以下、本発明を適用してなる払拭機構及び紫外線照射装置の一実施形態について図1乃至図6を参照して説明する。図1は、本発明を適用してなる払拭機構を備えた紫外線照射装置の概略構成を示す図であり、槽を断面で、また、紫外線透過管の磁気検出スイッチを設けた部分を破断した状態で示す正面図である。図2は、本発明を適用してなる払拭機構を備えた紫外線照射装置の概略構成をワイパの待機位置周辺部分を拡大して示す図であり、槽を断面で、また、紫外線透過管の磁気検出スイッチを設けた部分を破断した状態で示す正面図である。図3は、本発明を適用してなる払拭機構のワイパホルダ及びワイパの概略構成を示す図であり、上側の昇降ナット押さえ板を外した状態を示す平面図である。図4は、本発明を適用してなる払拭機構の磁石の構造を示す断面図である。図5は、本発明を適用してなる払拭機構の磁気検出スイッチの取り付け構造を示す図である。図6は、本発明を適用してなる払拭機構の回転数検出用円盤の構造を示す平面図である。
本実施形態の紫外線照射装置は、図1に示すように、紫外線ランプ1、紫外線ランプ1を内挿した紫外線透過管3、紫外線透過管3の外面を払拭する払拭機構5、紫外線透過管3が内部に設置された槽7、槽7を支持する支持フレーム9、紫外線ランプの点灯や払拭機構5の作動の制御などを行う制御部と操作スイッチ類を有する制御盤11などで構成されている。
紫外線透過管3は、紫外線透過性を有する材質、例えば石英ガラスやポリテトラフルオロエチレン製で、口金をソケットに挿入した状態の直管状の紫外線ランプ1を挿入可能な内径を有する円筒状の直管である。紫外線透過管3の両端部には、シールグランド13が取り付けられており、紫外線透過管3は、このシールグランド13によって槽7に固定されている。シールグランド13は、紫外線の影響を受け難いステンレスなどの金属や合成樹脂などで形成されており、両端が開放された略円筒状の部材であり、槽7に水密に固定されている。
なお、このような紫外線透過管3が槽7に複数本、本実施形態では2本設置されているが、そのうちの1本には紫外線ランプ1は内挿されていない。また、図示していないが、ソケットからの配線が、シールグランド13を通して外側に導かれており、この図示していない配線は、制御盤11内の制御部などに電気的に接続されている。
本実施形態の槽7は、紫外線の影響を受け難く防食性を有する材料、例えばステンレスなどの金属や合成樹脂などで形成された筒状で、縦型の槽であり、両端部にフランジ7a、7bが設けられている。槽7の上側のフランジ7aには、フランジ7aに対応する円盤状の天板15が、槽7の下側のフランジ7bには、フランジ7bに対応する円盤状の底板17が、各々、ボルト19などの固定具によって、図示していないシール部材を挟み込んだ状態で固定されており、これにより、槽7の両端部が密閉状態で閉塞されている。槽7の側壁の下側の部分には、端部にフランジが形成された管状で、被処理流体の槽7内への入口となる入口部7cが、槽7の側壁の上側の部分には、端部にフランジが形成された管状で、被処理流体の槽7内からの出口となる出口部7dが、各々、突設されている。
天板15と底板17も、槽7と同様に、紫外線の影響を受け難く防食性を有する材料で形成されており、天板15と底板17には、各々の対応する位置に貫通穴が形成され、これらの貫通穴にシールグランド13が水密に固定されている。本実施形態では、槽7の長手方向の中心軸を挟んで平行に2本の紫外線透過管3が槽7内に設置された状態となるような天板15と底板17の位置に、各々、シールグランド13が取り付けられている。各シールグランド13の外側に位置する径が大きい側の端部は、天板15や底板17から槽7の外側に突出した状態となっている。また、シールグランド13は、図2に示すように、シールグランド13の天板15や底板17の貫通穴に挿入された径が小さい側の端部と、天板15との間にOリング20を挟み込んだ状態で取り付けられており、図示していないが、底板17側も同様の構造になっている。
