JP4141279B2 - 統合型無線受信装置及びその動作方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、信号処理を行うハードウエアの構成を、ソフトウエアによって任意に設定することにより、複数の無線通信方式にかかる信号の受信処理を実施する統合型無線受信装置及びその動作方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハードウエアを動作させるソフトウエア・プログラムを必要に応じて書き換えることにより、1つの共通ハードウエアによって複数の無線通信方式の信号を送受信する、いわゆるソフトウエア無線装置が提案されている。特許文献1には、このような無線装置の一例が開示されている。ここで開示された無線装置は、周波数変換器、D/A変換器、A/D変換器、プログラマブル論理演算器の各ハードウエア処理の内容を、選択された無線サービスのハードウエア設定情報に基づいて変更することで、複数の無線サービスに個別に対応する信号処理を実施する。これにより、複数の無線サービスに対応しながらも、無線装置の小型化に寄与すると共に、信号処理プログラムを更新することにより、別のハードウエアを追加することなく新たな無線サービスにも柔軟に対応することが可能となる。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−223601号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし近年、様々な情報通信サービスが展開されており、例えばこのような統合型無線受信装置を車両に搭載した場合には、複数の無線通信方式にかかる受信信号の処理を、同時に並列的に実行する場合も生じ得る。特許文献1にも記載されたように、通常、1つの無線通信方式にかかる受信信号の処理を実施する場合には、その受信信号の処理に必要となるハードウエア設定情報を記憶装置から読み出し、これをもとに各ハードウエア処理を実行する。このため、複数の無線通信方式にかかる受信信号の処理を並列的に実行する場合には、このようなハードウエア処理を同時に実行する必要があり、信号処理部にはより高い処理能力が要求される。従って、提供を受けようとする無線通信サービスの数が増大するほど、信号処理部に対してより一層高い処理能力が要求されることとなり、製造コストが増大するばかりでなく、受信装置の消費電力もより大きなものとなってしまう。
【0005】
本発明はこのような課題を解決すべくなされたものであり、その目的は、限られた処理能力を有効に利用することで、複数の無線通信方式にかかる受信信号処理を効率的に実施する統合型無線受信装置及びその動作方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1にかかる統合型無線受信装置は、複数の無線通信方式にかかる受信信号処理を並列的に実行する統合型無線受信装置であって、各無線通信方式に応じた信号処理回路の構成情報を含む処理プログラムを、受信処理を行うべき無線通信方式に応じて読み込み、この読み込まれた処理プログラムに従って所定の信号処理回路を構成して受信処理を実行するソフトウエア信号処理手段と、主要な処理を実行させるメイン処理プログラムと、このメイン処理プログラムに比べて簡易な処理を実行させるサブ処理プログラムとを、各無線通信方式に対応した処理プログラムとしてそれぞれ記憶した記憶手段とを備えており、ソフトウエア信号処理手段は、メイン処理プログラムを実行させる処理要求の有無を、サブ処理プログラムを実行することにより判定し、この処理要求があった場合に、メイン処理プログラムを実行させる実行手段を備え、サブ処理プログラムは、無線信号の検出を行うプログラムであり、メイン処理プログラムは、サブ処理プログラムで検出された無線信号の受信処理を行うプログラムであることを特徴として構成する。
【0007】
サブ処理プログラムとしては、例えば、受信信号の有無状態や受信機能の選択操作状態を検知するような、比較的簡易な処理を実行させることで、主要な処理を行うメイン処理プログラムが必要か否かを判断する。実行手段では、このようなサブ処理プログラムの実行結果から、メイン処理プログラムの実行要求を判定し、この実行要求があった場合に、メイン処理プログラムを実行させる。これにより、受信処理が必要とされる無線通信方式のメイン処理プログラムを選択的に実行でき、全ての無線通信方式にかかるメイン処理プログラムを常時実行させる場合に比べて、ソフトウエア信号処理手段の処理能力が有効に活用される。
【0008】
請求項2にかかる統合型無線受信装置は、請求項1記載の統合型無線受信装置において、実行手段は、並列的に処理すべき処理プログラムの総容量が、ソフトウエア信号処理手段の処理容量を越えないように、予め定めた優先順位に従って、この優先順位の高い無線通信方式についてはメイン処理プログラムを実行させ、この優先順位の低い無線通信方式についてはサブ処理プログラムを実行させる実行制限手段をさらに備えて構成する。
【0009】
複数の無線通信方式を利用してそれぞれ個々の通信サービスの提供を受ける場合に、信号の受信処理を途中で中断させても実質的に大きな支障とならないタイプの通信サービスもあれば、受信処理の中断・中止を極力避けたいタイプの通信サービスも存在する。このようなサービスの提供形態を勘案して、各無線通信方式に対応したメイン処理プログラムに予め優先順位を定めておく。そして、並列的に実行すべき処理プログラムの総容量が、ソフトウエア信号処理手段の処理容量を越えるような場合には、実行制限手段によって、優先順位の高い無線通信方式についてはメイン処理プログラムを実行させ、優先順位の低い無線通信方式についてはサブ処理プログラムを実行させる処理を実行して、実行すべき処理プログラムの総容量が、ソフトウエア信号処理手段の処理容量を越えないようにする。
【0010】
請求項3にかかる統合型無線受信装置は、請求項1又は2記載の統合型無線受信装置において、ソフトウエア信号処理手段は、車両に搭載されていることを特徴とする。
【0011】
車両での移動中、様々な無線情報通信サービスの提供を受ける場合に、複数の無線情報通信サービスの提供を同時に受ける場合も生じ得る。このようなソフトウエア信号処理手段を車両に搭載することにより、複数の無線情報通信サービスの提供を同時に受ける場合にも、ソフトウエア信号処理手段の限られた処理能力を有効に利用でき、また、消費電力も抑えられる。
【0012】
