JP4142810B2 - 含油軸受を備えた電動機および電動機の製造方法 - Google Patents

含油軸受を備えた電動機および電動機の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は内部に潤滑油を有する多孔質状の含油軸受を用いた電動機および電動機の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用送風機に用いられる電動機において、一般的に電動機は回転軸が鉛直方向に沿って配置され、含油軸受は潤滑油を含浸した多孔質状の焼結合金により形成され、摺動面は円筒形である。この構成では、含油軸受に浸潤している潤滑油は停止後長時間経過すると、回転軸と摺動面との間隙を伝わり外部に流出したり、多孔質な含油軸受内の細間に吸い込まれたりして摺動面には殆ど残存しないという現象が生じることがしばしばあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記現象が生じた潤滑油のない状態で電動機を起動させると、軸受と回転軸との摺動摩擦が大きいため軸の芯ずれによる遠心力が作用して、後進才差運動として知られる挙動を示し、不快な音を発生してしまうという問題がある。
【0004】
この発明はこのような問題を解決するもので、回転軸が略鉛直方向に組付けられる場合にも含油軸受の摺動面に潤滑油を長期間にわたって保持でき、起動時に回転軸が振れ回り異常音が発生するのを確実に防止でき、含油軸受を電動機に組み付ける際、確実な配置を容易にできる含油軸受およびそれを用いた電動機および電動機の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、第1の発明は、内周面が回転軸と平行である中央軸受部、該中央軸受部の一端において内周面が一端側に向かって徐々に広がる一端軸受部、前記中央軸受部の他端において内周面が他端側に向かって徐々に広がる他端軸受部からなる潤滑油を含む多孔質状の含油軸受であり、前記中央軸受部と前記一端軸受部との一端側境界部および前記中央軸受部の一端側境界部の近傍および前記一端軸受部の一端側境界部の近傍は非多孔質状表面であり、前記中央軸受部と前記他端軸受部との他端側境界部は多孔質状表面であり外周側面が軸芯に対して曲面形状である含油軸受を備えた電動機であって、
該電動機は、鉛直方向に配置された回転軸と、前記回転軸の上端部で軸支し上端部側に前記一端境界部の非多孔質状表面が配置される上端部側含油軸受と、前記回転軸の下端部側で軸支し下端部側に前記一端境界部の非多孔質状表面が配置される下端部側含油軸受と、前記上端部側含油軸受の外周側面を固定する上端部側ハウジングケースおよび前記下端部側含油軸受の外周側面を固定する下端部側ハウジングケースとを備え、前記一端軸受部及び前記一端境界部は回転軸の端部側のお互い離間する位置に配置されたことを特徴とする含油軸受を備えた電動機である。
【0007】
また、第2の発明は、第1の発明に加えて、前記ハウジングケースに前記含油軸受を仮固定する工程と、前記回転軸を前記含油軸受に挿通させる工程と、その後、前記回転軸を全周に渡って傾斜させ、前記回転軸が前記含油軸受の非多孔質状表面に常に接触するように、前記含油軸受を前記ハウジングケースに位置調整する工程と、その後、前記ハウジングケースに前記含油軸受を完全に固定する工程と、からなる電動機の製造方法である。
【0008】
【作用】
まず、回転軸が上下の2つの含油軸受に支持された状態で回転する際、最も衝撃発生の原因となる回転として、図4のように上端部側および下端部側の含油軸受が、端部側の一端境界部において回転軸と接触する状態のときである。この発明の請求項1に関する含油軸受を用いた電動機は、上記構成によれば、回転軸が通常の回転中においては、回転軸と軸受内周面との接触摩擦熱により多孔質状の摺動面から潤滑油が溢れる。そして、その潤滑油は回転軸もしくは摺動面を伝わって中央軸受部と端部軸受部との間に設けられた非多孔質状表面の一端境界部にも至る。そして、回転軸を静止させ長時間放置した後でも、この一端境界部は非多孔質状表面であるので、潤滑油が内部に浸透することがなく、常に潤滑油が浸っている。その結果、回転軸を静止させ長時間放置した後、回転軸を作動させても、回転軸は潤滑油を介して一端境界部と常に接触することになる。よって、回転軸と軸受との摺動摩擦係数が大きくならずに後進才差運動が生じることがなく、不快な音の発生を防止することができる。この含油軸受は、回転軸の軸芯に対して非多孔質状表面の一端境界部が作る平面がきちんと垂直に配置されていなければ、図4のように傾斜した状態できちんと上記の作用である回転軸が常に非多孔質状表面が接触することができない。そこで含油軸受の外周側面を曲面形状することで、含油軸受をハウジングケースに固定する際、微調整ができるようにしたものである。
