JP4146722B2 - 燃料電池装置とその運転方法 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、保護容器内に配置された多数の燃料電池を備える燃料電池装置に関する。また本発明はそのような燃料電池装置の運転方法に関する。
【0002】
燃料電池は環境に優しく電気を発生するために使われる。即ち燃料電池では、電解と逆の過程が進行する。そのため燃料電池では、陽極に水素含む燃料、陰極に酸素を含む補助剤を夫々供給する。陽極と陰極は電解層を経て電気的に分離され、電解層は燃料と酸素との間のイオン交換を許しているが、燃料と補助剤との気密分離を保障している。燃料に含まれる水素は、イオン交換により酸素と反応して水となり、その際燃料側電極、即ち陽極で電子が増え、酸化剤側電極、即ち陰極で電子が吸収される。従って、燃料電池の運転中、陽極と陰極の間に有用な電位差、即ち電圧が生ずる。その際電気発生過程での廃棄物として水しか生じない。電解層は、高温燃料電池の場合は固体電解セラミックス、常温燃料電池の場合はポリマー薄膜として形成される。従って電解層は、反応物質を互いに分離し、イオン状の電荷を移送し、電子短絡を防止する機能を果たす。
【0003】
そのような燃料電池において、通常利用され物質の電気化学ポテンシャルに基づき、正常な運転条件下に、約0.6〜1.0Vの電圧が発生し、運転中維持される。従って、使用目的又は設計負荷に関係して大きな総電圧が必要となる工業的用途においては、通常多数の燃料電池が、各燃料電池から各々供給される電極電圧の合計が必要な総電圧に相当するかそれを超えるよう、燃料電池スタックの形に電気的に直列接続される。そのような燃料電池スタックにおける燃料電池の数は、必要な総電圧に応じ、例えば50個以上となる。
【0004】
燃料電池装置において、燃料電池又は燃料電池スタックの形にまとめられた多数の燃料電池は、機械的損傷から保護しおよび/又は例えば水やほこり等の外界の影響から保護すべく、保護容器内に組み込まれる。かかる保護容器は、通常その内部空間を気密および/又は水密に包囲する。その際、燃料電池やスタックの形にまとめられた燃料電池は、保護容器の内部空間内に配置される。
【0005】
本発明の課題は、保護容器内に配置した多数の燃料電池を備える燃料電池装置を、高い運転信頼性をもって特に長寿命を有するよう形成することにある。またそのような燃料電池装置の特に最適な運転方法を提供することにある。
【0006】
燃料電池装置に関する課題は、本発明に基づき、保護容器で包囲された内部空間を、気体側で閉循環回路に接続することで解決される。
【0007】
本発明は、燃料電池装置の特に長い寿命を得るには、保護容器の内部空間内に配置する燃料電池を、運転信頼性にとり害となる作用からできるだけ保護すべきであるという考えから出発する。共通の保護容器内に多数の燃料電池を配置した場合、非常に多くの接続端子や各燃料電池に運転物質を供給する供給管が存在する。それら供給管に高度な漏れ止めを施しても、損傷や劣化のために漏れが生ずる。その漏れのため、例えば酸素を含む補助剤と燃料との混合物や水が、保護容器で包囲された内部空間内に侵入してしまう。このため、保護容器内に配置した燃料電池が腐食により寿命を害されるか、水素分子と酸素分子とから成る点火・爆発性の混合気が生じてしまう。保護容器内の含水量が増大した場合、絶縁物質の絶縁作用が悪化し、短絡が生じる。燃料電池装置の寿命を害する要因を排除すべく、保護容器の内部空間の雰囲気を定期的に交換したり、燃料電池の寿命を害する成分を除去したりせねばならない。その雰囲気の交換は、雰囲気の大気への放出を防止すべく、循環回路の循環により行う。
【0008】
内部空間の雰囲気から燃料電池の寿命を害する成分を確実に除去するため、循環回路に、好適には、多数の気体浄化要素が接続される。その場合、特に化学リアクタンスについて循環回路内を導かれる気体流から有害な成分を除去すべく設計したフィルタ要素が利用される。
【0009】