天板15の槽7の長手方向の中心軸に対応する位置にも、図2に示すように、貫通穴が形成されており、この貫通穴には、槽7の外側から筒状の軸受け21が、内側から筒状の軸シール23が取り付けられている。底板17の槽7の長手方向の中心軸に対応する位置には、図1に示すように、槽7の内側の面に軸受け25が設けられている。なお、底板17側に固定されたシールグランド13のうち、紫外線ランプ1が内挿された紫外線透過管3を固定するシールグランド13の径が大きい側の端部には、シールグランド13の径が大きい側の端部を閉塞し、紫外線ランプの抜け落ちの防止や遮光のため円盤状の遮光底板13aが取り付けられている。
払拭機構5は、図1及び図2に示すように、紫外線透過管3の外面を払拭する円環状のワイパ27、ワイパ27を移動させるための減速電動機29、減速電動機29の軸に連結された回転軸31、回転軸31に案内されて移動するとともに、ワイパ27に係合されてワイパ27を移動させる係合部材となるワイパホルダ33などを備えている。減速電動機29は、天板15の中心部の上方、つまり、軸受け21の上方に、支持棒35によって支持されている。支持棒35は、図示していないが、下側の端部が天板15に取り付けられている。
回転軸31は、紫外線の影響を受け難く防食性を有する材料、例えばステンレスなどで形成されており、減速電動機29の軸にカップリング37を介して連結されている。カップリング37の回転軸31側の端部、つまり、天板15側の端部には、回転数検出用円盤39が取り付けられている。回転数検出用円盤39から天板15の中心部に方向に延在する回転軸31は、天板15に取り付けられた軸受け21及び軸シール23に挿通され、槽7内の中心部つまり2本の紫外線透過管3の間に、2本の紫外線透過管3と平行に垂下された状態になっている。回転軸31の回転数検出用円盤39が取り付けられた側と反対側の端部は、図1に示すように、底板17の内面の中心部に設けられた軸受け25によって回転自在に支持されている。回転軸31の外周面の軸シール23と軸受け25との間の部分には、ねじが切ってある。
ワイパ27は、紫外線の影響を受け難く防食性を有する材料、例えばステンレスなどの金属やフッ素ゴムなどの合成樹脂などで形成された円環状の部材であり、内径が紫外線透過管3の外径と同じになっており、紫外線透過管3を挿入可能になっている。なお、ワイパとしては、環状のブラシなど紫外線透過管3の外面を払拭できれば様々な部材を用いることができる。
ワイパホルダ33は、図2及び図3に示すように、紫外線の影響を受け難く防食性を有する材料、例えばステンレスなどの金属やポリテトラフルオロエチレンなどの合成樹脂などで形成された方形の箱状の部材である。本実施形態では、ワイパホルダ33の中央部は、回転軸31の外周面に切られたねじに螺合させるナット部33aとなっており、ワイパホルダ33の中央部から両側に張り出した部分は、ワイパ27を係合させる係合部33bとなっている。
ワイパホルダ33の上面と下面は、中央部のナット部33aを除いて開放された状態になっており、ナット部33aの上面と下面には、方形平板状の昇降ナット押さえ板41、43が各々取り付けられ閉塞された状態となっている。上側の昇降ナット押さえ板41と下側の昇降ナット押さえ板43との間の空間、つまり、ワイパホルダ33のナット部33a内の空間には、回転軸31の外周面に切られたねじに対応するねじが貫通穴45aの内周面に切られた昇降ナット45が設置されている。
ワイパホルダ33のナット部33aの対向する側壁内面の上側の縁部分と下側の縁部分には、図3に示すように、各々、ワイパホルダ33の内側に向けて突出した昇降ナットストッパー47が設けられている。昇降ナットストッパー47は、ワイパホルダ33の上面側または下面側から見たとき、両端部分が中央部分よりもワイパホルダ33の内側に向けて突出したコ字状になっており、対向する2つの昇降ナットストッパー47で昇降ナット45を囲んだ状態になっている。