請求項4にかかる統合型無線受信装置の動作方法は、複数の無線通信方式にかかる受信信号処理を並列的に実行する統合型無線受信装置の動作方法であって、統合型無線受信装置は、各無線通信方式に応じた信号処理回路の構成情報を含む処理プログラムを、受信処理を行うべき無線通信方式に応じて読み込み、この読み込まれた処理プログラムに従って所定の信号処理回路を構成して受信処理を実行するソフトウエア信号処理手段と、主要な処理を実行させるメイン処理プログラムと、このメイン処理プログラムに比べて簡易な処理を実行させるサブ処理プログラムとを、各無線通信方式に対応した処理プログラムとしてそれぞれ記憶した記憶手段とを備えており、ソフトウエア信号処理手段は、メイン処理プログラムを実行させる処理要求の有無を、サブ処理プログラムを実行することにより判定する判定ステップと、判定ステップによってこの処理要求があった場合に、メイン処理プログラムを実行させる実行ステップとを備え、サブ処理プログラムは、無線信号の検出を行うプログラムであり、メイン処理プログラムは、サブ処理プログラムで検出された無線信号の受信処理を行うプログラムであることを特徴として構成する。
【0013】
サブ処理プログラムとしては、例えば、受信信号の有無状態や受信機能の選択操作状態を検知するような、比較的簡易な処理を実行させる。判定ステップでは、実質的な受信信号の処理を行うメイン処理プログラムを実行させる処理要求の有無を、このようなサブ処理プログラムを実行して判定する。実行ステップでは、この処理要求があった場合にメイン処理プログラムを実行させる。これにより、受信処理が必要とされる無線通信方式のメイン処理プログラムを選択的に実行でき、全ての無線通信方式にかかるメイン処理プログラムを常時実行させる場合に比べて、ソフトウエア信号処理手段の処理能力が有効に活用される。
【0014】
請求項5にかかる統合型無線受信装置の動作方法は、請求項4記載の統合型無線受信装置の動作方法において、ソフトウエア信号処理手段は、並列的に実行すべき処理プログラムの総容量と、ソフトウエア信号処理手段の処理容量とを比較する比較ステップと、処理プログラムの総容量がソフトウエア信号処理手段の処理容量を越えると判断された場合に、予め定めた優先順位に従って、この優先順位の高い無線通信方式についてはメイン処理プログラムを実行させ、この優先順位の低い無線通信方式についてはサブ処理プログラムを実行させる実行制限ステップとをさらに備える。
【0015】
複数の無線通信方式を利用してそれぞれ個々の通信サービスの提供を受ける場合に、信号の受信処理を途中で中断させても実質的に大きな支障とならないタイプの通信サービスもあれば、受信処理の中断・中止を極力避けたいタイプの通信サービスも存在する。このようなサービスの提供形態を勘案して、各無線通信方式に対応したメイン処理プログラムに予め優先順位を定めておく。そしてまず、比較ステップにおいて、並列的に実行すべき処理プログラムの総容量と、ソフトウエア信号処理手段の処理容量とを比較する。その結果、実行すべき個々の処理プログラムの総容量が、ソフトウエア信号処理手段の処理容量を越えるような場合には、実行制限ステップにおいて、優先順位の高い無線通信方式についてはメイン処理プログラムを実行させ、優先順位の低い無線通信方式についてはサブ処理プログラムを実行させる処理を実行して、実行すべき処理プログラムの総容量が、ソフトウエア信号処理手段の処理容量を越えないようにする。
【0016】
請求項6にかかる統合型無線受信装置の動作方法は、請求項4又は5記載の統合型無線受信装置の動作方法において、ソフトウエア信号処理手段は、車両に搭載されていることを特徴とする。
【0017】
車両での移動中、様々な無線情報通信サービスの提供を受ける場合に、複数の無線情報通信サービスの提供を同時に受ける場合も生じ得る。ソフトウエア信号処理手段をこのようにして動作させることにより、複数の無線情報通信サービスの提供を同時に受ける場合にも、ソフトウエア信号処理手段の限られた処理能力を有効に利用でき、また、消費電力も抑えられる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態につき添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1に、実施形態にかかる統合型無線受信機100を示す。この統合型無線受信機100は、モニタ110、スピーカ120、入力部130、ソフトウエア信号処理部140、記憶部150、制御部160等を備えて構成しており、車両に搭載されている。
【0020】
モニタ110は、例えば液晶ディスプレイによって構成しており、通常のカーナビゲーション装置と同様な地図情報や経路案内情報が表示される他、ETC(Electronic Toll Collection System)情報、VICS(Vehicle Information and Communication System)情報などが表示される。また、自動車電話回線(以下「セルラ(Cellular)」と称す)を介して利用される通話の状況やインターネットに接続した際のweb画面、テレビ放送の画面なども表示される他、各種の入力・選択処理を行う際の操作画面も表示される。
【0021】
入力部130は、モニタ110の周辺等に設けられた各種の操作ボタン類や、モニタ110を構成する液晶ディスプレイ表面の該当部位に、指先で軽くタッチすることで入力を受け付ける静電式或いは光学式のタッチセンサなどによって構成している。また、入力部130としては、ETC利用者に関する情報を記憶したETCカードを挿入し、記憶されたカード情報を読み取るカード情報読み取り装置も搭載している。
【0022】
ソフトウエア信号処理部140は、受信したアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器、送信処理が成されたディジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換器、FPGA(Filed Programmable Gatearray:プログラマブル論理演算回路)等を備えて構成しており、記憶部150から所定の処理プログラムを読み込んで実行することにより、ハードウエアの構成や機能を変更し得る。すなわち、FPGAのHLD(Hardware Description Language)プログラムや構成機器の個々の機能を制御するためのコマンド等を含んだ処理プログラムを、処理すべき無線通信方式に応じて読み込み、この読み込んだ処理プログラムに従ってハードウエアの構成や機能が変更される。このようにして、1つの共通ハードウエアを用いて複数の無線通信方式に対応した信号処理を実行する。ソフトウエア信号処理部140では、このような対応するソフトウエアを読み込むことによって、各無線通信方式に対応した、ベースバンド処理、復調処理、誤り訂正処理などの各信号処理を実施し、また、セルラ及びETCに関しては送信処理も実施するため、これらの信号に関する変調処理なども実施する。
【0023】
