JP4144303B2 - 核医学検査装置の検査スケジュール作成プログラムおよび核医学検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、患者内に分布するポジトロン放出性RI(ラジオアイソトープ)の分布画像を撮影するポジトロンCT装置やガンマカメラなどの核医学検査装置を用いた医療検査のスケジュールを作成するための核医学検査装置の検査スケジュール作成プログラムおよび核医学検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
核医学検査装置の一つであるポジトロンCT装置を使った検査においては、エミッションデータ収集検査の一定時間前(例えば、1時間前)に患者に対してポジトロン放出性RIを含んだブドウ糖などを注入して投薬する必要がある。これは、関心部位の組織内に存在するおそれのあるガン細胞等に対して、ポジトロン放出性RIが分布されるまでにある程度の時間を要するからである。つまり、投薬からエミッションデータ収集検査までには一定時間の待ち時間を要する。
【0003】
したがって、例えば、複数の患者に対してポジトロンCT装置を使った検査を行う場合には、その人数分のストップウォッチを用意しておき、各検査におけるポジトロンCT装置の占有時間を考慮し、時間的に重複しないように紙に記入するとともに、待ち時間から逆算して各患者への投薬時刻を決め、これらを紙のノートに記入している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来手法では、かなりの余裕をもってスケジューリングする必要があって細かいスケジューリングが不可能であるので、ポジトロンCT装置の稼働率を簡単には向上させることができないという問題がある。
【0005】
特に、複数の患者がそれぞれ異なる検査である場合、例えば、ある患者は、トランスミッションデータ収集検査とエミッションデータ収集検査とを別に行い、ある患者はトランスミッションデータ収集とエミッションデータ収集検査とを同時に行うこともある。このような場合には、前者ではトランスミッションデータ収集検査後に投薬を行い、一定の待ち時間後にエミッションデータ収集検査を行う。後者では、先に投薬を行い、一定の待ち時間後にトランスミッション・エミッションデータ収集検査を行う。
【0006】
したがって、複数の検査間における時間関係が分かり辛く、次の検査の患者への投薬時刻を知るためには、逐次その時点で実行中の検査の終了予定時刻から次の検査の開始時刻を求め、さらにそれから待ち時間を逆算して割り出す必要がある。このように、投薬時刻を知る作業が極めて煩雑であるので、その時刻を間違うおそれが高く、待ち時間を検査ごとに一定化することが実質上困難となっている。
【0007】
さらに、複数の検査のいずれかに変更が生じた場合に、どの検査に対して影響があり、その時間的な変更がどの程度であるのかを判別しづらいという問題がある。このような問題は、時間、時刻の記録忘れ、検査の開始忘れ、投薬のタイミング外し等、時間管理に伴うミスの発生を招き易い。
【0008】
また、検査における時間管理が適切に行われているか否かを判断するためには、検査結果とは別に管理され、紙に記載されている時間記録を参照する必要があり、非常に煩わしいという問題もある。
【0009】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、患者ごとの検査の内容および検査順序の情報に応じた投薬のタイミングと検査との時間的重複を避け、同時に検査種別に応じて待ち時間を一定化するスケジューリングにより、核医学検査装置の稼働率を容易に向上させることができ、検査の種別に応じて設定された待ち時間を一定に維持した状態で、変更に伴う再スケジューリングが容易にできる核医学検査装置の検査スケジュール作成プログラムおよび核医学検査装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
【0011】
