以下、発明を実施するための最良の形態としての本発明の実施形態に係る情報記録媒体、情報記録装置及び方法、情報再生装置及び方法、並びに、コンピュータプログラムについて順に説明する。
(情報記録媒体に係る実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る情報記録媒体について説明する。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態は、記録データを記録するために、(i)第1基準周波数(Fstd:DVD-R/RW)によって規定可能な(従来の再生機による自己相関関係に基づく検出方法では検出不可能な)第1周波数帯域に含まれると共に、(ii)前記第1基準周波数の整数倍である、周波数によって規定される所定クロック情報(wobble又はWBL)がプリフォーマットされる記録領域を備える。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態によれば、当該情報記録媒体に備えられる記録領域では、(i)第1基準周波数(Fstd:DVD-R/RW)によって規定可能な第1周波数帯域に含まれる所定クロック情報(wobble)がプリフォーマットされている。ここに、本発明に係る「第1基準周波数」とは、例えばDVD-Rや、DVD-RW等の従来の記録型光ディスクにプリフォーマットされたクロック情報(ウォブル(Wobble))の周波数等の基準となる周波数である。また、本発明に係る「第1周波数帯域」とは、クロック情報の周波数が、第1基準周波数として検出(識別)できるか否かを、例えば、後述される、自己相関関係に基づいて判別する従来の再生機によっては、第1基準周波数として検出されない、周波数帯域を意味する。特に、この第1周波数帯域は、連続的な一つの周波数帯域であってもよいし、又は、離散的な複数の周波数帯域であってもよい。
この結果、例えば、記録データを再生する際に、最初にアクセスされ、記録データの再生を許可するか否かが判断されるため、記録メディアかどうかが識別されるための再生設定領域は、記録領域に含まれている。従って、この再生設定領域を含む記録領域は、従来の再生機(一般の情報記録再生装置)から検出できない所定クロック情報が、プリフォーマットされているので、一般の情報記録再生装置は、記録領域における再生処理において、本発明の情報記録媒体と、一般的な、例えばDVD−ROM等の再生専用の情報記録媒体とを区別することができない。この結果、従来の再生機は、一般的な再生専用の情報記録媒体と同様に、本発明の情報記録媒体に対して、再生処理を行うことが可能である。
また、当該情報記録媒体に備えられる記録領域では、(ii)第1基準周波数(Fstd:DVD-R/RW)の整数倍である周波数によって規定される所定クロック情報(wobble)がプリフォーマットされている。
この結果、所定クロック情報(wobble)の周波数は、第1基準周波数(Fstd:DVD-R/RW)の整数倍である。このため、第1基準周波数でプリフォーマットされた、例えばLPP(Land Pre-Pit)等のアドレス情報(以下、適宜「第1アドレス情報」と称す)を検出可能な従来の再生機によって検出不可能であると共に、所定クロック情報と簡便且つ適切な位相間係を保持可能なアドレス情報(以下、適宜「所定アドレス情報」と称す)を、プリフォーマットすることが可能である。
仮に、所定クロック情報が、第1基準周波数の整数倍でなければ、従来の再生機による再生の際のプッシュプル信号の検出処理において、所定クロック情報と、所定アドレス情報の位相関係の特定が、複雑化してしまい、所定アドレス情報の検出処理が、技術的に困難となってしまう可能性が生じてしまう。
これに対して、本発明に係る、所定クロック情報(wobble)の周波数は、第1基準周波数(Fstd:DVD-R/RW)の整数倍である。このため、例えばDVD-Rや、DVD-RWのウォブル(Wobble)等の従来の記録型光ディスクにプリフォーマットされた、例えばウォブルの頂点(即ち、ウォブルの振幅が最大の位置)に対応される位置の付近に所定アドレス情報をプリフォーマットすることで、所定アドレス情報をプリフォーマットすることが可能である。この結果、所定クロック情報と簡便且つ適切な位相間係を保持可能な所定アドレス情報を、プリフォーマットすることが可能である。
加えて、本発明に係る、所定クロック情報の周波数は、第1基準周波数の整数倍であるため、第1アドレス情報を検出可能な、例えばDVD-Rのウォブル等の従来の記録型光ディスクを再生する従来の再生機によっても、第1アドレス情報におけるフレーム構成や信号構成と概ね同様に、信号処理を、所定アドレス情報に対して施せばよい。従って、従来の再生機における、アドレス情報の信号処理系(又は、信号処理回路)において、構成や処理手順を変更する必要性を殆ど又は完全になくすことが可能である。
更に、加えて、当該情報記録媒体に備えられる記録領域では、上述した所定クロック情報や、所定アドレス情報が、全ての位置において、プリフォーマットされている。従って、記録データを記録する際、例えば一種類の信号処理に基づいて、いずれの位置においても、記録データを記録することが可能であるので、複数種類の信号処理に基づく記録と比較して、追記又は書き換え記録を高精度に行うことが可能である。
以上の結果、例えばCSS等の暗号化システムによって、著作権が保護されたコンテンツを、上述した所定クロック情報がプリフォーマットされた、記録型の情報記録媒体によって、一般のユーザに供給し、供給されたコンテンツを、従来の再生機によって、適切且つ簡便に再生処理を行わせることが可能となる。従って、本発明の情報記録媒体によれば、コンテンツの著作権の保護と、再生互換性の維持との両立を実現することが可能である。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の一の態様では、前記所定クロック情報は、前記第1基準周波数の2n倍(但し、nは整数)である第1周波数(2n×Fstd)によって規定される。
この態様によれば、所定クロック情報(wobble)が、第1基準周波数の2n倍(但し、nは整数)である第1周波数(2n×Fstd)によって規定される。従って、クロック情報の周波数が、第1基準周波数として検出(識別)できるか否かを、自己相関関係に基づいて判別する従来の再生機は、所定クロック情報を検出することは殆ど又は完全にない。ここに、本発明に係る「自己相関関係」とは、例えばウォブル信号等の各種の信号における、例えば周波数や、振幅や、位相等の信号特性を帰納的に定量化又は定性化するために、定義付けられる、当該信号特性を示す一の変数と、当該信号特性を示す他の変数との相関関係である。
この結果、従来の再生機は、一般的な再生専用の情報記録媒体と同様に、本発明の情報記録媒体に対して、再生処理を行うことが可能である。従って、再生互換性の維持をより的確に実現することが可能である。
この所定クロック情報に係る態様では、前記所定クロック情報は、前記第1周波数を中心とする所定範囲の周波数(2n×Fstd±α)によって規定されるようにしてもよい。
このように構成すれば、第1周波数を中心とする所定範囲の周波数(2n×Fstd±α)に基づいて、再生互換性の維持をより的確に実現することが可能である。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の他の態様では、前記所定クロック情報の周波数は、更に、前記第1基準周波数とは異なる第2基準周波数(Fwb2:DVD+R/RW)によって規定される(従来の再生機による自己相関間係に基づく検出方法では検出不可能な)第2周波数帯域に含まれる。
この態様によれば、本発明の情報記録媒体に係る実施形態に備えられる記録領域では、(i)第2基準周波数(Fwb2:DVD+R/RW)によって規定可能な第2周波数帯域にも含まれる所定クロック情報(wobble)がプリフォーマットされている。ここに、本発明に係る「第2基準周波数」とは、例えばDVD+Rや、DVD+RW等の従来の記録型光ディスクにプリフォーマットされたクロック情報(ウォブル(Wobble))の周波数等の基準となる周波数である。また、本発明に係る「第2周波数帯域」とは、クロック情報の周波数が、第2基準周波数として検出(識別)できるか否かを、例えば、自己相関関係に基づいて判別する従来の再生機によっては、第2基準周波数として検出されない、周波数帯域を意味する。
この結果、例えば、記録データを再生する際に、最初にアクセスされ、記録データの再生を許可するか否かが判断されるため、記録メディアかどうかが識別されるための再生設定領域は、記録領域に含まれている。従って、例えば、再生設定領域は、第2基準周波数に基づいて、記録又は再生処理を行う、一般の情報記録再生装置(以下、適宜、「第2の情報記録再生装置」と称す)から検出できない所定クロック情報が、プリフォーマットされているので、第2の情報記録再生装置は、少なくとも再生設定領域における再生処理において、本発明の情報記録媒体と、一般的な、例えばDVD−ROM等の再生専用の情報記録媒体とを区別することができない。この結果、第2の情報記録再生装置は、一般的な再生専用の情報記録媒体と同様に、本発明の情報記録媒体に対して、再生処理を行うことが可能である。
