JP4140757B2 - 基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板の製造方法に係り、とくに複数の導体層と、導体層間に介在する絶縁樹脂層又は板とを有する基板のビアホール形成方法に関し、高信頼性のビアホール接続を持つ基板の量産性に優れる製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の基板のビアホール形成工法は主として下記の2種類である。
(1) レーザービア形成方法
炭酸ガス及びUVYAG等のレーザーによりビアホールを形成し、ホール内壁に形成された熱変成層(smear)をウェットもしくはドライ工法によるデスミア(desmear)で除去した後に、無電解銅めっき、スパッター等により、下地導体層を形成する。この工法を開示するものとして特開平10−117058号公報がある。
(2) フォトビア形成方法
感光性樹脂で絶縁層を形成して、フォトリソグラフィー法にてビアホールを形成する。その後にスパッター等で下地導体層を形成するか、もしくはデスミアにより樹脂表面を粗面化した後に無電解銅めっきにより下地導体層を作る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
(1) レーザービア形成方法の場合
▲1▼ 1穴づつ加工するので量産性に問題がある。
▲2▼ 発熱があり、穴周辺部及び側壁の樹脂が熱変成するのでデスミアが必要であるが、この為に工程が増え、またウェット処理の場合は信頼性に問題がある場合がある。
(2) フォトビア形成方法の場合
▲1▼ 感光性樹脂は一般的に電気的特性及び信頼性に劣る場合が多い。また、ポリイミド等をベース樹脂にした特性に優れる感光性樹脂は非常に高価であり、使用用途が限定される。
▲2▼ 下地導体との密着性の確保の方法はウエットデスミアで樹脂表面を荒らし、無電解銅めっきを行うのが一般的であるが、この場合、耐薬品性の劣る樹脂を使用せざるを得ない。スパッター等の薄膜法で下地を形成してもある程度の密着性は確保出来るが、量産性が大幅に低下する。
【0004】
本発明は、上記の点に鑑み、導体層間に介在する絶縁樹脂層又は板を有する基板を作製にする際して、高精度、高信頼性かつ量産性に優れたビアホールを形成可能な基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、複数の導体層と、導体層間に介在する絶縁樹脂層とを有する基板の製造方法において、
ビアホール形成位置に穴を有するとともに所定の配線パターンをなす導体層を絶縁樹脂層上に設ける工程と、
前記ビアホール形成位置に穴を有する導体層で覆われない前記絶縁樹脂層上と、前記穴及びその周囲を除く前記導体層上とをレジストで覆う工程と、
サンドブラスト処理により前記導体層の穴に露出した前記絶縁樹脂層にビアホールを形成する工程とを含むことを特徴としている。
【0007】
本願請求項2の発明に係る基板の製造方法は、請求項1において、前記絶縁樹脂層の厚さが20μm以下であることを特徴としている。
【0008】
本願請求項3の発明に係る基板の製造方法は、請求項1又は2において、前記導体層を転写法で形成することを特徴としている。
【0009】
本願請求項4の発明に係る基板の製造方法は、請求項1,2又は3において、前記絶縁樹脂層がビニルベンジルであることを特徴としている。
【0010】
本願請求項5の発明は、絶縁樹脂板を挟んでその両面に導体層を設けた基板の製造方法において、
ビアホール形成位置に穴を有するとともに所定の配線パターンをなす導体層を前記絶縁樹脂板の少なくとも片面に設ける工程と、
前記ビアホール形成位置に穴を有する導体層で覆われない前記絶縁樹脂板上と、前記穴及びその周囲を除く前記導体層上とをレジストで覆う工程と、
サンドブラスト処理により前記導体層の穴に露出した前記絶縁樹脂板にビアホールを形成する工程とを含むことを特徴としている。
【0011】
本願請求項6の発明に係る基板の製造方法は、請求項5において、前記絶縁樹脂板がビニルベンジルであることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る基板の製造方法の実施の形態を図面に従って説明する。
【0013】
図1を用いて本発明に係る基板の製造方法の第1の実施の形態を説明する。まず、図1(A)のように、絶縁樹脂板1の片面に第1導体層2を形成する。ここで、絶縁樹脂板1は、例えば、厚さ数100μmのビニルベンジル(比誘電率2.5、1GHzでのQ値が260)等を用い、必要に応じガラスクロス等の芯材を用いることができる。また、第1導体層2は無電解銅めっき層を下地導体層として、その上に電解銅めっき層を所要厚さに形成したものである。前記第1導体層2は全面パターンであってもよいし、あるいは所要の配線パターンをなすように形成されたものでもよい。
【0014】