保護容器の内部空間における雰囲気に関し、特にその中に存在する水分が問題となる。即ちその水分は、一方では燃料電池自体およびそれに供給する供給系を腐食し、その結果、欠陥のもとになる漏れを増大させる。他方では、内部空間の雰囲気に含まれる水分は、雰囲気の導電率にも作用し、このため燃料電池装置の維持すべき絶縁性についての安全性を害する。この結果、本発明の特に有利な実施態様では、燃料電池装置を、循環回路内を導かれる気体流から水分を確実に除去すべく設計する。そのため、循環回路に乾燥段を接続すると有利である。
【0010】
特に操作性の単純化に関し、本発明の有利な実施態様では、乾燥段に貯水器を接続する。燃料電池装置の運転中に雰囲気の循環により循環回路で取り出した水を、貯水器に一時的に溜め、例えば元々設定した所定の間隔経過後の点検作業中に廃棄するだけでよい。循環回路内を流れる気体流からの含水成分の除去は、循環回路にフィルタの形で接続した乾燥段としての凝集手段で行う。しかし乾燥段は、燃料電池装置の運転中に能動的に操作される要素として形成してもよい。その際必要なら、又は燃料電池装置の各時点での状態に応じ、循環回路内を流れる気体流の最適な乾燥を行う。そのため、乾燥段として凝縮器を利用するとよい。
【0011】
燃料電池装置の運転中の特に単純な操作性のために、凝縮器はその有効性について電気信号で調整するのが目的に適っている。そのために、凝縮器を多数のペルチェ素子で冷却するとよい。
【0012】
燃料電池装置の永続的な特に高い運転信頼性は、保護容器の内部空間での水素分子と酸素分子とから成る点火性混合気の発生を徹底して防止することで達成される。そのため、循環回路内を導かれる気体流から水素分子および/又は酸素分子を除去する手段を、循環回路に接続するとよい。その際、水素分子および/又は酸素分子の化合を行う多数の反応器を利用すると有利である。酸素を化合するために利用する反応器は所謂ゲッターとして形成され、加熱された状態で特に酸素分子と反応する、例えば銅や亜鉛等の化学的活性化合物を含む。
【0013】
本発明の他の有利な実施態様では、保護容器の内部空間で水素分子と酸素分子とから点火性混合気が生ずるのを防止するため、水素分子を酸素分子と化合して水に変換する制御形再結合器を利用する。そのため循環回路に、水素分子を酸素分子と化合させて水に変換する多数の触媒再結合器を接続するとよい。その再結合の際に生じた水分が、保護容器の内部空間の雰囲気に加わるのを確実に防止するために、循環回路における再結合器又は各再結合器に、例えば上述の形式の乾燥段を後置接続すると有利である。
【0014】
燃料電池装置の運転方法に関する課題は、本発明に基づき、保護容器の内部空間内に存在する気体を、循環回路を経て循環させ、その際、乾燥および/又は浄化することで解決される。
【0015】
本発明による利点は、保護容器の内部空間を満たす雰囲気の閉循環回路内での循環により、その雰囲気を確実に且つ永続的に清浄に保てることにある。例えば燃料電池への燃料や補助剤の供給系に僅かな漏れが生じても、循環回路の乾燥手段により、内部空間の雰囲気の含水量を非常に少なく保ち、これにより、保護容器の内部空間に配置した部品の激しい腐食は生じない。また、循環回路内を導かれる気体流から水素分子および/又は酸素分子を除去する手段により、保護容器の内部空間での爆発・点火性混合気の発生を確実に防止できる。従って本発明に基づいて構成した燃料電池装置は、高い運転信頼性の下で長い寿命を示す。
【0016】
以下本発明の実施例を、図1を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1の燃料電池装置1は、概略的に示す燃料電池ブロック2の形にまとめられた多数の燃料電池を備える。各燃料電池は夫々電極対として陽極と陰極を有し、供給系(図示せず)を経て、陽極に水素を含む燃料、陰極に酸素を含む補助剤が夫々供給される。各燃料電池の陽極と陰極は電解層を介して電気的に分離され、かつ電解層は燃料と補助剤とを気密に分離しているか、燃料と補助剤との間のイオン交換を許している。