また、当該情報記録媒体に備えられる記録領域では、所定クロック情報は、第2基準周波数(Fwb2:DVD+R/RW)の整数倍である周波数によってプリフォーマットされていなくてもよい。この場合、所定クロック情報は、少なくとも、上述した第1基準周波数の整数倍である周波数によってプリフォーマットされていることが、所定アドレス情報の簡便な検出の観点において好ましい。
或いは、当該情報記録媒体に備えられる記録領域では、所定クロック情報は、第2基準周波数の整数倍である周波数によってプリフォーマットされていてもよい。
この結果、所定クロック情報の周波数は、第2基準周波数の整数倍である。このため、例えば、第2基準周波数でプリフォーマットされた、例えばLPP等のアドレス情報(以下、適宜「第2アドレス情報」と称す)を検出可能な従来の再生機によって検出不可能であると共に、所定クロック情報と簡便且つ適切な位相間係を保持可能な所定アドレス情報を、プリフォーマットすることが可能である。
この所定クロック情報に係る態様では、前記所定クロック情報は、前記第2基準周波数の2m倍(但し、mは整数)である第2周波数(2m×Fwb2)によって規定されるようにしてもよい。
このように構成すれば、所定クロック情報(wobble)が、第2基準周波数の2m倍(但し、mは整数)である第2周波数(2m×Fwb2)によって規定される。従って、クロック情報の周波数が、第2基準周波数として検出(識別)できるか否かを、自己相関関係に基づいて判別する第2の情報記録再生装置は、所定クロック情報を検出することは殆ど又は完全にない。
この結果、第2の情報記録再生装置は、一般的な再生専用の情報記録媒体と同様に、本発明の情報記録媒体に対して、再生処理を行うことが可能である。従って、再生互換性の維持をより的確に実現することが可能である。
更に、この所定クロック情報に係る態様では、前記所定クロック情報は、前記第2周波数を中心とする所定範囲の周波数(2m×Fstd±β)によって規定されるようにしてもよい。
このように構成すれば、第2周波数を中心とする所定範囲の周波数(2m×Fwb2±β)に基づいて、再生互換性の維持をより的確に実現することが可能である。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の他の態様では、前記記録領域では、所定アドレス情報(LPP)が、前記第1基準周波数に基づいて、プリフォーマットされている。
この態様によれば、記録領域では、所定アドレス情報(LPP)が、第1基準周波数に基づいて、プリフォーマットされている。ここに、本発明に係る「所定アドレス情報」とは、第1基準周波数でプリフォーマットされた、例えばLPP(Land Pre-Pit)等の第1アドレス情報を検出可能な従来の再生機によって検出不可能であると共に、所定クロック情報と簡便且つ適切な位相間係を保持可能なアドレス情報である。
この結果、上述した、所定クロック情報と簡便且つ適切な位相間係を保持可能な所定アドレス情報を、プリフォーマットすることが可能である。加えて、この結果、第1アドレス情報を検出可能な、例えばDVD-Rのウォブル等の従来の記録型光ディスクを再生する従来の再生機によっても、第1アドレス情報におけるフレーム構成や信号構成と概ね同様に、信号処理を、所定アドレス情報に対して施せばよい。従って、従来の再生機における、アドレス情報の信号処理系(又は、信号処理回路)において、構成や処理手順を変更する必要性を殆ど又は完全になくすことが可能である。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の他の態様では、前記記録領域では、所定アドレス情報(LPP)が、前記第1基準周波数(Fstd:DVD-R/RW)の変調(周波数変調、位相変調、又は、振幅変調)に基づいて、プリフォーマットされている。
この態様によれば、上述した、所定クロック情報と簡便且つ適切な位相間係を保持可能な所定アドレス情報を、例えば、周波数変調、位相変調、又は、振幅変調等の各種の変調に基づいて、高精度にプリフォーマットすることが可能である。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の他の態様では、前記記録領域では、前記記録データを暗号化又は復号化するための暗号化キーが予め記録されている。
この態様によれば、例えばCSS等の暗号化システムによって、著作権が保護された記録データを、上述した所定クロック情報がプリフォーマットされた、記録型の情報記録媒体によって、一般のユーザに供給し、供給されたコンテンツを、従来の再生機によって、暗号化キーに基づいて、適切且つ簡便に再生処理を行わせることが可能となる。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の他の態様では、前記記録領域では、暗号化された前記記録データを記録可能である。
この態様によれば、例えばCSS等の暗号化システムによって、著作権が保護された記録データを、上述した所定クロック情報がプリフォーマットされた、記録型の情報記録媒体によって、一般のユーザに供給し、供給されたコンテンツを、従来の再生機によって、暗号化された記録データに対して、適切且つ簡便に再生処理を行わせることが可能となる。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の他の態様では、前記記録領域(リードインエリア)では、当該情報記録媒体を管理する管理情報が、前記第1基準周波数(Fstd:DVD-R/RW)に基づいて、重畳可能である。
この態様によれば、上述した、所定アドレス情報に加えて、又は、代えて、当該情報記録媒体を管理する管理情報を、プリフォーマットすることが可能である。
この結果、従来の再生機によって、管理情報の取得処理を適切且つ簡便に行わせることが可能となる。
本発明の情報記録媒体に係る実施形態の他の態様では、前記記録領域は、前記記録データを再生する際に、最初にアクセスされ、前記記録データの再生を許可するか否かを識別するための再生設定領域を含む。
この態様によれば、記録データを再生する際に、最初にアクセスされ、記録データの再生を許可するか否かが判断されるため、記録メディアかどうかが識別されるための再生設定領域は、記録領域に含まれている。従って、再生設定領域は、従来の再生機から検出できない所定クロック情報が、プリフォーマットされているので、一般の情報記録再生装置は、再生設定領域における再生処理において、本発明の情報記録媒体と、一般的な、例えばDVD−ROM等の再生専用の情報記録媒体とを区別することができない。この結果、従来の再生機は、一般的な再生専用の情報記録媒体と同様に、本発明の情報記録媒体に対して、再生処理を行うことが可能である。
(情報記録装置の実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る情報記録装置について説明する。
本発明の情報記録装置に係る実施形態は、上述した本発明の情報記録媒体の実施形態(但し、各種態様を含む)に前記記録データの記録を行う情報記録装置であって、前記記録データを記録する記録手段と、前記所定クロック情報(wobble)を検出する検出手段と、検出された前記所定クロック情報に基づいて、前記記録の際の信号処理条件を設定する設定手段(所定クロック情報に対して分周処理を行う)と、設定された前記信号処理条件に基づいて、前記記録データを記録するように前記記録手段を制御する制御手段とを備える
本発明の情報記録装置に係る実施形態によれば、設定手段によって、所定クロック情報に基づいて、信号処理条件が設定される。ここに、本発明に係る「信号処理条件」とは、例えば所定クロック情報に対して分周処理を行う等の、所定クロック情報に対応した、記録又は再生の際の信号処理を行うための、各種の設定条件である。
この結果、制御手段の制御下で、記録手段によって、信号処理条件に基づいて、記録データを上述した情報記録媒体に、適切且つ簡便に記録することが可能である。
以上の結果、例えばCSS等の暗号化システムによって、著作権が保護されたコンテンツを、上述した所定クロック情報がプリフォーマットされた、記録型の情報記録媒体によって、一般のユーザに供給し、供給されたコンテンツを、従来の再生機によって、適切且つ簡便に再生処理を行わせることが可能となる。従って、本発明の情報記録装置によれば、コンテンツの著作権の保護と、再生互換性の維持との両立を、本発明の情報記録媒体に対して実現することが可能である。
尚、上述した本発明の情報記録媒体に係る実施形態が有する各種態様に対応して、本発明の情報記録装置に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
