JP4146108B2 - 細砕セルロース繊維材の処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本出願は、特願平8−502215号(以下原出願という)の分割出願であり、本出願の発明は細砕セルロース繊維材の処理装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
連続蒸解カンで、細砕セルロース繊維材、例えば、木材チップをパルプ化する際には、この繊維材に対して圧力および温度を上げながら(例えば、150℃、165psi)巻き込まれた空気を脱し、蒸解液で浸透する処理を行う。このチップに対しスチーム処理し、同時に温度を上げながら、空気を追い出し、エアロックを介して圧力を上げ、加熱された蒸解液で浸透作用を行い、しかる後にスラリーとしてこれを蒸解カンへ供給するのが普通である。
【0003】
過去において、上記の空気追い出し、加熱、加圧、および供給の諸機能を行わせるために、容量、高さとも大きく、高価な装置が提供されている。この装置を収め、あるいは支持するためには、特殊な建物や鉄架構を建造しなければならないのが普通である。このような建物あるいは鉄架構は、構造用鋼およびコンクリートを材料にして建造され、用役設備、階段並びに吹き抜け設備および他の附属設備を必要とし、連続蒸解カン装置のコストに多大な影響を与えている。また、チップをこの装置の入口に供給するのに使われるコンベヤーのコストも装置の全高に左右されることが大である。具体的には、一日約1,500トンの容量を有する蒸解カンではこの装置は、普通は高さが約115フィート程度となる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
原出願の発明によれば、蒸解カンへ細砕セルロース繊維材のスラリーを供給する装置が提供され、これは従来のものに比較して数々の利点を有する。原出願の発明によれば、この供給装置は、従来の装置に較べて容量および高さが小さく、廉価である。例えば、原出願の発明の装置は、高さは約60フィートしかないが、従来技術の同じサイズの蒸解カンならば高さが115フィートもある。また、原出願の発明の装置は、より高い供給能力を有する。すなわち、特定の機器サイズに対しては、単位時間当たりより多くのスラリーを蒸解カンの頂部へ送ることが可能である。原出願の発明の装置のサイズは、非常に小さいので、従来の建物や鉄架構を全くなくしてしまったり、少なくともダウンサイジングすることができるので、従来のものに較べて顕著に経済的であるから、従来の装置によりはるかに金のかからない完全な装置とすることができるようになる。
【0005】
従来の供給装置では、高圧輸送装置、例えば米国特許第4,372,711号に記載のような高圧輸送装置は、高い位置にあるコンクリート製の架台に据え付けられている。このような据え付け方が必要なのは、この高圧輸送装置経由でチップシュートからチップを抜き出すのに使われる抜き出し装置を効果的に運転するのに、ある最小の静水頭を要するからである。チップビンは、普通大きな円筒形の槽であり、チップフィーダーと低圧フィーダーとによって、水平なスチーム処理槽へ結合されている。一方、スチーム処理槽には、垂直で、一般に円筒形の高圧チップシュートが結合され、このシュートには、高圧輸送装置の頂部が結合されている。循環ループには、高圧輸送装置の下に据え付けられている低圧ポンプが含まれるが、チップシュートのレベルを制御する加圧のレベルタンクも含まれる。
【0006】
原出願の発明に従えば、高圧輸送装置自体を除いて、供給装置の殆ど全ての構成部品が改変され、その結果該機器の高さおよび容積が小さくなり、ある一つのケースでは高圧輸送装置の有効能力が大きくなるものである。
【0007】
原出願の発明の態様の一つで、高圧輸送装置の高さを最小限に抑え、同時に高圧輸送装置の有効能力を上げるのに最大の効果のある態様に従えば、高圧輸送装置に関連した低圧循環ループへの改変が行われる。高圧輸送装置の頂部にチップシュートを、高圧輸送装置の下部にチップシュートポンプを配置する、いわゆる「吸い込み経由」装置に代わって、原出願の発明のこの態様に従えば、ポンプ経由装置が提供される。原出願の発明のこの態様では、チップスラリーを蒸解カンへ供給する装置は、以下の部品を備える。すなわち、低圧入口、低圧出口、高圧入口、および高圧出口を備える高圧輸送装置であって、蒸解カンへ細砕セルロース材を供給するために、該高圧出口が、蒸解カンへ運転上は接続され(例えば、直接、または浸透槽を経由するなどして)ている高圧輸送装置。細砕セルロース繊維材のスラリーを保持し,頂部、底部、および底部近くの出口を備える槽。該槽の出口と輸送装置の低圧入口との間に接続されたスラリーポンプ。および、高圧輸送装置の低圧出口から該槽へ液体を戻す循環ループ。上記の槽、スラリーポンプ、および高圧輸送装置は、実質的に地面の上に据え付けられるのが普通である。すなわち、これらを重ねて据え付ける必要はなく、コンクリート製の架台も、高圧フィーダーを据え付けるのには不必要である。
