JP4146666B2 - 誘電体バリア放電ランプおよび光照射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電体バリア放電によってエキシマ分子を形成し、このエキシマ分子から放射される光を放射する誘電体バリア放電ランプ、およびこの誘電体バリア放電ランプを複数用いてなる光照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内部電極と外部電極の間に誘電体を介して放電を行わせる誘電体バリア放電ランプとしては、たとえば特許第3178237号(特開平7−272692号)公報に開示されたものがある。この誘電体バリア放電ランプは、全体が細長い形状の管状の放電容器を有している。放電容器の外面には、シームレスのステンレス円筒金網が外側電極として設けられ、放電容器の内側には、細長い金属円管からなる内側電極が設けられている。放電容器の中には、内側電極と接する状態で、誘電体バリア放電によってエキシマ分子を形成する放電用ガスが充填されているものである。この誘電体バリア放電ランプでは、光出力の変動が少なく、かつランプの細径化を実現することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記公報に開示された従来の誘電体バリア放電ランプでは、外側電極は金属性のステンレス円筒金網からなり、この金属部分が外部に露出した状態で設けられている。このため、外側電極の劣化が早くなってしまい、誘電体バリア放電ランプの寿命が短くなってしまうという問題があった。
【0004】
そこで、本発明の課題は、外側電極における金属部分の劣化を防止することにより、長寿命化を図ることができる誘電体バリア放電ランプを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決した本発明に係る誘電体バリア放電ランプは、合成石英からなる放電容器の中に内部電極を設け、内部電極を放電容器に固定し、放電容器を介して内部電極の周囲に外部電極を設け、172nmを中心とする波長の真空紫外光を照射する誘電体バリア放電ランプにおいて、外部電極は、放射容器の外部表面に形成された金属電極と、金属電極上に形成された保護膜と、を備え、保護膜は酸化珪素を含む無機膜であり、多数の酸化珪素粒子が金属電極の外部表面に付着することにより、金属電極を機械的に保護するとともに、多数の酸化珪素粒子の間に形成された微小な隙間を電流が流れることによって通電可能とされており、保護膜を介して金属電極に電流を供給することを特徴とするものである。
【0006】
本発明に係る誘電体バリア放電ランプにおいては、外部電極が放射容器の外部表面に形成された金属電極と、この金属電極上に形成され、金属電極を保護する通電可能な保護膜によって構成されている。このため、金属部分である金属電極は保護膜によって保護され、外部に曝されることがないので、金属電極の劣化を防止することができる。したがって、誘電体バリア放電ランプの長寿命化を図ることができる。また、保護膜として酸化珪素を含む無機膜を用いることにより、金属電極を好適に保護するとともに、金属電極に対する通電性を確保することができる。
【0007】
また、金属電極は、蒸着によって放電容器の外部表面に形成されているのが好適であり、金属電極はアルミニウムを含む金属からなるのが好適である。
【0008】
さらに、金属電極の膜厚は50nm〜600nmとするのが好適である。50nm未満では、金属電極が反射膜として機能する際の反射率が低下し、600nmを超えると、蒸着された金属電極が剥がれ易くなるからである。
【0009】
他方、無機膜が蒸着によって形成されているのが好適である。このように、無機膜を蒸着によって形成することにより、金属電極を保護する通電可能な保護膜としての無機膜を容易に形成することができる。
【0010】
また、保護膜の膜厚は20nm〜100nmとするのが好適である。20nm未満では、保護膜としての強度が弱く、100nmを超えると保護膜の抵抗が大きくなりすぎて金属電極に対して電流を供給しにくくなるからである。
【0011】
