JP4148265B2 - サイドスタンドの位置検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動二輪車等の二輪車のサイドスタンドの位置を検出するサイドスタンドの位置検出装置に関する。
一般に、二輪車のサイドスタンドは、車体の下部かつ側部において、支軸を中心として起立位置と格納位置との間で回動可能に設けられており、起立位置では二輪車を起立状態で支持するとともに、格納位置では地面と接触しない姿勢で格納されるようになっている。
そして、かかる二輪車では、サイドスタンドが起立位置にある状態のまま走行するのを回避するために、サイドスタンドの位置(回動位置)を検出する位置検出装置が設けられている。すなわち、この位置検出装置によってサイドスタンドの位置を検出し、サイドスタンドが起立位置にある状態でギヤを入れるとエンジンをストップさせる等することで、当該起立状態のまま二輪車が走行するのを抑制している。
従来のこの種の位置検出装置として、例えば特許文献1に開示されるものが知られている。この特許文献1の位置検出装置は、車体側に対して固定されるハウジングと、ハウジング内に回動可能に支持されてスタンド側に固定されるロータと、を備え、ハウジングに対するロータの回動に応じて接点のオンオフを切り換えることで、スタンドの回動位置を検出するものである。
この種の位置検出装置では、ロータに可動接点を設ける一方、ハウジングに固定接点を設けるとともに、固定接点を、可動接点の接点部の回動軌道に沿って屈曲しながら延伸する帯状部材として設ける場合がある。
この場合、帯状に延伸する固定接点を、延設方向に並ぶ複数の端子に分割するとともに、可動接点には各端子に接触させる複数の接点部を設け、ロータの回動に応じて、固定接点の複数の端子が可動接点によって導通(短絡)される状態と、導通(短絡)されない状態とが切り替わるようにして、ロータのハウジングに対する回動状態が検出できるように構成される。
かかる構成では、帯状の固定接点が帯幅方向に伸びる比較的幅狭の間隙によって分断され、ロータの回動に応じて、可動接点の接点部がその間隙を通過する構成となる場合がある。
特開2004−231094号公報
しかしながら、上述したような帯状の固定接点をその延設方向(円周方向)に分割して複数の端子を形成した構成では、同一円周上に複数の端子を設ける分、各端子を設置できる角度範囲が限られることになり、その分、検出角度の設定が制約される場合があった。
そこで、本発明は、検出角度の設定自由度を高めることが可能なサイドスタンドの位置検出装置を得ることを目的とする。
請求項1の発明にあっては、二輪車の車体側に対して固定されるハウジングと、二輪車の車体に支軸を中心として起立位置と格納位置との間で回動可能に取り付けられるサイドスタンド側に固定されるとともにハウジングに回動可能に支持されるロータと、ロータ側に取り付けられる可動接点とハウジング側に取り付けられる固定接点とを有してハウジング内に設けられる接点構造と、を備え、ロータのハウジングに対する回動位置に応じた可動接点と固定接点との導通状態の変化によってサイドスタンドの回動位置を検出するサイドスタンドの位置検出装置であって、上記可動接点に、上記ロータの回動軸心を中心とする半径の異なる円に沿回動軌道を描く複数の接点部を設け、上記固定接点が、上記複数の接点部のそれぞれの回動軌道に沿って延伸する同心で半径の異なる円に沿う複数の帯状部材を含むようにしたことを特徴とする。
請求項2の発明にあっては、上記複数の帯状部材のうち少なくとも一つが、略一定幅の円環状に形成されることを特徴とする。
請求項3の発明にあっては、上記固定接点が、一つの接点部の回動軌道に沿って屈曲しながら延伸する複数の帯状部材を含み、それら複数の帯状部材が、間隙をもって上記回動軌道の円周方向に相互に隣接しかつ相互に分離されることを特徴とする。
請求項4の発明にあっては、上記可動接点を、その先端部に接点部を備えた板バネとして構成し、その基部を上記ロータに固定する一方、上記固定接点を上記ハウジングに固定するようにしたことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、複数の帯状部材をロータの回動軸心を中心とする半径の異なる円に沿うように設けることができるため、帯状部材の角度範囲が他の帯状部材によって制約されるのを抑制して、検出角度の設定範囲の自由度を高めることができる。