【0008】
原出願の発明による装置の循環ループは、槽中のレベル制御用の実質的に常圧のレベルタンクに接続されてるインライン液抜き出し装置を備えているのが普通である。高圧輸送装置で液体がフラッシュすることから生じるウォーターハンマー(水撃)を避けるためには、循環ループ中に循環液の温度を下げるための手段、例えば、液冷却器(間接熱交換器)または液体がフラッシュしても構わない槽が設けられる。該熱交換器の反対側には温度センサを設けることもできるし、熱交換器を通過する冷却剤の流量をこの温度センサに応答して制御する制御器も設けることができる。この循環ループ中の液体の温度は、白液を加える前に冷却することによって制御することもできる。米国特許第5,302,247号明細書において用いられている方法と同じような方法を、この白液を冷却するのに用いることができる。この白液冷却は、上流の温度センサで検出される温度を基準にして制御することができる。
【0009】
原出願の発明の装置には、同じスラリーポンプから分岐供給される第二の(もしくはもっと多くの数の)高圧輸送装置を備えることができる。スラリーポンプと高圧輸送装置低圧入口との間の圧力、および循環ライン中の圧力を検知する圧力センサを有する循環ラインに流量制御バルブを設けるのもよい。この流量制御バルブは、該圧力センサに応答して制御される。
【0010】
上に記載のようなポンプ経由のチップ供給方法を用いると、チップ供給装置の高さは約20〜30フィート下げることができ、これに相応して関連機器も単純化される。またこの装置を用いると、高圧輸送装置を速く回転することができ、また一基より多くの基数のフィーダーを併行に運転することができるので、新しい装置の場合は、設計が単純になり、既存の装置の場合は、容量が上がることになる。従来の抜き出し設計では、チップシュートポンプの吸い込み口があるので、フィーダーの底部の圧力が低下する。スラリーが220°Fを超える温度(高圧輸送装置でのスラリー温度は典型的には約240〜260°F)の時には、圧力が低下すると、高温の液体はフラッシュし、従って水撃が起こる恐れがある。フラッシュを起こさせる可能性は、高圧輸送装置の速度が大きくなればなるほど増加するが、それは圧力損失が増加するからである。現在のところ、水撃を起こさせる可能性がネックとなって、従来的高圧輸送装置の運転可能速度に限界が生じている。(高圧輸送装置によっては、回転数が普通11rpmに制限されている。)原出願の発明のポンプ経由装置によれば、液出口に吸い込み口が存在しないので、水撃を起こさせる可能性は、完全に無くならないにせよ、最小限に抑えられる。従って、この高圧輸送装置は、高速で運転でき、従って容量が増大し、その結果新しい装置では小さなユニットのものを用いてよく、一方既存の高圧輸送装置の場合は高速で運転することができ、従って容量が増大させることができる。
【0011】
また、ポンプ経由設計は、流量を大きく取れるからフィーダーの容量を増大させる可能性も有する。上で論議したように、チップシュート循環中の流れ、すなわち、チップシュートから、フィーダー経由、チップシュート経由などの流れは、フィーダーの圧力損失およびフラッシュの危険性によって制限を受けている。フィーダーでフラッシュする危険性は、このポンプ経由装置では最小限に抑えられているので、より多い液流量をフラッシュすることなしに達成することが可能である。これらの、より多い液流量をフィーダーに流すと、フィーダーの間隙をチップで充填するのに助けになるので、フィーダーの容量が増大する。
【0012】
また、このポンプ経由装置は、チップシュートスラリー中に空気または巻き込みガスを含んでいる系の効率を向上させる。チップ/液スラリーに空気、または他のガスが存在していると、高温液のフラッシュ温度が低下する。圧力15psig下にある液体が2500Fでフラッシュするとすれば、圧力15psig下で巻き込み空気を含む液体はこれより少し低い温度、例えば、230°Fでフラッシュするものである。
【0013】
