JP4149038B2 - バックル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、それぞれベルトなどの取付部を有し、この取付部をもってベルトなどに取り付けられる雌部材と雄部材とを備え、雌部材への雄部材の弾性脚の差し入れに伴う弾性変形とこれに続く弾性復帰により、当該雌部材に雄部材を掛合、留め付け、これにより雌部材の取り付けられたベルトなどと雄部材の取り付けられたベルトなどとを連結状態とする用途などで用いられるバックルの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
二つのベルトなどをワンタッチで連結状態とし、また、この連結状態を容易に解除可能なバックルとして、例えば、特公平1−12481公報に示されるバックルのような、いわゆるサイドリリースタイプのバックルがある。
【0003】
かかるバックルは、幅広の側壁、幅狭の上下壁、この幅狭の上下壁の一部と幅広の側壁の一部とに亙って設けられるスロットを備えた筒体よりなる雌部材と、一対の可撓アームを備えると共に、この可撓アームの先端に係止指圧部を備えた雄部材とからなる。そして、雌部材内への雄部材の一対の可撓アームの差し入れに伴ってこの一対の可撓アームを内向きに撓み込ませると共に、この可撓アームにおける前記係止指圧部が前記スロットに臨む位置までの差し入れをなすことにより、かかる可撓アームを弾性復帰させて前記スロットからかかる係止指圧部を突き出させ、この係止指圧部を前記筒体における幅狭の上下壁の幅方向に沿った前記スロットの縁に掛合させることができる構成としてある。また、この掛合は前記スロットから突き出される係止指圧部を押圧して前記可撓アームを内向きに撓み込ませることで解除できる構成としてある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、かかる従来のバックルにあっては、前記可撓アームが、前記筒体の内側から前記幅狭の上下壁に向けて当該上下壁の壁面に略直交する向きに移動されるに留まるものであるため、前記係止指圧部と前記スロットとの掛合は、前記のように当該スロットにおける前記上下壁の幅方向に沿った一側縁においてのみなされるものであった。
【0005】
また、前記スロットは、前記係止指圧部が前記移動により突き出される大きさに幅狭の上下壁に設けられる必要があるため、前記掛合状態において、この係止指圧部の前記筒体の幅広の側壁側に向けられた側面と、この幅広の側壁の外面との間には、必然的に段差を形成させるものであった。
【0006】
一方、この種のバックルとしてはまた、例えば、特公平2−28324公報に示されるバックルのような、いわゆるフロントリリースタイプのバックルがある。
【0007】
このバックルは、幅広の頂壁と幅狭の一対の側壁とを有すると共に、かかる頂壁に開口を備えた筒形本体と、この筒形本体の開口から突き出される段状突出部を備えた舌状部を有する挿入体とを有している。筒形本体内には、挿入体の舌状部の差し入れ方向奥側に向けて前記頂壁側に高まる傾斜を備えた可撓壁が設けてある。そして、筒形本体への挿入体の舌状体の挿入に伴って当該可撓壁を弾性変形させながらこの舌状体を受け入れ、かつ、この舌状体の段状突出部が前記開口に臨んだ位置でかかる可撓壁を弾性復帰させて当該段状突出部をかかる開口に入り込ませ、この開口に掛合させることができる構成としてある。
【0008】
かかるバックルにあっては、前記掛合状態において、前記頂壁の外面と前記段状突出部の先端面とを同面にさせることが可能であり、この頂壁をバックル使用状の正面とする場合のバックルの外観性を比較的高く確保することができる。
【0009】
しかるに、かかるバックルにあっては、一般に、前記掛合を解くにあたり、前記段状突出部を押し込ませるために、この段状突出部を片手の指で押圧しながらもう一方の手で筒形本体を把持する必要があり、片手の操作でかかる掛合解除をなし難いものであった。
【0010】
そこでこの発明は、かかる従来の技術の問題点を解消すること、特に、第一に、雄部材と雌部材との掛合の解除操作を片手でも解き易いサイドリリースタイプのバックルでありながら、バックルの使用上正面となる側において雄部材の弾性脚の掛合部分と雌部材の掛合穴縁部との間に段差が形成され難いようにして、バックルの外観性を向上させることを目的とする。また、第二に、雄部材の弾性脚の掛合部分と雌部材の掛合穴との掛合を、向きの異なる二つの位置でなさしめることにより、当該掛合力を高く確保できるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1記載の発明にあっては、バックルが以下の(1)〜(4)の構成を備えたものとした。