(情報再生装置の実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る情報再生装置について説明する。
本発明の情報再生装置に係る実施形態は、上述した本発明の情報記録媒体の実施形態(但し、各種態様を含む)から前記記録データの再生を行う情報再生装置であって、前記所定クロック情報(wobble)を検出する検出手段と、検出された前記所定クロック情報に基づいて、前記再生の際の信号処理条件を設定する設定手段(所定クロック情報に対して分周処理を行う)と、前記記録データに含まれる暗号化キーに基づいて、前記記録データを復号しつつ再生する再生手段と、前記情報記録媒体の再生が許可されているか否かを判定する判定手段と、前記再生が許可されると判定される場合、前記記録データを再生するように前記再生手段を制御する制御手段と、を備える。
本発明の情報再生装置に係る実施形態によれば、設定手段によって、所定クロック情報に基づいて、信号処理条件が設定される。
この結果、判定手段によって、再生が許可されると判定される場合、制御手段の制御下で、再生手段によって、信号処理条件に基づいて、記録データを復号化しつつ、当該記録データを、上述した情報記録媒体から、適切且つ簡便に再生することが可能である。
以上の結果、例えばCSS等の暗号化システムによって、著作権が保護されたコンテンツを、上述した所定クロック情報がプリフォーマットされた、記録型の情報記録媒体によって、一般のユーザに供給し、供給されたコンテンツを、従来の再生機によって、適切且つ簡便に再生処理を行わせることが可能となる。従って、本発明の情報再生装置によれば、コンテンツの著作権の保護と、再生互換性の維持との両立を、本発明の情報記録媒体に対して実現することが可能である。
尚、上述した本発明の情報記録媒体に係る実施形態が有する各種態様に対応して、本発明の情報再生装置に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
(情報記録方法の実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る情報記録方法について説明する。
本発明の情報記録方法に係る実施形態は、上述した本発明の情報記録媒体の実施形態(但し、各種態様を含む)に前記記録データの記録を行う記録手段を備える情報記録装置における情報記録方法であって、前記所定クロック情報(wobble)を検出する検出工程と、検出された前記所定クロック情報に基づいて、前記記録の際の信号処理条件を設定する設定工程(所定クロック情報に対して分周処理を行う)と、設定された前記信号処理条件に基づいて、前記記録データを記録するように前記記録手段を制御する制御工程とを備える。
本発明の情報記録方法に係る実施形態によれば、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態が有する各種利益を享受することが可能となる。
尚、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態が有する各種態様に対応して、本発明の情報記録方法に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
(情報再生方法の実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る情報再生方法について説明する。
本発明の情報再生方法に係る実施形態は、上述した本発明の情報記録媒体の実施形態(但し、各種態様を含む)から前記記録データに含まれる暗号化キーに基づいて、前記記録データを復号しつつ再生する再生手段を備える情報再生装置における情報再生方法であって、前記所定クロック情報(wobble)を検出する検出工程と、検出された前記所定クロック情報に基づいて、前記再生の際の信号処理条件を設定する設定工程(所定クロック情報に対して分周処理を行う)と、前記情報記録媒体の再生が許可されているか否かを判定する判定工程と、前記再生が許可されると判定される場合、前記記録データを再生するように前記再生手段を制御する制御工程と、を備える。
本発明の情報再生方法に係る実施形態によれば、上述した本発明の情報再生装置に係る実施形態が有する各種利益を享受することが可能となる。
尚、上述した本発明の情報再生装置に係る実施形態が有する各種態様に対応して、本発明の情報再生方法に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
(コンピュータプログラムの実施形態)
以下、本発明の実施形態に係るコンピュータプログラムについて説明する。
本発明の記録制御用のコンピュータプログラムは、上述した本発明の情報記録装置に係る実施形態(但し、その各種態様を含む)に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記記録手段、前記検出手段、前記設定手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部として機能させる。
本発明の再生制御用のコンピュータプログラムは、上述した本発明の情報再生装置に係る実施形態(但し、その各種態様を含む)に備えられたコンピュータを制御する再生制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記再生手段、前記検出手段、前記設定手段、前記判定手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部として機能させる。
本発明に係るコンピュータプログラムの実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の情報記録装置、及び情報再生装置に係る実施形態を比較的簡単に実現できる。
尚、上述した本発明の情報記録装置、及び情報再生装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムに係る各実施形態も各種態様を採ることが可能である。
以上説明したように、本発明の情報記録媒体に係る実施形態によれば、(i)第1基準周波数によって規定可能な第1周波数帯域に含まれると共に、(ii)第1基準周波数の整数倍である周波数によって規定される所定クロック情報がプリフォーマットされる記録領域を備える。以上の結果、例えばCSS等の暗号化システムによって、著作権が保護されたコンテンツを、上述した所定クロック情報がプリフォーマットされた、記録型の情報記録媒体によって、一般のユーザに供給し、供給されたコンテンツを、従来の再生機によって、適切且つ簡便に再生処理を行わせることが可能となる。従って、本発明の情報記録媒体によれば、コンテンツの著作権の保護と、再生互換性の維持との両立を実現することが可能である。
また、本発明の情報記録装置及び方法に係る実施形態によれば、記録手段及び工程、検出手段及び工程、設定手段及び工程、並びに、制御手段及び工程を備える。この結果、例えばCSS等の暗号化システムによって、著作権が保護されたコンテンツを、上述した所定クロック情報がプリフォーマットされた、記録型の情報記録媒体によって、一般のユーザに供給し、供給されたコンテンツを、従来の再生機によって、適切且つ簡便に再生処理を行わせることが可能となる。従って、本発明の情報記録装置によれば、コンテンツの著作権の保護と、再生互換性の維持との両立を、本発明の情報記録媒体に対して実現することが可能である。
また、本発明の情報再生装置及び方法に係る実施形態によれば、再生手段、検出手段及び工程、設定手段及び工程、判定手段及び工程、並びに、制御手段及び工程を備える。この結果、例えばCSS等の暗号化システムによって、著作権が保護されたコンテンツを、上述した所定クロック情報がプリフォーマットされた、記録型の情報記録媒体によって、一般のユーザに供給し、供給されたコンテンツを、従来の再生機によって、適切且つ簡便に再生処理を行わせることが可能となる。従って、本発明の情報再生装置によれば、コンテンツの著作権の保護と、再生互換性の維持との両立を、本発明の情報記録媒体に対して実現することが可能である。
更に、また、本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態によれば、コンピュータを上述した本発明の情報記録装置、及び情報再生装置に係る実施形態として機能させるので、上述した情報記録媒体に対して、情報記録装置、及び情報再生装置をして、例えばCSS等の暗号化システムによって、著作権が保護されたコンテンツを、上述した所定クロック情報がプリフォーマットされた、記録型の情報記録媒体によって、一般のユーザに供給せしめ、供給されたコンテンツを、従来の再生機によって、適切且つ簡便に再生処理を行わせることが可能とならしめる。従って、本発明のコンピュータプログラムによれば、本発明の情報記録装置、及び、情報再生装置をして、コンテンツの著作権の保護と、再生互換性の維持との両立を、本発明の情報記録媒体に対して実現することが可能である。