請求項2の発明によれば、複数の帯状部材のうち少なくとも一つを略一定幅の円環状に形成したため、当該帯状部材、ひいては位置検出装置の製造コストを低減することができる。
請求項3の発明によれば、複数の帯状部材を一つの円に沿わせて、円周方向に分割して配置したため、それら複数の帯状部材を選択的に利用することで、位置検出装置を複数の仕様に対して適用しやすくなるという利点がある。
請求項4の発明によれば、可動接点を板バネ方式とすることで、複数のコイルスプリングによって可動接点を固定接点に向けて押しつけていた従来の構成に比べて、部品点数が減り、製造の手間を減らすことができるため、位置検出装置を製造するタクトタイムを短縮し、かつコストを削減することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、サイドスタンドおよび本実施形態にかかる位置検出装置の二輪車に対する取付構造の一例を示す斜視図であって、サイドスタンドが起立位置にある状態を示す図、図2は、サイドスタンドおよび位置検出装置の分解斜視図、図3は、位置検出装置をハウジング側から見た分解斜視図、図4は、位置検出装置をアウタロータ側から見た分解斜視図、図5は、位置検出装置のロータの回動軸(支軸)を含む平面での縦断面図である。
本実施形態にかかるサイドスタンド1は、二輪車の車体下部で地面と略垂直な姿勢で設けられる板状のブラケット2に、固定ボルト3(図2参照)を用いて取り付けられている。すなわち、このサイドスタンド1の基部1aは、図2に示すように二股に形成されるとともに、当該二股部には固定ボルト3を貫通する貫通孔(図示せず)が設けられており、当該二股部分でブラケット2の端部を挟み込む状態で、固定ボルト3にナット(図示せず)を締結することで、サイドスタンド1が車体側(ブラケット2)に対して固定ボルト3を支軸として回動可能となるようにしてある。
そして、図1に示すように、ブラケット2にはシャフト4が突設されるとともに、サイドスタンド1にはボス部5が突設され、これらシャフト4とボス部5とに亘ってリターンスプリング6を架設することで、サイドスタンド1を起立位置(図1)または格納位置(図示せず)で弾性保持するようにしてある。
この位置検出装置7は、サイドスタンド1に取り付けられる。すなわち、図2に示すように、サイドスタンドの基部1aに雌ネジ孔1bを設ける一方、位置検出装置7のロータ11(アウタロータ13)の取付フランジ部13eに貫通孔13fを設け、当該貫通孔13fを挿通させた取付ネジ18を雌ネジ孔1bに螺結している。
一方、この位置検出装置7のハウジング8は、サイドスタンド1の回動に拘わらず車体に対して相対的に固定される。すなわち、図2に示すように、ハウジング8(ベース9)の側壁から外側に切欠9eを有するフランジ部9dを突設し、図1にも示すように、この切欠9eにブラケット2から突設されるシャフト4を挿通して係合することで、ハウジング8のブラケット2に対する相対回動を規制している。なお、ハウジング8を車体側に固定するとは、ハウジング8の車体に対する位置が固定されることを意味するのであって、ハウジング8を車体側に完全に固着させることを意味するものではない。
そして、本実施形態にかかる位置検出装置7は、図3〜図5に示すように、このハウジング8の他、サイドスタンド1に固定されるとともにハウジング8に回動可能に支持されるロータ11と、ロータ11に固定される可動接点14とハウジング8に固定される固定接点15とを有してハウジング8内に設けられる接点構造と、を備えている。
ハウジング8は、略円板状の底壁部9aと円筒状の側壁部9bとによって有底の円筒状容器が形成されたベース9と、このベース9の開口部を塞ぐ環状かつ板状のカバー10とを備えて構成される。これらベース9およびカバー10は、いずれも成形樹脂によって構成される。
ベース9の底壁部9aの底面上(内側)には、図4および図5に示すように、環状かつ板状の固定接点15が設けられている。この固定接点15は、ベース9に対してインサート成形することで設けることができる。
また、固定接点15は、複数の帯状部材15A〜15C(図6参照)を有しており、本実施形態では、ロータ11に固定される可動接点14が、ロータ11の回動角度、すなわちサイドスタンド1の回動角度に応じて二つの帯状部材15A,15Cを導通(短絡)させるか否かによって、当該回動角度を検出できるようになっている。例えば、サイドスタンド1が起立位置にある状態では可動接点14が固定接点15の二つの帯状部材15A,15Cを短絡せず、サイドスタンド1が回動して格納位置にある状態では可動接点14が固定接点15の二つの帯状部材15A,15Cを短絡するように設定すればよい。そして、これら固定接点15の各帯状部材15A〜15Cに接続される接続端子部(図示せず)は、それぞれ、ベース9の側壁部9bから外方に突設されるハーネス接続部9f内を延伸し、ハーネス20内の導線(図示せず)と電気的に接続されている。