【0018】
該イオン交換に伴い、各燃料電池に0.6〜1.0Vの電極電圧が生ずる。所定の使用目的に関係して設定された設計電圧を発生すべく、燃料電池は燃料電池ブロック2において、それらの電極電圧の合計が必要な出力電圧に達するかそれを超過するよう、電気的に直列接続されている。
【0019】
機械的損傷から保護し更に水やほこり等の外界の影響からも保護するため、燃料電池ブロック2は保護容器4で包囲されている。保護容器4はそれにより包囲される内部空間6を有し、この内部空間6内に燃料電池ブロック2が配置されている。保護容器4は内部空間6を包囲し、従って、その中に配置された燃料電池ブロック2を気密・水密に保っている。その場合、燃料電池ブロック2の燃料電池に燃料と補助剤を供給するために必要な供給管7又は燃料電池ブロック2で発生された電気を取り出すためおよび制御信号を導入するための電気接続線が、保護容器4の外壁を貫通して導かれている。
【0020】
この燃料電池装置1は、高い運転信頼性の下で、特に長寿命を保つように設計されている。そのため、内部空間6を満たす気体雰囲気が非常に乾燥し、内部空間6内に配置した燃料電池ブロック2を腐食する成分が存在しないようにしている。確かに一方では、上述した供給管や電気接続線が保護容器4の外壁を貫通していることに伴い起こり得る漏れのため、大気が内部空間6に到達することがある。他方では、燃料電池ブロック2自体で、燃料電池への供給時の漏れが考えられ、例えば水および/又は燃料および/又は補助剤が内部空間6に到達し得る。その際、特に比較的長期にわたる無点検運転経過後に、内部空間6の雰囲気が或る含水量に達し、その含水量は、内部空間6内の構造物および特に燃料電池ブロック2の構成要素に大きな腐食作用をし、その結果それらの寿命を低下させる。内部空間6の雰囲気内の含水量が増大すると、絶縁抵抗が低下し、即ち絶縁物質の絶縁作用が悪化し、また凝縮水により場合によっては短絡も生ずる。また、その代わりに又はそれに加えて、内部空間6内に燃料や補助剤が漏れ出た場合、内部空間6内に水素分子と酸素分子とから成る点火性混合気が生ずる。
【0021】
燃料電池装置1の寿命および/又は運転信頼性についての上述の害を安全且つ確実に防止すべく、保護容器4で包囲した内部空間6を気体側で閉循環回路8に接続している。該回路8を形成するため、内部空間6に排気管10を接続し、この排気管10の出口側を循環ポンプ12に開口させている。循環ポンプ12は出口側、即ち吐出し側が導入管14に接続されている。この導入管14に多数の気体浄化要素が接続されている。導入管14は出口側が保護容器4の内部空間6に開口し、これによって、閉循環回路8が生じている。
【0022】
第1気体浄化要素として、導入管14、従って循環ポンプ8に、触媒再結合器16を接続している。この再結合器16は容器18内に配置した触媒要素20を含む。触媒再結合器16を貫流する気体流Gは、触媒要素20を経て導く。実施例では、触媒要素20は、触媒物質として白金を含む触媒活性表面層を有する。この結果、触媒活性要素20は、そこに導入された気体流が水素分子と酸素分子とを含む場合、それらを再結合して水に変換する機能を果たす。従って触媒活性要素20により、気体流Gに含まれる水素および酸素分子を確実に除去し、点火性爆発性混合気の発生を確実に防止できる。触媒再結合時の変換率を向上するため、触媒活性要素20は外から加熱可能に形成する。
【0023】
循環回路8内を導かれる気体流Gの流れ方向に見て、触媒再結合器16の下流に、乾燥段を接続している。この乾燥段は気体流Gから水分を分離、即ち除去するよう形成している。該乾燥段として、気体流Gに含まれる水分の適当な化学的凝集手段を収容した容器が利用される。しかし図示の実施例において乾燥段として、凝縮器22が設けられている。この凝縮器22は、露点冷却器の形で、循環回路8内を導かれる気体流Gと熱交換し、その中を含まれる水分を凝縮させる。その効率は、凝縮器22の冷却力を変化することで調整でき、その結果乾燥段として用意した凝縮器22での水分離作用は、各運転状態に合わされる。気体流Gは、凝縮器22で冷却および凝縮された後、損失熱により再熱される。
