JP4145408B2 - 潜伏性触媒の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱硬化性樹脂の潜伏性触媒の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂及びマレイミド樹脂に配合し、常温においては触媒作用を発現することなく、長期にわたって樹脂組成物を安定に保存することが可能であり、成形時に加熱したときには優れた触媒作用を発揮し、良好な成形性及び高品質の成形品を与えることができる潜伏性触媒を、安価な原料から穏和な条件下において製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、常温のような比較的低温では樹脂の硬化反応を進行させず、成形時に加熱された際にのみ硬化反応を促進する、いわゆる潜伏性触媒を開発するための多くの研究がなされている。触媒の潜伏化手法の1つとして、触媒の活性点をイオン対化して、保護基でキャップする潜伏性触媒があり、常温安定性と成形時硬化性が両立した好ましい挙動を示す、熱硬化性樹脂にドライブレンド可能な触媒の研究がなされ、特開平8−295721号公報には、潜伏性触媒としてテトラ置換ホスホニウムテトラ置換ボレートが提案されており、潜伏性触媒として常温安定性と成形時硬化性が両立した好ましい挙動を示すとされている。また、特開平8−196911号公報には、ボロン側がテトラ有機酸ボレートである、テトラ置換ホスホニウムテトラ置換ボレートおよびその合成方法が提案されている。
【0003】
特開平8−196911号公報では、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートを出発原料とし、高温下で芳香族カルボン酸やフェノール化合物のようなプロトン供与体とバルク条件下で反応させることによって、一般式(3)で表されるホスホニウムボレート置換体が得られるとしている。しかし、反応には高温を必要とするするため、原料及び合成物の熱劣化の抑制や反応の制御の面で難点がある。
【0004】
また、この反応を有機溶媒中の均一系で行おうとすると、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートが極めて溶剤難溶性の塩であり、反応性が低く、反応を十分に進行させるためには、高極性の有機溶媒中で高濃度・高温条件下で長時間行なわなければならない難点がある。さらに、原料のテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートは、高価な原料であり、コストの面からも好ましくない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、常温においては触媒作用を発現することなく、長期間にわたって樹脂組成物を安定に保存することが可能であり、成形時に加熱すると優れた触媒作用を発揮して、良好な硬化性及び高品質の成形品を与えることができる潜伏性触媒を、穏和な条件下で安価原料から高収率で製造することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、熱硬化性樹脂に配合したとき、常温においては優れた保存安定性を、加熱成形時においては優れた硬化性を示し、且つその最終硬化物は従来用いられている触媒を用いた場合と比較したとき何ら劣ることのない物性を与える、特定構造のテトラ置換ホスホニウムテトラ置換ボレートからなる潜伏性触媒を製造するにあたり、特定の構造のテトラ置換ホスホニウムハロゲン塩,プロトン供与体、およびホウ酸を出発原料にして、さらには有機溶媒中で反応させることにより、工業的に安価でまた穏和な条件下で収率よく製造できることを見い出し、これら知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち本発明は、一般式[1]で示されるホスホニウム塩(A)、一般式[2]で示される、分子外に放出しうるプロトンを少なくとも1個分子内に有するn価(nは2以上の整数)のプロトン供与体(B)、および、ホウ酸(C)を溶媒中で反応させることを特徴とする、一般式[3]で表される潜伏性触媒(D)の製造方法である。
【0008】
【化1】
Figure 0004145408
式中、R1,R2,R3及びR4は、芳香環若しくは複素環を有する有機基又は1価の脂肪族基であり、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。またXは、ハロゲン原子を表す。