【0009】
この発明の請求項に関する電動機の製造方法は、含油軸受は、上記工程とその順序によれば、確実に回転軸がどのような傾斜をしても、確実に非多孔質状表面に接触することになるので、上記にしめした作用が確実に行われる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を図に示す実施形態例について説明する。図1は本発明第1実施形態例の電動機の断面図であり、図2は本発明第1実施形態例の上端部側含油軸受の断面図であり、図3は本発明第1実施形態例の下端部側含油軸受の断面図である。電動機である図1において、1は回転駆動するアーマチャ、2は略鉛直方向に組付けられた回転軸であり、回転軸2の上端部に図示しない送風ファン等の被駆動体が取り付けられる。3は含油軸受で垂直方向に回転軸2を支えるように上端部側含油軸受3aと下端部側含油軸受3bに位置する。4は回転軸に固定されたコンミテータで、モータの給電を整流している。5はヨークハウジング、6はヨークハウジング5の内壁に固定したマグネット、7は給電のためのブラシである。
【0011】
図2の上端部側含油軸受3aおよび図3の下端部側含油軸受3bは従来この種の電動機において使用される粉末金属を圧縮加圧してさらに焼結加工した多孔質状のものである。
【0012】
ここで、まず図2の上端部側含油軸受3aについて説明する。この上端部側含油軸受3aは図1に示すように鉛直方向に配置されたモータ回転軸2を軸支するものであり、回転子本体となるアーマチャ1の上端部側方向に設けられている。上端部側含油軸受3aは主に3つの部材から構成され、中央軸受部31aと一端軸受部32aと他端軸受部33aである。中央軸受部31aは回転軸2と平行である。そして、一端軸受部32aは、中央軸受部31aの上方向端部に設けられその内周面が軸長手方向上に向かって徐々に外方に広がる直線的なテーパ面を構成している。そして、他端軸受部33aは、中央軸受部31aの下方向端部に設けられその内周面が軸長手方向下に向かって徐々に外方に広がる直線的なテーパ面を構成している。この上端部側含油軸受3aと回転軸2との位置関係は、一端軸受部32aはアーマチャ1から離れる方向であり、他端軸受部33aはアーマチャ1から近づく方向である。
【0013】
次に、中央軸受部31aと一端軸受部32aとの境界となる一端境界部34aは、中央軸受部31aの平行内周面と一端部軸受部32aの直線的なテーパ内周面とから円形の屈折形状になっている。同様に、中央軸受部31aと他端部軸受部33aとの境界となる他端境界部35aは、中央軸受部31aの平行内周面と他端部軸受部32aの直線的なテーパ内周面とから円形の屈折形状になっている。この一端境界部32aとその近傍はそれぞれ非多孔質状表面36aになっており、この部分は多孔質状の含油軸受表面を目潰しすることにより形成される。一端境界部34aは円形の線であるが、この非多孔質部は一端境界部の近傍にも設けられるので、中央軸受部31aの内周面と一端部軸受部32aにも一部設けられることになる。そして、この非多孔質状表面36aには、全周方向全て非多孔質状表面にしている。
【0014】
そして、上端部側含油軸受3aの一端境界部34aでの非多孔質表面34aが設けられた方向における軸端表面に切欠状の目印37aが内周面から外周表面を貫通するように設けられている。これは外観から見ても非多孔質状表面34aの配置が判別できるようになっている。目印37aをアーマチャ1の外に向けて設けることにより、回転軸2のアーマチャ1から離れる上端部側に非多孔質状表面36aを配置することになるので、図4のような傾斜した場合の本発明作用を確実に生じさせることができる。また、上端部側軸受3aの外周側面は軸芯に対して曲面形状になっている。この外周側面は電動機の固定子であるハウジングケース50に固定される部分であり、回転軸2と図4のように傾斜した状態で、回転軸2が含油軸受3の境界部34aの非多孔質状表面36aに接触するように微調整できるための構造である。
【0015】