ポンプ経由装置および押し出し装置(すなわち、加圧チップシュートと常圧レベルタンクとを有する装置)では、フラッシュを起こさせる低圧領域が、高圧輸送装置の中やその回りに発生しないので、空気が存在している時に有利である。ポンプ経由設計では、低圧領域は常圧チップシュートポンプの羽根車の所にある。押し出し装置においては、低圧領域は、常圧レベルタンクにあるが、この場合はむしろフラッシュは、予備スチーム処理用のスチームを発生するのに有利であるとも言える。
【0014】
原出願の発明の別の態様によれば、供給装置の高さは・・従来の円筒形チップビンに代えて・・一次元縮小部とサイドレリーフ付の遷移部を二箇所有するホッパーを用いることによって更に顕著に小さくされる。このようなホッパーの一般設計は、米国特許第4,958,741号明細書(この特許の開示内容を参考文献として本明細書に引用する)に示されているし、チップビンとして使用するのに好適な詳細構造は、米国特許第5,500,083号明細書に示されており、この特許の開示内容を参考文献として本明細書に引用する。従来の円筒形チップビンに代えて一次元縮小部を有するホッパーを用いることによって、約15フィート程度の高さ低下を得ることが可能である。
【0015】
原出願の発明の別の態様によれば、チップシュートポンプが設けられ、このチップシュートが低圧フィーダーの代りに駆動力を賦与するので、従来の供給装置の中間の圧力上昇装置(低圧フィーダー)を無くすることが可能である。これは、圧力遮断なしにチップビンへ直結されているチップシュート(槽)を実質的に常圧(すなわち、1バールまたはこれより少し高い圧力)で運転することによって行い得る。すなわち、この場合は低圧フィーダーが無くて済むので、供給装置の高さが約5フィートほど低下する。
【0016】
供給装置の高さは、従来のチップシュートを、一次元縮小部とサイドレリーフ、例えば、米国特許第4,958,741号明細書に示されるものを有する槽で置き換えることによって更に低下させることができる。こうすると、概略5〜10フィートは更に高さが低下する。
【0017】
上に記載の改変点をすべて用いると、従来装置の40〜50%しかない高さを有する供給装置を提供することが可能となり、今まで必要であった大がかりな鉄架構(附属の階段並びに吹き抜け設備や用役設備なども含めて)や高圧輸送装置を支持するコンクリート製架台などの必要は無くなるのである。例えば、一日1、500トンの容量の連続蒸解カンに対して普通用いられる高さ115フィートの供給装置の代わりに、高さ約60フィートの供給装置を提供することができることにもなる。
【0018】
また、他の改変点も提供することができる。例えば、原出願の発明の別の態様によれば、蒸解カンへスラリーを輸送する装置に含まれるものに、高圧輸送装置に関連して以下の部品がある。すなわち、細砕セルロース繊維材のスラリーを保持し,頂部、底部、および底部近くの出口を備える高圧の槽。該槽の上に据え付けられているチップビンであって、高圧の該槽へ細砕セルロース繊維材を供給するための低圧フィーダー経由で該槽へ結合されているチップビン。高圧輸送装置の低圧出口から槽へ液体を戻すための循環ループ。および、槽のスラリーレベルを制御するための、循環ループに配設された実質的に常圧のレベルタンク、並びに液体を加圧し、これをレベルタンクから槽へポンプ輸送するための、槽とレベルタンクとの間に設けられたポンプ。上記の供給装置は、実質的に地面の上に据え付けられるのが好ましい。チップビンは上記のようなものであることが好ましい。また、スチームを通す導管を設けるのが好ましく、これは常圧レベルタンクでフラッシュする液体から発生するスチームをチップビンへ供給するために設けられる。
【0019】
加圧されていない、常圧のレベルタンクを用いる利点の一つは、大きなタンクを用いることが、実際的だからである。現在用いられている加圧のレベルタンクは、サイズに制限がある。それは、ASME(すなわち、米国機械技術者協会)圧力容器設計規格に合致した大きな槽を設計し製作するコストが高いからである。圧力のかからない槽ならば、大きくとも安価に建造することができる。また、大きくて、圧力のかからないレベルタンクは、装置運転における短期と長期の両方の変化、すなわち「スイング」があっても、その制御と調和が良好に行われる。短期のスイングとは、例えば、蒸解カンの生産速度の変化であり、チップ供給の際の変化である。長期スイングとは、例えば、チップ湿分あるいはチップ容積の変化である。大きなレベルタンクから蒸解カンへの補給液流量は、蒸解カンの圧力を環視することによって制御することができる。
【0020】