【0009】
【化2】
Figure 0004145408
式中、Z1は、置換基Y1,Y2を有する有機基である。Y1,Y2は、1価のプロトン供与性置換基がプロトンを放出してなる基であり、同一分子内の置換基Y1,Y2がホウ素原子と結合してキレート構造を形成しうるものである。
【0010】
【化3】
Figure 0004145408
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において原料として用いる、ホスホニウム塩(A)は一般式[1]で表されるが、式中、R1,R2,R3及びR4は、芳香環若しくは複素環を有する有機基又は1価の脂肪族基であり、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。このような有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、アリル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、エチルフェニル基、フェノキシ基、ナフチル基等が挙げことができる。
【0012】
また、Xはハロゲン原子を表し、一般式[1]を構成するホスホニウム塩として、具体的には、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラトリルホスホニウムブロミド、テトラエチルホスホニウムクロリド、テトラメトキシホスホニウム基クロリド、テトラナフチルホスホニウムブロミド、テトラベンジルホスホニウムクロリド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、n−ブチルトリフェニルホスホニウムクロリド、2−ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウムクロリド、トリメチルフェニルホスホニウムブロミド、メチルジエチルフェニルホスホニウムクロリド、メチルジアリルフェニルホスホニウムクロリド、テトラ−n−ブチルホスホニウムクロリド等を挙げることができる。
【0013】
本発明において原料として用いる、分子外に放出しうるプロトンを少なくとも2個以上分子内に有するn価(nは2以上の整数)のプロトン供与体(B)は、一般式[2]で表されるが、式中、Z1は、置換基Y1,Y2を有する有機基である。Y1,Y2は、1価のプロトン供与性置換基がプロトンを放出してなる基であり、同一分子内の置換基Y1,Y2がホウ素原子と結合してキレート構造を形成しうるものである。これらから構成されるプロトン供与体HY1−Z1−Y2Hは、ホウ素原子と結合してキレート構造を形成可能なものに限定される。
【0014】
このようなプロトン供与体(B)HY1−Z1−Y2Hとしては、カルボン酸やフェノール化合物、または多価アルコール類が含まれる。これらプロトン供与体の中でも特に、分子内にカルボキシル基を少なくとも2個有する芳香族カルボン酸、分子内にカルボキシル基を少なくとも1個と水酸基を少なくとも1個有する芳香族カルボン酸、または、分子内に少なくとも2個の水酸基を有し、カルボキシル基を有さないフェノール化合物からなる群より選ばれるプロトン供与体が好ましく、また、2個の置換基Y1およびY2は、有機基Z1に対してそれぞれ互いに隣接していることがさらに好ましい。
【0015】
このようなプロトン供与体HY1−Z1−Y2Hの具体的な例としては、分子内にカルボキシル基を少なくとも2個有する芳香族カルボン酸の例としては、例えば、o-フタル酸、1,8-ナフタル酸、2,3-ピリジンカルボン酸、トリメリト酸、ピロメリト酸、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸、分子内にカルボキシル基を少なくとも1個と水酸基を少なくとも1個有する芳香族カルボン酸の例としては、サリチル酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2-ヒドロキシビフェニル-3-カルボン酸、4-ヒドロキシビフェニル-3-カルボン酸、2,2'-ビフェノール-4-カルボン酸、また、分子内に少なくとも2個の水酸基を有し、カルボキシル基を有さないフェノール化合物の例としては、カテコール、レゾルシノール、2,3-ジヒドロキシナフタレン、2,2'-ビフェノール等を挙げることができる。
【0016】
