次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は本実施形態によるパチンコ機1を示す斜視図である。パチンコ機1は、前面の中央部に透明遊技盤12が設けられており、その盤面から、透明遊技盤12の背後に設けられた液晶表示装置13cが透けて観察される。透明遊技盤12の下方には、上部受皿11b1及び下部受皿11b2からなる皿ユニット11bが設けられている。下部受皿11b2の右方には発射ハンドル13aが設けられている。また、透明遊技盤12の箇所12aには液晶表示装置13cに表示される特別図柄が視認される。液晶表示装置13cに表示された特別図柄が所定の大当たり組み合わせで揃うと、いわゆる大当たりが発生する。
透明遊技盤12における特別図柄が視認される箇所12aの左右には図示しない通過孔が設けられている。また、透明遊技盤12の下部には始動入賞口12bが設けられている。球発射ハンドル13aの操作によって盤面に撃ち出された遊技球が始動入賞口12bに入賞すると、液晶表示装置13cに特別図柄が変動表示されて特別図柄ゲームが開始される。また、始動入賞口12bの左右には、遊技球が入賞すると所定個数例えば10個の賞球が払い出される一般入賞口12cが設けられている。賞球は皿ユニット11bの上部受皿11b1に払い出されるが、上部受皿11b1が満杯のときは下部受皿11b2に払い出される。また、始動入賞口12bの下方には、大当たり入賞が発生すると行われる大当たり遊技において扉が開閉する大入賞口12dが設けられている。大入賞口12dの下方には、始動入賞口12b等に入賞しなかった遊技球が入球するアウト口12eが設けられている。
大当たり遊技は、特別図柄の大当たり組み合わせが特別図柄ゲームの終了時に停止表示してから行われ、大入賞口12dに所定個数例えば10個の遊技球が入賞するまで、または所定時間例えば30秒が経過するまで、大入賞口12dが開放したままになる遊技が最大で例えば15ラウンド行われる。ラウンド中に、大入賞口12dへ入賞した遊技球が大入賞口12dの内部に設けられたVゾーンと呼ばれる特定の領域に入賞すると、次のラウンドへ継続して進むことが出来るが、ラウンド中にVゾーンに入賞しなかった場合はいわゆるパンクとなり、15ラウンド到達以前であっても、大当たり遊技はそのラウンドで打ち切られて終了となる。遊技中には、透明遊技盤12の盤面上方に設けられた電飾LED11a1の点灯や、放音孔11a2からのスピーカ音により演出が行われる。
図2はパチンコ機1の分解斜視図である。なお、同図において図1と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。パチンコ機1は、四角枠状の木枠14の前面に中枠13が取り付けられて構成される。中枠13は、木枠14の前面で開閉し得るように、木枠14の左側部に軸支される。中枠13の前面中央部には透明遊技盤12が取り付けられ、上部には遊技の演出音等が放音される一対のスピーカ13b,13bが取り付けられる。また、中枠13の前面の右下部には上述した発射ハンドル13aが取り付けられる。透明遊技盤12及びスピーカ13b,13bはガラス扉11aで覆われ、ガラス扉11aの透明ガラス部分からは遊技盤12の盤面が観察される。ガラス扉11aの上部には上述した電飾LED11a1が設けられている。また、中枠13の下部には、上述した皿ユニット11bが取り付けられる。
中枠13の背面中央部には、透明遊技盤12に対向して液晶表示装置13cが取り付けられ、更に液晶表示装置13cを背後から覆うように球払出ユニット15a及び基板ケースユニット15bが取り付けられる。球払出ユニット15aは左側部、基板ケースユニット15bは右側部が中枠13に軸支され、球払出ユニット15a及び基板ケースユニット15bは観音扉状に開いて液晶表示装置13cの背面を露出させる。液晶表示装置13cは、遊技状態等に応じた演出表示をその前面でなし、上述したように液晶表示装置13cに特別図柄を表示する。球払出ユニット15aは、入賞結果に応じた数の遊技球を上部受皿11b1及び下部受皿11b2に供給する。基板ケースユニット15bには、遊技動作や演出表示、球発射等を制御するための主基板や演出基板、球発射制御基板等が収納されている。
図3は中枠13の右側下部を一部拡大した正面図である。
中枠13の右下部には、同図に示すように、中枠13の右側から左側に向けて上方に傾斜した発射レール13dが設けられている。発射レール13dは、中枠13の前面の領域を上板13d1と下板13d2とで区画して構成されており、透明遊技盤12の左側部に構成された盤面レール12fに通じている。下板13d2の右側端部には、上部受皿11b1から供給された遊技球Tを保持する保持部13d3が設けられている。保持部13d3の上面は断面略V字状を呈しており、遊技球Tの両側を支持して保持する。また、上板13d1の右側端部には、保持部13d3で保持された遊技球Tの後端を支持する支持片13d4が設けられている。また、発射レール13dの右下には、保持部13d3で保持された遊技球Tを透明遊技盤12の盤面に打ち出す遊技球発射装置2が設けられている。
図4は遊技球発射装置2の後方からの斜視図、図5は遊技球発射装置2の前方からの斜視図、図6は図4における矢印A方向からの遊技球発射装置2の下面図、図7は図4における矢印B方向からの遊技球発射装置2の上面図である。また、図8は図4における矢印C方向からの遊技球発射装置2の側面図、図9は図4における矢印D方向からの遊技球発射装置2の側面図、図10は図4における矢印E方向からの遊技球発射装置2の側面図、図11は図4における矢印F方向からの遊技球発射装置2の側面図である。なお、これら各図において同一部分には同一符号を付して説明する。
これらの各図に示すように、遊技球発射装置2は、台板3の下面側にステッピングモータ4、台板3の上面側にハンマ5、フライホイール6、および一対のストッパ7を備えて構成されている。