記憶部150には、この統合型無線受信機100をカーナビゲーション装置として機能させる際に必要となる地図データや、各種の市街地情報などが記憶されていると共に、モニタ110或いはスピーカ120からの出力制御にかかるプログラムや、前述したように各無線通信方式に対応してソフトウエア信号処理部140を機能させるための処理プログラムなどが記憶されている。このソフトウエア信号処理部140を機能させるための処理プログラムとしては、GPS(Global Positioning System)信号、セルラ信号、ETC信号、VICS信号、テレビ信号及びラジオ信号に、それぞれ応じた処理プログラムが記憶されている。またこれらの各処理プログラムとしては、主要な信号処理を実行するメイン処理プログラムと、このメイン処理プログラムに比べて簡易な信号処理を実行するサブ処理プログラムとが、各無線通信方式に対応してそれぞれ記憶されている。
【0024】
制御部160は、通常のナビゲーション装置と同様な処理を実施すると共に、ソフトウエア信号処理部140において処理されたディジタル受信データを、画像データ、音声データ、位置情報のデータなどに変換し、それぞれユーザに有用な情報としてモニタ110やスピーカ120に出力させる。
【0025】
このように構成する統合型無線受信機100は、RF(Radio Frequency)部200に接続されており、このRF部200は、各アンテナ210で受けたGPS信号波、セルラ信号波、ETC信号波、VICS信号波、テレビ信号波及びラジオ信号波を、それぞれソフトウエア信号処理部140において処理する範囲の周波数に変更するRF回路220を、各無線通信方式毎に備えている。なお、セルラ及びETCに関しては送信処理も実施するため、セルラ及びETCのRF部200では、ソフトウエア信号処理部140での処理を経て出力される信号波をアンテナ210から出力する周波数に変換する処理も実施する。
【0026】
ここで、ソフトウエア信号処理部140及び制御部160において実施する各信号の受信処理について順に説明する。
【0027】
まず図2に、ETC信号の処理にかかるフローチャートを示す。
【0028】
このフローチャートはイグニションスイッチのオン操作によって起動し、起動時にETC信号を処理するサブ処理プログラムを記憶部150から読み込み、このサブ処理プログラムに基づいて以下の処理を開始する。
【0029】
まずステップ(以下、ステップを「S」と記す)102に進み、ETC入口信号に関する受信の有無を判断する。高速道路の入口料金所付近に設置された路側機器からETC入口信号が送信されるため、このETC入口信号や後述するETC出口信号の受信処理を実行するプログラムが、ETC信号処理用のサブ処理プログラムとして設定されている。従って、このS102によって、ソフトウエア信号処理部140内には、ETC入口・出口信号を検知する信号処理回路がFPGA内に展開される。ETC信号処理用のサブ処理プログラムで行う信号処理には、このようなETC入口信号やETC出口信号の有無といった処理負荷が比較的軽く、FPGA内に展開される容量も、後述するメイン処理プログラムに比べて小さな容量となるような処理が規定されている。
【0030】
S102でETC入口信号を受信した場合にはS104に進み、ETCの入口において一連の信号処理を行うメイン処理プログラムを記憶部150から読み込む。このS102及びS104がサブ処理プログラムに含まれており、このS104では、ソフトウエア信号処理部140内に読み込まれたメイン処理プログラムによって、実際に実行される受信処理に対応した信号処理回路が、ETC入口信号を受信した後にFPGA内に展開される。これにより、サブ処理プログラムによって既に展開されているETC信号の有無を検知する信号処理回路と、このメイン処理プログラムによって展開された信号処理回路とによって、ETCの入口において信号処理を実行する際に必要となる、全ての信号処理回路がソフトウエア信号処理部140のFPGA内に展開される。
【0031】
次いでS106に進みETC入口信号の受信処理を実行する。ETC入口信号には、入口料金所番号、利用年月日、車種などの入口情報が含まれており、ソフトウエア信号処理部140では、この受信したETC入口信号に対し、ベースバンド処理、復調処理、誤り訂正処理などの受信処理を実行し、その結果となる受信データを制御部160に出力する。
【0032】
続くS108では、ソフトウエア信号処理部140から出力された受信データを、制御部160において、入口料金所番号、利用年月日、車種などの入口情報に変換して記憶部150及びETCカードに記憶させる。このETCカードには、カード番号や有効期限などの登録情報が予め記憶されていると共に、ETCを利用した利用履歴を書き込むことが可能となっている。
【0033】
続くS110では、入力部130で読み取ったETCカードの登録情報を、制御部160からソフトウエア信号処理部140に出力して送信処理を実行する。ソフトウエア信号処理部140では、FPGA内に展開されている信号処理回路によって、変調処理、周波数変換処理、分周処理、D/A変換処理などの送信処理を実行し、ETCカードの登録情報を含んだ送信信号を生成し、RF部200を介して送信する。
【0034】
この後S112に進んで、ETC入口用のメイン処理プログラムを終了させる。これにより、FPGA内に構成された、ETC入口用のメイン処理プログラムに対応するハードウエア構成などが初期状態にリセットされる。この作用によりFPGA内の未使用容量が増加するため、この増加したFPGAの処理容量を、必要に応じて他の信号処理に使用させることができる。
【0035】
ソフトウエア信号処理部140には、このようにしてETC入口用のメイン処理プログラムが消去されたが、引き続きサブ処理プログラムが読み込まれた状態であるため、ETC入口・出口信号の有無を検知する信号処理回路がFPGA内に展開された状態が維持される。続くS114では、このサブ処理プログラムによって組み込まれた信号処理回路によって、ETC出口信号の有無を判断する。高速道路の出口料金所付近に設置された路側機器から、ETC出口信号が送信されるため、このETC出口信号を受信するまで、このS114の処理が繰り返される。
【0036】
車両が高速道路の出口料金所付近に到達し、S114でETC出口信号が受信されると(S114で「Yes」)、S116に進み、ETCの出口において一連の信号処理を行うメイン処理プログラムを記憶部150から読み込む。このS114及びS116もサブ処理プログラムに含まれており、このS116では、ソフトウエア信号処理部140内に読み込まれたメイン処理プログラムによって、実際に実行される受信処理に対応した信号処理回路が、ETC出口信号を受信した後にFPGA内に展開される。これにより、サブ処理プログラムによって既に展開されているETC入口・出口信号を検知する信号処理回路と、このメイン処理プログラムによって展開された信号処理回路とによって、ETCの出口において信号処理を実行する際に必要となる、全ての信号処理回路がソフトウエア信号処理部140のFPGA内に展開される。
【0037】
