JP4148466B2 - 回転体制御機構、回転体制御ユニット及び回転体の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗濯機の回転ドラム等の回転体を停止拘束する回転体制御機構、回転体制御ユニット及び回転体の制御方法に関するものであって、特に、ホールIC等の半導体素子を用いることなく機械的な制御で回転体を停止拘束することが可能な回転体制御機構、回転体制御ユニット及び回転体の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、エネルギー問題への関心の高まりや景気低迷による企業経営の合理化に起因して、省エネや製造コスト削減に大きく貢献し得る家電製品の開発が益々盛んになっている。例えば、現在全国的に広く普及している洗濯機の省エネや製造コスト削減には、大きな期待が懸かるところである。
【0003】
ところで、従来より、洗濯機(乾燥機付き全自動洗濯機を含む)の本体には、洗濯機内部にある回転ドラムへ衣類を出し入れするための衣類取出口が設けられ、この回転ドラムには、回転ドラム内へ衣類を出し入れするためのドラム投入口が設けられている。ここで、洗濯終了後、回転ドラム内に収容されている衣類を取り出すためには、洗濯機本体の衣類取出口と、回転ドラムのドラム投入口と、が一定の相対的位置関係になければならず、一旦回転ドラムがこの相対的位置関係をもって定位置に停止した後は、安全上の観点から、衣類の片寄りによる偏荷重によって回転ドラムが回転するのを防がなければならない。
【0004】
そこで、かかる要請に応えるために、洗濯終了後に回転ドラムを確実にロックするための様々な技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。図16は、特許文献1に開示された発明に係る洗濯機の側面断面図であり、この発明は、回転ドラム内に収容されている衣類を取り出す際に、回転ドラムの回転を機械的な制御機構によって停止拘束するものとなっている。より具体的には、以下に説明する。
【0005】
図16において、特許文献1に開示された発明に係る洗濯機は、本体1内に水平軸周りに回転自在に配設された回転ドラム4と、この回転ドラム4の周側面に設けられたドラム投入口(図示せず)と、本体1の上面に設けられた衣類取出口32と、を備え、回転ドラム4に嵌合凹部24を有したディスク21が連結して設けられ、この嵌合凹部24と嵌合して、ドラム投入口と衣類取出口32との位置を合致させた後回転ドラム4を停止拘束する嵌合凸部26を有する嵌合レバー25が設けられている。このような構成によれば、洗濯(乾燥)終了時には、嵌合凹部24と嵌合凸部26とを嵌合させ、回転ドラム4のドラム投入口と本体1の衣類取出口32とを合致させて回転ドラムを停止させ、この位置で回転ドラム4を停止拘束することによって、ドラム投入口及び衣類取出口32を介して回転ドラム4内に収容されている衣類を安全に取り出すことが可能となる。
【0006】
ここで、特許文献1に開示された発明は、嵌合凹部24と嵌合凸部26とを嵌合させるにあたって上述のとおり機械的な制御機構を採用するものとなっている。すなわち、洗濯終了後(回転ドラム4の停止後)、嵌合レバー25の嵌合凸部26がディスク21の周面に押し付けられた状態で回転ドラム4(ディスク21)を微速回転させ、ディスク21の嵌合凹部24が嵌合レバー25の嵌合凸部26まで回転してきたときに必然的に嵌合状態が形成され、ドラム投入口と衣類取出口32とが合致した状態で回転ドラム4が停止拘束される、という機械的な制御機構を採用している。
【0007】
一方、近年では、洗濯機側で位置検出を行い予め回転ドラム4を所定の位置に停止させた後に、ドラムロックを行うモータユニットを動かし回転ドラムを完全に停止拘束させる、といった洗濯機側主導の制御機構も提案されている。例えば、予め回転ドラム4を所定の位置に停止させる手段として、図17に示すような手段が挙げられる。
【0008】
図17において、ディスク21の周囲或いは一部に3個のホールICよりなるホールICユニット51を設け、端子51a,51b,51cから電気角60度ごとの位置信号を検出することによって、回転ドラム4の位置を検出し、回転ドラム4を所定の位置に停止させることを可能としている。従って、かかる洗濯機側主導の制御機構を採用した場合には、回転ドラム4とドラムロックを行うモータユニットとの相対的位置関係を検出するために、ホールICユニットなどの位置センサーを設けて回転ドラム4の位置を常時監視することとなる。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−122374号公報(段落番号0024、図3)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ドラムロックを行うべく嵌合凹部24と嵌合凸部26とを嵌合させるにあたって上述した制御機構を採用したのでは以下の問題がある。
【0011】
まず、特許文献1に開示された機械的な制御機構においては、洗濯機の使用中は回転ドラム4の回転を回転数検知回路で検知し、回転ドラム4が停止して回転数0と検知すると、嵌合レバー25の嵌合凸部26がディスク21の周面に押し付けられた状態で回転ドラム4(ディスク21)を微速回転させる。そして、微速回転の途中で嵌合凸部26と嵌合凹部24とによる嵌合状態が形成されることとなるが、嵌合状態が形成された直後であっても回転数検知回路で回転数0と検知されるまでは、この嵌合状態に反して回転ドラム4を回転させようとするために、回転ドラム4のドラム駆動モータ22、ディスク21、嵌合レバー25その他の周辺機構(例えば、プランジャ27、バネ29等)に過大負荷がかかり、これらの機構を破壊してしまうといった問題がある。
【0012】
また、このような機構を破壊することなく定位置で嵌合状態を形成するためには、上述したようなホールICユニットなどの位置センサーを設けて回転ドラム4の位置を常時監視して制御を行う必要があるが、これでは、ホールIC等の半導体素子を機能させるために不可欠な電子回路素子を多数組み込み、回転ドラム4とドラムロックを行うモータユニットとの相対的位置関係を検出することで回転ドラム4の位置を常時監視するものであることから、部品点数の増大はもとより消費電力の増加を誘起するといった問題がある。
【0013】
さらに、回転ドラム4の位置を検出するセンサーと、かかる回転ドラム4のドラムロックを行う嵌合レバー25等のストッパ部材と、は別体となって構成されているため、センサーからストッパ部材に送られた信号やストッパ部材からセンサーに送られた信号の伝送途中でノイズ等が発生し、ストッパ部材が誤動作するという問題がある。
【0014】
そこで、本発明者は、高価なホールIC等の半導体素子を用いることなく、実施容易かつ安価な機械的な制御機構によって回転の位置検出を可能とした回転体制御機構を着想するに至った。
