請求項1〜請求項のいずれかに記載の導電性ペースト用の銀化合物被覆銅粉の製造方法であって、
    芯材である銅粉の粒子表面に湿式法で銀化合物を析出させるために、銀イオンを含む水溶液と、銀と塩を形成する陰イオンを含む塩の水溶液とを混合し、銀化合物を形成し、この銀化合物を銅粉粒子の表面に被覆することを特徴とした導電性ペースト用の銀化合物被覆銅粉の製造方法。
  5. 請求項に記載の導電性ペースト用の銀化合物被覆銅粉の製造方法であって、以下に示す工程a.〜工程c.により銀化合物を銅粉粒子の表面に被覆することを特徴とした銀化合物被覆銅粉の製造方法。
    工程a:硝酸銀水溶液と、銀と塩を形成する陰イオンを含む塩の水溶液とを準備する工程。
    工程b:銀と塩を形成する陰イオンを含む塩の水溶液に銅粉を分散させたスラリーを作る工程。
    工程c:前記スラリーに硝酸銀水溶液を添加し、銀化合物被覆銅粉を形成する工程。
  6. 請求項又は請求項に記載の導電性ペースト用の銀化合物被覆銅粉の製造方法において、以下の工程d.を付加したことを特徴とした銀化合物被覆銅粉の製造方法。
    工程d:前記銀化合物被覆銅粉の粒子同士を物理的に衝突させ、表面を被覆した銀化合物を強固に固着させる固着強化処理工程。
  7. 前記銀と塩を形成する陰イオンを含む塩の水溶液は、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、ヘキサン酸ナトリウム水溶液、マロン酸ナトリウム水溶液、蟻酸ナトリウム水溶液のいずれかを用いることを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれかに記載の導電性ペースト用の銀化合物被覆銅粉の製造方法。
  8. 請求項1〜請求項のいずれかに記載の導電性ペースト用の銀化合物被覆銅粉の製造方法であって、以下に示す工程a.〜工程c.により銀化合物を銅粉粒子の表面に被覆することを特徴とした導電性ペースト用の銀化合物被覆銅粉の製造方法。
    工程a:硝酸銀水溶液と、銀と塩を形成する陰イオンを含む塩の水溶液とを混合し、銀化合物を合成する工程。
    工程b:前記銀化合物を乾燥し、当該銀化合物の乾燥粉を得る工程。
    工程c:この乾燥粉を銅粉の粒子表面に物理的に固着させ、銀化合物を乾燥銀粉の表面上に固着させる工程。
  9. 前記銀と塩を形成する陰イオンを含む塩の水溶液は、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、ヘキサン酸ナトリウム水溶液、マロン酸ナトリウム水溶液、蟻酸ナトリウム水溶液のいずれかを用いることを特徴とする請求項に記載の導電性ペースト用の銀化合物被覆銅粉の製造方法。
  10. 請求項1〜請求項のいずれかに記載の銀化合物被覆銅粉の保管方法であって、
    当該銀化合物被覆銅粉は、有機溶剤に湿潤させ保管することを特徴とする導電性ペースト用の銀化合物被覆銅粉の保管方法。
  11. 請求項1〜請求項のいずれかに記載の前記銀化合物被覆銅粉を用いて得られる導電性ペースト。
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