JP4146458B2 - 画像処理装置及び画像処理プログラム - Google Patents

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Description

本発明は、スキャナ、複合機等の画像処理装置に関し、特に、多値誤差拡散処理後のデータを高解像度の2値データに変換する画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
従来から、フルカラーの画像入力信号を、階調表現数に制限のあるプリンタや複合機で出力させるために、誤差拡散処理によるデータ変換が行われている。また、多値誤差拡散処理後の多値データに対して組織的ディザ処理を施すことで、充分な階調表現能力を確保するようにした画像信号2値化処理装置や(特許文献1参照)、ディザ閾値によるドット集中型多値誤差拡散処理後の多値データに対して、ディザ閾値に応じた高解像度のドット生成をすることにより、階調表現能力を向上させる画像処理装置も提案されている(下記特許文献2参照)。
特開平7−295527号公報 特開2002−185785号公報
しかしながら、誤差拡散処理は、注目画素の変換処理時に発生した誤差を周辺画素に及ばせるにはフィードバックループが必要なので、出力を高解像度化しようとすると、高解像度化する全ての画素について誤差をフィードバックさせなければならず、処理に要する時間が長時間に及ぶという問題がある。また、特許文献1に記載の2値化処理装置は、高解像度の1ドットが安定しにくい電子写真方式に用いる画像処理としては不向きであり、パターンの周期性が目視されやすく粒状感を発生させるという問題がある。また、特許文献2に記載の画像処理装置は、高解像度ドットの配置がディザ閾値マトリクスに依存するため、文字部を高解像度化することは不可能である。
本発明は、前記の問題を解決するためになされたもので、多値画像データを高解像度の2値データに変換する際に、階調表現再現性に影響を与えることなく、文字エッジ部及び画像エッジ部の両方の高解像度化を高速に行うことを目的とするものである。
本発明の請求項1に記載の発明は、多値誤差拡散処理後のデータを高解像度の2値データに変換する画像処理装置であって、
前記多値誤差拡散処理後のデータの各画素の画素値を記憶する画素値記憶部と、
前記多値誤差拡散処理後のデータの注目画素を、予め定められた複数の画素に細分化することで高解像度に変換する解像度変換部と、
前記注目画素が細分化されてなる複数の画素の配列と同様の配列で並ぶ当該注目画素及びその周辺領域に位置する各周辺画素の画素値を前記画素値記憶部から読み出し、当該読み出した各画素の画素値をその配列通りに、当該配列と同様の配列で並ぶ前記細分化されてなる複数の画素のそれぞれに対して、黒ドットに変換する優先度を示す黒ドット変換優先度として割り当て、前記細分化されてなる複数の画素を、当該注目画素の画素値が示す個数だけ、当該黒ドット変換優先度の高いものから黒ドットに変換することで、前記解像度変換部によって高解像度変換された各画素を2値化処理する2値化処理部とを備え、
前記2値化処理部は、前記細分化されてなる複数の画素の1つに対して前記黒ドット変換優先度を割り当てるときに、当該1つの画素を含む行を形成する複数画素と同様の配列で並ぶ前記注目画素及び前記各周辺画素の画素値を前記画素値記憶部から読み出すと共に、当該1つの画素を含む列を形成する複数画素と同様の配列で並ぶ前記注目画素及び前記各周辺画素の画素値を前記画素値記憶部から読み出し、これら読み出した全ての画素値の合算値を、当該1つの画素についての前記黒ドット変換優先度として割り当てるものである。
また、請求項に記載の発明は、多値誤差拡散処理後のデータを高解像度の2値データに変換する画像処理装置として、情報処理装置を機能させる画像処理プログラムであって、
前記多値誤差拡散処理後のデータの各画素の画素値を記憶する画素値記憶部と、
前記多値誤差拡散処理後のデータの注目画素を、予め定められた複数の画素に細分化することで高解像度に変換する解像度変換部と、
前記注目画素が細分化されてなる複数の画素の配列と同様の配列で並ぶ当該注目画素及びその周辺領域に位置する各周辺画素の画素値を前記画素値記憶部から読み出し、当該読み出した各画素の画素値をその配列通りに、当該配列と同様の配列で並ぶ前記細分化されてなる複数の画素のそれぞれに対して、黒ドットに変換する優先度を示す黒ドット変換優先度として割り当て、前記細分化されてなる複数の画素を、当該注目画素の画素値が示す個数だけ、当該黒ドット変換優先度の高いものから黒ドットに変換することで、前記解像度変換部によって高解像度変換された各画素を2値化処理する2値化処理部として、前記情報処理装置を機能させ、さらに、