【0015】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転体の回転を停止拘束するために、位置検出に関するホールIC等の半導体素子を用いた洗濯機主導の制御機構において生ずるコストアップ及び消費電力増加を伴わない機械的制御機構を採用した場合であっても、回転体の位置検出を可能として、確実にドラムロックを行うことができる回転体制御機構、回転体制御ユニット及び回転体の制御方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
以上のような課題を解決するために、本発明は、回転体から突設された突起部分に、ストッパと当接する当接部とストッパと係合する係合部が設けられており、ストッパと係合部とが係合して回転体を停止拘束する前の所定位置においてストッパが当接部に達したときに、回転体とストッパとの位置を示す位置検出信号が出力されることを特徴とする。
【0017】
より具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0018】
(1) 円周方向に係合部が形成された回転体と、前記回転体を停止拘束するストッパが設けられた回転体制御ユニットと、を有し、前記回転体が前記ストッパと対向して回転する最中に、当該ストッパが前記係合部に係合して当該回転体を停止拘束する回転体制御機構において、前記回転体には、その回転体の回転半径より大きく設定され、前記ストッパと当接する当接部が、その係合部の両端に形成されているとともに、前記回転体制御ユニットには、前記ストッパがその抑制状態に反抗した状態にあるときに信号を出力する第1出力手段が設けられており、前記回転体が前記ストッパと対向して回転し、当該ストッパが前記当接部に達したときに、前記第1出力手段から信号が出力されることを特徴とする回転体制御機構。
【0019】
本発明によれば、円周方向に形成された係合部と、この係合部の両端に形成された当接部と、がその円周面に沿って形成されている回転体、
この回転体の回転を停止拘束するためのストッパと、このストッパがそのストッパ機能を果たす障害となる外力によって、その抑制状態に反抗した状態にあるときに信号を出力する第1出力手段と、が設けられている回転体制御ユニット、
を有する回転体制御機構によって、回転体の回転半径と略同一の半径の円周上を回転体がストッパと対向して回転しているときに、この回転体の回転半径より大きく設定された当接部(回転体の突起部分に設けられた当接部)において、ストッパと回転体とが当接し、その作用によってストッパに外力が働いてストッパが抑制状態に反抗した状態となるので、この状態を検知した第1出力手段が信号を出力することから、かかる信号に基づいて回転体とストッパとの相対的位置関係を検出することができる。
【0020】
すなわち、従来は、回転体とストッパとの相対的位置関係を検出するために、ホールIC等の位置センサーを設けて回転体の位置を常時監視していたものであるが、本発明によれば、回転体とストッパとの相互作用によって、ある特定の位置に回転体がきたときにストッパの変化を捉えてその変化を電気信号に変換するという、一時的な電気信号の検出のみで回転体とストッパとの相対的位置関係を検出することができる。従って、回転体とストッパとの相互の機械的作用によって監視に要する部品費や部品点数を少なくしてコストダウンを図ることができるとともに、一時的な電気信号の検出のみによって電力消費の無駄を避け、省エネに貢献することができる。
【0021】
ここで、回転体はストッパと「対向して」回転するものであるが、これは、回転体がストッパと摺接して回転する場合のみならず、回転体とストッパとの間に間隙を設けた状態で回転する場合を含む。回転体がストッパと摺接して回転する場合には、回転体は、ストッパからも回転抑制作用を受け、回転体とストッパとの磨耗によって、回転体やストッパが劣化しまうことが懸念されるが、回転体とストッパとの間に間隙を設けた状態で回転する場合には、ストッパが回転体の当接部に当接するのは一瞬に過ぎないため、回転体やストッパの磨耗劣化を防ぐことができ、ひいては、ストッパ先端部の磨耗によって、ストッパが回転体の当接部に達したことを検知するスイッチとしての機能の感度が鈍くなって、スイッチの寿命が短くなるという欠点も防ぐことができる。また、回転体がストッパと摺接して回転する場合には、回転体の動作時に、振動によるストッパのスイッチ機能が誤動作してしまうことが懸念されるが、回転体とストッパとの間に間隙を設けた状態で対向して回転することで、かかる誤動作を防止できスイッチ機能の安定性を図ることができる。
【0022】
また、ストッパと当接する当接部は、「回転体の回転半径より大きく設定」されて回転体から突設されていればよく、その位置やその形状の如何は問わない。例えば、ストッパの磨耗をより少なくすべく丸みを帯びた形状であっても構わないし、ドラムロックの確実性を向上すべく十分な高さのある台形形状であっても構わない。このように、回転体から突設する部分(当接部)を設けておくことによって、かかる当接部をストッパに状態変化を与えてストッパがその抑制状態に反抗した状態となるためのトリガーとして機能させることができる。
【0023】
また、かかる当接部は、ストッパの磨耗防止と回転体の停止拘束の確実性という相反する技術的課題を解決している。すなわち、より確実に回転体を停止拘束させようとすると、ストッパを回転体の周面により強く押し付ける必要があるため磨耗劣化を更に進行させることになり、その一方で、ストッパの磨耗劣化を避けようとすると、ストッパを回転体の周面に軽く接触させた状態で回転体を微速回転させる必要があるため回転体の停止拘束の確実性が欠如することになる。そこで、回転体に当接部を設けることによって、係合状態にないときは、ストッパと回転体とを強く押し付けないでストッパの磨耗劣化を防止するとともに、係合状態にあるときは、回転体から突設している分だけ回転体とストッパとの位置関係(回転体の回転半径方向の位置関係)が小さくなり、回転体の停止拘束の確実性を図ることができることとなるので、嵌合部品の磨耗劣化と回転体の停止拘束の確実性欠如の課題を解決することができる。
【0024】
さらに、「その抑制状態に反抗した状態」とは、ストッパの動きを抑制する状態に逆らって動作した状態をいう。より具体的には、回転体制御ユニットからストッパが突出し、ストッパの動きが完全に抑制された状態において、外力が働いた結果、ストッパが係合部から離脱する方向に動作し、すなわちその抑制状態に逆らって動作した状態をいう。例えば、コイルバネにおいて、コイルの全長が伸びる方向に作用する復帰力を利用して予めストッパの抑制状態を保持しておき、ストッパの動作に起因してコイルの全長が縮んだ場合に上述の反抗状態に遷移するような構成であってもよいし、また、コイルの径が大きくなるように作用する復帰力を利用して予めストッパの抑制状態を保持しておき、ストッパの動作に起因してコイルの径が小さくなった場合に上述の反抗状態に遷移するような構成であってもよく、その構成態様の如何は問わない。
【0025】
(2) 前記ストッパが前記当接部に達したときに、前記回転体を所定量回転させて、当該ストッパを前記係合部に係合して当該回転体を停止拘束することを特徴とする回転体制御機構。