(1) ベルト等の取付部から一体に突き出される弾性脚を有し、かつ、この弾性脚の先端側に頭部を有する雄部材と、
(2)ベルト等の取付部と、前記雄部材の弾性脚の差し入れ開口と、この差し入れ開口からの雄部材の弾性脚の差し入れに伴って当該弾性脚の前記頭部に内面を摺接させて当該弾性脚を弾性変形させる前記差し入れ開口に続く縦側板部及び当該差し入れ開口に続く横側板部の一方と、当該一方の横側板部と当該縦側板部の一部を欠切するようにして形成された前記雄部材の弾性脚の頭部の突き出される窓穴とを有する雌部材とを備えると共に、
(3)この雌部材の窓穴が、前記差し入れ開口から弾性変形されながら当該雌部材に差し入れられた前記雄部材の弾性脚の弾性復帰により、前記窓穴から突き出された当該雄部材の弾性脚の頭部に対し、前記差し入れ開口側にある前記縦側板部側の窓縁部と、前記一方の横側板部側の窓縁部とで掛合して、当該頭部を留め付ける構成としてあり、
(4)しかも、前記雄部材の弾性脚の弾性変形の向きが、この弾性変形により、当該雄部材の弾性脚の頭部と前記雌部材における前記窓穴の縦側板部側の窓縁部との掛合及び当該窓穴の前記一方の横側板部側の窓縁部との掛合を解く斜め内向きとなるようしてある。
【0012】
かかる構成によれば、前記頭部を、前記窓穴に対し、この窓穴の前記差し入れ開口側にある縦側板部側の窓縁部と横側板部側の窓縁部との双方において、前記弾性脚の弾性復帰により十分な掛合代を持たせて掛合させることができ、かかる掛合力を比較的強固なものとすることができる。
【0013】
また、前記弾性脚の弾性復帰により、前記頭部の前記雌部材の横側板部側の一側面を、当該横側板部の外面との間に外観上目立つギャップを生じさせないように前記掛合時において位置付けることができ、かかる頭部の当該一側面が位置付けられる側の当該雌部材の横側板部の外面を化粧面、つまり、バックル正面とするようにバックルを構成した場合における当該バックルの外観性を向上させることができる。
【0014】
また、請求項2記載の発明にあっては、前記請求項1記載のバックルにおける、少なくとも、雄部材の弾性脚の弾性変形部分の断面形状が、雌部材への差し入れ方向に沿った縦方向にある仮想の面に対し、斜めに交叉する向きに長くなるように構成してあるものとした。
【0015】
かかる構成によれば、前記掛合状態において、前記窓穴における縦側板部側の窓縁部および横側板部側の窓縁部の双方に掛合される当該頭部を、かかる窓穴を利用して内向きに押圧すると、概、前記弾性脚の弾性変形部分の断面において薄い向き、すなわち、この弾性脚の弾性変形部分の幅狭方向に向けて当該弾性脚は弾性変形され、これにより、前記両穴縁部の双方との掛合を同時に解くように前記頭部を斜め内向きに移動させることができる。そして、この頭部の移動により、この頭部と前記窓穴との掛合を解いて、前記雌部材内から雄部材の一対の弾性脚を抜き出させ、両部材に取り付けられた前記ベルトなどの連結状態を解除することができる。
【0016】
また、請求項3記載の発明にあっては、請求項1記載のバックルにおける、少なくとも、雄部材の弾性脚の弾性変形部分の断面形状が、略円形状となるように構成してあるものとした。
【0017】
かかる構成によれば、弾性脚はどの向きにも撓み変形させ易いことから、この場合にあっても、前記雄部材と雌部材の掛合状態において、当該雄部材の弾性脚の頭部が前記雌部材の窓穴における縦側板部側の窓縁部および横側板部側の窓縁部の双方からの掛合を解くように、当該窓穴から突き出されている前記頭部を押圧操作して前記弾性脚を弾性変形させることができる。
【0018】
また、請求項4記載の発明にあっては、請求項1、請求項2又は請求項3記載のバックルにおける雄部材が、弾性脚の側方に、当該弾性脚と共に前記雌部材内に差し入れられる脚体を有し、この脚体の差し入れ先端が前記弾性脚の差し入れ先端よりも前方に位置されると共に、前記雌部材内への当該弾性脚の差し入れに伴って前記弾性脚の頭部が摺接される前記雌部材の横側板部に当該頭部の摺接に先立って摺接される構成とした。
【0019】