次に、前記第1導体層2の上に厚さ数μm〜数10μmのビニルベンジル等の絶縁樹脂層3を層間絶縁層として形成し、その絶縁樹脂層3上にパターンめっき法でドーナツ状パターンを有する第2導体層4を形成する。前記絶縁樹脂層3は20μm以下が薄型化を図る上で好ましく、また20μm以下に薄くすると高信頼性の樹脂を使用する必要があり、フォトビアでは不可能な領域である。前記第2導体層4は所要の配線パターンを形成しており、ドーナツ状パターンの中心の穴4aがビアホール形成位置の穴であり、絶縁樹脂層3が露出している。パターンめっき法は、無電解めっき等の下地導体層の配線パターン部分を露出させその他の部分をレジストでマスクし、所要厚さの電解めっき層を下地導体層の露出部分に形成し、その後、レジストを剥離し、その下の下地導体層を除去して十分な厚さの配線パターンを得る工法である。第2導体層4も第1導体層2と同じ銅で形成する。
【0015】
次に、厚さ数10μmの感光性レジスト(ドライフィルム等)5を絶縁樹脂板1の第2導体層4を形成した面に設け、標準的なフォトリソグラフィー法(感光性レジストの露光、現像)で、前記ドーナツ状パターンの中心と略同心で前記穴4aよりも一回り大きい穴部5aを形成する。ここで、感光性レジスト5は後述のサンドブラスト処理に耐性を有するものであり、穴部5a部分を除いた残りの全面(第2導体層4、第2導体層4で覆われていない絶縁樹脂層3、及び樹脂基板の露出面)上を感光性レジスト5は覆っている。
【0016】
そして、絶縁樹脂板1の感光性レジスト5を設けた側の全面を、サンドブラスト機によってサンドブラスト処理する。このとき、第2導体層4が銅、絶縁樹脂層3がビニルベンジルであるとすると、銅とビニルベンジルのエッチング速度の比率は1:20で銅の導体層4もサンドブラスト加工ではレジストになる。これにより、図1(B)のように、絶縁樹脂層3を貫通するすり鉢状のビアホール6が穴4aの位置に形成され、そのビアホール6の底面に第1導体層2が露出する。図1では1個のドーナツ状パターンしか図示していないが、第2導体層4が複数のドーナツ状パターンを有する場合には1回のサンドブラスト処理で全てのドーナツ状パターンの穴4aに対してビアホール6が形成されることになる。
【0017】
なお、レジスト5の開口部の直径(穴部5aの直径)は、第2導体層4のドーナツ状パターンの内径(穴4aの直径)と、レジストパターン形成時のフォトマスクのアライメント精度との和よりも大きくすることが好ましい。こうすることによって、ドーナツ状の第2導体層4で囲まれたビアホール形成部は常にレジスト5の外に露出することができ、レジストパターン形成時のアライメント精度にかかわらず、導体層パターンの所定の位置にビアホールを形成することができる。
【0018】
上記サンドブラスト処理では発熱が無く、従って熱変成層が形成されない。よってデスミア工程を省略できる。そして、サンドブラスト処理後に、図1(C)のように、デスミア工程を省略してめっき法でビアホール6の内面に第1及び第2導体層2,4を接続する接続導体部7をビアホール6内面に形成する。
【0019】
なお、導体層が3層以上の場合にも、層間の絶縁樹脂層に対して同様にしてサンドブラスト処理でビアホールを形成して上下の導体層同士の接続が可能である。
【0020】
また、導体層パターンの形成方法はセミアディティブ法又はフルアディティブ法が好ましい。セミアディティブ工法の例としてパターンめっき法、フルアディティブ工法の例として転写法が挙げられる。転写法を用いた例は、後述の第3の実施の形態で説明している。これらの工法で導体層パターンを作製することにより、内径30μm程度の微細なドーナツ状パターンを精度よく形成できる。
【0021】
この第1の実施の形態によれば、次の通りの効果を得ることができる。
【0022】
(1) 絶縁樹脂層3上に形成された配線パターンをなす第2導体層4が、ビアホール形成位置に穴部5aを多数有する場合であっても、1回のサンドブラスト処理で一度に全てのビアホール6を形成でき、量産性が良好である。とくに、1枚のウエハで多数の基板を同時に作製する多数個取り工法の場合、サンドブラスト処理をウエハ毎の一括処理で実施でき、量産性が高い。
【0023】
(2) レーザーによるビアホール形成に比較して、サンドブラスト処理によるビアホール形成は設備費が安価である。
【0024】
(3) サンドブラスト処理では発熱が無く、従ってビアホール6の形成時に熱変成層は生じないため、デスミア工程を省略しても信頼性の高い接続導体部7をビアホール6内面に形成できる。またデスミア工程が不要となりから、製造工数の低減を図り得、この点でも量産性を改善できる。
【0025】
(4) サンドブラスト処理において、樹脂板や層間絶縁樹脂層と導体層の銅とのエッチングレートの差が大きいので(およそ20倍程度)、導体層がサンドブラスト工程のレジストになる。従って、配線パターンを構成している第2導体層4のドーナツ状パターンの穴4aの位置にビアホール6が必然的に形成されることになるため(ドーナツ状パターンがサンドブラスト処理においてレジストとして機能するため)、配線パターンに対するビアホール6の位置ずれが発生せず、信頼性の高いビアホール接続が可能である。
【0026】
(5) 絶縁樹脂板1及び絶縁樹脂層3にビニルベンジルを用いれば、低誘電率で、比較的高いQ値をビニルベンジルが有するため、高周波用基板として良好な特性を実現可能である。また、ビニルベンジルは硬いが脆いため、サンドブラスト処理でビアホールを形成するのにも適した樹脂材料である。
