JP2002146629A - ポリエステル又はポリアミド系導電糸及びブラシ - Google Patents

ポリエステル又はポリアミド系導電糸及びブラシ

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JP2002146629A JP2001169592A JP2001169592A JP2002146629A JP 2002146629 A JP2002146629 A JP 2002146629A JP 2001169592 A JP2001169592 A JP 2001169592A JP 2001169592 A JP2001169592 A JP 2001169592A JP 2002146629 A JP2002146629 A JP 2002146629A
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武司 北原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間の使用における温湿度変化に対して安
定した比抵抗値及び電気抵抗値を示し、接触帯電用ブラ
シとして用いると、繊維間での比抵抗値及び電気抵抗値
のばらつきも生じることなく、安定、かつ良好な画像が
得られる導電糸及びこの繊維を用いたブラシを提供す
る。 【解決手段】 導電性微粒子を含有し、熱水処理前後の
比抵抗値ρb、ρaの比(ρb/ρa)が102以下で
あるポリエステル又はポリアミド系導電糸。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真複写機、
電子写真プリンター等の現像用ブラシ、接触帯電用ブラ
シ及び感光ドラムクリーナー用ブラシに適したポリエス
テル又はポリアミド系導電糸及びこれらのブラシに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真複写機等の静電潜像形式に重要
な要素の帯電については非接触型のコロナ帯電方式が採
用されている。しかしコロナ帯電方式はコロナ放電から
発生するオゾンが部品を劣化することや人体に対する有
害性、高電圧電源の危険性等の問題点がある。
【0003】この問題を解決するため、近年、オゾンレ
スで、低電圧印加のブラシ帯電やローラ帯電の接触帯電
方式が開発されてきた。
【0004】電子写真複写機、電子写真プリンター等に
用いられる現像用ブラシ、接触帯電用ブラシ及び感光ド
ラムクリーナー用ブラシ用の繊維としては、感光体の寿
命や感光体上のピンホール対策のために比抵抗値が10
0〜108Ω・cmのものや電気抵抗値が104〜1011
Ω/cmのものが要求されており、特に接触帯電用ブラ
シ用の繊維としては、比抵抗値が103〜107Ω・cm
のものや電気抵抗値が107〜1010Ω/cmのものが
要求されている。
【0005】従来、このような用途にはセルロース系繊
維が多く用いられている。また、合成繊維として広く使
用されているポリエステルやポリアミド繊維において
も、導電性粒子を含有する繊維が多く提案されている。
【0006】特開昭57−6762号公報、特開平7−
102437号公報には、融点の異なる2種類の熱可塑
性重合体(ポリエステルやポリアミド)からなり、かつ
低融点側に導電性被膜を有する酸化チタンを含有させた
複合繊維を両融点間で熱処理することにより、導電性を
向上させる導電性複合繊維が提案されている。しかしな
がら、これらの導電性繊維は導電性は向上しているもの
の熱水収縮率が20%程度と高いため、接触帯電ブラシ
を作成する際の熱処理工程等や接触帯電ブラシ等に使用
した際に形態が変化し、さらにはこれによる比抵抗値や
電気抵抗値のばらつきが生じ、これらの導電糸は接触帯
電ブラシに不適である。
【0007】特公平1−29887号公報には、セルロ
ース系導電糸に疎水性官能基を導入して湿度変化に対し
て安定した電気抵抗値が発現できるようにした導電性セ
ルロース系繊維が提案されている。
【0008】また、特開平9−49116号公報には、
2種以上の導電性微粒子を繊維に添加して比抵抗値のば
らつきを103Ω・cm以内に小さくした導電性セルロ
ース系繊維が提案されている。
【0009】上記の2つのセルロース系繊維も、湿度に
対する安定性や各繊維間の抵抗値や電気抵抗値のバラツ
キの改善は十分でなかった。すなわち、接触帯電ブラシ
等は、温度や湿度の変化の大きい環境で処理又は使用さ
れるため、それら環境の温湿度変化によって生じる繊維
形態の変化が導電性微粒子の連鎖状態の変化を引き起こ
し、比抵抗値又は電気抵抗値の変化として現れる。した
がって、作成当初においては好適な比抵抗値又は電気抵
抗値を有していたとしても、接触帯電ブラシを作成する
際の熱処理工程等や長期間の使用時にこれらの値が低下
し、作成当初との値の差が大きくなり、かつ繊維間での
ばらつきも大きくなり、画像障害が生じるようになると
いう欠点を解決することはできなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点を解決し、作成時の熱処理工程等や長期間の使
用における温湿度変化に対して安定した比抵抗値や電気
抵抗値を示し、接触帯電用等のブラシとして用いると、
繊維間での比抵抗値や電気抵抗値のばらつきも生じるこ
となく、安定、かつ良好な画像を得ることができるポリ
エステル又はポリアミド系導電糸及びこの繊維を用いた
