JP4145056B2 - 電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極と、負極と、これらの両極を隔離するセパレータと、電解液と、これらを収容する有底角筒状外装缶とを備えた電池に係り、特に、有底角筒状外装缶の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、小型ビデオカメラ、携帯電話、ノートパソコン等の携帯用電子・通信機器の需要が高まるにつれて、その電源となるニッケル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム等のアルカリ蓄電池や、リチウムイオン電池で代表されるリチウム二次電池の需要が増大した。これらのアルカリ蓄電池やリチウム二次電池の中でも、特に実装効率の高い角形電池の要求が高まった。そして、この種の角形電池は、携帯用電子・通信機器に用いられることから、容積当たりの電池容量(放電容量)を大きくすることはいうまでもなく、軽量化、つまり高エネルギー密度である特性が重視されるようになった。
【0003】
このような背景にあって、外装缶の材質を鉄やステンレスから軽量のアルミニウムに変更したり、あるいは外装缶の肉厚を薄くすることにより、電池の軽量化を達成する試みが行われるようになった。これは、外装缶の質量が電池の総質量に占める割合が大きいからである。しかしながら、外装缶をアルミニウムに変更したり、外装缶の肉厚を薄くすると、外装缶の強度が低下してしまう弊害がある。例えば、外装缶の材質を鉄やステンレスから軽量のアルミニウムに変更すると、アルミニウムの縦弾性係数は鉄の3分の1であるから、同一寸法の外装缶に設計すると、アルミニウム製外装缶のたわみ強度は、鉄製外装缶の3分の1に減少してしまう。
【0004】
外装缶の強度が低下すると、外装缶が変形する問題が生じる。これは、充放電に伴い電極が膨張収縮するため、電極を巻回した電極体が膨張収縮し、特に電極体の膨張は、外装缶を変形させるように作用するためである。このため、外装缶の強度が弱いと、電極体の膨張により外装缶が膨れるように変形してしまう。一旦外装缶が変形すると形状は完全に復元しないため、電極体の正負極を均一に対向させておく力が不均一になり、電池反応が不均一になる。この結果、電池特性の劣化が加速することとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、角形外装缶の各角部の厚みを直線部分の厚みよりも大きくして、角形外装缶の強度を補強するようにすることが、特開平7−326331号公報にて提案されるようになった。しかしながら、特開平7−326331号公報にて提案された角形外装缶においては、角形外装缶の強度を増大させるために各角部の厚みを大きくするようにしている。このため、角形外装缶の質量が増大し、電池の質量効率を高めたり、高エネルギー密度化を達成できないという問題を生じた。
【0006】
ここで、扁平状角形外装缶に発電要素を収容した電池を用い、この電池の内圧が上昇した場合に、電池内部から角形外装缶の表面(平板状壁)に付与される応力を感圧紙を用いて測定すると、図7に示すような結果が得られた。即ち、扁平状角形外装缶の一対の平板状壁の中央部Aに付与される応力は小さく、平板状壁の周辺部Bに付与される応力は大きく、さらに周辺部の内、角部から45度方向の部分Cに付与される応力は最大であるという知見を得た。
【0007】
本発明は上記知見に基づいてなされたものであって、強度が必要な部分の缶厚を厚くするとともに、強度を必要としない部分の缶厚を薄くして、外装缶材料を有効に配分し、外装缶の質量を増大させることなく、強度に優れた外装缶を得て、サイクル特性に優れた電池を提供できるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の電池は正極と、負極と、これらの両極を隔離するセパレータと、電解液と、これらを収容する有底角筒状外装缶とを備えている。そして、有底角筒状外装缶は一対の平板状壁と一対の側部壁と底壁とを備え、平板状壁はその内壁面に段差がなく、かつ電池内部より発生する応力が大きい部分の厚みが電池の外壁面側に向けて厚くなるように形成されていることを特徴とする。このように、電池内部より発生する応力が大きい部分の厚みを電池の外壁面側に向けて厚くすると、応力が付与される部分の強度が増大する。これにより、電池に変形を生じることが防止でき、電極体の正負極を対向させておく力が均一となり、サイクル特性に優れた電池を提供できるようになる。
【0009】
