JP4148384B2 - セルロース系導電糸及び接触帯電ブラシ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンター等の帯電ブラシに適したセルロース系導電糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真複写機等の静電潜像形式に重要な要素の帯電については非接触型のコロナ帯電方式が採用されている。しかしコロナ帯電方式はコロナ放電から発生するオゾンが部品を劣化することや人体に対する有害性、高電圧電源の危険性等の問題点がある。
【0003】
この問題を解決するため、近年、オゾンレスで、低電圧印加のブラシ帯電やローラ帯電の接触帯電方式が開発されてきた。
中でも、ブラシ帯電方式の帯電ブラシ用繊維には、ヤング率等の物理的特性面からセルロース系導電糸が多用されている。
【0004】
セルロース系導電糸は、同じ温度条件で湿度が低い場合は電気抵抗値が高いが、湿度が高くなると電気抵抗値が低下して放電が生じ、これにより感光板が損傷したり、逆転写が生じるという問題がある。
そこで、特公平1−29887号公報には、セルロース系導電糸に疎水性官能基を導入して湿度変化に対して安定した電気抵抗値が発現できるようにした導電性セルロース系繊維が提案されている。
【0005】
また、接触帯電ブラシ用の繊維としては、感光体の寿命や感光体上のピンホール対策のために電気抵抗値が108 〜1010Ω/cmのものが要求されている。しかしながら、導電性粒子を含有するセルロール繊維は、導電性粒子の添加量や導電性粒子の分散状態の良否が電気抵抗値に大きく影響し、電気抵抗値の領域が103 〜1010Ω/cm程度の範囲でばらつきが生じる。
【0006】
そこで、特開平9−49116号公報には、2種以上の導電性微粒子を繊維に添加して比抵抗値のばらつきを103 Ω/cm以内に小さくした導電性セルロース系繊維が提案されている。
【0007】
しかしながら、これらの繊維の湿度に対する安定性や各繊維間の抵抗値のバラツキの改善は十分でなかった。すなわち、接触帯電ブラシは、温度や湿度の変化の大きい環境で使用されるため、使用環境の温湿度変化によって繊維の水分含量が変化し、それに伴う繊維形態の変化が導電性粒子の連鎖状態の変化を引き起こし、電気抵抗値の変化として現れる。したがって、長期間使用するほど電気抵抗値が低下し、使用当初との電気抵抗値の差が大きくなり、かつ繊維間でのばらつきも大きくなり、画像障害が生じるようになる。
【0008】
前記の2つの繊維においても、使用当初においては好適な電気抵抗値を有しているが、長期間の使用においては、電気抵抗値が低下し、また、繊維間での電気抵抗値のばらつきも大きくなり、画像障害が生じるという欠点を解決することはできなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点を解決し、長期間の使用における温湿度変化に対して安定した電気抵抗値を示し、接触帯電用ブラシとして用いると、繊維間での電気抵抗値のばらつきも生じることなく、安定、かつ良好な画像を得ることができるセルロース系導電糸及びこの繊維を用いた接触帯電ブラシを提供することを技術的な課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、次の(1)、(2)を要旨とするものである。
(1)導電性微粒子を含有し、熱水処理前後の電気抵抗値の差が5.0%以下であり、かつ熱水収縮率が0.5%以下であることを特徴とするセルロース系導電糸。
(2)(1)記載のセルロース系導電糸を含む接触帯電ブラシ。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明でいうセルロース系繊維とは、天然繊維以外のセルロース繊維をいい、本発明のセルロース系導電糸とは、このようなセルロース系繊維(例えばビスコースレーヨン、キュプラアンモニウムレーヨン、重合度400〜500の高強力レーヨン、有機溶媒系セルロース繊維等)に導電性粒子を含有したフィラメント又は短繊維をいう。
【0012】
