JP4148349B2 - 共焦点顕微鏡及び微小開口回転盤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の微小開口を有する円盤型の微小開口回転盤を回転させて試料を光走査する共焦点顕微鏡、及びそれに備えられる微小開口回転盤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生きている生物試料を拡大観察する光学顕微鏡は、300年以上の歴史を持つ。光学顕微鏡は、位相差法、偏光法、蛍光法、微分干渉法、暗視野法など種々の観察方法を取り入れて改良が進み、生物試料を生きているままに観察できるという特長を生かして医学、生物学において計り知れない貢献をしてきた。そして今や、生物試料を蛍光修飾することによって、細胞内のタンパク質や低分子まで観察できるようになっている。
【0003】
このような蛍光修飾を用いる光学顕微鏡は、蛍光顕微鏡と称され、中でも特に、微小開口を用いる共焦点顕微鏡が注目されている。通常の蛍光顕微鏡では、焦点面の上下の励起光が十分に集光していない領域での励起や蛍光の散乱が蛍光像のボケを引き起こすが、共焦点顕微鏡は微小開口(例えばピンホール)を用いることにより、この蛍光像のボケを除去することができる。
【0004】
上記共焦点顕微鏡には、レーザ光を走査するのにガルバノ鏡を用いる型、音響光学素子を用いる型、ニポウ盤(微小開口回転盤)を用いる型がある。中でも、高速走査にはニポウ盤を用いる型が適しており、現状1秒間に720枚の像を得ることができる。
【0005】
ニポウ盤は、アルキメデスの螺旋に沿って(中心の周りに等角度で分布し、中心からの距離が等間隔で減少するように)並んだ多数のピンホール(微小開口)を持つ円盤である。ニポウ盤は、2次元画像を1次元の電気信号に変換して画像電送を可能にするために1884年に考案された。ニポウ盤を用いた画像伝送は以下の通りである。
【0006】
撮像レンズによって観察対象の像をニポウ盤の前面に形成し、ニポウ盤の後方に光電変換素子を配置し、かつ光電変換素子がニポウ盤上に離散するピンホールの1個を通過した光だけを受けるようにする。ニポウ盤が回転することによって像の異なる部分の光強度が電気信号に変換され、ニポウ盤の1回転で像の全体が走査される。この電気信号で明るさを変化させた電球を別のニポウ盤を通して見ると、元の像が再現される。
【0007】
図3に、共焦点顕微鏡に用いられるように改良されたレーザ光走査用ニポウ盤30の模式図を示す。画像伝送用ニポウ盤が1本の螺旋上にピンホールを配したのに対して、レーザ光走査用では、像の観察は接眼レンズを通して直接に、或いは撮像器を用いて行われるため、螺旋は1本である必要はなく、複数本の螺旋上にピンホール31…を配している。図3には、アルキメデスの螺旋1本だけを太線Lで例示した。
【0008】
図4に、このようなニポウ盤30を用いた型の従来の共焦点顕微鏡の一構成例を示す。図中、40はニポウ盤30のピンホール31…と相対するマイクロレンズ41…を配したマイクロレンズアレイ盤であり、ニポウ盤30における開口面積比を上げてレーザ光の利用率を上げる働きがある。マイクロレンズアレイ盤40における各マイクロレンズ41の焦点位置にニポウ盤30の各ピンホール31が配されている。これらマイクロレンズアレイ盤40とニポウ盤30とは、共通軸50のまわりに一体的に高速回転される。
【0009】
励起用レーザ(不図示)からのレーザ光(平行光)51は、マイクロレンズアレイ盤40の上方より照射され、各マイクロレンズ41で集光され、一体的に回転しているニポウ盤30の各ピンホール31を通過すると、ニポウ盤30の底面で平面上に並んだ点光源群60となる。但し、図4では、図の煩雑さを避けるために一個のピンホール31を通り抜けた1点光源の光路に関してのみ図示する。
【0010】
