JP4146093B2 - 歯髄破壊の歯の歯髄腔をシールする装置 - Google Patents

歯髄破壊の歯の歯髄腔をシールする装置 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は活力が奪われた(歯髄が破壊された)歯の歯髄腔と歯根管を密封(シール)する装置に関し、該装置は真空ポンプと、この真空ポンプと前記歯髄腔との間の第1の接続導管と、この歯髄腔をシールする流体物質の供給源と、該流体物質供給源と前記歯髄腔との間の第2の接続導管と、前記流体シール物質供給源を選択的に前記歯髄腔に連通するため前記第2の接続導管を閉じる手段とを具備している。
【0002】
歯の歯根組織によって形成された容積部分は空気が各歯根の尖端を介して逃げることができないため行止まりとなっている。空気はしたがって歯科医によって普通のシールをする間に形成された出入口を介するようにして逃げる。からの容積部分は充たされず、感染の危険と歯の構造の衰弱とを生じるようになる。
【0003】
真空のもとの充填はそのため歯が活力を奪われた後の歯の歯根管をシールするのに非常に良く適合している。真空下に送られた流体は各歯根の壁の表面に半径方向小管の入口を含んでいる歯根管の幾何学形状の最も遠い凹所に到着する。この効果は歯の構造を強化し、歯に増大した強度を与えることである。
【0004】
最初に高い真空を歯髄腔に加え次にこの歯髄腔を流体シール物質の供給源に接続し、シール流体はこの歯髄腔に向って流れそして歯髄腔を真空によって生じた吸引により小管の高さにまで充填することが、すでに提案されている。この最初の試みはこの分野では1958年にG.KorkbausとR.Alfterにより行われた。しかし、これらの使用は歯科技術には適当でなく実験段階を超えるものではなかった。
【0005】
ヨーロッパ特許第0,299,919号は次亜塩素酸溶液が泡を形成するようにされるキャビテーションの現象(空洞現象)を用いて歯の活力を奪う(歯髄破壊)方法を提案している。洗浄と消毒が行われると、歯髄室がキャビテーションをつくり出すのに用いられる真空源に接続され、全ての液体を低圧で蒸発させることにより取除くようにする。歯髄室が乾燥されると、真空がその内部に形成され歯髄室は流体シール物質の供給源に接続される。
【0006】
この方法に関連する問題の1つは乾燥段階から充填段階に移行するのに必要とされる多数の操作にある。さらに、真空下の充填段階の間、シール物質を供給するよう意図された注入器のピストンの作動を調整することが必要であり、このシール物質は、非常に繊細な段階を操作者の判断に委ねる真空ポンプに連通するようにされる。この2つの作用が同時に起こらなかったならば、すなわちピストンの作用が充填されるべき空洞に低圧でシール物質が連通するようにされるのに対して遅れたならば、シール物質の流れは遅くなり空洞特に小管への充填が低下する危険がある。
【0007】
この欠点を解消する提案が米国特許第5,295,828号になされており、シール物質は充填されるべき歯髄腔に連通するようにするための出口開口を有する貯蔵器に配設され、前記出口開口は機械的な遮断要素によって閉鎖されこの遮断要素はこれを出口開口から離れるよう動かすレバーにより手動で制御される。操作者は歯髄腔が真空のもとに置かれた時この遮断要素を開放する。この方法では、自由ピストンが貯蔵器に取付けられ流体シール物質に加えられた圧力を均一にする。しかし大気圧以外の圧力がこのピストンに加えられることはなく、そのため空洞は低圧力によって生じた吸引によって充填されるにすぎないものとなる。この真空ポンプと歯髄腔との間の連通はシール物質によって迅速に止められ歯髄腔の低圧は供給導管における水頭損失を補償するには必らずしも十分ではないものとなる。
【0008】
本発明の目的は、流体シール物質の貯蔵器の下流側の低圧と、上流側の過圧とを同時に発生させ、この2つの効果の同時に生じるのを保証し、シール物質による横方向の導管と小管との空洞への充填を促進することができるようにすることである。
【0009】
この目的のため、本発明の主題は請求項1による歯髄破壊がなされた歯の歯髄腔と歯根管とをシールする装置である。
【0010】
上流側に生じた過圧力は、シール物質の貯蔵器と歯髄破壊された歯髄腔とを接続する導管の水頭損失を補償する主なる目的を有している。較正された膜の存在は、この2つの力、すなわち下流側の吸引と上流側のスプリングの解放とがシール物質上に同時に生じるのを保証することができるようにする。
【0011】
他の利点は以下の記載と本発明の主題を形成するシール装置の一実施態様を例示として概略図で示す添付図面とから明らかとなるであろう。
