JP4147548B2 - 加湿器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般家庭において、室内の乾燥を防止するために使用されるヒータ加熱式の加湿器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のヒータ加熱式の加湿器は、ヒータにより水を直接加熱して蒸発させる方式であり、超音波式加湿器や気化式加湿器に比較して電気代が高くかかる。このため、湿度センサを設けて、使用者が自分で好みの湿度を設定して、室内湿度がこの設定湿度に保たれるように、自動的に加湿量を制御して運転する方式のものや、特開2000−356390号公報のように、室内の環境条件に応じた加湿運転が行えるようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の加湿器では、目標湿度の設定は、使用者が自分で設定するにしろ、室内の環境条件に応じて設定するにしろ、人に対して快適性を求めた目標湿度の設定であった。つまり、人にとっては快適な湿度設定であっても家屋にとっては必ずしもよい設定湿度とはならないため、長時間運転されると、加湿のし過ぎを生じ、窓ガラスや壁に結露させて、カビやダニなどが発生したり、電気代も必要以上にかかってしまうなどの問題点があった。
【0004】
ここで、家屋や人に対して良い湿度とは、どのような湿度であるかというと、ケイブン出版の「健康快適住宅宣言」(1991年5月発行)の書籍によれば、その湿度の項(第28頁〜第31頁)で、「わが国の住宅における実態で、湿度が60%を超えると結露の危険性が大きくなる。カビやダニの発生とも関係する。」との記述がある。また、「人体への影響で、30%以下の湿度では風邪を引きやすくなる。これは低湿度では鼻や喉の粘膜が乾燥し、細菌に感染しやすくなる。」との記述がある。同じく、ケイブン出版の「オフィスの室内環境評価法」(1994年5月発行)の書籍によれば、熱環境の目標の項(第42頁)で、「人体にとって湿度は、50%前後が最適な目標値となる。30%以下の低湿度は静電気などの不快感をもたらす。結露防止の観点をも考慮すると、40〜60%が適切と考えられる」との記述がある。これらより、家屋や人にとって良い湿度は40〜60%であると言える。
【0005】
本発明は上記のような課題を解消するためになされたもので、家屋や人に対してよい湿度を簡単に設定することができ、窓ガラスや壁の結露を抑制してカビやダニの発生を抑えて、かつ電気代も低減できるヒータ加熱式の加湿器を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る加湿器は、室内湿度を検出する湿度センサと、40〜60%の範囲内に設定した目標湿度と維持時間との相関データを記憶した記憶部と、ひかえめ運転モードの運転を指示するひかえめ運転スイッチと、このひかえめ運転スイッチによりひかえめ運転モードが指示されたとき、前記記憶部に記憶した目標湿度と維持時間との相関データを読み出し、この記憶部から読み出した目標湿度と維持時間の相関データに従って加湿運転を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記目標湿度が前記維持時間維持するように加湿する加湿処理と、前記加湿処理の後、室内湿度が予め設定された下限湿度まで低下する迄の間、加湿を停止する停止処理とを交互に繰り返し、時間経過と共に目標湿度にゆらぎを付与するように制御する。
【0008】
また、前記制御部は、目標湿度にゆらぎを付与する制御において、加湿停止後に、一定時間が経過しても室内湿度があらかじめ設定された下限湿度まで下がらない場合には、一定時間後に加湿運転を開始するように制御するものである。
【0009】
さらに、前記制御部は、湿度のゆらぎを付与する制御において、加湿運転開始後に、一定時間が経過しても室内湿度が目標湿度まで上がらない場合には、一定時間後に加湿運転を停止するように制御するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1を示す加湿器の制御ブロック図、図2は本発明の実施の形態1を示す加湿器のひかえめ運転時のフローチャートである。
図1において、1は加湿器の運転をオンオフする運転スイッチ、2は室内の湿度を検出する湿度センサ、3は目標湿度を入力する湿度設定スイッチ、4はひかえめ運転を指示するためのひかえめ運転スイッチ、5はマイクロコンピュータで、入力回路6、記憶部7、制御部8、タイマー部9、出力回路10とから構成されている。