同様に、図3の下端部側含油軸受3bについて説明する。この下端部側含油軸受3bは図1に示すように鉛直方向に配置されたモータ回転軸2を軸支するものであり、回転子本体となるアーマチャ1の下端部側方向に設けられている。下端部側含油軸受3bは主に3つの部材から構成され、中央軸受部31bと一端軸受部32bと他端軸受部33bである。中央軸受部31bは回転軸2と平行である。そして、一端軸受部32bは、中央軸受部31bの下方向端部に設けられその内周面が軸長手方向下に向かって徐々に外方に広がる直線的なテーパ面を構成している。そして、他端軸受部33bは、中央軸受部31bの下方向端部に設けられその内周面が軸長手方向下に向かって徐々に外方に広がる直線的なテーパ面を構成している。この下端部側含油軸受3bと回転軸2との位置関係は、一端軸受部32bはアーマチャ1から離れる方向であり、他端軸受部33bはアーマチャ1から近づく方向である。
【0016】
次に、中央軸受部31bと一端軸受部32bとの境界となる一端境界部34bは、中央軸受部31bの平行内周面と一端部軸受部32bの直線的なテーパ内周面とから円形の屈折形状になっている。同様に、中央軸受部31bと他端部軸受部33bとの境界となる他端境界部35bは、中央軸受部31bの平行内周面と他端部軸受部32bの直線的なテーパ内周面とから円形の屈折形状になっている。この一端境界部32bとその近傍はそれぞれ非多孔質状表面36bになっており、この部分は多孔質状の含油軸受表面を目潰しすることにより形成される。一端境界部34bは円形の線であるが、この非多孔質部は一端境界部の近傍にも設けられるので、中央軸受部31bの内周面と一端部軸受部32bにも一部設けられることになる。そして、この非多孔質状表面36bには、全周方向全て非多孔質状表面にしている。
【0017】
そして、下端部側含油軸受3bの一端境界部34bでの非多孔質表面34bが設けられた方向における軸端表面に切欠状の目印37aが内周面から外周表面を貫通するように設けられている。これは外観から見ても非多孔質状表面34bの配置が判別できるようになっている。目印37bをアーマチャ1の外に向けて設けることにより、回転軸2のアーマチャ1から離れる下端部側に非多孔質状表面36bを配置することになるので、図4のような傾斜した場合の本発明作用を確実に生じさせることができる。また、下端部側軸受3bの外周側面は軸芯に対して曲面形状になっている。この外周側面は電動機の固定子であるハウジングケース50に固定される部分であり、回転軸2と図4のように傾斜した状態で、回転軸2が含油軸受3の境界部34bの非多孔質状表面36bに接触するように微調整できるための構造である。
【0018】
次に外周側面が曲面形状の含油軸受3近傍のハウジングケース50について図1に従い説明する。上端部側含油軸受3aを固定するハウジングケース50aには軸受当接部510が設けられており、この部分は上端部側含油軸受3aの外周表面の曲面形状と一致するような内側に丸くなった曲面形状になっている。この軸受当接部510の軸方向上方向には潤滑油が含浸された給油パッド51aが積置されている。この給油パッド51aを通じて含油軸受の外周表面に潤滑油が供給される。そして、この給油パッド51aと含油軸受3aは、給油パッド51aの軸方向上方から保持プレート52aにより、押さえられハウジングケース50aに保持固定されている。同様に、下端部側含油軸受3bの方にはハウジングケース50bと給油パッド51bと保持プレート52bとが設けられ、保持固定されている。
【0019】
次に含油軸受を備えた電動機の製造方法について図1に従い説明する。これは回転軸2が含油軸受3の非多孔質状表面に常に接触できるような電動機を得るための組み付け工程の順序である。まず最初に、ハウジングケース5を用意し、そのハウジングケースに上端部側含油軸受3aと下端部側含油軸受3bを含油軸受当接部510に当接して仮固定しておくいわゆる仮固定工程である。そして、回転軸2を含油軸受2に挿通させる。いわゆる挿通工程である。以上仮固定工程と挿通工程は先でも後でもよい。これら2つの工程の後に次に回転軸2を図4のように全周方向に傾斜させて、回転軸2が含油軸受2の非多孔質状表面であるように位置を変化させていき、完全に一致するように含油軸受を傾斜させる。このとき、含油軸受3aの外周側面が曲面形状であるので、含油軸受3aの含油軸受当接部510も同じ曲面形状なので、含油軸受3aは移動可能である。