JP4144164B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、商用電源から放電灯を高周波点灯する放電灯点灯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図21に従来の放電灯点灯装置の構成図を示す。図21において、インバータINVは、いわゆるフルブリッジ型のものであり、ダイオードD1〜D4が逆並列接続されたFETQ1〜Q4を備え、FETQ1,Q2の直列回路とFETQ3,Q4の直列回路との中間点にチョークコイルL1、コンデンサC1および放電灯FLよりなる負荷回路部Zが接続されている。ただし、FETQ1〜Q4のうち、FETQ1,Q4とFETQ2,Q3とは、図略の制御回路からの図22に示すような制御信号によって交互にオン/オフ制御される。
【0003】
また、負荷回路部Zは、熱陰極を有する放電灯FLの両フィラメントにコンデンサC1を接続したいわゆるC予熱回路の構成になっている。この構成では、放電灯FLのフィラメント電流は、放電灯FLの印加電圧VlaとコンデンサC1のインピーダンスおよびインバータINVの駆動周波数によりほぼ決定される。
【0004】
次に、放電灯点灯装置の概略動作を説明する。FETQ1〜Q4は、図22に示すように、高周波の周期Tでスイッチング動作し、例えばt0時点で、FETQ1,Q4がオフになり、FETQ2,Q3がオンになると、FETQ1,Q4のオン時にチョークコイルL1に蓄積された磁気エネルギーにより、チョークコイルL1、ダイオードD3、直流電源DC、ダイオードD2、放電灯FL(またはコンデンサC1)の経路に電流が流れる。
【0005】
この後、チョークコイルL1に蓄積された磁気エネルギーがゼロとなると、直流電源DCからFETQ3、チョークコイルL1、放電灯FL(またはコンデンサC1)、FETQ2の経路に、つまり(共振)負荷回路部Zに負荷電流Izが流れる。
【0006】
この後、t1時点で、FETQ1,Q4がオンになり、FETQ2,Q3がオフになると、FETQ2,Q3のオン時にチョークコイルL1に蓄積された磁気エネルギーにより、チョークコイルL1、放電灯FL(またはコンデンサC1)、ダイオードD1、直流電源DC、ダイオードD4の経路に電流が流れる。
【0007】
この後、チョークコイルL1に蓄積された磁気エネルギーがゼロとなると、直流電源DCからFETQ1、放電灯FL(またはコンデンサC1)、チョークコイルL1、FETQ4の経路に、つまり(共振)負荷回路部Zに負荷電流Izが流れる。
【0008】
ここで、図23に先行予熱時の回路動作図を示す。従来の先行予熱時では、FETQ1〜Q4は、図22のt0〜t2と同様、図23のt3〜t5のスイッチング動作になる。つまり、FETQ1,Q4とFETQ2,Q3とは、図23に示すような制御信号によって交互にオン/オフ制御される。このとき、駆動周波数は、先行予熱時の放電灯FLの印加電圧Vlaが上限値を超えないように、放電灯FLの寿命が十分確保できる先行予熱電流がそのフィラメントに流れるように設定される。
【0009】
このように、従来の放電灯点灯装置は、FETQ1〜Q4を先行予熱時および点灯時に適切な駆動周波数で駆動するように設定がなされ、これにより、放電灯の寿命を確保しつつ放電灯を適切に点灯することができるようになっている。
【0010】
なお、特開平4−351893号公報には、放電灯の不点灯時と定格点灯時にスイッチング素子に流れる電流が、放電灯の短絡時にスイッチング素子に流れる電流と実質的に同等なレベル以下となるように、スイッチング素子のオン時間を制御する回路を設けた放電灯点灯装置が開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図21に示した従来の放電灯点灯装置では、放電灯の寿命確保のために先行予熱電流を十分大きくしようとすると、予熱用のコンデンサC1の容量を大きくするか、駆動周波数を低くする必要があるが、コンデンサC1の容量を大きくした場合、点灯時の常時予熱電流が増加する傾向にあるため、回路効率が減少してしまう問題がある。一方、駆動周波数を低くした場合、放電灯の印加電圧が上昇し、先行予熱時における放電灯の印加電圧の上限値を超えると、十分な予熱が得られないまま点灯してしまう、いわゆるコールドスタートが起きる恐れがあり、ランプ寿命に悪影響を及ぼす問題がある。
【0012】
さらに近年、省資源、省エネルギーの観点から管径が18〜29mm程度と細く、光路長が1400〜2500mmと長い高出力の放電灯が開発されている。例えば、図24に示すように、一端部に電極2を有し、他端部に閉塞部3を有する複数本の環形発光管1が同心円状に配置され、これら複数の環形発光管1の閉塞部3の近傍がブリッジ接合部4によって接合されて、内部に一本の放電路が形成されるとともに、閉塞部3に最冷点箇所イが形成され、かつ環形発光管1の両端部を包囲する口金5を具備してなる環形蛍光灯がある。この種の放電灯では、ランプ効率を上げるために細管化してあり、従来の各種蛍光灯と比べて、相対的にランプ電流が小さく、ランプ電圧が高くなっている。
【0013】
また、この種の高効率な放電灯では、管径が従来のランプと比べて細いため、フィラメントを設置する空間的余裕が少ないので、フィラメントを小型化してあるから、その断線防止のため予熱電流を精度良く制御する必要がある。フィラメントコイルの寿命、つまり放電灯の寿命を確保するために、このような放電灯には常時予熱電流に上限値が規定されており、この値は先行予熱時のフィラメント電流下限値よりも低い。そのため、このような放電灯をC予熱方式にて設計する場合、常時予熱電流を上限値よりも抑えるために、予熱用のコンデンサの容量をある値以下にするか、点灯時の駆動周波数をなるべく低くしなけらばならない。
【0014】
駆動周波数の変化幅を小さくして負荷出力を可変とするフルブリッジ構成の電源装置として、特願平11−304081号に制御方式が提案されている。この基本的な回路構成は図21と同様である。
