JP4143327B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室に配設された室内ユニット内に冷却用熱交換器を収容するようにした車両用空調装置に関し、特に、室内ユニットの凝縮水の排出部分と車体パネルとの間に設けられるシール材の構造の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、一般的に車両用空調装置は、インストルメントパネル内に配設された室内ユニットを備えており、この室内ユニットにエバポレータやヒータコア等の熱交換器を収容し、該熱交換器により調和空気を生成している。このユニットの底壁部には、エバポレータで発生する凝縮水をユニット外部に排出するためのドレン部が設けられていて、該ドレン部は車体パネルを貫通して延びる管状部を有しており、該管状部により凝縮水が車体パネルの下側に導かれて排出されるようになっている。
【0003】
また、通常、ユニットの底壁部と車体パネルとの間には、雨水等の車室内への浸入を防止するためのシール材が設けられているが、近年では、車室内の静粛化を図るために前記水浸入防止用のシール材に加えて、遮音性能の高い遮音用のシール材を設定し、これら2種類のシール材を厚み方向に積層配置する場合がある。そして、シール材をユニットへ組み付ける時には、組立ラインにおける工数を削減するために、他の組立場所において予め2つのシール材を一体化し、それを組立ラインへ搬送するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のように2つのシール材を一体化してからユニットへ組み付けるようにすると、それらシール材を一体化する段階で、位置決めのための治具等を用意して位置決め作業を行った後、さらに組立ラインでユニットに対して位置決めしなければならず、シール材の組み付けが極めて煩雑である。
【0005】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、室内ユニットの底壁部に設けたドレン部から車体パネルの下側に凝縮水を排出するようにした車両用空調装置において、ユニットの底壁部と車体パネルとの間に、第1及び第2シール材を積層配置して水の浸入を防止しながら車室内の静粛化を図る場合に、その第1及び第2シール材のユニットへの位置決め構造に工夫を凝らし、両シール材の組み付け作業を容易にすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の解決手段では、第1シール材をユニット底壁部のシール面に形成した位置決め用の突出部により位置決めし、第2シール材を凝縮水排出用の管状部により位置決めするようにした。
【0007】
具体的には、請求項1の発明では、冷却用熱交換器を収容した室内ユニットを車室のインストルメントパネル内に配設し、前記室内ユニットの底壁部に、前記冷却用熱交換器で発生する凝縮水を排出するための管状部を下方へ突設し、車体パネルの前記管状部に対応する部位に貫通孔を形成し、該貫通孔から前記凝縮水を車体パネルの下側に排出するようにした車両用空調装置を前提とする。そして、前記室内ユニットの底壁部下面の管状部の周囲には、前記車体パネルの上面に略沿った形状をなすシール面を形成し、前記室内ユニットのシール面と車体パネルの上面との間には、シール面側に配設された第1シール材及び該第1シール材の下側に積層された第2シール材を設け、前記室内ユニットのシール面には第1シール材の位置決め用の突出部を形成する一方、前記第1シール材には前記突出部に嵌合する嵌合部を設け、該嵌合部を前記第1シール材を貫通する孔部で構成し、前記突出部は、前記第1シール材の孔部を貫通し、その先端面が前記第2シール材の上面に当接するように、かつ、前記管状部の外周の全周を連続して囲むように形成し、前記第2シール材には、前記管状部に嵌合する孔部を設ける構成とする。
【0008】
この構成によれば、室内ユニットの管状部周囲のシール面と車体パネルの上面との間には、第1シール材と第2シール材とが積層配置されるので、一方のシール材を遮音性能の高いシール材とし、他方のシール材を水浸入防止性能の高いシール材とすることができる。つまり、室内ユニットの底壁部と車体パネルとの間からの水の浸入を防止しながら、車室の静粛性を十分に高めることができる。
【0009】