かかる構成によれば、前記脚体を、前記雄部材の弾性脚の雌部材内への差し入れに伴って、当該弾性脚の頭部の前記横側板部への摺接に先立って雌部材の前記横側板部に摺接させて、前記弾性脚の頭部を前記横側板部に対し当該弾性脚を弾性変形させるように確実かつ十分に摺接させることができる。
【0020】
また、請求項5記載の発明にあっては、請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載のバックルにおける縦側板部が、差し入れ開口側から窓穴側に向けて、次第に内側に突き出すように傾斜した構成とした。
【0021】
かかる構成によれば、前記雌部材内への前記雄部材の弾性脚の差し入れに伴って当該弾性脚は次第に内向きに撓み込まされるものとされ、かかる差し入れを無理なくなすことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図1ないし図24に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。
【0023】
なお、ここで図1および図2は、この実施の形態にかかるバックルの全体構成を理解し易いように、当該バックルを構成する雄部材1と雌部材2とを分離して斜視の状態として示しており、図1と図2とでは見る向きが反対となっている。また、図3は、かかる分離状態を側方から見て、また、図4は、かかる分離状態を平面視の状態として、特に、雌部材2を断面にして、それぞれ示している。また、図5は、雄部材1を一対の弾性脚10、10の突き出し側から視た状態として、特に、一方の弾性脚10を断面にして、また、図7は、雌部材2を差し入れ開口側から視た状態として、それぞれ示している。
【0024】
また、図7ないし図9は、雌部材2との掛合位置に向けて当該雌部材2内に一対の弾性脚10、10を差し入れている状態にある、または、雌部材2との掛合を解いて当該雌部材2内から一対の弾性脚10、10を抜き出している状態にある雄部材1と、当該雌部材2とをそれぞれ示しており、特に、図7は、かかる雄部材1と雌部材2とを側方から視て、また、図8は、雌部材2を断面にした平面視の状態として、また、図9は縦断面の状態として、それぞれ示している。
【0025】
また、図10ないし図13は、掛合状態にある雄部材1と雌部材2とをそれぞれ示しており、特に、図10は、かかる雄部材1と雌部材2とを側方から視て、また、図11は、雌部材2を断面にした平面視の状態として、また、図12および図13は縦断面の状態として、それぞれ示している。
【0026】
さらに、図14ないし図17は、前記掛合状態から、雄部材1の弾性脚10の先端側に設けられ、かつ、雌部材2の窓穴27から外方に突き出された当該雄部材1における頭部15を、雌部材2の内方に押し込み操作して前記掛合を解いた直後の状態における雄部材1と雌部材2とをそれぞれ示しており、特に、図14は、かかる雄部材1と雌部材2とを側方から視て、また、図15は、雌部材2を断面にした平面視の状態として、また、図16および図17は縦断面の状態として、それぞれ示している。
【0027】
また、図18ないし図24は、図1ないし図17に示される例における雄部材1および雌部材2の形状の一部を変更した例を示している。
【0028】
この実施の形態にかかるバックルは、一対の弾性脚10、10を備えた雄部材1と、この雄部材1の弾性脚10を弾性変形させながら入り込ませる差し入れ開口20を備えた雌部材2とよりなる。
【0029】
両部材1、2共に、細長い棒状をなすベルトHなどの巻き掛けバー11a、21aを有する当該ベルトHなどの取付部11、21を備える。
【0030】
雄部材1にあっては、この巻き掛けバー11aは、この巻き掛けバー11aとの間にベルトHなどの差し入れスリット11bを形成するように当該巻き掛けバー11aと略平行に配される長方板状をなす基板部12の両端においてそれぞれこの基板部12から突き出される、この基板部12の幅方向に亙る長さの一対の立ち上がり部13間に架け渡されるように設けられている。
【0031】
一方、雌部材2にあっても、前記巻き掛けバー21aは、この巻き掛けバー21aとの間にベルトHなどの差し入れスリット21bを形成するように当該巻き掛けバー21aと略平行に配される長方板状をなす基板部22の両端においてそれぞれこの基板部22から突き出される、この基板部22の幅方向に亙る長さの一対の立ち上がり部23間に架け渡されるように設けられている。
【0032】