さらに、外部電極に電流を通電する金具が外部電極に接続されており、外部電極と前記金具との間に、前記外部電極と前記金具との間の電気の導通を補助する補助電極が設けられるのが好適である。このような補助電極を設けることにより、保護膜の膜厚を大きくして金属電極の保護を強化しても、金属電極に対して電流を確実に供給することができるようになる。
【0012】
また、上記の誘電体バリア放電ランプであって、管状をなす管状誘電体バリア放電ランプを複数併設して光照射装置を形成することができる。このような光照射装置とすることにより、光照射装置としても長寿命化を図ることができる。
【0013】
そして、管状誘電体バリア誘電ランプにおける外部電極が設けられている部位に、前記管状誘電体バリア放電ランプの熱を放出する放熱器が接触している態様とするのが好適である。このように、外部電極に放熱器が接触していることにより、誘電体バリア放電ランプを好適に冷却することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、同一要素には同一符号を用いるものとし、重複する説明は省略する。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る誘電体バリア放電ランプの側面図、図2は図1に示す誘電体バリア放電ランプの正面図、図3は図1のIII−III線断面図、図4は図1のIV−IV線断面図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る誘電体バリア放電ランプ(エキシマ放電ランプ)1は、細長い管状の光透過性放電容器(以下「放電容器」という)2を備えている。放電容器2は、外径10mm、内径8mm(肉厚1mm)、長さ360mmの筒状の合成石英ガラス材からなるガラスバルブである。放電容器2の内部には、内部電極3が設けられている。内部電極3は、たとえばタングステンからなる中実の金属製の線材であり、放電容器2の長手方向に貫通して設けられている。内部電極3は、非コイル部である直線部3Aを備えており、直線部3Aの一端側には、コイル部3Bが形成され、コイル部3Bの外側には直線状端部3Cが形成されている。これらの直線部3A、コイル部3B、および直線状端部3Cは、外径が0.18mmである1本の金属線を変形加工することによって形成されている。コイル部3Bは、その外径が0.8mmとなるように形成されている。コイル部3Bは、直線部をその長手方向の外側方向、換言すれば直線部3Aを引張して緊張させる方向に張力を付与する付勢力を与えている。また、直線部3Aは、放電容器2に対して同軸状に配置されており、直線状端部3Cは直線部3Aの延長線上に配置されている。
【0017】
直線部3Aにおけるコイル部3Bが形成されていない側の端部3Dおよび直線状端部3Cには、それぞれモリブデンを含むモリブデン箔などの金属箔4,4が接続されている。金属箔4は横長の矩形表面を有する板状体であり、その一端側の表面における高さ方向中央部位に、内部電極3における直線部3Aの端部3D、または直線状端部3Cがたとえば溶接によって接続されている。
【0018】
また、放電容器2における長手方向両端部は、ピンチシールされてそれぞれピンチシール部5,5とされており、放電容器2内を密閉している。ピンチシール部5,5の内部には、金属箔4が配設されており、ピンチシール部5,5の内部で金属箔4が内部電極3における端部3Dまたは直線状端部3Cに接続されている。さらに、金属箔4,4の他端側の表面における高さ方向中央部には、それぞれたとえばモリブデン線からなるリード線6,6がたとえば溶接によって接続されている。これらのリード線6,6は、それぞれ内部電極3の直線部3Aの端部3Dまたは直線状端部3Cが接続されている面と同じ面に溶接されている。
【0019】
放電容器2における外周部には、外部電極7が設けられている。外部電極7は、図2に示すように、放電容器2の周方向における上部であって、排気管8を中心とした240度の範囲を覆うようにして設けられており、周方向下部の120度が開放している。この外部電極7は、図3に示すように、アルミニウムからなり、金属電極となる金属膜7Aと、金属膜を機械的に保護する通電可能な非金属からなる保護膜7Bを備えている。