この場合、平板状壁はその内壁面に段差がなく、かつ該平板状壁の周辺部の厚みが中央部の厚みよりも電池の外壁面側に向けて厚くなるように形成されていると、平板状壁の中央部よりも大きな応力が付与される平板状壁の外周部の強度を大きくできるので望ましい。また、平板状壁はその内壁面に段差がなく、かつ該平板状壁の周辺部の角部の厚みが中央部および周辺部の厚みよりも電池の外壁面側に向けて厚くなるように形成されていると、平板状壁の外周部のうちで特に大きな応力が付与される角部の強度を大きくできるので好ましい。
【0010】
なお、有底角筒状外装缶は鉄、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金から選択される金属材料により形成すればよいが、軽量のアルミニウムやアルミニウム合金を用いても、必要とする強度が容易に得られるので、軽量で強度に優れた外装缶が得られるようになる。また、強度が大きい鉄やステンレスを用いると、強度に優れた構造の外装缶が得られるので、これらの外装缶の肉厚をさらに薄くすることができ、質量エネルギー密度に優れた電池を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
ついで、本発明の実施の形態を図1〜図5に基づいて以下に説明するが、本発明はこの実施の形態に何ら限定されるものでなく、本発明の目的を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。なお、図1は実施例1の有底角筒状外装缶を示しており、図1(a)は有底角筒状外装缶の概略構成を模式的に示す斜視図であり、図1(b)はそのa−a断面を表す一部破断した斜視図である。
【0012】
また、図2は実施例2の有底角筒状外装缶を示しており、図2(a)は有底角筒状外装缶の概略構成を模式的に示す斜視図であり、図2(b)はそのa−a断面を表す一部破断した斜視図であり、図2(c)はそのb−b断面を表す一部破断した斜視図である。図3は比較例の有底角筒状外装缶を示しており、図3(a)は有底角筒状外装缶の概略構成を模式的に示す斜視図であり、図3(b)はそのa−a断面を表す一部破断した斜視図である。図4はこれらの有底角筒状外装缶の製造工程を模式的に示す断面図である。図5はこれらの有底角筒状外装缶を用いて形成した角形電池を模式的に示す断面図である。
【0013】
1.角形外装缶
(1)実施例1
本実施例1の有底角筒状外装缶10は、図1に示すように、アルミニウム合金(例えば、JIS規格 H4000における合金番号3003の合金)製で、扁平な有底角筒状に形成されており、一対の平板状壁11,11と、一対の側部壁12,12と、底壁13とで構成されており、底壁13の反対側に開口14が形成されている。ここで、本実施例1の有底角筒状外装缶10の特徴的な構成は、一対の平板状壁11,11の肉厚が中央部Aにおいては薄く、外周部Bにおいては厚く形成されていることである。
【0014】
具体的には、平板状壁11,11の中央部Aの肉厚(t1)は0.23mmで、外周部Bの肉厚(t2)は0.28mmで、外周部Bの肉厚(t2)の方が中央部Aの肉厚(t1)よりも約20%程度厚く形成されている。なお、側部壁12,12の肉厚は0.3mmに形成されており、底壁13の肉厚は0.5mmに形成されている。この場合、中央部Aと外周部Bの面積比が7対3(A:B=7:3)になるように設定されている。なお、有底角筒状外装缶10の外形寸法が、厚みが4.2mmで、幅が30mmで、高さ(長さ)が46.5mmになるように形成されている。
【0015】
(2)実施例2
本実施例2の有底角筒状外装缶20は、実施例1と同様なアルミニウム合金を用い、図2に示すように、扁平な有底角筒状に形成されており、一対の平板状壁21,21と、一対の側部壁22,22と、底壁23とで構成されており、底壁23の反対側に開口24が形成されている。ここで、本実施例2の有底角筒状外装缶20の特徴的な構成は、一対の平板状壁21,21の肉厚が中央部Aにおいては薄く、外周部Bにおいては中央部Aよりも厚く、外周部の角部Cにおいては外周部Bよりも厚く形成されていることである。
【0016】
具体的には、平板状壁21,21の中央部Aの肉厚(t1)は0.20mmで、外周部Bの肉厚(t2)は0.23mmで、外周部Bの角部Cの肉厚(t3)は0.28mmで、外周部Bの肉厚(t2)の方が中央部Aの肉厚(t1)よりも約15%程度厚く、外周部Bの角部Cの肉厚(t3)の方が外周部Bの肉厚(t2)よりも約20%程度厚く形成されている。なお、側部壁22,22の肉厚は0.3mmに形成されており、底壁23の肉厚は0.5mmに形成されている。この場合、中央部Aと外周部Bと外周部Bの角部Cとの面積比が5対3対2(A:B:C=5:3:2)になるように設定されている。なお、有底角筒状外装缶20の外形寸法が、厚みが4.2mmで、幅が30mmで、高さ(長さ)が46.5mmになるように形成されている。