ブラシを提供することを技術的な課題とするものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達し
た。すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)を要旨と
するものである。 (1)導電性微粒子を含有し、熱水処理前後の比抵抗値
ρb、ρaの比(ρb/ρa)が102以下であること
を特徴とするポリエステル又はポリアミド系導電糸。 (2)導電性微粒子を含有し、熱水処理前後の電気抵抗
値の差が5.0%以下であることを特徴とするポリエス
テル又はポリアミド系導電糸。 (3)(1)又は(2)記載のポリエステル又はポリア
ミド系導電糸を少なくとも一部に使用したブラシ。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。まず、本発明でいうポリエステル又はポリアミド
系繊維とは、ポリエステル又はポリアミドを主体とした
繊維をいう。ここでポリエステルとは、例えばポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リプロピレンテレフタレートや、それらにジカルボン酸
成分、ジオール成分あるいはオキシカルボン酸成分が共
重合されたもの、あるいはそれらポリエステルをブレン
ドしたものが挙げられる。さらには、生分解性ポリエス
テルとして知られるポリ乳酸、ポリブチレンサクシネー
ト、ポリε−カプロラクタム等の脂肪族ポリエステルで
もよい。また、ポリアミドとは、例えばナイロン6、ナ
イロン66、ナイロン69、ナイロン46、ナイロン6
10、ナイロン12、ポリメタキシレンアジパミドやこ
れら各成分を共重合したものやブレンドしたもの等が挙
げられる。
【0013】導電性微粒子としては、例えばカーボンブ
ラック、金属粉、金属酸化物等が挙げられ、中でもカー
ボンブラックが好ましい。添加量としては、ポリエステ
ルでは5〜30質量%が好ましく、より好ましくは10
〜25質量%である。ポリアミドでは15〜45質量%
が好ましく、より好ましくは20〜35質量%である。
【0014】まず、ポリエステル又はポリアミド系導電
糸は、環境湿度により0.4〜5%程度の水分を吸着す
る。したがって、ポリエステル又はポリアミド系導電糸
の比抵抗値や電気抵抗値には、導電性微粒子の分散状態
と吸着水の比抵抗値や電気抵抗値の両者が関係するが、
おおむね70%以下の湿度領域では導電性微粒子の分散
状態が主たる要因となる。
【0015】また、導電性微粒子の分散状態は、繊維の
形態が変化することによっても変化する。すなわち、作
成時の熱処理工程や使用環境の温湿度変化によって生じ
る繊維形態の変化が導電性微粒子の分散状態の変化を引
き起こし、比抵抗値や電気抵抗値の変化を生じさせる。
これは、紡糸時又は延伸時に受けた変形に基づく残留ひ
ずみの開放や配向分子が最小エネルギー状態に戻ろうと
する形態変化(熱収縮差)が、作成時の熱処理工程や使
用環境の温湿度変化によって誘発されると考えられる。
【0016】一般に、帯電ブラシやクリーナーブラシ
は、導電糸をパイルとして製織した後、円筒面に螺旋状
に巻き付けてブラシとするが、パイルを整えるために、
熱水処理によるヒートセットを行っている。また、前記
のように複写機等に使用すると、使用環境が厳しく、大
きな温湿度変化を受ける。
【0017】通常の方法で紡糸されたポリエステル又は
ポリアミド系導電糸の熱水収縮率は、10〜50%程度
と高い。したがって、このような繊維を用いると、たと
えブラシにする前の繊維の導電性微粒子の分散状態が安
定していたとしても、ブラシにしてヒートセットした段
階や、使用するうちに収縮して形態が変化することによ
り、導電性微粒子の分散状態が変化する。この導電性微
粒子の分散状態の変化により、比抵抗値や電気抵抗値の
ばらつきが生じることになる。
【0018】そこで、本発明のポリエステル又はポリア
ミド系導電糸は、熱水処理前後の比抵抗値ρb、ρaの
比(ρb/ρa)が102以下であり、熱水収縮率が1
0%以下であることが好ましい。
【0019】また、本発明のポリエステル又はポリアミ
ド系導電糸は、熱水処理前後の電気抵抗値の差が5.0
%以下であり、熱水収縮率が10%以下であることが好
ましい。
【0020】さらには、本発明のポリエステル又はポリ
アミド系導電糸は、熱水処理前後の比抵抗値ρb、ρa
の比(ρb/ρa)が102以下であり、かつ熱水処理
前後の電気抵抗値の差が5.0%以下であり、熱水収縮
率が10%以下であることが好ましい。
【0021】これらの特性について、図1〜図4を用い
て説明する。図1のグラフは、熱水処理前後の比抵抗値
の比が102を超え、さらに熱水収縮率が10%を超え
る、比抵抗値が105.4Ω・cmのポリエチレンテレフ
タレート導電糸を電子複写機用の接触帯電ブラシを構成
する繊維として使用し、ブラシの使用開始から48時間
後まで1時間毎に構成繊維の比抵抗値を測定したもので
ある。まず、比抵抗値が105.4Ω・cmのポリエステ
ル系導電糸をブラシとして使用したとする。ブラシを構
成する各繊維は熱水処理前後の比抵抗値の比が102
超えるため、ブラシを使用するうちに比抵抗値が低下す
る。そして、各繊維間で比抵抗値の低下に差があるた
め、使用前は全ての構成繊維の比抵抗値が105.4Ω・
cmであったものが、使用期間を経るうちに、それぞれ
105.0、104.8、104.6Ω・cmに近づくように低