いわゆる位置調整工程である。そして、最後に保持プレート52aをハウジングケース50aに圧入することで、給油パッド51aと上端部側含油軸受3aを完全に保持固定する。いわゆる固定工程である。以上は上端部側含油軸受3aについてであるが、下端部側含油軸受3bについても同様である。上記では、下端部側含油軸受3bは予め位置を固定しておき、上端部側含油軸受3aのみをを傾斜させ位置調整しているが、その逆に下端部側含油軸受3bのみを傾斜させ位置調整してもよく、さらに同時に傾斜させ位置調整しても良い。また、保持プレート52a、52bの含油軸受3a、3bへの押圧力をある程度弱めておけば、電動機製造後においても、いつでも含油軸受3aと3bの位置調整が可能である。この場合、上記製造工程の固定工程が除かれ、常に仮固定工程で製造された電動機である。この場合、長時間電動機を使用していると軸芯がずれてくるので、ある期間を経たとき、再度位置調整工程を定期的に行うのが好ましい。なお、保持プレートの押圧力は電動機のロータの遠心力もしくは回転軸にかかる負荷で変動する程度のものよりも強く設定されるが、それよりも大きな力で含油軸受を動かせば移動させることができる程度の大きさである。
【0020】
次に、上記構成より不快な音の発生を抑制するメカニズムを説明する。模式的に図4に示したアーマチャ1と回転軸2と上端部側含油軸受3aと下端部側含油軸受3bとの位置関係により、回転中に回転軸2が傾斜した状態も生じる。このとき、回転軸2と上端部側含油軸受3aの一端境界部34aの内周面とのA点での衝突、および回転軸2と下端部側含油軸受3bの一端境界部34bの内周面とのB点での衝突、が振動発生の原因の一つになっており、特に、長期停止時における再起動時の非多孔質状表面への潤滑油の十分な供給がなされていない場合においては、後進才差運動として知られる挙動を発生し、不快な音を発生してしまう。
【0021】
しかしながら、回転軸2の端部側である上端部側含油軸受3aの一端境界部34aと下端部側含油軸受3bの一端境界部34bとが非多孔質状表面になっているので、この部分には長期停止時における再起動時であっても潤滑油が浸ることが可能である。よって、後進才差運動として知られる挙動を発生し、不快な音を発生してしまうという問題を解消する。
【0022】
次に、上記含油軸受3(上端部側含油軸受3a、下端部側含油軸受3b)を備えた電動機1の構成においてその通常回転時の作動を説明する。まず、図示しない駆動スイッチを投入すると、図示しない外部電源から給電コネクタを通し、ブラシ7、コンミテータ4、アーマチャ1に給電し、このアーマチャ1が回転し、その回転駆動力を回転軸2に伝達し、非駆動体を回転させている。
【0023】
次に潤滑油と上端部側含油軸受3aについて図5の上図に従い説明する。摺動面に浸潤した潤滑油は、一端軸受部32aのテーパ部分と回転軸2との間隙において重力に沿って落下する。そして、潤滑油は非多孔質状表面36aの上に浸ることになる(矢印C)。一方、含油軸受3a内部に浸透している潤滑油は、中央軸受部31a表面から吸収され供給される(矢印D)。なお、上記一端部軸受部32aの角度は回転軸2が振れ等で含油軸受3の軸心に対して最大傾斜しても、一端部軸受部32aの表面が当接しない程度の角度を有する図4のような状態である。よって、回転中は一端軸受部32aから潤滑油が吸収されることは少なく供給される方が多い。
【0024】
次に潤滑油と下端部側含油軸受3bについて図5の下図に従い説明する。摺動面に浸潤した潤滑油は、一端軸受部32bのテーパ部分と回転軸2との間隙において重力に逆らって保持される。この現象は一般に毛細管現象といわれ、液体の表面張力と間隙の寸法によって算出される力が働く。ちなみに10μmの間隙ではおよそ50cmの高さまで液面を持ち上げる。従ってテーパ部の望ましい角度は1°〜10°である。下方の一端部軸受部32bのテーパ面には摺動面内の潤滑油が垂れることを防止する作用がある。具体的には上方の他端部軸受部33bは1°〜10°で良いが、下方の一端部軸受部32bはさらに角度を小さくして1°〜5°の範囲が望ましい。この範囲により、特に下方への潤滑油の垂れ防止が有効になる。上記一端軸受部32bの角度は回転軸2が振れ等で含油軸受3の軸心に対して最大傾斜しても、一端軸受部32bの表面が当接しない程度の角度を有している。図4のような状態である。一方、下方の一端軸受部32b非多孔質状表面36bから落下した潤滑油は多孔質状の一端部側含油軸受32bから含油軸受3b内部に吸収される(矢印E)。そして、潤滑油は中央軸受部31b表面および他端軸受部33b表面を介して回転軸2の摺動面に供給され(矢印F)、摺動面から供給された潤滑油は境界部33b近傍の非多孔質状表面34bの内周面に落下するように供給される(矢印G)。