そして、ハウジング8は、ベース9の側壁部9bの端縁9cにカバー10をレーザ溶着あるいは超音波溶着等して接合することで得られる。
一方、ロータ11は、ハウジング8内に収容されるインナロータ12とハウジング8外に露出するアウタロータ13とを一体化したものとして構成される。
インナロータ12は、フランジ部12aと円柱状の突起部12bとを備えるとともに、突起部12bの外周部には、金属層12cが形成されている。フランジ部12aと突起部12bとは、金属層12cに設けられた切欠や穴等(図示せず)によって繋がっており、樹脂によって一体成形されている。
この金属層12cは、例えば、フランジ部12aと突起部12bとからなる本体部を樹脂成形するときに金属製の筒状体(金属パイプ)をインサート成形して構成することができるし、当該本体部を樹脂成形した後に突起部12bに金属製の筒状体を圧入して構成してもよいし、あるいは、本体部を樹脂成形した後に突起部12bの外周部をメッキ処理することで構成してもよい。特に、メッキ処理した場合には、部品点数がさらに減って製造コストを低減できるとともに、金属層12cをより薄く形成できる分、より一層の軽量化を図ることができる。また、寸法精度もより一層向上することができる。
突起部12bは、位置検出装置7がアセンブリされた状態では、ハウジング8のベース9の底壁部9aに設けられた筒状部9g内に挿入され、この筒状部9gの内周壁に回動支持されることになる。すなわち、本実施形態では、この筒状部9gがインナロータ12を回動可能に支持する軸受部として機能することになる。また、このとき、上述したように、突起部12bの外周部、すなわち筒状部9gとの摺動部分には金属層12cを設けているため、相互に摺動する部分の摩耗を少なくして、長寿命化することができるという利点がある。
また、このインナロータ12には、可動接点14が熱かしめ処理等することで取り付けられている。この可動接点14は、金属の板材(例えば銀メッキ処理したベリリウム銅の板材)を打ち抜きかつ折曲成形することで形成することができ、貫通孔14dを有する環状の基部14aと、基部14aから径方向外側に向けて伸び、その外端部で軸方向側に斜めに屈曲して螺旋状に伸びる複数(本実施形態では三つ)の板バネ部14bと、各板バネ部14bの先端部を基部14aから離間する側に略U字状に屈曲させてなる接点部14cとを備えている。この基部14aは、フランジ部12aの固定接点15に対向する面上に配置され、アセンブリされた状態では、板バネ部14bがインナロータ12の底壁部9aとの対向面から固定接点15まで螺旋状に伸びて、接点部14cの凸面が固定接点15の表面にロータ11の回動軸方向に適宜な弾性押圧力を印加しながら接触するようにしてある。
ここで、図3に示すように、本実施形態では、三つの板バネ部14bがほぼ同じ形状で周方向に120°間隔で配置されている。具体的には、その先端に接点部14cB,14cCが接続される板バネ部14b,14bは全く同一形状で、先端に接点部14cAが接続される板バネ部14bは、前者の二つよりアームを僅かに長くしてある(図6参照)。このように、板バネ部14bが120°間隔で三分割されて配置されているため、板バネ部14bからの反力の偏りが小さくなってロータ11(インナロータ12)のハウジング8に対する偏心や傾斜(軸ぶれ)を抑制することができ、以て、各摺動部分の偏摩耗を抑制することができるとともに、可動接点14と固定接点15とが三点接触となるため、三つの接点部14cの全てについて固定接点15との接触をより確実に確保することができるとともに、接点部14cの偏摩耗や局所的な摩耗の増大を抑制して、接点部14cと固定接点15との接触信頼性を高めることができる。なお、本実施形態では、インナロータ12の底壁部9a側の表面には突起12eを設け、この突起12eを可動接点14に設けた貫通孔14eと係合させることで、可動接点14をインナロータ12の底壁部9aとの対向面に精度良く配置できるようにしてある。