原出願の発明の別の態様によれば、高圧輸送装置に加えて、蒸解カンへスラリーを供給する装置が提供されるが、それは以下のものを備える。すなわち、細砕セルロース繊維材のスラリーを保持し,頂部、底部、および底部近くの出口を備える実質的に常圧の槽。該槽の上に据え付けられている実質的に常圧のチップビンであって、該槽へ圧力隔離無しに直結されているチップビン。高圧輸送装置の低圧出口から槽へ液体を戻すための循環ループ。および、槽のスラリーレベルを制御するための、循環ループに配設された実質的に常圧のレベルタンク。
【0021】
また原出願の発明は、細砕セルロース繊維材の処理装置をも包含する。この処理装置は以下のものを備える。すなわち、頂部近くに細砕セルロース繊維材入口を有する蒸解カン。および蒸解カンへ繊維材スラリーを供給する部品要素の組み合わせ(この組み合わせは、以下のものを包含する。すなわち、低圧入口、低圧出口、高圧入口、高圧出口を有する高圧輸送装置であって、該高圧出口が細砕セルロース繊維材スラリーを蒸解カンへ供給するために蒸解カンへ運転上は結合されている高圧輸送装置;細砕セルロース繊維材のスラリーを保持し、頂部、底部、および前記底部近くの出口を備える槽;該槽の上に据え付けられているチップビンであって、該槽へセルロース繊維材を供給するために該槽へ結合されているチップビン;輸送装置の低圧出口から槽へ液体を戻すための循環ループ;および、槽のスラリーレベルを制御するための、循環ループに配設されたレベルタンク)。および、蒸解カンの高さの約35%未満の最大高さを有する構成部品の組み合わせ。
【0022】
上に記載の装置を用いると、蒸解カンへチップスラリーを(浸透槽を経由するかもしくは蒸解カンの頂部へ直接に)供給するに当たり、高圧輸送装置を従来のものより顕著に高い運転速度で、例えば、約15rpm以上の運転速度で運転し、同時に容量を増大させることが可能となる方法が提供される。
【0023】
一方、本件分割出願の発明は、
(1)頂部に細砕セルロース繊維材のスラリーの入口を有する蒸解カン(11)、
細砕セルロース繊維材のスラリーを含有し、出口を有する、大気圧のスラリー保持槽(53)、
低圧入口(18)、低圧出口(19)、高圧入口(20)および高圧出口(21)を有し、該高圧出口(21)がセルロース繊維材のスラリーを前記蒸解カン(11)に供給するために上記蒸解カン(11)に連結している高圧輸送装置(17)、
上記スラリー保持槽(53)の出口および上記高圧輸送装置(17)の低圧入口(18)に連結し、高圧出口(21)を経て細砕セルロース繊維材のスラリーを上記蒸解カン(11)に供給するためのスラリーポンプ(57)、
上記蒸解カン(11)から過剰の液体を上記高圧輸送装置(17)の高圧入口(20)、低圧出口(19)、循環ループ(59)を経て上記スラリー保持槽(53)に戻すための導管、
上記液体のフラッシュに基づく水撃を最小限化するか、あるいは無くしてしまうために、高圧輸送装置(17)の低圧出口(19)からスラリー保持槽(53)に循環されている液体の温度を下げるための温度低下手段(60)、
を備えることを特徴とする細砕セルロース繊維材の処理装置、
【0024】
(a)上記(1)において、スラリー保持槽(53)が、頂部と底部とを有するものであり、その出口が底部近傍にあることを特徴とするものであり、
(b)上記(a)において、蒸解カンが連続蒸解カンからなることを特徴とするものである。
【0025】
また、本件分割出願のもう一つの発明は、
(2)頂部に細砕セルロース繊維材のスラリーの入口を有する連続蒸解カン(11)、
細砕セルロース繊維材のスラリーを含有し、頂部、底部を有し、底部近傍近くの出口を有する、大気圧のスラリー保持槽(53)、
低圧入口(18)、低圧出口(19)、高圧入口(20)および高圧出口(21)を有し、該高圧出口(21)がセルロース繊維材のスラリーを上記蒸解カン(11)に供給するために上記蒸解カン(11)に連結している高圧輸送装置(17)、
上記スラリー保持槽(53)の出口と上記高圧輸送装置(17)の低圧入口(18)とを連結し、高圧出口(21)を経て細砕セルロース繊維材のスラリーを上記蒸解カン(11)に供給するためのスラリーポンプ(57)、
過剰な液体を上記蒸解カン(11)から高圧輸送装置(17)の高圧入口(20)、低圧出口(19)、循環ループ(59)を経て上記スラリー保持槽(53)に戻すための導管、
を備えることを特徴とする細砕セルロース繊維材の処理装置