【0026】
本発明によれば、当接部と係合部とがその円周面に沿って形成されている回転体において、当接部と係合部との位置関係(直線距離、円周、円周角等)に応じた所定量を予め設定しておくことで、ストッパが当接部に達したときに、回転体を所定量だけ回転させることによって、ストッパが回転体の係合部と係合することができる位置に相対移動するので、ストッパを係合部に係合して回転体を停止拘束するという回転体の位置決め制御が可能になる。
【0027】
すなわち、ストッパが当接部に達したときには、前記(1)の発明によって、第1出力手段から信号が出力されることとなるが、この信号を検出することによって、ある特定の位置に回転体がきたことが検知でき、その特定の位置から予め設定された所定量だけ回転体を回転させればよいという位置決め制御が可能となる。
【0028】
従って、回転体の回転を停止拘束する回転体抑制ユニットの第1出力手段からの位置検出信号を利用して、回転体と回転体抑制ユニットのストッパとの相対的位置関係を検出し、定位置で回転体を停止することができるようになる。
【0029】
(3) 前記回転体制御ユニットには、前記回転体から前記ストッパを離脱する方向に移動させる解除手段が設けられており、前記ストッパが前記当接部に達したときに、前記解除手段を作動させる一方、前記回転体を所定量回転させて前記ストッパが前記係合部に達したときに、前記解除手段を作動状態から段階的に非作動状態にして、前記ストッパを前記係合部に係合して前記回転体を停止拘束することを特徴とする回転体制御機構。
【0030】
本発明によれば、回転体からストッパを離脱する方向に移動させることが可能な解除手段を回転体制御ユニットに設け、ストッパが当接部に達したときに解除手段を作動させる一方で、ストッパが係合部に達したときに作動状態にある解除手段を段階的に非作動状態に遷移させることによって回転体を停止拘束することから、回転体の係合部とストッパとを係合させる回転体の停止拘束体制に入る前に、解除手段によって一旦ストッパを回転体から離脱させておき、ストッパが係合部に達したときにストッパを徐々に回転体の方向に推進させることで、ストッパの突出による破壊防止及びノイズ防止を図ることができる。
【0031】
(4) 前記回転体制御ユニットには、前記ストッパが前記回転体の回転を抑制し得る状態にあるときに信号を出力する第2出力手段が設けられており、前記第1出力手段と前記第2出力手段とから出力された信号状態に基づいて、前記回転体制御ユニットと前記ストッパとの相対的位置関係を求め得ることを特徴とする回転体制御機構。
【0032】
本発明によれば、回転体制御ユニットに設けられた第1出力手段と第2出力手段から出力された信号状態(オン・オフ状態)に基づいて、回転体制御ユニットとストッパとの相対的位置関係を求めることができるので、特別な位置検出装置を用いる必要がなく、部品点数の削減やコストダウンに貢献することができる。
【0033】
ここで、第2出力手段は、ストッパが回転体の回転を抑制し得る状態にあるときに信号を出力するものであるが、「回転体の回転を抑制し得る状態」とは、ストッパが回転体から離脱されている状態(リリース状態)以外の状態、すなわち、ストッパと回転体とが係合している状態(ロック状態)は勿論のこと、ストッパが回転体の当接部に到達している状態(ロック準備状態)や、ストッパが回転体に非接触或いは接触(摺接)しており、回転体がストッパと対向して微速回転している状態(ロック前状態)を含むものである。
【0034】
(5) 回転体を停止拘束するストッパと、前記ストッパを回転体の円周面に突出させる方向に付勢する付勢手段と、前記付勢手段の付勢を解除して、回転体から前記ストッパを離脱する方向に移動させる解除手段と、前記ストッパが前記付勢手段の付勢に反抗した状態にあるときに信号を出力する第1出力手段と、前記ストッパが前記回転体の回転を抑制し得る状態にあるときに信号を出力する第2出力手段と、が設けられた回転体制御ユニットであって、前記第1出力手段と前記第2出力手段とからの信号状態に基づいて、前記ストッパと回転体との相対的位置関係を求め得ることを特徴とする回転体制御ユニット。
【0035】
本発明によれば、回転体制御ユニットに設けられた第1出力手段と第2出力手段とからの信号状態(オン・オフ状態)に基づいて、ストッパと回転体との相対的位置関係を求めることができるようにしたから、特別な位置検出装置を用いることなく位置検出を行うことができるとともに、ストッパを係合部に係合して回転体を停止拘束するという回転体の位置決め制御が可能になる。
【0036】
(6) 回転体とストッパとが係合する係合領域と、この係合領域の両端に配設され、回転体とストッパとが当接する当接領域と、回転体の円周に沿って回転体とストッパとが対向する対向領域と、が回転体の円周方向に形成されており、前記対向領域を移動するストッパが当該対向領域から前記当接領域に達したときに所定の位置で回転体を一旦停止させ、当該当接領域から前記係合領域まで回転体を再び回転させた後に、ストッパを前記係合領域に係合して回転体を停止拘束することを特徴とする回転体の制御方法。
【0037】
本発明によれば、係合領域と、当接領域と、対向領域と、が円周方向に形成された回転体を用いた回転体の制御方法を提供することによって、回転体の位置決め制御が可能になる。
【0038】
ここで、係合領域におけるストッパの状態は前述のロック状態に、当接領域におけるストッパの状態は前述のロック準備状態に、対向領域におけるストッパの状態は前述のロック前状態に相当する。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0040】
[回転体制御機構の外観構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る回転体制御機構の外観図である。
【0041】
図1において、本発明の実施の形態に係る回転体制御機構は、円盤形状であって不動の固定板101と、固定板101の中心軸を回転軸とし、固定板101と向かい合って回転する回転ドラム102と、固定板101に固定設置された回転体制御ユニット105と、から構成されている。そして、回転ドラム102には、その円周方向に係合部103が、その係合部103の両端に当接部104が、形成されている。また、回転体制御ユニット105には、回転ドラム102を停止拘束するためのストッパ106が設けられている。
【0042】
回転ドラム102は、上位装置(例えば洗濯機)に備えられた回転ドラム駆動用モータによって回転するものであり、その回転スピード、回転時間等の各パラメータは、プログラムによって任意に設定可能である。また、これらのパラメータは、回転体制御ユニット105から出力される電気信号に基づいて変更される。また、かかる上位装置に備えられた制御回路には、上述したプログラムを記憶するROM,RAMや、各種情報処理を行うCPUなどが設けられており、スイッチの出力信号の検知や位置決め制御などもCPUで行われることになる。