【0015】
しかしながら、駆動周波数を共振周波数以下にするとスイッチング素子は進相動作となるため、駆動周波数を共振周波数よりも高くする必要があり、また放電灯において、調光を深くしていけば放電灯の印加電圧が上昇していくので、より深い調光点灯を放電灯の寿命を確保しつつ行うためには、常時予熱電流を上限値以下とするために予熱用のコンデンサの容量をさらに小さい値に設定する必要がある。この場合、先行予熱時に十分な先行予熱電流を得るためには放電灯の印加電圧を上昇させるしかなく、上述したような問題が現れる。よって、放電灯の寿命を確保しつつ負荷出力を調整できる範囲は限られてしまうという課題がある。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、先行予熱時のフィラメント電流を十分確保しつつ放電灯の印加電圧を低減し、加えて常時予熱電流をも低減し、放電灯が細管であってもその寿命を確保しつつより深い調光点灯を行える放電灯点灯装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1記載の発明の放電灯点灯装置は、第1および第2インダクタと、直列接続の第1および第2スイッチング素子と、直列接続の第3および第4スイッチング素子と、前記第1ないし第4スイッチング素子とそれぞれ逆並列に接続される第1ないし第4ダイオードと、熱陰極を有し、前記第1および第2スイッチング素子の両一端が接続される接続点と前記第3および第4スイッチング素子の両一端が接続される接続点とに、それぞれ前記第1インダクタと前記第2インダクタとを介して各一端が接続される第1フィラメントと第2フィラメントとを有する放電灯と、前記第1および第3スイッチング素子の両他端と前記第2および第4スイッチング素子の両他端との間に接続される直流電源と、前記第1フィラメントの他端と前記直流電源の出力端との間および前記第2フィラメントの他端と前記直流電源の出力端との間にそれぞれ接続される予熱用の第1および第2コンデンサと、前記第1ないし第4スイッチング素子をオン/オフ制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、前記第1および第2フィラメントの先行予熱時には、前記第1および第3スイッチング素子と前記第2および第4スイッチング素子とを、略同相の制御信号で交互にオン/オフ制御することを特徴とする。
【0018】
請求項2記載の発明の放電灯点灯装置は、第1および第2インダクタと、直列接続の第1および第2スイッチング素子と、直列接続の第3および第4スイッチング素子と、前記第1ないし第4スイッチング素子とそれぞれ逆並列に接続される第1ないし第4ダイオードと、熱陰極を有し、前記第1および第2スイッチング素子の両一端が接続される接続点と前記第3および第4スイッチング素子の両一端が接続される接続点とに、それぞれ前記第1インダクタと前記第2インダクタとを介して各一端が接続される第1フィラメントと第2フィラメントとを有する放電灯と、前記第1および第3スイッチング素子の両他端と前記第2および第4スイッチング素子の両他端との間に接続される直流電源と、前記第1フィラメントの他端と前記直流電源の出力端との間および前記第2フィラメントの他端と前記直流電源の出力端との間にそれぞれ接続される予熱用の第1および第2コンデンサと、前記第1ないし第4スイッチング素子をオン/オフ制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、前記第1および第2フィラメントの先行予熱時には、前記第1および第3スイッチング素子と前記第2および第4スイッチング素子とを、位相がずれた制御信号で交互にオン/オフ制御することを特徴とする。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の放電灯点灯装置において、前記放電灯の始動時および点灯時には、前記第1および第4スイッチング素子と前記第2および第3スイッチング素子とを交互にオン/オフ制御することを特徴とする。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の放電灯点灯装置において、前記先行予熱時と前記始動時との間をスイープ期間として、前記第1および第2スイッチング素子の組と前記第3および第4スイッチング素子の組とのうち、少なくとも一方の組の駆動周波数を変化させ、その一方の組の接続点側における前記放電灯の端子電圧の位相を徐々に変化させることを特徴とする。
【0021】
請求項5記載の発明は、請求項1または2記載の放電灯点灯装置において、前記第1インダクタのインダクタンス値と前記第1コンデンサの容量値との乗算値と、前記第2インダクタのインダクタンス値と前記第2コンデンサの容量値との乗算値とが略等しいことを特徴とする。
【0022】
請求項6記載の発明は、請求項1または2記載の放電灯点灯装置において、前記第1および第2インダクタのインダクタンス値と前記第1および第2コンデンサの容量値とのうち、少なくとも一方が略等しいことを特徴とする。
【0023】
請求項7記載の発明は、請求項1または2記載の放電灯点灯装置。において、前記放電灯は、光路長が略1400〜2500mm、管径が略18〜29mmであることを特徴とする。
【0024】
請求項8記載の発明は、請求項1または2記載の放電灯点灯装置において、前記放電灯は二重環形蛍光灯であることを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1は放電灯点灯装置の構成図、図2は図1に示す放電灯点灯装置の先行予熱時の等価回路図、図3,図4は図1に示す放電灯点灯装置の動作説明図であり、これらの図を用いて本発明に係る第1実施形態の説明を行う。
【0026】