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされる。
(1)情報記録媒体の実施例
次に、図1から図16を参照して、本発明の情報記録媒体の実施例について詳細に説明する。
(1−1)基本構成(物理的な構造)
先ず、図1及び図2を参照して、本発明の情報記録媒体の実施例に係る光ディスクの基本構成について説明する。ここに、図1は、本発明の情報記録媒体の実施例に係る複数の記録領域を有する光ディスクの基本構造を示した概略平面図、及び、該概略平面図に対応付けられた、その半径方向における記録領域構造の図式的概念図である。図2は、本発明の情報記録媒体の実施例に係る光ディスクの記録面における部分拡大斜視図である。
図1に示されるように、光ディスク100は、例えば、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール1を中心fsとして本実施例に係る(i)パワーキャリブレーションエリアPCA、(ii)本発明の管理エリアの一具体例であるレコーディングマネージメントエリア(Recording Management Area)RMA、(iii)本発明の管理エリアの他の具体例であるコントロールデータゾーン(Control Data Zone)CDZを有するリードインエリア101、(iv)データエリア102、(v)リードアウトエリア103を備えて構成されている。そして、光ディスク100の、図示しない例えば透明基板に、少なくとも一つの記録層が積層されている。そして、この記録層の各記録領域には、例えば、センターホール1を中心にスパイラル状或いは同心円状に、例えば、グルーブトラック及びランドトラック等のトラック50が交互に設けられている。また、このトラック50上には、記録情報(データ)がECCブロック51という単位で分割されて記録される。ECC(Error Correction Code)ブロック51は、記録情報のエラー訂正が可能な記録情報の管理単位である。
より詳細には、図2に示されるように、本実施例では、光ディスク100は、ディスク状の透明基板106の下側において、情報記録面を構成する色素型又は相変化型の記録層107が積層され、更にその下側に、反射層108が積層されている。記録層107の表面からなる情報記録面には、グルーブトラックGT及びランドトラックLTが交互に形成されている。尚、光ディスク100の記録及び再生時には、例えば図2に示したように、透明基板106を介してグルーブトラックGT上に、レーザ光LBが照射される。例えば、記録時には、記録レーザパワーでレーザ光LBが照射されることで、記録データに応じて、記録層107へ記録が実施される。他方、再生時には、記録レーザパワーよりも弱い再生レーザパワーでレーザ光LBが照射されることで、記録層107へ記録された記録データの読出しが実施される。
特に、データエリア102には、例えばCSS等の暗号化システムに基づいたタイトルキー等の暗号化情報と、このタイトルキー等の暗号化情報によって暗号化された暗号化コンテンツが記録される。より具体的には、タイトルキー等の暗号化情報は、ディスクキーや、ディスクキーセット等の暗号化情報によって暗号化されている。
尚、本発明は、このような5つのエリアを有する光ディスクには特に限定されない。例えば、リードインエリア101、又はリードアウトエリア103が存在せずとも、以下に説明するデータ構造等の構築は可能である。また、リードインエリア101又はリードアウト103は更に細分化された構成であってもよい。
(1−2)光ディスクの記録領域の位置を特定可能なアドレス
次に、図3を参照して、光ディスクの記録領域と、当該記録領域の位置を特定可能なアドレスとの関係について説明する。ここに、図3は、本発明の情報記録媒体の実施例に係る光ディスクの記録領域と、当該記録領域の位置を特定可能なアドレスとの関係を示した概念的グラフである。尚、図3中の縦軸は、例えばセクタ番号やランドプリピットアドレス等のアドレスの値を示し、横軸は、光ディスクの半径方向の相対的な位置を示す。また、本実施例に係る「アドレス」の一具体例が、例えばECCブロックを構成する物理的セクタ番号(セクタ番号)やランドプリピットアドレス(Land Pre Pit Address)によって構成されている。
図3に示されるように、本発明の情報記録媒体の実施例に係る光ディスク100の記録領域は、内周側から外周側にかけて、前述したように(i)パワーキャリブレーションエリアPCA、(ii)レコーディングマネージメントエリア(Recording Management Area)RMA、(iii)コントロールデータゾーン(Control Data Zone)CDZを有するリードインエリア101、(iv)データエリア102、(v)リードアウトエリア103を備えて構成されている。尚、RMAや、CDZには、各種の管理情報が記録されるようにしてもよい。ここに、管理情報とは、(ii−1)例えば最適記録パワー等の記録特性に関する情報、(ii−2)媒体の種類を特定するための属性情報、及び(ii−3)各種の記録領域の位置を特定するための情報等の、当該情報記録媒体を管理するための各種の情報である。特に、本発明に係る暗号化キーは、コンテンツホルダーによる管理の下、例えば、CDZに、予め記録(所謂、プリ記録)されるようにしてもよい。他方、暗号化キーによって暗号化されたコンテンツ等の記録データは、当該光ディスクに対応した、後述される情報記録再生装置によって記録されるようにしてもよい。
また、図3に示されるように、上述した光ディスク100の記録領域の位置を一義的に特定可能なアドレスが、例えば、例えばECCブロックを構成する物理的セクタ番号(セクタ番号)である場合、光ピックアップが、内周側から外周側へ移動するにつれて光ディスク100の記録領域におけるアドレスは増加していくようにしてもよい(図3中の太実線を参照)。或いは、記録領域の位置を一義的に特定可能なアドレスが、例えば、ランドプリピットアドレス(Land Pre Pit Address)である場合、後述される情報記録再生装置の光ピックアップが、内周側から外周側へ移動するにつれて光ディスク100の記録領域におけるアドレスは減少していくようにしてもよい(図3中の細点線を参照)。
(1−3)所定クロック情報、及び、所定アドレス情報の一具体例
次に、図4及び図5を参照して、本実施例に係る、所定クロック情報、及び、所定アドレス情報の一具体例について説明する。ここに、図4は、本発明の情報記録媒体の実施例に係る光ディスクの記録領域と、当該記録領域において、プリフォーマットされている所定クロック情報、及び所定アドレス情報を図式的に示した模式図である。図5は、本発明の情報記録媒体の実施例に係る光ディスクにおける所定クロック情報、及び所定アドレス情報を図式的に示した模式図(図5(a))、並びに、比較例に係る光ディスクにおける第1基準周波数に基づく、クロック情報、及び第1アドレス情報を図式的に示した模式図(図5(b))である。尚、図4に示される光ディスクにおいては、ファイナライズ処理、所謂、第1基準周波数に基づく、再生機によって再生可能なように各種の互換化処理を経て、例えばCSS(Contents Scramble System)等の暗号化システムによって暗号化されることによって、著作権が保護されたコンテンツが記録されている。
図4に示されるように、本実施例に係る光ディスクの記録領域においては、第1基準周波数の2倍の周波数「Fwbl」によって規定されるウォブル「WBL」(即ち、本発明に係る「所定クロック情報」の一具体例)がプリフォーマットされている。ここに、本発明に係る「第1基準周波数」とは、例えばDVD-Rや、DVD-RW等の従来の記録型光ディスクにプリフォーマットされたクロック情報(ウォブル(Wobble))の周波数等の基準となる周波数である。具体的には、図5(b)に示されるように、比較例に係る光ディスクにおいては、この第1基準周波数「Fstd」に基づいて、1シンクフレーム中に8個のウォブル「WBLstd」が形成されている。言い換えると、1つのEven(偶数)シンクフレームは、WBLstd「1」からWBLstd「8」によって構成され、1つのOdd(奇数)シンクフレームは、WBLstd「9」からWBLstd「16」によって構成されている。加えて、第1基準周波数でプリフォーマットされた、例えばLPP(Land Pre-Pit)等のアドレス情報「LPPstd」(即ち、本発明に係る「第1アドレス情報」の一具体例)が、1つのシンクフレーム毎に、即ち、概ね8ウォブル毎に、ウォブル「WBLstd」の最初の3頂点に形成されている。