【0043】
回転ドラム102に形成された係合部103は、回転体制御ユニット105に設けられたストッパ106と係合することによって、回転ドラム102を停止拘束する役割を担うものである。そして、この係合部103の両端に形成された当接部104は、回転ドラム102の回転半径より大きくなるように凸状に設定されており、ストッパ106と回転ドラム102との間隙がある状態又は摺接状態で回転ドラム102が回転した場合には、ストッパ106の先端と当接するように形成されている。なお、係合部103は、その両端に形成された凸状の当接部104によって凹状を形成しており、図2においては、回転ドラム102の円周面の一部をその凹面としているが、これに限らず、回転ドラムの円周面に凹状部分を設け、かかる凹状部分と凸状の当接部104とによって凹面を更に深い位置にすることもできる。
【0044】
図2に示すように、回転ドラム102には、回転ドラム102とストッパ106とが係合する係合領域201と、この係合領域201の両端に配設され、回転ドラム102とストッパ106とが当接する当接領域202と、回転ドラム102の円周に沿って回転ドラム102とストッパ106とが対向する対向領域203と、がその円周方向に形成されている。
【0045】
回転体制御ユニット105に設けられたストッパ106は、回転体制御ユニット105から最大限に突出した状態で抑制状態となり、当接部104と当接した場合に、その作用によって回転体制御ユニット105に押し込まれるような構造となっている。
【0046】
図3は、本発明の実施の形態に係る回転体制御機構における回転ドラム102の回転時の外観図である。また、図4は、本発明の実施の形態に係る回転体制御機構における回転ドラム102が停止拘束された状態の外観図である。なお、図中の符号は、図1に示す符号と同じ構成要素であるため、その説明を省略する。
【0047】
図3及び図4において、回転ドラム102が回転している最中は、ストッパ106と当接部104が当接して回転の妨げとならないように、ストッパ106は回転体制御ユニット105の中に収納されて、リリース状態にある(図3参照)。一方で、回転ドラム102を停止拘束する際には、ストッパ106が回転体制御ユニット105から突出してドラムロックを行い、ロック状態にある(図4参照)。なお、図4において、ストッパ106がドラムロックをしている様子を側面から見た図を図5に示す。図4及び図5によれば、係合部103とストッパ106とが係合することによってドラムロックを実現しているのがわかる。
【0048】
なお、図4及び図5によれば、係合部103とストッパ106とは嵌合状態にあるが、本発明の効果の妨げにならない範囲において、係合部103にあそびをもたせて係合状態にすることができる。これより、本発明の実施の形態に係る回転制御機構は、回転ドラム102がドラムロック時の定位置よりも多少ずれた場合であっても、そのずれを補正する効果を奏するものとなる。
【0049】
[回転体制御ユニットの内部構造]
図6は、本発明の実施の形態に係る回転体制御ユニット105の内部構造を示す図である。
【0050】
図6において、本発明の実施の形態に係る回転体制御ユニット105は、回転ドラム102を停止拘束するストッパ106と、ストッパ106を回転ドラム102の円周面に突出させる方向に付勢する付勢手段として機能し、ストッパ106の抑制状態を作り出すためのコイルバネ107と、ストッパ106がその抑制状態に反抗した状態にあるときに導通状態を示すオン信号を出力するスイッチ108と、から構成されている。
【0051】
コイルバネ107は、ストッパ106が回転体制御ユニット105から突出するような方向に常時復帰力が働いている。なお、コイルバネ107は、種類・大きさ・材質の如何を問わないのは勿論のこと、本発明の効果の妨げとならず、ストッパ106の抑制状態を作り出すことができるものであれば、如何なるものであっても代替可能である。例えば、図7に示すように、フェライト磁石、ネオジム磁石、SmCo磁石等の産業用マグネット107a,107bを、ストッパ106と回転体制御ユニット105の所定の位置に取り付け、両者の斥力によってストッパ106の抑制状態を作り出すようにしてもよい。
【0052】
スイッチ108は、第1出力手段の一態様となるものであり、可動接片108aと固定接片108bとからなる。この可動接片108aは、ストッパ106が最大限に突出した状態では固定接片108bと非接触状態になっており、ストッパ106に外力が加わり、ストッパ106が回転体制御ユニット105の内部に押し込まれた場合、またはカム駆動用モータ114によりストッパ106が回転体制御ユニット105に引き込んだ場合に、接触状態に遷移するような構成になっている。
【0053】
[回転体制御ユニットの内部構造]
次に、本発明の実施の形態に係る回転体制御ユニット105の内部構造について、図8を用いて説明する。
【0054】
図8において、回転体制御ユニット105の内部には、上述したスイッチ108と、第2出力手段の一態様となるスイッチ109と、そのスイッチ109がオンする契機となる下段カム110と、ストッパ106の直線的な往復運動を実現せしめる上段カム111と、下段カム110及び上段カム111を連結して回転させるための動力伝達部112と、スイッチ108からの出力を取り出すための端子113a及び端子113bと、スイッチ109からの出力を取り出すための端子113d及び端子113eと、動力伝達部112に電力を供給するための端子113c及び端子113eと、から構成されている。
【0055】
スイッチ109は、可動接片109aと固定接片109bとからなり、双方が接触状態のときに導通状態を示すオン信号を出力するものとなっている。また、円盤形状をした下段カム110には凹部110aが設けられている。
【0056】
ここで、下段カム110は、スイッチ109の可動接片109aの凸部が常時接触した状態で回転動作を行う。すなわち、可動接片109aの凸部が下段カム110の凹部110aの部分と接触しているときには、可動接片109aと固定接片109bとは非接触状態となっており、可動接片109aの凸部が下段カム110の凹部110a以外の部分と接触しているときには、可動接片109aと固定接片109bとは接触状態となっている。従って、下段カム110が回転することによって、可動接片109aの凸部が下段カム110の凹部110aの部分と接触している状態から、可動接片109aの凸部が下段カム110の凹部110a以外の部分と接触している状態に遷移したときに、スイッチ109はオン信号(例えば1ボルト)を出力することが可能となる。そして、この電気信号の有無を検知することによって、ストッパ106を回転体制御ユニット105内に引き込む動作を停止する、といったストッパ106の引き込み動作量を決定することができる。
【0057】
上段カム111には、ストッパ106とリンクするための突起部111aが形成されている。この突起部111aは、上段カム111の中心軸を中心として回転動作を行うものである。