前記2値化処理部は、前記細分化されてなる複数の画素の1つに対して前記黒ドット変換優先度を割り当てるときに、当該1つの画素を含む行を形成する複数画素と同様の配列で並ぶ前記注目画素及び前記各周辺画素の画素値を前記画素値記憶部から読み出すと共に、当該1つの画素を含む列を形成する複数画素と同様の配列で並ぶ前記注目画素及び前記各周辺画素の画素値を前記画素値記憶部から読み出し、これら読み出した全ての画素値の合算値を、当該1つの画素についての前記黒ドット変換優先度として割り当てるように、前記情報処理装置を機能させるものである。
これらの発明では、2値化処理部が、前記注目画素が細分化されてなる複数の画素の配列と同様の配列で並ぶ当該注目画素及びその周辺領域に位置する各周辺画素の画素値を前記画素値記憶部から読み出し、この読み出した各画素値を、対応する上記注目画素が細分化されてなる各画素についての黒ドット変換優先度として用い、黒ドット変換優先度の高い画素から、上記注目画素の画素値が示す個数だけ黒ドットに変換する。従って、この発明は、多値誤差拡散処理後のデータを高解像度化する際の処理として、高解像度化する全ての画素の誤差を周辺画素に及ばせるフィードバックを行わず、既に多値誤差拡散処理時に取得されている画素値を用いて、各画素の2値化処理を行うので、処理に要する時間が従来の高解像度変換処理よりも短縮される。
上記発明では、高解像度化されたドットは、常に、隣接ドットが低解像度で集中するように配置され、また、低解像度画素を閾値処理することで黒面積率を保存しているため、多値画像データを高解像度の2値データに変換する際に、階調表現再現性に影響を与えることなく、文字エッジ部及び画像エッジ部の両方の高解像度化を高速に行うことができる。
また、2値化処理部は、前記細分化されてなる複数の画素の1つに対して前記黒ドット変換優先度を割り当てるときに、当該1つの画素を含む行を形成する複数画素と同様の配列で並ぶ前記注目画素及び前記各周辺画素の画素値を前記画素値記憶部から読み出すと共に、当該1つの画素を含む列を形成する複数画素と同様の配列で並ぶ前記注目画素及び前記各周辺画素の画素値を前記画素値記憶部から読み出し、これら読み出した全ての画素値の合算値を、当該1つの画素についての黒ドット変換優先度として用いるので、多値誤差拡散処理がされた状態であって高解像度変換前のデータに現れているエッジの傾きが、高解像度変換後の各画素の2値化処理に反映される。
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の画像処理装置であって、前記2値化処理部は、前記細分化されてなる複数の画素についての黒ドット変換処理時に、前記黒ドット変換優先度の同じ画素が複数存在する場合には、当該細分化されてなる複数の画素のそれぞれの位置毎に予め定められている優先順位に従って、黒ドットに変換する画素を決定するものである。
この構成では、黒ドット変換優先度の同じ画素が複数存在する場合であっても、黒ドットに変換する画素を容易に決定することができる。
請求項1及び請求項に記載の発明によれば、多値誤差拡散処理後のデータを高解像度化する際の処理として、高解像度化する全ての画素の誤差を周辺画素に及ばせるフィードバックを行わず、既に多値誤差拡散処理時に取得されている画素値を用いて各画素の2値化処理を行うので、処理に要する時間が従来の高解像度変換処理よりも短縮される。請求項1及び請求項に記載の発明では、高解像度化されたドットは、常に、隣接ドットが低解像度で集中するように配置され、また、低解像度画素を閾値処理することで黒面積率を保存しているため、多値画像データを高解像度の2値データに変換する際に、階調表現再現性に影響を与えることなく、文字エッジ部及び画像エッジ部の両方の高解像度化を高速に行うことができる。
また、多値誤差拡散処理がされた状態であって高解像度変換前のデータに現れているエッジの傾きが、高解像度変換後の各画素の2値化処理に反映されるので、高解像度変換前の多値誤差拡散処理後データに現れているエッジ度を保ったまま、高解像度化を図ることができる。
請求項に記載の発明によれば、黒ドット変換優先度の同じ画素が複数存在する場合であっても、黒ドットに変換する画素を容易に決定することができる。
以下、本発明の一例として、プリンタ機能を備えた複合機について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置の一例である複合機1の内部構成を概略的に示す断面図である。複合機1は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能等の機能を兼ね備えたものである。この複合機1は、本体部2と、本体部2の左方に配設されたスタックトレイ3と、本体部2の上部に配設された原稿読取部5と、原稿読取部5の上方に配設された原稿給送部6とを有している。