本発明においては、先ず、一般式[2]で表されるプロトン供与体(B)とホウ酸(C)とを溶解しプロトンが解離可能な溶媒中に、両者を均一に溶解させる。この時、プロトン供与体(B)がプロトンを放出して、ホウ酸(C)のホウ素原子とキレート構造を形成し、安定な1価のボレート陰イオン錯体が形成される。次いで、これに一般式[1]で表されるテトラ置換ホスホニウム塩(A)を反応させることにより、一般式[3]で表されるホスホニウムボレートからなる潜伏性触媒(D)が得られる。
【0017】
尚、2種類以上のプロトン供与体(B)を混合して用いることも可能で、その場合、生成した潜伏性触媒(D)は、一般式[3]における2組のY1−Z1−Y2が異なる構造を有するホスホニウムボレート、または、異なる構造を有するホスホニウムボレートと同じ構造を有するホスホニウムボレートの混合物となる。また、一般式[1]のテトラ置換ホスホニウム塩(A)についても、2種類以上を混合して用いることが可能で、その場合は、ホスホニウム基とボレート基の組み合わせの異なる、ホスホニウムボレートの混合物となる。
【0018】
この反応は、室温程度の比較的穏和な条件下においても速やかに反応を進行させることが可能であり、また反応の制御の面からも有利である。また、ボレート側の原料として、安価なホウ酸およびプロトン供与体を用いるため、従来の高価なテトラ置換ボレート塩やテトラ置換ホスホニウムテトラ置換ボレートを用いる製法と比較して、コスト面においても有利である。
【0019】
本発明による潜伏性触媒の製造方法に用いる溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、非プロトン性極性溶媒、水等の極性溶媒が好ましく、さらには上記の溶媒同士や上記溶媒と他の有機溶媒の均一混合溶媒も用いることができる。
【0020】
これら溶媒の具体的な例としては、アルコール系溶媒では、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等を挙げることができる。ケトン系溶媒では、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、ブチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等を挙げることができる。また、非プロトン性極性溶媒では、アセトニトリル、ジオキサン、トリオキサン、メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホアミド、スルホラン等を挙げることができる。本発明ではこれら溶媒を特に好ましく用いることができるが、これらのみに限定されるものではない。
【0021】
本発明の方法を実施する際の反応条件としては、原料、溶媒、仕込量等の条件により異なるが、一般的な例について記すと、プロトン供与体(B)のホウ酸(C)に対する比率xは、モル比で 0.9<x<1.2 の範囲であり、かつテトラ置換ホスホニウム塩(A)のホウ酸(C)に対する比率yが、モル比で 0.9<y<1.2 の範囲で仕込むのが好ましい。
【0022】
また、溶媒に対する固形分の濃度としては、1〜30wt%の範囲、好ましくは5〜20wt%の範囲で仕込み、0〜100℃程度の範囲の温度で、0.5〜2時間程度反応を行なう。
【0023】
反応液から目的の触媒であるホスホニウムボレートを回収するには、冷却し析出してくる結晶を濾過する方法が一般に採られるが、さらに反応液にアルコール系の貧溶媒を加えて沈殿・析出させることにより、さらに収率を上げることも可能である。また、反応中に生成するハロゲン化水素を塩基性化合物の添加により、系を中和することも収率を上げるのに有効である。回収したホスホニウムボレート塩は、用途により微量の不純物の存在が問題となる場合には、さらに、有機溶媒や純水での洗浄等により、所望の純度の製品を調製することができる。
【0024】
本発明の一般式[3]で表されるホスホニウムボレートからなる潜伏性触媒は、熱硬化性樹脂に配合された場合、常温においては触媒活性を示さないので、熱硬化性樹脂の硬化反応が進むことなく、成形時の高温において触媒活性が発現し、しかも一度発現すると従来の硬化促進剤よりも強い触媒活性を示して、熱硬化性樹脂を高度に硬化させることができる。
【0025】