ステッピングモータ4は、ハンマ5を打突方向(図3中矢印G方向)に回動させるためのもので、その出力軸41(図9,図10参照)が台板3の上面側から台板3の上方側に突出するように、台板3に取り付けられている。ステッピングモータ4は、球発射制御基板から1パルスの駆動信号が入力される毎に、出力軸41が所定角度回転し、例えば、200パルスの駆動信号が入力されると出力軸41が1秒間に1回転する。
ハンマ5は、出力軸41への固定部分で折れ曲がった略L字形の板状体からなるハンマ本体51と、このハンマ本体51の一端に設けられた打突部54とを備える。ハンマ本体51は、略L字形の屈曲部分が略円形状に幅を広げており、この拡幅部分52の下面には、図9に示すように、支軸53が拡幅部分52と一体に設けられている。支軸53は、円筒状を呈した下端側にステッピングモータ4の出力軸41が挿入されて出力軸41に固着されており、出力軸41の回転をハンマ本体51に伝達する支点として機能する。打突部54は、円柱体の先端にテーパーを設けた形状を呈しており、ハンマ本体51の側面から打突方向Gに向けて突出している。打突部54は、支軸53を中心としたハンマ本体51の回動に従い台板3上面に沿って打突方向Gに回動し、その先端面で遊技球Tを打突する。
フライホイール6は、制振部材61と、この制振部材61の上面に取り付けられた環状板材62とから構成されている。制振部材61は、フライホイール6の回転中心を囲む領域に、ほぼ同じ形状の4個の開口部61aを等間隔で備える形状を呈したゴム製の弾性体である。制振部材61は、その中心部がハンマ5の回動中心と一致するように、ハンマ5を構成するハンマ本体51の拡幅部分52の上面に取り付けられている。環状板材62は、制振部材61の外周とほぼ一致する外周のリング形状を有する金属製の板体であり、制振部材61の上面の周縁部に沿って取り付けられている。この制振部材61および環状板材62は、ハンマ5の振動を減衰させる動吸振器を構成している。
制振部材61のバネ定数kおよび減衰係数Cは、その材質、硬度、形状等によって決定されるが、本実施形態では、制振部材61が備える各開口部61aの大きさ、形状、および形成位置は、制振部材61のバネ定数kおよび減衰係数Cが、ステッピングモータ4の出力軸41の振動に伴うハンマ5の振動の振幅を小さく抑制すると共に振動を速やかに減衰させることができる値となるように、以下のように設定されている。
図25は、バネ定数k,減衰係数Cの制振部材61を有するフライホイール6のイナーシャをjとし、ステッピングモータ4のロータのバネ定数をK、ステッピングモータ4およびハンマ5のイナーシャをJとした場合に、これらの関係を模式的に表した図である。
フライホイール6のイナーシャjと、ステッピングモータ4およびハンマ5のイナーシャJとのイナーシャ比を以下の式(4)のようにμとすると、制振部材61のバネ定数Kおよび減衰係数Cは以下の式(5)および式(6)で表される。
j=μJ (μ≦0.2) ・・・(4)
k=j×(K/J)×(1/(μ+1))2 ・・・(5)
C=2j×(K/J)1/2×(3μ/8(1+μ)3)1/2 ・・・(6)
ステッピングモータ4およびハンマ5の固有角振動数の値は(K/J)1/2で表され、この固有角振動数がステッピングモータ4の駆動周波数と一致すると共振が生じ、ハンマ5は大きく振動する。そこで、本実施形態では、この共振で生じる振動の振幅を小さく抑制すると共に振動を速やかに減衰させることができる値となる式(5)で表されるバネ定数kおよび式(6)で表される減衰係数Cが得られるように、制振部材61が備える各開口部61aの大きさ、形状、および形成位置が設定されている。
各ストッパ7は、図3および図7に示すように、台板3上面の対向する辺部にそれぞれ設けられている。一方の辺部に設けられたストッパ7は、遊技球Tを打突したハンマ5のハンマ本体51の先端側の側面が当接して、ハンマ5の打突方向Gへの回動を規制すると共に戻り方向への弾発力をハンマ5に付与する規制弾性体である。他方の辺部に設けられたストッパ7は、遊技球Tを打突して原点位置に戻るハンマ本体51の反対側の側面が当接して、戻り方向へのハンマ5の回動を規制する。各ストッパ7は、ゴム等の弾性材から形成されており、台板3上面に立設されたストッパ取付部31に取り付けられている。なお、ストッパ7を構成する弾性体としては、打突方向に回動してきて衝突したハンマ5を戻り方向に回動させることができるのであれば、ゴムの他にバネ等の任意のものを選択することができる。
図12は、本実施形態によるパチンコ機1の遊技動作を処理制御する電子回路の主な構成を示すブロック図である。この電子回路は、遊技処理を制御する主制御回路30や、この主制御回路30からの指示に従って遊技の演出を行う演出制御回路40、賞球等の払い出しや遊技球Tの発射を制御する払出・発射制御回路60等から構成されている。
主制御回路30には、メインCPU31や初期リセット回路32、シリアル通信用IC33といった電子部品が実装されている。また、主制御回路30には、メインCPU31がパチンコ機1の遊技動作を処理制御するためのプログラムが記憶格納された図示しないメインROM(リード・オンリー・メモリ)や、処理制御時にデータが一時的に記憶される図示しないメインRAM(ランダム・アクセス・メモリ)も実装されている。初期リセット回路32は、主制御回路30の起動時にメインRAMに記憶されている遊技状態の内容を消去すると共に、メインROMに記憶されているプログラムに従った遊技処理を開始させるリセット信号を発生する。また、シリアル通信用IC33は、メインCPU31から送出される制御信号を各制御回路40,60へシリアルに送信する。