また、複合機1のフロント部には、操作部47が設けられている。この操作部47には、ユーザが印刷実行指示を入力するためのスタートキー471と、印刷部数等を入力するためのテンキー472と、各種複写動作の操作ガイド情報等を表示し、これら各種設定入力用にタッチパネル機能を有する液晶ディスプレイ等からなる表示部473と、表示部473で設定された設定内容等をリセットするリセットキー474と、実行中の印刷(画像形成)動作を停止させるためのストップキー475と、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能を切り換えるための機能切換キー477が備えられている。
原稿読取部5は、CCD(Charge Coupled Device)センサ及び露光ランプ等からなるスキャナ部51と、ガラス等の透明部材により構成された原稿台52及び原稿読取スリット53とを備える。スキャナ部51は、図略の駆動部によって移動可能に構成され、原稿台52に載置された原稿を読み取るときは、原稿台52に対向する位置で原稿面に沿って移動され、原稿画像を走査しつつ取得した画像データを制御部10(図2)へ出力する。また、原稿給送部6により給送された原稿を読み取るときは、原稿読取スリット53と対向する位置に移動され、原稿読取スリット53を介して原稿給送部6による原稿の搬送動作と同期して原稿の画像を取得し、その画像データを制御部10へ出力する。
原稿給送部6は、原稿を載置するための原稿載置部61と、画像読み取り済みの原稿を排出するための原稿排出部62と、原稿載置部61に載置された原稿を1枚ずつ繰り出して原稿読取スリット53に対向する位置へ搬送し、原稿排出部62へ排出するための給紙ローラ(図略)、搬送ローラ(図略)等からなる原稿搬送機構63を備える。原稿搬送機構63は、さらに原稿を表裏反転させて原稿読取スリット53と対向する位置へ再搬送する用紙反転機構(図略)を備え、原稿の両面の画像を原稿読取スリット53を介してスキャナ部51から読取可能にしている。
また、原稿給送部6は、その前面側が上方に移動可能となるように本体部2に対して回動自在に設けられている。原稿給送部6の前面側を上方に移動させて原稿台52上面を開放することにより、原稿台52の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等を操作者が載置できるようになっている。
本体部2は、複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から記録紙を1枚ずつ繰り出して記録部40へ搬送する給紙ローラ462と、給紙カセット461から搬送されてきた記録紙に画像を形成する記録部40とを備える。
記録部40は、感光体ドラム43の表面から残留電荷を除電する除電装置421と、除電後の感光体ドラム43の表面を帯電させる帯電装置422と、スキャナ部51で取得された画像データに基づいてレーザ光を出力して感光体ドラム43表面を露光し、当該感光体ドラム43の表面に静電潜像を形成する露光装置423と、上記静電潜像に基づいて感光体ドラム43上に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色のトナー像を形成する現像装置44K,44Y,44M,44Cと、感光体ドラム43に形成された各色のトナー画像が転写されて重ね合わせされる転写ドラム49と、転写ドラム49上のトナー像を用紙に転写させる転写装置41と、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像を用紙に定着させる定着装置45とを備えている。なお、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色に対するトナーの供給は、図略のトナー供給容器(トナーカートリッジ)から行われる。また、記録部40を通過した記録紙をスタックトレイ3又は排出トレイ48まで搬送する搬送ローラ463,464等が設けられている。
記録紙の両面に画像を形成する場合は、記録部40で記録紙の一方の面に画像を形成した後、この記録紙を排出トレイ48側の搬送ローラ463にニップされた状態とする。この状態で搬送ローラ463を反転させて記録紙をスイッチバックさせ、記録紙を用紙搬送路Lに送って記録部40の上流域に再度搬送し、記録部40により他方の面に画像を形成した後、記録紙をスタックトレイ3又は排出トレイ48に排出する。