図1に示す放電灯点灯装置は、チョークコイルL11,L12と、直列接続のFETQ1,Q2と、直列接続のFETQ3,Q4と、熱陰極を有し、FETQ1,Q2のソース、ドレインが接続される接続点とFETQ3,Q4のソース、ドレインが接続される接続点とに、それぞれチョークコイルL11とチョークコイルL12とを介して各一端が接続されるフィラメントRf1とフィラメントRf2とを有する放電灯FLと、FETQ1,Q3の両ドレインとFETQ2,Q4の両ソースとの間に接続される直流電源DCと、フィラメントRf1の他端と直流電源DCの負極性出力端との間およびフィラメントRf2の他端と直流電源DCの負極性出力端との間にそれぞれ接続される予熱用のコンデンサC11,C12とを備えているほか、制御回路11を備えている。
【0027】
そして、第1実施形態では、チョークコイルL11,L12のインダクタンス値は同程度に設定され、コンデンサC11,C12の容量値も同程度に設定される。
【0028】
なお、FETQ1〜Q4はフルブリッジ型のインバータINVを構成し、チョークコイルL11,L12、コンデンサC11,C12および放電灯FLは負荷回路部Zを構成する。また、FETQ1〜Q4は、それぞれ逆並列に接続される寄生(帰還)ダイオードD1〜D4を有している。
【0029】
制御回路11は、FETQ1〜Q4の各々のゲートにオン/オフの制御信号を出力して、それらFETQ1〜Q4の各々をオン/オフ制御するものであり、例えば、放電灯FLの始動時および点灯時には、従来と同様に、FETQ1,Q4とFETQ2,Q3とを交互にオン/オフ制御する。さらに詳述すると、FETQ1,Q4をオン(またはオフ)にする制御とFETQ2,Q3をオン(またはオフ)にする制御とを交互に繰り返すのである。
【0030】
また、制御回路11は、第1実施形態の特徴として、フィラメントRf1,Rf2の先行予熱時には、FETQ1,Q3とFETQ2,Q4とを、略同相の制御信号で交互にオン/オフ制御する。つまり、FETQ1,Q3を略同相の制御信号でオン(またはオフ)にする制御とFETQ2,Q4を略同相の制御信号でオン(またはオフ)にする制御とを交互に繰り返すのである。
【0031】
ここで、フィラメントRf1,Rf2に対する第1実施形態の特徴となる先行予熱の原理を説明する。先行予熱前においては、放電灯FLのインピーダンスが非常に大きく、図1に示すランプ電流Ilaが流れない状態であるから、図1の回路を図2の等価回路で表すことができる。つまり、先行予熱前では、図2に示すように、FETQ1,Q2とチョークコイルL11、フィラメントRf1およびコンデンサC11の直列共振回路とで構成されるハーフブリッジ回路と、FETQ3,Q4とチョークコイルL12、フィラメントRf2およびコンデンサC12の直列共振回路とで構成されるハーフブリッジ回路とを有する構成になる。
【0032】
この構成で、先行予熱時には、図3に示すように、FETQ1,Q3とFETQ2,Q4とが、略同相の制御信号で交互にオン/オフ制御されるので、共振動作によってフィラメントRf1,Rf2の各々に先行予熱電流If1,If2が流れることになる。
【0033】
また、このとき、放電灯FLの端子電圧V1,V2が図3に示すように略同相で変化し、チョークコイルL11,L12のインダクタンス値が同程度であり、コンデンサC11,C12の容量値も同程度であるので、放電灯FLの印加電圧Vlaと端子電圧V1,V2との関係(Vla=V1−V2)から、先行予熱時の印加電圧Vlaはほぼ0になるのが分かる。
【0034】
つまり、図1の回路構成に対して、先行予熱時に、図3のスイッチング制御を適用すれば、フィラメントRf1,Rf2の各々に先行予熱電流If1,If2を流すことができ、しかも、各部品の定数を適切に設定すれば、放電灯FLの印加電圧Vlaの上昇を抑えることができるのである。また、先行予熱電流を十分確保するために駆動周波数を低くしたとしても、放電灯FLの印加電圧Vlaをほぼ0とすることができるので、コールドスタートを防止し、放電灯FLの寿命確保が可能となる。
【0035】
ところで、図21のチョークコイルL1およびコンデンサC1に対して次式が成り立つようにする。
【0036】
L11=L12=L1/2
C11=C12=C1×2
そして、図21の放電灯点灯装置と同じ駆動周波数で先行予熱を行えば、その放電灯点灯装置と同じ先行予熱電流をフィラメントRf1,Rf2の各々に供給可能となり、放電灯FLの端子電圧V1,V2の交流成分は、図21の放電灯点灯装置の放電灯に対する印加電圧V1aの約1/2の振幅を有する略正弦波となる。
【0037】
次に、第1実施形態の回路動作を説明する。電源が投入され、図4に示すように、先行予熱時のための先行予熱モードに入ると、FETQ1,Q3とFETQ2,Q4とが、略同相の制御信号で交互にオン/オフ制御される。これにより、放電灯FLの印加電圧が抑えられた状態で、フィラメントRf1,Rf2の各々に先行予熱電流If1,If2が流れる。
【0038】
この後、先行予熱モードが終了し、始動時および点灯時のための始動・点灯モードに入ると(t6)、FETQ1,Q4とFETQ2,Q3とが交互にオン/オフ制御される。このとき、図4の例では、FETQ3,Q4を、それぞれそのままオン,オフに次のサイクルの時点t7まで維持し、時点t7でFETQ3,Q4のオン/オフ動作を切り替えればよい。これにより、電圧V2の位相が電圧V1に対し略同相から逆相に変化するので、図4に示すように、放電灯FLの印加電圧Vlaが上昇して始動電圧として放電灯FLの両端に印加し、放電灯FLが始動・点灯する。
【0039】
この第1実施形態によれば、先行予熱時に、図1の回路構成におけるFETQ1,Q3とFETQ2,Q4とを、略同相の制御信号で交互にオン/オフ制御するので、先行予熱時のフィラメント電流を十分確保しつつ放電灯の印加電圧を低減することができる。
【0040】
また、直列共振回路のコンデンサの容量を低減することも可能であり、常時予熱電流が低減でき、特に細管の放電灯に対して、寿命を確保しつつより深い調光点灯を行うことが可能となる。