導電性粒子としては、例えばカーボンブラック、金属粉、金属酸化物等が挙げられ、中でもカーボンブラックが好ましく、含有量は10〜30重量%とすることが好ましい。
【0013】
そして、本発明のセルロース系導電糸は、熱水処理前後の電気抵抗値の差が5.0%以下であり、かつ熱水収縮率が0.5%以下である。これらの特性について以下に詳述する。
【0014】
まず、セルロース系導電糸は、環境湿度により4〜18%の水分を吸着する。したがって、セルロース系導電糸の電気抵抗値には、導電性粒子の分散状態と、吸着水の電気抵抗値の両者が関係するが、おおむね70%以下の湿度領域では導電性粒子の分散状態が主たる要因となる。
【0015】
導電性粒子の分散状態は、繊維の形態が変化することによっても変化する。すなわち、使用環境の温湿度変化によって繊維の水分含量が変化し、それに伴う繊維形態の変化が導電性粒子の分散状態の変化を引き起こし、電気抵抗値の変化を生じさせる。
【0016】
一般に、帯電ブラシは、セルロース系導電糸をパイルとして製織した後、円筒面に螺旋状に巻き付けてブラシとするが、パイルを整えるために、熱水処理によるヒートセットを行っている。また、前記のように複写機等に使用すると、使用環境が厳しく、大きな温湿度変化を受ける。
【0017】
通常の方法で紡糸されたセルロース系導電糸は、たとえ無緊張下で精練、乾燥が行われたとしても、熱水収縮率は1〜6%程度のものとなる。したがって、このような繊維を用いると、たとえブラシにする前の繊維の導電性粒子の分散状態が安定していたとしても、ブラシにしてヒートセットした段階や、使用するうちに収縮して形態が変化することにより、導電性粒子の分散状態が変化する。この導電性粒子の分散状態の変化により、電気抵抗値のばらつきが生じることになる。
【0018】
このことについて、図1を用いて説明する。図1のグラフは電気抵抗値が109.4 Ωのセルロース系導電糸を電子複写機用の接触帯電ブラシとして使用し、使用開始から48時間後まで1時間分ごとに電気抵抗値を測定したものである。
まず、電気抵抗値が109.4 Ωのセルロース系導電糸をブラシとして使用したとする。このブラシを使用するうちにブラシを構成する各繊維は電気抵抗値が低下し、使用前は電気抵抗値が109.4 Ωであったものが、使用期間を経るうちに109.0 、10 8.8、108.6 Ωに近づく、複数の電気抵抗値を有する繊維となる。この現象が長期間の使用により繊維間で電気抵抗値がばらつき、画像障害を生じる要因となっている。
【0019】
すなわち、通常の方法で紡糸して得られたセルロース系導電糸であると、ブラシにしてヒートセットした段階や、使用するうちに湿熱処理を受けて、ブラシにする前の電気抵抗値より低下する。しかも、ブラシにする前には電気抵抗値が同一であった繊維においても、繊維間で低下の幅にばらつきがあり、使用を経るうちに異なる電気抵抗値を有する繊維からなるブラシとなる。
【0020】
また、図1のグラフより、セルロース系導電糸は使用開始からしばらくの間に電気抵抗値が大きく低下し、使用時間を経るうちに電気抵抗値の低下の幅が小さくなり、安定化することがわかる。したがって、通常の工程を経て得られた導電糸においては、熱水処理前後の電気抵抗値の差は5.0%を超えるものである。
【0021】
図1のグラフは電気抵抗値と経時変化のグラフであるが、熱水収縮率と経時変化も同様のグラフとなる。そして、セルロース系導電糸は、繊維内(糸長方向)での電気抵抗値のばらつきも大きいが、この糸長方向のばらつきも熱水収縮率が低下するほど小さくなり、より良好な導電糸となる。
【0022】
以上のように、本発明のセルロース系導電糸は、熱水処理前後の電気抵抗値の差が5.0%以下であり、かつ熱水収縮率が0.5%以下であることが必要である。熱水処理前後の電気抵抗値の差が5.0%を超えるものであると、ブラシにして使用するうちに電気抵抗値が低下すると同時に構成する繊維間でのばらつきも生じる。