このように、昇降ナット45は、上側の昇降ナット押さえ板41、下側の昇降ナット押さえ板43、昇降ナットストッパー47で囲まれた状態で設置されることで、ワイパホルダ33のナット部33a内の空間に位置決めされている。このとき、昇降ナットストッパー47の両端部分の内縁間の幅、対向する昇降ナットストッパー47の中央部分の内縁間の幅、さらに、上側の昇降ナット押さえ板41の内面と下側の昇降ナット押さえ板43の内面間の幅は、各々、昇降ナット45の対応する部分の幅よりも大きく形成されている。このため、昇降ナットストッパー47と昇降ナット45との間、上側の昇降ナット押さえ板41や下側の昇降ナット押さえ板43と昇降ナット45との間には適宜の隙間49があり、昇降ナット45は、ワイパホルダ33のナット部33a内の空間で、これらの隙間49の範囲内で上下、左右、前後に移動可能な状態になっている。
また、本実施形態の昇降ナットストッパー47は、ワイパホルダ33のナット部33aに、上側の昇降ナット押さえ板41や下側の昇降ナット押さえ板43を取り付けるための台座の役割も果たす。このため、各昇降ナットストッパー47の両端部分には、上側の昇降ナット押さえ板41や下側の昇降ナット押さえ板43を図示していないボルトで取り付けるためのねじ穴47aが設けられている。なお、図3では、ワイパホルダ33の上側の縁部分に設けられた対向する2つの昇降ナットストッパー47のみが図示されており、同一の形状で下側の縁部分に設けられた昇降ナットストッパー47は図示していない。また、図3では、ワイパホルダ33の構造を分かり易くするため、上側の昇降ナット押さえ板41を外した状態を示している。
ワイパ27は、図2及び図3に示すように、このようなワイパホルダ33の係合部33bの端面と対向する2つの側面の各々の対応する位置に形成された方形の貫通穴であるスロット51に係合されている。本実施形態のワイパホルダ33は、ナット部33aを挟む形で係合部33bを2つ備えており、各々の係合部33bが対応する紫外線透過管3そして紫外線透過管3に取り付けられたワイパ27を取り囲む状態で設置される。これにより、ワイパホルダ33の係合部33bの端面及び対向する2つの側面に対応するワイパ27の縁部分が、各々、ワイパホルダ33の係合部33bのスロット51の内側から外側に突出した状態となり、ワイパホルダ33の係合部33bにワイパ27が係合した状態となっている。
スロット51は、ワイパ27のスロット51に挿入される縁部分の厚みや幅よりも大きく形成されている。このため、ワイパ27のスロット51に挿入される縁部分とスロット51の内面との間には適宜の隙間があり、ワイパ27は、この隙間の範囲内で上下、左右、前後に移動可能な状態になっている。したがって、ワイパホルダ33の係合部33bのスロット51の上側の内面部分または下側の内面部分がワイパ27に接触してワイパ27を移動させているときでも、ワイパ27は、水平方向に移動可能になっている。
さらに、本実施形態では、ワイパホルダ33の一方の係合部33bには、磁石ホルダ53が設けられており、磁石ホルダ53には、磁石55が固定されている。磁石ホルダ53は、紫外線の影響を受け難く防食性を有する材料、例えばステンレスなどの金属やポリテトラフルオロエチレンなどの合成樹脂などで形成されており、紫外線透過管3の延在方向に向けてワイパホルダ33の係合部33bから突出した状態で設けられている。磁石ホルダ53のワイパホルダ33の係合部33bから突出した部分には、磁石55が止めねじ56を用いるなど適宜の方法で固定されている。