すなわち、請求項1に記載の発明は、一台の核医学検査装置による検査と、この検査に付随する投薬とを含む患者ごとのスケジュールをコンピュータに作成させるための核医学検査装置の検査スケジュール作成プログラムであって、患者ごとの検査の内容および検査順序の情報を取り込む機能と、検査種別に応じた投薬から検査までの待ち時間を取り込む機能と、前記検査の内容、前記検査順序の情報、および待ち時間に基づき、患者ごとの投薬のタイミング及び検査と、他の患者の投薬タイミング及び検査とが時間的に重複することを回避するように検査スケジュールを作成する機能とを前記コンピュータに実行させることを特徴とするものである。
【0012】
(作用・効果)患者ごとの検査の内容および検査順序の情報を取り込み、検査種別に応じた投薬から検査までの待ち時間を取り込み、検査の内容および検査順序の情報、および待ち時間に基づき患者ごとの投薬のタイミング及び検査と、他の患者の投薬タイミング及び検査とが時間的に重複することを回避するようにスケジュールを決定する。これにより、核医学検査装置の稼働率を容易に向上させることができるとともに、待ち時間を検査ごとに一定化することができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の核医学検査装置の検査スケジュール作成プログラムにおいて、患者ごとのスケジュールが検査種別に応じた時間幅を有する図形で表すとともに、前記図形に、投薬のタイミングと、待ち時間と、検査内容とを表す機能を前記コンピュータに実現させることを特徴とするものである。
【0014】
(作用・効果)図形の並びを見るだけで、スケジュールの状態を直感的に把握することができるので、変更に伴う再スケジューリングが容易にできる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の核医学検査装置の検査スケジュール作成プログラムにおいて、前記患者ごとのスケジュールを図形によってタイムチャート上に表示し、かつ、現在時刻を表すラインがタイムチャート上を時間経過に応じて移動表示する機能を前記コンピュータに実現させることを特徴とするものである。
【0016】
(作用・効果)投薬や検査との現在時刻との時間的関係がリアルタイムで表示されるので、次に行う作業をわかりやすく表示することができる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の核医学検査装置の検査スケジュール作成プログラムにおいて、前記検査スケジュールが完了した後、ポインティンデバイスで移動されたタイムチャート上の前記図形の投薬のタイミングと検査が、他の図形の投薬のタイミングと検査と時間的に重複しないと判断した場合にのみ、その位置に図形を配置することにより、スケジュールを変更する機能を前記コンピュータに実現させることを特徴とするものである。
【0018】
(作用・効果)スケジュール全体の状態を確認しつつ、直感的に患者ごとにスケジュールを容易に変更することができる。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の核医学検査装置の検査スケジュール作成プログラムにおいて、前記患者ごとのスケジュールを管理するとともに、実際の投薬・検査時刻を含む実測値と、核医学検査装置による収集データとを対応付ける機能を前記コンピュータに実現させることを特徴とするものである。
【0020】
(作用・効果)実際の投薬・検査時刻を含む実測値と、収集データとを対応付けることにより、スケジュールからのズレを知ることができるので、検査における時間管理の適切さを容易に判断することができる。
【0021】
また、請求項6に記載の発明は、放射線検出器を備えたガントリと、被検体が載置され、前記ガントリの開口部に進退可能なベッドと、前記放射線検出器で検出されたデータを収集するデータ収集部と、処理部とを備え、前記処理部は、本装置による患者ごとの検査の内容および検査順序の情報を取り込む機能と、検査種別に応じた投薬から検査までの待ち時間を取り込む機能と、前記検査の内容、前記検査順序の情報、および待ち時間に基づき、患者ごとの投薬のタイミング及び検査と、他の患者の投薬タイミング及び検査とが時間的に重複することを回避するように検査スケジュールを作成する機能とを備えているとともに、作成された検査スケジュールに従って投薬が行われ、待ち時間が経過した場合には、前記データ収集部によるデータ収集を行わせ、収集されたデータを記憶することを特徴とするものである。