前記運転スイッチ1、湿度センサ2、湿度設定スイッチ3、ひかえめ運転スイッチ4は入力回路6に接続される。記憶部7には40〜60%の範囲内で設定された目標湿度と維持時間との相関データや運転プログラムなどが記憶されている。制御部8は前記記憶部7に記憶した目標湿度と維持時間との相関データや運転プログラムに基づいて全体の運転を制御する。11は運転中に必要な表示を行う表示部、12は水蒸気を発生させるためのヒータ、13は水蒸気を器外へ送り出すための送風ファンで、前記表示部11、ヒータ12、送風ファン13はマイクロコンピュータ5の出力回路10に接続される。
【0011】
次に、本発明の実施の形態1のひかえめ運転の動作について、図2のフローチャートにより説明する。ここで、本実施の形態1では、記憶部7には、ひかえめ運転時の目標湿度と維持時間との相関データとして、目標湿度として50%、維持時間として15分の相関データが記憶されているものとして説明する。
これは、前述した書籍の「オフィスの室内環境評価法」にある「人体にとって室内の湿度は、50%前後が最適な目標値となる。」ことからである。維持する時間は任意である。
【0012】
まず、ステップS1で、運転スイッチ1をオンされ、続いて、ステップS2で、ひかえめ運転スイッチ4がオンされると、ステップS3で、制御部8は記憶部7に記憶されている目標湿度50%、維持時間15分の相関データを読み出し、ステップS4で、制御部8はヒータ12と送風ファン13をオンにして、ひかえめ運転を開始する。ひかえめ運転が開始されると、ステップS5で、運転モードなどの表示を行い、ステップS6で、湿度センサ2で検出した室内湿度と目標湿度とを比較判定する。
【0013】
ひかえめ運転が開始されると、ヒータ12の加熱により水蒸気を発生させられ、送風ファン13により発生した水蒸気は器外へ送り出される。そして、ステップS6で、前記制御部6は、湿度センサ2で検出した室内湿度が50%に達するまでは、加湿運転の継続を行い、湿度センサ2で検出した室内湿度が50%に達すると、ステップS7で、タイマー部9が維持時間のカウントを開始する。
【0014】
そして、ステップ8で、タイマー部9がカウントした維持時間が15分に達したかどうかを判定し、タイマー部9が維持時間15分をカウントすると、タイマー部9は維持時間をゼロにクリアし、ステップS10に進む。ステップ10では、ひかえめ運転スイッチ4がオフされたかどうかを判定し、ひかえめ運転スイッチ4がオフされると、ステップS11で、ひかえめ運転を停止して終了する。ステップS10で、ひかえめ運転スイッチ4がオフされなければ、ステップ4に戻り、ステップS4からステップS10の動作を繰り返し行う。
【0015】
この中で、ひかえめ運転の維持湿度は48〜52%の範囲が最適であり、維持時間としては湿度48%で30〜45分、湿度50%で15〜30分、湿度52%で10〜15分が適しているが、このひかえめ運転の目標湿度と維持時間の相関データについては、所定の範囲内であれば、多少の変更は可能である。
【0016】
このように、実施の形態1の構成によれば、室内の湿度を検出する湿度センサ2と、40〜60%の範囲内で設定した目標湿度と維持時間との相関データをあらかじめ記憶させた記憶部7と、前記ひかえめ運転モードの運転を指示するひかえめ運転スイッチ4と、このひかえめ運転スイッチ4によりひかえめ運転が指示されたとき、前記記憶部7から目標湿度と維持時間の相関データを読み出し、室内湿度を記憶部から読み出した目標湿度と維持時間で運転するように制御する制御部8とを備えているので、使用者は、ひかえめ運転スイッチ4を操作するだけの簡単な操作で、室内の窓ガラスや壁の結露を抑えて、カビやダニなどの発生を抑えることができ、かつ電気代も節約できるので、省エネ効果も得られる。
【0017】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について、説明する。
図3は本発明の実施の形態2を示す加湿器のひかえめ運転時の制御フローチャートであり、図4は本発明の実施の形態2におけるひかえめ運転時の目標湿度と経過時間との関係を示す説明図である。
【0018】
実施の形態2の動作について、図3のフローチャートにより説明する。