を要旨とするものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1の従来的装置には、細砕セルロース繊維材(例えば、木材チップ)スラリー供給装置10とこれに関連する従来的連続蒸解カン11、例えばニューヨーク州グレンス フォールス(Glens Falls)のカミヤ社(Kamyr.Inc.)販売のものが示される。供給装置10は、カナダ特許第1,154,622号明細書に記載のような一般に円筒形のチップビン12を備えるが、これはその頂部にエアロック13を備え、その下にチップメーター14と低圧フィーダー14’とが取り付けられ、これらを経由してチップビン12と水平なスチーム処理槽15とが連結されている。水平なスチーム処理槽15の底部に連結されているのは、チップシュート16で、これは今度は高圧輸送装置17の上に取り付けられるとともにそれに連結されている。高圧輸送装置17は、低圧入口18、低圧出口19、高圧入口20、および高圧出口21を備える。高圧出口21は、図1に示されるように蒸解カン11の頂部に直接か、若しくは浸透槽などを介して、連続蒸解カン11に運転上連結されている。高圧ポンプ22は、蒸解カン11への出口21へ連結されているライン21’にスラリーをポンプ輸送する駆動力を与える。チップシュートポンプ23は、高圧輸送装置17の下に据え付けられ、低圧出口19を経由して循環ループ24へ低圧ライン中の液体を引っ張る吸い込み源となる。循環ループ24は、普通サンド分離器25、レベルタンク27へ接続されたインライン抜き出し装置26、およびチップシュート16への戻しライン28を備える。レベルタンク27は、・・加圧状態にあるが・・チップシュート16のレベルを制御する。過剰の液体は、ライン29に除かれ、系の所望の場所(例えば、蒸解カン11の頂部であるが、ここには図1に31で示されるように白液が添加される)へポンプ30で移送される。白液は、所望ならば循環ループ24の32の所へも添加することができる。
【0027】
図2は、実際の蒸解カンアセンブリにおいて供給装置10が、どんな構成部品から成っているかを、参照番号33で総称される建物または鉄架構と関連させて示すもので、この建物または鉄架構は、鋼梁構造34、フィーダー17を据え付けるためのコンクリート製架台35、架台35内で装置17の下に配設されるチップシュートポンプ23、階段並びに吹き抜け設備36、用役設備などを備えている。エアロック13へのチップ輸送コンベヤーは、図2には示されないが、重量の多い構造物であり、そのコストは装置10の高さに直接関係しているのが普通である。
【0028】
供給装置10の高さは、図3に参照数字38で概略示されているが、普通は1、500トン/日の連続蒸解カンに対して約115フィートである。架台35は、建物33内で基礎39の上に載っている。
【0029】
図4は、原出願の発明の供給装置40の第一態様を示す。供給装置40の、従来技術の装置10と同じ構成部品は、同じ参照数字で示される。装置40は、新しい型のチップビンを用いるというだけが装置10と異なる。従来の一般的に円筒形のチップビン12とスチーム処理槽15とを使用する代わりに、チップビン41は、一次元縮小部とサイドレリーフ付の遷移部を二箇所有するホッパーからなる。このチップビンは、米国特許第5,500,083号明細書に記載のようなものであることが好ましい。この開示内容を本明細書に参考文献として引用するが、該チップビンは、カリフォルニア州サンルイスオビスポ(San Luis Obisopo)のJ.R.ヨハンソン社(J.R.Johanson,Inc.)から市販されているような「ダブルダイアモンドバック(DOUBLE DIAMOND BACK)ホッパー設計のもので、米国特許第4,958,741号明細書に一般的に記載されているものである。このホッパー41には、前記米国特許出願第08/189,546号明細書に記載されているようにスチーム処理部分が内包されている。図4に示される構成を用いると、供給装置40の高さは、図3の従来装置の高さより約15フィート低くなる。例えば、従来装置10が約115フィートの高さ38ならば、高さ42は約100フィートである。
【0030】
図5は、図4の供給装置の変形を示し、この場合高圧輸送装置17は、実質的に地面39の上に据え付けられる。ホッパー41の「ダブルダイアモンドバック」設計は、図5では、関連するスクリューフィーダー43と同じく、より明快に見える。また、この態様では、従来型のコンベヤー装置44が示されるが、それは、エアロック13の頂部へチップを輸送するためである。
【0031】