【0020】
金属膜7Aは、アルミニウムを150nmの厚さで放電容器2の上部に蒸着して直接形成されており、電極としての機能のほか、反射鏡としての機能を備えるものである。したがって、放電によって生じた光は、反射鏡に反射するので、下方の開口部のみから照射される。また、内部電極3の外径は、放電容器2の内径の約42分の1と十分に小さいので、内部電極3によって遮断される光を非常に少なくでき、もって利用効率を高めることができる。ここで、金属膜7Aの膜厚は、50nm〜600nmとするのが好適である。50nm未満では、金属膜7Aが反射膜として機能する際の反射率が低下し、600nmを超えると、蒸着された金属膜7Aが剥がれ易くなるからである。
【0021】
また、保護膜7Bは、金属膜7Aの表面に100nmの厚さで蒸着されており、金属膜7Aを覆って機械的に保護している。この保護膜7Bは、たとえば酸化珪素(SiOX)を含む無機膜によって形成されている。保護膜7Bの膜厚は、20nm〜100nmとするのが好適である。20nm未満では、保護膜7Bとしての強度が弱く、100nmを超えると保護膜7Bの抵抗が大きくなりすぎて金属膜7Aに対して電流を供給しにくくなるからである。
【0022】
誘電体バリア放電ランプ1は、図1に示す外部電極金具9,9に両端を把持されて、図示しない筐体に取り付けられる。これらの外部電極金具9,9は、それぞれ外部電極7の両端部に接触する状態で取り付けられる。この外部電極金具9,9は、図4に示すように外部電極7における保護膜7Bと接触し、金属膜7Aとは接触していないが保護膜7Bは、通電可能であるので、外部電極金具9,9を保護膜7Bと接触させて金属膜7Aとは接触させていなくても、外部電極金具9,9からの電流を金属膜7Aに供給することができる。
【0023】
また、外部電極7と内部電極3との相対的な位置関係について説明すると、外部電極7は内部電極3の周囲に設けられている。この内部電極3のうちの直線部3Aに対応する位置にのみ外部電極7は設けられ、コイル部3Bに対応する位置には外部電極7は設けられていない。
【0024】
さらに、放電容器2におけるコイル部3Bが設けられている側の端部近傍には、排気管8が設けられている。この排気管8を介して放電容器2内の空気を排出して放電容器2の中が真空状態とされ、その後放電容器2内にキセノンなどのエキシマ放電用ガスが封入される。こうして、放電容器2内にはエキシマ放電ガスが充填され、内部電極3はエキシマ放電ガスに曝される。
【0025】
そして、リード線6,6および外部電極金具9,9は、それぞれ交流電源からなる点灯電源11(図5)に接続されている。点灯電源11からは、金属箔4,4および外部電極金具9,9をそれぞれ介して、内部電極3および外部電極7に対して電流が供給される。
【0026】
以上の構成を有する誘電体バリア放電ランプ1では、金属電極金具9,9から保護膜7Bを介して金属膜7Aに交流電流が供給されるとともに、内部電極3にも交流電流が供給される。ここで、点灯電源11から供給される交流電流の流れおよび発光の原理について図5を参照して説明する。図5(a)は、外部電極金具と内部電極に交流電源から導線を接続した拡大断面図、(b)はその電気回路図である。
【0027】
いま、内部電極3からエキシマ放電ガスを経て放電容器2を通り、外部電極7および外部電極金具9に至るまでの等価回路について考える。放電容器2は合成石英ガラスからなり、誘電体でもあるため、放電容器2は微小コンデンサCa1,Ca2,…Canが集まっていると考えることができる。放電容器2内にはエキシマ放電ガスが充填されており、エキシマ放電ガスは放電容器2に接触している。このため、エキシマ放電ガスは、微小コンデンサCa1,Ca2,…Canに接続されたコンデンサCb1,Cb2,…Cbnと考えることができ、微小コンデンサCa1,Ca2,…CanとコンデンサCb1,Cb2,…Cbnの間には、ギャップGa1,Ga2,…Ganが並列に存在すると考えられる。
【0028】