そして、第1シール材及び第2シール材には、それぞれシール面の位置決め用突出部に嵌合する嵌合部及び管状部に嵌合する孔部が設けられているので、両シール材の室内ユニットへの組み付け時には、第1シール材の嵌合部をシール面の突出部に嵌合させることにより該第1シール材を位置決めでき、その後、第2シール材の孔部を管状部に嵌合させることにより該第2シール材を位置決めできる。このことで、組立ラインの一つの工程において治具等を用いることなく、第1及び第2シール材を容易に位置決めできる。
【0010】
また、第1シール材の嵌合部は該第1シール材を貫通する孔部であり、室内ユニットのシール面の突出部は前記第1シール材の孔部を貫通し、その先端面が第2シール材の上面に当接する構成としたことで、第2シール材を突出部の先端面により車体パネル側へ直接、押圧することができ、第2シール材によるシール性を十分に得ることができる。
【0011】
また、室内ユニットのシール面の突出部を、管状部の外周の全周を連続して囲むように形成することで、突出部により第2シール材を管状部の外周の全周を囲むように押圧することができるので、車体パネルの貫通孔全周に亘って高いシール性を確保することができる。
【0012】
請求項の発明では、請求項の発明において、シール面の突出部を管状部の外周面に連なるように形成し、第1シール材を車室外の音を遮断するためのシール材とし、第2シール材を車室内への水の浸入を防止するためのシール材とする。
【0013】
すなわち、第2シール材は管状部の外周面に連なる突出部により車体パネル側へ押圧され、このとき、第2シール材が水浸入防止用のシール材とされているので、管状部の外周面と車体パネルとの間からの車室側への水の浸入が防止される。このことで、第1シール材、即ち遮音シール材に雨水が付着することはなく、該遮音シール材の劣化を防止できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用空調装置1の外観を示し、この空調装置1は、自動車の車室内前部に設けたインストルメントパネル(図示せず)内に配設されている。尚、この自動車は、運転席及び助手席がそれぞれ車体右側及び車両左側(以下、車両右側及び左側を、それぞれ単に右側及び左側という)に設けられた、いわゆる右ハンドル車である。
【0016】
前記空調装置1は、空調ユニット(室内ユニット)2と送風ユニット3とを備えており、この空調ユニット2は、前記インストルメントパネル内の車幅方向略中央部(インストルメントパネルのセンターコンソール部の車体前側)に配置されている一方、送風ユニット3は、空調ユニット2の助手席側(左側)であって助手席前方に配置されている。
【0017】
前記空調ユニット2の車体前側には、図2に示すように、エンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネル61が設けられていて、このダッシュパネル61の上部は、略上下方向に延びており、一方、下部は、上面の高さが車両前方に向かって高くなるように斜めに形成されている(以下、ダッシュパネル61の上部を鉛直部61aといい、下部を傾斜部61bという)。
【0018】
そして、前記空調ユニット2は、前記ダッシュパネル61の傾斜部61bの上側に位置していて、ダッシュパネル61の鉛直部61aに固定されるとともに、インストルメントパネル内において車幅方向に延びるインストルメントパネル補強用のインストルメントパネルメンバ(図示せず)にも取付固定されている。
【0019】
前記空調ユニット2の内部には、エバポレータ(冷却用熱交換器)5及びヒータコア(加熱用熱交換器)6が収容されていて、これら両熱交換器5,6により調和空気を生成するようになっている。一方、前記送風ユニット3は、内部に送風機(図示せず)を有していて、この送風機により、外気取入口11より車室外の空気を内部に取り入れるか又は内気取入口12より車室内の空気を内部に取り入れて前記空調ユニット2へ空調用の空気を送るようになっている。すなわち、送風ユニット3の右側の側面の車体前部には吹出口(図示せず)が設けられている一方、空調ユニット2の左側の側面の車体前部には、該空調ユニット2内へ空調用空気を導入するための導入口7(図2参照)が設けられており、これら送風ユニット3の吹出口と空調ユニット2の導入口7とが接続されている。
【0020】