主制御回路30には、上述した通過孔の内側に設けられ、遊技球Tが通過孔を通過するのを検知するゲートスイッチ20Sや、始動入賞口12bに入賞した遊技球Tを検知する始動入賞球センサ21Sが接続されている。また、大入賞口12dに入賞した遊技球Tを検知するカウントスイッチ22S、大入賞口12d内部のVゾーンを通過した遊技球Tを検知するVカウントスイッチ22V、一般入賞口12cへ入賞した遊技球Tを検知する一般入賞球センサ23Sが接続されている。また、主制御回路30には、アクチュエータとして、球受入口が拡張する始動入賞口12b、扉が開閉する大入賞口12d、大入賞口12d内部のVゾーンに遊技球Tが入賞した後に遊技球TをVゾーン以外へ誘導するVゾーン誘導装置34等が接続されている。
上記各センサ及び各スイッチが遊技球Tを検知すると、その検知信号は主制御回路30のメインCPU31に入力され、入力される検知信号に応じて、メインCPU31は上記各アクチュエータ12b,12d,34をそれぞれ駆動制御する。
演出制御回路40は、液晶表示装置13cにおける画像表示を行う画像表示制御、スピーカ13b,13bから効果音を放音させる音制御、及び遊技状態に応じて電飾LED11a1の発光を制御する電飾制御を行う。この演出制御回路40には、サブCPU41、プログラムROM42、ワークRAM43が実装されている。サブCPU41は、主制御回路30から受信した制御指令の解釈や、VDP(ビデオ・ディスプレイ・プロセッサ)44のパラメータ設定を行う。プログラムROM42には、サブCPU41が液晶表示装置(LCD)13cや、スピーカ13b,13b、電飾LED11a1の各動作を処理制御するための制御プログラムが記憶格納されている。ワークRAM43は、サブCPU41が上記制御プログラムに従って処理制御を行う際の一時的な記憶手段となる。
また、演出制御回路40には、画像データROM45、VDP44、及び初期リセット回路46が実装されている。画像データROM45は、液晶表示装置13cに表示する画像を形成するためのドットデータを記憶格納する。VDP44は、サブCPU41で設定されたパラメータに応じて画像データROM45内のドットデータを読み込み、液晶表示装置13cに表示するための画像データを生成する。初期リセット回路46は、演出制御回路40をリセットするリセット信号を発生する。
メインCPU31は、始動入賞口12bへ遊技球Tが入賞して始動入賞が発生すると大当たり判定を行う。演出制御回路40は、この大当たり判定の結果に対応する態様で液晶表示装置13cに特別図柄を順次停止表示させ、左図柄と右図柄とが同一図柄で揃って停止表示されるリーチ状態になると、液晶表示装置13cに特別図柄および演出画を用いてリーチ演出を行う。
スピーカ駆動回路は、効果音の原信号を生成する音源IC48と、これに接続され効果音が記憶されている音源データROM49と、音源IC48から出力された原信号を増幅するアンプ50と、3段階の中から1段階の音量出力レベルを指定する音量切換スイッチ51とから構成されており、サブCPU41からの駆動信号により、スピーカ13b,13bを駆動制御する。ドライブ回路52は、サブCPU41からの駆動信号により、パチンコ機1の遊技状態に応じて電飾LED11a1の発光を制御する。
払出・発射制御回路60には、払出・発射制御CPU、プログラムや各種テーブルが格納されたプログラムROM(図示せず)、処理制御時にデータが一時的に記憶される制御RAM(図示せず)といった電子部品が実装されている。払出・発射制御回路60には、賞球などを払い出す払出装置61、上述した打突装置2、発射ハンドル13a、および原点センサ62が接続されている。発射ハンドル13aは、遊技者の手が発射ハンドル13aに触れたことを検出するタッチセンサ13a1、および発射ハンドル13aの操作量つまり回転角度を検出するボリュームスイッチ13a2を備える。ボリュームスイッチ13a2は、発射ハンドル13aの操作量を検知する操作量検知手段を構成している。また、原点センサ62は、打突装置2を構成するハンマ5が打突動作開始前の原点位置に復帰しているか否かを検出する。
払出・発射CPUは、各種入賞等に応じて主制御回路30から出力される払出コマンドに応じて払出装置61を駆動制御し、賞球や貸球を払い出させる。また、払出・発射CPUは、タッチセンサ13a1、ボリュームスイッチ13a2、および原点センサ62から入力される各検出信号、並びにプログラムROMに格納されたモータ駆動周波数テーブルに基づき、打突装置2を構成するステッピングモータ4の駆動を制御する。
払出・発射制御回路60は、ボリュームスイッチ13a2によって検知された発射ハンドル13aの操作量と後述するモータ駆動周波数テーブル(図13)とに基づき、発射ハンドル13aの操作量に対する駆動周波数を決定する線形化手段、並びに駆動周波数決定手段を構成しており、ボリュームスイッチ13a2によって検知された発射ハンドル13aの操作量のアナログ値をA/Dコンバータを介してデジタル値に変換して、駆動周波数を決定する。また、払出・発射制御回路60は、線形化手段または駆動周波数決定手段によって決定された駆動周波数とマスタ加速テーブル(図15参照)とに基づき、加速テーブル(図16,17参照)を発射ハンドル13aの回転角度θN毎に作成して決定する加速テーブル決定手段を構成している。また、払出・発射制御回路60、発射ハンドル13a、および原点センサ62は、線形化手段または駆動周波数決定手段によって決定された駆動周波数でステッピングモータ4を駆動して、遊技球Tの発射の駆動制御を行う発射制御手段を構成しており、加速テーブル決定手段によって決定された加速テーブルに従い、発射ハンドル13aの回転角度θNに応じた遊技球Tの発射の駆動制御を行う。
本実施形態では、発射制御手段は、ハンマ5で遊技球Tを打突する直前にステッピングモータ4の駆動制御を停止する。つまり、発射制御手段は、図15に示すマスタ加速テーブルを用いて決定された図16,図17に示すいずれかの加速テーブルに従い、ステッピングモータ4を駆動して遊技球Tの発射の駆動制御を行い、加速テーブルの最後のステップに達するとステッピングモータ4の駆動制御を停止する。そして、ハンマ5による遊技球Tの打突直前から、打撃時にわたり、さらに、ハンマ5がストッパ7に当接して弾き返され、遊技球Tの打突を開始する原点位置に戻るまでの間の期間、ステッピングモータ4の駆動制御を停止している。また、払出・発射制御回路60、発射ハンドル13a、原点センサ62、および打突装置2は、遊技球発射装置を構成している。