続くS118では、ソフトウエア信号処理部140が、先のS108で記憶した、入口料金所番号、利用年月日、車種などを含んだ入口情報を記憶部150から読み出すと共に、この入口情報及びETCカードの登録情報に対して、変調処理、周波数変換処理、分周処理、D/A変換処理などの一連の送信処理を実行して、入口情報及びとETCカードの登録情報を含んだ送信信号を生成し、RF部200を介して、料金所の出口料金所付近に設置された路側機器に送信する。
【0038】
路側機器側では、受信した入口情報をもとに料金計算を行い、その結果となる料金情報を送信する。続くS120では、このようにして路側機器側から送信される料金情報の受信処理をソフトウエア信号処理部140で実施し、続くS122では、制御部160において、受信した料金情報をモニタ110に表示させる表示処理を実行する。続くS124では、出口料金所番号や利用年月日などと共に受信した料金情報を、記憶部150及びETCカードに利用履歴として記憶させる。
【0039】
この後S126に進み、ETC出口用のメイン処理プログラムを終了させる。これによりFPGA内に構成された、ETC出口用のメイン処理プログラムに対応するハードウエア構成などが初期状態にリセットされる。この作用によりFPGA内の未使用容量が増加するため、この増加したFPGAの処理容量を、必要に応じて他の信号処理に使用させることができる。
【0040】
次に、セルラ信号の処理にかかるフローチャートを図3に示す。
【0041】
このフローチャートはイグニションスイッチのオン操作によって起動し、起動時にセルラ信号を処理するサブ処理プログラムを記憶部150から読み込み、このサブ処理プログラムに基づいて以下の処理を開始する。
【0042】
セルラ信号用のサブ処理プログラムによって、ソフトウエア信号処理部140には、セルラ信号の受信状態を検知する信号処理回路がFPGA内に展開・構成され、まずS202では、基地局から送信される信号の捕捉処理(受信処理)を実行する。また、S202の捕捉処理では、所定の時間間隔、或いは通話エリアが変更になった場合に、基地局側に信号を送信して、自らの位置情報を基地局側に知らせるための送信処理も実行される。起動時に読み込んだサブ処理プログラムによって、この送信処理を実行するための信号処理回路もFPGA内に構成されており、ソフトウエア信号処理部140においてこのような送信処理も自動的に実行される。セルラ信号用のサブ処理プログラムで行う信号処理には、このように処理負荷が比較的軽く、FPGA内に展開される容量も、後述するセルラ信号用のメイン処理プログラムに比べて小さな容量となるような処理が規定されている。
【0043】
続くS204では、メイン処理プログラムの読み込み状態を示すフラグFcelの値が、読み込まれていない状態を示すFcel=0であるかを判断する。初期時には、メイン処理プログラムが読み込まれていない状態であるため、「Yes」と判断されてS206に進む。S206ではS202で捕捉したセルラ信号の受信状態をもとに通話圏内であるかを判断する。電波の受信状態が悪く、通話不能の場合にはS206で「No」と判断されてS208に進み、「圏外」などとモニタ110に表示させる表示処理を制御部160において実行し、このルーチンを終了する。
【0044】
一方、S206の判断で通話圏内の場合には、S210に進んで着信の有無を判定する。ソフトウエア信号処理部140において、着信が検出されていない場合にはS212に進み、入力部130に設けられた発信ボタンがON操作されたかを判断し、OFF状態のままであれば「No」と判断されてこのルーチンを終了する。これに対し、着信があった場合(S210で「Yes」)又は発信ボタンがON操作された場合(S212で「Yes」)には、S214に進んで、送信・受信処理を並列的に行う、いわゆる通話処理を実行するセルラ信号用のメイン処理プログラムを記憶部150から読み込み、続くS216では、メイン処理プログラムが読み込まれていることを示すフラグFcelの値をFcel=1にセットする。
【0045】
このS214において、ソフトウエア信号処理部140内には、既にFPGA内に展開されている、セルラ信号の受信状態を検知する信号処理回路に加え、基地局とのネゴシエーション処理、音声のエンコード処理/デコード処理などの一連の送信・受信処理を実行する信号処理回路が、メイン処理プログラムに従ってFPGA内にさらに展開される。続くS218では、FPGA内に展開された各信号処理回路によって、基地局との間でセルラ信号を送受信するための、一連の送信・受信処理を実行する。
【0046】
次回以降のルーチンでは、メイン処理プログラムが読み込まれていることを示すフラグFcelの値がFcel=1にセットされているため、S204で「No」と判断されS220に進む。S220では、基地局との間の通信回線が切断されたかを判断し、「No」の場合にはS218の処理に進んで、送信・受信処理を継続して実行する。このような処理が繰り返し実行されるうち、通話が終了すると、S220で「Yes」と判断されてS222に進み、セルラ信号用のメイン処理プログラムを終了させ、続くS224でFcel=0にリセットし、メイン処理プログラムが読み込まれていないことを示し、このルーチンを終了する。
【0047】
このようなS222の処理によって、FPGA内に構成された、セルラ信号用のメイン処理プログラムに対応するハードウエア構成などが初期状態にリセットされる。これによりFPGA内の未使用容量が増加するため、この増加したFPGAの処理容量を、必要に応じて他の信号処理に使用させることができる。
【0048】
次に、GPS信号の処理を伴う、ナビゲーション装置の処理動作にかかるフローチャートを図4に示す。
【0049】
このフローチャートはイグニションスイッチのオン操作によって起動し、初回起動時に、GPS信号を処理するサブ処理プログラムを記憶部150から読み込み、このサブ処理プログラムに基づいて以下の処理を開始する。
【0050】
このGPS信号用のサブ処理プログラムには、GPS信号を捕捉するための信号処理を実行するプログラムが設定されており、このサブ処理プログラムをソフトウエア信号処理部140に読み込むことにより、FPGA内には、GPS信号を捕捉する信号処理回路が展開・構成される。まずS302では、このような信号処理回路をFPGAに展開すると共に、展開した信号処理回路によってGPS信号の捕捉処理を実行し、少なくとも3つの衛星から送信されるGPS信号が捕捉できているかを判断する。GPS信号用のサブ処理プログラムで行う信号処理には、このように処理負荷が比較的軽く、FPGA内に展開される容量も、後述するGPS信号用のメイン処理プログラムに比べて小さな容量となるような処理のみが規定されている。
【0051】