ここで、保護膜7Bの抵抗をR1、金属膜7Aの抵抗をR2、エキシマ放電ガスの抵抗をR3とすると、R3>>R1>R2となる。点灯電源11から内部電極3と外部電極金具9との間に印加された交流電圧により、エキシマ放電ガスが存在する空間のコンデンサCb1,Cb2,…Cbnを充電する。その電圧が放電開始電圧を超えるとコンデンサCbはギャップGによって短絡状態になり電流が微小コンデンサCaを充電完了まで電流が各ギャップGに流れてエキシマ放電が起こり発光する。放電容器2を流れた電流は外部電極から保護膜7Bを介して外部電極金具9に流れる。このようにして点灯電源11から供給された交流電流は、内部電極3からエキシマ放電ガス、放電容器2、および外部電極7を経て外部電極金具9へと、もしくは外部電極金具9、外部電極7、放電容器2、エキシマ放電ガスを経て内部電極へと流れる。また、電流がエキシマ放電ガス中の各ギャップを通過することにより、エキシマ放電が起こり発光する。
【0029】
次に、本来絶縁物である無機物からなる保護膜7Bを介して外部電極金具9と金属膜7Aとの間を電流が流れる原理について図6を参照して説明する。図6は、放電容器から外部電極金具に至るまでの拡大断面図である。
【0030】
放電容器2の外部表面にアルミニウムを蒸着すると、図6に示すように、多数のアルミニウム粒子がたとえば数十nm程度の大きさで放電容器2の上に付着する。これらのアルミニウム粒子が金属膜7Aを構成し、放電容器2の外部表面には金属膜7Aが形成される。次に、放電容器2の外部表面に形成された金属膜7Aのさらに外部表面に酸化珪素を蒸着すると、多数の酸化珪素粒子がたとえば数十nmから数百nmの厚さで金属膜7Aの外部表面に付着する。金属膜7Aの外部表面に付着した酸化珪素粒子は保護膜7Bを形成し、金属膜7Aの劣化を機械的に保護する機能を発揮する。その一方、保護膜7Bを形成する多数の酸化珪素粒子の間は完全には密閉されておらず、微小な隙間が多数形成されている。この酸化珪素粒子の間に形成された多数の隙間を電流が流れることができるため、電気的には単位長さあたりの抵抗R1が大きくならないので、金属膜7Aと外部電極金具9の間を電流が流れることができる。このようにして、多数の酸化珪素粒子で形成された保護膜7Bは、金属膜7Aの機械的な劣化を防止しながら、電気的な導通を確保することができる。
【0031】
続いて、この管状の誘電体バリア放電ランプ1を複数併設してなる光照射装置について説明する。
【0032】
図7は、本実施形態に係る光照射装置の正面図、図8は図7のVIII−VIII線断面図である。
【0033】
図7および図8に示すように、本実施形態に係る光照射装置10は、複数、本実施形態では8本の管状の誘電体バリア放電ランプ1,1…がその長手方向が平行になるように併設されている。誘電体バリア放電ランプ1は、上述の如く説明した放電容器2、内部電極3、リード線6、外部電極7等を備えている。これらの誘電体バリア放電ランプ1,1…は、いずれも外部電極金具9,9によってその両端を把持されている。外部電極金具9,9には、誘電体バリア放電ランプ1における外部電極7における保護膜7B(図3)がそれぞれ接触している。また、光照射装置10は、筐体12を備えており、筐体12には外部電極金具9,9が取り付けられている。さらに、外部電極金具9およびリード線6には、それぞれ点灯電源11が電線13,13を介して接続されている。そして、リード線6および外部電極金具9には、点灯電源11からそれぞれ交流電流が供給される。点灯用電源は、インバータで直流電圧を印加することにより交流電圧を発生しており、誘電体バリア放電ランプ1に対しては、たとえば0.5〜2kV、周波数40〜50kHzの交流電圧を印加する。また、光照射装置10は、誘電体バリア放電ランプ1の熱を放出する放熱器14を備えている。放熱器14は、筐体12に固定されており、この放熱器14には、誘電体バリア放電ランプ1,1…におけるそれぞれの外部電極7,7…が接触するようにして配置されている。そして、誘電体バリア放電ランプ1が過度に温度上昇した場合には、放熱器14によって冷却される。ここで、併設された誘電体バリア放電ランプ1,1…の間隔は一定であり、本実施形態ではそれらの中心軸間の距離が15mmに設定されている。