これに対して、本実施例に係る光ディスクにおいては、図4及び図5(a)に示されるように、1シンクフレーム中に16個のウォブル「WBL」が形成されている。言い換えると、1つのEven(偶数)シンクフレームは、WBL「1」からWBL「16」によって構成され、1つのOdd(奇数)シンクフレームは、WBL「17」からWBLstd「32」によって構成されている。
加えて、ランドプリピット(即ち、本発明に係る「所定アドレス情報」の一具体例)(以下、適宜「LPP」と称す)が、1つのシンクフレーム毎に、即ち、概ね16個のウォブル毎に、3つだけ形成されている。これら3つのLPPは、最初の6個のウォブルに形成されている。言い換えると、これら3つのLPPは、2つのウォブルの組の単位で、当該単位の最初のウォブルの頂点に夫々形成されている。即ち、図5(a)に示される、LPPが形成される周期「Tstd」は、図5(b)に示されるアドレス情報「LPPstd」が形成される周期「Tstd」と等しくなる。従って、本実施例に係る光ディスクでは、所定アドレス情報によって、第1基準周波数に基づいた、従来の形成頻度(所謂、エリア解像度)で、アドレス情報を構成することが可能である。また、所定アドレス情報は、LPPによる構成ではなく、ウォブル(所定クロック情報)に、例えば周波数や、位相や、振幅に基づいて変調することによっても構成するようにしてもよい。また、LPPには、アドレス情報、及び、データの記録及び再生の同期を取るためのタイミング信号が含まれているように構成されている。より具体的には、この3つのLPPのうち、少なくとも一つのLPPには、同期を取るためのクロック情報が記録されている。他のLPPには、アドレス情報やデータの記録を制御する情報等が記録されている。
尚、上述した2種類のシンクフレーム(Even(偶数)、又はOdd(奇数))が26個集まることで、2KBのデータサイズを有するセクタが構成され、更にこのセクタが16個だけ集まることで、32KBのデータサイズを有する1ECCブロックが構成される。
この結果、ウォブル「WBL」(所定クロック情報の一例)の周波数は、第1基準周波数(Fstd:DVD-R/RW用の基準周波数)の2倍、即ち、整数倍である。このため、第1基準周波数でプリフォーマットされた、例えばLPP(Land Pre-Pit)等のアドレス情報「LPPstd」(即ち、本発明に係る「第1アドレス情報」の一具体例)を検出可能な従来の再生機によって検出不可能であると共に、所定クロック情報と簡便且つ適切な位相間係を保持可能な所定アドレス情報「LPP」を、プリフォーマットすることが可能である。
仮に、ウォブル「WBL」(所定クロック情報の一例)が、第1基準周波数の整数倍でなければ、従来の再生機による再生の際のプッシュプル信号の検出処理において、ウォブル「WBL」(所定クロック情報の一例)と、所定アドレス情報「LPP」の位相関係の特定が、複雑化してしまい、所定アドレス情報「LPP」の検出処理が、技術的に困難となってしまう可能性が生じてしまう。
これに対して、本実施例に係る、ウォブル「WBL」(所定クロック情報の一例)の周波数は、第1基準周波数(Fstd:DVD-R/RW)の2倍、即ち、整数倍である。このため、例えばDVD-Rや、DVD-RWのウォブル(Wobble)等の従来の記録型光ディスクにプリフォーマットされた、例えばウォブルの頂点(即ち、ウォブルの振幅が最大の位置)に対応される位置の付近に所定アドレス情報をプリフォーマットすることで、ウォブル「WBL」をプリフォーマットすることが可能である。この結果、所定クロック情報と簡便且つ適切な位相間係を保持可能なウォブル「WBL」を、プリフォーマットすることが可能である。
加えて、本発明に係る、ウォブル「WBL」(所定クロック情報の一例)の周波数は、第1基準周波数の2倍、即ち、整数倍であるため、第1アドレス情報を検出可能な、例えばDVD-Rのウォブル等の従来の記録型光ディスクを再生する従来の再生機によっても、第1アドレス情報におけるフレーム構成や信号構成と概ね同様に、信号処理を、所定アドレス情報に対して施せばよい。従って、従来の再生機における、アドレス情報の信号処理系(又は、信号処理回路)において、構成や処理手順を変更する必要性を殆ど又は完全になくすことが可能である。
更に、加えて、当該情報記録媒体に備えられる記録領域では、上述したウォブル「WBL」(所定クロック情報の一例)や、所定アドレス情報「LPP」が、全ての位置において、プリフォーマットされている。従って、記録データを記録する際、例えば一種類の信号処理に基づいて、いずれの位置においても、記録データを記録することが可能であるので、複数種類の信号処理に基づく記録と比較して、追記又は書き換え記録を高精度に行うことが可能である。
(1−4)第1周波数帯域の一具体例
次に、図6及び図8を参照して、本実施例に係る、第1周波数帯域の一具体例について説明する。ここに、図6は、本発明の情報記録媒体の実施例に係る第1周波数帯域に含まれる、所定クロック情報の周波数を図式的に示したグラフである。図7は、本発明の情報記録媒体の実施例に係る自己相関関係を、定量化する手順を図式的に示す論理ブロック図(図7(a))、並びに、自己相関関係の度合いを示すカウンタ値の導出過程を図式的に示す一のタイミングチャート(図7(b))である。図8は、本発明の情報記録媒体の実施例に係る自己相関関係の度合いを示すカウンタ値の導出過程を図式的に示す他のタイミングチャートである。尚、図6中の横軸は周波数を示し、縦軸は、自己相関関係の度合いを意味するカウンタ値(積分値)を示す。
図6に示されるように、上述したウォブル「WBL」(所定クロック情報の一例)の周波数、即ち、第1基準周波数(Fstd:DVD-R/RW用の周波数)の2倍の周波数「Fwbl」は、当該第1基準周波数「Fstd」によって規定可能な第1周波数帯域に含まれる。ここに、本実施例に係る「第1周波数帯域」とは、クロック情報の周波数が、第1基準周波数(Fstd)として検出(識別)できるか否かを、自己相関関係に基づいて判別する従来の再生機によっては、第1基準周波数として検出されない、周波数帯域を意味する。更に、ここに、本実施例に係る「自己相関関係」とは、例えばウォブル信号等の各種の信号における、例えば周波数や、振幅や、位相等の信号特性を帰納的に定量化又は定性化するために、定義付けられる、当該信号特性を示す一の変数と、当該信号特性を示す他の変数との相関関係である。
具体的には、第1周波数帯域は、図6の右斜め斜線でハッチングされた領域に示されるように、第1基準周波数に基づいた自己相関関係を示す特性曲線において、自己相関関係の度合いを意味するカウンタ値が、所定閾値より小さいカウンタ値に対応される、周波数帯域である。即ち、次の式(1)によって、第1周波数帯域を示すことが可能である。
{(2n)×Fstd −α}<(第1周波数帯域)<{(2n)×Fstd +α}
……… (1)
但し、nは整数であり、αは信号処理の分解能に基づいて検出不可能な所定の帯域幅である。
より具体的には、この自己相関関係の度合いを意味するカウンタ値は、図7(a)に示される論理ブロックによって、定量化される。即ち、例えばウォブル信号等のクロック情報の周波数が、第1基準周波数(Fstd)として検出(識別)できるか否かを、自己相関関係に基づいて判別する場合、1番目に、例えばウォブル信号等のクロック情報が2値化される。2番目に、この2値化されたクロック情報が、排他的論理和を演算する論理ブロック「XOR」に入力される(図7(a)中の信号「a」を参照)。この2番目と同時に又は相前後して、3番目に、この2値化されたクロック情報が、第1基準周波数(Fstd)に対応される基準周期(Tstd)の2分の1だけ遅延させる論理ブロック「Delay」に入力される(図7(a)中の信号「b」を参照)。4番目に、排他的論理和を演算する論理ブロック「XOR」において、2値化されたクロック情報(図7(a)中の信号「a」を参照)と、2値化されると共に、基準周期(Tstd)の2分の1だけ遅延されたクロック情報(図7(a)中の信号「b」を参照)との排他的論理和が演算される。5番目に、排他的論理和の演算値(図7(a)中の信号「c」を参照)が、積分演算を行うカウンタに入力される。
例えば、一例として、図7(b)に示されるように、第1基準周波数(Fstd)に対応される基準周期(Tstd)を周期とする、2値化されたクロック情報である、「信号a」(即ち「1」、「1」、「1」、「0」、「0」、「0」)が、図7(a)に示される論理ブロックに入力された場合、当該「信号a」と、当該「信号a」を基準周期(Tstd)の2分の1だけ遅延させた「信号b」(即ち「1」、「1」、「1」、「0」、「0」、「0」)が、論理ブロック「XOR」に入力される。そして、この論理ブロック「XOR」において、「信号a」の後半の半周期に対応される値(即ち「0」、「0」、「0」)と、「信号b」の前半の半周期に対応される値(即ち「1」、「1」、「1」)との排他的論理和が演算され、「信号c」(即ち「1」、「1」、「1」)が、積分演算を行うカウンタに入力される。従って、カウンタによって、積分演算値、即ちカウンタ値「3(=1+1+1)」が得られる。以上より、上述した2値化されたクロック情報の周波数である、第1基準周波数(Fstd)と、上述したカウンタ値「3」(即ち、図6の最大値「Max」の一例)とによって、図6に示された、点「P1」をプロットすることができる。