【0024】
乾燥段として用意した凝縮器22に貯水器24を接続している。気体流Gから分離された水は、長時間にわたり貯水器24に集められる。燃料電池装置1の規則的に実施する点検の枠内で、貯水器24から水を除去する。従って、気体流Gから分離した水の連続的な排出は不要であり、これによって、元々考慮した点検間隔間で、燃料電池装置1を特に省エネ運転できる。
【0025】
凝縮器22は、冷却空気又は内部空間内に配置された多数のペルチェ素子を用いて冷却できる。しかしこの実施例では、凝縮器22を内部空間内に配置した多数の冷却コイル26内を導かれる冷却水で冷却している。その冷却力は、冷却水接続管29、30における冷却水流により特に簡単に調整できる。
【0026】
凝縮器22は、その冷却力や他の運転パラメータに関し、燃料電池ブロック2とその供給管からの漏れにより内部空間6に到達した水と、再結合器16内における触媒再結合により生じた水とを確実に除去するに十分な容量を有するよう設計されている。
【0027】
他の気体浄化要素として、循環回路8内を導かれる気体流Gの流れ方向に見て凝縮器22の下流で、導入管14に精密フィルタ28を接続している。その精密フィルタ28で、例えば塵埃粒子や残留不純物が、気体流Gから除去される。
【0028】
燃料電池装置1の運転中、保護容器4で包囲された内部空間6内に存在する雰囲気を、循環回路8を経て連続的に循環させる。そのため、気体流Gを内部空間6から取り出し、循環ポンプ12により、気体浄化要素として用意した構成要素、触媒反応器16、凝縮器22および精密フィルタ28を介して導き、その後、導入管14を介して再び内部空間6に入れる。このようにして、内部空間6の雰囲気の連続循環ができる。その場合、望ましくない不純物および特に燃料電池装置1の寿命と運転信頼性にとって害となる特に水や水素分子のような成分が、気体流Gから除去され、従って内部空間6からの雰囲気から除去される。これによって、長時間の運転でも、内部空間6内に配置された個々の構成要素の腐食又は機能悪化を生じさせる上述した物質の濃縮が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に基づく燃料電池装置の概略構成図。
【符号の説明】
1 燃料電池装置
2 燃料電池ブロック
4 保護容器
6 内部空間
8 循環回路
10 排気管
12 循環ポンプ
14 導入管
16 触媒再結合器
18 容器
20 触媒活性要素
22 凝縮器
24 貯水器
26 冷却コイル
28 精密フィルタ
29、30 接続管

Claims (5)

  1. 保護容器(4)内に配置された多数の燃料電池を備えた燃料電池装置(1)において、保護容器(4)で包囲された内部空間(6)が、この内部空間(6)内に存在する気体を循環させる閉循環回路(8)に接続され、この循環回路(8)に、水素分子を酸素分子と化合させ水に変換する触媒再結合器(16)が接続され、かつこの触媒再結合器(16)の後段に、乾燥段としての凝縮器(22)が接続されたことを特徴とする燃料電池装置。
  2. 循環回路(8)に精密フィルタ(28)がさらに接続されたことを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. 乾燥段としての凝縮器(22)に貯水器(24)が接続されたことを特徴とする請求項1記載の装置。
  4. 凝縮器(22)が多数の冷却コイル(26)で冷却されることを特徴とする請求項1記載の装置。
  5. 請求項1から4の1つに記載の燃料電池装置(1)の運転方法において、保護容器(4)の内部空間(6)内に存在する気体を、循環回路(8)を経て循環させて乾燥および/又は浄化することを特徴とする方法。
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