また、雌部材2の前記差し入れ開口20は、この差し入れ開口20の開口縁の輪郭形状が略長方形状をなすように形成されている。そして、かかる雌部材2は、この差し入れ開口20の幅方向にある開口縁を形成させる一対の縦側板部24、24と、この差し入れ開口20の長さ方向にある開口縁を形成させる一対の横側板部25、25とを有しており、これら各板部24、25…により前記雄部材1の弾性脚10の、前記差し入れ開口20に続く差し入れ空間26を内部に有している。かかる雌部材2の前記差し入れ空間26は、前記差し入れ開口20と反対の側では閉塞されている。この実施の形態にあっては、前記基板部22がかかる反対の側において前記差し入れ空間26を閉塞しており、この基板部22における前記巻き掛けバー21aに向き合った側と反対の側面が、前記差し入れ空間26の内奥仕切面22aとされている。
【0033】
一方、前記雄部材1の一対の弾性脚10、10は、互いのその脚軸10aを略平行に配し、かつ、互いの当該脚軸10aが仮想の一つの平面に含まれるように、間隔を開けて設けられている。すなわち、かかる雄部材1の一対の弾性脚10、10は、それぞれ、この雄部材1における前記基板部12の前記巻き掛けバー11aと反対の側に一端側を一体に連接させた状態で、同じ向きに突き出すように設けられている。
【0034】
この雄部材1の一対の弾性脚10、10は、それぞれ、その先端側に頭部15を有する。この頭部15は、当該一対の弾性脚10、10の前記雌部材2内への差し入れ方向Sに概沿った四つの周側面と、前端面15eおよび後端面15fを有している。そして、この一対の弾性脚10、10は、それぞれ、かかる頭部15の四つの周側面のうち、当該頭部15における他方の弾性脚10に向き合わない側にある外側面15aを、前記雌部材2の縦側板部24の内面24aに摺接させる向きで、当該雌部材2の前記差し入れ開口20より当該雌部材2の前記差し入れ空間26内に差し入れられる構成としてある。
【0035】
より詳細には、かかる頭部15の四つの周側面のうち、当該頭部15における他方の弾性脚10に向き合う側にある内側面15bは前記外側面15aと同じ縦向きにあり、この外側面15aおよび内側面15b間に亙る上下側面15c、15dは、横向きに設けられている。
【0036】
また、この実施の形態にあっては、弾性脚10における基部と前記頭部15の前記後端面15fとの間が、当該頭部15より細い細脚部10bとしてある。それと共に、かかる頭部15の内側面15bと下側面15dとがそれぞれ、かかる細脚部10bの外面と略同面をなすように構成してある。この結果、この実施の形態にあっては、前記頭部15の後端面15fは、主として、前記頭部15の外側面15aおよび上側面15cと、前記細脚部10bの外面との間において、形成されている。
【0037】
また、この実施の形態にあっては、前記雄部材1は、前記一対の弾性脚10、10の間に、当該弾性脚10との間に間隔を開けて、かつ、当該弾性脚10と略平行となるように、前記基板部12から一体に突き出される角桿状をなす中脚14を有している。
【0038】
この中脚14は、前記雌部材2の一対の横側板部25、25の内面25a間に亙る太さを備え、かかる雌部材2内への差し入れに伴って、この一対の横側板部25、25間に略密に収まるようにしてある。また、この中脚14はその差し入れ先端14bを前記弾性脚10の頭部15における差し入れ先端、つまり、前記前端面15eよりも前方に位置させる長さに構成してある。すなわち、この実施の形態にあっては、かかる中脚14が、後述するように、前記弾性脚10の頭部15の上側面15cを雌部材2の横側板部25の内面25aに対し雌部材2内への差し入れに伴って確実かつ十分に摺接させ、この摺接により当該弾性脚10を弾性変形させる脚体としてある。
【0039】
また、前記雌部材2の一対の縦側板部24、24の内面24a間の最大寸法L2よりも、前記雄部材1の一対の弾性脚10、10の頭部15の前記外側面15a間の寸法L1がやや大きくなるようにしてあると共に、(図4/以下、第一の寸法差構成という。)前記雌部材2の一対の横側板部25、25の内面25a間の寸法L4よりも、前記雄部材1の一対の弾性脚10、10の頭部15の前記上側面15cと、この上側面15cと反対の側にある前記中脚14の横側下面14aとの間の寸法L3がやや大きくなるようにしてある。(図5および図6/以下、第二の寸法差構成という。)なお、この実施の形態にあっては、前記一対の縦側板部24、24は、前記差し入れ開口20側から窓穴27の縦向きの窓縁部27a側に亙って、次第に内側に突き出すように傾斜している。
