JP4144791B2 - 除雪機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの回転数が略一定になるようにスロットル弁が制御され、前記エンジンによってオーガが駆動される除雪機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の除雪機としては、例えば特開2002−275848号公報に開示されているように、エンジンの動力が変速機やクラッチを介してオーガに伝達されるものがある。この従来の除雪機は、前記クラッチが接続されている状態では、クランク軸が回転するとオーガが必ず回転する。このため、この除雪機においては、雪が固い場合や、前進する速度が相対的に速くオーガに入る雪が多くなる場合のように、オーガの負荷が大きくなるときには、オーガの負荷の増大に伴ってエンジンの負荷が増大する。
【0003】
前記エンジンのスロットル弁は、ガバナが連結されており、オーガの負荷の増大または減少に伴ってエンジンの回転数が低下または上昇したときには、エンジンの回転数が予め定めた回転数を維持するように前記ガバナによって開度が制御される。すなわち、オーガの負荷が相対的に大きいときは、スロットル弁の開度は相対的に大きくなり、これとは逆にオーガの負荷が相対的に小さいときには、スロットル弁の開度が相対的に小さくなる。
【0004】
上述したように構成された従来の除雪機において、除雪時の車速は、除雪中に聞こえるエンジンの音から操縦者がその負荷を予想して設定されている。すなわち、操縦者は、除雪中に聞こえるエンジンの音が相対的に大きいときは、オーガおよびエンジンの負荷が相対的に大きい状態であると予想して車速を低下させ、エンジンの音が相対的に小さいときには、オーガおよびエンジンの負荷が相対的に小さい状態であると予想して車速を上昇させている。
なお、本出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−275848号公報(図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の除雪機は、操縦者がエンジンの音を聞いてオーガの負荷を予想し、除雪時の車速を操縦者の感覚(聴覚)に依存して設定するものであるから、必ずしも効率よく除雪を行うことができるものではなかった。例えば、除雪をする力に余裕があるにもかかわらず車速が低い場合は、除雪時間が長くなってしまうし、オーガの負荷が過大であるにもかかわらず車速が高い場合には、エンジンがストールしたり、クローラ走行装置が空転したりして燃料が無駄に消費されることになる。また、エンジン回転数が低いと除雪部の回転数も低下し、除雪効率や雪を飛ばせる距離が短くなる。
【0007】
本発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、操縦者の感覚に依存することなく、能率よく除雪を行うことができる除雪機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明に係る除雪機は、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数センサと、増速指示手段および減速指示手段を有する速度指示手段とを備え、前記速度指示手段は、前記エンジン回転数センサによって検出された現在のエンジン回転数と予め定めた目標回転数とを比較し、現在のエンジン回転数が前記目標回転数より大きいときに前記増速指示手段を作動させ、現在のエンジン回転数が前記目標回転数より小さいときに前記減速指示手段を作動させる構成とされ、前記増速指示手段と減速指示手段とをそれぞれ表示器によって構成し、増速指示手段用の表示器を、増速側に揺動させた車速設定用揺動式レバーと隣接する位置に位置付け、減速指示手段用の表示器を、減速側に揺動させた前記レバーと隣接する位置に位置付けたものである。
【0009】
本発明によれば、除雪時にオーガの負荷が相対的に小さく、エンジンの回転数が相対的に大きくなる場合は、増速指示手段が作動し、オーガの負荷が相対的に大きく、エンジンの回転数が相対的に小さくなる場合には、減速指示手段が作動する。操縦者が前記指示手段による指示に従って車速を上昇させることにより、オーガの負荷が増大してエンジンの回転数が低下し、操縦者が車速を低下させることによって、オーガの負荷が減少してエンジンの回転数が上昇する。したがって、増速指示手段または減速指示手段が作動することによって、現在のオーガの負荷に対する最適な車速が増速側であるか減速側であるかということを操縦者に知らせることができる。