図13は、払出・発射制御回路60のプログラムROMに格納されているモータ駆動周波数テーブルを概念的に示す図である。
このモータ駆動周波数テーブルは、後述する発射処理で行われる駆動周波数の決定処理(図19,S3)において、遊技球Tとハンマ5との衝突時におけるステッピングモータ4の最終的な駆動周波数fNを決定するのに用いられる。同図に示すように、モータ駆動周波数テーブルには、発射ハンドル13aの各回転角度θN毎に、値N、ボリュームスイッチ13a2の可変抵抗値RN、および駆動周波数fN[Hz]が表されている。回転角度θNは、発射ハンドル13aの回転角度を表す。回転角度(θN)には、若い値Nから順に一定角度ずつ大きくなる角度θ0〜θ7が値N0〜N7に対応して設定されている。可変抵抗値RNは、回転角度θNを検出するボリュームスイッチ13a2の抵抗値であり、値Nが大きくなるのに従い回転角度θNと線形の関係で増加する。駆動周波数fNは、回転角度θNとハンマ5で打突された遊技球Tの垂直換算飛距離hとが値Nが大きくなるに従い線形の関係で増加する値に設定されている。本実施形態では、回転角度θ0に対してf0=1563[Hz],回転角度θ1に対してf1=1613[Hz],回転角度θ2に対してf2=1667[Hz],回転角度θ3に対してf3=1724[Hz],回転角度θ4に対してf4=1786[Hz],回転角度θ5に対してf5=1852[Hz],回転角度θ6に対してf6=1923[Hz],回転角度θ7に対してf7=2000[Hz]が設定されている。
以下、発射ハンドル13aの回転角度θNに対してこのように線形に変化する、ステッピングモータ4の駆動周波数fNの選択方法について説明する
ステッピングモータ4の出力軸41の角速度をω、出力軸41の1回転あたりのステップ数をS、ハンマ5のアーム長をr、駆動周波数をfN、ハンマ5が備える打突部54の移動速度をvとすると、速度vは以下の式(5)で表される。
v=rω=r×(2πfN)/S[m/s] ・・・(5)
遊技球Tの質量をm、重力加速度をg、運動エネルギーから位置エネルギーへの伝達効率をηとすると、エネルギー保存則より、移動速度vと垂直換算飛距離hとは、以下の式(6)の関係にある。
mgh=η×(1/2)×mv2 ・・・(6)
このため、垂直換算飛距離hは以下の式(7)で表され、垂直換算飛距離hと駆動周波数fNとは非線形の関係にある。
h=(η/2g)×v2
=(η/2g)×(r2πfN)2
=(2ηr2π2/g)×fN 2 ・・・(7)
従って、ステッピングモータ4の駆動周波数fNとハンマ5で打突された遊技球Tの垂直換算飛距離hとは、図14(a)のグラフに示すように非線形の関係にある。このため、図13に示すモータ駆動周波数テーブルでは、回転角度θNと垂直換算飛距離hとの関係を、図14(c)に示すような線形の関係にする回転角度θNと駆動周波数fNとの関係が選択されている。つまり、回転角度θ0のときに同図(c)に示す線形関係にある垂直換算飛距離h0が得られる駆動周波数f0が、同図(a)に示すグラフから選択され、回転角度θ1のときに同図(c)に示す線形関係にある垂直換算飛距離h1が得られる駆動周波数f1が、同図(a)に示すグラフから選択される。以下、回転角度θ2〜回転角度θ7についても同様の方法で駆動周波数f2〜駆動周波数f7が選択される。この際、回転角度θNと駆動周波数fNとは、同図(b)に示すように非線形の関係となる。
本実施形態では、透明遊技盤12における発射レール12fの先端まで遊技球Tが打ち出されて遊技領域12g内に進入し始める発射ハンドル13aの回転角度θ0から、発射レール12fの先端に対向する、遊技領域12g内に進入した遊技球Tが弾き返される透明遊技盤12の右側縁部のストッパまで遊技球Tが打ち出される発射ハンドル13aの回転角度θ7の領域で、均等に回転角度θNを分割して図13に示すモータ駆動周波数テーブルが構成されている。この回転角度θ0〜θ7の領域は、遊技者の使用頻度の高い発射ハンドル13aの操作量に相当している。そして、遊技者の使用頻度の低い発射ハンドル13aの操作量に相当している、遊技球Tが遊技領域12gまで到達しない発射ハンドル13aの回転角度θNの領域、および遊技領域12g内の障害物であるストッパに遊技球Tが丁度衝突する遊技球Tの飛距離を得られる発射ハンドル13aの回転角度θNの領域より大きな回転角度θNの領域のデータは、備えられていない。しかし、発射ハンドル13aの回転角度θ0〜θ7のうちの特定の領域、例えば、遊技者が有利に遊技を進められる特定領域、つまり、透明遊技盤12の上方で4本並んだ天釘の左側周辺のいわゆるぶっ込み領域に遊技球Tが打ち込まれる垂直換算飛距離hが得られる回転角度θNでは、他の領域に比べて細かい角度に分割して構成してもよい。
図15は、払出・発射制御回路60のプログラムROMに格納されているマスタ加速テーブルを概念的に示す図である。
このマスタ加速テーブルは、後述する発射処理の加速テーブル決定処理(図19,S4)において、図13のモータ駆動周波数テーブルを用いて決定された検出回転角度θNに対するステッピングモータ4の駆動周波数fNから、加速テーブル種別に応じた加速テーブルを決定する際に用いられる。マスタ加速テーブルは、同図に示すように、“0”〜“70”の各ステップ番号(n)毎に、角度[deg],経過時間(T)[ms],マスタテーブル(LSB),ウエイト(LSW),ウエイト時間(W)[ms],および回転周波数(s)[pps]が設定されている。
ステップ番号(n)は、ハンマ5が遊技球Tを打突する際にステッピングモータ4の駆動を始めるハンマ5の原点位置から、ステッピングモータ4の駆動を停止するハンマ5の駆動停止位置まで、ステッピングモータ4の出力軸41の各回転角度毎に付与した番号である。本実施形態では、駆動停止位置は、ハンマ5が遊技球Tを打突する直前の位置に設定されており、ステップ番号(0)の原点位置からステップ番号(70)の駆動停止位置に到達するまでの各ステップに対して、“1”〜“69”までのステップ番号が付与されている。