図2は、図1に示す複合機1の概略構成を示す機能ブロック図である。複合機1は、装置全体の動作制御を司る制御部10を備えており、この制御部10は、スキャナ部51等からなる原稿読取部5、原稿搬送機構63等からなる原稿給送部6、現像装置44等からなる記録部40、スタートキー471、テンキー472等の操作キーや表示部473等からなる操作部47、画像メモリ7、HDD8、ネットワークI/F部9及び画像処理部11が接続されている。
画像メモリ7は、原稿読取部5によって読み取られた原稿(例えば網点原稿)の画像データ、あるいは、後述するネットワークI/F部9を介して図略の外部装置から送信されてきた画像データを一時的に記憶するメモリである。
HDD(Hard Disk Drive)8は、原稿読取部5によって読み取られた原稿画像の画像データ及び外部装置から送信されてきた画像データ並びに当該画像データに設定されている出力形式等が記憶される記憶装置である。
ネットワークI/F部9は、ネットワークインタフェース(例えば10/100Base-TX)等を用い、LANなどのネットワークを介して接続された外部装置との間における種々のデータの送受信を行うものである。
画像処理部11は、原稿読取部5による原稿の読み取りによって得られた原稿画像(画像データ)に対する各種画像処理を行うものである。画像処理部11では、例えば原稿読取部5によって読み取られた原稿画像に対する画像データのA/D変換が行われ、当該A/D変換された画像データを用いて各種画像処理が行われる。画像処理部11は、シェーディング補正部111、入力γ補正部112、フィルタ処理部113、拡大・縮小処理部114、多値誤差拡散処理部115及び高解像度2値化処理部116を備えている。
シェーディング補正部111は、原稿読取部5によって読み取られた原稿画像のデータや、ネットワークI/F部9に入力された画像データに対して、より立体感を出すために陰影をつける処理を行うものである。入力γ補正部112は、画像データの入力濃度に対する出力濃度の関係を示す濃度変換曲線、すなわちガンマ曲線を用いて入出力の関係を変化させて画像の濃淡を修正する方法によって、モニタ等に表示される画像の明るさ、及び色の彩度等を調整する処理を行う。フィルタ処理部113は、画像データを構成する個々の画素に対し、周辺の画素との間で演算を行うことで画像に特殊効果を与える画像処理を行う。例えば、ぼかし、エッジの強調、雑音処理、モザイク処理、あるいはポスタリゼーションの画像処理のことである。拡大・縮小処理部114は、画像データの拡大及び縮小を行う処理を行う。
多値誤差拡散処理部115は、フルカラー画像等の元の濃淡画像と出力画像との濃度の誤差が最小となるように、多値化した画素の誤差を隣接する周囲の画素に拡散しながら更に多値化処理を進めていく、いわゆる多値誤差拡散処理を行う。多値誤差拡散処理部115は、予め定められた複数の数値からなる閾値を用いて注目画素の多値化処理を行い、その多値化処理時に発生した誤差を、多値化処理前の周辺画素に拡散し、当該誤差が拡散された各画素を注目画素として次々に多値化処理を順次行っていく。なお、多値化処理とは、元の濃淡画像に3段階以上の濃度を与え、多階調の情報に変換する処理である。この多値誤差拡散処理部115の構成及び処理についての詳細は後述する。
高解像度2値化処理部116は、多値誤差拡散処理部115による多値誤差拡散処理後のデータを高解像度変換し、この高解像度変換後の画素に対して更に2値化処理を行う。本発明は、この高解像度2値化処理部116による高解像度変換処理及び2値化処理の手法に特徴を有する。なお、高解像度2値化処理部116によって高解像度変換処理及び2値化処理が施された後のデータは、必要に応じて地肌判定処理等の画像処理が施されてから、記録部40に画像データが出力される。高解像度2値化処理部116の構成及び処理についての詳細は後述する。
制御部10は、複合機1の制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、一時的にデータを保管するRAM(Random Access Memory)、及び制御プログラム等を上記ROMから読み出して実行するマイクロ情報処理装置等からなり、操作部47において入力された指示情報や、本装置の各所に設けられた各種センサからの検出信号に応じて装置全体の制御を行う処理を実行する。
次に、画像処理部11の多値誤差拡散処理部115及び高解像度2値化処理部116の具体的構成について説明する。図3は、画像処理部11の多値誤差拡散処理部115及び高解像度2値化処理部116の具体的構成例を示すブロック図である。