一方、アウタロータ13は、略円板状の底壁部13bと円筒状の側壁部13cとによる有底円筒状部分および当該有底円筒状部分の開口端部に設けられた取付フランジ部13eを含む本体部13aと、当該側壁部13cの外周部に形成された金属層13dと、を含んでいる。本体部13aにおいて、底壁部13b、側壁部13c、および取付フランジ部13eは繋がっており、樹脂によって一体成形されている。金属層13dは、上述したインナロータ12の金属層12cと同様に、インサート成形、圧入、あるいはメッキ処理によって形成することができる。なお、アウタロータ13を有底円筒状としたことによって得られる凹部21は、固定ボルト3(図2参照)の頭部の逃げ部となっている。
そして、本実施形態では、上記インナロータ12とアウタロータ13とを接合して一体化し、一つのロータ11を形成している。このとき、インナロータ12のフランジ部12aには突起12dを設ける一方、アウタロータ13の底壁部13bには凹部13gを設け、これら突起12dと凹部13gとを相互に係合させることで位置決めするようにし、当該フランジ部12aと底壁部13bとを、レーザ溶着あるいは超音波溶着によって相互に接合している。
かくして構成されるロータ11は、カバー10の貫通孔10aの直径より細く当該貫通孔10aを貫通してカバー10より外側に露出する部分(細径部)と、カバー10の内側、すなわちハウジング8の内部側で当該貫通孔10aの直径より太い部分(拡張部)とを含むように構成され、カバー10が、拡張部を係止することで、ロータ11の抜け止めとして機能するようにしてある。本実施形態では、図5より、アウタロータ13の側壁部13cおよび金属層13dからなる円筒状部分が上記細径部に相当し、インナロータ12のフランジ部12aが上記拡張部に相当することが理解できよう。
なお、本実施形態では、金属層13dの外径を、カバー10の貫通孔10aの直径より僅かに小さく設定し、カバー10の貫通孔10aが、ロータ11(アウタロータ13)の軸受としても機能するようにしてある。
また、カバー10の裏面側には、軸シール(例えばゴム製のリップ部を含むリップシール)16を設け、ロータ11(アウタロータ13)とハウジング8との摺動部分において液密を保つようにしている。この軸シール16は、外部からハウジング8内への水等の液体の浸入を防ぐとともに、ハウジング8内にグリス等の潤滑剤を封入する機能を果たす。
そして、本実施形態では、軸シール16をベース9の側壁部9b内に嵌挿(圧入)し、軸シール16の内周部(リップ部)を摺動シール部分としている。そして、軸シール16のリップ部と摺接する部分を金属層13dとし、当該摺動部分での摩耗を少なくして、長寿命化を図っている。なお、カバー10が、この軸シール16の抜け止めとしても機能していることが容易に理解できよう。
また、軸シール16とインナロータ12のフランジ部12aとの間には円環状かつ薄板状の摺動板17を設け、これにより、軸シール16とインナロータ12との摺動摩擦の低減を図っている。
ところで、本実施形態では、インナロータ12がカバー10の貫通孔10aの直径より大径のフランジ部12aを備えるとともに、アウタロータ13も、カバー10の貫通孔10aより外に張り出す取付フランジ部13eを備えるため、インナロータ12とアウタロータ13とを相互に接合してロータ11を構成した後には、当該ロータ11の細径部にカバー10および軸シール16を嵌め込むことができない。
そこで、本実施形態では、インナロータ12とアウタロータ13とを接合する前に、アウタロータ13の側壁部13cおよび金属層13dからなる細径部に、インナロータ12との接続側からカバー10および軸シール16を嵌め込んでおき、その状態で、インナロータ12とアウタロータ13とを接合するようにしている。この場合に、本実施形態では、アウタロータ13に有底円筒状部分を形成し、その底部としての底壁部13bとインナロータ12(のフランジ部12a)とを溶着するようにしているため、トーチ等の溶着工具をこの凹部21内に挿入して、溶着作業を極めて容易に行うことができるという利点がある。
なお、この場合のインナロータ12とアウタロータ13との接合工程は、ベース9とカバー10とを接合してハウジング8を構成する前に行ってもよいし、ベース9とカバー10とを接合した後(ただし、インナロータ12や可動接点14等のハウジング8内の構成をアセンブリした後)に行ってもよい。
次に、本実施形態にかかる固定接点15および可動接点14のより詳細な構成、ならびにその作用、効果について説明する。図6は、本実施形態にかかる固定接点および可動接点の接点部を模式的に示す平面図(ベースの開口部側から見た図)である。