下する。このように、ブラシを構成する繊維は、複数の
比抵抗値を有する繊維となるのがわかる。
【0022】図2のグラフは、熱水処理前後の比抵抗値
ρb、ρaの比(ρb/ρa)が10 2を超え、さらに
熱水収縮率が10%を超える、比抵抗値が104.4Ω・
cmのナイロン6導電糸を電子複写機用の接触帯電ブラ
シとして図1のポリエステル繊維と同様に使用し、比抵
抗値を測定したものである。まず、比抵抗値が104.4
Ω・cmのナイロン6導電糸をブラシとして使用したと
する。ブラシを使用するうちにブラシを構成する各繊維
は熱水処理前後の比抵抗値の比が102を超えるため、
ブラシを使用するうちに比抵抗値が低下する。そして、
各繊維間で比抵抗値の低下に差があるため、使用前は全
ての構成繊維の比抵抗値が104.4Ω・cmであったも
のが、使用期間を経るうちに104.0、103.8、10
3.6Ω・cmに近づくように低下する。このように、ブ
ラシを構成する繊維は、複数の比抵抗値を有する繊維と
なるのがわかる。
【0023】図3のグラフは、熱水処理前後の電気抵抗
値の差が5.0%を超え、さらに熱水収縮率が10%を超え
る、電気抵抗値が109.4Ωのポリエチレンテレフタレ
ート導電糸を電子複写機用の接触帯電ブラシを構成する
繊維として使用し、ブラシの使用開始から48時間後ま
で1時間毎に構成繊維の電気抵抗値を測定したものであ
る。まず、電気抵抗値が109.4Ωのポリエステル系導
電糸をブラシとして使用したとする。このブラシを使用
するうちにブラシを構成する各繊維は電気抵抗値が低下
し、使用前は全ての構成繊維の電気抵抗値が109.4Ω
であったものが、使用期間を経るうちに109.0、10
8.8、108.6Ωに近づくように低下する。このように、
ブラシを構成する繊維は、複数の電気抵抗値を有する繊
維となるのがわかる。
【0024】図4のグラフは、熱水処理前後の電気抵抗
値の差が5.0%を超え、さらに熱水収縮率が10%を超え
る、電気抵抗値が108.4Ωのナイロン6導電糸を電子
複写機用の接触帯電ブラシとして図3のポリエステル繊
維と同様に使用し、電気抵抗値を測定したものである。
まず、電気抵抗値が108.4Ωのナイロン6導電糸をブ
ラシとして使用したとする。このブラシを使用するうち
にブラシを構成する各繊維は電気抵抗値が低下し、使用
前は全ての構成繊維の電気抵抗値が108.4Ωであった
ものが、使用期間を経るうちに108.0、107.8、10
7.6Ωに近づく用に低下する。このように、ブラシを構
成する繊維は、複数の電気抵抗値を有する繊維となるの
がわかる。
【0025】以上のように、各繊維の熱水処理前後の比
抵抗値の比が大きいこと、ブラシを構成する繊維が複数
の比抵抗値を有する繊維となること、また、各繊維の熱
水処理前後の電気抵抗値の差が大きいこと、ブラシを構
成する繊維が複数の電気抵抗値を有する繊維となること
が、ブラシを長期間使用した場合に、画像障害を生じる
要因となっている。
【0026】通常の方法で紡糸して得られた導電糸であ
ると、ブラシにしてヒートセットした段階や、使用する
うちに湿熱処理を受けて、比抵抗値がブラシにする前の
値より低下する。しかも、ブラシにする前には比抵抗値
が同一であった繊維においても、繊維間で低下の幅にば
らつきが生じ、使用を経るうちに異なる比抵抗値を有す
る繊維からなるブラシとなる。
【0027】また、図1及び図2のグラフより、熱水処
理前後の抵抗値の比が102を超える導電糸は、使用開
始からしばらくの間に比抵抗値が大きく低下し、使用時
間を経るうちに比抵抗値の低下の幅が小さくなり、安定
化することがわかる。したがって、例えば後述する熱処
理等を行わない通常の工程を経て得られた導電糸におい
ては、熱水処理前後の比抵抗値の比は102を超えるも
のである。
【0028】図1及び図2のグラフは比抵抗値と経時変
化のグラフであるが、熱水収縮率と経時変化も同様のグ
ラフとなる。そして、導電糸は、ポリエステル又はポリ
アミド系導電糸は、繊維内(糸長方向)での比抵抗値の
ばらつきも大きいが、この糸長方向のばらつきも熱水収
縮率が低下するほど小さくなり、より良好な導電糸とな
る。
【0029】本発明のポリエステル又はポリアミド系導
電糸は、熱水処理前後の比抵抗値の比が102以下であ
り、より好ましくは101以下、さらに好ましくは10
0.5以下である。すなわち、熱水処理前後の比抵抗値の
比が小さいほど、熱処理工程等や長時間の使用における
温湿度変化に対して安定した比抵抗値を示し、好まし
い。熱水処理前後の比抵抗値の比が102を超えるもの
であると、ブラシにして使用するうちに比抵抗値が低下
すると同時に構成する繊維間でのばらつきも生じ、画像
障害を生じる要因となる。
【0030】また、図3及び図4のグラフより、熱水処
理前後の電気抵抗値の差が5.0%を超えるポリエステル
又はポリアミド系導電糸は、使用開始からしばらくの間
に電気抵抗値が大きく低下し、使用時間を経るうちに電
気抵抗値の低下の幅が小さくなり、安定化することがわ
かる。したがって、例えば後述する熱処理等を行わない
通常の工程を経て得られた導電糸においては、熱水処理
前後の電気抵抗値の差は5.0%を超えるものである。
【0031】図3及び図4のグラフは電気抵抗値と経時
変化のグラフであるが、熱水収縮率と経時変化も同様の
グラフとなる。そして、ポリエステル又はポリアミド系
導電糸は、繊維内(糸長方向)での電気抵抗値のばらつ
きも大きいが、この糸長方向のばらつきも熱水収縮率が
