JP4144202B2 - 住宅避難安全性評価システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅の避難安全性を評価する住宅避難安全性評価システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、住宅の避難安全性を評価する方法では、若干の火災覚知遅れ状態を想定し、この場合の避難経路の安全性を評価していた。この従来の評価方法の主旨は、住居内のどの空間で火災が発生しても避難経路が確保されていることを確認し、必要であれば住宅の設計を変更するためのものであった。
【0003】
その具体的な評価方法は、居室及び出火室を特定し、考え得る居室からの避難経路を想定し、個々の避難経路毎に避難に支障を来す障害要因を抽出し、予め定められた障害要因の障害度を用いて避難障害度を算出するものであり、居室及び出火室は住宅内の全ての空間に適用し、住居全体の評価をする。
【0004】
(参照「建築物の総合防火設計法第1巻総合防火設計法」監修:建設省大臣官房技術調査室、編集:(財)国土開発技術研究センター、発行:(財)日本建築センター 平成元年4月10日発行)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の従来の住宅避難安全性の評価方法は、住宅に設置された火災感知器や火災感知システム設備等の有無による影響は考慮されておらず、若干の火災覚知遅れ状態を想定して火災がある程度進展している場合の評価を行っている。
【0006】
従って、火災感知器等が設置されていることによって火災を初期に感知し、早期に避難を開始することが可能な避難安全性が向上した住宅についての評価ができなった。また、最近、住宅の品質確保の促進等に関する法律が施行され、住宅性能表示制度がスタートし、その中には火災安全性のグレードを火災感知器及び火災感知システム設備の設置状況により決定することとなったため、今後戸建て住宅における火災感知器の普及が期待できるが、火災感知器の設置状況によりどれだけ避難安全性に効果が現れるかを評価するシステムが存在しなかった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたものであって、その目的とするところは火災感知器や火災感知システム設備等の火災感知関連機器の設置状況による効果(避難安全性)の差を情報として提供するとともに、より安全な住宅の提案を可能とする住宅避難安全性評価システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の住宅避難安全性評価システムの発明では、住宅の3次元形状データを入力させる住宅形状入力部と、住宅形状入力部で入力された住宅内における火源の位置及び規模を入力させる火源データ入力部と、火災感知器の種別、感度、及び上記住宅内における取付け位置を入力させる感知器データ入力部と、住宅形状入力部および火源データ入力部それぞれで入力されたデータを基に二層ゾーンモデルを利用して住宅内の温度、煙濃度、煙層の厚さを計算する火災性状計算部と、火災性状計算部の結果と感知器データ入力部で入力されたデータとを基に、火災感知器が火災と判断して発報するまでの時間である動作時間を計算する感知器動作計算部と、上記住宅内における人の位置と避難口とを特定し、当該位置の人が当該避難口まで避難する避難経路を特定する避難経路特定部と、避難経路特定部で特定された避難経路の距離と人の歩行速度とから避難に要する時間を計算する避難時間計算部と、火災性状計算部の計算結果から避難経路が危険になる時間と、感知器動作計算部で計算された火災感知器の動作時間と避難時間計算部で計算された避難に要する時間とを加算した時間とを求め、上記避難経路が危険になる時間から上記加算した時間を引いた値によって安全度を判断する避難安全度判断部とを有し、避難安全度判断部は、上記避難経路が危険になる時間の計算にあたっては、火災性状計算部で計算された煙層の厚さが人体に危険を及ぼす厚さになる時間、あるいは煙層が人体に危険を及ぼす温度になる時間により避難経路が危険になる時間を計算し、上記避難の安全度を判断するにあたっては、上記避難経路が危険になる時間から上記加算した時間を引いた値が大きいほど安全度が高いと判断し、上記避難経路が危険になる時間から上記加算した時間を引いた値が小さいほど安全度が低いと判断することを特徴とする。
【0009】