本発明のホスホニウムボレートからなる潜伏性触媒は、該潜伏性触媒によって硬化反応が促進されるすべての熱硬化性樹脂に対して有効であるが、従来よりホスフィンまたはホスホニウム塩触媒が有効である熱硬化性樹脂に対して特に有効である。このような熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、特にフェノール樹脂またはカルボン酸無水物硬化剤を含むエポキシ樹脂や、マレイミド系樹脂を挙げることができるが、これらの樹脂以外にも、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、アクリレート樹脂、アルケニル樹脂等を挙げることができる。
【0026】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0027】
(実施例1)
2000mlの3つ口セパラブルフラスコに攪拌装置を取り付け、ホウ酸12.4g(0.20mol)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸75.3g(0.40mol)、メチルセルソルブ276g、および純水248gを仕込み、室温で約30分攪拌を続け均一に溶解した。次いで、378gのメタノールと378gの純水の混合溶媒に、84.0g(0.20mol)のテトラフェニルホスホニウムブロミドを均一に溶解した溶液を、攪拌下のフラスコ中に1時間かけて滴下した。析出した黄色結晶を濾過した後、1000mlの冷水で洗浄、乾燥し黄色結晶135.8g(収率94%)を得た。
【0028】
コフラーベンチ法による融点は、273〜275℃であった。分析により、目的のテトラフェニルホスホニウムビス(3−オキシ−2−ナフトエート)ボレート(式[4]、4PCB−HNAと略す)が合成されたことを確認した。
【0029】
【化4】
Figure 0004145408
【0030】
また、4PCB−HNAについての、示差走査熱量分析(DSC、窒素気流下10℃/分で昇温)の結果を図1に、LC−MS法による陽イオン部及び陰イオン部の質量スペクトルの測定結果を図2に示した。示差走査熱量分析の結果では、275℃の単一の鋭い融解吸熱ピークを示した。また、質量スペクトルの測定では、陽イオン部ではテトラフェニルホスホニウム部に相当する質量数339のピークが、陰イオン部ではビス(3−オキシ−2−ナフトエート)ボレート部に相当する質量数383のピークが観測された。
【0031】
(実施例2)
2000mlの3つ口セパラブルフラスコに攪拌装置を取り付け、ホウ酸12.4g(0.20mol)、サリチル酸55.2g(0.40mol)、メタノール276g、および純水248gを仕込み、室温で約30分攪拌を続け均一溶解した。次いで、378gのメタノールと378gの純水の混合溶媒に、84.0g(0.20mol)のテトラフェニルホスホニウムブロミドを均一に溶解した溶液を、攪拌下のフラスコ中に1時間かけて滴下した。析出した白色結晶を濾過した後、1000mlの冷水で洗浄、乾燥し白色結晶114.7g(収率92%)を得た。
【0032】
コフラーベンチ法による融点は160〜162℃であった。分析により、目的のテトラフェニルホスホニウムビスサリチラトボレート(式[5]、4PCB−SAと略す)が合成されたことを確認した。
【0033】
【化5】
Figure 0004145408
【0034】
(実施例3)
2000mlの3つ口セパラブルフラスコに攪拌装置を取り付け、ホウ酸12.4g(0.20mol)、2,3−ジヒドロキシナフタレン64.1g(0.40mol)、メタノール276g、および純水248gを仕込み、室温で約30分攪拌を続け均一溶解した。次いで、378gのメタノールと378gの純水の混合溶媒に、84.0g(0.20mol)のテトラフェニルホスホニウムブロミドを均一に溶解した溶液を、攪拌下のフラスコ中に1時間かけて滴下した。析出した白色結晶を濾過した後、1000mlの冷水で洗浄、乾燥し白色結晶128.0g(収率95%)を得た。
【0035】
コフラーベンチ法による融点は197〜199℃であった。分析により、目的のテトラフェニルホスホニウムビス(2,3−ジオキシナフタレン)ボレート(式[6]、4PCB−DHNと略す)が合成されたことを確認した。
【0036】
【化6】
Figure 0004145408
【0037】
(実施例4)
2000mlの3つ口セパラブルフラスコに攪拌装置を取り付け、ホウ酸12.4g(0.20mol)、カテコール44.0g(0.40mol)、メタノール276gおよび純水248gを仕込み、室温で約30分攪拌を続け均一溶解した。次いで、378gのメタノールと378gの純水の混合溶媒に、84.0g(0.20mol)のテトラフェニルホスホニウムブロミドを均一に溶解した溶液を、攪拌下のフラスコ中に1時間かけて滴下した。析出した白色結晶を濾過した後、1000mlの冷水で洗浄、乾燥し白色結晶101.9g(収率90%)を得た。