【0041】
なお、第1実施形態では、チョークコイルL11,L12のインダクタンス値は同程度に設定され、コンデンサC11,C12の容量値も同程度に設定される構成になっているが、これに限らず、それら各部品の定数を適切に選ぶことによっても、放電灯FLの印加電圧を大幅に低減することが可能となる。
【0042】
図5は放電灯点灯装置の構成図、図6,図7は図5に示す放電灯点灯装置の動作説明図であり、これらの図を用いて本発明に係る第2実施形態の説明を行う。
【0043】
図5に示す放電灯点灯装置は、チョークコイルL11,L12と、FETQ1〜Q4と、放電灯FLと、直流電源DCと、コンデンサC11,C12とを第1実施形態と同様に備えているほか、第1実施形態との相違点として制御回路12を備えている。
【0044】
この制御回路12は、フィラメントRf1,Rf2の先行予熱時に、FETQ1,Q3とFETQ2,Q4とを、位相がずれた制御信号で交互にオン/オフ制御する以外は第1実施形態の制御回路11と同様に構成される。
【0045】
すなわち、先行予熱時において、第1実施形態では、FETQ1,Q3とFETQ2,Q4とが、略同相の制御信号で交互にオン/オフ制御されるから、図3に示したように、例えばt31時点で、FETQ1,Q3がオンからオフに切り替わり、FETQ2,Q4がオフからオンに切り替わる。これに対して、第2実施形態では、FETQ1,Q3とFETQ2,Q4とが、位相がずれた制御信号で交互にオン/オフ制御されるので、その位相差を図6の例に示すようにτであるとすれば、例えばt31時点で、FETQ1がオンからオフに切り替わり、FETQ2がオフからオンに切り替わり、τだけ遅れたt32時点で、FETQ3がオンからオフに切り替わり、FETQ4がオフからオンに切り替わる。この後も同様なスイッチングが周期的に繰り返される。
【0046】
この第2実施形態のスイッチング制御によれば、放電灯FLの端子電圧V1,V2の交流成分は第1実施形態と同様に略正弦波で変化するが、図6に示すように、端子電圧V1,V2はスイッチング動作の位相のずれに応じた位相差を持つことになる。このとき、先行予熱時の駆動周波数をfph、V1とV2の位相差をφとすると、φは次式で与えられる。
【0047】
φ=2πfphτ
そして、端子電圧V1,V2を振幅Vaの正弦波と近似し、端子電圧V1の位相をθとすると、
Vla=V1−V2
=Vasinθ−Vasin(θ−φ)
=2Vasin(φ/2)cos(θ−φ/2)
となるので、放電灯FLの印加電圧Vlaの振幅はおよそ2Vasin(φ/2)となる。
【0048】
ここで、例えばφ=π/2のとき、印加電圧Vlaの振幅はVaとなるので、スイッチング動作の位相のずれをこのような関係を満足するように設定すると、図21の放電灯点灯装置に対して印加電圧Vlaを略半分にすることができることがわかる。なお、第1実施形態では、略同相であり、φ=0となるから、印加電圧Vlaがほぼ0になることがわかる。
【0049】
ところで、始動・点灯モードでは、図7の例に示すように、第1実施形態と同様のスイッチング制御となる。そして、図7でも、FETQ3,Q4を、それぞれそのままオン,オフに次のサイクルの時点t7まで維持し、時点t7でFETQ3,Q4のオン/オフ動作を切り替えればよい。これにより、放電灯に始動電圧および安定点灯のための電圧を順次印加することができる。
【0050】
この第2実施形態によれば、先行予熱時のフィラメント電流を十分確保するために駆動周波数を低くしたとしても、スイッチング動作の位相のずれを適切に設定することにより、放電灯の印加電圧値を先行予熱時の上限値よりも十分小さくすることが可能となる。また、コールドスタートの防止、常時予熱電流の低減、放電灯が細管であってもその寿命の確保および深い調光点灯が可能となる。
【0051】
また、第1実施形態では、図4に示すように、先行予熱モードから始動・点灯モードに切り替わる時(t6)、スイッチング動作が略同相から逆相に急激に変化するので、回路定数によっては放電灯の印加電圧の包絡線が振動的に変化して安定に至る回路動作になる場合がある。これに対して、第2実施形態では、図7に示すように、逆相動作に切り替えるとき(t6)、FETQ3のオン時間の変化幅を第1実施形態のそれよりも小さくできるので、放電灯の印加電圧の包絡線が振動的に変化するのを抑制して、先行予熱モードから始動・点灯モードにモードが切り替わる時のストレスを低減できる。
【0052】
図8は放電灯点灯装置の構成図、図9は図8に示す放電灯点灯装置の動作説明図であり、これらの図を用いて本発明に係る第3実施形態の説明を行う。
【0053】
図8に示す放電灯点灯装置は、チョークコイルL11,L12と、FETQ1〜Q4と、放電灯FLと、直流電源DCと、コンデンサC11,C12とを第1実施形態と同様に備えているほか、第1実施形態との相違点として制御回路13を備えている。
【0054】
この制御回路13は、先行予熱モードの先行予熱時と始動・点灯モードの始動時との間をスイープ期間として、FETQ1,Q2の組とFETQ3,Q4の組とのうち、少なくとも一方、第3実施形態では、FETQ3,Q4の組の駆動周波数を変化させ、FETQ3,Q4の接続点側における放電灯FLの端子電圧V2の位相を徐々に変化させ、始動・点灯モードに入るときに、端子電圧V1に対し端子電圧V2を逆相にする以外は第1実施形態の制御回路11と同様に構成される。
【0055】
すなわち、図9の例に示すように、先行予熱モードが終了すると(t61)、FETQ1,Q2の組に対しては、先行予熱モードと同様のタイミングで、FETQ1をオンからオフに切り替え、FETQ2をオフからオンに切り替える。一方、FETQ3,Q4の組に対しては、その切り替え時点t61から若干遅れたt61’時点で、FETQ3がオンからオフに切り替わり、FETQ4がオフからオンに切り替わるように、t61時点までに駆動周波数を低めに変化させる。これにより、同じ駆動周波数のときに、端子電圧V1に対し、同相で同期していた端子電圧V2の位相が徐々にずれていく。この後、端子電圧V1に対して端子電圧V2の位相がほぼ逆相となった時点から次のサイクルの時点t62までに、低めに変化させた駆動周波数を、その低めに変化させた周波数分だけ高めに変化させて元の駆動周波数に戻す。