【0010】
また、本発明によれば、除雪中に増速指示用表示器または減速指示用表示器が点灯している方向へ車速設定用レバーを揺動させることによって、車速がオーガの負荷に対して最適な車速に近付くようになる。
【0012】
請求項2に記載した発明に係る除雪機は、請求項1に記載した発明に係る除雪機において、車体後部に操作ハンドルを後方へ突出するように設けたものである。
この発明によれば、運転操作が簡単な歩行型除雪機を提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る除雪機の一実施の形態を図1ないし図9によって詳細に説明する。
図1は本発明に係る除雪機の側面図、図2は同じく平面図、図3は同じく背面図である。図4は車体後部の一部を拡大して示す側面図で、車体フレームと動力伝達系の一部とを破断した状態で描いてある。図5は車体後部の一部を拡大して示す背面図で、車体フレームおよびクローラ走行装置を破断した状態で描いてある。図5中に破断して示した部材の破断位置を図4中にV−V線によって示す。図6は操作ハンドルの近傍を拡大して示す側面図で、コントロールボックスを破断した状態で描いてある。図7は操作パネルの一部を示す平面図、図8は制御系の構成を示すブロック図、図9はコントローラの動作を説明するためのフローチャートである。
【0014】
これらの図において、符号1で示すものは、この実施の形態による歩行型除雪機である。この除雪機1は、エンジン2によってクローラ走行装置3と車体前部のオーガ4とが駆動され、車体後部の操作ハンドル5を操縦者が把持して歩行しながら除雪するものである。前記操作ハンドル5は、図2に示すように、操縦者が把持するグリップ6が車幅方向の両端部に設けられ、後述する車体フレーム7の後端部に立設された支持パイプ8の上端部に溶接されている。
【0015】
前記エンジン2は、クローラ走行装置3の上方であって車幅方向の中央部にクランク軸11の軸線方向が車体の前後方向を指向する状態で搭載されており、車体フレーム7に支持されている。この車体フレーム7は、この実施の形態では鋼板を組合わせることによって箱状を呈するように形成されている。また、エンジン2は、図示してはいないが、スロットル弁にガバナが接続されており、このガバナによって回転数が略一定になるように制御される。
【0016】
前記クランク軸11は、図3に示すように、車幅方向の中央近傍に位置付けられており、図1に示すように、前端部にオーガ用クラッチ12とVベルト式伝動装置13を介してオーガ4の入力軸4aが接続されるとともに、後端部に走行用クラッチ14とVベルト式伝動装置15とを介して後述するHST16,17が接続されている。前記オーガ用クラッチ12と走行用クラッチ14は、それぞれ電磁クラッチによって構成されている。
【0017】
前記オーガ4は、従来の除雪機に用いられているものと同等の構造のものであり、上部にシュータ18が設けられ、前記車体フレーム7の前端部に左右方向に揺動可能に装着されている。また、このオーガ4は、車体フレーム7の前端部に設けられたローリング用シリンダ(図示せず)によって、左右方向の傾斜角度を変えることができるように構成されている。
【0018】
前記クローラ走行装置3は、従来からよく知られているように、従動スプロケット21と駆動スプロケット22とが走行フレーム23に回転自在に支持され、これら両スプロケット21,22にはクローラ24が巻掛けられ、図3に示すように、車体の左右方向に対をなすように設けられている。これらのクローラ走行装置3の駆動軸25(駆動スプロケット22の軸)は、図5に示すように、駆動スプロケット22から車幅方向の中央部まで延びるように形成されており、車幅方向の中央部が車体フレーム7の駆動軸支持用ブラケット26に軸受27を介して回転自在に支持され、車幅方向の外端部が後述する減速機28のハウジング29に軸受30を介して回転自在に支持されている。前記ハウジング29は、車体フレーム7の外側壁7aに固定されている。また、前記走行フレーム23の前端部と車体フレーム7との間には、車体上部の傾斜角度を変化させるためのチルト用シリンダ3aが介装されている。
【0019】