続くS304では、入力部130の操作によって、ナビゲーション機能がユーザーによって選択されたかを判断しており、「No」の場合にはS306に進み、メイン処理プログラムの読み込み状態を示すフラグFgpsの値が、FPGA内に読み込まれていることを示すFgps=1であるかを判断する。初回起動時にはFgps=0であるため、S306で「No」と判断されて、このままこのルーチンを終了する。
【0052】
ユーザーがナビゲーション機能を選択した場合には、S304で「Yes」と判断されてS308に進み、GPS信号の捕捉状態が良好であるか、すなわち少なくとも3つの衛星から送信されるGPS信号が捕捉できているかを判断する。たとえば2方向からのGPS信号しか受信できていない場合には(S308で「No」)、車両の現在位置が正確に計算できないためS310に進み、「しばらくお待ちください」、「GPS探索中」などとモニタ110に表示させる表示処理を制御部160で実行し、S306を経てこのルーチンを終了する。
【0053】
これに対してGPS衛星の捕捉状態が良好の場合には(S308で「Yes」)、S312に進み、Fq=1のときにGPS信号用のメイン処理プログラムの実行が制限(禁止)されていることを示すフラグFqの値がFq=0であるかを判断する。Fq=1にセットされメイン処理プログラムの実行が制限されている場合には(S322で「No」)、S306を経てこのルーチンを終了する。したがって、ユーザーによってナビゲーションの機能が選択された場合であっても、フラグFqの値がFq=1にセットされている場合には、メイン処理プログラムを読み込むことなく、すなわちナビゲーションの機能が実際に起動することなく待機状態となる。この場合、モニタ110には「お待ちください」、「待機中」などと表示して、ユーザーに知らせることが好ましい。なお、このフラグFqの設定処理については後に説明する。
【0054】
S312で、メイン処理プログラムの実行が制限されていない場合(Fq=0のとき)にはS314に進み、Fgps=1でメイン処理プログラムが読み込まれていることを示すフラグFgpsの状態を調べる。初期起動後に初めてS314に進む状況ではFgps=0に設定されており、S314で「Yes」と判断されてS316に進む。S316では、GPS信号を処理するメイン処理プログラムを記憶部150から読み込み、続くS318では、メイン処理プログラムが読み込まれていることを示すフラグFgpsの値をFgps=1にセットする。
【0055】
この読み込まれたGPS信号用のメイン処理プログラムによって、現在位置の計算処理などを実行する信号処理回路がFPGA内に展開される。これにより、サブ処理プログラムによってすでに展開されている、GPS信号の捕捉状態を検知する信号処理回路と、メイン処理プログラムによって展開された、現在位置の計算処理等を行う信号処理回路とによって、GPS信号の処理を実行する際に必要となる、全ての信号処理回路がソフトウエア信号処理部140のFPGA内に展開される。
【0056】
次いでS320では、FPGA内に展開された各信号処理回路によって、受信したGPS信号をもとに現在位置の算出処理を実行する。そして、算出した車両の現在位置データを制御部160に出力する。S322に進み、車両の現在位置データを受けた制御部160において、現在位置データに応じた地図データを記憶部150から読み出して、モニタ出力用の画像データに変換し、続くS324では、算出された車両の現在位置に自車両マークを重ねて、モニタ110に出力させる表示処理を実行する。
【0057】
次回のルーチンでは、Fgps=1に設定されているため、S314で「No」と判断されて、メイン処理プログラムを読み込む処理(S316)などを実行せずにS320以降へ進むが、これは、前回のルーチンにおいてメイン処理プログラムがすでに読み込まれているためである。
【0058】
このような処理を繰り返し実行することにより、この統合型無線受信機100を、自車両の現在位置付近の道路地図画像をモニタ110に表示させるナビゲーション装置として機能させることができる。
【0059】
ナビゲーション機能の選択がユーザーによって解除された場合(S304で「No」)、GPS信号の捕捉状態が低下した場合(S308で「No」)、又は、GPS信号用のメイン処理プログラムの実行が制限されている場合(S312で「No」)には、S306に進みフラグFgpsがFgps=1にセットされているかを判断する。この状況ではフラグFgpsの値がFgps=1にセットされているため、S306で「Yes」と判断されてS326に進み、GPS信号用のメイン処理プログラムを終了させる。これにより、FPGA内に構成された、GPS信号用のメイン処理プログラムに対応するハードウエア構成などが初期状態にリセットされる。この作用により、FPGA内の未使用容量が増加するため、この増加したFPGAの処理容量を、必要に応じて他の信号処理に使用させることができる。この後S328に進み、フラグFgpsの値をFgps=0にリセットして、メイン処理プログラムが読み込まれていないことを示し、このルーチンを終了する。
【0060】
次に、VICS信号の受信処理にかかるフローチャートを図5に示す。
【0061】
このフローチャートはイグニションスイッチのオン操作の後、所定の時間間隔で起動し、初回起動時に、VICS信号を処理するサブ処理プログラムを記憶部150から読み込み、このサブ処理プログラムに基づいて以下の処理を開始する。
【0062】
このVICS信号用のサブ処理プログラムには、VICS信号を検出するための信号処理を実行するプログラムが設定されており、このサブ処理プログラムをソフトウエア信号処理部140に読み込むことにより、FPGA内には、VICS信号を検知する信号処理回路が展開・構成される。まずS402では、このような信号処理回路をFPGAに展開すると共に、展開した信号処理回路によってVICS信号の検出処理を実行し、VICS信号が検出されたか否かを判断する。VICS信号用のサブ処理プログラムで行う信号処理には、このように処理負荷が比較的軽く、FPGA内に展開される容量も、後述するVICS信号用のメイン処理プログラムに比べて小さな容量となるような処理のみが規定されている。
【0063】
続くS404では、入力部130の操作によって、ナビゲーション機能がユーザーによって選択されたかを判断しており、「No」の場合にはS406に進み、メイン処理プログラムの読み込み状態を示すフラグFvicの値が、FPGA内に読み込まれていることを示すFvic=1であるかを判断する。初回起動時にはFvic=0であるため、S406で「No」と判断されて、このままこのルーチンを終了する。
【0064】
ユーザーがナビゲーション機能を選択した場合には、S404で「Yes」と判断されてS408に進み、VICS信号が検出されたかを判断し、検出されていない場合には(S408で「No」)、S406を経てこのルーチンを終了する。これに対し、VICS信号が検出された場合には(S408で「Yes」)、S410に進んで、Fq=1のときにVICS信号用のメイン処理プログラムの実行が制限(禁止)されていることを示すフラグFqの値がFq=0であるかを判断する。Fq=1に設定されメイン処理プログラムの実行が制限されている場合には(S410で「No」)、S406を経てこのルーチンを終了する。