この図6に示すように、本実施形態では、可動接点14に、ロータ11の回動軸心Oを中心とする回動軌道を描く三つの接点部14c(14cA〜14cC)を設け、固定接点15を、各接点部14cの回動軌道に沿って屈曲しながら延伸する帯状部材(端子)15A〜15Cとして設けている。
すなわち、本実施形態では、ベース9の底壁部9a上に、固定接点15として、略一定幅の円環状かつ平板状の帯状部材15Cを設けるとともに、当該帯状部材15Cと半径の異なる(本実施形態では大きい)同心円に沿う円弧状かつ平板状の帯状部材15A,15Bを設けているが、このうち、帯状部材15Cは、回動軸心Oからの距離(半径)が等しい二つの接点部14cB,14cCの回動軌跡(円弧)に沿っており、帯状部材15A,15Bは接点部14cB,14cCより回動軸心Oからの距離(半径)が異なる(大きい)接点部14cAの回動軌跡(円弧)に沿っている。
そして、本実施形態では、帯状部材15Aおよび帯状部材15Cを有効な端子として用い、接点部14cAが帯状部材15Aと接触しているロータ11(可動接点14)の回動角度範囲において、当該帯状部材15Aと帯状部材15Cとが可動接点14を介して導通(短絡)されるようにし、以て、当該角度範囲にあるか否かを検出できるようにしてある。かかるケースでは、帯状部材15Bは角度検出には直接的には利用されない。
ここで、接点部14cAの回動軌跡に沿って円弧状に連なる二つの帯状部材15A,15Bは、クランク状の間隙22によって円周方向に分断されているが、このとき、これら二つの帯状部材15A,15Bの間隙22に臨む領域同士が、その延設方向(すなわちロータ11の回動軸心Oについて周方向)にオーバーラップするようにしてある。なお、このとき、帯状部材15A,15Bの接点部14cAとの接触面は、少なくともオーバーラップ区間内では、一連の面(この場合は平面)をなすように設けられる。したがって、可動接点14の接点部14cAが間隙22を通過する際、当該区間においては、接点部14cAは、間隙22内に落ち込むことなく必ず少なくともいずれか一方の帯状部材15A,15Bと接触した状態(すなわち帯状部材15A,15Bの表面上に載った状態)を確保することができる。よって、接点部14cAが間隙22を通過する際に当該間隙22に落ち込むのを抑制することができて、帯状部材15A,15Bの端縁角部または接点部14cAが摩耗するのを抑制することができる。
また、上述したように、本実施形態では、帯状部材15Bは角度検出には利用されないのであるが、この帯状部材15Bについても、接続端子部(図示せず)を介してハーネス20内の別の導線(すなわち帯状部材15A,15Cが繋がる導線とは別の導線;いずれも図示せず)に電気的に接続しておき、二輪車の仕様が異なる場合等に利用できるようにしておくのが好適である。例えば、具体的には、位置検出装置7がサイドスタンド1に対して図1の位置に取り付けられる場合(本実施形態)には、帯状部材15A,15Cを用いる一方、図示しないが、位置検出装置7が図1のブラケット2の裏面側に配置されてサイドスタンド1に取り付けられて、接点部14cAの回動範囲が変化する(例えば間隙22に対して反対側となる)場合には、帯状部材15B,15Cを用いるようにすれば、それら双方の仕様について、一つの位置検出装置7で内部構成を何ら変更することなく対応できるようになるのである。
また、本実施形態では、ロータ11の回動角度によらず、接点部14cB,14cCが、常に、一続きの円環状の帯状部材15Cに接触し、これらの間でより安定的な接触導通状態が維持されるようにしてある。
以上の本実施形態によれば、複数の帯状部材15A(15B),15Cをそれぞれ相異なる円に沿うように設けたため、帯状部材15A(15B)の角度範囲が他の帯状部材15Cによって制約されるのを抑制して、検出角度の設定範囲の自由度を高めることができる。
また、本実施形態によれば、帯状部材15Cを略一定幅の円環状に形成したため、当該帯状部材15C、ひいては位置検出装置7の製造コストを低減することができる。
また、本実施形態によれば、複数の帯状部材15A,15Bを一つの円に沿わせて、円周方向に分割して配置したため、それら複数の帯状部材15A,15Bを選択的に利用することで、位置検出装置7を複数の仕様に対して適用しやすくなるという利点がある。