図5の態様では、実質的に常圧のレベルタンク46を用いることによって高圧輸送装置17を地面の上に据え付けることができる(こうするとコンクリート架台35の高さだけ輸送装置45の位置が下がる)。従来装置のポンプ23は用いないけれども、ポンプ47を、高圧輸送装置17から常圧レベルタンク46への反対側に設け、シュート16内の所望スラリー濃度を維持するためにタンク46からシュート16へ液体を循環する。チップシュート16の圧力によって、スラリーは高圧輸送装置17へ押し出され、その結果図5の装置は吸い込み装置ではなくて実質的に「押し出し」装置となる。高温液が常圧レベルタンク46へ入ってフラッシュするスチームは、スチーム導管48を通り、ライン49経由の添加スチームの補助として使われ、ホッパー/ビン41へ流れ、その中のチップをスチーム処理する。図5の制御バルブ48’は、チップビン41に供給されるスチーム容積を制御するものであることに留意する。
【0032】
図6の供給装置50は、図4の供給装置40に似たものであるが、違いはチップシュート16が常圧のチップシュートであって、(図4の供給装置40のような)加圧でないことである。チップビン41は、圧力遮断なしに常圧のチップシュート16へ(フィーダー43を経て)直接に連結されている。すなわち、低圧フィーダー14’は除外されている。従って供給装置50の高さ51は、図4の供給装置の高さ42よりも約5フィート低い、例えば、95フィートである。
【0033】
図7と図8とは、供給装置の高さ削減に最も影響を有し、また高圧輸送装置17の能力を効果的に増加する原出願の発明の装置の構成部品を示す。図7の態様では、スラリーを保持する槽は、シュート16でなく、頂部54(図8を参照のこと)と底部55、そして底部55に近接するスラリー出口とを有する、一般に円筒形の直立槽53である。チップシュートポンプ23は無くなっており、その代わりに、スラリーポンプ57を用いるポンプ経由装置が設けられている。スラリーはこのポンプによって高圧輸送装置17の低圧入口18へ槽53から送られる。
【0034】
図8の好ましい態様に見られるように、循環ループ59中の液体の少しは、インライン抜きだし装置26を経由して抜き出され、レベルタンク、例えば、図5の態様のタンク46のような常圧レベルタンクへと流れる。液体の残りはループ59に流れ、最終的には槽53へ戻る(勿論、サンド分離器や他の従来機器も循環ループ59に備えることができる)。液体のフラッシュに基づく水撃を最小限化するか、あるいは無くしてしまうためには、循環されている液体を、積極的に冷やすか、あるいは温度低下手段60などを用いるなどして、その温度を下げてやることである。この手段60としては、単に、液体のある程度を膨張もしくはフラッシュさせ、フラッシュしたスチームを除去することができる装置か、あるいは・・図8に示されるように・・この手段60としては、冷媒の流れ61を含む間接熱交換器でもよい。ライン61中の冷媒の流れは、従来の制御器63を用いてバルブ62を制御することによって制御される。バルブ62を流れる冷媒の流れを制御するためのデータは、ポンプ57と高圧輸送装置17との間にある第一温度センサ64と、間接熱交換器60と槽53との間にある第二温度センサ65とを用いて提供される。センサ64、センサ65によって検出される温度に依存して、制御器63は、バルブ62を制御し、熱交換器60へ、より多くの冷媒液を流すか、もしくはより少ない液体を流すかが行われる。図8に見られるように、冷却時60の下流側に白液を添加することができるのは、ライン66で示される通りである。
【0035】
また、この戻し循環ライン59の液体の温度は、白液を66の箇所に添加する前に、白液を冷却することによって制御することもできる。米国特許第5,302,247号明細書に記載の方法と類似の方法も白液を冷却するのに用いることができる。この白液冷却は、上流の温度センサ64で検出された温度に基づいて制御することもできる。
【0036】
また循環ループ59には、普通は流量器67、流量制御バルブ68、第一圧力センサ69、および第二圧力センサ70が備えられる。圧力センサ69、70は、高圧輸送装置17の出入側にあり、これらで検出される圧力低下が高いと、インライン抜きだし装置26か高圧輸送装置17のいずれかが閉塞していることを示唆する。センサ64とセンサ70との間の圧力差は、流量器67からのデータを含む制御器63を経由してバルブ68を制御することによって制御することができる。
【0037】
別法の制御法としては、計器67を流れる流量をバルブ68を介して制御し、ついでセンサ69と70の間の圧力低下を利用して高圧輸送装置17の速度を制御することができる。圧力降下が大きくなるに従って可変速度モーター駆動のフィーダーの速度を下げることができる。