角度[deg]は、ステップ0から、ステップ1〜ステップ70の各ステップに到達するまでの、ステッピングモータ4の出力軸41の回転角度である。本実施形態では、ステップ0の角度0.0[deg]から1ステップ毎に回転角度が1.8[deg]増加し、ステップ70までに126.0[deg]回転する。
時間(T)[ms]は、ステップ0から、ステップ1〜ステップ70の各ステップに到達するまでの経過時間である。ステップ(n)での時間をT(n),ステップ(n−1)での時間をT(n−1),ステップ(n−1)での後述するウエイト時間をW(n−1)とすると、T(n)=T(n−1)+W(n−1)の演算を実行して得られる値となる。例えば、ステップ1での時間はT(1)=T(0)+W(0)、ステップ2での時間はT(2)=T(1)+W(1)の演算をそれぞれ実行して得られる値となる。以下、T3〜T70の値も同様の演算を実行して得られる。
マスタテーブル(LSB)は、後述するウエイト(LSW)の値を算出するために用いられる値であり、ステップ0〜ステップ70までの各ステップ毎の値が予め定められている。マスタテーブル(LSB)と後述するウエイト(LSW)が、本実施形態のマスタ加速テーブルの中核的役割を果たすものであり、他の欄の値はこれらの値に基づく計算で得られる。例えば、ステップ0での値LSB(0)=240,ステップ1での値LSB(1)=200がそれぞれ定められている。以下、ステップ2〜ステップ70にも、各ステップ毎のLSBの値が予め定められている。
ウエイト(LSW)は、後述するウエイト時間(W)の値を算出するために用いられる値である。図13のモータ駆動周波数テーブルを用いて決定された駆動周波数fNに割り当てられた値Nを用いて、ウエイト(LSW)の欄に示される演算が実行される。ステップ(n)でのウエイトをLSW(n)とすると、LSW(n)=LSB(n)+Nとなる。例えば、LSW(0)=LSB(0)+N,LSW(1)=LSB(1)+Nの演算を、それぞれ実行して得られる値である。以下、LSW(2)〜LSW(70)の値も同様の演算を実行して得られる。
ウエイト時間(W)[ms]は、各ステップの開始から終了までの経過時間であり、ステッピングモータ4の出力軸41の停止時間である。各ステップ(n)でのウエイト時間をW(n)とすると、W(n)=LSW(n)×0.02となる。回転周波数(s)[pps]は、ステップ0〜ステップ70までの各ステップでの角速度を表す。各ステップ(n)での回転周波数をs(n)とすると、s(n)=1/W(n)[ppms]=1000/W(n)[pps]となる。
従って、s(n)は以下の式(8)で表される。
s(n)=1000/(LSW(n)×0.02)
=1000/((LSB(n)+N)×0.02) ・・・(8)
Nの値は操作量である可変抵抗値RN毎に異なるので、ステップ0〜ステップ70までの各ステップでの回転周波数(s)は、図16,17に示す各加速テーブルNo.0〜No.7のように、各加速テーブル毎に異なる回転速度で加速していくこととなる。
図16,図17は、図15のマスタ加速テーブルに基づき作成される加速テーブルNo.0〜No.7を概念的に示す図である。
加速テーブルNo.0〜No.7は、それぞれ値N=7〜0の場合にマスタ加速テーブル(図15参照)を用いて作成された加速テーブルであり、作成された加速テーブルは後述する発射処理のハンマの駆動制御処理(図19,S5)において用いられる。各加速テーブルにおける時間(T),ウエイト(LSW),ウエイト時間(W),および回転周波数(s)の各欄には、ステップ0〜ステップ70までの各ステップ毎に、加速テーブルに割り当てられた値Nを用いて、マスタ加速テーブルの対応する各欄に示される演算を実行して得られた値が表されている。
図17に示す加速テーブルNo.0では、マスタ加速テーブルにおける時間(T),ウエイト(LSW),ウエイト時間(W),および回転周波数(s)の各欄に示される演算をN=7として実行した結果が、対応する各欄に表されている。例えば、ステップ0では、T(0)=0.00,LSW(0)=240+7=247,W(0)=247×0.02=4.940,s(0)=1000/W=202が表されている。また、ステップ1では、T(1)=0+4.940=4.94,LSW(1)=200+7=207,W(1)=207×0.02=4.140,s(1)=1000/W=242が表されている。
以下のステップ2〜ステップ70でも、同様の演算結果が、時間(T),ウエイト(LSW),ウエイト時間(W),および回転周波数(s)の各欄に表されている。また、加速テーブルNo.1ではN=6、加速テーブルNo.2ではN=5、加速テーブルNo.3ではN=4、加速テーブルNo.4ではN=3、加速テーブルNo.5ではN=2、加速テーブルNo.6ではN=1、加速テーブルNo.7ではN=0とした同様の演算結果が、各欄に表されている。
図18は、図16,図17の各加速テーブルNo.0〜No.7を用いた場合におけるステッピングモータ4の出力軸41の回転周波数(s)が時間(T)の経過によって変化する様子を示すグラフである。同図に示すように、いずれの加速テーブルが用いられた場合でも、回転周波数s(n)は、ハンマ5で遊技球Tを打突する際のステッピングモータ4の最終的な回転周波数s(n)で一定にさせている。
次に、このように構成される打突装置2の動作について説明する。
打突装置2は、発射ハンドル13aが操作されていない状態では、ハンマ5の打突部54が図3に示すように原点位置にある。発射ハンドル13aが操作されると、払出・発射制御回路60の払出・発射CPUは発射処理を行い、打突部54によって遊技球Tを打突して、透明遊技盤12の盤面に打ち出す。