低下するほど小さくなり、より良好な導電糸となる。
【0032】本発明のポリエステル又はポリアミド系導
電糸は、熱水処理前後の電気抵抗値の差が5.0%以下
であり、より好ましくは、4.0%以下、さらに好まし
くは3.0%以下である。すなわち、熱水処理前後の電
気抵抗値の値が小さいほど、熱処理工程等や長時間の使
用における温湿度変化に対して安定した電気抵抗値を示
し、好ましい。熱水処理前後の電気抵抗値の差が5.0
%を超えるものであると、ブラシにして使用するうちに
電気抵抗値が低下すると同時に構成する繊維間でのばら
つきも生じ、画像障害を生じる要因となる。
【0033】また、本発明の導電糸は、熱水収縮率が1
0%以下であることが好ましく、さらに好ましくは7%
以下、より好ましくは5%以下である。熱水収縮率が1
0%を超えるものであると、繊維の形態の変化に伴う、
導電性微粒子の分散状態が変化することにより、熱水処
理前後での比抵抗値の低下と糸長方向での比抵抗値のば
らつきも大きくなりやすい。また、熱水処理前後での電
気抵抗値の低下と糸長方向での電気抵抗値のばらつきも
大きくなりやすい。なお、本発明によれば、このように
熱水収縮率を低くすることにより糸長方向の比抵抗値及
び電気抵抗値のばらつきを安定化させることができるの
で、従来の技術にあるように、導電性微粒子を特定のも
のにしたり、2種類以上用いる必要はない。
【0034】なお、熱水収縮率は、試料長100cmと
し、JIS−L−1042熱水浸漬法に準じ、得られた
導電糸を80℃の熱水に30分間浸漬させた後、遠心脱水機
で脱水し、次に乾燥(105℃)し、そのときの試料長
L(cm)を測定して、次式にて計算する。 熱水収縮率(%)=〔(100−L)/100〕×10
【0035】また、本発明でいう熱水処理前後の比抵抗
値ρb、ρaの比(ρb/ρa)及び電気抵抗値の差は
次のようにして算出する。まず、熱水処理は前記のJI
S−L−1042熱水浸漬法に準じ、得られた導電糸を
80℃の熱水に30分間浸漬させた後、遠心脱水機で脱
水後乾燥(105℃)を行う。熱水処理をした糸条と熱
水処理をしなかった糸条から、それぞれ長さ方向に沿っ
て、100m毎に長さ10cmの試験片を20個採取し
た。この10cmの試験片の間(両端間)に500Vの
電圧をかけて、測定環境20℃、20%RHの条件下、
東亜電波工業社製の抵抗値測定機「SM−10E」を使
用して、熱水処理前の電気抵抗値Rb、熱水処理後の電
気抵抗値Ra(Ω/cm)を求める。なお、試料片20
個の平均値とする。
【0036】ここで、熱水処理前後の電気抵抗値の差
は、電気抵抗値の対数値を求め、下記式(1)により計
算する。 電気抵抗値の差=〔(logRb−logRa)/logRb〕×100・・ ・(1) 次に、得られた電気抵抗値Rb、Ra(Ω/cm)を以
下に示す式(2)、(3)に代入し、比抵抗値(ρb、
ρa(Ω・cm))を求める。 比抵抗値(ρb)=Rb(Ω/cm)×S・・・(2) 比抵抗値(ρa)=Ra(Ω/cm)×S・・・(3) 式中、Sは試験片の断面積(cm2)を示す。ただし、
ここではS=Dtex/(1000000×d)であり、D
texとはポリエステル又はポリアミド系導電糸の総デシ
テックス数をそのまま重量(g)として読みかえた値を
示し、dは繊維の密度(ここではポリエステル系導電糸
=1.350、ポリアミド系導電糸=1.245として計算した)
を示す。
【0037】また、本発明のポリエステル又はポリアミ
ド系導電糸は、糸長方向での比抵抗値のばらつきや電気
抵抗値のばらつきが標準偏差0.3以下であることが好
ましい。この比抵抗値のばらつきは比抵抗値を対数値表
示した値の標準偏差であり、前記した条件で比抵抗値を
糸長方向に500ポイント測定し、各測定データを対数
変換し、これらの値の標準偏差を算出するものである。
また、電気抵抗値のばらつきは電気抵抗値を対数値表示
した値の標準偏差であり、前記した条件で電気抵抗値を
糸長方向に500ポイント測定し、各測定データを対数
変換し、これらの値の標準偏差を算出するものである。
【0038】標準偏差が0.3を超えると、糸長方向で
の比抵抗値のばらつきや糸長方向での電気抵抗値のばら
つきが大きくなり、画像障害の原因となりやすい。
【0039】さらに、本発明のポリエステル又はポリア
ミド系導電糸は、温湿度が20℃、20%RHの雰囲気
中での比抵抗値が100〜108Ω・cmであることが好
ましい。この範囲の比抵抗値とすることで、電子写真複
写機、電子写真プリンター等に用いられる各種ブラシに
より適した繊維とすることができる。特に温湿度が20
℃、20%RHの雰囲気中での比抵抗値が103〜107
Ω・cmである場合は、接触帯電ブラシにより適した繊
維とすることができる。ここで接触帯電ブラシの場合
は、特に比抵抗値が108Ω・cmを超えると、感光帯
ドラムの表面の均一な帯電を得ることが困難となり、一
方、100Ω・cm未満の低比抵抗値の場合は感光帯層
にピンホール等の欠陥があった時、大電流が流入して帯
電不良が発生しやすい。
【0040】同様に、本発明のポリエステル又はポリア
ミド系導電糸は、温湿度が20℃、20%RHの雰囲気
中での電気抵抗値が104〜1011Ω/cmであること
が好ましい。この範囲の電気抵抗値とすることで、電子
写真複写機、電子写真プリンター等に用いられる各種ブ
ラシにより適した繊維とすることができる。特に温湿度
が20℃、20%RHの雰囲気中での電気抵抗値が10
7〜1010Ω/cmである場合は、接触帯電ブラシに適