磁石55は、図4に示すように、腐食を防ぐため、磁石本体55aの外表面が、例えばポリテトラフルオロエチレンなどの紫外線の影響を受け難く防食性を有する合成樹脂など、紫外線耐性を有する有機化合物で形成した被覆層55bで覆われている。本実施形態では、磁石ホルダ53は、紫外線透過管3の延在方向に沿ってワイパホルダ33の係合部33bから上方に向けて突設されており、磁石55は、磁石ホルダ53のワイパホルダ33の係合部33bから上方に突出した部分に取り付けられている。本実施形態では、2本設置されている紫外線透過管3のうちの1本には紫外線ランプ1が内挿されないが、磁石ホルダ53及び磁石55は、ワイパホルダ33の、紫外線ランプ1が内挿されていない紫外線透過管3側に位置する係合部33bに取り付けられている。
ワイパホルダ33の磁石55が取り付けられている係合部33b側に位置する紫外線透過管3内、つまり、本実施形態では紫外線ランプ1が内挿されていない紫外線透過管3内には、図1乃至図3に示すように、磁石55の磁気を検出するための磁気検出手段となる磁気検出スイッチ57が設けられている。磁気検出スイッチ57は、ワイパホルダ33が図1に例示しているようなワイパホルダ33の待機位置に来たときに磁石55の磁気を検出してスイッチが作動するような位置に設置されている。磁気検出スイッチ57は、種々の方法で紫外線ランプ1内の所定の位置に配設することができる。例えば、図5に示すように、シールグランド13を利用して磁気検出スイッチ57を所定の位置に取り付ける取り付け具59などを用いることができる。
取り付け具59は、磁気検出スイッチ57を設置する紫外線透過管3の上側に取り付けられたシールグランド13の槽7の外側に位置する端面に、このシールグランド13の端面の直径方向に掛け渡された固定部59a、固定部59aからシールグランド13を挿通して紫外線透過管3内に垂下され、磁気検出スイッチ57が取り付けられる取り付け板部59bなどを有している。取り付け具59の固定部59aは、シールグランド13の外周面を利用してビス59cでシールグランド13の端部に固定されている。
取り付け板部59bは、横断面がT字状で帯状の部材であり、平らな面側に磁気検出スイッチ57がねじ59dにより取り付けられている。この取り付け板部59bの長さと、取り付け板部59bへの磁気検出スイッチ57の取り付け位置を調整することにより、ワイパホルダ33が待機位置に来たときに磁石55の磁気を検出してスイッチが作動するような位置に磁気検出スイッチ57が配設される。また、磁気検出スイッチ57は、端子57aに図示していない配線が接続され、この図示していない配線を介して、制御盤11内の制御部などに電気的に接続されている。
本実施形態の回転数検出手段は、図1及び図2に示すように、回転軸31に取り付けられた回転数検出用円盤39、回転数検出用円盤39の回転数を検出する回転数検出用スイッチ61、制御盤11内の制御部に含まれる回転数カウンタなどで構成されている。回転数検出用円盤39は、図6に示すように、金属製の円盤で、この回転数検出用円盤39の中心つまり回転軸31の中心を中心とする円を描く位置に等間隔で設けられた4つの同径の円形の貫通穴39aが形成されている。回転数検出用スイッチ61は、図1及び図2に示すように、減速電動機29を天板15上に支持する支持棒35を利用することなどで回転数検出用円盤39の上方に固定されている。
また、回転数検出用スイッチ61は、図1、図2及び図6に示すように、回転軸31の回転により回転数検出用円盤39が回転したとき、4つの円形の貫通穴39aの間に位置する回転数検出用円盤39の4箇所の金属部分39bを検出する。したがって、回転数検出手段の回転数検出用スイッチ61は、回転数検出用円盤39が1回転すると、4回金属部分39bを検出し、4つの検出信号となるパルスを発生する。そして、制御盤11内の制御部の回転数カウンタは、回転数検出手段の回転数検出用スイッチ61が金属部分39bを検出したときに送信するパルスを受け、4個のパルスを受けて回転軸31が1回転したとして回転軸31の回転数を計数する。