多値誤差拡散処理部115について説明する。多値誤差拡散処理部115は、画像入力部1151,加算器1152、量子化部1153、閾値記憶部1154、減算器1156、発生誤差記憶部1157及び累積誤差算出部1158を備える。
画像入力部1151は、画像メモリから注目画素Xが保有している値を取り込み、当該注目画素Xの画素値(濃度値)を加算器1152に出力する。加算器1152は、入力された注目画素Xの画素値に、累積誤差算出部1158で算出された累積誤差を加算する補正を行う。
量子化部1153は、加算器1152から入力される上記補正後の画素値を多値化する量子化を行うものであり、入力される256階調のデータを、更に限定された3階調以上の情報に変換するものである。量子化部1153は、加算器1152から入力されてくる上記補正後の画素値を、閾値記憶部1154に記憶されている予め定められた複数の閾値と比較して、予め定められた数の多値に変換する。例えば、量子化部1153は、9個の閾値を用いて、加算器1152から入力される補正後の画素値を、0〜9の10段階のいずれかに属する値に変換して10値化する。量子化部1153によって多値化されたデータは、高解像度2値化処理部116に出力される。
減算器1156は、加算器1152から入力される補正後の画素値(多値化前の元の画素値)と、多値化後の画素値との誤差を算出する。発生誤差記憶部1157は、減算器1156によって算出された上記誤差値を記憶する。累積誤差算出部1158は、次に新たな注目画素として量子化部1153による2値化処理の対象となる画素に対して、既に2値化済みの各周辺画素が発生させた誤差の累積を加算するために、当該2値化済みの各周辺画素が発生させた誤差を累積しておく。
高解像度2値化処理部116について説明する。高解像度2値化処理部116は、画素値記憶部1161、解像度変換部1162及び2値化処理部1163を備える。
画素値記憶部1161は、多値誤差拡散処理部115の量子化部1153から送られてくる多値誤差拡散処理後のデータが示す各画素の画素値を記憶する。解像度変換部1162は、量子化部1153から送られてくる多値誤差拡散処理後のデータの各画素を、順次注目画素として高解像度変換する。解像度変換部1162は、例えば、多値誤差拡散処理部115から送られてくる多値誤差拡散処理後のデータが、主走査600dpi×副走査600dpiの解像度であった場合、主走査1800dpi×副走査1800dpiの解像度に変換する。
2値化処理部1163は、解像度変換部1162によって高解像度変換された各画素を2値化処理するものである。量子化部1153から送られてきた注目画素Xが解像度変換部1162により高解像度変換された場合、2値化処理部1163は、画素値記憶部1161に記憶されている量子化済みの各画素値から、上記注目画素Xの画素値と、当該注目画素Xの周辺存在する各周辺画素の画素値とを読み出す。
そして、2値化処理部1163は、注目画素X及び周辺画素と、解像度変換部1162により高解像度変換されて細分化された各画素との予め定められた対応関係に基づいて、当該注目画素X及び周辺画素の画素値を、高解像度変換後の各画素に、黒ドット変換優先度として割り当てる。
続いて2値化処理部1163は、画素値記憶部1161に記憶されている前記注目画素Xの画素値を参照し、当該注目画素Xの画素値が示す個数分だけ、高解像度変換後の画素を黒ドット変換優先度の高い画素から順に黒ドットに変換する。この2値化処理部1163による2値化処理後のデータは、記録部40等に出力される。
このように構成された多値誤差拡散処理部115及び2値化処理部116の動作について説明する。最初に、画像メモリ7のラインメモリ等から画像入力部1151を介して入力された注目画素の画素値(濃度値)が、加算器1152に入力される。続いて、加算器1152に、他の画素の誤差拡散処理の際に当該画素に累積された累積誤差が累積誤差算出部1158から入力される。加算器1152は、注目画素Xの画素値と、累積誤差算出部1158から得られる累積誤差とを加算し、その結果を量子化部1153に出力する。
量子化部1153は、加算器1152から入力されてくる画素値を、閾値記憶部1154に記憶されている閾値と比較して多値化を行なう。例えば、256階調から任意の9つの階調値を閾値として設定し、この9つの閾値を用いて、入力されてきた画素値を0から9(例えば9が最も黒ドットに近いものとする)までの10の画素値に分ける。かかる判定結果は、高解像度2値化処理部116に向けて出力される。