この点光源群60からの各光51aは、対物レンズ52によって集光され、試料53中でレーザ光51の光軸と直交する平面状に並ぶ集光点群54を形成し、各集光点で蛍光色素が励起される。
【0011】
各集光点の励起した蛍光55は、対物レンズ52で集められ、ニポウ盤30の下面に集光され、各々元のピンホール31を通り抜ける。そして、ピンホール31を通り抜けたこれら蛍光55は、ダイクロイックミラー56で結像レンズ57へと反射され、結像レンズ57によって平面状に結像され、撮像器58によって撮像される。
【0012】
また、試料53内の集光点の前後で生じる低強度の蛍光や、試料53内で散乱された蛍光59(点線にて示す)は、対物レンズ52による集光位置がピンホール31とずれるため、ピンホール31を通り抜けることができず、像に混入することはない。そのために、共焦点顕微鏡は、通常の蛍光顕微鏡と違って、平面方向、及び光軸方向の分解能が高い、鮮明な像を得ることができる。
【0013】
このような構成の共焦点顕微鏡において、例えば図3のニポウ盤30の模式図に斜線で示した30度の開き角の部分が顕微鏡の視野に相当するとすると、撮像器58は、ニポウ盤30の30度の回転で、斜線部分に形成されたピンホール31の個数に相当する数の走査線(図ではピンホール2が50個形成されているので50本の走査線)からなる画像を1つ構成できる。そして、ニポウ盤30の1回転で、合計12枚の画像が得られる。
【0014】
現状用いられているニポウ盤では、上記斜線で示した顕微鏡の視野に相当する部分には、1000個程度のピンホールが形成されており、一画面は1000本程度の走査線で構成される。したがって、このようなニポウ盤の回転速度を60回転毎秒とし、上記撮像器58に高速カメラを用いると、毎秒720枚の画像を得ることができる。
【0015】
このようなニポウ盤を用いた共焦点顕微鏡については、例えば、特許第3082183号の特許公報に記載されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したニポウ盤を用いる型に限らず、従来の共焦点顕微鏡では、試料53内の極薄い平面部分を観察するため、試料53内の異なる深さを観察する際には、試料53或いは対物レンズ52を光軸方向に上下動させることによって焦点面を移動させる。そして、この様な深さを換えての平面部分の撮像を繰り返し行うことで、深さの異なるいくつかの面の像を取得し、後に画像処理することによって立体像を構築することが可能となる。
【0017】
しかしながら、このような試料53或いは対物レンズ52の上下動にて焦点面を移動させる従来の構成では、焦点面の移動に時間を要するため、動きのある試料の立体像を観察できないという問題がある。
【0018】
本発明は上記課題に鑑み成されたものであって、動きのある試料の立体像の観察が可能な共焦点顕微鏡を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、複数の微小開口が螺旋状に並んで形成された円盤型の微小開口回転盤を用い、該微小開口回転盤を回転しつつその一方の面よりレーザ光を照射して微小開口を通すことで他方の面に点光源群を形成し、該点光源群の光を対物レンズで試料内に集光して集光点群を形成し、該集光点群からの各戻り光を元の微小開口を通して微小開口回転盤より出射して結像レンズにて結像させる共焦点顕微鏡であって、上記微小開口回転盤の対物レンズ側の面が回転軸を中心とした1回転分の螺旋状斜面を成し、レーザ光が入射される側の面が平らに形成されていることを特徴としている。
【0020】
これによれば、複数の微小開口が螺旋状に並んで形成された微小開口回転盤は、対物レンズ側となる面が回転軸を中心とした1回転分の螺旋状斜面を成し、結像レンズ側となる面は平らに形成されている。
【0021】