制御盤11内の制御部は、払拭機構5の作動を開始すると、回転数検出用スイッチ61からの信号に基づいて回転数カウンタが検出した回転数が予め設定した回転数になるまで減速電動機29を駆動し、回転数カウンタが検出した回転数が予め設定した回転数になると、今度は減速電動機29を反転駆動し、回転軸31を逆回転させる。これにより、ワイパホルダ33が待機位置から回転軸31の端部まで移動し、回転軸31の端部から待機位置まで戻る往復移動行う。すなわち、ワイパ27が紫外線透過管3の外面を往復摺動する。
さらに、制御盤11内の制御部は、ワイパホルダ33が待機位置から回転軸31の端部まで移動し、回転軸31の端部から待機位置に戻るとき、磁気検出手段となる磁気検出スイッチ57がワイパホルダ33に取り付けられた磁石55の磁気を検出することにより待機位置を検知する。そして、制御盤11内の制御部は、待機位置を検知すると、回転軸31の回転数に関係なく減速電動機29を停止させ、回転数カウンタに記憶していた回転数カウンタの回転数をゼロにリセットする。
支持フレーム9は、防食性の材料、例えばステンレスやアルミニウムなどの金属や合成樹脂などで形成されており、槽7の上側のフランジ7a及び下側のフランジ7bに連結部材63を介して連結されることによって槽7を支持している。また、支持フレーム9は、制御盤11も支持している。
なお、本実施形態では、外周面にねじが切られ、紫外線透過管3と平行に設置されている回転軸31や回転軸31を回転させる減速電動機29などが移動手段を構成し、制御盤11内の制御部が、移動手段による係合部材つまりワイパホルダ33の移動範囲を制御する制御手段を構成している。また、本実施形態では、紫外線ランプ1の点灯や払拭機構5の作動及び払拭機構5のワイパホルダ33の移動範囲などを制御する制御部を1つの制御部として制御盤11内に設置した例を示している。しかし、制御部は、機能毎に適宜複数の制御部に分けて設けることもできるし、本実施形態のように一体に一つの制御部とすることもできる。
このような構成の紫外線照射装置及び払拭機構の動作や本発明の特徴部などについて説明する。本実施形態の紫外線照射装置では、図1に示すように、槽7の側壁の下側の部分に設けられた被処理流体の槽7内への入口となる入口部7cから槽7に流入した被処理流体、例えば被処理水は、槽7内を紫外線透過管3の延在方向に沿って、本実施形態では槽7の底部側から上方に向かって流れる。このとき、被処理水は、紫外線透過管3内に設置された紫外線ランプ1からの紫外線の照射を受けるため、被処理水中の微生物の殺滅や有機物の分解、その他の有毒物質の分解などが行なわれる。紫外線の照射を受けた被処理水は、槽7の側壁の上側の部分に設けられた被処理流体の槽7内からの出口となる出口部7dから流出し、次工程などに送られる。
このように、紫外線透過管3は、被処理水中に浸かった状態であるため、被処理水の紫外線照射処理を続けると、被処理水中の微生物や有機物質などが紫外線透過管3の外表面に付着し、被処理水への紫外線照射能力が低下する。このため、本実施形態では制御盤11の制御部がタイマを有しており、予め設定した時間処理を行った場合、払拭機構5を作動させる。つまり、制御盤11の制御部は、予め設定した時間間隔で、払拭機構5の減速電動機29を駆動させる。減速電動機29が駆動されると、回転軸31が回転するため、図1乃至図3に示すように、回転軸31の外周面に切られたねじに螺合しているナット45を有するワイパホルダ33は、待機位置から、下方に向けて移動して行く。これにより、ワイパホルダ33のスロット51に係合しているワイパ27が、ワイパホルダ33と一体に移動して紫外線透過管3の外面を摺動する。
制御盤11内の制御部の回転数カウンタは、回転数検出用スイッチ61からのパルス信号を受け、回転数カウンタで回転軸31の回転数を計数する。このとき、制御盤11内の制御部は、回転数カウンタで計数した回転数が予め設定した回転数になるまで減速電動機29を駆動する。ここで設定された回転数は、ワイパホルダ33が、待機位置から移動範囲の下限位置、例えば軸受け25に当たらないような回転軸31の下端部の位置まで下降する回転数になっている。