【0017】
(3)比較例
本比較例の有底角筒状外装缶30は、実施例1と同様なアルミニウム合金を用い、図3に示すように、扁平な有底角筒状に形成されており、一対の平板状壁31,31と、一対の側部壁32,32と、底壁33とで構成されており、底壁33の反対側に開口34が形成されている。ここで、この比較例においては、従来例の有底角筒状外装缶と同様に、平板状壁31,31の全ての場所の肉厚(t1)は0.25mで等しく形成されている。なお、側部壁32,32の肉厚は0.3mmに形成されており、底壁33の肉厚は0.5mmに形成されている。なお、有底角筒状外装缶30の外形寸法が、厚みが4.2mmで、幅が30mmで、高さ(長さ)が46.5mmになるように形成されている。
【0018】
2.角形外装缶の作製
ついで、上述のように形成される各角形外装缶の作製方法を図4に基づいて以下に説明する。まず、アルミニウム合金(例えば、JIS規格 H4000における合金番号3003の合金)を圧延して厚さが0.5mmの板材を得た後、この板材を円形に打ち抜いて、図4(a)に示すような、例えば、直径が50cmになるような円形板40を形成した。ついで、図示しない絞りポンチとダイスとを用いて、図4(b)に示すように、一対の平板状壁41と一対の側部壁42と底部43とからなる前絞り筒40aを成形した。
【0019】
この前絞り筒40aを、筒内に挿入された保持部材と再絞りダイス(図示せず)とで保持し、保持部材および再絞りダイスと同軸にかつ保持部材内を出入りし得るように設けられた再絞りポンチと再絞りダイスとを互いに噛み合うように相対的に移動させ、図4(c)に示すように、前絞り筒40aを深絞り加工して、平板状壁41と側部壁42とを平板状壁44と側部壁45に延伸させた深絞り筒40bを成形した。
【0020】
ついで、このような動作を繰り返して、図4(d)に示すように、深絞り筒40bをさらに深絞り加工して、平板状壁44と側部壁45とを平板状壁47と側部壁48にさらに延伸させた深絞り筒40cを成形した。最後に、開口部までの長さが所定の長さになるように切断して、継ぎ目のない平板状壁47および側部壁48と、この平板状壁47および側部壁48に継ぎ目なしに一体的に形成された底壁49からなる扁平状の有底角筒状缶を形成した。これにより、平板状壁31の全ての場所での肉厚(t1)が等しい比較例の有底角筒状外装缶30が形成されることとなる。
【0021】
ここで、得られた有底角筒状缶30の内部に治具を挿入して有底角筒状缶30を固定した後、平板状壁31と大きさが等しく、かつ中央部が突出し、外周部が凹んだ形状の一対のパンチ(図示せず)を、平板状壁31,31の両面に押し当てる動作を繰り返した。これにより、図1に示すような、平板状壁11,11の肉厚が中央部Aにおいては薄く(t1)、外周部Bにおいては厚く(t2)形成された実施例1の有底角筒状外装缶10が形成されることとなる。
【0022】
一方、平板状壁31と大きさが等しく、かつ中央部が突出し、外周部が凹み、この外周部の角部がさらに凹んだ形状の一対のパンチ(図示せず)を、平板状壁31,31の両面に押し当てる動作を繰り返した。これにより、図2に示すような、平板状壁21,21の肉厚が中央部Aにおいては薄く(t1)、外周部Bにおいては中央部Aよりも厚く(t2)、外周部の角部Cにおいては外周部Bよりも厚く(t3)形成された実施例2の有底角筒状外装缶20が形成されることとなる。これらの有底角筒状外装缶10,20,30のスペックを示すと、下記の表1に示すようになる。
【0023】
【表1】
【0024】
3.角形電池の作製
(1)正極の作製
LiCoO2からなる正極活物質と、アセチレンブラック、グラファイト等の炭素系導電剤と、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)よりなる結着剤等とを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)からなる有機溶剤等に溶解したものを混合して、スラリーを作製した。このスラリーをダイコーターあるいはドクターブレードを用いて、正極集電体(例えば、アルミニウム箔あるいはアルミニウム合金箔)の両面に均一に塗布して、活物質層を塗布した正極板を形成した。
この後、乾燥機中を通過させて、スラリー作製時に必要であった有機溶剤(NMP)を除去した。乾燥後、この乾燥正極板をロールプレス機により所定の厚みに圧延した後、所定寸法に切断して帯状正極1を作製した。
【0025】
(2)負極の作製