ステップS1からS9までは実施の形態1と同じなので、この部分の説明は省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0019】
ステップS8で、室内湿度50%の運転が15分間維持されたならば、ステップS9で、維持時間をゼロにクリアする。次に、ステップS9aで、ヒータ12と送風ファン13をオフして加湿を一旦停止する。次に、ステップS9bで、室内湿度が40%まで下がったどうかを判定し、室内湿度が40%まで下がったことを制御部8が確認すると、ステップS10に進み、ひかえめ運転スイッチ4がオフされたかどうかを判断し、オフされなければ、ステップS4に戻り、再びひかえめ運転を始めて室内湿度を50%まで上げて、また、再度15分間維持する制御を繰り返し、目標湿度50%に下限湿度40%のゆらぎを付与する。
【0020】
ステップS10で、ひかえめ運転スイッチ4がオフされれば、ステップS11に進み、ひかえめ運転を停止して終了する。
【0021】
これにより、実施の形態2によれば、目標湿度50%に下限湿度40%のゆらぎを付与することによって、室内湿度を50%一定に維持して運転を継続した場合と同じように、家屋に対して結露を抑制し、カビやダニなどの発生を防ぐことができ、かつ人に対してもよい湿度運転することができる。また、ゆらぎを付与するために、ヒータ12と送風ファン13への通電をオンオフすることによって、連続運転に比べて電気代を低減することができる。
【0022】
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について、説明する。
図5は本発明の実施の形態3を示す加湿器のひかえめ運転時の制御フローチャートである。
【0023】
実施の形態3の動作について、図5のフローチャートにより説明する。
図5のフローチャートは図3のフローチャートにステップS9cを追加した以外は図3に示す実施の形態2とまったく同じなので、実施の形態2と同じ部分の説明は省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0024】
ステップS9aで、ヒータ12と送風ファン13をオフし、加湿を停止した後、40分を経過しても、室内湿度が下限湿度40%に下がらない場合には、ステップS10に進み、ステップS10で、ひかえめ運転スイッチ4がオフされたかどうかを判断し、オフされなければ、ステップS4に戻り、再びひかえめ運転を開始してヒータ12と送風ファン13をオンし、室内湿度を50%に上げるように制御する。
【0025】
ステップS10で、ひかえめ運転スイッチ4がオフされれば、ステップS11で、ひかえめ運転を停止して終了する。
【0026】
このように、実施の形態3では、目標湿度50%で、維持時間15分を運転したら、加湿を一旦停止し、その加湿停止後、一定時間、本実施の形態3では40分を経過しても、室内湿度があらかじめ設定された下限湿度40%に下がらない場合に、加湿運転を開始させることによって、長時間の加湿停止を防止することができるようになる。これにより、使用者に対して長時間の加湿停止による機器への不安感や蒸気が長時間出ないなどのクレームを抑える効果が得られる。
【0027】
なお、上記実施の形態3では、加湿停止後に部屋の湿度があらかじめ設定された下限湿度40%に下がらない場合に、40分後に再び加湿オンとしたが、これらの数値はそれぞれ所定の範囲内であれば、任意に変更しても構わない。
【0028】
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について、説明する。
図6は本発明の実施の形態4を示す加湿器のひかえめ運転時の制御フローチャートである。
【0029】
実施の形態4の動作について、図6のフローチャートにより説明する。
図6のフローチャートは図3のフローチャートにステップS6aを追加した以外は図3に示す実施の形態2とまったく同じなので、実施の形態2と同じ部分の説明は省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0030】
ステップS6で、室内湿度が目標湿度50%に上がらない場合に、ステップS6aに進み、ヒータ12と送風ファン13のオンから30分を経過しても室内湿度が目標湿度50%に達しない場合は、ステップS9aに進み、ヒータ12と送風ファン13をオフして、加湿運転を停止するように制御する。
【0031】