点光源群は微小開口回転盤の対物レンズ側の面に形成されるため、微小開口回転盤の対物レンズ側の面がこのような螺旋状斜面に形成されることで、点光源毎に点光源から対物レンズまでの距離が変化することとなる。対物レンズによる試料内の集光深さを決定する対物レンズと集光点との距離は、後述するレンズの公式に示されるように、対物レンズの焦点距離が同じ場合、点光源から対物レンズまでの距離が変化するとこちらも変化する関係にある。そのため、微小開口回転盤の対物レンズ側の面を上記のように構成することで、点光源毎に集光深さが異なることとなり、集光点群は試料内で水平面(深さが等しい)上には並ばず、立体的に並ぶようになる。
【0022】
したがって、このような微小開口回転盤を回転させることで、試料内の異なる深さを走査させることが可能となる。微小開口回転盤の1回転で走査位置の深さは元に戻る。
【0023】
また、微小開口回転盤の結像レンズ側の面は平らに形成されているので、各微小開口を通って微小開口回転盤のこの平坦面より出射された光は結像レンズにて平面像として形成される。したがって、この平面像を撮像して、3次元像を再生することで、試料或いは対物レンズを光軸方向に上下動させることなく、立体像を得ることができる。
【0024】
例えば、微小開口回転盤の開き角30度の部分が顕微鏡の視野に相当するとすると、微小開口回転盤の1回転で深さの異なる12枚の画像を得ることができ、これら12枚の画像で1つの立体像が形成される。そして、このような微小開口回転盤の回転速度を例えば60回転毎秒とすると、このような立体像を毎秒60個形成できる。
【0025】
その結果、動きのある試料の立体像の観察を可能とし、立体形状に加えて試料の時間的な変化や移動の情報を含む四次元顕微鏡観察が可能な共焦点顕微鏡を提供できる。
【0026】
また、上記微小開口回転盤において、微小開口に中空管或いは棒状の透明体が埋め込まれている構成とすることが好ましい。ここで中空管としては例えばガラスキャピラリー等を挙げることができ、棒状の透明体としては、光ファイバー等を挙げることができる。
【0027】
本発明の共焦点顕微鏡に備えられる微小開口回転盤は、従来の微小開口回転盤よりも肉厚であるため、微小開口のアスペクト比(深さと直径の比)も高く、高アスペクト比の微小開口は低アスペクト比のものに比べ形成が困難である。また、微小開口の内面が平滑でない場合、光の伝播ロスが起こるが、このような伝播ロスはアスペクト比が大きくなるほど顕著になるため、微小開口の内面平滑化工程が必要となる。
【0028】
そこで、上記のように、微小開口回転盤を微小開口に中空管或いは棒状の透明体が埋め込まれている構成とすることで、微小開口の内面平滑化処理が必要なくなり、かつ、高アスペクト比であっても困難なく製造することができる。
【0029】
その結果、動きのある試料の立体像の観察を可能とし、立体形状に加えて試料の時間的な変化や移動の情報を含む四次元顕微鏡観察が可能な共焦点顕微鏡をより低コストにて提供できる。
【0030】
また、本発明の微小開口回転盤は、上記課題を解決するために、共焦点顕微鏡に備えられる複数の微小開口が螺旋状に並んで形成された円盤型の微小開口回転盤であって、一方の面が回転軸を中心とした1回転分の螺旋状斜面を成し、他方の面が平らに形成されていることを特徴としている。
【0031】
共焦点顕微鏡として既に説明したように、本発明の該微小開口回転盤を用いて光走査することで、試料や対物レンズを上下動させることなく、立体像を得ることができる。
【0032】
したがって、従来の共焦点顕微鏡においても、微小開口回転盤を本発明の微小開口回転盤に交換することで、動きのある試料の立体像の観察を可能とし、立体形状に加えて試料の時間的な変化や移動の情報を含む四次元顕微鏡観察が可能なものに性能を高めることができる。
【0033】