これに対して、図8に示されるように、第1基準周波数(Fstd)の2倍の周波数「Fwbl」に対応される周期(Tstd/2)を周期とする、2値化されたクロック情報である、「信号a」(即ち「1」、「1」、「1」、「0」、「0」、「0」)が、図7(a)に示される論理ブロックに入力された場合、当該「信号a」と、当該「信号a」を基準周期(Tstd)の2分の1だけ遅延させた「信号b」(即ち「1」、「1」、「1」、「0」、「0」、「0」)が、論理ブロック「XOR」に入力される。そして、この論理ブロック「XOR」において、「信号a」の次の周期の前半の半周期に対応される値(即ち「1」、「1」、「1」)と、「信号b」の前半の半周期に対応される値(即ち「1」、「1」、「1」)との排他的論理和が演算され、「信号c」(即ち「0」、「0」、「0」)が、積分演算を行うカウンタに入力される。従って、カウンタによって、積分演算値、即ちカウンタ値「0(=0+0+0)」が得られる。以上より、上述した2値化されたクロック情報の周波数である、第1基準周波数の2倍の周波数(Fwbl)と、上述したカウンタ値「0」(即ち、図6のカウンタ値「0」の一例)とによって、図6に示された、点「P2」をプロットすることができる。
以上より、上述したウォブル「WBL」(所定クロック情報の一例)の周波数、即ち、第1基準周波数(Fstd:DVD-R/RW用の周波数)の2倍の周波数「Fwbl」は、クロック情報の周波数が、第1基準周波数(Fstd)として検出(識別)できるか否かを、自己相関関係に基づいて判別する従来の再生機によっては、第1基準周波数として検出されない、周波数帯域である第1周波数帯域に含まれる。
この結果、例えば、記録データを再生する際に、最初にアクセスされ、記録データの再生を許可するか否かが判断されるため、記録メディアかどうかが識別されるための再生設定領域が、記録領域に含まれている。従って、この再生設定領域を含む記録領域は、従来の再生機(一般の情報記録再生装置)から検出できない所定クロック情報が、プリフォーマットされているので、一般の情報記録再生装置は、記録領域における再生処理において、本発明の情報記録媒体と、一般的な、例えばDVD−ROM等の再生専用の情報記録媒体とを区別することができない。この結果、従来の再生機は、一般的な再生専用の情報記録媒体と同様に、本発明の情報記録媒体に対して、再生処理を行うことが可能である。
以上の結果、例えばCSS等の暗号化システムによって、著作権が保護されたコンテンツを、上述したウォブル「WBL」(所定クロック情報の一例)がプリフォーマットされた、記録型の情報記録媒体によって、一般のユーザに供給し、供給されたコンテンツを、従来の再生機によって、適切且つ簡便に再生処理を行わせることが可能となる。従って、本実施例に係る光ディスクによれば、コンテンツの著作権の保護と、再生互換性の維持との両立を実現することが可能である。
(2)情報記録装置、及び情報再生装置
次に、図9から図11を参照して、本発明の情報記録装置、及び情報再生装置に係る実施例について説明する。
(2−1)基本構成
先ず、図9を参照して、本発明の情報記録装置、及び情報再生装置に係る実施例の基本構成について説明する。ここに、図9は、本発明の情報記録装置、及び情報再生装置に係る実施例の全体構成を示すブロック図である。
図9に示されるように、情報記録再生装置200は、光ディスク100に対して再生ビームを照射するとともに反射光に応じた信号を出力する光ピックアップ202と、光ディスク100の回転を制御するスピンドルモータ203と、サーボユニット222を備える。サーボユニット222には、第1クロック信号CK1及びピット同期信号SYNCpが供給される。サーボユニット222は、これらの信号に同期して、スピンドルモータ203の回転を制御するスピンドルサーボ、光ピックアップ202の光ディスク100に対する相対的位置制御であるフォーカスサーボ及びトラッキングサーボを実行する。尚、例えば、光ディスク100には、第1クロック信号CK1に同期したピットデータDPが記録マークの長短によって記録されている。この例の記録マークはピットであり、トラックはピット列によって構成される。トラックはウォブルデータDWを例えば変調して得たウォブル信号WBに応じて蛇行した形状になっている。ウォブル信号WBは第2クロック信号CK2に同期している。第1クロック信号CK1は第2クロック信号CK2のN(Nは整数)倍の周波数を有する。この例では、N=25であり、第2クロック信号CK2は420KHz、第1クロック信号CK1は10.5MHzである。
光ピックアップ202は、再生ビームを照射するレーザーダイオード、4分割検出回路を備える(図示略)。4分割検出回路は、再生ビームの反射光を図9に示す領域1A、1B、1C、1Dに4分割し、各領域の光量に応じた信号を各々出力する。ヘッドアンプ204は、光ピックアップ202の各出力信号を各々増幅し、領域1Aに対応する分割読取信号1a、領域1Bに対応する分割読取信号1b、領域1Cに対応する分割読取信号1c、及び領域1Dに対応する分割読取信号1dを出力する。
総和生成回路210は、分割読取信号1a、1b、1c、及び1dを加算して、総和読取信号SRFを出力する加算回路からなる。なお、総和読取信号SRFは、記録マークの長短を表す信号である。
ピットデータ復調回路211は、総和読取信号SRFに基づいてピットデータDPを再生すると共に第1クロック信号CK1を生成する。より具体的には、ピットデータDPは、所定のテーブルを用いて復調されて再生データが生成される。例えば、変調方式としてEFM変調が採用される場合には、14ビットのピットデータDPを8ビットの再生データに変換する処理が施される。更に、この再生データの順序を予め定められた規則に従って並べ換えるデスクランブル処理が実行され、処理済の再生データが出力される。
このようにして得られた再生データは、図9に示すピットデータ訂正回路212へ供給され、そこで、エラー訂正処理や補間処理等が施された後、バッファ213に記憶される。インターフェース214はバッファ213に記憶されたデータを順次読み出して所定の出力形式に変換して外部機器へ出力する。更に、このインターフェース214を介して、各種データが、例えば、外部ネットワーク400に接続された前述した回線接続装置との間で入出力される。
プッシュプル信号生成回路220は、(1a+1d)−(1b+1c)を算出して、プッシュプル信号を生成する。成分(1a+1d)は、読取方向に対して左側の領域1A及び1Dに対応する一方、成分(1b+1c)は、読取方向に対して右側の領域1B及び1Cに対応する。即ち、再生ビームがピットに対して左側に偏っていれば、プッシュプル信号は振幅中心を基準として正極性となり、再生ビームがピットの中央に位置する場合はプッシュプル信号の値は振幅中心となり、再生ビームがピットに対して右側に偏っていれば、プッシュプル信号は振幅中心を基準として負極性となる。再生ビームとピットの相対的な位置は、トラックの蛇行に応じて変化し、プッシュプル信号の値は再生ビームとピットの相対的な位置関係を表している。即ち、プッシュプル信号は、トラックの蛇行に応じた信号である。
プッシュプル信号はローパスフィルタ221を介してサーボユニット222へ出力される。サーボユニット222は、プッシュプル信号に基づいてトラッキング制御を実行する。また、プッシュプル信号はバンドパスフィルタ223に供給される。バンドパスフィルタ223の通過帯域は、記録時においてウォブルデータDWを例えば変調して得たウォブル信号WBをプッシュプル信号から抽出できるように設定されている。従って、バンドパスフィルタ223はプッシュプル信号生成回路220と共に上述した検出手段を構成し、その出力信号は、光ディスク100からウォブル信号WBを再生したものとなる。
分周回路226は、ウォブル信号の周波数を、「1/N(但し、Nは整数)」倍にする。従って、上述した、本実施例に係る光ディスクにプリフォーマットされたウォブル「WBL」(即ち、所定クロック情報)を「1/2」倍することで、当該分周回路226を介した信号処理を、従来の第1基準周波数における信号処理と、概ね等価とさせることが可能である。
CPU250は、情報記録再生装置200の各構成要素を統括制御する。
(2−2)動作原理(再生処理)
次に、図10を参照して、本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置における動作原理として、再生処理について説明する。ここに、図10は、本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置による記録データの再生処理を示したフローチャートである。