前記空調ユニット2の導入口7より空調ユニット2内に導入された空気は、エバポレータ5を通過することにより冷却され、この冷却された空気の一部がヒータコア6を通過することにより加熱され、残りの空気はヒータコア6をバイパスするようになっている。このヒータコア6を通過させる空気量とバイパスさせる空気量との割合は、エアミックスダンパ8により調整されるようになっている。そして、前記ヒータコア6を通過した空気とバイパスした空気とが混合されて調和空気とされ、この調和空気が、自動車の乗員により設定される吹出モードに応じて、空調ユニット2の上面の車体前部に設けられかつダクトを介してデフロスタ吹出口に接続されたデフロスタ導出口13、空調ユニット2の上面の車体後部に設けられかつダクトを介してベント吹出口に接続されたベント導出口14及び空調ユニット2の下部に設けられかつ調和空気を乗員の足元に吹き出すようにしたフット導出口15から選択的に吹き出すようになっている。この吹出モードに応じた調和空気の吹出方向は、3つの吹出方向切換ダンパ9により調整されるようになっている。尚、図2中、5a,5bは、エバポレータ5に対し冷媒をそれぞれ導入及び導出するためのクーラパイプである。
【0021】
前記空調ユニット2の底壁部20には、前記エバポレータ5で発生する凝縮水を空調ユニット2外部に排出するための排出口41を有するドレン部40が設けられている。すなわち、空調ユニット2の底壁部20は、車幅方向に見て、前記エバポレータ5の直下方近傍の部分が最も下側に位置するように全体として下方へ膨出していて、その膨出部分の車幅方向中間部の左寄りの部分は、図3に示すように、さらに下方へ膨出しており、この部分にドレン部40が設けられている。該ドレン部40の下面は、前記ダッシュパネル61の傾斜部61bの上面に対向するシール面42とされ、このシール面42は、図4(b)に示すように、前記傾斜部61bの上面に略沿った平坦面とされていて、その高さ位置が車体前側ほど高くなっている。前記シール面42の車体前側の縁部は車幅方向に延びる直線状に形成される一方、該前側縁部よりも車体後側の周縁部は、車体前方に開放した略U字状をなすように形成されている。
【0022】
前記ドレン部40の排出口41は、前記シール面42の略中央部から鉛直下方に突出するとともに空調ユニット2の内部に連通した円筒状の管状部43の先端に開口していて、この排出口41から凝縮水が落下して空調ユニット2外部に排出されるようになっている(凝縮水の流れについては、図2の矢印参照)。尚、エバポレータ5は、凝縮水が下側に流れ易くなるように上下に立てられた状態で配置されている。
【0023】
前記シール面42における管状部43の車体後側には、図5にも示すように、該シール面42から略鉛直下方に延びるリブ45が管状部43と一体形成されている。該リブ45は、車体前後方向に延びる第1リブ45aと車幅方向に延びる第2リブ45bとからなり、それらが互いに略十字に交わった形状を有している。このうちの第1リブ45aの車体前側の縁部は管状部43に連繋する一方、この第1リブ45aの車体後縁部はシール面42に対し略垂直に延びる直線状に形成されている。また、前記第2リブ45bは、車幅方向の寸法が前記管状部43の外径と略同じとされている。
【0024】
また、前記ダッシュパネル61の傾斜部61bにおける前記管状部43に対応する部分には、前記排出口41から空調ユニット2外部に排出される凝縮水を傾斜部61bの下側に排出するための貫通孔61cが形成され、図4(b)に示すように、空調ユニット2を車体に固定すると、この貫通孔61c内に管状部43の先端が入り込むようになっている。
【0025】
前記空調ユニット2のシール面42と前記ダッシュパネル61の傾斜部61bの上面との間には、その間をシールするための2種類のシール材50,51が配置されている。すなわち、前記シール面42に接着される第1シール材50と傾斜部61bの上面に当接する第2シール材51とが厚み方向に積層されており、第1シール材50は遮音性が比較的高くかつ薄肉板状のウレタンからなる一方、第2シール材51は液密性が比較的高いウレタンからなる。さらに、この第2シール材51は、第1シール材50の下面に接着される第1層51aと傾斜部61bの上面に当接する第2層51bとを有しており、これらが予め接着されたものを成形してなる。そして、空調ユニット2を車体に取り付けた状態では、図4(b)に示すように、第2シール材51の第2層51bの下面が、傾斜部61bの上面により押圧されて主に第1層51aが厚み方向に圧縮変形し、このことで、第2シール材50が傾斜部61bに密に接合する。