【0058】
図9は、本発明の実施の形態に係る回転体制御ユニット105における動力伝達部112の内部構造を示す図である。
【0059】
図9において、動力伝達部112には、カム駆動用モータの回転と連結して回転する歯車112aと、歯車112aから回転動力が伝達される歯車112bと、歯車112bから回転動力が伝達される歯車112cと、歯車112cから回転動力が伝達される歯車112dと、歯車112dから回転動力が伝達される歯車112eと、歯車112eから回転動力が伝達され、下段カム110及び上段カム111と連結して回転する歯車112fと、が設けられている。カム駆動用モータの回転動力は、これらの歯車を介して速度変換を行いながら歯車112fの回転軸(出力軸)に伝達されることとなる。
【0060】
ここで、図9では、回転動力を伝達する機械要素として、回転できる2軸に固定する剛体に凹凸面(歯)を設け、一方の凸面が他方の凹面に次々に入り込んで、すべり接触を行うことによって片方の軸から他方の軸に回転動力を伝達する歯車を採用しているが、本発明はこれに限られることなく、例えば、ローラーチェーン、ベルト、ロープ、摩擦車等、回転動力を伝達できる機械要素であれば如何なるものであっても構わない。また、図9では、回転動力を伝達する歯車として平歯車を採用しているが、本発明はこれに限られることなく、はすば歯車、まがりばかさ歯車、ウォームギア、ハイポイトギア等、如何なる種類の歯車であっても構わない。
【0061】
なお、カム駆動用モータは、上述のとおり、回転体制御ユニット105に設けられた端子113c及び端子113e(図8参照)からの電力供給を受けることによって、歯車112aに回転動力を伝達するものであるが、本発明においては、同期モータ等のアナログ的に回転するモータであってもよいし、ステッピングモータ等のデジタル的に回転するモータであってもよい。
【0062】
[回転体制御ユニットの展開側面図]
図10は、本発明の実施の形態に係る回転体制御ユニット105の展開側面図である。すなわち、図10は、図9において、歯車112a、歯車112b、歯車112c、歯車112d、歯車112e、歯車112fの中心軸を結んだ折れ線を一直線に展開し、回転体制御ユニット105の側面断面から観察したものである。なお、図中の符号は、図8及び図9に示す符号と同じ構成要素であるため、その説明を省略する。
【0063】
図10によれば、カム駆動用モータから歯車112a、歯車112b、歯車112c、歯車112d、歯車112e、歯車112fへと順々に回転動力が伝達されていく様子を一見して把握することができる。
【0064】
[回転体制御ユニットの電気的構成]
図11は、本発明の実施の形態に係る回転体制御ユニット105の電気的構成を示す回路図である。
【0065】
図11において、回転体制御ユニット105には、コイルバネ107の付勢を解除して、回転ドラム102からストッパ106を離脱する方向に移動させることが可能な解除手段としてのカム駆動用モータ114が設けられ、このカム駆動用モータ114の一端は端子113cに接続されており、カム駆動用モータ114の他端は端子113e及びスイッチ109の一端に接続されている。また、スイッチ109の一端は端子113eに接続されており、スイッチ109の他端は端子113dに接続されている。さらに、スイッチ108の一端は端子113aに接続されており、スイッチ108の他端は端子113bに接続されている。
【0066】
スイッチ108は、ストッパ106の動きによってオン・オフするように構成されている(図6参照)。例えば、端子113aと端子113bとの間に所定の電圧を常時印加しておき、ストッパ106がその抑制状態に反抗した状態になってスイッチ108がオンしたときに、両端子を含む閉ループが形成されたことに起因して流れる電流を検知することによって、ストッパ106に外力が加わったこと(ストッパ106の先端が当接部104(図3参照)に当接したこと)を検知することができる。
【0067】
また、スイッチ109は、下段カム110の動きによってオン・オフするように構成されている(図8参照)。例えば、端子113cと端子113dとの間に所定の電圧を常時印加しておき、下段カム110の動きによってスイッチ109がオンしたときに、両端子を含む閉ループが形成されたことに起因して流れる電流を検知することによって、ストッパ106と回転体制御ユニット105との相対的位置関係を検出することができ、ひいては、この電流を検知後、ストッパ106を回転体制御ユニット105内に引き込む動作を停止する、といったストッパ106の引き込み動作量を決定することができる。
【0068】
[タイミングチャート]
図12は、ストッパ106の動作位置と、スイッチ108とスイッチ109より出力される電気信号と、の関係を示すタイミングチャートである。
【0069】
図12において、上段はスイッチ108より出力される電気信号、中段はスイッチ109より出力される電気信号、下段はストッパ106の動作位置を示す。なお、下段に示すストッパ106の動作位置については、回転体制御ユニット105に最大限に引き込まれた状態が最小値となり、回転体制御ユニット105から最大限に突出した状態が最大値となるものとする。
【0070】
まず、ストッパ106は、コイルバネ107の復帰力によって回転体制御ユニット105から突出し始める。このとき、スイッチ109の可動接片109aの凸部が下段カム110の凹部110a内にあることから、スイッチ109はオフ状態を維持している。一方で、ストッパ106は回転体制御ユニット105から最大限に突出した状態ではないので、スイッチ108はオン状態である(領域D1:リリース状態)。
【0071】
次いで、コイルバネ107の復帰力によってストッパ106が更に突出し、所定量だけ動作した後、スイッチ109がオフ状態からオン状態に遷移する。より具体的には、図8を用いて上述したように、可動接片109aの凸部が下段カム110の凹部110aの部分と接触している状態から、可動接片109aの凸部が下段カム110の凹部110a以外の部分と接触している状態に遷移することによって、スイッチ109はオン状態に遷移する。一方で、ストッパ106は回転体制御ユニット105から最大限に突出した状態ではないので、スイッチ108はオン状態である(領域D2:リリース状態→ロック前状態の段階)。
【0072】
次いで、コイルバネ107の復帰力によってストッパ106が最大限に突出した状態になると、スイッチ108がオン状態からオフ状態に遷移する。より具体的には、今までストッパ106からの作用によって固定接片108bに押圧されていたスイッチ108の可動接片108aが、固定接片108bから離れることによって、スイッチ108はオフ状態に遷移する。一方で、スイッチ109の可動接片109aの凸部が下段カム110の凹部110a以外の部分と接触している状態に変わりはないことから、スイッチ109は依然としてオン状態である(領域D3:ロック前状態)。
【0073】