した繊維とすることができる。ここで接触帯電ブラシの
場合は、特に電気抵抗値が1011Ω/cmを超えると、
感光帯ドラムの表面の均一な帯電を得ることが困難とな
り、一方、104Ω/cm未満の低抵抗値の場合は感光
帯層にピンホール等の欠陥があった時、大電流が流入し
て帯電不良が発生しやすい。
【0041】さらに、本発明の導電糸は単糸繊度が1
0.0dtex以下であることが好ましく、より好ましくは
8.0dtex以下、さらに好ましくは5.0dtex以下であ
る。すなわち、本発明の導電糸を接触帯電ブラシ等に用
いる場合、単糸繊度が小さいほど感光体ドラム等との接
触状態が密で均一となり、これにより除電をより均一に
行うことができ、安定かつ良好な画像が得られる。単糸
繊度が10.0dtexを超える場合、この効果が得られ
ず、鮮明な画像が得られにくくなったり、複写回数が多
くなるにつれて複写物に筋状の汚れが生じやすくなる。
【0042】なお、本発明の導電糸は、上記のような比
抵抗値又は電気抵抗値を示すものであれば、前記した導
電性微粒子は繊維中にどのように含有されていてもよ
く、繊維全体にブレンド(分散)したシングルタイプの
ものに限らず、複合形態のものとしてもよい。複合形態
の繊維の例としては、芯鞘形状のどちらか一方の部分に
導電性微粒子を含むもの、芯鞘形状の両方に導電性微粒
子を含有し、かつ両部において導電性微粒子の含有量が
異なるもの、3層以上の多層芯鞘複合形態のもので、各
層のいずれか、又は全てに異なる量の導電性微粒子を含
有するもの、繊維表面の少なくとも一部に導電性微粒子
を含有した成分を有するもの等が挙げられる。ただし、
部分的に導電性微粒子を含有させる場合には、繊維横断
面において対称性があるように含有させることが好まし
い。
【0043】また、本発明の導電糸の横断面形状は特に
限定されるものではなく、丸断面形状のもののみなら
ず、四角や三角の多角形のものや中空のものでもよい。
【0044】次に、本発明の導電糸の製造方法を説明す
る。本発明の導電糸は、上記のようなカーボンブラック
等の導電性微粒子又は導電性微粒子を含むマスターチッ
プとポリエステル又はポリアミドを、例えばエクストル
ーダーで混練・溶融し、紡糸口金より押し出し、冷却・
延伸を行うなどの公知の方法で製造することができる。
【0045】導電性微粒子とポリエステル又はポリアミ
ドとの混練・溶融方法としては、導電性微粒子を例え
ば、二軸エクストルーダー等を用いて直接混練すること
もできるが、一旦導電性微粒子を高濃度に含有したマス
ターチップを作製してから混練するほうが、より均一な
混練ができるため好ましい。
【0046】また、マスターチップとして用いられる樹
脂は、導電糸と同じ物性(例えば分子量)を有するもの
を用いることができるが、導電性微粒子の高濃度化の観
点から上記樹脂の共重合体や導電糸に用いられる樹脂よ
りも低分子量のものがより好ましい。例えば、イソフタ
ル酸、スルホイソフタル酸、ポリエチレングリコール等
を0.3〜30モル%共重合したポリエステルやポリア
ミド等が挙げられる。また、低分子量のものとしては、
主体樹脂の相対粘度比で40〜100%程度のものが好
ましく、さらに好ましくは45〜80%程度のものであ
る。
【0047】溶融紡糸の方法は特に限定するものではな
く、常法によって行うことができる。紡糸温度は用いる
樹脂の融点Tmに対して、Tm+10〜Tm+80℃の
範囲とすることが好ましい。紡糸温度が高すぎるとポリ
エステル又はポリアミドが熱分解を起こし、円滑な紡糸
が困難になるとともに得られるフィラメントの物性が劣
ったものとなる。また紡糸温度が低すぎると未溶解物等
が残るために均一な混練ができなくなるため好ましくな
い。
【0048】紡出されたフィラメントは、0〜100℃、好
ましくは15〜40℃の冷却風により冷却される。冷却温度
をあまり低くすると温度管理及び作業性等に困難をきた
し、高すぎると冷却不足となり最終的に得られるフィラ
メントの糸質性能が劣ったものとなる。
【0049】冷却後の糸条に付与する紡糸油剤において
は、ポリアミン系カチオン界面活性剤〔例えば、「サフ
ァノール503−D(三洋化成株式会社製)」、「CA
−200(正研化工株式会社製)」、多価アルコール系
非イオン界面活性剤〔例えば、「サンソフターNP−2
5(日華化学株式会社製)」、「PS−9(松本油脂株
式会社製)」、「KT2A(松本油脂株式会社製)」、
ノニオン界面活性剤〔例えば「KE−4001(竹本油
脂株式会社製)」、「KE−4002(竹本油脂株式会
社製)」、「UTN−2631(竹本油脂株式会社
製)」〕等が好適に用いられる。
【0050】次いで、冷却固化したフィラメントは、50
0〜1500m/分で一旦巻き取った後に延伸される。延伸
は一段又は二段以上の多段で行うことができるが、延伸
倍率は、最大延伸倍率の50〜80%で延伸することが好ま
しい。延伸する際の延伸温度としては、延伸前ローラ温
度20〜100℃、ヒータープレート温度120〜18
0℃とすると好適に延伸することができる。
【0051】これらの紡糸・延伸方法で得られた導電糸
は、通常、熱水処理前後の比抵抗値の比が102を超
え、熱水処理前後の電気抵抗値の差が5.0%を超え、
また熱水収縮率も10%を超えるが、以下に示す加熱蒸
気処理と乾燥熱処理を複数回繰り返し行うことにより、
本発明の熱水処理前後の比抵抗値の比が102以下であ
る導電糸及び又は熱水処理前後の電気抵抗値の差が5.