上記判定結果は、減算器1156にも入力される。一方、加算器1152から出力される上記加算後の画素値(量子化前の画素値)も減算器1156に入力される。減算器1156は、これらの値を減算処理して多値化処理時の誤差を算出する。発生誤差記憶部1157は、減算器1156によって算出された注目画素の多値化誤差を記憶する。累積誤差算出部1158は、発生誤差記憶部1157に記憶されている誤差値に基づいて、未だ多値化処理を行っていない次の新たな注目画素に加算すべき累積誤差を算出して記憶しておく。
多値誤差拡散処理部115の量子化部1153から出力された量子化後の画素値は、解像度変換部1162に入力され、ここで予め定められている高い解像度、例えば、主走査1800dpi×副走査1800dpiの解像度に変換される。解像度変換部1162による高解像度変換後の画素値は、2値化処理部1163に入力される。また、多値誤差拡散処理部115の量子化部1153から出力された量子化後の画素値は、高解像度2値化処理部116の画素値記憶部1161に記憶される。
ここで、2値化処理部1163による2値化処理の第1実施形態について説明する。図4(a)は量子化部1153によって量子化されたデータを各画素値と共に模式的に示した図、(b)は当該量子化後のデータの任意の画素を高解像度変換した状態を模式的に示した図である。図5は、600dpiの解像度の1画素が1800dpiに高画像度変換された縦3×横3の画素群を模式的に示す図、図6は高解像度変換前の600dpiの解像度の注目画素及び周辺画素を画素値と共に模式的に示す図である。図7は、黒ドット変換優先度が割り当てられた状態にある高解像度変換後の画素群を模式的に示す図、図8は黒ドット変換の優先順位の例を示す図、図9は、高解像度変換後の各画素の黒ドット変換順位を模式的に示す図である。図10は、高解像度変換後の各画素が2値化された状態を模式的に示す図である。
図4(a)に色付表示で示す画素群からなるデータ(解像度600dpi)が、解像度変換部1162によって図4(b)に示すように高解像度(解像度1800dpi)に変換される場合、高解像度変換前の1画素が縦3×横3の9個の画素に細分化される。そして、2値化処理部1163は、当該高解像度変換の対象とされた図4(a)の色付表示画素を注目画素とした場合に、この注目画素を中心として含む周辺3×3の周辺画素(図4(a)に示す太枠で囲まれた画素群)の各画素値を画素値記憶部1161から読み出す。2値化処理部1163は、取得した当該3×3の画素群の各画素値を、予め定められた対応関係に基づいて、高解像度変換後の各画素に、黒ドット変換優先度として割り当てる。例えば、高解像度変換前の注目画素及び周辺画素の画素が図6に示すようにa0〜c2のように配置されており、高解像度変換後の細分化された画素群が図5に示すようにa0〜c2のように配置されているとすると、高解像度変換前の各画素の画素値を、同じ番号が付されている高解像度変換後の細分化された画素に対して黒ドット変換優先度として割り当てる(図7)。
続いて、2値化処理部1163は、上記注目画素の画素値を再び参照し、この画素値が示す数値の個数分(例えば、この画素値が「4」であった場合は4個)の高解像度変換後の各画素を、上記黒ドット変換優先度の高いものから順に黒ドットに変換していく。ここで、黒ドット変換優先度の値が同じものが複数存在している場合は、図8に示す優先順位に従って(図8では、数字の小さいものが黒ドット変換の優先順位が高い)、高解像度変換後の各画素の黒ドット変換順位を決定する(図9)。このようにして、高解像度変換後の画素を黒ドットに変換して2値化する(図10)。
この2値化処理では、高解像度変換される全ての画素についての誤差のフィードバックを行うことはせずに、多値誤差拡散処理時に既に取得されている画素値を用いて、高解像度変換された各画素の2値化処理を行うので、処理に要する時間が従来の高解像度変換処理よりも短縮される。
次に、2値化処理部1163による2値化処理の第2実施形態について説明する。図11は行合計値及び列合計値の計算式の例を示す図、図12は図11に示した計算式による計算結果の例を示す図、図13は高解像度変換後の各画素が属する行の合計値と列の合計値とを合算する計算式の例を示す図、図14は黒ドット変換優先度が割り当てられた状態にある高解像度変換後の画素群を模式的に示す図、図15は高解像度変換後の各画素の黒ドット変換順位を模式的に示す図である。
第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、当該高解像度変換の対象とされた図4(a)の色付表示画素を注目画素とした場合に、この注目画素を中心として含む周辺3×3の周辺画素(図4(a)に示す太枠で囲まれた画素群)の各画素値を画素値記憶部1161から読み出す。但し、第2実施形態の場合、当該取得した画素値を、高解像度変換され細分化された各画素の黒ドット変換優先度としてそのまま用いるのではなく、当該読み出した画素値に基づいて、予め定められた計算式によって算出した数値を、高解像度変換後の各画素の黒ドット変換優先度として用いる。