図19は、払出・発射制御回路60の払出・発射CPUにより行われる発射処理を表すフローチャートである。
この発射処理は、払出・発射CPUにより、所定時間毎(例えば1分間当たりに100回つまり60/100秒毎)に行われる割込処理である。発射処理では、まず、払出・発射CPUは、タッチセンサ検出があったか否か、つまり、発射ハンドル13aに遊技者が触れてタッチセンサ13a1から信号が入力されたか否かを判別する(図19,ステップ(以下、Sと記す。)1参照)。この判別が“YES”であるときは、ボリュームスイッチ13a2によって可変抵抗値RNを検出したか否か、つまり、操作ハンドル13aが回転したか否かを判別する(S2)。この判別が“YES”であるときは、ステッピングモータ4の駆動周波数fNの決定処理を行い(S3)、続いて、加速テーブルの決定処理を行い(S4)、更に、後述するハンマ駆動制御処理を行う(S5)。S3の駆動周波数fNの決定処理では、S2で検出した可変抵抗値RNに基づき、図13に示すモータ駆動周波数テーブルを参照して、検出した回転角度θNに対するステッピングモータ4の駆動周波数fNを決定する。また、S4の加速テーブルの作成処理では、図15に示すマスタ加速テーブルを参照して、S3で決定した駆動周波数fNに対応するNの値に応じた加速テーブルを演算して作成し、使用する加速テーブルを決定する。
図20は、図19のS5で行われるハンマの駆動制御処理の詳細を示すフローチャートである。
この駆動制御処理では、まず、払出・発射CPUは、加速テーブルに従いハンマ5の駆動処理を行う(図20,S11参照)。この処理では、図19,S4で作成した加速テーブルに従い、払出・発射CPUからステッピングモータ4にパルスが供給される。ステッピングモータ4は、このパルス供給を受けると出力軸41が打突方向Gに所定角度回転する。ハンマ5は、出力軸41と共に打突方向Gに回動し、フライホイール6もハンマ5と共に打突方向Gに回動する。
続いて、払出・発射CPUは、無励磁条件が成立したか否か、つまり、ハンマ5が遊技球Tの衝突直前位置に達したか否かを判断する(S12)。この判断は、図19,S4の処理で決定された加速テーブルのステップ0〜ステップ70までの全てのステップが行われたか否かを判別することにより行われる。
S12での判断が“NO”であるときは、払出・発射CPUはこの判断が“YES”になるまでS12の処理を繰り返す。一方、S12での判断が“YES”であるときは、払出・発射CPUは、無励磁処理を行う(S13)。この処理では、払出・発射CPUは、ステッピングモータ4の駆動制御を停止する。つまり、ステッピングモータ4へのパルス供給を停止する。ハンマ5は、ステッピングモータ4へのパルス供給が停止されても、慣性力によって重力に抗してそのまま打突方向Gへの回動を続ける。このハンマ5の回動により原点位置から上方に移動してきた打突部54の先端は、発射レール13dの支持片13d4と保持部13d3との間から発射レール13d内に進入し、保持部13d3に保持された遊技球Tを打突する。打突部54に打突された遊技球Tは、発射レール13d内を移動して透明遊技盤12の盤面レール12fに進入する。打突部54で遊技球Tを打突したハンマ5は、そのまま回動を続け、ハンマ本体51がストッパ7に衝突する。この際、ハンマ5の重心は、ストッパ7側よりも原点位置側に位置している。そして、この際にストッパ7から加えられる反発力でハンマ本体51は反対方向、つまり原点位置側に回動し、原点位置に復帰する。
次に、払出・発射CPUは、原点サーチ処理を行う(S14)。この処理では、払出・発射CPUは、原点センサ62からの入力信号に基づいて、ハンマ5が原点位置に戻ったことを確認する。続いて、払出・発射CPUは、待機処理を行う(S15)。この処理では、払出・発射CPUは、次の割込タイミングで次の発射処理を行うまでパルスを供給しない。
発射ハンドル13aが操作されている間、図19に示すS1,S2の処理での判別はいずれも“YES”となり、同図に示すS3〜S5の処理が繰り返されて行われる。従って、上部受皿11b1から保持部13d3に供給された遊技球Tがハンマ5の打突部54で打突されて、1分間当たり100発の遊技球Tが透明遊技盤12の盤面内に逐次打ち出される。
図21は、図16,図17に示す、いずれかの加速テーブルNo.0〜No.7を用いて、ハンマ5によって遊技球Tを打突する動作サイクルにおける、ステッピングモータ4の励磁状態と、ハンマ5の回動速度との関係を説明する図である。
時刻t0に動作サイクルNo.1が開始すると、ハンマ5の駆動処理(図20,S11)によって、図21(a),(b)に示すように加速テーブルに従ってステッピングモータ4が2相励磁され、ハンマ5が同図(c)に示すように打突方向に向けてのスイング動作を開始する。同図(c)に示すようにハンマ5の回動速度は時間の経過に従って次第に速くなり、時刻t1で等速回転に移る。その後、時刻t2にステッピングモータ4の励磁が停止されても、ハンマ5は同図(c)に示すように打突方向への等速回転を続け、時刻t3に遊技球Tに衝突する。ハンマ5は、更にストッパ7に衝突すると、同図(c)に示すように回動速度が負となり、逆方向の原点位置側に回動する。時刻t4に開始される原点サーチ処理(図20,S14)によってハンマ5が原点位置に復帰したことが確認されると、時刻t5に開始される待機処理により時刻t6までハンマ5は同図(c)に示すように原点位置に保持される。時刻t6に動作サイクルNo.2が開始されると、再びハンマ5のスイングが開始し、ステッピングモータ4の励磁状態およびハンマ5の回動速度は、時刻t0〜時刻t6までと同様の変化を繰り返す。
図22は、図16,図17の各加速テーブルNo.1〜No.7を用いて遊技球Tを垂直方向に110回打ち上げた際の、各回における遊技球Tの打ち上げ高さの測定値を示す図である。