0%以下である導電糸で、かつ熱水収縮率が10%以下
の導電糸を得ることができる。
【0052】加熱蒸気処理条件は特に限定されるもので
はないが、加熱飽和蒸気で80℃〜180℃で処理する
ことが好ましい。乾燥方法も特に限定されるものではな
く、熱風乾燥機や真空乾燥機などの通常の乾燥機を用
い、60〜110℃で乾燥することが好ましい。
【0053】これら加熱蒸気処理及び乾燥熱処理するこ
とによって収縮が生じ、多数の新接合点あるいは部分的
な再結晶が生じる。この熱処理によって収縮率が低下
し、寸法安定性が付与される。
【0054】なお、導電糸に架橋結合や樹脂処理を施す
ことによって、寸法安定性を付与し、本発明の導電糸を
得ることもできる。しかしながら、帯電ドラムの汚染の
問題があるため、前記のような加熱蒸気処理と乾燥熱処
理を複数回繰り返す方法を採用することが好ましい。
【0055】さらに、本発明のブラシは、本発明のポリ
エステル又はポリアミド系導電糸を少なくとも一部に使
用したものである。ブラシの形態等は特に限定されるも
のではないが、パイルとして製織した後、このパイル織
物を円筒面に螺旋状に巻き付けてブラシとしたものが挙
げられる。
【0056】そして、本発明のブラシは、本発明の導電
糸のみからなるものとすることが好ましく、中でも、各
導電糸の比抵抗値のばらつきが標準偏差で0.2以下で
ある接触帯電ブラシ又は各導電糸の電気抵抗値のばらつ
きが標準偏差で0.2以下である接触帯電ブラシとする
ことが好ましい。この比抵抗値のばらつきは比抵抗値を
対数値表示した値の標準偏差であり、電気抵抗値のばら
つきは電気抵抗値を対数値表示した値の標準偏差であ
り、両者ともブラシを構成する繊維の比抵抗値又は電気
抵抗値を前記の方法でランダムに500ポイント選んで
測定し、各測定データを対数変換後、標準偏差を求める
ものである。
【0057】標準偏差が0.2を超えると、ブラシを構
成する導電糸間の比抵抗値のばらつき又は電気抵抗値の
ばらつきが大きくなり、画像障害を生じさせる要因とな
る。
【0058】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。実施例中の導電糸の電気抵抗値、電気抵抗値の差、
比抵抗値、比抵抗値の比、熱水収縮率、比抵抗値の糸長
方向のばらつき、電気抵抗値の糸長方向のばらつき、ブ
ラシの比抵抗値のばらつき、ブラシの電気抵抗値のばら
つきは前記の方法で測定したものであり、ばらつき以外
はn数20の平均値とした。なお、比抵抗値、比抵抗値
の比は対数値で示した。また、画像評価は次のように行
ったものである。得られた繊維からなるブラシを25
℃、20%RHの雰囲気中に1時間放置後、80℃、6
0%RHの雰囲気中に30分放置する。これを1処理と
して5回繰り返し、処理前とそれぞれの処理後のブラシ
を電子複写機に使用して1000枚の複写を行い、その
画像の鮮明さを10を最も優れているものとして10段
階で評価した。
【0059】実施例1 相対粘度2.50(96質量%硫酸を溶媒として,濃度1g/dl,温
度25℃で測定)のナイロン6チップに、カーボンブラッ
ク濃度が20質量%となるようにマスターチップ(カーホ゛
ンフ゛ラックを35質量%含有するナイロン6(相対粘度1.95)チッフ
゜)をブレンドした後、エクストルーダー型溶融押出機
に供給し、紡糸温度255℃で溶融し、孔径0.35mmの
紡糸孔を24個有する紡糸口金より吐出させて、捲取速
度1000m/分で未延伸糸を巻取った。次いで得られ
た未延伸糸を延伸機に供給し、表面温度30℃のローラ
と150℃のホットプレートを介して、最大延伸倍率の
60%(延伸倍率2.4倍)で延伸し、188dtex/24f
のナイロン導電糸を得た。この導電糸の熱水処理前後の
比抵抗値の対数値はそれぞれ10.48、8.38、熱
水処理前後の電気抵抗値の対数値はそれぞれ14.3、
12.2であった。熱水収縮率は10.9%であった。
次にこれらの導電糸を80℃に予備加熱された蒸気セッ
ト機に入れ、15分間40mmHgの減圧下に置き、続
いて加熱蒸気を導入して110℃に45分間保って加熱
蒸気処理を行い、次いで再び真空にして80℃の状態で
乾燥熱処理を行った。以上の操作を5回繰り返した。得
られた導電糸の熱水処理前後の比抵抗値の対数値はそれ
ぞれ7.08、6.88、熱水処理前後の電気抵抗値の
対数値はそれぞれ10.9、10.7であった。熱水収
縮率は2.1%であった。次に、得られた導電糸をパイ