【0012】
図1と2によって示されるシール装置は第1の角度のついた末端片1を具備し、末端片1の一部は堅い円錐形導管1aによって形成され、円錐形導管1aは歯科医によって形成された開口を介して活力を奪われた(歯髄を破壊された)歯Dの歯髄腔の中に導入される。この導管1aはセメントCにより、有利には漏れ防止を保証するようになっている光重合可能な合成セメントにより、この開口に漏れのないようにシールされる。この末端片1はPVCの第2の導管1bを具備している。歯Dがキャビテーション(空洞現象)によって歯髄破壊された場合は、末端片1はキャビテーション化と乾燥及びシールとに用いることができる。
【0013】
PVCの第2の導管1bは、第2の角度のつけられた末端片2又は図3によって示されその役割りが後述される第3の角度のつけられた末端片3の取外し可能な漏れ防止の取付けができるようになっている。
【0014】
第2の角度つき末端片は一方において2つの同心の導管2a,2bを、他方において2つの並んで配置された導管2c,2dを具備している。導管2aは導管2cと連通し、導管2bは導管2dと連通する。導管2cは可撓性の管状接合片4を介して注入器5、有利にはインシュリン注入型の注入器の比較的剛性の分配端部5aに接続される。例えばアルミニウムの膜6が注入器5の分配端部と管状接合片4との間に挟持される。締めつけリング7が膜6を十分に固く固定することができるようにする。
【0015】
注入器の内部は歯Dの歯髄腔をシールする流体物質によって充たされるようになっている空間9を区画するピストン8を具備している。この自由ピストン8はコイルスプリング11により注入器5の作動ピストン10に連結される。当接片10aが好ましくは注入器5の作動ピストン10に沿って配設され作動ピストン10の移動を制限するようにしている。
【0016】
末端片2の導管2dは接続導管12を介して真空ポンプPに接続される。真空ポンプPに連通する末端片2の導管2bは、シール段階の間に流体シール物質の逆流に大きな抵抗を与えるようになっている。内径が1ミリメートルの10分の2から3の寸法の毛細管の導管によって形成され、それによりこのシール物質の流れを真空ポンプの方向に大きく減速させるようにする。この導管2aと2bの同心の配置は、最小の可能な断面の導管2bを形成するとともにその周りに大きな環状の断面を保持し、シール物質をできるだけ水頭損失を低くして流すことができるようにすることが注目される。
【0017】
真空ポンプと歯Dの歯髄腔との間に保証されなければならない漏れ防止に加えて、これら導管の容積は導管が充填されていない残りの容積部分の算定に入るためできるだけ小さくしなければならないことが分かる。
【0018】
第3の末端片3(図3)は末端片2と取替えるようになっており末端片1のPVC導管1bに取外し可能で漏れがないように固定される。この末端片3は歯Dの歯髄腔を乾燥する段階の間フィルター(ろ過材)を介して真空ポンプPに接続される。装置のこの部分は正確に言えば本発明の部分を形成せずまた公知であり、ここではその全体のシール工程を説明するために示されているにすぎない。
【0019】
シールを行う前の乾燥作用は2つの段階で行われ、第1の段階は機械的であり第2の段階は熱力学的である。第1の段階は歯根組織の残りの液体が特に水力学的で器械によらない活力喪失に続く特にキャビテーションによる空気泡の部分を含んでいるという事実から得られる。これらの泡は圧力の低下の作用のもとに膨張しまた各導管に収容されている液体の大きな部分を瞬間的に放出する。したがって水圧洗浄の直後の真空下の乾燥と共に続行し又は導管内に撹拌を形成し直し小さな溶解した蒸気の泡を形成することが重要である。
【0020】
第2の段階は第1の段階から残っている全てを蒸発の閾値以下に圧力を低下させることにより、液体から蒸気へとその状態を変えることである。この第2の吸熱段階は歯根組織全体とその小管の乾燥を完了するのに15分を要する。歯から流出する蒸気の流れがないことは絞り穴の各側の圧力差に基づく流量計で測定する、又はさらに簡単には圧力制御スイッチを用いることにより測定することができ、ポンプにより発生された真空はその流量に対し逆に作用する。正しい乾燥のためのポンプPによって供給された最低の真空度は103 Paである。この低圧で、残っている水は体温のもとに蒸発してなくなる。
【0021】