【0056】
この第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することが可能になるほか、先行予熱時と始動時との間をスイープ期間として、FETQ3,Q4の組の駆動周波数を変化させて、FETQ3,Q4の接続点側における放電灯FLの端子電圧V2の位相を徐々に変化させ、端子電圧V1に対して端子電圧V2の位相がほぼ逆相となると、変化させた駆動周波数を元に戻すので、放電灯FLの印加電圧Vlaをスイープ期間で徐々に上昇させることができるから、放電灯FLをストレス無く始動・点灯させることが可能となる。
【0057】
なお、第3実施形態は、第1実施形態を基本構成としているが、第2実施形態を基本構成とすることも可能である。
【0058】
図10は放電灯点灯装置の構成図、図11は図10に示す放電灯点灯装置の動作説明図であり、これらの図を用いて本発明に係る第4実施形態の説明を行う。
【0059】
図10に示す放電灯点灯装置は、チョークコイルL11,L12と、FETQ1〜Q4と、放電灯FLと、直流電源DCと、コンデンサC11,C12とを第3実施形態と同様に備えているほか、第3実施形態との相違点として制御回路14を備えている。
【0060】
この制御回路14は、始動モードの際に、FETQ1〜Q4に対する駆動周波数を始動電圧に最適な周波数に切り替える以外は第3実施形態の制御回路13と同様に構成される。
【0061】
すなわち、第3実施形態と同様のスイープ期間を経て、始動・点灯モードの始動モードに入ると(t62)、FETQ1〜Q4に対する駆動周波数をそのまま一定に保持し、放電灯FLの印加電圧Vlaがほぼ安定すると(t63)、FETQ1〜Q4に対する駆動周波数を始動電圧に最適な周波数に切り替える。これにより、最適な始動電圧が放電灯FLに印加する。なお、t63時点での駆動周波数はスイープで切り替える構成でもよい。
【0062】
この第4実施形態によれば、始動モードの際に、FETQ1〜Q4に対する駆動周波数を始動電圧に最適な周波数に切り替えるので、最適な始動電圧が放電灯FLに印加するから、放電灯FLをストレス無く最適に始動させることができ、点灯させることができる。
【0063】
図12は放電灯点灯装置の構成図、図13は図11に示す放電灯点灯装置の動作説明図であり、これらの図を用いて本発明に係る第5実施形態の説明を行う。
【0064】
図12に示す放電灯点灯装置は、チョークコイルL11,L12と、FETQ1〜Q4と、放電灯FLと、直流電源DCと、コンデンサC11,C12とを第1実施形態と同様に備えているほか、第1実施形態との相違点として制御回路15を備えている。
【0065】
この制御回路15は、先行予熱モードの先行予熱時と始動・点灯モードの始動時との間で、FETQ1,Q2の組とFETQ3,Q4の組とのうち、少なくとも一方、第5実施形態では、双方の組の駆動周波数を変化させ、端子電圧V1,V2の位相を徐々に変化させ、始動・点灯モードに入るときに、端子電圧V1と端子電圧V2とを互いに逆相とする以外は第1実施形態の制御回路11と同様に構成される。
【0066】
すなわち、図13の例に示すように、先行予熱モードが終了すると(t61)、FETQ1,Q2の組に対しては駆動周波数をf1(=1/T1)に上げ、FETQ3,Q4の組に対しては駆動周波数をf2(=1/T2)に下げる。ここで、当然にf1>f2である。これにより、同じ駆動周波数のときに、同相で同期していた端子電圧V1,V2の両位相が逆相へとずれていく。この後、端子電圧V1,V2の両位相がほぼ逆相となった時点から次のサイクルの時点t62までに、駆動周波数f1,f2を所定の駆動周波数に変化させる。
【0067】
この第5実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することが可能になるほか、先行予熱時と始動時との間で、FETQ1,Q2の組に対しては駆動周波数を高くし、FETQ3,Q4の組に対しては駆動周波数を低くして、端子電圧V1,V2の両位相を変化させ、端子電圧V1,V2の両位相がほぼ逆相となると、変化させた駆動周波数を所定の駆動周波数に変化させるので、放電灯FLの印加電圧Vlaを先行予熱時と始動時との間において上昇させることができるから、放電灯FLをストレス無く始動・点灯させることが可能となる。
【0068】
図14は放電灯点灯装置の構成図、図15は図14に示す放電灯点灯装置の動作説明図であり、これらの図を用いて本発明に係る第6実施形態の説明を行う。
【0069】
図14に示す放電灯点灯装置は、チョークコイルL11,L12と、FETQ1〜Q4と、放電灯FLと、直流電源DCと、コンデンサC11,C12とを第1実施形態と同様に備えているほか、第1実施形態との相違点として制御回路16を備えている。
【0070】
この制御回路15は、先行予熱モードから始動モードに切り替わるときに、FETQ1,Q2の組とFETQ3,Q4の組とのうち、一方の組の1つのFETのオン時間を短くし、他方の組の1つのFETのオン時間を長くすることで、略同相動作から逆相動作に切り替える以外は第1実施形態の制御回路11と同様に構成される。
【0071】
すなわち、図14の例に示すように、t61時点までは第1実施形態と同様の先行予熱時のスイッチング制御を行い、t61時点で、FETQ2,Q4をオンからオフに切り替え、FETQ1,Q3をオフからオンに切り替え、この後、先行予熱のときよりも短い周期でFETQ1,Q2をそれぞれオン,オフに切り替え(t71)、長い周期でFETQ3,Q4をそれぞれオン,オフに切り替える(t72)。そして、FETQ2,Q4のオン時間が先行予熱のときと同じになるようにし、FETQ2,Q3のオンまたはオフのタイミングが略等しくなるt62時点から、FETQ1,Q3のオン時間を先行予熱のときと同じに戻す。これにより、端子電圧V1,V2の位相が逆相に切り替わる。