【0022】
(作用・効果)処理部は、本装置による患者ごとの検査の内容および検査順序の情報を取り込み、検査種別に応じた投薬から検査までの待ち時間を取り込み、検査の内容および検査順序の情報、および待ち時間に基づき患者ごとの投薬のタイミングと及び検査と、他の患者の投薬タイミング及び検査とが時間的に重複することを回避するようにコンピュータが検査スケジュールを決定する。そして、その検査スケジュールに従って投薬が行われ、待ち時間が経過した場合には、ベッドに載置され、ガントリの開口部に挿通された被検体からのデータをデータ収集部により行わせて記憶するので、稼働率を容易に向上させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の一実施例を説明する。
図1及び図2はこの発明の一実施例に係り、図1は実施例に係るポジトロンCT装置の概略構成を示すブロック図であり、図2はポジトロンCT装置の検査スケジュール作成プログラムにおける各機能の関連を示す模式図である。
【0024】
中央部に開口を有するガントリ1は、放射線検出器をリング状に配列してなるリング型検出器を有するマルチリング型検出器3を備えている。これは、例えば、6層分のリング型検出器を、ガントリ1の開口に沿った軸方向に積層されて構成されている。各リング型検出器は、検出器中心間の間隔が一定間隔となるように積層されている。
【0025】
ガントリ1の正面側には、ガントリ1の開口に進退可能なベッド5と、このベッド5を図中の二点鎖線矢印方向に進退駆動するベッド移動装置7とが配備されている。ベッド5の進退駆動は、ガントリ1の開口中心に合わせられた体軸MPに沿って移動制御部9により制御される。
【0026】
データ収集部11は、ベッド5がマルチリング型検出器3に対して移動される際に、ベッド5の各位置における同時計数データ(エミッションデータ/トランスミッションデータ)を収集する。
【0027】
この実施例におけるポジトロンCT装置は、エミッションデータとトランスミッションデータとを同時に収集したり、これらを個別に収集したりすることができるように構成されている。
【0028】
エミッションデータとトランスミッションデータとを別個に収集する場合には、被検体Mへのポジトロン放射性RI(ラジオアイソトープ)の投薬の前に、まずガントリ1に付設された図示しない外部線源から強い放射線を放射しながらデータを収集する。次いで、外部線源からの放射を停止した状態でエミッションデータを収集する。エミッションデータには被検体Mによる吸収の影響が生じているので、これを補正するための吸収補正データをトランスミッションデータから求めるのである。エミッションデータとトランスミッションデータとを同時に収集する場合には、ポジトロン放射線RIを被検体Mに投薬した後、図示しない外部線源から強い放射線を放射しながらトランスミッションデータとエミッションデータとを同時に収集する。
【0029】
コンピュータに相当する処理部13はメモリやCPU等を備え、上述した移動制御部9とデータ収集部11を制御するとともに、後述するポジトロンCT装置の検査スケジュール作成プログラムを実行する。また、時計機能を備えており、後述するように現在時刻に応じた表示をスケジュール上にて行うことができる。検査スケジュール作成プログラムを構成するファイルの内容や各機能は、CRTや液晶表示装置等で構成されている表示部15に表示される。また、患者ごとの検査等の指示は、ポインティングデバイスの一例であるマウス17や、キーボード19を介して行われる。
【0030】
ポジトロンCT装置の検査スケジュール作成プログラムにおける各機能は、例えば、図2に示すように関連している。
【0031】
『収集時に常時用いる機能21』は、機能呼出Xと、本日スケジュールAと、収集パネルPを備えている。「機能呼出X」は、投薬の分量等を計算する機能である分注量計算Lや、後述する検査スケジュール表示/編集Fを呼び出す。「本日スケジュールA」は、今日の検査スケジュールを表示する。「収集パネルP」は、患者ごとに関連付けられ、本日スケジュールAに付随する。本日スケジュールAには、ポジトロンCT装置の校正を行ったときのデータを記憶しているキャリブレーションMと関連付けられている。