請求項2の住宅避難安全性評価システムでは、請求項1の発明において、就寝状態や人の年齢層を含む上記住宅内の人の状況データを入力させる居住者状況入力部と、居住者状況入力部で入力された状況データ及び上記住宅内の人の位置を基に上記住宅内の人が避難するのに要する時間を計算する居住者避難時間計算部と、通常の住居内動線の経路が使用できないケースにおいて避難する上で障害となる障害要因を入力する障害要因入力部と、居住者避難時間計算部の計算結果および障害要因入力部で入力された障害要因から、上記避難安全判断部で得られた安全度を修正する第2避難安全度判断部とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明の住宅避難安全性評価システムでは、請求項1または2の発明において、上記安全度のレベルが相対的に低い場合に、火災感知器の増設や、各室から少なくとも2方向に避難可能な構造とするなどの提示を行う改善項目提示部を有していることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明を実施形態に基づいて説明する。
(実施形態1)
図1は本発明方法を用いた住宅避難安全性評価システムの一実施形態のシステム構成を示しており、第1の入力部たる住宅形状入力部10、第2の入力部たる火源データ入力部11、第3の入力部たる感知器データ入力部12、第1の計算部たる火災性状計算部20、第2の計算部たる感知器動作計算部21、避難経路特定部3、第3の計算部たる避難時間計算部22、第1の判断部たる避難安全度判断部40を備えている。ここで本発明の住宅避難安全性評価システムは実際には汎用のコンピュータ等のコンピュータシステムを用い、各入力部10〜12はキーボード、メディアからのデータ読み込みを行う各種外部記憶装置などから構成され、各計算部20〜22,避難経路特定部3,避難安全度判断部40の各機能はコンピュータの中央演算処理装置が予め各計算部20〜22の計算機能及び、避難経路特定部3,避難安全度判断部40の演算処理機能に対応して予めローディングされているプログラムを実行することで実現される。またデータの入出力の確認や避難安全度判断部40の判断結果の提示はコンピュータシステムに備わっているモニタを用いるとともに、必要に応じてプリンタ等によって印字できるようになっている。
【0014】
さて上記住宅形状入力部10は、住宅の3次元形状データを入力する部分で、CADで記述された個々の住宅の設計データを入力可能とするほか、予めサイズが決められた住宅のパーツ(居室、廊下、階段、扉等)をモニタ(図示せず))で表示される入力画面上で、ポインティングデバイス等を組み合わせることによって形成された住宅の形状データを入力としてもよい。
【0015】
火源データ入力部11は、火源の位置及び規模を入力する部分で、住宅形状入力部10で入力された住宅内のどの位置で火災が発生したと想定するかを入力するとともに、火災の規模を入力する。この場合モニタに表示される住宅の平面図上に火源の位置を入力してもよい。
【0016】
火災の規模は、発熱速度Q[kW]で入力する他、予め決められた火災の種類(布団くん焼火災、てんぷら火災など)と発熱速度の関係を用いて、火災の種類を特定することにより入力してもよい。ここで、発熱速度Qは時間によって変化する関数(例えば、Q=αt2)を用いてもよい。(α:火災成長率、t:時間)
感知器データ入力部12は、火災感知器の種別、感度、及び取付け位置を入力する部分で、種別は、熱感知器、煙感知器、無煙複合感知器等を入力し、感度は、それぞれの感知器に対して、火災と判断して警報を発するレベル(温度、煙濃度、あるいは複合アルゴリズムなど)を入力する。
【0017】
火災性状計算部20は、住宅形状入力部10と火源データ入力部11で入力されたデータを基に住宅内の温度、煙濃度、煙層の厚さを計算する部分で、具体的な方法は、建築火災安全設計で利用されている公知の二層ゾーンモデル(参照 建築物の総合防火設計法第3巻避難安全設計法 監修:建設省大臣官房技術調査室 編集:(財)国土開発技術研究センター 発行:(財)日本建築センター 平成元年4月10日発行 )を用いるのが有効である。この二層ゾーンモデルは、火源の性状と部屋のサイズ、開口などを入力とし、部屋の温度、煙濃度、隣室への煙の流れを予測することができる。
【0018】
但し、現状の二層ゾーンモデルは、空間を火災によって温度が上昇した上部層と常温の下部層の二層に分かれると仮定し、それぞれの層内の物理的性質(温度、煙濃度など)は一様であると仮定しているため、火災感知器を取り付けた付近の温度、煙濃度を予測する精度は十分とは言えない。
【0019】
そこで、上部層内の温度や煙濃度の分布を考慮することでより精度の高い予測が可能となる。
【0020】
感知器動作計算部21は、火災性状計算部20で計算された部屋の温度、煙濃度のデータと、感知器データ入力部12で入力された感知器データを基に火災感知器の動作時間T2を計算する部分で、火災感知器が取り付けられた住宅内の位置における温度や煙濃度が、火災感知器が火災と判断して警報を発するレベルに達した時間を計算するものである。
【0021】