【0034】
一般に200nm以下の波長の光は、真空紫外光と呼ばれ、大気中では酸素に大きく吸収されてオゾンを発生させる。これに対して、本実施形態に係る誘電体バリア放電ランプ1から発生する光は172nmを中心とする波長であるので、大気中で照射する場合には誘電体バリア放電ランプ1の表面から数mmで光強度が大きく低下する。そのため、外形φ10mmの誘電体バリア放電ランプ1,1…を複数並べてより大きな照射範囲で照射強度を得るための配置間隔は、ピッチ15mm以下とするのが好適である。
【0035】
また、放電容器2が円筒形のエキシマランプを大気中で直接配置する場合、隣接する誘電体バリア放電ランプ1,1間では光強度が低下する。具体的に、図8に示すように、外形φ10mmの誘電体バリア放電ランプ1,1を15mmの間隔をおいて配置したとする。このとき、誘電体バリア放電ランプ1,1のそれぞれの外側下端部から被処理物Dの表面における位置c1,c1までの鉛直距離cを3mmとすると、位置c1,c1の中間位置d1と誘電体バリア放電ランプ1,1のそれぞれとの距離dは約6mmとなる。中間位置d1では、誘電体バリア放電ランプ1からの距離が長いため、その光の照度は位置c1に対して約50%と低下している。ところが、誘電体バリア放電ランプ1,1を15mm間隔で設置することにより、位置d1には、2本の誘電体バリア放電ランプ1,1からほぼ同等の光が照射されるので、位置d1においても、十分な照度を得ることができる。また、誘電体バリア放電ランプ1,1間の距離を13mmとすることにより、位置d1には位置c1に対して約70〜80%の照度の光が照射されるので、さらに好適である。
【0036】
次に、本発明に係る誘電体バリア放電ランプの第2の実施形態について説明する。
【0037】
図9は、本実施形態に係る誘電体バリア放電ランプにおける放電容器から外部電極金具に至るまでの拡大断面図である。
【0038】
本実施形態に係る誘電体バリア放電ランプ20においては、上記の第1の実施形態に係る誘電体バリア放電ランプ1と比較して、外部電極における保護膜の膜厚が厚く、外部電極金具が大きい点で異なる。図9に示すように、本実施形態に係る誘電体バリア放電ランプ20における外部電極27は、金属膜27Aと保護膜27Bを備えている。本実施形態に係る金属膜27Aの膜厚は、上記の第1の実施形態に係る外部電極7における金属膜7Aの膜厚と同一である。また、本実施形態における保護膜27Bの膜厚は、第1の実施形態に係る保護膜7Bの膜厚よりも厚く設定されている。具体的に、保護膜27Bの膜厚は、80〜200nmに設定されている。
【0039】
さらに、本実施形態に係る外部電極金具29は、第1の実施形態に係る外部電極金具9よりも大きく設定されている。そして、本実施形態に係る外部電極金具29と外部電極37における保護膜27Bとの接触面積は、第1の実施形態に係る外部電極金具9と外部電極7における保護膜7Bとの接触面積よりも大きくなっている。
【0040】
このように、本実施形態に係る誘電体バリア放電ランプ20では、保護膜27Bの膜厚が厚く設定されているので、金属膜27Aの機械的な劣化をより好適に防止することができる。また、本来は絶縁物である保護膜27Bの膜厚を厚くし、たとえば80nm以上とすると、保護膜27Bの抵抗が大きくなってしまうので、保護膜27Bを電流が流れにくくなってしまう。これに対して、本実施形態に係る誘電体バリア放電ランプ20では、外部電極金具29を大型のものとし、保護膜27Bと外部電極金具29の接触面積を大きくしているので、保護膜27Bを電流が円滑に流れることができるようになる。
【0041】
続いて、本発明に係る誘電体バリア放電ランプの第3の実施形態について説明する。
【0042】
図10は、本実施形態に係る本実施形態に係る誘電体バリア放電ランプにおける放電容器から外部電極金具に至るまでの拡大断面図、図11(a)は、外部電極金具と内部電極に交流電源から導線を接続した拡大断面図、(b)はその電気回路図である、