【0032】
『検査予約に用いる機能23』は、検査の検索Eと、検査スケジュール表示/編集Fと、特定日の検査スケジュール表示/編集Gを備えている。「検査の検索E」は、検査スケジュールを種々のキーワードによって検索するものである。「検査スケジュール表示/編集F」は、週または月ごとの検査スケジュールを表示したり編集したりする機能である。「特定日の検査スケジュール表示/編集G」は、検査スケジュール表示/編集Fによって編集された検査スケジュールのうち特定日だけを表示・編集する機能を有する。これらの検査スケジュール表示/編集Fと、検査の検索Eと、特定日の検査スケジュール表示/編集Gはそれぞれ関連付けられている。
【0033】
『患者に関連する機能25』は、患者情報Hと、スタディ・シリーズ情報Jと、実測値Nと、検査結果Oとを備える。「患者情報H」は、患者リストKの患者ごとに対応付けられている患者に関する情報を入力したり編集したりする機能である。「スタディ・シリーズ情報J」は、検査内容のほぼ全てを設定することができる機能を有し、そのうちのパラメータについてはパラメータ詳細情報Qに記憶されている。「実測値N」は、スケジュールとは別に、実際に投薬が行われた時刻等をタイムスタンプとして記憶するものである。「検査結果O」は、患者ごとに収集したトランスミッション/エミッションデータや、これらに基づく再構成画像を記憶する。患者情報Hと、スタディ・シリーズ情報Jと、実測値Nと、検査結果Oとは、患者ごとに関連づけられている。
【0034】
図3から図6を参照する。なお、図3は予約カレンダーの内容をウィークビューで表示した状態を示す図であり、図4は患者情報ファイルの患者情報の内容を表示した状態を示す図であり、図5は患者情報ファイルのスタディ・シリーズ情報の内容を表示した状態を示す図であり、図6は患者情報ファイルのスタディ・シリーズ情報に付随するパラメータ詳細設定情報の内容を表示した状態を示す図である。
【0035】
図3に示すように、機能呼出Xによって検査スケジュール表示/編集Fを呼び出した場合には、予約カレンダー27が表示部15に表示される。予約カレンダー27では、検査スケジュール表示/編集Fに基づいて月週日選択領域R1にてオペレータがマウス17やキーボード19で指示した月週日におけるスケジュールを表示または編集する。選択された月週日におけるスケジュールが存在する場合には、患者名とともにスケジュール表示領域R2に表示される。スケジュールの新規予約の作成や削除等の編集指示は、編集領域R3を指示することによって行われる。
【0036】
予約カレンダー27においてスケジュール表示領域R2の特定患者名を選択した場合には、図4に示すように患者情報Hおよびスタディ・シリーズ情報Jに基づくインフォメーション29が表示される。患者領域29aには、患者名および患者IDが確認的に表示される。患者タブ29bが選択されている場合には、患者名と、患者IDと、生年月日と、年齢等の患者情報が表示/編集可能な状態となる。オペレータは、マウス17で所望の箇所を指示し、キーボード19で患者に関する情報を入力・編集する。
【0037】
インフォメーション29において検査タブ29cを指示した場合には、図5に示すようにスタディ・シリーズ情報Jに基づく情報が表示される。検査タブ29cが選択されている場合には、頭部や心臓等の部位と、核種と、投薬の量と、2Dあるいは3Dの収集モードと、トランスミッションデータとエミッションデータを同時に測定するか別個に測定するかを指示する収集と、プロトコル名と、患者の向きと、画像の向き等を設定可能になっている。ここでは、これらの値が異なる場合には異なる検査種別を表すものとする。また、投薬から検査開始までの待ち時間が一定になるように、検査種別ごとに待ち時間を待ち時間設定部29dに設定するようになっている。
【0038】
プロトコル名をドロップダウンリストから選択または新規作成する場合には、図6に示すように、パラメータ詳細情報Qに基づくパラメータ詳細設定31が表示される。これは、上述したインフォメーション29における検査タブ29cの情報のうちの重要なパラメータを予め名称を付けてセットで設定するものである。