【0040】
また、前記雄部材1の一対の弾性脚10、10の頭部15よりも前記中脚14が太く、かかる頭部15の前記下側面15dがかかる中脚14の横側下面14aよりも上方に位置される構成としてある。
【0041】
さらに、前記一対の弾性脚10、10の前端面15eと上側面15cおよび外側面15aとの間のコーナーにはそれぞれ、この弾性脚10の基部側に向けて当該頭部15を太める向きの面取り状の傾斜面15gが形成してある。
【0042】
この結果、この実施の形態にあっては、前記雌部材2の差し入れ開口20から前記雄部材1の一対の弾性脚10の側を差し入れることに伴って、先立って前記雌部材2の横側板部25の内面25aに摺接される前記中脚14により、前記頭部15の外側面15aを雌部材2の縦側板部24の内面24aに、かつ、当該頭部15の上側面15cを当該雌部材2の横側板部25の一方の内面25aに摺接させて、前記第一および第二の寸法差構成による寸法差分、一対の弾性脚10、10を主としてその基部側を中心に、内向きで、かつ、前記頭部15の上側面15cの摺接される側と反対の前記雌部材2の横側板部25側に向けて、いわば、斜め下向きに弾性変形させることができる。(図7〜図9) なお、前記頭部15の傾斜面15gにより、前記雌部材2の差し入れ開口20からの前記雄部材1の一対の弾性脚10、10の側の当該雌部材2の差し入れ空間26内への差し入れは円滑なものとされる。また、前記雌部材2の一対の縦側板部24、24は、前記向きの傾斜を備えていることから、当該雌部材2内への前記弾性脚10の差し入れに伴って当該弾性脚10は次第に内向きに撓み込まされるものとされ、かかる差し入れを無理なくなすことが可能としてある。
【0043】
一方また、前記雄部材1の前記基板部12は、前記雌部材2の差し入れ開口20に入り込まない大きさに形成されており、この雄部材1の基板部12が雌部材2の差し入れ開口20縁に突き当たる位置から先への雌部材2内への前記弾性脚10の入り込みは阻止される。(図10、図11/以下、この位置を最大差入位置Saという。)
【0044】
そして、この実施の形態にあっては、前記雌部材2に、かかる最大差入位置Saにおいて、前記のように弾性変形された一対の弾性脚10、10の頭部15が、この弾性脚10の弾性復帰によりそれぞれ突き出される大きさを備えた一対の窓穴27が設けられている。
【0045】
この実施の形態にあっては、かかる窓穴27は、前記雌部材2の縦側板部24とこの縦側板部24に続く両横側板部25とに亙って、これら各板部24、25の一部を切欠くようにして形成してある。この窓穴27は、前記雄部材1の弾性脚10の差し入れ方向Sにおいて、この雄部材1の前記弾性脚10の頭部15の前端面15eから後端面15fに亙る長さ以上の長さを備え、かつ、前記雌部材2の内側に向けて、前記頭部15の外側面15aと内側面15bとの間隔以上の深さで、当該横側板部25を割り欠くように構成してある。
【0046】
この結果、かかる窓穴27は、少なくとも、前記差し入れ開口20の側において、前記縦側板部24側の縦向きの窓縁部27aと、前記横側板部25側の横向きの窓縁部27bとを備えている。
【0047】
これにより、前記のように雌部材2に前記一対の弾性脚10、10の側を差し入れ、前記のようにこの一対の弾性脚10、10を弾性変形させた前記雄部材1を、前記最大差入位置Saまでさらに差し入れることで、前記頭部15は前記窓穴27から突き出し可能とされる。すなわち、かかる最大差入位置Saまでの雄部材1の一対の弾性脚10、10側の雌部材2内への差し入れにより、前記一対の弾性脚10、10をそれぞれ、当該弾性脚10の主としてその基部側を中心に、外向きで、かつ、前記頭部15の上側面15cの摺接される側の前記雌部材2の横側板部25側に向けて、いわば、斜め上向きに弾性復帰させることができる。(図10〜図13)
【0048】
そして、この弾性脚10の弾性復帰により、前記頭部15の後端面15fのうち、当該頭部15の外側面15aの向き側にある後端面15fを、前記窓穴27の縦向きの窓縁部27aに、そしてまた、前記頭部15の後端面15fのうち、当該頭部15の上側面15cの向き側にある後端面15fを、前記窓穴27の横向きの窓縁部27bに、それぞれ掛合されるように位置付けることができる。
【0049】