【0026】
前記シール面42には、図5に示すように、前記第1シール材50の接着の際に、該第1シール材50を位置決めするための3つの突出部(嵌合部)52,53,54が設けられており、該突出部52,53,54が第1シール材50に形成された孔部(後述する)に嵌合するようになっている。前記3つの突出部52,53,54は、シール面42の車体前側に2つ、後側に1つそれぞれ形成されており、これら前側突出部52,53及び後側突出部54の突出高さはそれぞれ第1シール材50の厚みと略同じとされている。前記一対の前側突出部52,53はともに略矩形状とされかつ車幅方向に離れて設けられている一方、後側の突出部54は、前側の突出部52,53から車体後方へ離れかつ管状部43の外周面上端部に連続して該外周面の全周を囲むように形成されている。すなわち、この後側突出部54は、前記ダッシュパネル61の貫通孔61cよりも大きく、車体前側の縁部は、車幅方向に延びる直線状に形成される一方、左側、車体後側及び右側の周縁部は前記シール面42の周縁部と同様に大略U字状をなしている。また、後側突出部54の車体後側縁部の車幅方向略中央は、略円弧状に切り欠かれている。
【0027】
前記第1シール材50は、図6に示すように、その車体前縁がシール面42の車体前縁と略一致しており、左右両側及び車体後側はそれぞれシール面42よりも外方へ延出している。この第1シール材50には、前記シール面42の3つの突出部52,53,54が嵌合する位置決め用の孔部50a,50b,50cが設けられており、それぞれが第1シール材50を厚み方向に貫通している。
【0028】
前記第2シール材51は、本体部が前記シール面42と略同形状とされ、この本体部の車体前縁には前記シール面42の車体前縁よりも車体前側に延長された前側延長部51cが形成されており、この前側延長部51cは上側に曲げられている。すなわち、図4に示すように、ドレン部40の車体前側の壁部には、シール面42の車体前縁に連なりそこから略鉛直に上方へ延びる鉛直面46が形成されており、第2シール材51の前側延長部51cはこの鉛直面46に接着により貼り付けられることで該鉛直面46に略沿うようになされている。
【0029】
さらに、鉛直面46の上部には、第2シール材51の前側延長部51cの前端が嵌合する嵌合部47が形成されている。すなわち、ドレン部40の鉛直面46の上縁には、そこから車体前方に略水平に延びた後、その先端縁から垂下する略L字状の壁部48が設けられており、該壁部48と鉛直面46とにより、車幅方向に見て下側に開放した略コ字状断面を有する前記嵌合部47が形成され、この嵌合部47の開放側(下側)から前記前側延長部51cの前端が挿入されて嵌合するようになっている。
【0030】
前記第2シール材51の略中央部には、管状部43が嵌合する位置決め用の長孔(孔部)51dが設けられている。該長孔51dは第2シール材51を厚み方向に貫通して形成されており、長手方向が車体前後方向とされ、該長手方向の寸法は管状部43の外周面の車体前端から第1リブ45aの車体後端縁までの長さに対応している一方、車幅方向の寸法は管状部43の外径に対応している。すなわち、管状部43の外周面の車体前側が長孔51dの内周面の車体前側に当接することで第2シール材51の位置決めがなされる。
【0031】
尚、この実施形態では、第1リブ45aを長孔51dの内周面に当接させてより正確な位置決めを行っている。すなわち、車体前後方向について管状部43と長孔51dとの嵌合だけで位置決めを行うと、管状部43がシール面42に対し垂直に延びていないので、管状部43の外周面の車体前側の部分が全体的に長孔51dの内周面に沿わず、正確な位置決めがなされない虞れがある。これに対し、この実施形態では、第1リブ45aの車体後縁をシール面42に対し垂直に延びる直線状に形成しているので、該縁部の略全体が長孔51dの内周面の車体後側に沿うようになり、このことで正確な位置決めがなされるのである。
【0032】