【0025】
次に本発明の長時間回転軸が停止した後、作動させるときの潤滑油のミクロ的な作用について図6に従い説明する。図6(A)は回転軸2と多孔質で構成された含油軸受3の表面を示す説明図である。多孔質の含油軸受3には微細な孔30が無数にあり、回転軸2の停止後は毛細管現象により潤滑油は含油軸受3本体内に吸収され微細な孔30の開口部周りにおいて潤滑油は摺動面に存在しない。ところが、図6(B)に示した本発明の第1実施形態例の含油軸受3では一端境界部34a、34b近傍の表面が微細な孔30を塞いだ非多孔質状表面36a、36bに形成されているため、潤滑油はそのまま摺動面に保持され続ける。
【0026】
その結果、回転軸2を静止させ長時間放置した後、回転軸2を作動させても、回転軸2は回転中に衝撃の原因となる図4のように傾斜した状態のとき、回転軸2と含油軸受3の一端境界部34a、34bの内周面との間には潤滑油で覆われることになるので、よって、回転軸2と含油軸受3との摺動摩擦係数が大きくならずに後進才差運動が生じることがなく、不快な音の発生を防止することができる。特に多孔質状表面36a、36bが設けられているので、非多孔質状表面36a、36bに潤滑油が浸っている確率も高くなる。
【0027】
図7に摺動面を全て多孔質で形成した含油軸受を利用した場合と第1実施形態例を利用した場合との比較実験した結果を示す。実験は粘度の高い潤滑油を使って、起動と短い時間作動後の停止を繰り返し、起動時の消費電力を調べた。潤滑油が多く保持されていれば、粘度が高いので消費電力は大きくなる。実験では本案の軸受では繰り返し後も変化は見られなかった。一方全面多孔質の場合は実験を繰り返す度に消費電力は小さくなり、潤滑油が減少していることを示した。
【0028】
図8および図9に第2実施形態例を示す。本実施形態例では上端部側含油軸受3cを図8に示し、下端部側含油軸受3dを図9に示した。
【0029】
図8の上端部側含油軸受3cは、第1実施形態例の上端部側含油軸受3aに対して他端軸受部33cの他端境界部35cの近傍から他端境界部35cに至る部分まで非多孔質状表面38cを設けている。この結果、長時間経過後、回転軸2を再起動させる際、中央軸受部31cから落下した潤滑油が、この非多孔質表面38cと回転軸2との間で保持できる。また、この上端部側含油軸受3cには、非多孔質表面36cの方向逆側の端面に凸状の目印37cが設けられている。この結果、目印37cの逆側に非多孔質表面36cが設けられていることが外観から判別できるので、目印37cをアーマチャ1に向けて設けることにより、図4のような傾斜した場合の本発明作用を確実に生じさせることができる。
【0030】
図9の下端部側含油軸受3dは、第1実施形態例の下端部側含油軸受3bに対して中央軸受部31dの軸方向一部に周方向全体に渡って非多孔質状表面39dを設けている。この結果、長時間経過後、回転軸2を再起動させる際、図4のように傾斜しない中央軸受部31dに回転軸2が接触したときであっても、潤滑油が軸受内周面と回転軸2との間に介在するので、衝撃を緩和することができる。また、この上端部側含油軸受3dには、非多孔質表面36dの方向逆側の端面に凸状の目印37dが設けられている。この結果、目印37dの逆側に非多孔質表面36dが設けられていることが外観から判別できるので、目印37dをアーマチャ1に向けて設けることにより、図4のような傾斜した場合の本発明作用を確実に生じさせることができる。
【0031】
なお上記構成では、図8の上端部側含油軸受3cに非多孔質部38cを設け、図9を下端部側含油軸受3dに非多孔質部39d用いたが、上端部側含油軸受3cに非多孔質部39dと同様な位置である非多孔質部を設けたり、図9を下端部側含油軸受3dに非多孔質部38cと同様な位置である非多孔質部を設けても良い。
【0032】