一方、天然黒鉛よりなる負極活物質とポリビニリデンフルオライド(PVdF)よりなる結着剤等とを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)からなる有機溶剤等に溶解したものを混合して、スラリーを作製した。これらのスラリーをダイコーターあるいはドクターブレードを用いて、負極集電体(例えば、銅箔)に塗着し、乾燥後、所定の厚みに圧延した後、所定寸法に切断して帯状負極2を作製した。
【0026】
(3)非水電解液二次電池の作製
ついで、上述のようにして作製した帯状正極板1と帯状負極板2とを用意し、これらの間にポリエチレン製微多孔膜からなるセパレータ3を介在させて重ね合わせて渦巻状に巻回した。ついで、これを扁平になるように押しつぶして断面が楕円形状の電極群を作製した後、この電極群を有底角筒状外装缶10(20,30)の開口部より挿入した。ついで、電極群の上部にスペーサを配置した後、電極群の負極板2より延出する負極集電タブ2aを封口体5に設けられた端子板6の内底部に溶接した。一方、電極群の正極板1より延出する正極リード1aを有底角筒状外装缶10(20,30)と封口体5との間に挟み込むようにして、封口体5を有底角筒状外装缶10(20,30)の開口部に配置した。ついで、有底角筒状外装缶10(20,30)の開口部の周壁と封口体5との間をレーザ溶接した。
【0027】
そして、エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)からなる混合溶媒(EC:MEC=30:70:体積比)にLiPF6を1モル/リットル溶解して電解液を調製した。この電解液を端子板6に設けられた透孔を通して、有底角筒状外装缶10(20,30)内に注入した後、負極端子を各端子板6に溶接して封止した。これにより、設計容量が650mAhで角形(厚み:4.2mm、幅:30mm、高さ(長さ):46.5mm)のリチウム二次電池X,Y,Zをそれぞれ作製した。ここで、実施例1の有底角筒状外装缶10を用いたものを電池Xとし、実施例2の有底角筒状外装缶20を用いたものを電池Yとし、比較例の有底角筒状外装缶30を用いたものを電池Zとした。
【0028】
4.充放電サイクル特性試験
これらの各電池X,Y,Zをそれぞれ用いて、室温(約25℃)で、650mA(1It)の充電電流で、電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電し、4.2Vの定電圧で電流値が20mAに達するまで定電圧充電した。この後、650mA(1It)の放電電流で、電池電圧が2.75Vに達するまで放電させるという充放電サイクルを300サイクル繰り返して行った。このとき、100サイクル後、200サイクル後、300サイクル後の各電池X,Y,Zの最大厚み(mm)を求めると図6に示すような結果が得られた。
【0029】
また、300サイクル後の各電池X,Y,Zの最大厚み(mm)と、充放電前の各電池X,Y,Zの最大厚み(mm)との差を電池膨れ量(mm)として求めると下記の表2に示すような結果になった。また、300サイクル後の放電容量(mAh)を求め、初期の放電容量と300サイクル後の放電容量との比率を容量維持率(%)として求めると、下記の表2に示すような結果となった。
【0030】
【表2】
【0031】
図6および上記表2の結果から明らかなように、平板状壁31の肉厚が等しい比較例の有底角筒状外装缶30を用いた電池Zにおいては、充放電サイクルを繰り返す毎に電池の厚みの増加量が大きく、300サイクル後の電池膨れ量も大きく、かつ300サイクル後の容量維持率も大きく低下していることが分かる。これは、電池Zにおいては、有底角筒状外装缶30の強度が小さいために、充放電サイクルを繰り返す毎に電池の膨れ量が大きくなる。このため、電極体の正負極を対向させる力が不均一となり、それに伴い電池反応が不均一となり、容量維持率も低下したと考えられる。
【0032】
一方、電池Xにおいては、充放電サイクルを繰り返す毎に電池の厚みは増加するが、電池Zよりもその増加量が少なく、また、300サイクル後の電池膨れ量も電池Zよりも低下しており、かつ300サイクル後の容量維持率も向上していることが分かる。また、電池Yにおいては、充放電サイクル後の電池の厚み増加が少なく、300サイクル後の電池膨れ量も低く、かつ300サイクル後の容量維持率も格段に向上していることが分かる。
【0033】
これは、電池Xにおいては、平板状壁11の中央部Aの厚みよりも平板状壁11の外周部Bの厚みを電池の外方に向けて厚くなるように形成された有底角筒状外装缶10を用いている。また、電池Yにおいては、平板状壁21の中央部Aの厚みを薄くし、これより外周部Bの厚みを厚くし、さらに角部Cの厚みを外周部Bの厚みよりも厚く形成された有底角筒状外装缶20を用いている。このため、これらの有底角筒状外装缶10,20の強度が向上して、電池膨れ量を低減させることが可能となっと考えられる。そして、有底角筒状外装缶10,20の膨れ量が低減することにより、電池反応が均一になり容量維持率が向上したと考えられる。この結果、電池X,Yにおいては、サイクル特性に優れた電池を得ることが可能となる。