次に、前記第1及び第2シール材50,51の空調ユニット2への取付手順について説明すると、まず、空調ユニット2の組立ラインのシール材組み付け工程において、第1シール材50及び第2シール材51を用意する。次いで、前記第1シール材51の孔部50a,50b,50cと、空調ユニット2のシール面42の突出部52,53,54とを嵌合させて第1シール材50の位置決めを行い、その後、第1シール材50をシール面42に接着する。この際、空調ユニット2のシール面42には3つの突出部52,53,54が形成されており、一方、第1シール材50にはその突出部52,53,54に対応して3つの孔部50a,50b,50cが形成されているので、第1シール材50の前側及び後側の各部を安定的に位置決めできる。しかる後、前記第2シール材51の長孔51dに管状部43及びリブ45を挿通して位置決めし、第2シール材51の第1層51aの上面を第1シール材50の下面に接着する。
【0033】
また、シール面42に垂直な方向から見て、該シール面42の後側突出部54がダッシュパネル61の貫通孔61cよりも大きく形成されるとともに、管状部43の周囲を連続して囲むように形成されているので、貫通孔61cの全周に亘って第2シール材51の上面及び下面が、それぞれ、孔部50aを貫通した突出部54の先端面及びダッシュパネル61の上面に当接する。このことで、第2シール材51によるシール性を十分に確保して、車室内への水の浸入を未然に防止できる。
【0034】
さらに、後側突出部54は管状部43の外周面と連続しており、かつ該後側突出部54の先端面は液密性の高い第2シール材51に当接しているので、車外から貫通孔61cの内部へ飛散する雨水は、後側突出部54の外周側、即ち第1シール材50側へ浸入することはなく、このことで、第1シール材50への雨水の付着を防いで、該第1シール材50の性能劣化を未然に防止できる。
【0035】
したがって、この実施形態に係る自動車用の空調装置1によると、エバポレータ5で発生する凝縮水を、空調ユニット2の底壁部20に設けたドレン部40の管状部43からダッシュパネル61の貫通孔61cを介して、その下側に排出するようにしたものにおいて、ドレン部40のシール面42とダッシュパネル61との間に、遮音性の高い第1シール材50及び液密性の高い第2シール材51を積層配置したので、車室への水の浸入を防止しながら車室の静粛化を図ることができる。そして、前記ドレン部40のシール面42に、第1シール材50に形成した孔部50a,50b,50cの嵌合する位置決め用の突出部52,53,54を設け、一方、第2シール材51に管状部43に嵌合する長孔51dを設けたので、第1及び第2シール材50,51の空調ユニット2への組み付けを組立ライン上の一つの工程で治具等を用いることなく容易に行うことができる。
【0036】
(他の実施形態)
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他の種々の実施形態を包含するものである。すなわち、前記実施形態では、シール面42の突出部52,53,54に嵌合する第1シール材50の嵌合部を、該第1シール材50を貫通する孔部50a,50b,50cとしているが、これに限らず、例えば、凹部としてもよい。また、この実施形態では、第1シール材50の突出部を複数設けているが、1つだけ設けるようにしてもよい。
【0037】
また、前記実施形態では、空調ユニット2の管状部43をシール面42から略鉛直下方に突出させているが、これに限らず、例えばシール面42に対し略垂直に下方へ突出するように形成してもよい。さらに、第2シール材51の孔部を該第2シール材51の厚み方向に貫通する長孔51dとしたが、シール面42に対し略垂直に貫通する長孔としてもよい。
【0038】
また、前記実施形態では、空調ユニット2と送風ユニット3とを備えたものとして説明したが、両ユニット2,3が一体となったような1つのユニット(内部に、送風機や熱交換器等を有する)に対しても、本発明を適用することができる。
【0039】