前記駆動軸25とエンジンのクランク軸11との間の動力伝達系は、図1、図3〜図5に示すように、クランク軸11の後端部に軸装された前記走行用クラッチ14と、前記Vベルト式伝動装置15と、前記2個のHST(Hydro Static Transmission )16,17と、前記減速機28とによって構成されている。前記HST16,17は、従来からよく知られているものと同等の構造のものが用いられており、左右のクローラ走行装置3毎に装備され、それぞれ車体フレーム7に支持されている。
【0020】
前記両HST16,17の入力軸31(図3参照)は、Vベルト式伝動装置15を介して互いに連動するように接続され、これらのHST16,17の出力軸32(図5参照)は、車幅方向の外端部で前記減速機28に接続されている。この減速機28は、いわゆる二段減速式のものであり、図4および図5に示すように前記出力軸32に接続されたピニオン33と、中間歯車34と、駆動軸25側の出力歯車35とによって構成されている。
【0021】
この実施の形態による前記HST16,17は、車体の後方から見て車体右側に設けられた揺動式変速レバー36(図4および図5参照)が揺動方向の中央(中立位置)に位置しているときにクローラ走行装置3を停止させ、変速レバー36が車体の前側または後側へ揺動することによって、車体が前進または後退するようにクローラ走行装置3を駆動する。また、このHST16,17は、変速レバー36の揺動する角度が大きくなればなるほどクローラ走行装置3の回転する速度が高くなるように構成されている。前記変速レバー36は、この実施の形態では電動式の操作装置41(図4〜図6参照)に接続され、この操作装置41によって操作される。
【0022】
操作装置41は、前記変速レバー36にリンク機構42を介して連結された変速用モータ43および変速位置検出用センサ44と、車体後部の操作ハンドル5の近傍に設けられた走行用レバー45および旋回用レバー46と、前記変速用モータ43を制御するコントローラ47(図6,8参照)などによって構成されている。前記変速用モータ43および前記変速位置検出用センサ44は、2個のHST16,17毎に設けられ、図示していないステーを介して車体フレーム7に支持されている。
【0023】
前記走行用レバー45は、図6に示すように、前記操作ハンドル5における車幅方向に延在する水平部5aに装着されて前後方向へ揺動できるように構成されており、操向ハンドル5の近傍で車幅方向の中央に位置するように設けられたコントロールボックス48から操作部分が上方に突出している。この走行用レバー45によって本発明に係る車速設定用揺動式レバーが構成されている。また、前記走行用レバー45の下端部には、この走行用レバー45の位置を検出するための目標速度検出用センサ49が接続されている。前記旋回用レバー46は、操作ハンドル5の左右両側のグリップ6の近傍にそれぞれ設けられており、自転車のブレーキレバーと同様に操縦者がグリップ6とともに把持できるように構成されている。また、これらの旋回用レバー46には、このレバー46の操作量を検出するための旋回検出用センサ50がリンク機構51を介してそれぞれ接続されている。前記変速位置検出用センサ44と、前記目標速度検出用センサ49と、前記旋回検出用センサ50は、後述するコントローラ47に検出信号をそれぞれ送出する。
【0024】
図6において、コントローラ47の近傍に設けられた符号52で示すものはバッテリーである。また、前記走行用レバー45の近傍であってコントロールボックス48の上端部には、前記ガバナによるエンジン2の設定回転数を増減させるためのスロットルレバー53と、前記ローリング用シリンダとチルト用シリンダ3aとを操作するためのオーガ位置変更用レバー54と、オーガ4に設けられたシュータ18の位置を変えるためのシュータ用レバー55(図3参照)と、オーガ4の駆動系に介装されたオーガ用クラッチ12の接続・切断を切り換えるためのオーガ用スイッチ56などが設けられている。さらに、車体左側のグリップ6の近傍には、エンジン2とHST16,17との間の駆動系に介装された走行用クラッチ14の接続・切断を切り換えるための走行用クラッチレバー57が設けられている。
【0025】