具体的には、a0〜c2まで高解像度変換後の画素がある場合(図5参照)、図6に示す高解像度変換前の上記注目画素及び周辺画素の画素値を、一旦、a0〜c2の同番号からなる高解像度変換後の各画素に割り当てた後、図11に示す式に基づいて、行合計値及び列合計値を算出する。高解像度変換前の注目画素及び周辺画素の画素値が、図6に示すものであった場合、各計算値は図12に示す値となる。
そして、図13に示す式に基づいて、高解像度変換後の各画素が属する行の合計値と列の合計値とを合算した値を算出し、この算出した数値を、図14に示すように、高解像度変換後の各画素に割り当てて、黒ドット変換優先度として用いる。この場合、高解像度変換後の各画素の黒ドット変換順位は図15に示すようなものとなる(優先順位決定方法は第1実施形態と同様)。第2実施形態では、第1実施形態と同様の数値からなる高解像度変換前の各画素の画素値を用いているが、高解像度変換後の各画素の黒ドット変換順位は、図15からも分かるように、第1実施形態の黒ドット変換順位(図9)とは異なる結果となっている。これは、第2実施形態に係る2値化処理を行えば、高解像度変換前の多値誤差拡散処理後データに現れているエッジの傾きが、第1実施形態による2値化処理よりも、高解像度変換後の各画素の2値化処理に反映される場合があることを示唆している。このように、第2実施形態に係る2値化処理を行えば、高解像度変換前の多値誤差拡散処理後データに現れるエッジ度を保って、高解像度化を図ることができる。
[他の好ましい実施形態]
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、多値誤差拡散処理部115の量子化部1153による量子化に用いられる閾値として、多値化する数に応じた数からなる複数の数値の組合せでなる閾値が閾値記憶部1154に予め記憶され、当該閾値を量子化に用いると説明しているが、この複数の数値の組合せからなる閾値が閾値記憶部1154に複数記憶されており、これら複数の閾値を使い分けることにより複数種類の多値化処理が可能となるようにしてもよい。
また、上記閾値記憶部1154に記憶されている複数の閾値を、入力データが文字画像であるか、スクリーン画像であるかに応じて切り換え、2値化処理の結果が、更に文字エッジ及び階調再現性の両方に好影響を及ぼすようにしてもよい。
また、発生誤差記憶部1157及び累積誤差算出部1158による周辺画素への誤差伝播率を、画像入力部1151からの入力データ値に応じて切り換えることで(例えば、入力データが文字画像であるか、スクリーン画像であるかに応じて誤差伝播率を切り換える)、入力データ値に応じた多値誤差拡散処理を行うようにしてもよい。
なお、上記実施形態に示した、画像処理部11のシェーディング補正部111、入力γ補正部112、フィルタ処理部113、拡大・縮小処理部114、多値誤差拡散処理部115及び高解像度2値化処理部116、また、高解像度2値化処理部116の画素値記憶部1161、解像度変換部1162及び2値化処理部1163は、これら各部が個別に回路等で構成されていてもよいし、又は制御回路がHDD8等に記憶されている画像処理プログラムに従って、上記各部として機能するものとしてもよい。
また、上記実施形態では、本発明に係る画像処理装置の一例として、複合機を示したが、本発明に係る画像処理装置は複合機に限定されるものではなく、画像形成装置や、スキャナ、情報処理装置等、他の装置であってもよい。
また、図1乃至図15に、本発明に係る画像処理装置の構成及び処理を示しているが、これらの構成及び処理はあくまでも一例であり、本発明に係る画像処理装置の構成及び処理は上記に限定されるものではない。
本発明の画像処理装置の一実施形態にかかる複合機の機械的構成を主に示す側面概略図である。 図1に示す複合機の電気的構成を示すブロック図である。 図2に示した多値誤差拡散処理部及び高解像度2値化処理部の具体的構成の一実施形態を示すブロック図である。 (a)は量子化部によって量子化されたデータを各画素値と共に模式的に示した図、(b)は当該量子化後のデータの任意の画素を高解像度変換した状態を模式的に示した図である。 600dpiの解像度の1画素が1800dpiに高画像度変換された縦3×横3の画素群を模式的に示す図である。 高解像度変換前の600dpiの解像度の注目画素及び周辺画素を画素値と共に模式的に示す図である。 黒ドット変換優先度が割り当てられた状態にある高解像度変換後の画素群を模式的に示す図である。 黒ドット変換の優先順位の例を示す図である。 高解像度変換後の各画素の黒ドット変換順位を模式的に示す図である。 高解像度変換後の各画素が2値化された状態を模式的に示す図である。 行合計値及び列合計値の計算式の例を示す図である。 図11に示した計算式による計算結果の例を示す図である。 高解像度変換後の各画素が属する行の合計値と列の合計値とを合算する計算式の例を示す図である。 黒ドット変換優先度が割り当てられた状態にある高解像度変換後の画素群を模式的に示す図である。 高解像度変換後の各画素の黒ドット変換順位を模式的に示す図である。