同図の最上欄には加速テーブル番号No.0〜No.7が示されており、その下欄には各テーブル番号に対応する出力軸41の最終回転周波数(s)が示されている。また、同図の打ち上げ高さ測定値欄には、加速テーブル番号No.0〜No.7毎に、110回分の測定値h[mm]が測定順序1〜110に従って表されている。例えば、加速テーブルNo.0に従ってステッピングモータ4が駆動された1回目,2回目の測定値は700[mm]、3回目の測定値は705[mm]である。この打ち上げ高さ測定値欄の上方の打ち上げ高さ欄には、加速テーブル番号No.0〜No.7毎に、打ち上げ高さ測定値欄に示す110回分の測定値に基づいて計算された最大値[mm]、平均値[mm]、最小値[mm]、最大値−最小値[mm]、最大値−最小値[%]がそれぞれ示されている。例えば、加速テーブルNo.0の測定結果の最大値は730[mm]、平均値は721[mm]、最小値は700[mm]、最大値−最小値[mm]は30(=730−700)[mm]、最大値−最小値[%]は4.2(=(30/721)×100)[%]である。
図23は、図22の打ち上げ高さ測定値欄に示される各加速テーブルNo.0〜No.7についての測定値の変化を、測定順序に従い示したグラフである。図24は、図22に示される回転周波数(s)と、遊技球Tの打ち上げ高さの最大値、平均値、最小値との関係を、各加速テーブルNo.0〜No.7毎に示した図である。
図22〜図24に示すように、加速テーブルNo.0〜No.7の何れが用いられた場合も、遊技球Tは測定順序にかかわらずほぼ一定の高さに打ち上げられ、安定した遊技球Tの球飛びを実現させている。
このような本実施形態によるパチンコ機1では、ステッピングモータ4の出力軸41の振動に伴ってハンマ5に生じる振動は、ハンマ5の支点に固定されたフライホイール6の制振部材61に吸収されて減衰する。つまり、ハンマ5に生じた振動は、ハンマ5に固定されたフライホイール6の制振部材61に伝えられる。制振部材61は、フライホイール6の環状部材62と共に振動しかつ速やかに振動を減衰させる。このため、本実施形態によれば、フライホイール6の重量を増加させることなく、ハンマ5の動きを安定させられる。また、従来の半月状をしたカムを用いることなく、ハンマ5で直接遊技球Tを打突するため、カムの位置ずれ等によって遊技球Tの発射タイミングがずれることもない。このため、低電力かつ小型のモータを用いても、遊技球Tの発射軌道や発射速度を安定させて、高精度な球飛びを実現できる。しかも、従来のカム方式の遊技球発射装置では、部品点数が多くて製品コストが高かったが、カムを用いずにステッピングモータ4の直接駆動でハンマ5を回動させる遊技球発射装置2によれば、部品点数を少なくしてその分製品コストを抑えることができる。
また、本実施形態では、開口部61aの大きさ、形状、形成位置を設定することにより、制振部材61のバネ定数kや減衰係数Cの値として所望の値を選択できる。このため、ハンマ5の振動を速やかに小さくできる制振部材61の開口部61aの大きさ、つまり、制振部材61のバネ定数kおよび減衰係数Cを設定することにより、ハンマ5の振動を抑えて、遊技球Tの発射軌道や発射速度を安定させ、高精度な球飛びを実現できる。
しかも、本実施形態によるパチンコ機1では、発射ハンドル13aの回転角度θNと、ハンマ5で打突された遊技球Tの垂直換算飛距離hとの関係が線形になる駆動周波数が、ステッピングモータ4を駆動する最終的な駆動周波数fNとして選択される。このため、ハンマ5で打突された遊技球Tの垂直換算飛距離hと発射ハンドル13aの操作量との関係を線形にして、発射ハンドル13aを操作する遊技者が操作上違和感を感じるのを防止できる。従って、遊技球発射装置の操作性を向上させることができる。
また、透明遊技盤12における発射レール12fの先端まで遊技球Tが打ち出される発射ハンドル13aの回転角度θ0から、透明遊技盤12の右側縁部のストッパまで遊技球Tが打ち出される発射ハンドル13aの回転角度θ7の領域のデータのみをモータ駆動周波数テーブル(図13)が備え、遊技球Tが遊技領域12gまで到達しない発射ハンドル13aの回転角度θNの領域、および遊技領域12g内の障害物であるストッパに遊技球Tが丁度衝突する遊技球Tの飛距離を得られる発射ハンドル13aの回転角度θNの領域より大きな回転角度θNの領域のデータを備えていない。このため、モータ駆動周波数テーブルが、全ての回転角度θNの領域において駆動周波数のデータを備える場合に比べ、遊技球Tの発射制御に必要なデータ量を抑えることができる。この結果、遊技球Tの発射制御に使用する払出・発射制御回路60のメモリ容量を小さく抑えることができる。
また、本実施形態では、遊技球Tを用いた遊技が行われる遊技領域12gの全域に遊技球Tが進入する遊技球Tの飛距離を得られるステッピングモータ4の駆動周波数の領域でのみ、駆動周波数のデータを備える構成であるため、発射ハンドル13aの操作量が小さすぎて、発射レール12fを越えずに遊技領域12gにまで遊技球Tが達しないことを防止できる。また、遊技領域12aに達せずに戻る遊技球Tが後続して打ち出された遊技球Tと衝突するのを防止できる。この結果、遊技球Tの無駄打ちが生じるのを防止できる。しかも、モータ駆動周波数テーブルにおいて設定された駆動周波数fNの最大値は、遊技領域12g内の障害物であるストッパに遊技球Tが丁度達する遊技球Tの垂直換算飛距離hを得られる値であるため、発射ハンドル13aの操作量が大きすぎて、遊技球Tがストッパに勢いよく衝突するのを防止できる。この結果、この点からも、遊技球Tの無駄打ちが生じるのを防止できる。
また、発射ハンドル13aの回転角度θ0〜θ7のうち遊技者が有利に遊技を進められる特定領域、つまり、遊技球Tが透明遊技盤12の上方で4本並んだ天釘の左側周辺のいわゆるぶっ込み領域に遊技球Tが打ち込まれる垂直換算飛距離hが得られる回転角度θNでは、他の領域に比べて回転角度θNを細かく分割して構成する場合には、遊技者は、いわゆるぶっ込み領域での遊技球Tの飛距離の微調整を行うことができる。従って、この構成の場合には、遊技球発射装置の操作性をさらに向上させることができる。