シールされるべき空洞の中で所望の真空度に到達しまたスプリング11が圧縮されると、有利には非常に僅かな過圧をピストン10に加えるに十分となりそれにより膜6の下流側に生じた低圧と上流側に生じた過圧とに加えて、これが膜6を破壊することができるようにする。この膜の較正はまた過圧を必要としないで2つの上記の力の簡単な付加により破れるように選択される。当接片10aはシール剤を歯根組織を超えて射出する危険を生じるような手による過圧の付与を阻止することが分かる。
【0022】
膜6が破られると、歯髄室の低圧とスプリング11の圧力とが注入器5の貯蔵部9に収容されているシール物質に同時にかつ瞬間的に加えられる。シール物質が末端片2の導管2bの端部に到達した瞬間に、真空ポンプPと歯髄室との間の接続を断ち、それによりこの真空ポンプが停止できるようにする。歯の空洞の歯根組織はシール剤の流動性に依存する時間中に充填できるようになる。
【0023】
充填されていない残りの容積部分は理論上は105 Paの大気圧力に比べて約1%となる。観察された結果により、完全に排出された非常に小さい半径方向の小管の全容積はいずれにしてもこの1%の全て又はある部分を吸収し、歯根管自体の全充填ができるようになることが明らかである。
【0024】
2成分のシール材料のペースト/ペースト、ペースト/液体、又はペースト/粉末の混合物は有利には普通の方法でのシール混合物の濃度より非常に僅かに大きい濃度で用いることができる。低い溶融点のグッタペルカ(ゴム状物の歯科充填材)もまた前もってこの材料で充たされた注入器を加熱することにより用いることができる。混合物が流体であるほど迅速に全空洞に到達するようになるが、大きくなるほど真空にさらされた時望ましくないガス泡の発生のおそれがあり、これがスプリングの圧力補償を低下させる。
【0025】
混合物の良好なガス抜きが、充填の行われるのと少なくとも同じ大きさの真空度で必要となる。この混合物は泡がピストンと膜との間に包含されないのを保証するよう注意して、シール剤注入器の中に導入される。
【0026】
膜6の性質は破壊の力を注入器の断面の関数として決定する。5μmの厚さの普通のアルミニウム箔円板は内径5mmの注入器にとって良好な結果をもたらす。
【0027】
用いられる注入器11は長さが18mm、外径が3.3mm、ワイヤ断面が0.4mmである。ワイヤは完全に圧縮された時8.8Nの力を与え、この力は直径4mmの円形断面で真空に下流側でさらされる膜6によって支持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施態様の正面図である。
【図2】 図2aによって細部が拡大して示される、図1の部分断面図である。
【図3】 歯髄腔を乾燥する段階の間に用いられるろ過要素の断面図である。

Claims (6)

  1. 歯髄が破壊された歯の歯髄腔と歯根管とをシールする装置であって、真空ポンプ(P)と、該真空ポンプ(P)と前記歯髄腔との間の第1の接続導管(2b,2d,12)と、前記歯髄腔をシールする流体シール物質の供給源(9)と、流体シール物質の前記供給源(9)と前記歯髄腔との間の第2の接続導管(2a,2c,4)と、流体シール物質が歯髄腔へ導入されるときにのみ流体シール物質の前記供給源(9)を前記歯髄腔に連通させるために前記第2の接続導管(2a,2c,4)を閉鎖する閉鎖手段(6)とを具備し、前記閉鎖手段(6)が所定圧力で破壊するよう較正された膜からなっていることを特徴とする歯髄腔と歯根管とをシールする装置。
  2. 弾性による圧縮性の手段(11)と該弾性圧縮手段(11)を加圧する手段(10)とを具備し、正された前記膜を破壊する圧力より低い正された前記膜の方向の圧力を前記供給源(9)の流体シール物質に加えるようにしていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 前記膜は、前記膜の下流側に生じた前記真空ポンプ(P)が前記歯髄腔に加える低圧と、前記膜の上流側に生じた圧縮状態の前記弾性圧縮性手段(11)の圧力との付加に抵抗するよう較正されていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
  4. 前記弾性圧縮性手段(11)が2つの自由ピストン(8,10)の間に配設されたスプリングによって形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の装置。
  5. 前記弾性圧縮性手段(11)を制限する手段(10a)を具備することを特徴とする請求項に記載の装置。
  6. 前記膜が剛性導管(5a)と可撓性導管(4)との間に環状の締めつけ要素(7)により挟持されていることを特徴とする請求項1から5のうちの1項に記載の装置。
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