前記コントローラ47は、前記走行用レバー45に対応して両方のHST16,17の変速レバー36が揺動するように前記変速用モータ43をフィードバック制御により制御する構成が採られている。すなわち、このコントローラ47は、前記目標速度検出用センサ49の検出値に基づいて変速レバー36の目標揺動方向と目標揺動角度を設定し、前記変速位置検出用センサ44によって検出された実際の変速レバー36の揺動方向と揺動角度とが前記目標値と一致するように変速用モータ43を制御する。
【0026】
前記走行用レバー45は、図7に示すように、中立位置に対して車体の前方と後方へ揺動できるように構成されている。図7はコントロールボックス48の上端部に設けられた操作パネル58の一部を拡大して示す平面図である。前記コントローラ47が前記フィードバック制御を実施することにより、前記走行用レバー45が中立位置に位置しているときは車体が停止し、走行用レバー45が前方または後方へ操作されたときには、走行用レバー45の操作されている方向へ操作量に対応する車速となるように車体が走行する。
【0027】
また、前記コントローラ47は、前記旋回用レバー46が操作されたときは、旋回用レバー46と左右方向の同一側に位置するHST16,17の変速レバー36を旋回用レバー46の操作量に相当する角度だけ中立位置側へ揺動させるように構成されている。このようにコントローラ47が変速レバー36を制御することによって、操作した旋回用レバー46側へ操作した量だけ車体が旋回する。
【0028】
さらに、前記コントローラ47は、除雪中に走行速度が最適であるか否かを操縦者が容易に判断することができるように、エンジン2の回転数に対応させて図7中に符号61〜63で示す指示用ランプを点灯させる構成が採られている。前記3個の指示用ランプ61〜63のうち最も車体前側(図7において上側)に位置する増速指示用ランプ61は、操作パネル58における前記走行用レバー45の左方であって、走行用レバー45を最も前側へ(車体が最大速度で前進する位置へ)揺動させたときにこのレバー45に隣接するような位置に位置付けられている。前記3個の指示用ランプ61〜63のうち最も車体後側に位置する減速指示用ランプ62は、車体が低速で前進するような位置へ揺動させた走行用レバー45と隣接する位置に位置付けられている。
【0029】
前記コントローラ47は、車速が目標とする車速より遅い場合は増速指示用ランプ61を点灯させ、車速が目標とする車速より速い場合には減速指示用ランプ62を点灯させる。また、コントローラ47は、車速が適切である場合は、前記3個の指示用ランプ61〜63のうち前記指示用ランプ61,62の間に位置するように設けられた良好表示ランプ63を点灯させる。この実施の形態においては、前記コントローラ47によって本発明に係る速度指示手段が構成され、前記増速指示用ランプ61によって本発明に係る増速指示手段用の表示器が構成され、前記減速指示用ランプ62によって本発明に係る減速指示手段用の表示器が構成されている。
【0030】
前記コントローラ47は、上述した3個のランプ61〜63の点灯・消灯を切換えるに当たって、現在のエンジン2の回転数をエンジン回転数センサ64(図8参照)によって検出し、この現在のエンジン回転数と、目標とするエンジン回転数(以下、これを単に目標回転数と呼称する)とを比較することによって実施する。除雪中は、車速が上昇することによりオーガ4の負荷が増大してエンジン2の回転数が相対的に低くなり、車速が低下することによって、オーガ4の負荷が低減されてエンジン2の回転数が相対的に高くなる。このため、この除雪機1は、現在のエンジン2の回転数が目標回転数とは異なっている場合には、現在のエンジン2の回転数が目標回転数に近付くように増速指示用ランプ61または減速指示用ランプ62を点灯させる。この結果、この除雪機1においては、操縦者に増速操作または減速操作が必要であることを知らせることができるようになる。
【0031】
詳述すると、コントローラ47は、現在のエンジン2の回転数が目標回転数より高いとき(オーガ4の負荷が相対的に小さいとき)は、車速を上昇させた方が好ましいことを操縦者に知らせるために増速指示用ランプ61を点灯させ、これとは逆に、現在のエンジン2の回転数が目標回転数より低いとき(オーガ4の負荷が相対的に大きいとき)には、車速を低下させた方が好ましいことを操縦者に知らせるために減速指示用ランプ62を点灯させる。前記エンジン回転数センサ64は、従来からよく知られているように、点火パルスからエンジン2の回転数を求める構成のものが用いられている。
【0032】