符号の説明
1 複合機
11 画像処理部
115 多値誤差拡散処理部
116 高解像度2値化処理部
1151 画像入力部
1152 加算器
1153 量子化部
1154 閾値記憶部
1156 減算器
1157 発生誤差記憶部
1158 累積誤差算出部
1161 画素値記憶部
1162 解像度変換部
1163 2値化処理部

Claims (3)

  1. 多値誤差拡散処理後のデータを高解像度の2値データに変換する画像処理装置であって、
    前記多値誤差拡散処理後のデータの各画素の画素値を記憶する画素値記憶部と、
    前記多値誤差拡散処理後のデータの注目画素を、予め定められた複数の画素に細分化することで高解像度に変換する解像度変換部と、
    前記注目画素が細分化されてなる複数の画素の配列と同様の配列で並ぶ当該注目画素及びその周辺領域に位置する各周辺画素の画素値を前記画素値記憶部から読み出し、当該読み出した各画素の画素値をその配列通りに、当該配列と同様の配列で並ぶ前記細分化されてなる複数の画素のそれぞれに対して、黒ドットに変換する優先度を示す黒ドット変換優先度として割り当て、前記細分化されてなる複数の画素を、当該注目画素の画素値が示す個数だけ、当該黒ドット変換優先度の高いものから黒ドットに変換することで、前記解像度変換部によって高解像度変換された各画素を2値化処理する2値化処理部とを備え、
    前記2値化処理部は、前記細分化されてなる複数の画素の1つに対して前記黒ドット変換優先度を割り当てるときに、当該1つの画素を含む行を形成する複数画素と同様の配列で並ぶ前記注目画素及び前記各周辺画素の画素値を前記画素値記憶部から読み出すと共に、当該1つの画素を含む列を形成する複数画素と同様の配列で並ぶ前記注目画素及び前記各周辺画素の画素値を前記画素値記憶部から読み出し、これら読み出した全ての画素値の合算値を、当該1つの画素についての前記黒ドット変換優先度として割り当てる画像処理装置。
  2. 前記2値化処理部は、前記細分化されてなる複数の画素についての黒ドット変換処理時に、前記黒ドット変換優先度の同じ画素が複数存在する場合には、当該細分化されてなる複数の画素のそれぞれの位置毎に予め定められている優先順位に従って、黒ドットに変換する画素を決定する請求項に記載の画像処理装置。
  3. 多値誤差拡散処理後のデータを高解像度の2値データに変換する画像処理装置として、情報処理装置を機能させる画像処理プログラムであって、
    前記多値誤差拡散処理後のデータの各画素の画素値を記憶する画素値記憶部と、
    前記多値誤差拡散処理後のデータの注目画素を、予め定められた複数の画素に細分化することで高解像度に変換する解像度変換部と、
    前記注目画素が細分化されてなる複数の画素の配列と同様の配列で並ぶ当該注目画素及びその周辺領域に位置する各周辺画素の画素値を前記画素値記憶部から読み出し、当該読み出した各画素の画素値をその配列通りに、当該配列と同様の配列で並ぶ前記細分化されてなる複数の画素のそれぞれに対して、黒ドットに変換する優先度を示す黒ドット変換優先度として割り当て、前記細分化されてなる複数の画素を、当該注目画素の画素値が示す個数だけ、当該黒ドット変換優先度の高いものから黒ドットに変換することで、前記解像度変換部によって高解像度変換された各画素を2値化処理する2値化処理部として、前記情報処理装置を機能させ、さらに、
    前記2値化処理部は、前記細分化されてなる複数の画素の1つに対して前記黒ドット変換優先度を割り当てるときに、当該1つの画素を含む行を形成する複数画素と同様の配列で並ぶ前記注目画素及び前記各周辺画素の画素値を前記画素値記憶部から読み出すと共に、当該1つの画素を含む列を形成する複数画素と同様の配列で並ぶ前記注目画素及び前記各周辺画素の画素値を前記画素値記憶部から読み出し、これら読み出した全ての画素値の合算値を、当該1つの画素についての前記黒ドット変換優先度として割り当てるように、前記情報処理装置を機能させる画像処理プログラム。
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