【0039】
次に、ポジトロンCT装置の作成プログラムにおける検査予約操作について説明する。
まず、オペレータは、機能呼出Xから検査スケジュール表示/編集Fを選択する。すると、図3に示す予約カレンダー27が表示部15に表示される。この状態で、所望の月日に検査順序に応じて患者名等を入力する。このとき図4に示すインフォメーション29が表示されるので、患者に応じた検査を指示する。
【0040】
次に、前記所望の月日における患者等の入力が完了し、スケジュール作成の開始を指示する。すると処理部13は、検査スケジュール表示/編集Fと、患者情報Hと、スタディ・シリーズ情報J等を参照し、前記所望の月日におけるスケジュールを作成する。その作成は、以下のように行われる。
【0041】
ここでは、図7に示すように、患者M1〜M4までの四人の患者がその順序で検査することが指示され、かつ患者M1はトランスミッション・データとエミッション・データが別個に収集され、患者M2〜M4はそれらが同時に収集されるように指示されたものとする。なお、図7は、指示された患者ごとの検査および検査順序でスケジューリングが行われる様子を示す模式図である。
【0042】
ここで符号FGは、指示された患者の検査種別に応じた時間幅を有する図形である。なお、患者M1〜M4はそれぞれ検査種別が異なり、それらの時間幅はそれぞれ図形FGの時間幅35〜38と、待ち時間39〜42とがそれぞれ異なるものとする。患者M1〜M4に対応付けられたインフォメーション29(J)やパラメータ詳細設定31(Q)により、各図形FGの時間幅35〜38が決まるとともに、各図形FG内におけるトランスミッションデータTDの収集タイミングと、投薬IJのタイミングと、検査種別ごとに設定された待ち時間39〜42と、エミッションデータEDの収集タイミングが決まる。
【0043】
そして、処理部13は、各図形FGにおける検査、つまりトランスミッションデータTDの収集タイミングと、エミッションデータEDの収集タイミングとが時間的に重複しないように配置してゆく。また、その際に、待ち時間39〜42が患者ごとに変動しないように、換言すると、検査種別に応じて患者ごとに設定された待ち時間を一定に維持した状態で、検査の内容および検査順序の情報に応じた投薬のタイミングと検査とが時間的に重複することを回避するようにする。つまり、待ち時間を一定に維持した状態で、重複しないように配置してゆく。したがって、待ち時間を伸縮してまで重複を回避して配置するようなスケジューリングは行わない。
【0044】
上記の条件を満たすように、患者M1〜M4の順序で検査を行う場合のスケジュールは、例えば、図7に示すようになる。
すなわち、患者M1は、トランスミッション・データTDの収集が時刻t1〜t2の間に行われ、その後、投薬IJが時刻t3において行われる。そして、時刻t3〜t6の待ち時間39の後、時刻t7〜t9の間にエミッション・データEDの収集が行われる。また、患者M2は、投薬IJが時刻t5において行われ、時刻t5〜t10の待ち時間40の後、トランスミッション・データTDとエミッション・データEDの収集が時刻t10〜t11にわたって行われる。患者M3,M4については、上記患者M2と同様に行われ、その結果、スケジュールの対象としてオペレータによって指示された患者M1〜M4について、投薬IJ後の待ち時間が検査種別ごとに一定に維持した状態で、検査と投薬のタイミングとが時間的に重複しないように配置される。
【0045】
このように、検査種別に応じて患者ごとに設定された投薬から検査までの待ち時間を一定に維持した状態で、検査の内容および検査順序の情報に応じた投薬のタイミングと検査とが時間的に重複することを回避するようにスケジュールを決定することにより、ポジトロンCT装置の稼働率を容易に向上させることができるとともに、待ち時間を検査ごとに一定化することができる。また、図形FGの並びを見るだけで、スケジュールの状態を直感的に把握することができるので、変更に伴う再スケジューリングが容易にできる。
【0046】