また、本実施形態によれば、可動接点14を板バネ方式とすることで、複数のコイルスプリングによって可動接点を固定接点に向けて押しつけていた従来の構成に比べて、部品点数が減り、製造の手間を減らすことができるため、位置検出装置7を製造するタクトタイムを短縮し、かつコストを削減することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、サイドスタンドの形状や取付構造は上記実施形態で例示したものには限定されないし、位置検出装置の構成も、種々に変形可能である。
また、上記実施形態では、アウタロータの一部に細径部を設けるようにしたが、これに替えて、インナロータの一部分として細径部を設けてもよいし、アウタロータおよびインナロータの双方によって細径部が形成されるようにしてもよい。
また、可動接点な固定接点の形状や配置等も適宜に変更可能である。例えば、帯状接点のうちいずれかを、円筒状かつ帯状に形成し、上記ベース(ハウジング)の側壁部の内周に露出するように当該ベースにインサート成形して設ける一方、可動接点の板バネ部がインナロータ(ロータ)のフランジ部の外周壁から径方向外側に向けてロータの軸方向から見て螺旋状に伸びるように設けて、接点部が固定接点を径方向に押圧するように構成してもよい。この場合も、上記実施形態と同様の効果を得ることができる他、板バネ部による押圧方向をロータ回動軸の径方向とすることができる分、可動接点、ひいては位置検出装置の軸方向の高さを短くすることができるという利点もある。
また、上記間隙の形状も上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、当該間隙を、帯状部材の円周方向(延設方向)に対して斜めに設けても、二つの帯状部材の間隙に臨む領域同士が当該円周方向にオーバーラップする構成とすることが可能である。
サイドスタンドおよび本発明の実施形態にかかる位置検出装置の二輪車に対する取付構造の一例を示す斜視図であって、サイドスタンドが起立位置にある状態を示す図。 サイドスタンドおよび本発明の実施形態にかかる位置検出装置の分解斜視図。 本発明の実施形態にかかる位置検出装置をハウジング側から見た分解斜視図。 本発明の実施形態にかかる位置検出装置をアウタロータ側から見た分解斜視図。 本発明の実施形態にかかる位置検出装置のロータの回動軸(支軸)を含む平面での縦断面図。 本発明の実施形態にかかる位置検出装置の固定接点および可動接点の接点部を模式的に示す平面図(ベースの開口部側から見た図)。
符号の説明
1 サイドスタンド
2 ブラケット(車体側)
7 位置検出装置
8 ハウジング
11 ロータ
14 可動接点
14a 基部
14b 板バネ部
14c(14cA〜14cC) 接点部
15 固定接点
15A〜15C 帯状部材

Claims (4)

  1. 二輪車の車体側に対して固定されるハウジングと、二輪車の車体に支軸を中心として起立位置と格納位置との間で回動可能に取り付けられるサイドスタンド側に固定されるとともにハウジングに回動可能に支持されるロータと、ロータ側に取り付けられる可動接点とハウジング側に取り付けられる固定接点とを有してハウジング内に設けられる接点構造と、を備え、ロータのハウジングに対する回動位置に応じた可動接点と固定接点との導通状態の変化によってサイドスタンドの回動位置を検出するサイドスタンドの位置検出装置であって、
    前記可動接点に、前記ロータの回動軸心を中心とする半径の異なる円に沿回動軌道を描く複数の接点部を設け、
    前記固定接点が、前記複数の接点部のそれぞれの回動軌道に沿って延伸する同心で半径の異なる円に沿う複数の帯状部材を含むようにしたことを特徴とするサイドスタンドの位置検出装置。
  2. 前記複数の帯状部材のうち少なくとも一つが、略一定幅の円環状に形成されることを特徴とする請求項1に記載のサイドスタンドの位置検出装置。
  3. 前記固定接点が、一つの接点部の回動軌道に沿って屈曲しながら延伸する複数の帯状部材を含み、それら複数の帯状部材が、間隙をもって前記回動軌道の円周方向に相互に隣接しかつ相互に分離されることを特徴とする請求項1または2に記載のサイドスタンドの位置検出装置。
  4. 前記可動接点を、その先端部に接点部を備えた板バネとして構成し、その基部を前記ロータに固定する一方、前記固定接点を前記ハウジングに固定するようにしたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載のサイドスタンドの位置検出装置。
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