【0065】
S410でメイン処理プログラムの実行が制限されていない場合(Fq=0のとき)にはS412に進み、フラグFvicの状態を調べる。初期起動後に初めてS412に進む状況ではFvic=0に設定されており、S412で「Yes」と判断されてS414に進む。S414では、VICS信号を処理するメイン処理プログラムを記憶部150から読み込み、続くS416ではFvic=1にセットして、メイン処理プログラムが読み込まれていることを示す。
【0066】
このS414において読み込まれたVICS信号用のメイン処理プログラムによって、VICS信号の受信処理を実行する信号処理回路がFPGA内に展開される。これにより、サブ処理プログラムによってすでに展開されている、VICS信号を検出する信号処理回路と、メイン処理プログラムによって展開された、受信処理を行う信号処理回路とによって、VICS信号の処理を実行する際に必要となる、全ての信号処理回路がソフトウエア信号処理部140のFPGA内に展開される。
【0067】
続くS418では、メイン処理プログラムによって展開された信号処理回路によって、VICS信号に対するベースバンド処理、復調処理、誤り訂正処理等の受信処理を実行し、VICS信号に含まれる画像データや文字データ等を得る。そしてS420では、受信した画像データ及び文字データをモニタ110に出力し、或いは文字データを音声に変換するなどしてスピーカ120から出力させる出力処理を実行して、このルーチンを終了する。
【0068】
次回のルーチンでは、Fvic=1に設定されているため、S412で「No」と判断されて、すでに読み込まれているメイン処理プログラムを読み込む処理(S414)を実行することなく、受信処理(S418)、出力処理(S420)を実行する。そしてこのような処理を繰り返すうちに受信処理が終了した場合には、S422で「Yes」と判断されてS406に進む。この状況では、フラグFvicの値がFvic=1に設定されているため、S406で「Yes」と判断されてS424に進む。
【0069】
S424では、VICS信号用のメイン処理プログラムを終了させる。これにより、FPGA内に構成された、VICS信号用のメイン処理プログラムに対応するハードウエア構成などが初期状態にリセットされる。この作用によってFPGA内の未使用容量が増加するため、この増加したFPGAの処理容量を、必要に応じて他の信号処理に使用させることができる。この後S426に進み、フラグFvicの値をFvic=0にリセットして、メイン処理プログラムが読み込まれていないことを示し、このルーチンを終了する。
【0070】
次に、テレビ信号の受信処理にかかるフローチャートを図6に示す。
【0071】
このフローチャートはイグニションスイッチのオン操作の後、所定の時間間隔で起動し、初回起動時に、テレビ信号を処理するサブ処理プログラムを記憶部150から読み込み、このサブ処理プログラムに基づいて以下の処理を開始する。
【0072】
このテレビ信号用のサブ処理プログラムには、テレビ信号を検出して受信可能なチャンネル(放送局)を記憶する、自動選局処理を実行するプログラムが設定されており、このサブ処理プログラムをソフトウエア信号処理部140に読み込むことにより、FPGA内には、テレビ信号を検知する信号処理回路等が展開・構成される。まずS502では、このような信号処理回路をFPGAに展開すると共に、受信周波数を変化させつつテレビ信号の検出処理を実行することで、受信可能なチャンネルを検索する。S502で検出された受信可能なチャンネルは、続くS504において記憶部150に記憶する。テレビ信号用のサブ処理プログラムで行う信号処理には、このように処理負荷が比較的軽く、FPGA内に展開される容量も、後述するテレビ信号用のメイン処理プログラムに比べて小さな容量となるような処理のみが規定されている。
【0073】
続くS506では、入力部130の操作によって、テレビ機能がユーザーによって選択されたかを判断しており、「No」の場合にはS508に進み、メイン処理プログラムの読み込み状態を示すフラグFtvの値が、FPGA内に読み込まれていることを示すFtv=1であるかを判断する。初回起動時にはFtv=0であるため、S508で「No」と判断されて、このままこのルーチンを終了する。
【0074】
ユーザーがテレビ機能を選択した場合には、S506で「Yes」と判断されてS510に進み、Fq=1のときにテレビ信号用のメイン処理プログラムの実行が制限(禁止)されていることを示すフラグFqの値がFq=0であるかを判断する。Fq=1にセットされメイン処理プログラムの実行が制限されている場合には(S510で「No」)、S508を経てこのルーチンを終了する。S510でメイン処理プログラムの実行が制限されていない場合(Fq=0のとき)にはS512に進み、フラグFtvの状態を調べる。初期起動後に初めてS512に進む状況ではFtv=0に設定されており、S512で「Yes」と判断されてS514に進む。S514では、テレビ信号から映像データ及び音声データを得る受信処理を実行するメイン処理プログラムを記憶部150から読み込み、続くS516ではフラグFtvをFtv=1にセットして、メイン処理プログラムが読み込まれていることを示す。
【0075】
このS514において読み込まれたテレビ信号用のメイン処理プログラムによって、テレビ信号の受信処理を実行する信号処理回路がFPGA内に展開される。これにより、サブ処理プログラムによってすでに展開されている、テレビ信号を検出する信号処理回路と、メイン処理プログラムによって展開された、受信処理を行う信号処理回路とによって、テレビ信号の処理を実行する際に必要となる、全ての信号処理回路がソフトウエア信号処理部140のFPGA内に展開される。
【0076】
続くS518では、メイン処理プログラムによって展開された信号処理回路によって、テレビ信号に対するベースバンド処理、復調処理、誤り訂正処理等の受信処理を実行し、テレビ信号に含まれる映像データ及び音声データを得る。そしてS520では、制御部160において、受信した画像データ及び音声データを映像信号及び音声信号に変換した後、モニタ110及びスピーカ120から出力させる出力処理を実行して、このルーチンを終了する。
【0077】
次回のルーチンでは、Ftv=1に設定されているため、S512で「No」と判断されて、すでに読み込まれているメイン処理プログラムを読み込む処理(S514)を実行することなく、受信処理(S518)、出力処理(S520)を実行する。そしてこのような処理を繰り返すうちに、テレビ機能の選択が解除された場合(S506で「No」)、又はメイン処理プログラムの実行が制限された場合(S510で「No」)にはS508に進む。