これにより、前記取付部11、21をもって取り付けられた、より具体的には、前記差し入れスリット11b、21bを通じて前記巻き掛けバー11a、21aに巻き掛けられるなどされて雌部材2および雄部材1にそれぞれ取り付けられたベルトHなどを、前記掛合により留め合わされたかかる雌部材2および雄部材1を介してワンタッチで連結状態にすることができる。
【0050】
また、この実施の形態にあっては、前記弾性脚10における細脚部10bが、この細脚部10bの突き出し方向に略直交する向きの断面形状を、この細脚部10bの長さ方向いずれの箇所においても略一様とするように構成してあると共に、この断面形状が、前記雌部材2への差し入れ方向Sに沿った縦方向にある仮想の面Mに対し、斜めに交叉する向きに長くなるように構成してある。
【0051】
より詳細には、かかる弾性脚10の細脚部10bは、前記頭部15の上側面15c側から下側面15d側に向けて次第に幅広の両面10c、10cの双方を当該頭部15の外側面15a側に近付ける向きに当該幅広の両面10c、10cを傾斜させるように、前記断面形状において、この細脚部10bの脚軸10aを通る前記仮想面Mに対し、斜めに交叉する向きに長くなる、板状に構成してある。
【0052】
この結果、この実施の形態にあっては、前記最大差入位置Saにおいて前記窓穴27における縦向きの窓縁部27aおよび横向きの窓縁部27bの双方に前記頭部15の後端面15fを掛合させるようにした当該頭部15を、かかる窓穴27を利用して前記外側面15a側から内向きに押圧すると、概、前記細脚部10bの断面において薄い向き、すなわち、この細脚部10bの幅狭方向に向けて当該細脚部10bは弾性変形され、これにより、前記頭部15は斜め下向きに移動される。(図14〜図17)そして、この頭部15の移動により、この頭部15と前記窓穴27との掛合を解いて、前記雌部材2内から雄部材1の一対の弾性脚10、10を抜き出させ、両部材1、2に取り付けられた前記ベルトHなどの連結状態を解除することができる。
【0053】
この連結状態の解除操作は、片手の指二本により、前記雌部材2の一対の窓穴27、27のそれぞれから突き出されている前記雄部材1の一対の弾性脚10、10の頭部15を同時に押圧しながら、この頭部15を雌部材2の差し入れ開口20側にスライド状に移動させるように操作することにより、なすことができる。両部材1、2に取り付けられているベルトHなどに張力が加わっている場合、かかる頭部15の押圧をなして当該頭部15と前記窓穴27との掛合を解くと、その後特に雌部材2内から雄部材1を抜き出させるように前記頭部15をスライド状に移動させるように操作したり、雄部材1を別途引っ張らなくても、かかる張力により雄部材1は雌部材2内から抜き出される。
【0054】
また、この実施の形態にかかるバックルによれば、前記頭部15を、前記窓穴27に対し、この窓穴27の前記差し入れ開口20側にある縦向きの窓縁部27aと横向きの窓縁部27bとの双方において、前記斜め上向きの弾性脚10の弾性復帰により十分な掛合代を持たせて掛合させることができ、かかる掛合力を比較的強固なものとすることができる。
【0055】
また、前記斜め上向きの弾性脚10の弾性復帰により、前記頭部15の前記上側面15cを、この頭部15の掛合される前記横向きの窓縁部27bに続く前記雌部材2の横側板部25の外面との間に外観上目立つギャップを生じさせないように前記掛合時において位置付けることができ、かかる頭部15の上側面15cが位置付けられる側の当該雌部材2の横側板部25の外面を化粧面、つまり、バックル正面Fとするようにバックルを構成した場合における当該バックルの外観性を向上させることができる。
【0056】
なお、この実施の形態にあっては、前記雄部材1の頭部15に掛合される、前記差し入れ開口20側にある前記窓穴27の横向きにある窓縁部27bが、かかる差し入れ開口20に近付くに連れて次第に、前記雄部材1の差し入れ方向Sにおける当該窓穴27の幅、(すなわち、この横向きにある窓縁部27bとこれに対向する前記取付部21の側にある横向きの窓縁部との間の間隔)を広げるように傾斜した構成としてある。また、前記雄部材1の弾性脚10の頭部15における前記後端面15fが、この後端面15fが掛合される前記窓穴27の横向きにある窓縁部27bの前記傾斜に倣った傾斜を備えた構成としてある。この結果、前記取付部11、21に取り付けられたベルトHなどに張力が加われば加わるほど、この張力により雌部材2内から抜き出される向きに引っ張られる雄部材1の前記頭部15は前記窓穴27の外方に突き出す向きに案内され、こうした張力により予期せず前記掛合が解かれる事態が生じ難いものとしてある。