そしてまた、本発明の共焦点顕微鏡は、別の表現を用いれば、複数の微小開口が螺旋状に並んで形成されると共に、上面が平らで底面が回転軸を中心とした1回転分の螺旋状斜面を成す円盤状の微小開口回転盤を備えており、該微小開口回転盤を回転しつつ上面側よりレーザ光を照射して底面に微小開口に応じた複数の点光源を作り、該点光源の光を対物レンズにて試料内に照射して複数の集光点を立体的に形成し、各集光点で励起された蛍光物質からの蛍光を該対物レンズで上記微小開口回転盤の微小開口の下端に結像させ、上記微小開口回転盤の上面より出射する光を結像レンズによって平面上に結像させることを特徴しているとも表現できる。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明に係る実施の一形態について、図1〜図3を用いて説明すれば、以下の通りである。
【0035】
図1(a)(b)に、本実施の形態における共焦点顕微鏡の構成を示す。同図(a)は、共焦点顕微鏡の正面図であり、同図(b)は、同図(a)の矢印Aより見た矢視図である。
【0036】
本共焦点顕微鏡は、図1(a)(b)に示すように、ニポウ盤(微小開口回転盤)1と、マイクロレンズアレイ盤3と、ダイクロイックミラー9と、対物レンズ6と、結像レンズ8とを主として備えている。そして、これら図1(a)(b)よりわかるように、本共焦点顕微鏡は、ニポウ盤1の形状に特徴がある。
【0037】
ニポウ盤1は、円盤状を成す回転体で、従来のニポウ盤30と同様、図3の模式図に示すように、複数本のアルキメデスの螺旋上に沿って複数のピンホール(微小開口)2…が形成されている。図3では、アルキメデスの螺旋1本だけを太線Lで例示している。
【0038】
そして、該ニポウ盤1は、図2の斜視図にその立体形状を示すように、マイクロレンズアレイ盤3と対向し、レーザ光10の入射側となる上面1aが平らで、対物レンズ6側となる底面1bが回転軸を中心とした1回転分の螺旋状斜面を成している。底面1bは、回転軸5を中心に螺旋を描くように円周方向に漸次的に上面1aから離間する方向へと滑らかに変化している。
【0039】
なお、マイクロレンズアレイ盤3は、ニポウ盤1と回転軸5にて一体的に回転駆動されるもので、ニポウ盤1に形成された複数のピンホール2…に焦点を合わせた複数のマイクロレンズ4…が形成されている。
【0040】
このような構成において、図示しない励起用レーザにて、マイクロレンズアレイ盤3の上面側より照射されたレーザ光(平行光)10は、マイクロレンズアレイ盤3の各マイクロレンズ4にて効率良くニポウ盤1の各ピンホール2へと導かれる。なお、マイクロレンズアレイ盤3とニポウ盤1との間には、ダイクロイックミラー9が配設されているが、ダイクロイックミラー9は、該レーザ光10を透過させる。
【0041】
ニポウ盤1に入射されたレーザ光10は、複数のピンホール2…を通過することで、ピンホール2の下端で拡散し、ニポウ盤1の底面1bに点光源群14を形成する。上述したように、本共焦点顕微鏡におけるニポウ盤1の底面1bは平らではなく、回転軸を中心とした1回転分の螺旋状斜面を成しているので、点光源群14もこの螺旋状斜面に並んだ状態で形成される。なお、図の煩雑さを避けるために、図1(a)では1個のピンホール2を通り抜けた光路、図1(b)では2個のピンホール2・2を通り抜けた光路に関してのみ図示している。
【0042】
そして、ニポウ盤1の底面1bに形成された点光源群14の各光10aは、対物レンズ6によって集光され、試料7中で集光点群11を形成する。図4にて説明した底面が平らに形成されたニポウ盤30を用いた構成では、試料53内に形成される集光点群54は光軸と直交する水平面に並んでいた。これに対し、上記ニポウ盤1では、底面1bが螺旋状斜面を成し、点光源群14がこの螺旋状斜面に形成されているので、集光点群11は水平に並ぶことはなく、光軸方向に傾きを持った斜面上に並ぶこととなる。
【0043】
これは、ニポウ盤1の底面1bが螺旋状斜面に形成され、点光源毎に点光源から対物レンズ6までの距離が変化するためである。対物レンズ6による試料7内の集光深さを決定する対物レンズ6と集光点との距離は、レンズの公式