ところで、図7中において、符号43で例示しているのは余裕時間である。この余裕時間43は、ポジトロンCT装置のベッド5に横たわる被検体Mを瞬時に入れ替えることはできないので、入れ替えにかかる時間を考慮して設けてある。したがって、上述したスケジューリングにおいて、処理部13は時間的な幅がその分広がっている図形FGの配置を行うことになる。
【0047】
処理部13が上記のようにスケジューリングを完了すると、予約カレンダー27は、例えば、図8に示すように表示される。つまり、そのスケジュール表示領域R2には、上記のスケジューリング結果に基づいて患者ごとに図形FGが表示される。なお、図8は、予約カレンダーの内容をデイビューで表示した状態を示す図である。
【0048】
オペレータは、スケジュール表示領域R2を確認するが、その変更が必要になった場合は、図9に示すようにして簡単に変更が可能である。なお、図9は予約カレンダーをデイビューで表示した状態において、予定を変更する様子を示す模式図である。
【0049】
例えば、患者の来院予定時刻の関係で、スケジューリングされたタイミングで投薬することができない場合を例に採って説明する。この場合、まず、オペレータは、マウス17を操作して変更したい患者の図形FGにカーソルCSを移動し、その投薬IJを患者の来院時刻より後の適宜の時刻にドラッグする(図9(a))。すると、処理部13は、ドラッグされた位置において上述したスケジューリングを上記の患者についてのみ再度行って、重複がなければその位置に図形FGを表示する(図9(b))。なお、ドラッグによる位置に問題がある場合には、その位置を避けた良好な位置に他の検査を自動的にずらして配置するようにしてもよいし、この他に、ドラッグにより配置した検査を優先し、その配置の障害となる検査自体を移動させるようにしてもよい。上記の機能により、スケジュール全体の状態を確認しつつ、直感的に患者ごとにスケジュールを容易に変更することができる。
【0050】
次に、図10を参照して上記のようにして予めスケジューリングした日における動作について説明する。なお、図10は、予約カレンダーのデイビュー表示において、現在時刻が移動することを説明する図である。
【0051】
オペレータが機能呼出Xから本日スケジュールAを指示すると、検査スケジュール表示/編集F、患者情報H等に基づき、処理部15が本日スケジュールAを表示部15に表示する。処理部13は、内部に時計機能を備えており、現在時刻に応じて現在時刻ラインPT(図中の二点鎖線)を本日スケジュールAに重ね合わせ表示させる。この現在時刻ラインPTは、時間の経過に応じて移動するように表示される。したがって、投薬のタイミングや検査タイミングが表されている図形FGとの時間的位置関係から、次に何をするべきかが容易にわかる。
【0052】
ところで投薬等は、人間が行うことであるので、スケジュール通りに確実に実施されない場合がある。その点を考慮して、実際に投薬を行ったり、後述するように検査を開始したりした時点における時刻の実測値を記録することが好ましい。その実測値は、図示しない表示部15に表示されたタイムスタンプボタンをマウス17で指示すること等により、処理部13によって実測値Nに自動的にその時刻が記録される。また、キーボード19等からタイムスタンプを記憶するように指示してもよい。
【0053】
なお、実際の投薬時刻がスケジュールされたものと異なる場合には、それ以降のスケジュールを変更することが好ましい。
【0054】
具体的には、実際の投薬時刻を入力する過程と、スケジュールされた投薬時刻と前記実際の投薬時刻とを比較する過程と、前記比較結果が不一致である場合には、検査スケジュールを再度作成し直す過程とを行う。上述したように、投薬は人間が行う作業あるいは人間に対して行う作業であるので、スケジュール通りには実施できず、スケジュールと実際の投薬時刻がずれる場合がある。例えば、薬液の準備が遅れた場合や、投薬する予定の時刻に患者が来院していなかった場合等がある。
【0055】
そこで、このような状況を、実際の投薬時刻とスケジュールされた投薬時刻とを比較することで判断し、その結果が一致していない場合にはスケジューリングを再び行うようにする。これにより、それ以降のスケジュールを自動的に変更することができ、それ以降の検査等が忙しくなるようなことを防止できる。