【0057】
また、この実施の形態にあっては、前記雌部材2における差し入れ空間26が、前記雄部材1の差し入れ方向Sに沿って、この雌部材2の前記一対の横側板部25、25間に亙るように間隔を開けて設けられた一対の仕切り板28、28により区分された構成としてあり、この一対の仕切り板28、28間に、この一対の仕切り板28、28の対向面によりガイドしながら、前記中脚14が差し入れられる構成としてある。
【0058】
なお、前記雌部材2の横側板部25の内面25aには、前記差し入れ開口20の開口縁において外方に開放され、かつ、この開口縁から前記一対の仕切り板28、28間に続き、前記内奥仕切面22aに至る溝29が設けてあり、この溝29は、前記差し入れ開口20の開口縁側において、前記一対の仕切板28、28間に前記中脚14を入れ込み易くするように、溝幅を広くして構成してある。
【0059】
前記雄部材1をプラスチック材料により射出成形などの手法で一体に成形することにより、前記弾性脚10に所要の弾性変形特性を付与することができる。雌部材2も同様にプラスチック材料により構成してあることもある。
【0060】
雌部材2および雄部材1の形状は、必要に応じて適宜変更することができる。
【0061】
例えば、雌部材2における縦側板部24がその中央側に向かうに連れて外方に次第に突き出すように、当該縦側板部24を、当該雌部材2の幅方向に沿った縦断面形状において湾曲状をなすものとして形成してあることもある。(図18ないし図20)この場合には、雄部材1の弾性脚10における頭部15の外側面15aならびに上側面15cが、かかる雌部材2の窓穴27への当該頭部15の掛合時に当該雌部材2の前記縦側板部24の外面に略沿った状態で、当該頭部15が当該窓穴27から突き出されるように、当該頭部15の外側面15aならびに上側面15cを前記縦側板部24の外面の湾曲に倣った湾曲面として構成することが、雄部材1と雌部材2との掛合時の外観を向上させる観点から、好ましい。
【0062】
また、例えば、雌部材2における縦側板部24が、一方の横側板部25側から他方の横側板部25側に向けてその一部を次第に内向きに傾斜させるように、当該縦側板部24を、当該雌部材2の幅方向に沿った縦断面形状において傾斜部24bを有するように形成してあることもある。(図21ないし図23)この場合には、雄部材1の弾性脚10における頭部15の外側面15aが、かかる雌部材2の窓穴27への当該頭部15の掛合時に当該雌部材2の前記縦側板部24の外面に略沿った状態で、当該頭部15が当該窓穴27から突き出されるように、当該頭部15の外側面15aが前記縦側板部24の傾斜部24bの傾斜に倣った傾斜面15a’を備えるように構成することが、雄部材1と雌部材2との掛合時の外観を向上させる観点から、好ましい。
【0063】
また、雄部材1における弾性脚10の細脚部10bが、その脚軸10aに直交する向きの断面形状において、略円形状をなすように構成してあることもある。(図24)このように弾性脚10の細脚部10bを構成した場合、弾性脚10はどの向きにも撓み変形させ易いことから、この場合にあっても、前記雄部材1と雌部材2との掛合状態において、当該雄部材1の弾性脚10の頭部15における後端面15fが前記雌部材2の窓穴27における縦向きの窓縁部27aおよび横向きの窓縁部27bの双方からの掛合を解くように、当該窓穴27から突き出されている前記頭部15を押圧操作すること、すなわち、当該頭部15を前記斜め下向き移動させるように前記細脚部10bを弾性変形させることができる。
【0064】
【発明の効果】
この発明にかかるバックルによれば、雄部材と雌部材との掛合の解除操作を片手でも解き易いサイドリリースタイプのバックルでありながら、バックルの使用上正面となる側において雄部材の弾性脚の頭部と、この頭部が掛合される雌部材の窓穴縁部との間に、当該掛合時に外観上目立つ段差が形成され難いようにして、バックルの外観性を向上させることができる。また、雄部材の弾性脚の頭部と雌部材の窓穴との掛合を、向きの異なる二つの位置でなさしめることにより、当該掛合力を高く確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】バックルの分離斜視図