避難経路特定部3は、住宅形状入力部10で入力された住宅データに対応した住宅内の一つの人の位置と少なくとも一つの避難口(玄関、裏口など)を特定し、当該位置の人が当該避難口まで避難する経路を特定するため演算処理を行う。。
【0022】
避難時間計算部22は、避難経路特定部3で特定された避難経路に対して、住宅内における人の位置から避難に要する時間T3を計算するもので、避難経路の距離と、人の歩行速度から避難に要する時間T3を計算する。
【0023】
避難安全度判断部40は、火災性状計算部3から導かれる避難経路が危険になる時間T1と、感知器動作時間T2と避難に要する時間T3とを足した時間T4を比較して避難の安全度を判断し、その判断結果をモニタ(図示せず)やプリントアウトする部分である。
【0024】
而して本実施形態システムは、図2に示すようにステップS1で各入力部20〜23によるデータ入力を行い、このデータ入力が終了すると火災性状計算部20により火災性状計算部3による計算を行い(ステップS2)、次のステップS3では、火災性状計算部20で計算された部屋の温度、煙濃度のデータと、感知器データ入力部12で入力された感知器データを基に火災感知器の動作時間T2が感知器動作計算部21により計算される。
【0025】
この火災感知器の動作時間T2の計算後、ステップS4において、避難時間計算部22によって避難時間T3が計算される。そしてステップS5では避難安全度判断部40が、感知器動作計算部21で計算された火災感知器の動作時間T2と避難時間計算部22で計算した避難時間T3とを加算して時間T4が求め、また火災性状計算部20で導かれる避難経路が危険になる時間T1を求め(ステップS6)、この時間T1と上記時間T4とをステップS7で比較する。
【0026】
ここで時間T1の計算に当たっては、例えば、避難経路において、火災性状計算部20で計算された煙層の厚さを用いて、煙層が人体に危険を及ぼす高さまで降下する時間とする。例えば、人体に危険を及ぼす高さを床から1.8mの位置とすると、避難経路のある位置の天井の高さが2.4mの場合、その位置の煙層の厚さが0.6mになった時点を避難経路が危険になる時間T1とする。また、煙層が人体に危険を及ぼす温度になる時間をT1に用いてもよい。
【0027】
而してステップS7の比較結果が時間T1>時間T4の場合には、避難経路が危険になる時間T1の方が火災を感知して避難する時間T4よりも大きいので、避難安全度判断部40は、安全に避難できると判断し、逆に時間T1<時間T4の場合には、避難経路が危険になっている可能性があると判断する。これらの判断結果をモニタに表示したり、プリントアウトすることで提示する。
【0028】
尚、時間T1<時間T4であっても、時間T1になった時点で危険になった避難経路の空間を避難者が通過していれば、避難可能であると判断することも可能である。
【0029】
また時間T1と時間T4との差を用いて、時間T1−時間T4が大きければ安全度が高く、小さければ安全度が低いと判断でき、時間T1−時間T4の値によって安全度を評価することも可能である。安全度は、例えば、表1のように考えることができる。
【0030】
【表1】
【0031】
(実施形態2)
本実施形態は、実施形態1の構成に加えて、図3に示すように第4、第5の入力部として居住者状況入力部13及び障害要因入力部14を設け、また第4の計算部として居住者避難時間計算部23を設け、更に第2避難安全度判断部41、改善項目提示部5を設けている。ここで入力部13,14は他の入力部10〜12と同様にコンピュータシステムの入力手段を用いる。また居住者避難時間計算部23,第2避難安全度判断部41及び改善項目提示部5は共にコンピュータシステムの中央演算処理装置が実行するプログラムによりその機能が実現されている。
【0032】
居住者状況入力部13は、居住者の状況を入力する部分で、居住者の就寝の有無や、老人、子供等の体力によって区分される人の年齢層を含む人の状況データを入力する。
【0033】
居住者避難時間計算部23は、居住者状況入力部13で入力されたデータを基に住宅内の人が避難するのに要する時間を計算する部分で、予め定められた居住者の状況に応じた避難に要する時間への影響度合いを用いて計算する。例えば、就寝中の場合、火災警報器の警報が鳴ってから避難を開始するまでに時間を要するため、その時間を避難に要する時間に足したり、老人、子供の場合には、歩行速度が大人の健常者よりもゆっくりであると想定して、歩行速度を遅くして避難時間を計算する。
【0034】
障害要因入力部14は、火源の位置が玄関であったり、階段であったりした場合のように、通常の住居内動線の経路(主要避難経路)が使用できないケースにおいて、窓から避難する、2階のバルコニーから飛び降りるなど避難する上で障害となる要因を入力する手段である。避難障害要因としては、例えば表2に示すような要因が挙げられる。