次いで、回転ドラム102がストッパ106と対向しているときに、このストッパ106と回転ドラム102に形成された当接部104とが当接し、その作用によってストッパ106に外力が働いてストッパ106が抑制状態に反抗した状態になると、スイッチ108がオフ状態からオン状態に遷移する。より具体的には、領域D3において、固定接片108bから離れていたスイッチ108の可動接片108aが、回転体制御ユニット105内に押し込まれたストッパ106からの作用によって再び固定接片108bに押圧されることによって、スイッチ108はオフ状態からオン状態に遷移する。一方で、スイッチ109の可動接片109aの凸部が下段カム110の凹部110a以外の部分と接触している状態に変わりはないことから、スイッチ109は依然としてオン状態である(領域D4:ロック準備状態)。
【0074】
最後に、領域D4においてスイッチ109がオン状態であることを示す電気信号を検知した後、回転ドラム102が所定量だけ回転して停止し、回転ドラム102の係合部103とストッパ106とを係合させる。このとき、スイッチ109は依然としてオン状態である。また、ストッパ106がコイルバネの付勢力により係合部103と係合するのでスイッチ108は再びオフ状態となる(領域D5)。
【0075】
ここで、カム駆動用モータ114を用いて、ストッパ106を回転体制御ユニット105内に引き込む場合には、スイッチ109がオフ状態となった時点での電気信号(オフ信号)を検知し、ストッパ106の引き込み停止位置を把握することができる。なお、以上の説明においては、ストッパ106が最大限突出した状態で、ストッパ106が回転ドラム102に非接触のまま、回転ドラム102がストッパ106と対向して微速回転している状態(ロック前状態)を示したが、本発明においては、ストッパ106が最大限突出できずに回転ドラム102の円周面と接触した状態で、回転ドラム102がストッパ106と摺接して対向したまま、回転ドラム102とストッパ106とが摺動して微速回転することもできる。この場合には、図6において、ストッパ106が最大限突出した状態でなくともスイッチ108がオンしないように、スイッチ108に遊びを持たせておく必要がある。
【0076】
[動作の流れ]
図13は、本発明の実施の形態に係る回転制御機構の具体的な動作の流れを示すフローチャートである。
【0077】
図13において、最初に、回転ドラム102はリリース状態にある(ステップS131)。より具体的には、ストッパ106は、回転体制御ユニット105に最大限に引き込まれた状態になっている。このとき、スイッチ109はオフ状態となっている一方で、スイッチ108はオン状態となっている。これより、回転体制御ユニット105の上位装置(例えば洗濯機)は、かかる信号状態を認識しながら動作することによって、回転ドラム102の高速回転中にストッパ106が当接部に当接し、ストッパ106が破損する、といった誤動作を防止することができ、ひいては回転動作の安定性を増すことができる。
【0078】
次いで、回転ドラム102の高速回転(例えば洗濯)が終了し、回転ドラム102が一旦停止する(ステップS132)。これより、本発明の実施の形態に係る回転制御機構が機能することによって、回転ドラム102の停止拘束が行われる(ステップS133〜ステップS139)。
【0079】
まず、ストッパ106が回転体制御ユニット105から突出する(ステップS133)。より具体的には、カム駆動用モータ114に電力が供給され、図9において説明したように上段カム111に回転動力が伝達される。そして、上段カム111の回転動作に伴い、突起部111aが上段カム111の中心軸を中心として回転動作を行うことによって、突起部111aにリンクされたストッパ106が回転体制御ユニット105から突出する。
【0080】
なお、この際スイッチ109の可動接片109aの凸部が下段カム110の凹部110aから出るまでの間は、カム駆動用モータ114による回転動力を利用し、この可動接片109aの凸部が下段カム110の凹部110aから出た後は、コイルバネ107の復帰力を利用してストッパ106を突出させるなど、コイルバネ107の復帰力を利用して効果的にストッパ106を突出させるようにしてもよい。
【0081】
次いで、ストッパ106を突出できるところまで突出させた後、スイッチ108の導通状態を示すオン信号が出力されているか否かを検知する(ステップS134)。スイッチ108の導通状態を示すオン信号が出力されていない場合には、図12の領域D3に示すように、ストッパ106は最大限に突出した状態にあり、回転ドラム102の当接部104に当接していないこととなる。従って、かかる場合には、スイッチ108の導通状態を示すオン信号が出力されるまで、回転ドラム102を円周方向に微速回転させる(ステップS135)。
【0082】
そして、スイッチ108の導通状態を示すオン信号が出力されているか否かを検知し(ステップS136)、このオン信号が出力されていない場合には、ステップS135に戻って更に微速回転を継続する。一方で、このオン信号が出力された場合、すなわちストッパ106が回転ドラム102の当接部104と当接した場合には、その位置から所定量だけ回転ドラム102を回転させることによって(ステップS137)、ストッパ106と回転ドラム102の係合部103とがコイルバネ107の復帰力により係合し、回転ドラム102を停止拘束することができる。なお、ステップS137における回転ドラム102を所定量だけ回転させることについては、図14を用いて後述する。
【0083】
一方で、上述したステップS134において、スイッチ108の導通状態を示すオン信号が出力された場合には、ストッパ106と回転ドラム102の当接部104とが当接したこととなる。従って、かかる場合には、その位置から所定量だけ回転ドラム102を回転させる(ステップS138)。なお、ステップS138における回転ドラム102を所定量だけ回転させることについても、上記同様、図14を用いて後述する。
【0084】
次いで、ステップS138の回転動作が完了した後、回転ドラム102がロックされているか否かを検知する(ステップS139)。より具体的には、例えば、回転ドラム102を微小回転させ、回転ドラム102が全く動かないようであれば、コイルバネ107の復帰力を利用してストッパ106と回転ドラム102の係合部103とが係合し、回転ドラム102の停止拘束が完了したことになる。
【0085】
一方で、このステップS139において、回転ドラム102を微小回転させ、回転ドラム102がスムーズに回転するようであれば、当接部104に当接していたストッパ106は、回転ドラム102を停止拘束する係合部103がある方向とは逆の方向に回転したことが分かる。
【0086】
そのため、かかる場合には、処理をステップS135に戻した上でドラムロックを行う。すなわち、回転ドラム102をそのまま微速回転させ(ステップS135)、常時スイッチ108の導通状態を示すオン信号が出力されているか否かを検知し(ステップS136)、このオン信号が出力された場合にはその位置から所定量だけ回転ドラム102を回転させることによって(ステップS137)、回転ドラム102を停止拘束する。