【0038】
図8に示されるような装置を用いて、同じ槽53と同じポンプ57に多数の異なる高圧輸送装置を接続して操作することができる。例えば、図8には第二の高圧輸送装置17’が示されるが、これにはまたスラリーがスラリーポンプ57によって供給される。これらの高圧輸送装置は一基以上の蒸解カンへ供給することができる。図8に示されるようなポンプ経由装置を用いると、一基のフィーダー、または複数の高圧輸送装置17、17’の回転を速くして、より高い能力を持たせることが可能である。ちなみに高圧輸送装置17と高圧輸送装置17’は並行である。従って新しい装置の設計を単純化し、既存の装置の能力を増強することができる。例えば、一基の典型的な高圧輸送装置17の速度は、約11rpmから約15rpmまで、さらにはそれ以上にも上げることができる。高圧輸送装置の有効能力を増加することができる能力は、それ自体価値があることであり、高圧輸送装置の有効能力を増加する必要性に関しては長年必死の努力が払われてきた(例えば、米国特許第5,236,285号明細書および第5,236,286号明細書を参照のこと)。これらの高圧輸送装置にはそれぞれ個別にチップシュート循環部品(すなわち、レベルタンク、インライン抜きだし装置などなど)を設けることもできるし、あるいは該部品を共通に設けることもできる。
【0039】
図7および図8の装置72は、高さ73を有するが、この高さは、ポンプ経由装置を用いない場合に較べて約20〜30(普通は約25〜30)フィート低い。例えば、高さ73・・これは図5の装置45の高さに較べても低いが・・は、約68フィートとなろう。
【0040】
図9は、さらに高さを低くできる特徴を有する装置75を示す。装置75は装置72と同じようのものであるが、違いは、従来の実質的に円筒形の槽である槽53の代わりに、これは、一次元縮小部とサイドレリーフ付の槽で、図9〜図14には参照番号76と総称して示してある槽であることである。この槽は、米国特許第4,958,741号明細書に記載されているようなもので、カリフォルニア州サンルイスオビスポのJ.R.ヨハンソン社から「ダブルダイアモンドバックホッパー」なる商標で市販されている。装置75の高さ77は、約60フィートであるから、高さ38の約40〜50%となる。
【0041】
図10〜図14は、槽76を更に詳細に示すもので、図10と図11には一次元縮小部がより明白になっている。図12〜図14に示されているのは、それぞれ切断線12ー12〜切断線14ー14で示された高さにおける該槽の切断面の構造である。すなわち、槽76の頂部78・・これはチップビン41へ接続されているのであるが・・は図12に示されるように基本的には円形の断面79を有する。テーパ付/縮小領域80は、図13に見られるように、一般に「レース場型楕円」構造を有している。底部の部分81は、エルボ83を介してスラリーポンプ57に連なるものであるが、これも図14に示されているように一般に円形の断面を有し、その直径は断面79の直径の約10〜40%に過ぎない。留意すべきは、部分81は、その高さ方向に対して全部が円形なのでなく、円形なのは、エルボ83に連なる小部分の底部だけであるということである。つまり、部分81は、レース場型形状80と円型形状82との間の遷移部をなしているわけである。
【0042】
従って、原出願の発明が提供する各構成部品要素の組み合わせで得られる高さは、従来の供給装置よりも全体としては最高でも非常に低い高さを有する。例えば、原出願の発明の装置の最高の高さは、蒸解カン11の高さの約35%よりも低く、一方既存の技術において従来の供給装置は、関連する蒸解カンの約60〜70%の高さを有する。
従って明らかに分かることは、原出願の発明に従えばパルプ工場のコストを大幅に最小限化し、加えてその能力を増大する極めて有利な装置が提供される。
【0043】
上述した本件分割出願の発明に係る、細砕セルロース繊維材の処理装置(1)および(2)は、その構成が図1〜図9に示されている。
先ず、処理装置(1)および(2)における蒸解カンは、図1中の参照数字11によって示されており、細砕セルロース繊維材のスラリーを含有する実質的に大気圧のスラリー保持槽は、図7、図8および図9において参照数字53、76によって示されている。また高圧輸送装置は、図1、図4〜図9において参照数字17、17’によって示されており、スラリーポンプは図7、図8および図9において参照数字57によって示されており、過剰な液体を蒸解カンから戻すための導管は、図1、図2、図5および図8において、蒸解カン11の頂部からポンプ22を経由して高圧輸送装置17の高圧入口20に戻るラインによって示されている。