熱水収縮率が0.5%を超えるものであると、繊維の形態の変化に伴う、導電性粒子の分散状態が変化することにより、電気抵抗値の低下と糸長方向での電気抵抗値のばらつきも大きくなる。また、このように熱水収縮率を低くすることにより糸長方向の電気抵抗値のばらつきを安定化させることができるので、本発明においては、導電性粒子を特定のものにしたり、2種類用いる必要はない。
【0023】
なお、熱水収縮率は、試料長100cmとし、JIS−L−1042熱水浸漬法に準じて測定したものである。
【0024】
また、本発明でいう電気抵抗値の差(変化率)は次のようにして算出する。まず、熱水処理は前記のJIS−L−1042熱水浸漬法に準じて行い、電気抵抗値はケースレ社製エレクトロメータ6517型を用いて印加電圧100v、プローグ間15mm、測定環境25℃、20%RHで測定を行った。
そして、熱水処理前の電気抵抗値をRbとし、熱水処理後の電気抵抗値をRaとし、次式により算出した。
〔(logRb−logRa)/logRb〕×100
【0025】
また、本発明のセルロース系導電糸は、糸長方向での電気抵抗値のばらつきが標準偏差0.3以下であることが好ましい。この電気抵抗値のばらつきは電気抵抗値を対数値表示した値の標準偏差であり、前記した条件で電気抵抗値を糸長方向に500ポイント測定し、各測定データを対数変換し、これらの値の標準偏差を算出した。
【0026】
標準偏差が0.3を超えると、糸長方向での電気抵抗値のばらつきが大きくなり、画像障害の原因となりやすい。
【0027】
さらに、本発明のセルロース系導電糸は、温湿度が20℃、20%RHの雰囲気中での電気抵抗値が108 〜1010Ω/cmであることが好ましい。この範囲の電気抵抗値とすることで、より帯電ブラシ用に適した繊維とすることができる。電気抵抗値が1010Ω/cmを超えると、感光帯ドラムの表面の均一な帯電を得ることが困難となり、一方、108 Ω/cm未満の低抵抗値の場合は感光帯層にピンホール等の欠陥があった時、大電流が流入して帯電不良が発生しやすい。
【0028】
次に、本発明のセルロース系導電糸の製造方法を説明する。
本発明の導電糸は、通常の紡糸、精練、乾燥工程を経て得られた導電糸に熱水膨潤処理を施すことによって得ることができる。なお、前記のように、一般的な導電糸においては、紡糸後、熱水処理を施したり、精練、乾燥を行ったり、また、このようにして得られた繊維に熱水処理を1、2回施しただけでは本発明の電気抵抗値の変化率、熱水収縮率の範囲内にすることはできない。
【0029】
そこで、本発明の導電糸を得るには、得られたセルロース系導電糸に、熱水膨潤処理と乾燥熱処理を複数回繰り返し行ったり、また、水と膨潤剤を用いて熱水膨潤処理と乾燥熱処理を行う方法が有効である。膨潤に用いる膨潤剤としては、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物やテトラメチルアンモニウム水酸化物等の第4級アンモニウム水酸化物、塩化亜鉛や酢酸、アンモニアなどが使用できる。
【0030】
熱水膨潤処理条件は特に限定されるものではないが、膨潤剤を使用しない場合は、60℃以上の熱水を使用することが好ましく、また、加熱飽和蒸気で80℃〜180℃で処理することも好ましい。このようにして十分に膨潤させた後、上記のような膨潤剤を用いた場合は、脱膨潤剤処理を行うと同時に乾燥熱処理を行うことが好ましい。
【0031】
膨潤させた導電糸を乾燥熱処理すると収縮が生じ、水に抵抗性のある多数の新接合点あるいは部分的な再結晶が生じる。この熱処理によって膨潤能が低下し、寸法安定性が付与される。
乾燥方法は特に限定されるものではなく、熱風乾燥機や真空乾燥機などの通常の乾燥機を用い、60〜110℃で乾燥することが好ましい。
【0032】
また、セルロース系導電糸に架橋結合や樹脂処理を施すことによって、寸法安定性を付与し、本発明の導電糸を得ることもできる。
しかしながら、帯電ドラムの汚染の問題があるため、前記のような加熱や減圧によって容易に除去できる膨潤剤を用いたり、熱水処理と乾燥を複数回繰り返す方法を採用することが好ましい。
【0033】
さらに、本発明の接触帯電ブラシは、本発明のセルロース系導電糸を含むものである。ブラシの形態等は特に限定されるものではないが、パイルとして製織した後、このパイル織物を円筒面に螺旋状に巻き付けてブラシとしたものが挙げられる。