【0034】
【発明の効果】
上述したように、本発明においては、電池内部より発生する応力が大きい平板状壁11の外周部Bの厚み、あるいは平板状壁21の外周部Bおよびこの外周部Bの角部Cの厚みを、電池の外方に向けて厚くなるようにしているので、応力が付与される部分の強度が増大するようになる。これにより、電池に変形を生じることが防止でき、変形に起因する電池反応の不均一を防止できるようになって、サイクル特性に優れた電池を提供できるようになる。
【0035】
なお、上述した実施の形態においては、本発明の有底角筒状外装缶を非水電解液二次電池に適用する例について説明したが、本発明の有底角筒状外装缶は、上述した非水電解液二次電池に限らず、他の非水電解液二次電池にも適用できることは明らかである。さらに、ニッケル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム等のアルカリ蓄電池や、固体電解質電池等の他の電池にも適用できることは明らかである。
【0036】
また、上述した実施の形態においては、有底角筒状外装缶の材質としてアルミニウム合金を用いる例について説明したが、有底角筒状外装缶の材質としては、アルミニウム合金に代えてアルミニウムを用いるようにしてもよい。また、軽量のアルミニウムやアルミニウム合金に代えて、強度が大きい鉄やステンレスを用いると、強度に優れた構造の外装缶が得られるので、これらの外装缶の肉厚をさらに薄くすることができ、質量エネルギー密度に優れた電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の有底角筒状外装缶を示しており、図1(a)は概略を示す斜視図であり、図1(b)はそのa−a断面を表す一部破断した斜視図である。
【図2】 実施例2の有底角筒状外装缶を示しており、図2(a)は概略を示す斜視図であり、図2(b)はそのa−a断面を表す一部破断した斜視図であり、図2(c)はそのb−b断面を表す一部破断した斜視図である。
【図3】 比較例の有底角筒状外装缶を示しており、図3(a)は概略を示す斜視図であり、図3(b)はそのa−a断面を表す一部破断した斜視図である。
【図4】 図1〜図3の有底角筒状外装缶を製造するための製造工程を模式的に示す断面図である。
【図5】 これらの有底角筒状外装缶を用いて形成した角形電池を示す断面図である。
【図6】 充放電サイクルと電池厚みとの関係を示す図である。
【図7】 角形電池の表面に付与された応力の状態を感圧紙により示した図である。
【符号の説明】
1…正極板、1a…正極リード、2…負極板、2a…負極集電タブ、3…セパレータ、10…有底角筒状外装缶、11…平板状壁、12…側部壁、13…底壁、14…開口、20…有底角筒状外装缶、21…平板状壁、22…側部壁、23…底壁、24…開口、30…有底角筒状外装缶、30…角形外装缶、31…平板状壁、32…側部壁、33…底壁、34…開口、A…中央部、B…外周部、C…角部
Claims (3)
- 正極と、負極と、これらの両極を隔離するセパレータと、電解液と、これらを収容する有底角筒状外装缶とを備えた電池であって、
前記有底角筒状外装缶は一対の平板状壁と一対の側部壁と底壁とを備え、
前記平板状壁はその内壁面に段差がなく、かつ電池内部より発生する応力が大きい部分の厚みが電池の外壁面側に向けて厚くなるように形成されていることを特徴とする電池。 - 正極と、負極と、これらの両極を隔離するセパレータと、電解液と、これらを収容する有底角筒状外装缶とを備えた電池であって、
前記有底角筒状外装缶は一対の平板状壁と一対の側部壁と底壁とを備え、
前記平板状壁はその内壁面に段差がなく、かつ該平板状壁の周辺部の厚みが中央部の厚みよりも電池の外壁面側に向けて厚くなるように形成されていて、
前記平板状壁の中央部よりも大きな応力が付与される同平板状壁の周辺部の強度を大きくしたことを特徴とする電池。 - 正極と、負極と、これらの両極を隔離するセパレータと、電解液と、これらを収容する有底角筒状外装缶とを備えた電池であって、
前記有底角筒状外装缶は一対の平板状壁と一対の側部壁と底壁とを備え、
前記平板状壁はその内壁面に段差がなく、かつ該平板状壁の周辺部の角部の厚みが中央部および周辺部の厚みよりも電池の外壁面側に向けて厚くなるように形成されていて、
前記平板状壁の中央部および周辺部よりも最も大きな応力が付与される同平板状壁の周辺部の角部の強度を最も大きくしたことを特徴とする電池。
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