【0087】
以上説明した動作によれば、コストアップに繋がる半導体素子を用いた洗濯機主導の制御機構を採用していないにも拘わらず、ドラムロックを行うストッパ106の寿命が短くなるのを防ぎつつ、確実にドラムロックを行うことが可能となる。
【0088】
[回転ドラムの所定量回転]
図14は、回転ドラム102を所定量だけ回転させるときの位置制御を説明するための図である。
【0089】
図14は、回転体制御ユニット105が複数の位置にある状態を便宜的に示したものであり、回転体制御ユニット105aは、回転ドラム102と対向して係合部103の中心(0極目)から反時計回りに330度回転した位置(33極目)にあり、回転体制御ユニット105bは、回転ドラム102と対向して係合部103の中心から反時計回りに340度回転した位置(34極目)にあり、回転体制御ユニット105cは、回転ドラム102と対向して係合部103の中心から反時計回りに350度回転した位置(35極目)にあり、回転体制御ユニット105dは、回転ドラム102と対向して係合部103の中心から反時計回りに360度回転した位置(36極目=0極目)にある。
【0090】
図13に示すステップS134において、スイッチ108の導通状態を示すオン信号が出力されていない場合には、ストッパ106が最大限に突出した状態にある。すなわち、回転体制御ユニット105は、例えば105aの位置、或いは105bの位置にあることになる。そして、回転ドラム102が時計回りに回転し、ストッパ106が当接部104に当接した場合、あと回転ドラム102が10度(1極分)だけ時計回りに回転すれば(上述のステップS137)、回転体制御ユニット105は105aの位置まで相対的に移動し、ストッパ106と係合部103は係合することとなる。また、仮に回転ドラム102が反時計回りに回転し、ストッパ106が当接部104に当接した場合、あと回転ドラム102が10度(1極分)だけ反時計回りに回転すれば(上述のステップS137)、回転体制御ユニット105は105aの位置まで相対的に移動し、ストッパ106と係合部103は係合することとなる。従って、図13に示すステップS137でいう「所定量」とは、本発明の実施の形態においては回転角度10度を意味する。なお、回転角度については、回転ドラム102を駆動するステッピングモータによって異なり、例えば、回転角度5度毎に回転するようなものなど、その回転角度は如何なるものであってもよい。
【0091】
また、図13に示すステップS134において、スイッチ108の導通状態を示すオン信号が出力された場合には、ストッパ106と当接部104とが当接している状態にある。すなわち、回転体制御ユニット105は、例えば105cの位置にある。このとき、回転ドラム102を所定量(回転角度10度)だけ回転させると(上述のステップS138)、回転体制御ユニット105は、105dの位置、或いは105bの位置に相対的に移動することになる。そして、上述したように、回転ドラム102がロックされているか否かを検知するステップが行われ(ステップS139)、回転体制御ユニット105が、105dの位置にあるときには、回転ドラム102の停止拘束が完了したことになる。一方で、回転体制御ユニット105が、105bの位置にあるときには、回転ドラム102はまだスムーズに回転するので、そのまま継続して反時計回りに微速回転が行われ(ステップS135)、常時スイッチ108の導通状態を示すオン信号が出力されているか否かを検知し(ステップS136)、このオン信号が出力された場合にはその位置から所定量(回転角度10度)だけ回転ドラム102を反時計回りに回転させることによって(ステップS137)、回転体制御ユニット105は105dの位置まで相対的に移動させることができ、回転ドラム102を停止拘束することができる。
【0092】
[変形例]
図15は、本発明の実施の形態に係る回転体制御機構の具体的な動作の変形例の流れを示すフローチャートである。
【0093】
図15において、ステップS151からステップS155のそれぞれの処理は、図13を用いて上述したステップS131からステップS135と同様の処理であるので、説明を省略する。
【0094】
ステップS156において、常時スイッチ108の導通状態を示すオン信号が出力されているか否かを検知し、このオン信号が出力されていない場合には、ステップS155に戻って更に微速回転を継続する。一方で、このオン信号が出力された場合、すなわちストッパ106が回転ドラム102の当接部104と当接した場合には、一旦回転ドラム102の回転を停止させ、カム駆動用モータ114を用いてストッパ106を回転体制御ユニット105に引き込み回転ドラム102をリリース状態にする(ステップS157)。
【0095】
次いで、その停止位置から所定量(回転角度10度)だけ回転ドラム102を回転させることによって(ステップS158)、ストッパ106を回転ドラム102の係合部103と対向する位置まで相対移動させる。
【0096】
次いで、ストッパ106がその対向位置にまで相対移動したら、カム駆動用モータ114を利用して、上段カム111とのリンクで回転体制御ユニット105からゆっくりと段階的にストッパ106を突出させ(ステップS159)、ストッパ106と係合部103とを徐々に係合させる。
【0097】
また、図15に示すステップS154において、スイッチ108の導通状態を示すオン信号が出力された場合には、ストッパ106と当接部104とが当接している状態にある。すなわち、回転体制御ユニット105は、例えば105bの位置(図14参照)にある。かかる場合には、一旦回転ドラム102の回転を停止させ、カム駆動用モータ114を用いてストッパ106を回転体制御ユニット105に引き込み回転ドラム102をリリース状態にする(ステップS160)。
【0098】
次いで、その停止位置から所定量(回転角度10度)だけ回転ドラム102を回転させることによって(ステップS161)、ストッパ106を回転ドラム102の係合部103と対向する位置まで相対移動させる。
【0099】
次いで、ストッパ106がその対向位置にまで相対移動したら、カム駆動用モータ114を利用して、上段カム111とのリンクで回転体制御ユニット105からゆっくりと段階的にストッパ106を突出させ(ステップS162)、ストッパ106と係合部103とを徐々に係合させる。
【0100】
次いで、ステップS162の突出動作が完了した後、回転ドラム102がロックされているか否かを検出する(ステップS163)。より具体的には、例えば、回転ドラム102を微小回転させ、回転ドラム102が全く動かないようであれば、コイルバネ107の復帰力を利用してストッパ106と回転ドラム102の係合部103とが係合し、回転ドラム102の停止拘束が完了したことになる。
【0101】
一方で、このステップS163において、回転ドラム102を微小回転させ、回転ドラム102がスムーズに回転するようであれば、当接部104に当接していたストッパ106は、回転ドラム102を停止拘束する係合部103がある方向とは逆の方向に回転したことが分かる。