ル密度を1000本/2.54cm、パイル長7mm、生地幅
15mmのパイルテープとして製織した後、直径6mm
の円筒面に螺旋状に巻き付けてブラシを作成した。
【0060】実施例2〜12 カーボンブラックの添加量と総繊度、単糸繊度を表1に
示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、紡
糸・延伸・加熱蒸気及び乾燥熱処理を行い、ブラシを作
成した。
【0061】比較例1〜12実施例1〜12で行った加
熱蒸気及び乾燥熱処理を施さなかった以外は、それぞれ
実施例1〜12と同様にして紡糸、延伸を行い、ブラシ
を作成した。
【0062】実施例1〜12及び比較例1〜12で得ら
れた導電糸及びブラシの物性値及び画像評価の結果を表
1、2に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】表1、2から明らかなように、実施例1〜
12で得られた導電糸は、熱水処理前後の比抵抗値の比
が小さく、電気抵抗値の差が小さく、熱水収縮率も小さ
いものであったので、長期間の使用においても安定した
比抵抗値及び電気抵抗値を示し、ブラシを構成する繊維
間で比抵抗値及び電気抵抗値のばらつきも生じることな
く、温湿度変化が大きい条件下で長期間使用しても画像
が良好であった。中でも単糸繊度の小さい実施例5〜1
2の導電糸は、感光体ドラム等との接触状態が密で均一
となるため、除電も均一となり、長期間の使用において
も安定して画像が良好であった。一方、比較例1〜12
の繊維は、加熱蒸気及び乾燥熱処理を行わなかったた
め、熱水処理前後の比抵抗値の比が大きく、電気抵抗値
の差が大きく、熱水収縮率も大きいものであったので、
ブラシを構成する各導電糸は、温湿度変化を受けるうち
に複数の比抵抗値及び電気抵抗値に低下するものとな
り、これらの繊維からなるブラシは比抵抗値及び電気抵
抗値の幅の大きいブラシとなり、画像評価に劣るもので
あった。
【0066】実施例13 相対粘度1.30(フェノール/テトラクロロエタン=1/1(質量比)混合溶
液に、濃度0.5g/dl、温度20℃で測定した)のポリエチレ
ンテレフタレートチップに、カーボンブラック濃度が1
7.5質量%となるように、マスターチップ〔カーホ゛ンフ゛ラ
ックを25質量%含有するポリブチレンテレフタレート(相
対粘度1.34)チッフ゜〕をブレンドした後、エクストル
ーダー型溶融押出機に供給し、紡糸温度295℃で溶融
し、孔径0.35mmの紡糸孔を24個有する紡糸口金より
吐出させて、捲取速度1000m/分で未延伸糸を巻取
った。次いで得られた未延伸糸を延伸機に供給し、表面
温度80℃のローラと150℃のホットプレートを介し
て、最大延伸倍率の60%(延伸倍率2.7倍)で延伸
し、220dtex/48fのポリエステル導電糸を得た。こ
の導電糸の熱水処理前後の比抵抗値の対数値はそれぞれ
7.11、4.81、熱水処理前後の電気抵抗値の対数
値はそれぞれ10.9、8.6であった。熱水収縮率は
26%であった。次にこれらの導電糸を80℃に予備加
熱された蒸気セット機に入れ、15分間40mmHgの
減圧下に置き、続いて加熱蒸気を導入して110℃に4
5分間保って加熱蒸気処理を行い、次いで再び真空にし
て80℃の状態で乾燥を行った。以上の操作を5回繰り
返した。得られた導電糸の熱水処理前後の比抵抗値の対
数値はそれぞれ3.61、3.51、熱水処理前後の電
気抵抗値の対数値はそれぞれ7.4、7.3であった。
熱水収縮率は0.4%であった。得られた導電糸をパイ
ル密度を1000本/2.54cm、パイル長7mm、生地幅
15mmのパイルテープとして製織した後、直径6mm
の円筒面に螺旋状に巻き付けてブラシを作成した。
【0067】実施例14〜16 カーボンブラックの添加量と総繊度、単糸繊度を表3に
示すように変更した以外は、実施例13と同様にして、
紡糸・延伸・加熱蒸気及び乾燥熱処理を行い、ブラシを
作成した。
【0068】実施例17 マスターチップをポリエチレンテレフタレートに代えて
イソフタル酸8%共重合したポリエチレンテレフタレー
ト(カーボンブラックを25質量%含有し、相対粘度1.
44(フェノール/テトラクロロエタン=1/1(質量比)混合溶液に、濃度0.
5g/dl、温度20℃で測定した))で希釈した以外は、実施
例13と同様にして、紡糸、延伸を行い、220dtex/
48fのポリエステル導電糸を得た。この導電糸の熱水
処理前後の比抵抗値の対数値はそれぞれ7.11、4.