本実施形態に係る誘電体バリア放電ランプ30では、第1の実施形態と比較して、外部電極における保護膜の膜厚が厚く、また、補助電極が設けられている点で異なる。図10に示すように、本実施形態に係る誘電体バリア放電ランプ30における外部電極37は、金属膜37Aと保護膜37Bを備えている。本実施形態に係る金属膜37Aの膜厚は、上記の第1の実施形態における金属膜7Aの膜厚と同一である。また、本実施形態に係る保護膜37Bの膜厚は、第1の実施形態に係る保護膜7Bの膜厚よりも厚く設定されている。具体的に、保護膜37Bの膜厚は、200〜500nmに設定されている。さらに、保護膜37Bと外部電極金具39の間には、外部電極37と外部電極金具39との間の電気の導通を補助する補助電極31が設けられている。この補助電極31は、たとえばアルミニウムなどの金属からなり、このアルミニウムを保護膜37Bの上に蒸着することによって形成することができる。
【0043】
このように、本実施形態に係る誘電体バリア放電ランプ30では、保護膜37Bの膜厚が、第2の実施形態に係る保護膜27Bよりも厚く設定されているので、金属膜37Aの機械的な劣化をより好適に防止することができる。また、保護膜37Bを200nm以上と厚いものとすると、保護膜37Bの抵抗が大きくなる。さらには、保護膜37Bは誘電体であるため、図11に示すように、コンデンサとしても働く。したがって、外部電極金具39と金属膜37Aとの間の静電容量を通して金属膜37Aに電流を供給することができるが、この静電容量による電力損失も大きくなってしまう。これに対して、本実施形態では、保護膜37Bの上にアルミニウムからなる金属薄膜を補助電極31として保護膜37Bの上に形成し、補助電極31と金属膜37Aの間の静電容量を放電容器2内の総静電容量よりも十分に大きくすることにより、保護膜37Bによる電力損失を十分に小さくすることができる。その結果、外部電極金具39から金属膜37Aに対して円滑に電流を供給することができる。
【0044】
ここで、金属薄膜からなる補助電極31は、外部電極金具39と保護膜37Bの間に覆い隠されてしまうものでもよいし、放熱器の構造上、外部電極金具39を大きくすることができない場合もあるので、外部電極金具39から露出するように、大きい面積のものを用いてもよい。ただし、補助電極31の面積を大きくしすぎて、補助電極31が露出した状態となると、補助電極31自体の劣化が懸念されるので、極力大きくしすぎないようにするのが望ましい。また、この場合には、補助電極31における露出した部分のみを保護膜で覆う態様とすることもできる。
【0045】
続いて、本発明に係る光照射装置の第2の実施形態について説明する。
【0046】
図12は、本実施形態に係る光照射装置の側面図である。
【0047】
図12に示すように、本実施形態に係る光照射装置40は、上記の第1の実施形態に係る光照射装置10に比較して、放熱器の形状が異なる。本実施形態に係る光照射装置40は、放熱器44を備えている。放熱器44には、複数の溝45,45…が形成されている。溝45は断面V字形状であり、放熱器44の奥行き方向に沿って形成されている。これらの溝45,45…に沿ってそれぞれ誘電体バリア放電ランプ1,1…が取り付けられている。このように、溝45,45…が形成された放熱器44における溝45,45…に誘電体バリア放電ランプ1,1…をそれぞれ接触させて取り付けることにより、誘電体バリア放電ランプ1,1…を安定した位置に取り付けることができる。なお、放熱器44に形成する溝45,45…の断面形状は、V字形状に限らず、たとえばU字形状や半円形状とすることもできる。
【0048】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記各実施形態では、内部電極として直線状の直線部とコイル部を形成したが、直線部に代えてコイル部よりも巻き数の少ない粗巻きコイル部とすることもできる。また、わずかに波を打った波状のものや若干歪んだ歪曲状のものとすることもできる。さらに、上記の実施形態では、1つの長尺材を曲げるなどの加工を施してコイル部と直線部を形成しているが、コイル部と直線部とを異なる部材で形成し、それらを繋ぎ合わせる態様とすることもできる。
【0049】
【発明の効果】