制御盤11内の制御部は、ワイパホルダ33が待機位置から移動範囲の下限位置に達し、回転数カウンタで計数した回転数が予め設定した回転数になると、減速電動機29を反転駆動し、回転軸31を逆回転させる。これにより、回転軸31の外周面に切られたねじに螺合しているナット45を有するワイパホルダ33は、今度は、下限位置から上方に向けて移動して行く。これにより、ワイパホルダ33は、待機位置から下限位置までの移動範囲を往復移動する。このワイパホルダ33の往復移動に伴い、ワイパホルダ33のスロット51に係合しているワイパ27が紫外線透過管3の外面を往復摺動することで、ワイパ27が紫外線透過管3の外面を払拭して付着物を除去する。
さらに、制御盤11内の制御部は、ワイパホルダ33が下限位置から上昇して待機位置に戻るとき、磁気検出スイッチ57がワイパホルダ33に取り付けられた磁石55の磁気を検出して発した信号を受け取ると、回転数カウンタで計数した回転数に関係なく減速電動機29を停止させ、回転数カウンタで計数し記憶していた回転数をゼロにリセットする。なお、払拭機構の1回の作動でワイパ27を往復移動させる回数は、被処理流体の種類などに応じて適宜設定できる。
ここで、例えば本実施形態の払拭機構のようにワイパホルダなどの係合部材を移動させる回転軸の回転数でワイパの移動範囲を制御する場合、回転数のミスカウントが生じることなどにより、回転数カウンタで計数した回転数とワイパホルダの実際の位置とにずれが生じると、ワイパホルダが停止する位置が、設定した待機位置とはずれた位置になってしまう。そして、このような設定した待機位置からずれた位置からワイパホルダの移動を開始すると、下限位置などにもずれが生じ、ワイパの移動範囲が変わってしまう。また、このような場合、払拭機構の作動を繰り返すたびに、ワイパの移動範囲が変わって行くこともある。このように、ワイパの移動範囲が変わると、ワイパの移動に支障を招いたり、紫外線透過管の必要な範囲を清掃できずに紫外線照射量の低下を抑制できなくなったり、といった問題を生じる可能性がある。
これに対して、本実施形態の払拭機構5及び払拭機構5を備えた紫外線照射装置では、係合部材であるワイパホルダ33に磁石55が取り付けられており、ワイパホルダ33が待機位置にくると、磁気検出手段となる磁気検出スイッチ57が磁石55の磁気を検出することにより、ワイパホルダ33を設定した待機位置で停止させる。このため、ワイパホルダ33を設定した待機位置に位置決めでき、設定した待機位置からワイパホルダ33の移動を開始できる。すなわち、ワイパホルダ33やワイパ27の待機位置が変わることがないため、ワイパの移動範囲が変わり難くなり、ワイパの移動範囲の制御精度を向上できる。
さらに、磁気検出手段となる磁気検出スイッチ57を用いているため、磁気を透過可能な容器となる紫外線透過管3内に設置されている。したがって、被処理流体と磁気検出手段となる磁気検出スイッチ57などとの接触を抑制でき、磁気検出スイッチ57の動作不良といった不具合の発生などを抑制でき、待機位置にワイパホルダ33などの係合部材を位置決めできなくなるのを防ぐことができる。
加えて、ワイパの移動範囲の制御精度を向上できることにより、ワイパの移動に支障を招いたり、紫外線透過管の必要な範囲を清掃できず、紫外線照射量の低下を抑制できなくなったり、といった問題を抑制でき、払拭機構や紫外線照射装置の信頼性を向上できる。