1/f=1/a+1/b
で決定される。ここで、fは対物レンズ6の焦点距離、aは点光源つまりピンホール2の下端と対物レンズ6との距離、bは対物レンズ6と集光点との距離である。
【0044】
この式よりわかるように、対物レンズ6の焦点距離fが同じ場合、点光源から対物レンズ6までの距離aが変化すると、対物レンズ6と集光点との距離bも変化する関係にある。そのため、ニポウ盤1の底面1bを螺旋状斜面に形成することで、点光源毎に集光深さが異なることとなり、集光点群11は試料7内で水平面(深さが等しい)上には並ばず、立体的に並ぶようになる。
【0045】
したがって、このようなニポウ盤1を回転させることで、試料7内の異なる深さを走査させることが可能となる。ニポウ盤1の回転に伴って観察部位の深さが漸次的に変わり、ニポウ盤1が1回転すると観察部位の深さが元に戻る。
【0046】
そして、各集光点で蛍光色素が励起され、励起した蛍光(戻り光)12が、対物レンズ6で集められてニポウ盤1の底面1bに集光される。詳細には、各々先に通過した元のピンホール2の下端に集光され、ピンホール2を通り抜ける。そして、ピンホール2を通り抜けた蛍光12は、ダイクロイックミラー9で結像レンズ8へと反射され、結像レンズ8によって結像される。
【0047】
また、特に図示してはいないが、この場合も、試料7内の集光点の前後で生じる低強度の蛍光や、試料7内で散乱された蛍光は、対物レンズ6にてニポウ盤1の底面1bに集光された際、その集光位置がピンホール2とずれるため、ピンホール21を通り抜けることはできない。
【0048】
ピンホール2を通り抜け、ニポウ盤1の上面1aより照射された光は、結像レンズ8にて結像されるが、ここで上記ニポウ盤1の上面1aは平らに形成されているので、各ピンホール2を通ってニポウ盤1の上面1aより出射された光は、結像レンズ8にて平面像として結ばれる。
【0049】
そして、該平面像は、撮像器13によって撮像され、上記撮像器13にて撮像した平面像を基に、図示しない画像処理装置等を使って3次元像を再生すると、立体像が映し出される。
【0050】
このような共焦点顕微鏡において、図3の模式図にて斜線を付しているニポウ盤1の開き角30度の部分が顕微鏡の視野に相当するとし、この部分にピンホール2が1000個ほど形成されているとすると、撮像器13はニポウ盤1の30度の回転で、1000本の走査線からなる画像を1つ構成でき、ニポウ盤1の1回転で深さの異なる12枚の画像を得ることができる。そして、これら12枚の画像を三次元像再構築することで1つの立体像が形成される。
【0051】
そしてまた、このようなニポウ盤1の回転速度を例えば60回転毎秒とすると、このような立体像を毎秒60個形成できる。毎秒60個の画像よりなる四次元像では、試料の立体形状に加えて試料の時間的な変化や移動の情報を含む顕微鏡観察が可能となる。
【0052】
なお、上記の説明では、ニポウ盤1の1回転毎に12枚の画像を撮像して、毎秒720枚の像を得るとしたが、撮像器13の高速化を図ることで、毎秒当たりの取得画像数がさらに増加させることで、より緻密な立体像を得ることが可能になる。
【0053】
また、上記したニポウ盤1における厚みの変化量は、観察対象となる試料の厚みと、使用される対物レンズの倍率によって決定すればよい。
【0054】
つまり、光軸方向の集光点の移動量には、
光軸方向の集光点の移動量=光源の移動量/対物レンズの倍率の2乗
といった関係がある。
【0055】
したがって、試料7が細胞試料である場合に要求される0.01mmの厚さを立体観察するには、光軸方向の集光点の移動量が0.01mm必要となり、上記式より、対物レンズ6の倍率が20倍である場合は、光源の移動量、つまり、ニポウ盤1における底面1bの螺旋状斜面の変化量(厚み変化)は4mmとなる。また、対物レンズ6の倍率が40倍である場合は、ニポウ盤1における底面1bの螺旋状斜面の変化量は16mmとなる。そして、ちなみに、16mmの厚み変化を持たせるためのニポウ盤1の直径は50mm程度となる。