このように、実施の形態4では、加湿開始後、一定時間後、本実施の形態4では30分後に、室内湿度が目標湿度50%に達しない場合には、その時点で加湿運転を停止することによって、意味のない長時間の加湿運転を防止することができるようになる。これにより、使用者に対して長時間の加湿運転による機器への不安感や湿度がゆらがないなどのクレームを抑えることができ、かつ電気代を低減する効果が得られる。
【0032】
なお、上記実施の形態4では、加湿開始後、30分を経過しても室内湿度が目標湿度50%に上がらない場合に、加湿運転を停止するとしたが、これらの数値はそれぞれ所定の範囲内であれば、任意に変更しても構わない。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、室内湿度を検出する湿度センサと、40〜60%の範囲内に設定した目標湿度と維持時間との相関データを記憶した記憶部と、ひかえめ運転モードの運転を指示するひかえめ運転スイッチと、このひかえめ運転スイッチによりひかえめ運転モードが指示されたとき、前記記憶部に記憶した目標湿度と維持時間との相関データを読み出し、この記憶部から読み出した目標湿度と維持時間の相関データに従って加湿運転を制御する制御部とを備えたので、使用者は、家屋や人よい加湿運転をひかえめ運転スイッチを操作するだけで簡単に行え、家屋に対しては結露を抑えてカビやダニなどの発生を抑えることができ、かつ電気代も低減することができる。また、時間経過とともに目標湿度にゆらぎを付与するようにしたので、より一層部屋の結露を抑えてカビやダニなどの発生を抑えることができ、電気代もより一層低減できる。
【0035】
また、本発明によれば、長時間の加湿停止を防止することができ、使用者に対して長時間の加湿停止による機器への不安感や蒸気が長時間出ないなどのクレームを抑えることができる。
【0036】
また、本発明によれば、意味のない長時間の加湿運転を防止することができ、使用者に対して長時間の加湿運転による機器への不安感や湿度がゆらがないなどのクレームを抑えることができる。また、余分な電気代を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1を示す加湿器の制御ブロック図である。
【図2】 本発明の実施の形態1を示す加湿器のひかえめ運転時の制御フローチャートである。
【図3】 本発明の実施の形態2を示す加湿器のひかえめ運転時の制御フローチャートである。
【図4】 本発明の実施の形態2の加湿器におけるひかえめ運転時の湿度と経過時間との関係を示す説明図である。
【図5】 本発明の実施の形態3を示す加湿器のひかえめ運転時の制御フローチャートである。
【図6】 本発明の実施の形態4を示す加湿器のひかえめ運転時の制御フローチャートである。
【符号の説明】
1 運転スイッチ、2 湿度センサ、3 温度設定スイッチ、4 ひかえめ運転スイッチ、5 マイクロコンピュータ、6 入力回路、7 記憶部、8 制御部、9 タイマー部、10 出力回路、11 表示部、12 ヒータ、13 送風ファン。
Claims (3)
- 室内湿度を検出する湿度センサと、
40〜60%の範囲内に設定した目標湿度と維持時間との相関データを記憶した記憶部と、
ひかえめ運転モードの運転を指示するひかえめ運転スイッチと、
このひかえめ運転スイッチによりひかえめ運転モードが指示されたとき、前記記憶部に記憶した目標湿度と維持時間との相関データを読み出し、この記憶部から読み出した目標湿度と維持時間の相関データに従って加湿運転を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記目標湿度が前記維持時間維持するように加湿する加湿処理と、
前記加湿処理の後、室内湿度が予め設定された下限湿度まで低下する迄の間、加湿を停止する停止処理と
を交互に繰り返し、
時間経過と共に目標湿度にゆらぎを付与するように制御することを特徴とする加湿器。 - 前記制御部は、目標湿度にゆらぎを付与する制御において、加湿停止後、一定時間を経過しても室内湿度が前記下限湿度に下がらない場合には、一定時間後に加湿運転を開始するように制御することを特徴とする請求項1記載の加湿器。
- 前記制御部は、目標湿度にゆらぎを付与する制御において、加湿開始後、室内湿度が目標湿度まで上がらない場合には、一定時間後に加湿運転を停止するように制御することを特徴とする請求項1記載の加湿器。
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