【0072】
この第6実施形態によれば、先行予熱モードから始動モードに切り替わるときに、FETQ1,Q2の組とFETQ3,Q4の組とのうち、一方の組の1つのFETのオン時間を短くし、他方の組の1つのFETのオン時間を長くして、端子電圧V1,V2の両位相を変化させ、端子電圧V1,V2の両位相がほぼ逆相となると、元のオン時間に戻すので、先行予熱モードから始動モードに切り替わる間、放電灯FLの印加電圧Vlaを上昇させることができるから、放電灯FLをストレス無く始動・点灯させることが可能となる。これは第5実施形態の駆動周波数を変えることと等価である。
【0073】
図16は放電灯点灯装置で使用する放電灯の一部の構造を示す模式図であり、この図を用いて本発明に係る第7実施形態の説明を行う。
【0074】
この第7実施形態の放電灯点灯装置は、放電灯FLのフィラメントRf1,Rf2の予熱電流が互いに異なるレベルになるように設定される以外は第1実施形態の放電灯点灯装置と同様に構成される。
【0075】
すなわち、第1実施形態では、チョークコイルL11,L12のインダクタンス値を同程度に設定し、コンデンサC11,C12の容量値も同程度に設定することで、図3に示したように、フィラメントRf1,Rf2の予熱電流のレベルがほぼ等しくなり、先行予熱時の放電灯FLの印加電圧Vlaがほぼ0になる。
【0076】
これに対して、第7実施形態では、チョークコイルL11のインダクタンス値とコンデンサC11の容量値との乗算値と、チョークコイルL12のインダクタンス値とコンデンサC12の容量値との乗算値とを同程度に設定することで、フィラメントRf1,Rf2に別々の予熱電流を供給し、先行予熱時の放電灯FLの印加電圧Vlaをほぼ0にするのである。
【0077】
ここで、フィラメントRf1,Rf2の予熱電流はそれぞれの予熱用のコンデンサC11,C12の容量で決まる。また、図21のL1,C1に対して、L1=L11+L12を満足し、C1=C11×C12/(C11+C12)を満足するように設定する。
【0078】
図16に示すように、丸形の蛍光灯を用いた照明器具では、反射板6は、蛍光灯の内側が外側よりも盛り上がった形状になっているものが一般的である。例えば、図4に示した二重環形蛍光灯を照明器具に組み込んだ場合、環形発光管1の外側と内側では反射板6に対する寄生容量が若干違い、内側の環形発光管1と反射板6との距離が近い分、内側に対する寄生容量が大きくなる(Cs1>Cs2)。このため、蛍光灯から反射板への漏れ電流は内側の環形発光管のほうが大きくなり、先行予熱時のフィラメント電流も内側の環形発光管のフィラメント電流が外側のものよりも若干減少することになる。
【0079】
第7実施形態では、このようにフィラメント電流が内側と外側で差が生じる場合に、内側のフィラメント電流を多めに設定し、照明器具込み時のフィラメント電流を補正するのである。
【0080】
これにより、第7実施形態によれば、二重環形蛍光灯の各環形発光管のフィラメント電流を補正するので、先行予熱時のフィラメント電流を十分確保しつつ放電灯の印加電圧を低減することが可能となる。
【0081】
なお、第7実施形態では、簡単のため、チョークコイルL11のインダクタンス値とコンデンサC11の容量値との乗算値と、チョークコイルL12のインダクタンス値とコンデンサC12の容量値との乗算値とを同程度に設定する場合について説明したが、これに限らず、定数を適切に選ぶことにより、放電灯の印加電圧を低減することが可能である。
【0082】
図17は放電灯点灯装置の構成図であり、この図を用いて本発明に係る第8実施形態の説明を行う。ただし、図17では制御回路の図示を省略してある。
【0083】
図17に示す放電灯点灯装置は、コンデンサC11,C12がフィラメントRf1の他端と直流電源DCの正極性出力端との間およびフィラメントRf2の他端と直流電源DCの正極性出力端との間にそれぞれ接続される以外は第1〜第7実施形態のいずれかと同様に構成される。
【0084】
この第8実施形態によれば、第1〜第7実施形態のいずれかの放電灯点灯装置と同様の効果を奏することが可能となる。
【0085】
図18は放電灯点灯装置の構成図であり、この図を用いて本発明に係る第9実施形態の説明を行う。ただし、図17では制御回路の図示を省略してある。
【0086】
図18に示す放電灯点灯装置は、コンデンサC12がフィラメントRf2の他端と直流電源DCの正極性出力端との間に接続される以外は第1〜第7実施形態のいずれかと同様に構成される。
【0087】
この第9実施形態によれば、第1〜第7実施形態のいずれかの放電灯点灯装置と同様の効果を奏することが可能となる。
【0088】
図19は放電灯点灯装置の構成図、図20は図19に示す放電灯点灯装置の動作説明図であり、これらの図を用いて本発明に係る第10実施形態の説明を行う。ただし、図19では制御回路の図示を省略してある。
【0089】
図19に示す放電灯点灯装置は、FETQ1,Q2の接続点とインダクタL11との間に介設される直流カット用のコンデンサC21と、FETQ3,Q4の接続点とインダクタL12との間に介設される直流カット用のコンデンサC22とをさらに備える以外は第1〜第7実施形態のいずれかと同様に構成される。
【0090】
この第10実施形態によれば、第1〜第7実施形態のいずれかの放電灯点灯装置と同様の効果を奏することが可能となるほか、図20の例に示すように、端子電圧V1,V2の直流成分をカットすることができる。
【0091】
【発明の効果】