図10に示されるように、再生処理においては、先ず、ユーザによって、情報記録媒体が装着される(ステップS101)。
次に、CPU250の制御下で、例えばコントロールデータゾーンCDZから、各種の管理情報が取得できるか否かが判定される(ステップS102)。尚、光ディスクにおいて、ファイナライズ処理が施されていない場合、当該光ディスクから、この管理情報を取得することはできない。
ここで、各種の管理情報が取得できる場合(ステップS102:Yes)、CPU250の制御下で、例えばコントロールデータゾーンCDZ等から、各種の管理情報が取得される(ステップS103)。
次に、CPU250の制御下で、当該光ディスクに記録されている、例えばコンテンツ等の記録データの再生を行うか否かが判定される(ステップS104)。ここで、例えばコンテンツ等の記録データの再生を行う場合(ステップS104:Yes)、更に、CPU250の制御下で、例えばコンテンツ等の記録データの再生を、例えばCSS等の暗号化システムに基づいて、行うか否かが判定される(ステップS105)。ここで、例えばコンテンツ等の記録データの再生を、例えばCSS等の暗号化システムに基づいて、行う場合(ステップS105:Yes)、更に、CPU250の制御下で、ウォブル信号が検出されるか否か、即ち、上述した、ウォブル信号等のクロック情報の周波数が、第1基準周波数(Fstd)として検出(識別)できるか否かが、自己相関関係に基づいて判別される(ステップS106)。ここで、ウォブル信号が検出されない場合、即ち、上述した、ウォブル信号等のクロック情報の周波数が、第1基準周波数(Fstd)として検出(識別)できない場合(ステップS106:Yes)、CPU250の制御下で、例えばコンテンツ等の記録データの再生が許可され、当該記録データが再生される(ステップS107)。詳細には、当該光ディスクにおいて、CSSによる著作権保護がかけられたコンテンツが記録されていても、従来のDVD−Video規格と同一とみなすので、従来のDVD−Video規格と概ね同様にして、暗号化又は復号化キーを取得して、再生の指示に従って、著作権保護を解除(所謂、De−CSS)しつつ、コンテンツを再生することが可能となる。
他方、上述したステップS106の判定の結果、ウォブル信号が検出される場合、即ち、上述した、ウォブル信号等のクロック情報の周波数が、第1基準周波数(Fstd)として検出(識別)できる場合(ステップS106:No)、CPU250の制御下で、例えばコンテンツ等の記録データの再生が不許可とされる(ステップS108)。更に、他方、上述したステップS105の判定の結果、例えばコンテンツ等の記録データの再生を、例えばCSS等の暗号化システムに基づいて、行わない場合(ステップS105:No)、CPU250の制御下で、当該光ディスクは、著作権の保護の必要のない記録データとして判定され、当該記録データの再生が許可され、当該記録データが再生される(ステップS109)。
次に、CPU250の制御下で、当該情報記録媒体を排出(Eject)するか否かが判定される(ステップS110)。ここで、当該情報記録媒体を排出(Eject)する場合(ステップS110:Yes)、或いは、上述したステップS102の判定の結果、各種の管理情報が取得できない場合(ステップS102:No)CPU250の制御下で、排出動作(Eject処理)が行われる(ステップS111)。
他方、ステップS110の判定の結果、当該情報記録媒体を排出(Eject)しない場合(ステップS110:No)、前述したように、CPU250の制御下で、当該光ディスクに記録されている、例えばコンテンツ等の記録データの再生を行うか否かが判定される(ステップS104)。
(2−3)動作原理(記録処理)
次に、図11を参照して、本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置における、本実施例に係る光ディスクの記録処理について説明する。ここに、図11は、本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置による、本実施例に係る光ディスクの記録処理を示したフローチャートである。
図11に示されるように、記録処理においては、先ず、ユーザによって、情報記録媒体が装着される(ステップS201)。
次に、CPU250の制御下で、例えばコントロールデータゾーンCDZから、各種の管理情報が取得される(ステップS202)。
次に、CPU250の制御下で、例えばレコーディングマネージメントエリアRMAから、各種の管理情報が取得される(ステップS203)。
次に、CPU250の制御下で、上述したCDZやRMA、或いは、例えば、リードインエリアに形成されているLPPから、取得可能な管理情報に基づいて、当該光ディスクのバージョン情報等の管理情報に基づいて、上述した、ウォブル「WBL」(即ち、所定クロック情報)がプリフォーマットされている光ディスクであるか否かが判定される(ステップS204)。ここで、上述した、ウォブル「WBL」(即ち、所定クロック情報)がプリフォーマットされている光ディスクであると判定される場合(ステップS204:Yes)、例えば、当該ウォブル「WBL」(即ち、所定クロック情報)に対応した、各種の信号処理条件が、設定される(ステップS205)。上述したように、本実施例に係る光ディスクでは、所定クロック情報が、第1基準周波数の整数倍である、2倍の周波数によって、形成されているので、上述したLPPの位相と整合をとりながら、分周する、即ち、周波数を「2分の1」倍にする処理を追加することで、従来のLPPの信号処理条件(信号処理系)や、ウォブルの信号処理条件に関して、従来と、殆ど又は完全に同様の手法で、信号処理することが可能である。
他方、上述したステップS204の判定の結果、上述した、ウォブル「WBL」(即ち、所定クロック情報)がプリフォーマットされている光ディスクでないと判定される場合、即ち、従来の一般的な光ディスクであると判定される場合(ステップS204:No)、例えば、第1基準周波数(Fstd)に対応したウォブルに対応した、各種の信号処理条件が、設定される(ステップS206)。
次に、CPU250の制御下で、記録データの記録を行うか否かが判定される(ステップS207)。ここで、記録データの記録を行う場合(ステップS207:Yes)、CPU250の制御下で、設定された信号処理条件に基づいて、記録データが、所定量だけ、記録される(ステップS208)。
次に、CPU250の制御下で、当該光ディスクのファイナライズ処理を行うか否かが判定される(ステップS209)。ここで、当該情報記録媒体のファイナライズ処理を行う場合(ステップS209:Yes)、CPU250の制御下で、例えばレコーディングマネージメントエリアRMAに記録されている、各種の管理情報が更新される(ステップS210)。続いて、CPU250の制御下で、当該情報記録媒体のファイナライズ処理が行われる(ステップS211)。
他方、上述したステップS207の判定の結果、記録データの記録を行わない場合(ステップS207:No)、更に、CPU250の制御下で、記録データの再生を行うか否かが判定される(ステップS212)。ここで、記録データの再生を行う場合(ステップS212:Yes)、CPU250の制御下で、設定された信号処理条件に基づいて、記録データが、所定量だけ、再生される(ステップS213)。
次に、CPU250の制御下で、当該情報記録媒体を排出(Eject)するか否かが判定される(ステップS214)。ここで、当該情報記録媒体を排出(Eject)する場合(ステップS214:Yes)、或いは、上述したステップS209の判定の結果、当該情報記録媒体のファイナライズ処理を行わない場合(ステップS209:No)、或いは、上述したステップS212の判定の結果、記録データの再生を行わない場合(ステップS212:No)、CPU250の制御下で、排出動作(Eject動作)が行われる(ステップS215)。
他方、ステップS214の判定の結果、当該情報記録媒体を排出(Eject)しない場合(ステップS214:No)、前述したように、CPU250の制御下で、上述した管理情報に基づいて、当該光ディスクのバージョン情報等の管理情報に基づいて、上述した、ウォブル「WBL」(即ち、所定クロック情報)がプリフォーマットされている光ディスクであるか否かが判定される(ステップS204)。
(3)他の実施例に係る光ディスク
次に、図12から図16を参照して、本発明の情報記録媒体の他の実施例に係る光ディスクの詳細構成について説明する。尚、本発明の情報記録媒体の他の実施例において、前述した実施例と同様の構成には同様の符号番号及び名称を付し、それらの説明は適宜省略する。
(3−1)他の実施例に係る光ディスク −その1−