前記目標回転数は、この実施の形態においては、高回転側の目標回転数と低回転側の目標回転数とが設定されており、これらの目標回転数のうち何れか一方が選択される。前記高回転側の目標回転数は、例えばオーガ4の前記シュート18から雪をより一層遠くへ飛ばすことができるような回転数であって、相対的に高い回転数に設定されている。低回転側の目標回転数は、前進速度が高くなって除雪能率が向上するような回転数であって、相対的に低い回転数に設定されている。これらの目標回転数の数値データは、コントローラ47に設けられたメモリ65(図8参照)に記憶させ、図7に示すように、操作パネル58に設けられたモード選択スイッチ66によって何れか一方が選択される。
【0033】
次に、前記3個のランプ61〜63の点灯・消灯を切り換えるときのコントローラ47の動作を図9に示すフローチャートによって説明する。コントローラ47は、先ず、図9のステップS1で現在のエンジン2の回転数を検出し、ステップS2で目標とするエンジン回転数(目標回転数)をメモリ65から読み出す。このときに読み出される目標回転数は、高回転側の目標回転数と低回転側の目標回転数のうちモード選択スイッチ66によって選択されている一方の目標回転数である。
【0034】
次に、コントローラ47は、ステップS3で示すように、現在のエンジン2の回転数が目標回転数と一致しているか否かを判別し、一致している場合は、ステップS4で良好表示ランプ63を点灯させ、一致していない場合には、ステップS5で現在のエンジン2の回転数が目標回転数より大きいか否かを判別する。この判別結果がYESの場合(現在のエンジン回転数が目標回転数より大きい場合)は、ステップS6で増速指示用ランプ61を点灯させ、前記判別結果がNOの場合には、ステップS7で減速指示用ランプ62を点灯させる。
【0035】
このように増速指示用ランプ61または減速指示用ランプ62が点灯することによって、モード選択スイッチ66により選択されている現在のモードで除雪を行うに当たって車速が適切ではないことを操縦者に知らせることができる。このとき、例えば増速指示用ランプ61が点灯しているときは、操縦者が走行用レバー45を車体前側へ揺動させることによって、車速の増大に伴ってオーガ4の負荷が増大することによりエンジン2の回転数が低下するから、最適な運転状態に近付くようになる。なお、車速が過度に増大した場合や、車速が最適な車速より高い場合は、減速指示用ランプ62が点灯することによって、速度が高いことを操縦者に知らせることができる。
【0036】
したがって、この除雪機1は、増速指示用ランプ61または減速指示用ランプ62が点灯することによって、現在のオーガ4の負荷に対する最適な車速が増速側であるか減速側であるかということを操縦者に知らせることができるから、除雪時の車速を設定するに当たって操縦者の感覚に依存することがない。このため、操縦者が増速指示用ランプ61または減速指示用ランプ62による指示に従って車速を上昇または低下させることによって、効率よく除雪を行うことができる。
【0037】
また、この実施の形態による除雪機1は、増速側に揺動させた走行用レバー45と隣接する位置に増速指示用ランプ61が位置付けられ、減速側(低速で前進する方向)に揺動させた前記走行用レバー45と隣接する位置に減速指示用ランプ62が位置付けられているから、除雪中に増速指示用ランプ61または減速指示用ランプ62が点灯している方向へ走行用レバー45を揺動させることによって、車速がオーガ4の負荷に対して最適な車速に近付くようになる。このため、走行用レバー45の操作を直感的に行うことができる。
【0038】
上述した実施の形態では増速指示手段と減速指示手段をランプによって構成する例を示したが、ランプの代わりにブザーを用いることができる。この構成を採るときの制御系のブロック図を図10に示す。
図10はブザーを用いた参考例を示すブロック図で、同図において、前記図1〜図9によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。図10中に符号71,72で示す増速指示用ブザーと減速指示用ブザーは、操縦者に音によって増速・減速を知らせることができるように構成されており、操作パネル58における車幅方向の一端部と他端部とに設けられている。
【0039】