【0034】
そして、本発明のブラシは、本発明のセルロース系導電糸のみからなるものとすることが好ましく、中でも、各セルロース系導電糸の電気抵抗値のばらつきが標準偏差で0.2以下である接触帯電ブラシとすることが好ましい。
この電気抵抗値のばらつきも電気抵抗値を対数値表示した値の標準偏差であり、ブラシを構成する繊維の電気抵抗値を前記の方法でランダムに500ポイント選んで測定し、各測定データを対数変換後、標準偏差をもとめた。
【0035】
標準偏差が0.2を超えると、ブラシを構成するセルロース系導電糸間の電気抵抗値のばらつきが大きくなり、画像障害を生じさせる要因となる。
【0036】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例中の熱水収縮率、電気抵抗値、電気抵抗値の差、電気抵抗値の糸長方向のばらつき、ブラシの電気抵抗値のばらつきは前記の方法で測定したものであり、ばらつき以外はn数10の平均値とした。
また、画像評価は次のように行ったものである。得られた繊維からなるブラシを25℃、20%RHの雰囲気中に1時間放置後、80℃、60%RHの雰囲気中に30分放置する。これを1処理として5回繰り返し、処理前とそれぞれの処理後のブラシを電子複写機に使用して1000枚の複写を行い、その画像の鮮明さを5を最も優れているものとして5段階で評価した。
【0037】
実施例1
ビスコースにカーボンブラック(繊維中の含有量が14.0重量%となる量)と水酸化ナトリウムを添加、混合し、常法にしたがって、紡糸し、精練(40℃の温水中)、乾燥(80℃)を行った後、600dのレーヨン導電糸を得た。この導電糸の電気抵抗値の対数値は11. 2であった。
次に、この導電糸100ケークを80℃の熱水に30分間浸漬させて熱水膨潤処理し、遠心脱水機で脱水後乾燥(105℃)させた。なお、これらのケーク外層の繊維の熱水収縮率は2. 1%であった。
さらに、これらのケークを80℃に予備加熱された蒸気セット機に入れ、15分間720mmHgの真空下に置き、続いて加熱蒸気を導入して100℃に45分間保って熱水膨潤処理を行い、次いで再び真空にして80℃の状態で乾燥を行った。
乾燥後のレーヨン導電糸の熱水収縮率は0.10%であり、電気抵抗値は対数値表示で9.5であった。また、この導電糸の熱水処理後の電気抵抗値は対数値表示で9.4であり、熱水処理前後の電気抵抗値の差は1.1%であった。なお、100ケーク中には熱水処理前後の電気抵抗値の差は5.0%以内であるが、電気抵抗値が対数値表示で9.5から外れるものがあったので、これらは選別し、除去した。
得られた導電糸をパイル密度を1000本/2.54cm、パイル長7mm、生地幅15mmのパイルテープとして製織した後、直径6mmの円筒面に螺旋状に巻き付けてブラシを作成した。
得られた導電糸の物性値及びブラシの電気抵抗値のばらつき、画像評価の結果を表1に示す。
【0038】
実施例2
カーボンブラックの含有量を14.5重量%とした以外は、実施例1と同様にして紡糸、精練、乾燥を行い、電気抵抗値の対数値が10.8のレーヨン導電糸を得た。
次に、この導電糸100ケークを実施例1と同様に熱水膨潤処理し、遠心脱水機で脱水後乾燥させた。
さらに、これらのケークを実施例1と同様に加熱蒸気を導入して熱水膨潤処理を行い、乾燥を行った。
乾燥後のレーヨン導電糸の熱水収縮率は0.20%であり、電気抵抗値は対数値表示で8.8であった。また、この導電糸の熱水処理後の電気抵抗値は対数値表示で8.6であり、熱水処理前後の電気抵抗値の差は2.3%であった。
得られた導電糸を実施例1と同様にしてブラシを作成した。
得られた導電糸の物性値及びブラシの電気抵抗値のばらつき、画像評価の結果を表1に示す。
【0039】
実施例3
実施例1と同様に紡糸、精練、乾燥を行い、電気抵抗値の対数値が11.2のレーヨン導電糸を得た。
次に、膨潤剤としてアンモニア用い、アンモニア水溶液中(30℃)にこの導電糸をケークのまま30分間浸漬させて膨潤処理し、熱風乾燥機(80℃)で乾燥させた。