【0056】
スケジュールに従って投薬が行われ、いずれかの待ち時間35〜38が経過すると、ポジトロンCT装置による検査を開始する。それらの各々の経過前には、例えば、図11に示すような収集パネルPが表示部15に表示され、この中にはスケジューリングされたエミッションデータ/トランスミッションデータの収集開始時刻(検査時刻)である収集開始予定時刻44が表示される。この表示中の開始ボタン45をマウス17で指示することにより、ポジトロンCT装置による検査が開始されるとともにデータ収集が行われる。収集されたデータは、検査結果Oとして患者に関連付けて記憶されるとともに、実測値Nに自動的に検査時刻が対応付けて記憶される。また、検査結果Oに基づいてRI分布像が再構成された場合には、そのデータも検査結果Oに記憶される。
【0057】
このように、実際の投薬・検査時刻を含む実測値の実測値Nと、収集データの検査結果Oとを対応付けることにより、スケジュールからのズレを知ることができるので、検査における時間管理の適切さを容易に判断することができる。
【0058】
なお、この発明は上述した実施例に限定されるものではなく、以下のように変形実施が可能である。
【0059】
(1)上述した実施例では、トランスミッション・データとエミッション・データとを同時に計測したり別個に計測したりするポジトロンCT装置を例に採って説明したが、同時・別個のいずれか一方だけを検査することができるポジトロンCT装置であってもよい。
【0060】
(2)患者ごとの検査スケジュールを行うだけで、実際の投薬・検査時刻を含む実測値と、ポジトロンCT装置による収集データとの対応付けを行わなくてもよい。
【0061】
(3)タイムチャート上の図形をマウス17で移動させることにより、スケジュールを変更するのではなく、キーボード19等から時刻を直接入力してスケジュールを変更するようにしてもよい。
【0062】
(4)患者ごとのスケジュールが図形FGによってタイムチャート上に表示され、かつ、現在時刻ラインPTがタイムチャート上を時間経過に応じて移動表示するのではなく、単に現在時刻を表示するだけでもよい。
【0063】
(5)患者ごとのスケジュールが検査種別に応じた時間幅を有する図形によって表現するのではなく、文字列によって表すようにしてもよい。
【0064】
(6)図3〜6、図8〜11は、表示態様の一例であり、この発明はこれらの表示態様に限定されるものではない。
【0065】
(7)本発明はポジトロンCT装置に限定されるものではなく、ガンマカメラ等の核医学検査装置にも適用することが可能である。
【0066】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、患者ごとの検査の内容および検査順序の情報を取り込み、検査種別に応じた投薬から検査までの待ち時間を取り込み、検査の内容および検査順序の情報、および待ち時間に基づき患者ごとの投薬のタイミング及び検査と、他の患者の投薬タイミング及び検査とが時間的に重複することを回避するようにスケジュールを決定する。これにより、核医学検査装置の稼働率を容易に向上させることができるとともに、待ち時間を検査ごとに一定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例に係るポジトロンCT装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】 ポジトロンCT装置の検査スケジュール作成プログラムにおける各機能の関連を示す模式図である。
【図3】 予約カレンダーの内容をウィークビューで表示した状態を示す図である。
【図4】 患者情報ファイルの患者情報の内容を表示した状態を示す図である。
【図5】 患者情報ファイルのスタディ・シリーズ情報の内容を表示した状態を示す図である。
【図6】 患者情報ファイルのスタディ・シリーズ情報に付随するパラメータ詳細設定情報の内容を表示した状態を示す図である。
【図7】 指示された患者ごとの検査および検査順序でスケジューリングが行われる様子を示す模式図である。
【図8】 予約カレンダーの内容をデイビューで表示した状態を示す図である。