【0056】
また、上記ニポウ盤1においては、各ピンホール2に中空管或いは棒状の透明体が埋め込まれている構成とすることが好ましい。ここで中空管としては例えばガラスキャピラリー等を挙げることができ、棒状の透明体としては、光ファイバー等を挙げることができる。
【0057】
ニポウ盤1は、従来のニポウ盤30よりも肉厚になり、ピンホール2のアスペクト比(深さと直径の比)も高くなる。高アスペクト比のピンホール2は低アスペクト比のピンホール2に比べ形成が困難であり、また、ピンホール2の内面が平滑でない場合、光の伝播ロスが起こり、伝播ロスはアスペクト比が大きくなるほど顕著になる。そのため、ピンホールの内面平滑化工程が必要となる。
【0058】
そこで、上記のように、ピンホール2にガラスキャピラリー等の中空管や光ファイバー等の棒状透明体が埋め込まれている構成とすることで、ピンホール2の内面平滑化処理が必要なくなり、かつ、高アスペクト比であっても困難なく製造することができる。
【0059】
つまり、ニポウ盤1を製造するにあたり、形状を形成した後の円盤1枚ずつにピンホール2を形成していく方法もあるが、このように、中空管や棒状透明体よりピンホール2を形成することで、2枚の円盤にピンホール2を形成し、これらを離して各ピンホール2に中空管や棒状透明体を通し、それらの隙間を熱可塑性樹脂等で埋めて、スライス後にニポウ盤1の形状に加工することで、製造工程が簡素化されると共に、高アスペクト比であっても困難なく製造することができる。
【0060】
なお、ここで述べた具体的な実施の態様や実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の範囲内で、種々変更して実施することができるものである。
【0061】
一例として、例えば、本実施の形態では、ニポウ盤1と一体的に回転駆動されるマイクロレンズアレイ盤3を配して、ニポウ盤1に設けられたピンホール2の開口面積比を上げてレーザ光の利用率を上げているが、このようなマイクロレンズアレイ盤3は必ずしも必要なものではない。
【0062】
【発明の効果】
本発明は、以上のように、複数の微小開口が螺旋状に並んで形成された円盤型の微小開口回転盤を用い、該微小開口回転盤を回転しつつその一方の面よりレーザ光を照射して微小開口を通すことで他方の面に点光源群を形成し、該点光源群の光を対物レンズで試料内に集光して集光点群を形成し、該集光点群からの各戻り光を元の微小開口を通して微小開口回転盤におけるレーザ光入射側の面より出射して結像レンズにて結像させる共焦点顕微鏡であって、上記微小開口回転盤の対物レンズ側の面が回転軸を中心とした1回転分の螺旋状斜面を成し、レーザ光が入射される側の面が平らに形成されていることを特徴としている。
【0063】
これによれば、複数の微小開口が螺旋状に並んで形成された微小開口回転盤は、対物レンズ側となる面が回転軸を中心とした1回転分の螺旋状斜面に形成されているので、螺旋状斜面に形成された点光源毎に集光深さが異なることとなり、集光点群は試料内で水平面(深さが等しい)上には並ばず、立体的に並ぶようになる。
【0064】
したがって、このような微小開口回転盤を回転させることで、試料内の異なる深さを走査させることが可能となる。微小開口回転盤の1回転で走査位置の深さは元に戻る。
【0065】
また、微小開口回転盤の結像レンズ側の面は平らに形成されているので、各微小開口を通って微小開口回転盤のこの平坦面より出射された光は結像レンズにて平面像として形成される。したがって、この平面像を撮像して、3次元像を再生することで、試料或いは対物レンズを上下動させることなく、立体像を得ることができる。
【0066】
その結果、動きのある試料の立体像の観察を可能とし、立体形状に加えて試料の時間的な変化や移動の情報を含む四次元顕微鏡観察が可能な共焦点顕微鏡を提供できるといった効果を奏する。