以上の説明のとおり、本発明によれば、外側電極における金属部分の劣化を防止することにより、長寿命化を図ることができる誘電体バリア放電ランプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る誘電体バリア放電ランプの側面図である。
【図2】図1に示す誘電体バリア放電ランプの正面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図1のIV−IV線断面図である。
【図5】(a)は、外部電極金具と内部電極に交流電源から導線を接続した拡大断面図、(b)はその電気回路図である。
【図6】放電容器から外部電極金具に至るまでの拡大断面図である。
【図7】第1の実施形態に係る光照射装置の正面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】第2の実施形態に係る誘電体バリア放電ランプにおける放電容器から外部電極金具に至るまでの拡大断面図である。
【図10】第3の実施形態に係る誘電体バリア放電ランプにおける放電容器から外部電極金具に至るまでの拡大断面図である。
【図11】(a)は、第3の実施形態に係る誘電体バリア放電ランプにおける外部電極金具と内部電極に交流電源から導線を接続した拡大断面図、(b)は、その電気回路図である。
【図12】第2の実施形態に係る光照射装置の側面図である。
【符号の説明】
1,20,30…誘電体バリア放電ランプ、2…放電容器、3…内部電極、4…金属箔、5…ピンチシール部、6…リード線、7,27,37…外部電極、7A,27A,37A…金属膜、7B…保護膜、8…排気管、9,29,39…外部電極金具、10,40…光照射装置、11…点灯電源、12…筐体、13…電線、14,44…放熱器、31…補助電極、45…溝。
Claims (9)
- 合成石英からなる放電容器の中に内部電極を設け、前記内部電極を前記放電容器に固定し、放電容器を介して前記内部電極の周囲に外部電極を設け、172nmを中心とする波長の真空紫外光を照射する誘電体バリア放電ランプにおいて、
前記外部電極は、前記放射容器の外部表面に形成された金属電極と、前記金属電極上に形成された保護膜と、を備え、
保護膜は酸化珪素を含む無機膜であり、多数の酸化珪素粒子が前記金属電極の外部表面に付着することにより、前記金属電極を機械的に保護するとともに、前記多数の酸化珪素粒子の間に形成された微小な隙間を電流が流れることによって通電可能とされており、
前記保護膜を介して前記金属電極に電流を供給することを特徴とする誘電体バリア放電ランプ。 - 前記金属電極は、蒸着によって前記放電容器の外部表面に形成されている請求項1に記載の誘電体バリア放電ランプ。
- 前記金属電極がアルミニウムを含む請求項1または請求項2に記載の誘電体バリア放電ランプ。
- 前記金属電極の膜厚が50nm〜600nmである請求項2または請求項3に記載の誘電体バリア放電ランプ。
- 前記無機膜が蒸着によって形成されている請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の誘電体バリア放電ランプ。
- 前記無機膜の膜厚が20nm〜100nmである請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項に記載の誘電体バリア放電ランプ。
- 前記外部電極に電流を通電する金具が前記外部電極に接続されており、
前記外部電極と前記金具との間に、前記外部電極と前記金具との間の電気の導通を補助する補助電極が設けられる請求項1〜請求項6のうちのいずれか1項に記載の誘電体バリア放電ランプ。 - 請求項1〜請求項7のうちのいずれか1項に記載の誘電体バリア放電ランプであって、管状をなす管状誘電体バリア放電ランプを複数併設してなることを特徴とする光照射装置。
- 前記管状誘電体バリア放電ランプにおける外部電極が設けられている部位に、前記管状誘電体バリア放電ランプの熱を放出する放熱器が接触している請求項8に記載の光照射装置。
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