【0078】
この状況では、フラグFtvの値がFtv=1に設定されているため、S508で「Yes」と判断されてS522に進み、テレビ信号用のメイン処理プログラムを終了させる。これにより、FPGA内に構成された、テレビ信号用のメイン処理プログラムに対応するハードウエア構成などが初期状態にリセットされ、この結果、FPGA内の未使用容量が増加するため、この増加したFPGAの処理容量を、必要に応じて他の信号処理に使用させることができる。この後S524に進み、フラグFtvの値をFtv=0にリセットして、メイン処理プログラムが読み込まれていないことを示し、このルーチンを終了する。
【0079】
なお、ラジオ信号の受信処理についてもテレビ信号と同様に、信号検知及びチャンネル記憶用にサブ処理プログラムを実行させ、実際の受信処理をメイン処理プログラムによって実行させることができるため、説明は省略する。
【0080】
ここで、各信号のメイン処理プログラムの実行を制限・制限解除するハードウエアマネージメント処理について、図7のフローチャートに沿って説明する。
【0081】
このフローチャートはイグニションスイッチのオン操作によって起動し、まずS602に進み、GPS信号の受信処理(図4)、VICS信号の受信処理(図5)又はテレビ信号の受信処理(図6)のいずれかの信号処理フローにおいて、メイン処理プログラムの組み込み要求があったかを判断する。この組み込み要求は、各フローチャートで処理ステップS312,S410又はS510に進んだ際に、この組み込み要求があったものとして判断する。なお、各処理ステップS312,S410又はS510では、このハードウエアマネージメント処理(図7)によって設定されるフラグFqの設定結果を待って、フラグFqの値を判断する。
【0082】
本実施形態では、各メイン処理プログラムをFPGA内に並列的に読み込む際には、各メイン処理プログラム間に優先順位を設定している。一例として本実施形態では、ETC信号用及びセルラ信号用のメイン処理プログラムについては最優先させ、処理ステップに応じて必ず組み込むように規定している。その他の信号となるGPS信号、VICS信号、テレビ信号及びラジオ信号に対する各メイン処理プログラムについては、GPS信号>VICS信号>テレビ信号(又はラジオ信号)となるように、メイン処理プログラムの組み込みに関して優先順位を設定している。
【0083】
組み込み要求がなかった場合には(S602で「No」)、このまま今回のルーチンを終了するが、組み込み要求があった場合には(S602で「Yes」)、S604に進む。S604では、FPGAの組み込みエリアで未使用となっている空き容量を判定し、続くS606では、S604で判定された空き容量内に、S602で組み込み要求のあったメイン処理プログラムを組み込むことが可能であるかを判断する。この判断で「Yes」の場合にはS608に進んで、S602で組み込み要求があった処理フローに対して、フラグFqの値をFq=0に設定し、今回のルーチンを終了する。
【0084】
一方、S604で判定されたFPGAの空き容量よりも、S602で組み込み要求のあったメイン処理プログラムの容量が大きい場合には、S606で「No」と判断されてS610に進み、現在組み込まれているメイン処理プログラムの中で、最も優先順位の低いメイン処理プログラムを判定する。続くS612では、最も優先順位が低いと判定された処理フローに対して、フラグFqの値をFq=1に設定する処理が実行される。これを受けて、該当する信号処理フローでは、フラグFq=1の判定結果に従って、メイン処理プログラムを終了させる処理が実施される。このように優先順位の低いメイン処理プログラムを終了させることにより、ソフトウエア信号処理部140におけるFPGAの空き容量が増加する。この後、再びS604、S606の処理ステップを順に実行して、S602で組み込み要求のあったメイン処理プログラムが、組み込み可能であるかを判断する。S606で再び「No」と判定されて場合には、S610、S612において、現在組み込まれているメイン処理プログラムの中で、最も優先順位の低いメイン処理プログラムを終了させる処理を繰り返し実行する。
【0085】
このような処理を繰り返し実行し、S606で「Yes」と判断されると、S608に進んで、S602で組み込み要求のあったメイン処理プログラムが実行される処理フローに対して、フラグFqの値をFq=0に設定し、今回のルーチンを終了する。これを受けて、該当する信号処理フローでは、メイン処理プログラムを組み込む処理が実行される。
【0086】
なお、実行が制限されたメイン処理プログラムに関しては、一定時間毎に組み込み要求を出すこととし、図7で示したハードウエアマネージメント処理によって読み込み可能であるかを判断する。この処理によって読み込み可能であると判断された場合には、該当するメイン処理プログラムが実行される処理フローにおいて、フラグFqの値がFq=0に設定されて、メイン処理プログラムの実行制限が解除され、再びメイン処理プログラムをFPGA内に組み込まれ、対応する信号処理が再開される。
【0087】
以上説明した各実施形態では、各信号の処理を実行するサブ処理プログラムは主に信号検知用のプログラムとし、メイン処理プログラムは受信処理用プログラムとして説明したが、この例に限定するものではなく、サブ処理プログラムとメイン処理プログラムの役割分担は、任意に設定することができる。ただし、この場合にも、サブ処理プログラムの容量や処理負担がメイン処理プログラムの容量や処理負担よりも小さくなる範囲で規定する。
【0088】
また、メイン処理プログラムとして、信号検知処理と受信処理を含む信号処理の全て機能を含む処理プログラムとし、サブ処理プログラムをこのメイン処理プログラムに含まれる一部の処理を実行する処理プログラムとして規定した場合には、サブ処理プログラムとメイン処理プログラムとを選択的に切り換えてFPGA内に組み込むことも可能である。
【0089】
【発明の効果】
請求項1にかかる統合型無線受信装置は、メイン処理プログラムを実行させる処理要求の有無をサブ処理プログラムを実行することにより判定し、この処理要求があった場合に、メイン処理プログラムを実行させる実行手段を備える構成を採用した。このため、メイン処理プログラムを常時実行させる場合に比べて、ソフトウエア信号処理手段の処理能力を有効に活用でき、複数の無線通信方式にかかる受信信号処理を効率的に実施することが可能となる。
【0090】
請求項2にかかる統合型無線受信装置は、予め定めた優先順位に従って、この優先順位の低いメイン処理プログラムをサブ処理プログラムに切り換えて実行させる実行制限手段をさらに備える構成を採用したので、主要な信号処理に支障を来すことなく、複数の無線通信方式にかかる受信信号処理を効率的に実施することが可能となる。
【0091】