【0035】
【表2】
【0036】
第2避難安全度判断部41は、障害要因入力部14の入力データから、予め定められた障害要因とその障害度の関係から、障害要因による避難障害度を求め、その避難障害度と第1の避難安全度判断部40の結果から得られる避難安全度とを基に再度安全度を判断する部分である。
【0037】
障害要因と障害度の関係は表2のように考えられ、障害度の絶対値が大きいほど障害が大きいとする。例えば、第1の避難安全度判断部40において、時間T1<時間T4となり、避難経路が危険になっている可能性があると判断された場合でも、危険な避難経路を通らずに窓から避難する経路を選択し、その障害要因の障害度が小さければ、危険度は小さいと判断できる。
【0038】
例えば図4のフローチャートに示すようにステップS7(図2のステップS7と同じ)で避難経路が危険であると判断される(ステップS8)と、時間T1と時間T4の差を見て(ステップS9)、例えば−20より小さい場合には避難安全度判断部40は表1を基に安全度を−3と判断する(ステップS10)。この判断結果に基づいて第2避難安全度判断部41では居住者避難時間計算部23の計算結果及び障害要因(表2)から例えば「2階のバルコニーから1階屋根を経由して避難する経路(障害度:1)」を選択する判断を行い(ステップS11)、安全度を−3から安全度−1へと修正し(ステップS12)、この判断結果をモニタに表示させたり、プリントアウトさせることで提示する。
【0039】
尚総合的に安全度を判断する場合、表2の障害度はマイナスの値で示す。ここで、避難経路に複数の障害要因がある場合には、それらの障害度を足してその避難経路の障害度とする。
【0040】
そして改善項目提示部42は、第1の避難安全度判断部40又は第2避難安全度判断部41から得られた安全度に応じて、安全度をより増すための改善項目を提示する処理を行う。例えば、第1の避難安全度判断部40で避難経路が危険になると判断された場合において、火災感知器の設置が不十分である場合、各室に火災感知器を設置することを提示し、火災感知時間を早めて避難時間に余裕を持たせることにより安全度を向上させることや、各室から少なくとも2方向に避難可能な構造とするなどの提示をモニタやプリントアウトにより行う。尚改善項目などは予めコンピュータシステムに設けたデータベースに格納しており、改善項目提示部42は避難安全度判断部41の判断結果と、対象となる住宅の状態等のデータを条件としては適切な改善項目を抽出するのである。
【0041】
図5に示すような改善項目の提示例を示す。このように改善を実施した場合の避難安全性を上記避難安全判断部41の結果を用いて示すとよりわかりやすい。住宅の総合的な避難安全性を評価するためには、全ての空間で火災の可能性があると想定し、どこで火災が起きた場合においても、どの居室にいても安全に避難できるかどうかを評価する必要があるので、起こり得る全てのパターンにおいて評価を実施する必要がある。
【0042】
【発明の効果】
請求項1の住宅避難安全性評価システムの発明は、住宅の3次元形状データを入力させる住宅形状入力部と、住宅形状入力部で入力された住宅内における火源の位置及び規模を入力させる火源データ入力部と、火災感知器の種別、感度、及び上記住宅内における取付け位置を入力させる感知器データ入力部と、住宅形状入力部および火源データ入力部それぞれで入力されたデータを基に二層ゾーンモデルを利用して住宅内の温度、煙濃度、煙層の厚さを計算する火災性状計算部と、火災性状計算部の結果と感知器データ入力部で入力されたデータとを基に、火災感知器が火災と判断して発報するまでの時間である動作時間を計算する感知器動作計算部と、上記住宅内における人の位置と避難口とを特定し、当該位置の人が当該避難口まで避難する避難経路を特定する避難経路特定部と、避難経路特定部で特定された避難経路の距離と人の歩行速度とから避難に要する時間を計算する避難時間計算部と、火災性状計算部の計算結果から避難経路が危険になる時間と、感知器動作計算部で計算された火災感知器の動作時間と避難時間計算部で計算された避難に要する時間とを加算した時間とを求め、上記避難経路が危険になる時間から上記加算した時間を引いた値によって安全度を判断する避難安全度判断部とを有し、避難安全度判断部は、上記避難経路が危険になる時間の計算にあたっては、火災性状計算部で計算された煙層の厚さが人体に危険を及ぼす厚さになる時間、あるいは煙層が人体に危険を及ぼす温度になる時間により避難経路が危険になる時間を計算し、上記避難の安全度を判断するにあたっては、上記避難経路が危険になる時間から上記加算した時間を引いた値が大きいほど安全度が高いと判断し、上記避難経路が危険になる時間から上記加算した時間を引いた値が小さいほど安全度が低いと判断するので、火災感知器及び火災感知システム等の火災感知関連機器の違いによる住宅の避難安全性の差を確認・評価し、より安全な住宅の提案を可能とするシステムを実現できるという効果がある。