51、熱水処理前後の電気抵抗値の対数値はそれぞれ1
0.9、8.3であった。熱水収縮率は10%であっ
た。次にこれらの導電糸を実施例13と同様に加熱蒸気
及び乾燥熱処理を行った。得られた導電糸の熱水処理前
後の比抵抗値の対数値はそれぞれ3.91、3.81、
熱水処理前後の電気抵抗値の対数値はそれぞれ7.7、
7.6であった。熱水収縮率は0.3%であった。得ら
れた導電糸を実施例13と同様にしてブラシを作成し
た。
【0069】実施例18〜20 カーボンブラックの添加量と総繊度、単糸繊度を表3に
示すように変更した以外は、実施例17と同様にして、
紡糸・延伸・加熱蒸気及び乾燥熱処理を行い、ブラシを
作成した。
【0070】比較例13〜20 実施例13〜20で行った加熱蒸気及び乾燥熱処理を施
さなかった以外は、それぞれ実施例13〜20と同様に
して紡糸、延伸を行い、ブラシを作成した。
【0071】実施例13〜20及び比較例13〜20で
得られた導電糸及びブラシの物性値及び画像評価の結果
を表3、4に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】表3、4から明らかなように、実施例13
〜20で得られた導電糸は、熱水処理前後の比抵抗値の
比が小さく、電気抵抗値の差が小さく、熱水収縮率も小
さいものであったので、長期間の使用においても安定し
た比抵抗値及び電気抵抗値を示し、ブラシを構成する繊
維間で比抵抗値及び電気抵抗値のばらつきも生じること
なく、温湿度変化が大きい条件下で長期間使用しても画
像が良好であった。中でも単糸繊度の小さい実施例1
5、16、19、20の導電糸は、感光体ドラム等との
接触状態が密で均一となるため、除電も均一となり、長
期間の使用においても安定して画像が良好であった一
方、比較例13〜20の繊維は、加熱蒸気及び乾燥熱処
理を行わなかったため、熱水処理前後の比抵抗値の比が
大きく、電気抵抗値の差が大きく、熱水収縮率も大きい
ものであったので、ブラシを構成する各導電糸は、温湿
度変化を受けるうちに複数の比抵抗値及び電気抵抗値に
低下するものとなり、これらの繊維からなるブラシは比
抵抗値及び電気抵抗値の幅の大きいブラシとなり、画像
評価に劣るものであった。
【0075】
【発明の効果】本発明のポリエステル又はポリアミド系
導電糸は、熱水収縮率が小さく、温湿度変化を繰り返し
受けても安定した比抵抗値及び又は電気抵抗値を示す。
そして、本発明のポリエステル又はポリアミド系導電糸
からなる接触帯電用ブラシ用繊維は、温湿度変化が大き
い環境で長期間使用しても安定した比抵抗値及び又は電
気抵抗値を示し、かつ繊維間での比抵抗値や電気抵抗値
のばらつきも生じることがなく、安定、かつ良好な画像
を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なポリエチレンテレフタレート導電糸を
ブラシとして使用したときの時間と比抵抗値の関係を示
すグラフである。
【図2】一般的なナイロン6導電糸をブラシとして使用
したときの時間と比抵抗値の関係を示すグラフである。
【図3】一般的なポリエチレンテレフタレート導電糸を
ブラシとして使用したときの時間と電気抵抗値の関係を
示すグラフである。
【図4】一般的なナイロン6導電糸をブラシとして使用
したときの時間と電気抵抗値の関係を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 15/08 501 G03G 15/08 501D 21/10 21/00 314 (72)発明者 有田 収次 京都府宇治市宇治戸ノ内5 ユニチカファ イバー株式会社宇治工場内 (72)発明者 阿部 清二 京都府宇治市宇治戸ノ内5 ユニチカファ イバー株式会社宇治工場内 Fターム(参考) 2H077 AC05 AD05 EA18 FA27 GA02 2H134 GA01 GB01 HB03 HB19 KD04 KD12 KH04 2H200 FA01 FA02 HA02 HA28 HB07 HB45 HB46 LC09 MA04 MA14 MA17 MA20 MB01 MB06 4L035 BB31 BB89 BB91 EE01 EE06 EE13 GG03 JJ03 JJ04 KK01 LC00 4L036 MA05 MA06 MA33 PA01 PA03 PA18 PA19 UA25

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性微粒子を含有し、熱水処理前後の
    比抵抗値ρb、ρaの比(ρb/ρa)が102以下で
    あることを特徴とするポリエステル又はポリアミド系導
    電糸。
  2. 【請求項2】 導電性微粒子を含有し、熱水処理前後の
    電気抵抗値の差が5.0%以下であることを特徴とする
    ポリエステル又はポリアミド系導電糸。
  3. 【請求項3】 導電性微粒子を含有し、熱水処理前後の
    比抵抗値ρb、ρaの比(ρb/ρa)が102以下、
    かつ熱水処理前後の電気抵抗値の差が5.0%以下であ
    ることを特徴とするポリエステル又はポリアミド系導電
    糸。
  4. 【請求項4】 熱水収縮率が10%以下である請求項
    1、2又は3記載のポリエステル又はポリアミド系導電
    糸。
  5. 【請求項5】 糸長方向の比抵抗値のばらつきが標準偏
    差0.3以下である請求項1、3又は4記載のポリエス
    テル又はポリアミド系導電糸。
  6. 【請求項6】 糸長方向の電気抵抗値のばらつきが標準
    偏差0.3以下である請求項2、3又は4記載のポリエ
    ステル又はポリアミド系導電糸。
  7. 【請求項7】 温湿度が20℃、20%RHの雰囲気中
    での比抵抗値が100〜108Ω・cmである請求項1、
    3、4又は5記載のポリエステル又はポリアミド系導電
    糸。
  8. 【請求項8】 温湿度が20℃、20%RHの雰囲気中
    での比抵抗値が10 3〜107Ω・cmである請求項1、
    3、4又は5記載のポリエステル又はポリアミド系導電
    糸。
  9. 【請求項9】 温湿度が20℃、20%RHの雰囲気中
    での電気抵抗値が104〜1011Ω/cmである請求項
    2、3、4又は6記載のポリエステル又はポリアミド系
    導電糸。
  10. 【請求項10】 温湿度が20℃、20%RHの雰囲気
    中での電気抵抗値が107〜1010Ω/cmである請求
    項2、3、4又は6記載のポリエステル又はポリアミド
    系導電糸。
  11. 【請求項11】 単糸繊度が10.0dtex以下である請
    求項1〜10のいずれかに記載のポリエステル又はポリ
    アミド系導電糸。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれかに記載のポ
    リエステル又はポリアミド系導電糸を少なくとも一部に
    使用したブラシ。
  13. 【請求項13】 各ポリエステル又はポリアミド系導電
    糸間の比抵抗値のばらつきが標準偏差0.2以下である
    請求項12記載のブラシ。
  14. 【請求項14】 各ポリエステル又はポリアミド系導電
    糸間の電気抵抗値のばらつきが標準偏差0.2以下であ
    る請求項12記載のブラシ。
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