また、本実施形態では、遊技球Tを用いた遊技が行われる遊技領域12gの全域に遊技球Tが進入する遊技球Tの飛距離を得られる発射ハンドル13aの回転角度θ0〜θ7の領域でのみ、駆動周波数fNのデータを備える構成であった。しかし、発射ハンドル13aの全ての回転角度θNの領域で駆動周波数fNのデータを備えるように構成し、遊技領域12gの全域に遊技球Tが打ち込まれる垂直換算飛距離hが得られる回転角度θ0〜θ7では、回転角度θ0よりも小さな発射ハンドル13aの回転角度θNや、回転角度θ7よりも大きな発射ハンドル13aの回転角度θNに対する領域のデータに比べて、駆動周波数fNのデータを細かく分割するようにしてもよい。この構成によれば、回転角度θ0よりも小さな発射ハンドル13aの回転角度θNや、回転角度θ7よりも大きな発射ハンドル13aの回転角度θNの領域では、粗いデータ間隔でステッピングモータ4の発射制御が行われるが、回転角度θ0〜回転角度θ7の領域では、細かいデータ間隔でステッピングモータ4の発射制御が行われるため、遊技球Tの飛距離の微調整を行うことができる。
また、本実施形態では、ハンマ5が遊技球Tを打突する直前にステッピングモータ4の駆動が停止されるので、ステッピングモータ4の離散的回転駆動に伴うハンマ5の振動の発生を抑えた形でハンマ5を遊技球Tと衝突させることができる。このため、遊技球Tを打突する際のハンマ5のぶれを小さくすることができ、ハンマ5で打突された遊技球Tの飛距離のばらつきを抑えることができる。この結果、遊技球Tの球飛びを安定させることができる。また、遊技球Tを打突したハンマ5にはステッピングモータ4から回転力が付与されず、しかも、遊技球Tとの衝突でハンマ5の運動エネルギーのほとんどは遊技球Tの運動エネルギーに変換されるので、ストッパ7と衝突することでハンマ5に生じる衝撃力を小さくすることができ、ストッパ7とハンマ5の衝突に伴う透明遊技盤12の衝撃振動が抑えられる。
また、遊技球Tを打突したハンマ5は、遊技球Tの打撃後に残存している運動エネルギーによってストッパ7に当接し、当接した際にストッパ7から付与される弾発力によって戻り方向に回動して、原点位置に戻る。このため、従来の発射装置のようにハンマ5を戻り方向に回動させるばねを用いる場合に比べて部品点数を抑えることができる。また、ステッピングモータ4の駆動制御プログラムが複雑化することはなく、しかも、ハンマ5を戻り方向に回動させる際のステッピングモータ4の消費電力も抑えることができる。
また、遊技球Tを打突したハンマ5にはステッピングモータ4から回転力が付与されず、しかも、遊技球Tとの衝突でハンマ5の運動エネルギーのほとんどは遊技球Tの運動エネルギーに変換されるので、ストッパ7と衝突することでハンマ5に生じる衝撃力を小さくすることができ、ストッパ7とハンマ5との衝突に伴う透明遊技盤12の衝撃振動が抑えられる。また、遊技球Tを打突したハンマ5の重心がストッパ7側よりも原点位置側に位置するので、遊技球Tを打突したハンマ5を、ストッパ7から付与された戻り方向への反発力と共に、その自重によって戻り方向にすばやく回動させて、すばやく原点位置に戻すことができる。
また、各加速テーブルNo.0〜No.7はマスタ加速テーブル(図15)によって必要とされる時にその都度作成され、遊技球Tの球飛び制御に必要なステッピングモータ4の加速制御毎に各加速テーブルNo.0〜No.7を予め多数用意する必要がないので、メモリの使用容量を抑えることができる。しかも、発射ハンドル13aの回転角度θN(値N)に応じた各加速テーブルNo.0〜No.7は、ステッピングモータ4の出力軸41の1.8[deg]毎の変化に対する、ステッピングモータ4の駆動周波数fN(回転周波数s)の変化率が異なることから、発射ハンドル13aの各回転角度θNに応じたステッピングモータ4の各加速制御毎に、最適な変化率で各加速テーブルNo.0〜No.7の駆動周波数fNを設定することができる。従って、図18のグラフに、ステッピングモータ4の出力軸41の回転周波数(s)の、時間(t)に対する変化を示すように、各加速テーブルNo.0〜No.7の何れの場合にも、モータ駆動周波数テーブル(図13)で決定した各駆動周波数fNに対して、ステッピングモータ4の出力軸41の回転を安定させることができる。このように本実施形態によれば、いかなる駆動周波数域であっても、ハンマ5の振動を抑えて精度の高い遊技球Tの球飛び制御を行うことができる。
なお、上記実施形態では、透明遊技盤12における発射レール12fの先端まで遊技球Tが打ち出される発射ハンドル13aの回転角度θ0から、発射レール12fの先端に対向する透明遊技盤12の右側の縁部まで遊技球Tが打ち出される発射ハンドル13aの回転角度θ7の領域までのデータを8段階に均等に分割した場合について説明した。しかし、回転角度θNの分割は8段階に限らず、適宜変更でき、例えば100段階等であってもよい。
また、上記実施形態では、ステップ0〜ステップ70までの71のステップで、ステッピングモータ4を駆動する場合について説明した。しかし、ステッピングモータ4を駆動するステップ数は任意であり、適宜変更して差し支えない。
また、上記実施形態では、ハンマ5で遊技球Tを打突する直前の位置にステッピングモータ4の駆動停止位置を設定した場合について説明した。しかし、ハンマ5が遊技球Tを打突した後の所定位置にステッピングモータ4の駆動停止位置を設定してもよい。また、上記実施形態では、図19のS4で、ステッピングモータ4の最終的な駆動周波数fN毎の加速テーブル(図16,図17参照)を、マスタ加速テーブル(図15)に示す演算を実行して遊技球Tの1回の発射毎に作成した場合について説明した。しかし、各駆動周波数fN毎の加速テーブルを払出・発射制御回路60のプログラムROMに予め格納しておいてもよい。
上記実施形態では、透明遊技盤12を用いたパチンコ機1に本発明を適用した場合について説明したが、通常の遊技盤を用いたパチンコ機に本発明を適用してもよい。