以上のことから明らかなように、請求項1記載の発明によれば、第1および第2インダクタと、直列接続の第1および第2スイッチング素子と、直列接続の第3および第4スイッチング素子と、前記第1ないし第4スイッチング素子とそれぞれ逆並列に接続される第1ないし第4ダイオードと、熱陰極を有し、前記第1および第2スイッチング素子の両一端が接続される接続点と前記第3および第4スイッチング素子の両一端が接続される接続点とに、それぞれ前記第1インダクタと前記第2インダクタとを介して各一端が接続される第1フィラメントと第2フィラメントとを有する放電灯と、前記第1および第3スイッチング素子の両他端と前記第2および第4スイッチング素子の両他端との間に接続される直流電源と、前記第1フィラメントの他端と前記直流電源の出力端との間および前記第2フィラメントの他端と前記直流電源の出力端との間にそれぞれ接続される予熱用の第1および第2コンデンサと、前記第1ないし第4スイッチング素子をオン/オフ制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、前記第1および第2フィラメントの先行予熱時には、前記第1および第3スイッチング素子と前記第2および第4スイッチング素子とを、略同相の制御信号で交互にオン/オフ制御するので、第1および第2フィラメントに先行予熱電流を十分に流すことができ、しかも各部品の定数を適切に設定すれば、放電灯の印加電圧の上昇を抑えることができる。また、常時予熱電流も低減できる効果がある。
【0092】
請求項2記載の発明によれば、第1および第2インダクタと、直列接続の第1および第2スイッチング素子と、直列接続の第3および第4スイッチング素子と、前記第1ないし第4スイッチング素子とそれぞれ逆並列に接続される第1ないし第4ダイオードと、熱陰極を有し、前記第1および第2スイッチング素子の両一端が接続される接続点と前記第3および第4スイッチング素子の両一端が接続される接続点とに、それぞれ前記第1インダクタと前記第2インダクタとを介して各一端が接続される第1フィラメントと第2フィラメントとを有する放電灯と、前記第1および第3スイッチング素子の両他端と前記第2および第4スイッチング素子の両他端との間に接続される直流電源と、前記第1フィラメントの他端と前記直流電源の出力端との間および前記第2フィラメントの他端と前記直流電源の出力端との間にそれぞれ接続される予熱用の第1および第2コンデンサと、前記第1ないし第4スイッチング素子をオン/オフ制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、前記第1および第2フィラメントの先行予熱時には、前記第1および第3スイッチング素子と前記第2および第4スイッチング素子とを、位相がずれた制御信号で交互にオン/オフ制御するので、第1および第2フィラメントに先行予熱電流を十分に流すことができ、しかも各部品の定数を適切に設定すれば、放電灯の印加電圧の上昇を抑えることができる。また、常時予熱電流も低減できる効果がある。さらに、点灯時にオン/オフ制御を変更する場合、放電灯に加わるストレスを低減することができる。
【0093】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の放電灯点灯装置において、前記放電灯の始動時および点灯時には、前記第1および第4スイッチング素子と前記第2および第3スイッチング素子とを交互にオン/オフ制御するので、放電灯の印加電圧を上昇させて始動電圧として放電灯の両端に印加し、放電灯を好適に始動させ、点灯させることができる。
【0094】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の放電灯点灯装置において、前記先行予熱時と前記始動時との間をスイープ期間として、前記第1および第2スイッチング素子の組と前記第3および第4スイッチング素子の組とのうち、少なくとも一方の組の駆動周波数を変化させ、その一方の組の接続点側における前記放電灯の端子電圧の位相を徐々に変化させるので、放電灯の印加電圧を上昇させて始動電圧として放電灯の両端に印加し、放電灯を好適に始動させ、点灯させることができるほか、先行予熱時から始動時への切替えの際に放電灯に加わるストレスを低減することができる。
【0095】
請求項5記載の発明によれば、請求項1または2記載の放電灯点灯装置において、前記第1インダクタのインダクタンス値と前記第1コンデンサの容量値との乗算値と、前記第2インダクタのインダクタンス値と前記第2コンデンサの容量値との乗算値とが略等しいので、さらに放電灯の印加電圧を低減することができる。
【0096】
請求項6記載の発明によれば、請求項1または2記載の放電灯点灯装置において、前記第1および第2インダクタのインダクタンス値と前記第1および第2コンデンサの容量値とのうち、少なくとも一方が略等しいので、さらに放電灯の印加電圧を低減することができる。
【0097】
請求項7記載の発明によれば、請求項1または2記載の放電灯点灯装置。において、前記放電灯は、光路長が略1400〜2500mm、管径が略18〜29mmであるので、放電灯の寿命を確保しつつより深い調光点灯を行なうことが可能となる。
【0098】
請求項8記載の発明によれば、請求項1または2記載の放電灯点灯装置において、前記放電灯は二重環形蛍光灯であるので、放電灯の寿命を確保しつつより深い調光点灯を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施形態の放電灯点灯装置の構成図である。
【図2】図1に示す放電灯点灯装置の先行予熱時の等価回路図である。
【図3】図1に示す放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図4】図1に示す放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図5】本発明に係る第2実施形態の放電灯点灯装置の構成図である。