先ず、図12及び図13を参照して、本発明の情報記録媒体の他の実施例(その1)について説明する。ここに、図12は、本発明の情報記録媒体の他の実施例(その1)に係る第1周波数帯域に含まれる、所定クロック情報の周波数を図式的に示したグラフである。図13は、本発明の情報記録媒体の他の実施例(その1)に係る光ディスクにおける所定クロック情報、及び所定アドレス情報を図式的に示した模式図(図13(a))、並びに、比較例に係る光ディスクにおける第1基準周波数に基づく、クロック情報、及び第1アドレス情報を図式的に示した模式図(図13(b))である。
図12及び図13(a)に示されるように、他の実施例(その1)に係る光ディスクの記録領域においては、第1基準周波数の整数倍の周波数、即ち、10倍の周波数によって規定されるウォブル「WBL」(即ち、本発明に係る「所定クロック情報」の他の具体例)がプリフォーマットされている。
具体的には、他の実施例(その1)に係る光ディスクにおいては、図12及び図13(a)に示されるように、1シンクフレーム中に80個のウォブル「WBL」が形成されている。言い換えると、1つのEven(偶数)シンクフレームは、WBL「1」からWBL「80」によって構成され、1つのOdd(奇数)シンクフレームは、WBL「81」からWBLstd「160」によって構成されている。
加えて、ランドプリピット(即ち、本発明に係る「所定アドレス情報」の一具体例)(以下、適宜「LPP」と称す)が、1つのシンクフレーム毎に、即ち、概ね80個のウォブル毎に、3つだけ形成されている。これら3つのLPPは、最初の30個のウォブルに形成されている。言い換えると、これら3つのLPPは、10個のウォブルの組の単位で、当該単位の最初のウォブルの頂点に夫々形成されている。即ち、図13(a)に示される、LPPが形成される周期「Tstd」は、図13(b)に示されるアドレス情報「LPPstd」が形成される周期「Tstd」と等しくなる。
この結果、ウォブル「WBL」(所定クロック情報の一例)の周波数は、第1基準周波数(Fstd:DVD-R/RW用の基準周波数)の10倍、即ち、整数倍である。このため、第1基準周波数でプリフォーマットされた、例えばLPP(Land Pre-Pit)等のアドレス情報「LPPstd」(即ち、本発明に係る「第1アドレス情報」の一具体例)を検出可能な従来の再生機によって検出不可能であると共に、所定クロック情報と簡便且つ適切な位相間係を保持可能な所定アドレス情報「LPP」を、プリフォーマットすることが可能である。
(3−2)他の実施例に係る光ディスク −その2−
次に、図14を参照して、本発明の情報記録媒体の他の実施例(その2)について説明する。ここに、図14は、本発明の情報記録媒体の他の実施例(その2)に係る第2周波数帯域に含まれる、所定クロック情報の周波数を図式的に示したグラフである。
図14に示されるように、上述したウォブル「WBL」(所定クロック情報の一例)の周波数「Fwbl」は、更に、第2基準周波数「Fstd2」によって規定可能な第2周波数帯域に含まれるようにしてもよい。ここに、他の実施例に係る「第2周波数帯域」とは、クロック情報の周波数が、第2基準周波数「Fstd2」として検出(識別)できるか否かを、自己相関関係に基づいて判別する従来の再生機によっては、第2基準周波数として検出されない、周波数帯域を意味する。尚、1基準周波数に対応されるウォブルを、ウォブル「WBLstd」と称し、第2基準周波数に対応されるウォブルを、ウォブル「WBLstd2」と称す。即ち、次の式(2)によって、第2周波数帯域を示すことが可能である。
{(2m)×Fstd2−β}<(第2周波数帯域)<{(2m)×Fstd2+β}
……… (2)
但し、mは整数であり、βは信号処理の分解能に基づいて検出不可能な所定の帯域幅である。
具体的には、第1周波数帯域、及び第2周波数帯域に含まれる周波数帯域は、図14の右斜め斜線でハッチングされた領域に示されるように、第1基準周波数に基づいた自己相関関係を示す特性曲線において、カウンタ値が、所定閾値より小さいカウンタ値に対応される、周波数帯域であると共に、第2基準周波数に基づいた自己相関関係を示す特性曲線において、カウンタ値が、所定閾値より小さいカウンタ値に対応される、周波数帯域である。
以上より、上述したウォブル「WBL」(所定クロック情報の一例)の周波数、即ち、第1基準周波数(Fstd:DVD-R/RW用の周波数)の2倍、10倍、12倍、又は14倍等の整数倍の周波数「Fwbl」は、一の従来の再生機によっては、第1基準周波数として検出されない、周波数帯域である第1周波数帯域に含まれる。と共に、他の従来の再生機によっては、第2基準周波数として検出されない、周波数帯域である第2周波数帯域に含まれる
この結果、第1基準周波数のクロック情報を検出可能な一の従来の再生機(例えばDVD-R/RW用の再生機)、並びに、第2基準周波数のクロック情報を検出可能な他の従来の再生機(例えばDVD+R/RW用の再生機)の双方は、ウォブル「WBL」(所定クロック情報の一例)を検出不可能なので、一般的な再生専用の情報記録媒体と同様に、本発明の情報記録媒体に対して、再生処理を行うことが可能である。
(3−3)他の実施例に係る光ディスク −その3−
次に、図15を参照して、本発明の情報記録媒体の他の実施例(その3)について説明する。ここに、図15は、本発明の情報記録媒体の他の実施例(その3)に係る、クロック情報の周波数が、第1基準周波数(Fstd)として検出(識別)できるか否かを、バンドパスフィルタリングに基づいて、判別する従来の再生機における、判別手順を図式的に示す論理ブロック図(図15(a))、並びに、バンドパスフィルタリングに基づいて取得される、スペクトラムを図式的に示すグラフ(図15(b))である。
図15(a)に示されるように、本実施例に係る、情報記録再生装置においては、プッシュプル信号を、中心周波数が、「Fwbl」であると共に、帯域幅が、「α」である、バンドパスフィルタ「BPF」を通過した信号を検波する検波回路によって、出力される出力値によって、クロック情報の周波数が、第1基準周波数(Fstd)として検出(識別)できるか否かを、判定するようにしてもよい。具体的には、図15(b)に示されるように、周波数「Fwbl」において、ノイズより大きく、且つ、所定閾値を越えたスペクトラムが検出された場合、光ディスクにプリフォーマットされているクロック情報の周波数は、第1基準周波数であると判定するようにしてもよい。
以上の結果、上述した本実施例に係る、記録型の情報記録媒体、情報記録装置、情報再生装置によれば、例えばCSS等の暗号化システムによって、著作権が保護されたコンテンツを、上述したウォブル「WBL」(所定クロック情報の一例)がプリフォーマットされた、当該情報記録媒体によって、一般のユーザに供給し、供給されたコンテンツを、従来の再生機によって、適切且つ簡便に再生処理を行わせることが可能となる。従って、本実施例に係る光ディスクによれば、コンテンツの著作権の保護と、再生互換性の維持との両立を実現することが可能である。
更に、この結果、図16に示されるように、著作権を持つコンテンツホルダーが、著作権が保護されたコンテンツを記録型の情報記録媒体(光ディスク)によって供給することができるので、例えば、ユーザの注文に応じた少量生産、少量配布による無在庫販売等のより効率的なビジネスが可能となる。従って、例えば在庫管理における各種の人的、経済的、設備的な資源に対する、ビジネス上の効率化を実現可能であるという顕著な利益を享受することができる。
上述した実施例では、情報記録媒体の一具体例として、例えばブルーレイ、赤色LD光、又は赤外光等のレーザ光によって記録又は再生が可能な、単層型の光ディスクについて説明した。加えて、本発明は、例えば、2層以上の記録層を備える多層型(マルチプルレイヤ型)の光ディスクにも適用可能である。更に、他の高密度記録或いは高転送レート対応の各種の情報記録媒体にも適用可能である。
また、上述した実施例では、情報記録装置、及び情報再生装置の一具体例として、例えば単層型の光ディスクに対応した情報記録再生装置について説明した。加えて、本発明は、例えば、2層以上の記録層を備える多層型(マルチプルレイヤ型)の光ディスクに対応した情報記録再生装置にも適用可能である。更に、他の高密度記録或いは高転送レート対応の各種の情報記録媒体に対応した情報記録再生装置にも適用可能である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う、情報記録媒体、情報記録装置及び方法、情報再生装置及び方法、コンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1…センターホール、10…トラック、11…ECCブロック、100…光ディスク、101…リードインエリア、102…データエリア、103…リードアウトエリア、200…情報記録再生装置、CDZ…コントロールデータゾーン、RMA…レコーディングマネージメントエリア、LB…レーザ光、WBL…ウォブル(所定クロック情報の一例)、LPP…ランドプリピット(所定アドレス情報の一例)