さらに、本実施形態の払拭機構5及び払拭機構5を備えた紫外線照射装置では、移動手段として、回転軸31や減速電動機29などを有している。係合部材となるワイパホルダ33は、回転軸31に螺合する貫通孔45aを有するナット45を内包するナット部33aを有している。加えて、回転数検出用円盤39や回転数検出用スイッチ61、さらに、制御盤11内の制御部に含まれる回転数カウンタなどの回転数検出手段を備えている。そして、ワイパホルダ33の移動範囲を制御する制御盤11内の制御部は、回転数検出手段の回転数カウンタで検出した回転数に基づいてワイパホルダ33やワイパ27の移動範囲を制御するとともに、磁気検出スイッチ57が磁石55の磁気を検出することによりワイパホルダ33を待機位置に位置決めしている。したがって、ワイパホルダ33の待機位置への位置決めは磁気検出スイッチ57と磁石55によって行われる上、回転数カウンタの回転数のカウント状態をリセットするなど、回転数の修正や補正が行えるため、ミスカウントなどによる移動範囲のずれをさらに生じ難くでき、ワイパの移動範囲の制御精度をさらに向上できる。
さらに、本実施形態の払拭機構5及び払拭機構5を備えた紫外線照射装置では、ワイパホルダ33に取り付けた磁石55の表面が紫外線耐性を有する有機化合物であるポリテトラフルオロエチレンなどで形成された被覆層55bで被覆されている。これにより、腐食性の流体などに紫外線を照射する紫外線照射装置に用いた場合であっても、磁石の腐食などによる損傷を抑制でき、磁石の機能不良といった不具合の発生などを抑制できる。また、磁石の腐食などを抑制できることにより、磁石の腐食などによる被処理流体中の鉄分濃度の増加などを抑制できる。例えば、被処理流体が飲料水などであった場合、飲料水などにおける鉄分濃度の増加は望ましくないが、本実施形態では、このような望ましくない鉄分濃度の増加を抑制できる。
また、本実施形態では、磁気検出スイッチ57を設置した紫外線透過管3には紫外線ランプが内挿されていないが、紫外線ランプが内挿される紫外線透過管3内に磁気検出スイッチ57を設置した構成や、紫外線透過管とは異なる密閉容器に磁気検出スイッチ57を設置した構成や槽7の外壁面の所定の位置に磁気検出スイッチ57を設置した構成などにすることもできる。
例えば、紫外線透過管とは異なる密閉容器に磁気検出スイッチ57を設置する場合、紫外線透過管3に代えて、図7に示すように、一方の端部が閉塞されたステンレス製やポリテトラフルオロエチレン製などの紫外線耐性と耐食性を有する材料で形成した磁気検出スイッチ57専用の筒状の容器65などを用いることもできる。このとき、天板15の適宜の位置に、紫外線透過管3のための穴とは別に貫通穴を穿設し、この貫通穴に容器65を外側から挿入して設置する。容器65の開口側の端部には、縦断面が凸形状で環状のシールグランド67が、径が大きい方円盤部分を開口側に、径が小さい方の円盤部分を閉塞された端部側にしてシールグランド67の穴に容器65の開口側の端部を挿入した状態で固定されている。天板15に穿設された貫通穴は、シールグランド67の径が小さい方の円盤部分の大きさに対応している。
したがって、図7示した容器65は、天板15に穿設された貫通穴に、外側から挿入し、シールグランド67の径が大きい方円盤部分と天板15の貫通穴の周囲の部分にパッキンなどのシール部材70を挟み込んだ状態でボルト69a、69bで天板15に槽7内を水密に保持しながら固定されている。そして、磁気検出スイッチ57は、この容器65の開口から、容器65内に挿入され所定の位置に取り付け具71を用いて取り付けられている。
取り付け具71は、磁気検出スイッチ57を設置する容器65に取り付けられたシールグランド67の槽7の外側に位置する開口に、このシールグランド67の端面の直径方向に掛け渡された固定部71a、固定部71aから容器65内に挿通され、磁気検出スイッチ57が取り付けられる取り付け棒部71bなどを有している。取り付け具71の固定部71aは、シールグランド67の一方のボルト69aを利用してシールグランド67の外側端面に固定されている。取り付け棒部71bには、磁気検出スイッチ57がねじ71cにより取り付けられている。なお、磁気検出スイッチ57を設置する容器として紫外線ランプを設置するための紫外線透過管を用いれば、別に磁気検出スイッチ57を設置する容器65などを用いる場合に比べ、磁気検出スイッチ57を設置するため新たな部品などの発生を抑制でき、コスト上昇を抑制できる。