請求項3にかかる統合型無線受信装置は、このようなソフトウエア信号処理手段が車両に搭載されているので、車両での移動中、様々な無線情報通信サービスの提供を受ける場合にも、ソフトウエア信号処理手段の限られた処理能力を有効に利用することができ、また、消費電力の抑制にも寄与するものである。
【0092】
請求項4にかかる統合型無線受信装置の動作方法は、メイン処理プログラムを実行させる処理要求の有無を、サブ処理プログラムを実行することにより判定する判定ステップと、判定ステップによってこの処理要求があった場合に、メイン処理プログラムを実行させる実行ステップとを備えるので、メイン処理プログラムを常時実行させる場合に比べて、ソフトウエア信号処理手段の処理能力を有効に活用でき、複数の無線通信方式にかかる受信信号処理を効率的に実施することが可能となる。
【0093】
請求項5にかかる統合型無線受信装置の動作方法は、さらに、実行すべき処理プログラムの総容量とソフトウエア信号処理手段の処理容量との比較ステップと、処理プログラムの総容量がソフトウエア信号処理手段の処理容量を越える場合に、優先順位の低いメイン処理プログラムをサブ処理プログラムに切り換える実行制限ステップとを備えるので、主要な信号処理に支障を来すことなく、複数の無線通信方式にかかる受信信号処理を効率的に実施することが可能となる。
【0094】
請求項6にかかる統合型無線受信装置の動作方法は、このような動作方法を実施するソフトウエア信号処理手段が車両に搭載されているので、車両での移動中、様々な無線情報通信サービスの提供を受ける場合にも、ソフトウエア信号処理手段の限られた処理能力を有効に利用することができ、また、消費電力の抑制にも寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態にかかる統合型無線受信装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】ETC信号の処理を示すフローチャートである。
【図3】セルラ信号の処理を示すフローチャートである。
【図4】GPS信号の処理を伴う、ナビゲーション装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図5】VICS信号の処理を示すフローチャートである。
【図6】テレビ信号の処理を示すフローチャートである。
【図7】メイン処理プログラムの実行を制限・制限解除するハードウエアマネージメント処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
100…統合型無線受信装置、110…モニタ、120…スピーカ、
130…入力部、140…ソフトウエア信号処理部、150…記憶部、
160…制御部、200…RF部、210…アンテナ、220…RF回路。

Claims (6)

  1. 複数の無線通信方式にかかる受信信号処理を並列的に実行する統合型無線受信装置であって、
    前記各無線通信方式に応じた信号処理回路の構成情報を含む処理プログラムを、受信処理を行うべき前記無線通信方式に応じて読み込み、この読み込まれた処理プログラムに従って所定の信号処理回路を構成して受信処理を実行するソフトウエア信号処理手段と、
    主要な処理を実行させるメイン処理プログラムと、このメイン処理プログラムに比べて簡易な処理を実行させるサブ処理プログラムとを、各無線通信方式に対応した前記処理プログラムとしてそれぞれ記憶した記憶手段とを備えており、
    前記ソフトウエア信号処理手段は、
    前記メイン処理プログラムを実行させる処理要求の有無を、前記サブ処理プログラムを実行することにより判定し、この処理要求があった場合に、前記メイン処理プログラムを実行させる実行手段を備え
    前記サブ処理プログラムは、無線信号の検出を行うプログラムであり、
    前記メイン処理プログラムは、前記サブ処理プログラムで検出された前記無線信号の受信処理を行うプログラムであること、
    を特徴とする統合型無線受信装置。
  2. 請求項1記載の統合型無線受信装置において、
    前記実行手段は、
    並列的に実行すべき前記処理プログラムの総容量が、前記ソフトウエア信号処理手段の処理容量を越えないように、予め定めた優先順位に従って、この優先順位の高い無線通信方式については前記メイン処理プログラムを実行させ、この優先順位の低い無線通信方式については前記サブ処理プログラムを実行させる実行制限手段をさらに備える統合型無線受信装置。
  3. 請求項1又は2記載の統合型無線受信装置において、前記ソフトウエア信号処理手段は、車両に搭載されていることを特徴とする統合型無線受信装置。
  4. 複数の無線通信方式にかかる受信信号処理を並列的に実行する統合型無線受信装置の動作方法であって、
    前記統合型無線受信装置は、
    前記各無線通信方式に応じた信号処理回路の構成情報を含む処理プログラムを、受信処理を行うべき前記無線通信方式に応じて読み込み、この読み込まれた処理プログラムに従って所定の信号処理回路を構成して受信処理を実行するソフトウエア信号処理手段と、
    主要な処理を実行させるメイン処理プログラムと、このメイン処理プログラムに比べて簡易な処理を実行させるサブ処理プログラムとを、各無線通信方式に対応した前記処理プログラムとしてそれぞれ記憶した記憶手段とを備えており、
    前記ソフトウエア信号処理手段は、
    前記メイン処理プログラムを実行させる処理要求の有無を、前記サブ処理プログラムを実行することにより判定する判定ステップと、
    前記判定ステップによってこの処理要求があった場合に、前記メイン処理プログラムを実行させる実行ステップとを備え
    前記サブ処理プログラムは、無線信号の検出を行うプログラムであり、
    前記メイン処理プログラムは、前記サブ処理プログラムで検出された前記無線信号の受信処理を行うプログラムであること、
    を特徴とする統合型無線受信装置の動作方法。
  5. 請求項4記載の統合型無線受信装置の動作方法において、
    前記ソフトウエア信号処理手段は、
    並列的に実行すべき前記処理プログラムの総容量と、前記ソフトウエア信号処理手段の処理容量とを比較する比較ステップと、
    前記処理プログラムの総容量が前記ソフトウエア信号処理手段の処理容量を越えると判断された場合に、予め定めた優先順位に従って、この優先順位の高い無線通信方式につい ては前記メイン処理プログラムを実行させ、この優先順位の低い無線通信方式については前記サブ処理プログラムを実行させる実行制限ステップとをさらに備える統合型無線受信装置の動作方法。
  6. 請求項4又は5記載の統合型無線受信装置の動作方法において、前記ソフトウエア信号処理手段は、車両に搭載されていることを特徴とする統合型無線受信装置の動作方法。
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