乾燥後のレーヨン導電糸の熱水収縮率は0.05%であり、電気抵抗値は対数値表示で9.4であった。また、この導電糸の熱水処理後の電気抵抗値は対数値表示で9.3であり、熱水処理前後の電気抵抗値の差は1.1%であった。
この導電糸を実施例1と同様にしてブラシを作成した。
得られた導電糸の物性値及びブラシの電気抵抗値のばらつき、画像評価の結果を表1に示す。
【0040】
比較例1
カーボンブラックの含有量を15.5重量%とした以外は、実施例1と同様にして紡糸、精練、乾燥を行い、電気抵抗値の対数値が9.0のレーヨン導電糸を得た。(この繊維には実施例1や実施例3で行った熱水膨潤処理を施さなかった。)
乾燥後のレーヨン導電糸の熱水収縮率は2.40%であり、電気抵抗値は対数値表示で9.0であった。また、この導電糸の熱水処理後の電気抵抗値は対数値表示で7.0であり、熱水処理前後の電気抵抗値の差は22.2%であった。
この導電糸を実施例1と同様にしてブラシを作成した。
得られた導電糸の物性値及びブラシの電気抵抗値のばらつき、画像評価の結果を表1に示す。
【0041】
比較例2
実施例1と同様にして紡糸、精練、乾燥を行い、電気抵抗値の対数値が11. 2のレーヨン導電糸を得た。
次に、この導電糸をケークのまま80℃の熱水に30分間浸漬させて膨潤処理し、遠心脱水機で脱水後乾燥(80℃)させた。
乾燥後のレーヨン導電糸の熱水収縮率は0.80%であり、電気抵抗値は対数値表示で9.8であった。また、この導電糸の熱水処理後の電気抵抗値は対数値表示で9.3であり、熱水処理前後の電気抵抗値の差は5.1%であった。
この導電糸を実施例1と同様にしてブラシを作成した。
得られた導電糸の物性値及びブラシの電気抵抗値のばらつき、画像評価の結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
表1から明らかなように、実施例1〜3で得られた導電糸は、熱水収縮率が小さく、熱水処理前後の電気抵抗値の差も小さいものであったので、長期間の使用においても安定した電気抵抗値を示し、ブラシを構成する繊維間で電気抵抗値のばらつきも生じることなく、温湿度変化が大きい条件下で長期間使用しても画像が良好であった。
一方、比較例1、2の繊維は、熱水膨潤処理が不十分であったため、熱水収縮率が大きく、熱水処理前後の電気抵抗値の差も大きかったので、温湿度変化により電気抵抗値が低下し、これらの繊維からなるブラシを用いると、画像状態が不安定なものとなった。しかも、100ケーク中の導電糸には、経時変化により複数の電気抵抗値に低下するものが含まれていたので、これらの導電糸からなるブラシは、温湿度変化を受けるうちに電気抵抗値の幅の大きいブラシとなり、画像評価に劣るものであった。
【0044】
【発明の効果】
本発明のセルロース系導電糸は、熱水収縮率が小さく、温湿度変化を繰り返し受けても安定した電気抵抗値を示す。そして、本発明のセルロース系導電糸からなる接触帯電用ブラシは、温湿度変化が大きい環境で長期間使用しても安定した電気抵抗値を示し、かつ繊維間での電気抵抗値のばらつきも生じることがなく、安定、かつ良好な画像を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なセルロース系導電糸をブラシとして使用したときの時間と電気抵抗値の関係を示すグラフである。
Claims (5)
- 導電性微粒子を含有し、熱水処理前後の電気抵抗値の差が5.0%以下であり、かつ熱水収縮率が0.5%以下であることを特徴とするセルロース系導電糸。
- 糸長方向の電気抵抗値のばらつきが標準偏差0.3以下である請求項1記載のセルロース系導電糸。
- 温湿度が20℃、20%RHの雰囲気中での電気抵抗値が108 〜1010Ω/cmである請求項1又は2記載のセルロース系導電糸。
- 請求項1、2又は3記載のセルロース系導電糸を含む接触帯電ブラシ。
- 各セルロース系導電糸の電気抵抗値のばらつきが標準偏差0.2以下である請求項4記載の接触帯電ブラシ。
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