【0044】
また、処理装置(1)における、循環される液体の温度を下げるための温度低下手段は、図8における温度低下手段60によって示されている。
また、処理装置(1)における好ましい態様(a)〜(b)も図1〜図9に示されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 連続蒸解カン用の従来技術によるチップ供給装置の概略図である。
【図2】 図1のチップ供給装置を据え付けるための典型的な建物/鉄架構のアイソメ図である。
【図3】 図1および図2の供給装置の概略側面図である。
【図4】 原出願の発明の例示的装置の第一態様の、図3のものと同じような図である。
【図5】 原出願の発明の供給装置の第二態様の概略の端面図である。
【図6】 原出願の発明の第三の例示的装置に対する図4のものと同じような図である。
【図7】 原出願の発明の装置の第四の例示的変形に対する図6のものと同じような図である。
【図8】 チップビンを有しない図7の装置の概略図であるが、循環ループとこれに関連する他の構成部品を示している。
【図9】 図7のものと同じような図であるが、原出願の発明の装置の第五態様についてのものである。
【図10】 図9の態様のスラリー保持槽の端面図である。
【図11】 図10の槽の端面図である。
【図12】 図11の槽の断面図であり、線12−12に沿って切断したものを示す。
【図13】 図11の槽の断面図であり、線13−13に沿って切断したものを示す。
【図14】 図11の槽の断面図であり、線14−14に沿って切断したものを示す。
【符号の説明】
10,40,45,50,72,75…スラリー供給装置、11…連続蒸解カン、12,41…チップビン、17…高圧輸送装置、18…低圧入口、19…低圧出口、20…高圧入口、21…高圧出口、24,59…循環ループ、27,46…レベルタンク、53,76…槽、54…頂部、55…底部、57…スラリーポンプ、60…熱交換器
Claims (4)
- 頂部に細砕セルロース繊維材のスラリーの入口を有する蒸解カン(11)、
細砕セルロース繊維材のスラリーを含有し、出口を有する、大気圧のスラリー保持槽(53)、
低圧入口(18)、低圧出口(19)、高圧入口(20)および高圧出口(21)を有し、該高圧出口(21)がセルロース繊維材のスラリーを前記蒸解カン(11)に供給するために上記蒸解カン(11)に連結している高圧輸送装置(17)、
上記スラリー保持槽(53)の出口および上記高圧輸送装置(17)の低圧入口(18)に連結し、高圧出口(21)を経て細砕セルロース繊維材のスラリーを上記蒸解カン(11)に供給するためのスラリーポンプ(57)、
上記蒸解カン(11)から過剰の液体を上記高圧輸送装置(17)の高圧入口(20)、低圧出口(19)、循環ループ(59)を経て上記スラリー保持槽(53)に戻すための導管、
上記液体のフラッシュに基づく水撃を最小限化するか、あるいは無くしてしまうために、高圧輸送装置(17)の低圧出口(19)からスラリー保持槽(53)に循環されている液体の温度を下げるための温度低下手段(60)、
を備えることを特徴とする細砕セルロース繊維材の処理装置。 - スラリー保持槽(53)が、頂部と底部とを有するものであり、その出口が底部近傍にあることを特徴とする請求項1に記載の装置。
- 蒸解カン(11)が連続蒸解カンからなることを特徴とする請求項2に記載の装置。
- 頂部に細砕セルロース繊維材のスラリーの入口を有する連続蒸解カン(11)、
細砕セルロース繊維材のスラリーを含有し、頂部、底部を有し、底部近傍近くの出口を有する、大気圧のスラリー保持槽(53)、
低圧入口(18)、低圧出口(19)、高圧入口(20)および高圧出口(21)を有し、該高圧出口(21)がセルロース繊維材のスラリーを上記蒸解カン(11)に供給するために上記蒸解カン(11)に連結している高圧輸送装置(17)、
上記スラリー保持槽(53)の出口と上記高圧輸送装置(17)の低圧入口(18)とを連結し、高圧出口(21)を経て細砕セルロース繊維材のスラリーを上記蒸解カン(11)に供給するためのスラリーポンプ(57)、
過剰な液体を上記蒸解カン(11)から高圧輸送装置(17)の高圧入口(20)、低圧出口(19)、循環ループ(59)を経て上記スラリー保持槽(53)に戻すための導管、
を備えることを特徴とする細砕セルロース繊維材の処理装置。
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