【図9】 予約カレンダーをデイビューで表示した状態において、予定を変更する様子を示す模式図であり、(a)はドラッグする様子を示し、(b)はドラッグ後の様子を示す。
【図10】 予約カレンダーのデイビュー表示において、現在時刻が移動することを説明する図である。
【図11】 検査時に表示される収集パネルを示す図である。
【符号の説明】
1 … ガントリ
3 … マルチリング型検出器
5 … ベッド
11 … データ収集部
13 … 処理部(コンピュータ)
21 … 収集時に常時用いる機能
X … 機能呼出
A … 本日スケジュール
P … 収集パネル
23 … 検査予約に用いる機能
F … 検査スケジュール表示/編集
25 … 患者に関連する機能
H … 患者情報
J … スタディ・シリーズ情報
N … 実測値
O … 検査結果
K … 患者リスト
27 … 予約カレンダー
29 … インフォメーション
FG … 図形
35〜38 … 時間幅
39〜42 … 待ち時間
PT … 現在時刻ライン
Claims (6)
- 一台の核医学検査装置による検査と、この検査に付随する投薬とを含む患者ごとのスケジュールをコンピュータに作成させるための核医学検査装置の検査スケジュール作成プログラムであって、患者ごとの検査の内容および検査順序の情報を取り込む機能と、検査種別に応じた投薬から検査までの待ち時間を取り込む機能と、前記検査の内容、前記検査順序の情報、および待ち時間に基づき、患者ごとの投薬のタイミング及び検査と、他の患者の投薬タイミング及び検査とが時間的に重複することを回避するように検査スケジュールを作成する機能とを前記コンピュータに実行させることを特徴とする核医学検査装置の検査スケジュール作成プログラム。
- 請求項1に記載の核医学検査装置の検査スケジュール作成プログラムにおいて、患者ごとのスケジュールが検査種別に応じた時間幅を有する図形で表すとともに、前記図形に、投薬のタイミングと、待ち時間と、検査内容とを表す機能を前記コンピュータに実現させることを特徴とする核医学検査装置の検査スケジュール作成プログラム。
- 請求項1または2に記載の核医学検査装置の検査スケジュール作成プログラムにおいて、前記患者ごとのスケジュールを図形によってタイムチャート上に表示し、かつ、現在時刻を表すラインがタイムチャート上を時間経過に応じて移動表示する機能を前記コンピュータに実現させることを特徴とする核医学検査装置の検査スケジュール作成プログラム。
- 請求項2または3に記載の核医学検査装置の検査スケジュール作成プログラムにおいて、前記検査スケジュールが完了した後、ポインティンデバイスで移動されたタイムチャート上の前記図形の投薬のタイミングと検査が、他の図形の投薬のタイミングと検査と時間的に重複しないと判断した場合にのみ、その位置に図形を配置することにより、スケジュールを変更する機能を前記コンピュータに実現させることを特徴とする核医学検査装置の検査スケジュール作成プログラム。
- 請求項1から4のいずれかに記載の核医学検査装置の検査スケジュール作成プログラムにおいて、前記患者ごとのスケジュールを管理するとともに、実際の投薬・検査時刻を含む実測値と、核医学検査装置による収集データとを対応付ける機能を前記コンピュータに実現させることを特徴とする核医学検査装置の検査スケジュール作成プログラム。
- 放射線検出器を備えたガントリと、被検体が載置され、前記ガントリの開口部に進退可能なベッドと、前記放射線検出器で検出されたデータを収集するデータ収集部と、処理部とを備え、前記処理部は、本装置による患者ごとの検査の内容および検査順序の情報を取り込む機能と、検査種別に応じた投薬から検査までの待ち時間を取り込む機能と、前記検査の内容、前記検査順序の情報、および待ち時間に基づき、患者ごとの投薬のタイミング及び検査と、他の患者の投薬タイミング及び検査とが時間的に重複することを回避するように検査スケジュールを作成する機能とを備えているとともに、作成された検査スケジュールに従って投薬が行われ、待ち時間が経過した場合には、前記データ収集部によるデータ収集を行わせ、収集されたデータを記憶することを特徴とする核医学検査装置。
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