【0102】
そのため、かかる場合には、処理をステップS155に戻した上でドラムロックを行う。すなわち、回転ドラム102をそのまま微速回転させ(ステップS155)、常時スイッチ108の導通状態を示すオン信号が出力されているか否かを検知し(ステップS156)、このオン信号が出力された場合には一旦回転ドラム102を停止させ、ストッパ106を回転体制御ユニット105に引き込むことによって回転ドラム102をリリース状態にし(ステップS157)、回転ドラム102を所定量だけ回転させ(ステップS158)、その後、ストッパ106を段階的に突出させることによってストッパ106と係合部103とを係合させる(ステップS159)。
【0103】
以上説明した動作の変形例によれば、ストッパ106をコイルバネ107の復帰力のみで係合部103と係合する際に生じるノイズ(衝突音)を防いだ上で、回転ドラム102を停止拘束することができる。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、コストアップに繋がる高価な半導体素子を用いて回転体の停止拘束を行う洗濯機主導の制御機構ではなく、実施容易かつ安価な機械的制御機構を採用しているにも拘わらず、ドラムロックを行う部品の磨耗劣化を最大限に防ぎつつ、確実にドラムロックを行うことが可能な回転体制御機構、回転体制御ユニット及び回転体の制御方法を提供することができる。
【0105】
また、本発明によれば、ドラムロックを行う部品と回転体が衝突する際に生じるノイズを防いだ上で(場合によっては衝突によるストッパの破壊を防いだ上で)、回転体を停止拘束することが可能な回転体制御機構、回転体制御ユニット及び回転体の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る回転体制御機構の外観図である。
【図2】 本発明の実施の形態に係る回転体制御機構における回転ドラムの円周方向に形成された各領域の説明図である。
【図3】 本発明の実施の形態に係る回転体制御機構における回転ドラムの回転時の外観図である。
【図4】 本発明の実施の形態に係る回転体制御機構における回転ドラムが停止拘束された状態の外観図である。
【図5】 本発明の実施の形態に係る回転体制御機構におけるストッパがドラムロックをしている状態を示す側面図である。
【図6】 本発明の実施の形態に係る回転体制御ユニットの内部構造を示す図である。
【図7】 本発明の実施の形態に係る回転体制御機構におけるストッパの抑制状態を作り出すための一例を示した図である。
【図8】 本発明の実施の形態に係る回転体制御ユニットの内部構造を示す図である。
【図9】 本発明の実施の形態に係る回転体制御ユニットにおける動力伝達部の内部構造を示す図である。
【図10】 本発明の実施の形態に係る回転体制御ユニットの展開側面図である。
【図11】 本発明の実施の形態に係る回転体制御ユニットの電気的構成を示す回路図である。
【図12】 ストッパの動作位置と、スイッチより出力される電気信号との関係を示すタイミングチャートである。
【図13】 本発明の実施の形態に係る回転制御機構の具体的な動作の流れを示すフローチャートである。
【図14】 回転ドラムを所定量だけ回転させるときの位置制御を説明するための図である。
【図15】 本発明の実施の形態に係る回転体制御機構の具体的な動作の変形例の流れを示すフローチャートである。
【図16】 従来例に開示された発明に係る洗濯機の側面断面図である。
【図17】 洗濯機側主導の制御機構において予め回転ドラムを所定の位置に停止させる手段の概略図である。
【符号の説明】
101 固定板
102 回転ドラム
103 係合部
104 当接部
105 回転体制御ユニット
106 ストッパ
P ドラム回転の回転軸
Claims (6)
- 円周方向に係合部が形成された回転体と、前記回転体を停止拘束するストッパが設けられた回転体制御ユニットと、を有し、前記回転体が前記ストッパと対向して回転する最中に、当該ストッパが前記係合部に係合して当該回転体を停止拘束する抑制状態を有する回転体制御機構において、
前記回転体には、その回転体の回転半径より大きく設定され、前記ストッパと当接する当接部が、前記係合部の両端に形成されているとともに、
前記回転体制御ユニットには、前記ストッパが前記抑制状態に反抗した状態にあるときに信号を出力する第1出力手段が設けられており、
前記回転体が前記ストッパと対向して回転し、当該ストッパが前記当接部に達したときに、前記第1出力手段から信号が出力されることを特徴とする回転体制御機構。 - 前記ストッパが前記当接部に達したときに、前記回転体を所定量回転させて、当該ストッパを前記係合部に係合して当該回転体を停止拘束することを特徴とする請求項1記載の回転体制御機構。
- 前記回転体制御ユニットには、前記回転体から前記ストッパを離脱する方向に移動させる解除手段が設けられており、
前記ストッパが前記当接部に達したときに、前記解除手段を作動させる一方、
前記回転体を所定量回転させて前記ストッパが前記係合部に達したときに、前記解除手段を作動状態から段階的に非作動状態にして、前記ストッパを前記係合部に係合して前記回転体を停止拘束することを特徴とする請求項1又は2記載の回転体制御機構。 - 前記回転体制御ユニットには、前記ストッパが前記回転体の回転を抑制し得る状態にあるときに信号を出力する第2出力手段が設けられており、
前記第1出力手段と前記第2出力手段とから出力された信号状態に基づいて、前記回転体制御ユニットと前記ストッパとの相対的位置関係を求め得ることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の回転体制御機構。 - 回転体を停止拘束するストッパと、前記ストッパを回転体の円周面に突出させる方向に付勢する付勢手段と、前記付勢手段の付勢を解除して、回転体から前記ストッパを離脱する方向に移動させる解除手段と、前記ストッパが前記付勢手段の付勢に反抗した状態にあるときに信号を出力する第1出力手段と、前記ストッパが前記回転体の回転を抑制し得る状態にあるときに信号を出力する第2出力手段と、が設けられた回転体制御ユニットであって、
前記第1出力手段と前記第2出力手段とからの信号状態に基づいて、前記ストッパと回転体との相対的位置関係を求め得ることを特徴とする回転体制御ユニット。 - 回転体とストッパとが係合する係合領域と、この係合領域の両端に配設され、回転体とストッパとが当接する当接領域と、回転体の円周に沿って回転体とストッパとが対向する対向領域と、が回転体の円周方向に形成されており、
前記対向領域を移動するストッパが当該対向領域から前記当接領域に達したときに所定の位置で回転体を一旦停止させ、当該当接領域から前記係合領域まで回転体を再び回転させた後に、ストッパを前記係合領域に係合して回転体を停止拘束することを特徴とする回転体の制御方法。
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