【0038】
コフラーベンチ法による融点は123〜126℃であった。分析により、目的のテトラフェニルホスホニウムビスカテコラトボレート(式[7]、4PCB−CTと略す)が合成されたことを確認した。
【0039】
【化7】
Figure 0004145408
【0040】
実施例1〜4の反応条件、収率、融点、および元素分析結果を、まとめて表1に示した。これらの結果から明らかなように、本発明の製造方法により、室温条件下で、高収率・高純度で、目的のホスホニウムボレートが合成可能なことが分かる。
【0041】
【表1】
Figure 0004145408
【0042】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、常温においては触媒作用を発現することなく、長期間にわたって樹脂組成物を安定に保存することが可能であり、成形時に加熱すると優れた触媒作用を発揮して、良好な硬化性及び高品質の成形品を与えることができる潜伏性触媒を、穏和な条件下で安価原料から高収率で製造することが出来、電子・電気部品用エポキシ樹脂組成物の潜伏性触媒の製造方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で合成した4PCB−HNAの示差走査熱量分析(DSC)結果である。
【図2】 実施例1で合成した4PCB−HNA(式[4])のLC−MSにより検出した陽イオン部および陰イオン部の質量スペクトル分析結果である。

Claims (5)

  1. 一般式[1]で示されるホスホニウム塩(A)、一般式[2]で示される、分子外に放出しうるプロトンを少なくとも1個分子内に有するn価(nは2以上の整数)のプロトン供与体(B)、および、ホウ酸(C)を溶媒中で反応させることを特徴とする、一般式[3]で表される潜伏性触媒(D)の製造方法。
    Figure 0004145408
    Figure 0004145408
    Figure 0004145408
    式中、R1,R2,R3及びR4は、芳香環若しくは複素環を有する有機基又は1価の脂肪族基であり、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。Xは、ハロゲン原子を表す。また、Z1は、置換基Y1,Y2を有する有機基である。Y1,Y2は、1価のプロトン供与性置換基がプロトンを放出してなる基であり、同一分子内の置換基Y1,Y2がホウ素原子と結合してキレート構造を形成しうるものである。
  2. 一般式[2]で示される、分子外に放出しうるプロトンを少なくとも1個分子内に有するn価(nは2以上の整数)のプロトン供与体(B)とホウ酸(C)とを、両者を均一に溶解させ得る溶媒中で反応させ、さらにこれに一般式[1]で表されるテトラ置換ホスホニウム塩(A)を反応させることを特徴とする、一般式[3]で表される潜伏性触媒(D)の製造方法。
  3. 一般式[2]で表されるプロトン供与体(B)が、分子内にカルボキシル基を少なくとも2個有する芳香族カルボン酸、分子内にカルボキシル基を少なくとも1個と水酸基を少なくとも1個有する芳香族カルボン酸、または分子内に少なくとも2個の水酸基を有し、カルボキシル基を有さないフェノール化合物からなる群より選ばれたものであることを特徴とする、請求項1もしくは請求項2記載の潜伏性触媒の製造方法。
  4. 反応溶媒が、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、非プロトン性極性溶媒、および水から選ばれた1種、または、これらを含む混合溶媒であることを特徴とする、請求項1もしくは請求項2記載の潜伏性触媒の製造方法。
  5. 一般式[2]で表されるプロトン供与体(B)の、ホウ酸(C)に対するモル比xが 0.9<x<1.2、一般式[1]で示されるホスホニウム塩(A)の、ホウ酸(C)に対するモル比yが 0.9<y<1.2 の範囲であり、かつ溶媒に対する全固形分の仕込み量が 1〜30wt%の範囲であることを特徴とする、請求項1もしくは請求項2記載の潜伏性触媒の製造方法。
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