加えて、前記実施形態では、空調装置1を右ハンドル車に搭載したが、左ハンドル車に搭載するようにしてもよい。この場合、空調装置1は前記実施形態のものと左右がほぼ逆の関係になるように構成すればよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明に係る車両用空調装置によると、冷却用熱交換器を収容した室内ユニットをインストルメントパネル内に配設し、前記室内ユニットの底壁部に凝縮水を排出するための管状部を設け、その凝縮水を車体パネルに形成した貫通孔から下側へ排出するようにしたものにおいて、室内ユニットの底壁部下面の管状部の周囲にシール面を形成し、該シール面と車体パネルの上面との間に、第1シール材及びその下側に積層される第2シール材を設けて、車室への水の浸入を防止しながら静粛性を高める場合に、前記シール面に第1シール材の位置決め用の突出部を形成し、一方、第1シール材には前記突出部に嵌合する嵌合部を設け、前記第2シール材には前記管状部に嵌合する孔部を設けたので、第1及び第2シール材の室内ユニットへの組み付け時に、組立ライン上の一つの工程において治具等を用いることなく、容易に位置決めできる。
【0041】
また、室内ユニットのシール面の突出部は第1シール材に形成された孔部を貫通し、その先端面が第2シール材の上面に当接するので、第2シール材を突出部により車体パネル側へ直接、押圧することができ、このことで、第2シール材によるシール性を十分に得ることができる。
【0042】
また、第2シール材を管状部の外周の全周において突出部により押圧することができるので、車体パネルの貫通孔全周に亘って高いシール性を確保することができる。
【0043】
請求項記載の発明によると、シール面の突出部を管状部の外周面に連なるように形成し、第1シール材を車室外の音を遮断するためのシール材とし、第2シール材を車室内への水の浸入を防止するためのシール材としたので、管状部の外周面と車体パネルとの間からの雨水が遮音用のシール材に付着することはなく、このことで、該遮音用のシール材の劣化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る車両用空調装置を示す斜視図である。
【図2】 空調ユニットの内部を示す縦断面図である。
【図3】 空調ユニットの底壁部、第1シール材及び第2シール材の分解斜視図である。
【図4】 図6におけるA−A線断面図であり、(a)は空調ユニットの車体への取り付け前の状態を示す図であり、(b)は取り付け後の状態を示す図である。
【図5】 空調ユニットの底壁部を鉛直下方から見た平面図である。
【図6】 第1シール材及び第2シール材を組み付けた空調ユニットの図5相当図である。
【符号の説明】
2 空調ユニット(室内ユニット)
5 エバポレータ(冷却用熱交換器)
20 底壁部
42 シール面
43 管状部
50 第1シール材
50a,50b,50c 孔部
51 第2シール材
51d 長孔
52,53,54 突出部
61 ダッシュパネル(車体パネル)
61c 貫通孔

Claims (2)

  1. 冷却用熱交換器を収容した室内ユニットを車室のインストルメントパネル内に配設し、前記室内ユニットの底壁部に、前記冷却用熱交換器で発生する凝縮水を排出するための管状部を下方へ突設し、車体パネルの前記管状部に対応する部位に貫通孔を形成し、該貫通孔から前記凝縮水を車体パネルの下側に排出するようにした車両用空調装置において、
    前記室内ユニットの底壁部下面の管状部の周囲には、前記車体パネルの上面に略沿った形状をなすシール面が形成され、
    前記室内ユニットのシール面と車体パネルの上面との間には、シール面側に配設された第1シール材及び該第1シール材の下側に積層された第2シール材が設けられ、
    前記室内ユニットのシール面には第1シール材の位置決め用の突出部が形成される一方、前記第1シール材には前記突出部に嵌合する嵌合部が設けられ、該嵌合部は前記第1シール材を貫通する孔部で構成され、
    前記突出部は、前記第1シール材の孔部を貫通し、その先端面が前記第2シール材の上面に当接するように、かつ、前記管状部の外周の全周を連続して囲むように形成され、
    前記第2シール材には、前記管状部に嵌合する孔部が設けられていることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 請求項において、
    シール面の突出部は管状部の外周面に連なって形成され、
    第1シール材は車室外の音を遮断するためのシール材であり、
    第2シール材は車室内への水の浸入を防止するためのシール材であることを特徴とする車両用空調装置。
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