また、本実施形態では、制御盤11の制御部がタイマを有し、設定した時間間隔で払拭機構5を作動させる場合を例示した。しかし、払拭機構は、タイマに限らず、例えば紫外線の照度などに応じて作動させるといったように、様々な条件で作動させることができる。紫外線の照度に応じて作動させる場合、紫外線の照度を検出するため、本実施形態のような構成の紫外線照射装置では、例えば、図8に示すように、磁気検出スイッチ57を設置した紫外線ランプ1を設置しない紫外線透過管3の底側に紫外線センサ73を設置する。
紫外線センサ73は、図9に示すように、先端部分が棒状の波長変換素子75を円筒状の紫外線透過管77内に内挿した波長変換部73a、波長変換部73aに連結された光ファイバ79を内挿した管体81などからなる光伝達部73b、波長変換部73aと光伝達部73bを光学的に連結するカプラ部73cなどを有している。光伝達部73bの端部には、紫外線透過管3の下側に取り付けられたシールグランド13の槽7の外側に位置する端面に、このシールグランド13の端面の直径方向に掛け渡された固定部73dを有している。固定部73dは、取り付け具59の固定部59aと同様に、シールグランド13の外周面を利用してビス73eでシールグランド13の端部に固定されている。なお、紫外線センサ73からの光ファイバ79は、制御盤11内の制御部に光学的に接続されている。
紫外線センサ73は、波長変換素子75で紫外線を、その紫外線の照度に応じた可視光に変換し、制御盤11内の制御部は、紫外線センサ73で変換された可視光の強さに基づいて紫外線の照度を検出する。そして、制御盤11内の制御部は、紫外線の照度が予め設定した照度以下や必要レベルより低くなると、払拭機構5を作動させる。さらに、紫外線センサを設けている場合には、予め設定した照度より高いか、紫外線の照度が必要レベルになるまで払拭機構5のワイパ27の往復移動を繰り返すことなどもできる。
また、本実施形態では、ワイパホルダ33の磁石ホルダ53に1つの磁石55を取り付けている。しかし、磁石は、複数設けることもできる。磁石を複数設ける場合、例えば、図10に示すように、ワイパホルダ33の係合部33bの上面に、係合部33bの上面に対応する方形の台座部83aと、台座部83a上に複数の円柱状の磁石85を収容した円環状の空間を有する円筒状部83bとを備えた構成の磁石ホルダ83などを用いることができる。磁石ホルダ83は、円筒状部83bの内径は、紫外線透過管3を挿入可能な径になっており、台座部83aにも円筒状部83bの穴に対応する位置に穴が形成されている。磁石85は、円筒状部83bに内包された状態となっており、紫外線透過管3の周囲に円環状に並ぶ。また、台座部83aの4隅には、ワイパホルダ33の係合部33bに磁石ホルダ83を取り付けるためのねじ孔が形成されている。この磁石ホルダ83のような、紫外線透過管3の周囲に複数の磁石85が配置された構成とすれば、磁力が強くなり、磁気の検出能力を向上できる。
また、本実施形態では、回転数検出手段として回転数検出用円盤39や回転数検出用スイッチ61などを有する構成を示している。しかし、回転数検出手段としては、例えば位置検出用のパタンを設けた回転数検出用円盤、発光ダイオードなどの発光器、回転数検出用円盤で反射または回転数検出用円盤を通過した発光器からの光を受光する受光器などを用いた構成など、回転軸や電動機の回転数を検出できれば様々な構成のものを用いることができる。
また、本実施形態では、紫外線透過管3を平行に2本設置した場合を例示したが、紫外線透過管3の本数は適宜選択できる。また、本実施形態では、縦型の紫外線照射装置を例示したが、本発明の払拭機構は、横型の紫外線照射装置などにも適用できる。
また、本発明は、本実施形態のような構成の紫外線照射装置に限らず、被処理流体の紫外線を照射する様々な目的に用いる様々な構成の紫外線照射装置に適用でき、また、様々な構成の紫外線照射装置用の払拭機構に適用できる。