【0067】
また、上記微小開口回転盤において、微小開口に中空管或いは棒状の透明体が埋め込まれている構成とすることが好ましい。
【0068】
本発明の共焦点顕微鏡に備えられる微小開口回転盤は、従来の微小開口回転盤よりも肉厚であるため、微小開口のアスペクト比(深さと直径の比)も高く、高アスペクト比の微小開口は低アスペクト比のものに比べ形成が困難で、また、微小開口の内面が平滑でない場合、光の伝播ロスが起こるため、微小開口の内面平滑化工程が必要となる。
【0069】
しかしながら、このように、微小開口回転盤を微小開口に中空管或いは棒状の透明体が埋め込まれている構成とすることで、微小開口の内面平滑化処理が必要なくなり、また、高アスペクト比であっても困難なく製造することができる。
【0070】
その結果、動きのある試料の立体像の観察を可能とし、立体形状に加えて試料の時間的な変化や移動の情報を含む四次元顕微鏡観察が可能な共焦点顕微鏡をより低コストにて提供できるといった効果を奏する。
【0071】
また、本発明の微小開口回転盤は、上記課題を解決するために、共焦点顕微鏡に備えられる複数の微小開口が螺旋状に並んで形成された円盤型の微小開口回転盤であって、一方の面が回転軸を中心とした1回転分の螺旋状斜面を成し、他方の面が平らに形成されていることを特徴としている。
【0072】
共焦点顕微鏡として既に説明したように、本発明の該微小開口回転盤を用いて光走査することで、試料や対物レンズを上下動させることなく、立体像を得ることができる。
【0073】
したがって、従来の共焦点顕微鏡においても、微小開口回転盤を本発明の微小開口回転盤に交換することで、動きのある試料の立体像の観察を可能とし、立体形状に加えて試料の時間的な変化や移動の情報を含む四次元顕微鏡観察が可能なものに性能を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示すもので、同図(a)は、共焦点顕微鏡の正面図であり、同図(b)は、同図(a)の矢印Aより見た矢視図である。
【図2】上記共焦点顕微鏡に備えられたニポウ盤の斜視図である。
【図3】共焦点顕微鏡で用いられるニポウ盤に形成される微小開口の並びを示す模式図である。
【図4】従来の共焦点顕微鏡の一構成例を示す図面である。
【符号の説明】
1 ニポウ盤(微小開口回転盤)
1a 上面(結像レンズ側の面)
1b 底面(対物レンズ側の面)
2 ピンホール(微小開口)
3 マイクロレンズアレイ盤
4 マイクロレンズ
6 対物レンズ
7 試料
8 結像レンズ
11 集光点群
13 撮像器
14 点光源群
Claims (3)
- 複数の微小開口が螺旋状に並んで形成された円盤型の微小開口回転盤を用い、該微小開口回転盤を回転しつつその一方の面よりレーザ光を照射して微小開口を通すことで他方の面に点光源群を形成し、該点光源群の光を対物レンズで試料内に集光して集光点群を形成し、該集光点群からの各戻り光を元の微小開口を通して微小開口回転盤より出射し、結像レンズにて結像させる共焦点顕微鏡であって、
上記微小開口回転盤の対物レンズ側の面が回転軸を中心とした1回転分の螺旋状斜面を成し、レーザ光が入射される側の面が平らに形成されていることを特徴とする共焦点顕微鏡。 - 上記微小開口回転盤に形成された微小開口には中空管或いは棒状の透明体が埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の共焦点顕微鏡。
- 共焦点顕微鏡に備えられる複数の微小開口が螺旋状に並んで形成された円盤型の微小開口回転盤であって、
一方の面が回転軸を中心とした1回転分の螺旋状斜面を成し、他方の面が平らに形成されていることを特徴とする微小開口回転盤。
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