さらに、図10のように、第3実施形態例であって、上端部側含油軸3eの断面図を示した。これは外周表面を軸方向に非対称にした含油軸受であり、上方の非多孔質状表面36eである一端境界部34eの存在する方向の外表面は、断面からみて直線形状になっており、下方の多孔質状表面である他端境界部35eの存在する方向の外表面は、断面から見て曲面形状になっている。これは含油軸受3eの製造時に形成されるので、非多孔質状表面36eも製造時に形成するば、後工程で目印を特別に設ける必要はない。また、図示しないが、下端部側含油軸受においては、同じ形状の含油軸受3eを用いるが、電動機への組み付け時に、上方が断面から見て直線形状の方を配置し、下方に断面から見て曲線形状の方を配置する。この結果、本発明の作用である後進才差運動が生じることなく、不快な音の発生を確実に防止できる。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば焼結含油軸受より染み出した潤滑油が回転軸を伝わって軸受の外部へ垂れてくることを防ぎ、さらに焼結含油軸受内の細間に溜まってしまうことを防ぎ、長時間停止した後の起動直後にも軸受の摺動面に潤滑油を保持することができる。とくに振動発生の原因となる回転軸の傾斜時の含油軸受と回転軸との摩擦を低減できるので、それにより起動時の不快音を防止することができる。しかも、その確実性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態例の電動機の断面図である。
【図2】 第1実施形態例における上端部側含油軸受の断面図である。
【図3】 第1実施形態例における下端部側含油軸受の断面図である。
【図4】 上端部側及び下端部側の含油軸受に対して回転軸が傾斜したときの説明図である。
【図5】 第1実施形態例における潤滑油の動きを示す説明図である。
【図6】 含油軸受における潤滑油の動きを示す説明図である。
【図7】 本案と従来の軸受との比較実験の結果である。
【図8】 第2実施形態例における上端部側含油軸受の断面図である。
【図9】 第2実施形態例における下端部側含油軸受の断面図である。
【図10】 第3実施形態例における上端部側含油軸受の断面図である。
【符号の説明】
1…アーマチャ、2…回転軸、3…含油軸受、4…コンミテータ、
5…ヨークハウジング、6…マグネット、7…ブラシ、
30…従来技術における軸受の微細な孔、
3a、3c、3e…上端部側含油軸受、
3b、3d…下端部側含油軸受、
31a、31b、31c、31d、31e…中央軸受部、
32a、32b、32c、32d、32e…一端軸受部、
33a、33b、33c、33d、33e…他端軸受部、
34a、34b、34c、34d、34e…一端境界部、
35a、35b、35c、35d、35e…他端境界部、
36a、36b、36c、36d、36e、38c、39d…非多孔質状表面、
37a、37b、37c、37d、37e…目印、
100…潤滑油

Claims (2)

  1. 内周面が回転軸と平行である中央軸受部、該中央軸受部の一端において内周面が一端側に向かって徐々に広がる一端軸受部、前記中央軸受部の他端において内周面が他端側に向かって徐々に広がる他端軸受部からなる潤滑油を含む多孔質状の含油軸受であり、前記中央軸受部と前記一端軸受部との一端側境界部および前記中央軸受部の一端側境界部の近傍および前記一端軸受部の一端側境界部の近傍は非多孔質状表面であり、前記中央軸受部と前記他端軸受部との他端側境界部は多孔質状表面であり外周側面が軸芯に対して曲面形状である含油軸受を備えた電動機であって、
    該電動機は、鉛直方向に配置された回転軸と、前記回転軸の上端部で軸支し上端部側に前記一端境界部の非多孔質状表面が配置される上端部側含油軸受と、前記回転軸の下端部側で軸支し下端部側に前記一端境界部の非多孔質状表面が配置される下端部側含油軸受と、前記上端部側含油軸受の外周側面を固定する上端部側ハウジングケースおよび前記下端部側含油軸受の外周側面を固定する下端部側ハウジングケースとを備え、前記一端軸受部及び前記一端境界部は回転軸の端部側のお互い離間する位置に配置されたことを特徴とする含油軸受を備えた電動機。
  2. 前記ハウジングケースに前記含油軸受を仮固定する工程と、前記回転軸を前記含油軸受に挿通させる工程と、その後、前記回転軸を全周に渡って傾斜させ、前記回転軸が前記含油軸受の非多孔質状表面に常に接触するように、前記含油軸受を前記ハウジングケースに位置調整する工程と、その後、前記ハウジングケースに前記含油軸受を完全に固定する工程とからなる請求項1記載の電動機の製造方法。
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