【図6】図5に示す放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図7】図5に示す放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図8】本発明に係る第3実施形態の放電灯点灯装置の構成図である。
【図9】図8に示す放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図10】本発明に係る第4実施形態の放電灯点灯装置の構成図である。
【図11】図10に示す放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図12】本発明に係る第5実施形態の放電灯点灯装置の構成図である。
【図13】図11に示す放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図14】本発明に係る第6実施形態の放電灯点灯装置の構成図である。
【図15】図14に示す放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図16】本発明に係る第7実施形態の放電灯点灯装置で使用する放電灯の一部の構造を示す模式図である。
【図17】本発明に係る第8実施形態の放電灯点灯装置の構成図である。
【図18】本発明に係る第9実施形態の放電灯点灯装置の構成図である。
【図19】本発明に係る第10実施形態の放電灯点灯装置の構成図である。
【図20】図19に示す放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図21】従来の放電灯点灯装置の構成図である。
【図22】図21の放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図23】図21の放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図24】環形蛍光灯の構成図である。
【符号の説明】
L11,L12 チョークコイル
Q1〜Q4 FET
FL 放電灯
DC 直流電源
C11,C12 コンデンサ
11〜16 制御回路
Claims (8)
- 第1および第2インダクタと、
直列接続の第1および第2スイッチング素子と、
直列接続の第3および第4スイッチング素子と、
前記第1ないし第4スイッチング素子とそれぞれ逆並列に接続される第1ないし第4ダイオードと、
熱陰極を有し、前記第1および第2スイッチング素子の両一端が接続される接続点と前記第3および第4スイッチング素子の両一端が接続される接続点とに、それぞれ前記第1インダクタと前記第2インダクタとを介して各一端が接続される第1フィラメントと第2フィラメントとを有する放電灯と、
前記第1および第3スイッチング素子の両他端と前記第2および第4スイッチング素子の両他端との間に接続される直流電源と、
前記第1フィラメントの他端と前記直流電源の出力端との間および前記第2フィラメントの他端と前記直流電源の出力端との間にそれぞれ接続される予熱用の第1および第2コンデンサと、
前記第1ないし第4スイッチング素子をオン/オフ制御する制御回路と
を備え、
前記制御回路は、前記第1および第2フィラメントの先行予熱時には、前記第1および第3スイッチング素子と前記第2および第4スイッチング素子とを、略同相の制御信号で交互にオン/オフ制御する
ことを特徴とする放電灯点灯装置。 - 第1および第2インダクタと、
直列接続の第1および第2スイッチング素子と、
直列接続の第3および第4スイッチング素子と、
前記第1ないし第4スイッチング素子とそれぞれ逆並列に接続される第1ないし第4ダイオードと、
熱陰極を有し、前記第1および第2スイッチング素子の両一端が接続される接続点と前記第3および第4スイッチング素子の両一端が接続される接続点とに、それぞれ前記第1インダクタと前記第2インダクタとを介して各一端が接続される第1フィラメントと第2フィラメントとを有する放電灯と、
前記第1および第3スイッチング素子の両他端と前記第2および第4スイッチング素子の両他端との間に接続される直流電源と、
前記第1フィラメントの他端と前記直流電源の出力端との間および前記第2フィラメントの他端と前記直流電源の出力端との間にそれぞれ接続される予熱用の第1および第2コンデンサと、
前記第1ないし第4スイッチング素子をオン/オフ制御する制御回路と
を備え、
前記制御回路は、前記第1および第2フィラメントの先行予熱時には、前記第1および第3スイッチング素子と前記第2および第4スイッチング素子とを、位相がずれた制御信号で交互にオン/オフ制御する
ことを特徴とする放電灯点灯装置。 - 前記放電灯の始動時および点灯時には、前記第1および第4スイッチング素子と前記第2および第3スイッチング素子とを交互にオン/オフ制御することを特徴とする請求項1または2記載の放電灯点灯装置。
- 前記先行予熱時と前記始動時との間をスイープ期間として、前記第1および第2スイッチング素子の組と前記第3および第4スイッチング素子の組とのうち、少なくとも一方の組の駆動周波数を変化させ、その一方の組の接続点側における前記放電灯の端子電圧の位相を徐々に変化させることを特徴とする請求項3記載の放電灯点灯装置。
- 前記第1インダクタのインダクタンス値と前記第1コンデンサの容量値との乗算値と、前記第2インダクタのインダクタンス値と前記第2コンデンサの容量値との乗算値とが略等しいことを特徴とする請求項1または2記載の放電灯点灯装置。
- 前記第1および第2インダクタのインダクタンス値と前記第1および第2コンデンサの容量値とのうち、少なくとも一方が略等しいことを特徴とする請求項1または2記載の放電灯点灯装置。
- 前記放電灯は、光路長が略1400〜2500mm、管径が略18〜29mmであることを特徴とする請求項1または2記載の放電灯点灯装置。
- 前記放電灯は二重環形蛍光灯であることを特徴とする請求項1または2記載の放電灯点灯装置。
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