この参考例によるコントローラ47は、前記本発明の実施の形態において増速指示用ランプ61が点灯するときと同じ場合に増速指示用ブザー71から音を発生させ、本発明の実施の形態において減速指示用ランプ62が点灯するときと同一の場合に減速指示用ブザー72から音を発生させる。
したがって、この参考例によれば、現在のオーガ4の負荷に対して最適になるような車速が現在の車速より増速側であるときは増速指示用ブザー71から音が生じ、これとは逆である場合には減速指示用ブザー72から音が生じるから、操縦者は、除雪中に増速または減速を判断するときに視線を例えば前方から逸らす必要がなくなる。なお、運転状況を音によって操縦者に知らせるために音を発生させる装置としては、ブザーに限定されることはなく、適宜変更することができる。例えば、ブザーに代えて例えば半導体装置を用いた音声再生装置などによって操縦者に音声によって知らせる構成を採ることができる。
【0040】
上述した実施の形態では歩行型除雪機に本発明を適用する例を示したが、本発明は、運転者が乗車して除雪を行う乗用型除雪機にも適用することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、除雪時にオーガの負荷が相対的に小さく、エンジンの回転数が相対的に大きくなる場合には、増速指示手段が作動し、オーガの負荷が相対的に大きく、エンジンの回転数が相対的に小さくなる場合には、減速指示手段が作動するから、前記増速指示手段または減速指示手段が作動することによって、現在のオーガの負荷に対する最適な車速が増速側であるか減速側であるかということを操縦者に知らせることができる。したがって、効率よく除雪を行うに当たって操縦者の感覚に依存することがなく、操縦者が増速・減速指示手段による指示に従って車速を上昇・低下させることにより、効率よく除雪を行うことができる。
【0042】
また、本発明によれば、除雪中に増速指示用表示器または減速指示用表示器が点灯している方向へ車速設定用レバーを揺動させることによって、車速がオーガの負荷に対して最適な車速に近付くようになる。このため、車速設定用レバーの操作を直感的に行うことができ、車速を設定する操作が容易になる。
【0043】
請求項2記載の発明によれば、運転操作が簡単な歩行型除雪機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る除雪機の側面図である。
【図2】 本発明に係る除雪機の平面図である。
【図3】 本発明に係る除雪機の背面図である。
【図4】 車体後部の一部を拡大して示す側面図である。
【図5】 車体後部の一部を拡大して示す背面図である。
【図6】 操作ハンドルの近傍を拡大して示す側面図である。
【図7】 操作パネルの一部を示す平面図である。
【図8】 制御系の構成を示すブロック図である。
【図9】 コントローラの動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】 参考例を示すブロック図である。
【符号の説明】
2…エンジン、45…走行用レバー、47…コントローラ、61…増速指示用ランプ、62…減速指示用ランプ、64…エンジン回転数センサ、71…増速指示用ブザー、72…減速指示用ブザー。
Claims (2)
- エンジンの回転数が略一定になるようにスロットル弁が制御され、前記エンジンによってオーガが駆動される除雪機において、前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転数センサと、増速指示手段および減速指示手段を有する速度指示手段とを備え、前記速度指示手段は、前記エンジン回転数センサによって検出された現在のエンジン回転数と予め定めた目標回転数とを比較し、現在のエンジン回転数が前記目標回転数より大きいときに前記増速指示手段を作動させ、現在のエンジン回転数が前記目標回転数より小さいときに前記減速指示手段を作動させる構成とされ、
前記増速指示手段と減速指示手段とをそれぞれ表示器によって構成し、増速指示手段用の表示器を、増速側に揺動させた車速設定用揺動式レバーと隣接する位置に位置付け、減速指示手段用の表示器を、減速側に揺動させた前記レバーと隣接する位置に位置付けたことを特徴とする除雪機。 - 請求項1記載の除雪機において、車体後部に操作ハンドルを後方へ突出するように設けてなる除雪機。
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