【図2】バックルの分離斜視図
【図3】雄部材1の一部を破断して表したバックルの側面図(分離状態)
【図4】雌部材2を断面にして表したバックルの平面図(分離状態)
【図5】図4におけるA−A線断面図
【図6】雌部材2の側面図
【図7】雄部材1の一部を破断して表したバックルの側面図(差し入れ、または、抜き出し途中の状態)
【図8】雌部材2を断面にして表したバックルの平面図(差し入れ、または、抜き出し途中の状態)
【図9】図4におけるB−B線断面図
【図10】雄部材1の一部を破断して表したバックルの側面図(掛合状態)
【図11】雌部材2を断面にして表したバックルの平面図(掛合状態)
【図12】図11におけるC−C線断面図
【図13】図11におけるD−D線断面図
【図14】雄部材1の一部を破断して表したバックルの側面図(掛合解除操作状態)
【図15】雌部材2を断面にして表したバックルの平面図(掛合解除操作状態)
【図16】図15におけるE−E線断面図
【図17】図15におけるF−F線断面図
【図18】図1ないし図17に示される例と形状の一部を変更した例を、雌部材2を断面にして表したバックルの平面図(掛合状態)
【図19】図18におけるG−G線断面図
【図20】図18におけるH−H線断面図
【図21】図1ないし図17に示される例および図18ないし図20に示される例と形状の一部を変更した例を、雌部材2を断面にして表したバックルの平面図(掛合状態)
【図22】図21におけるI−I線断面図
【図23】図21におけるJ−J線断面図
【図24】図1ないし図17に示される例と弾性脚10の細脚部10bの形状を変更した例を、図11におけるCーC線相当位置で断面にして示した構成図
【符号の説明】
H ベルト
1 雄部材
10 弾性脚
11 取付部
15 頭部
2 雌部材
20 差し入れ開口
21 取付部
24 縦側板部
25 横側板部
27 窓穴
27a 窓縁部
27b 窓縁部
Claims (5)
- ベルト等の取付部から一体に突き出される弾性脚を有し、かつ、この弾性脚の先端側に頭部を有する雄部材と、
ベルト等の取付部と、前記雄部材の弾性脚の差し入れ開口と、この差し入れ開口からの雄部材の弾性脚の差し入れに伴って当該弾性脚の前記頭部に内面を摺接させて当該弾性脚を弾性変形させる前記差し入れ開口に続く縦側板部及び当該差し入れ開口に続く横側板部の一方と、当該一方の横側板部と当該縦側板部の一部を欠切するようにして形成された前記雄部材の弾性脚の頭部の突き出される窓穴とを有する雌部材とを備えると共に、
この雌部材の窓穴が、前記差し入れ開口から弾性変形されながら当該雌部材に差し入れられた前記雄部材の弾性脚の弾性復帰により、前記窓穴から突き出された当該雄部材の弾性脚の頭部に対し、前記差し入れ開口側にある前記縦側板部側の窓縁部と、前記一方の横側板部側の窓縁部とで掛合して、当該頭部を留め付ける構成としてあり、
しかも、前記雄部材の弾性脚の弾性変形の向きが、この弾性変形により、当該雄部材の弾性脚の頭部と前記雌部材における前記窓穴の縦側板部側の窓縁部との掛合及び当該窓穴の前記一方の横側板部側の窓縁部との掛合を解く斜め内向きとなるようしてあることを特徴とするバックル。 - 少なくとも、雄部材の弾性脚の弾性変形部分の断面形状が、雌部材への差し入れ方向に沿った縦方向にある仮想の面に対し、斜めに交叉する向きに長くなるように構成してあることを特徴とする請求項1記載のバックル。
- 少なくとも、雄部材の弾性脚の弾性変形部分の断面形状が、略円形状となるように構成してあることを特徴とする請求項1記載のバックル。
- 弾性脚の側方に、当該弾性脚と共に前記雌部材内に差し入れられる脚体を有し、この脚体の差し入れ先端が前記弾性脚の差し入れ先端よりも前方に位置されると共に、この脚体が前記雌部材内への当該弾性脚の差し入れに伴って前記弾性脚の頭部が摺接される前記雌部材の横側板部に当該頭部の摺接に先立って摺接される構成としてあることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載のバックル。
- 雌部材の縦側板部の内面が差し入れ開口側から窓穴側に向けて次第に内側に突き出すように傾斜していることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載のバックル。
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