【0043】
請求項2の住宅避難安全性評価システムは、請求項1の発明において、就寝状態や人の年齢層を含む上記住宅内の人の状況データを入力させる居住者状況入力部と、居住者状況入力部で入力された状況データ及び上記住宅内の人の位置を基に上記住宅内の人が避難するのに要する時間を計算する居住者避難時間計算部と、通常の住居内動線の経路が使用できないケースにおいて避難する上で障害となる障害要因を入力する障害要因入力部と、居住者避難時間計算部の計算結果および障害要因入力部で入力された障害要因から、上記避難安全判断部で得られた安全度を修正する第2避難安全度判断部とを有するので、居住者の状態や家族構成の違いなどによる住宅の避難安全性の差を確認でき、通常の住居内動線の経路(主要避難経路)が使用できないケースにおける住宅の避難安全性を確認できるという効果がある。
【0044】
請求項3の発明の住宅避難安全性評価システムは、請求項1または2の発明において、上記避難安全度判断部で得られた安全度のレベルが相対的に低い場合に、火災感知器の増設や、各室から少なくとも2方向に避難可能な構造とするなどの提示を行う改善項目提示部を有しているので、住宅の避難安全性を向上させる手段を容易に確認できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1のシステム構成図である。
【図2】同上の動作説明用フローチャートである。
【図3】本発明の実施形態2のシステム構成図である。
【図4】同上の主要部の動作説明用のフローチャートである。
【図5】同上の改善項目提示手段の提示内容説明図である。
【符号の説明】
10 住宅形状入力部
11 火源データ入力部
12 感知器データ入力部
13 避難経路特定部
20 火災性状計算部
21 感知器動作計算部
22 避難時間計算部
40 避難安全度判断部
Claims (3)
- 住宅の3次元形状データを入力させる住宅形状入力部と、
住宅形状入力部で入力された住宅内における火源の位置及び規模を入力させる火源データ入力部と、
火災感知器の種別、感度、及び上記住宅内における取付け位置を入力させる感知器データ入力部と、
住宅形状入力部および火源データ入力部それぞれで入力されたデータを基に二層ゾーンモデルを利用して住宅内の温度、煙濃度、煙層の厚さを計算する火災性状計算部と、
火災性状計算部の結果と感知器データ入力部で入力されたデータとを基に、火災感知器が火災と判断して発報するまでの時間である動作時間を計算する感知器動作計算部と、
上記住宅内における人の位置と避難口とを特定し、当該位置の人が当該避難口まで避難する避難経路を特定する避難経路特定部と、
避難経路特定部で特定された避難経路の距離と人の歩行速度とから避難に要する時間を計算する避難時間計算部と、
火災性状計算部の計算結果から避難経路が危険になる時間と、感知器動作計算部で計算された火災感知器の動作時間と避難時間計算部で計算された避難に要する時間とを加算した時間とを求め、上記避難経路が危険になる時間から上記加算した時間を引いた値によって安全度を判断する避難安全度判断部とを有し、
避難安全度判断部は、上記避難経路が危険になる時間の計算にあたっては、火災性状計算部で計算された煙層の厚さが人体に危険を及ぼす厚さになる時間、あるいは煙層が人体に危険を及ぼす温度になる時間により避難経路が危険になる時間を計算し、
上記避難の安全度を判断するにあたっては、上記避難経路が危険になる時間から上記加算した時間を引いた値が大きいほど安全度が高いと判断し、上記避難経路が危険になる時間から上記加算した時間を引いた値が小さいほど安全度が低いと判断することを特徴とする住宅避難安全性評価システム。 - 就寝状態や人の年齢層を含む上記住宅内の人の状況データを入力させる居住者状況入力部と、
居住者状況入力部で入力された状況データ及び上記住宅内の人の位置を基に上記住宅内の人が避難するのに要する時間を計算する居住者避難時間計算部と、
通常の住居内動線の経路が使用できないケースにおいて避難する上で障害となる障害要因を入力する障害要因入力部と、
居住者避難時間計算部の計算結果および障害要因入力部で入力された障害要因から、上記避難安全判断部で得られた安全度を修正する第2避難安全度判断部とを有することを特徴とする請求項1記載の住宅避難安全性評価システム。 - 上記安全度のレベルが相対的に低い場合に、火災感知器の増設や、各室から少なくとも2方向に避難可能な構造とするなどの提示を行う改善項目提示部を有していることを特徴とする請求項1または2記載の住宅避難安全性評価システム。
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