【0027】
図2を用いて本発明に係る基板の製造方法の第2の実施の形態を説明する。まず、図2(A)のように、絶縁樹脂板11の片面(裏面)の全面に第1導体層12を形成する。ここで、絶縁樹脂板11は、例えば、厚さ数10μmのビニルベンジル(比誘電率2.5、1GHzでのQ値が260)等を用い、必要に応じガラスクロス等の芯材を用いることができる。また、第1導体層12は無電解銅めっき層を下地導体層として、その上に電解銅めっき層を所要厚さに形成したものであり、全面パターンであってもよいし、所要の配線パターンであってもよい。
【0028】
次に、絶縁樹脂板11の反対面にパターンめっき法でドーナツ状パターンを有する第2導体層14を形成する。この第2導体層14は所要の配線パターンを形成しており、ドーナツ状パターンの中心の穴14aがビアホール形成位置の穴であり、絶縁樹脂板11が露出している。第2導体層14も第1導体層12と同じ銅で形成する。
【0029】
次に、厚さ数10μmの感光性レジスト(ドライフィルム等)15を絶縁樹脂板11の第2導体層14を形成した面に設け、標準的なフォトリソグラフィー法(感光性レジストの露光、現像)で、前記ドーナツ状パターンの中心と略同心で前記穴14aよりも一回り大きい穴部15aを形成する。ここで、感光性レジスト15は後述のサンドブラスト処理に耐性を有するものであり、穴部15a部分を除いた残りの全面(第2導体層14、第2導体層14で覆われていない絶縁樹脂板11の露出面)を感光性レジスト15は覆っている。
【0030】
なお、レジスト15の開口部の直径(穴部15aの直径)は、第2導体層14のドーナツ状パターンの内径(穴14aの直径)と、レジストパターン形成時のフォトマスクのアライメント精度との和よりも大きくすることが好ましい。こうすることによって、ドーナツ状の第2導体層14で囲まれたビアホール形成部は常にレジスト15の外に露出することができ、レジストパターン形成時のアライメント精度にかかわらず、導体層パターンの所定の位置にビアホールを形成することができる。
【0031】
そして、絶縁樹脂板11の感光性レジスト15を設けた側の全面を、サンドブラスト機によってサンドブラスト処理する。このとき、第2導体層14が銅、絶縁樹脂板11がビニルベンジルであるとすると、銅とビニルベンジルのエッチング速度の比率は1:20で銅の導体層14がサンドブラスト加工ではレジストになる。これにより、図2(B)のように、絶縁樹脂板11を貫通するすり鉢状のビアホール16が穴14aの位置に形成され、そのビアホール16の底面に第1導体層12が露出する。図2では1個のドーナツ状パターンしか図示していないが、第2導体層14が複数のドーナツ状パターンを有する場合には1回のサンドブラスト処理で全てのドーナツ状パターンの穴4aに対してビアホール16が形成されることになる。
【0032】
その後に、図2(C)のように、デスミア工程を省略してめっき法でビアホール16の内面に第1及び第2導体層12,14を接続する接続導体部17をビアホール16内面に形成する。
【0033】
この第2の実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様に、信頼性の高いビアホールによる導体層間の接続が可能であり、ビアホール形成を量産性良く実現できる。
【0034】
なお、導体層が3層以上の場合には、層間の絶縁樹脂層を形成するたびに第1の実施の形態に示したようにサンドブラスト処理でビアホールを形成して上下の導体層同士の接続が可能である。
【0035】
図3を用いて本発明に係る基板の製造方法の第3の実施の形態を説明する。この第3の実施の形態では配線パターンを構成する第2導体層4を転写法により形成している。まず、図3(A)のように、ステンレス等の剥離性の良い平板20上にドーナツ状パターン(中心の穴4a)を有する第2導体層4を形成する。この第2導体層4は所要の配線パターンを形成している。
【0036】
次に、図3(B)のように、絶縁樹脂板1に第1導体層2を形成したものの上に、第2導体層4を設けた平板20を反転し、その第2導体層4を設けた面と第1導体層2との間に絶縁樹脂層(プリプレグ等)21を介在させて、重ねて加圧する(一括でプレスする)。
【0037】
その後、図3(C)のように、絶縁樹脂板1、第1導体層2、絶縁樹脂層21及び第2導体層4が一体になったものから平板20を剥離する。第1導体層2の形成は前述した第1の実施の形態と同様に行うことができる。
【0038】
図3(C)の状態では、第2導体層4及び絶縁樹脂層21の上面は同じ高さに揃って平坦になっており、その上に、厚さ数10μmの感光性レジスト(ドライフィルム等)5を設け、標準的なフォトリソグラフィー法(感光性レジストの露光、現像)で、第2導体層4のドーナツ状パターンの中心の穴4aと略同心でそれよりも一回り大きい穴部5aを形成する。この場合、第2導体層4が絶縁樹脂層21に埋まってそれらの上面は平坦になっているから、第2導体層4が、幅に比べて高さの大きなハイアスペクト導体で、感光性レジスト5にドライフィルムを用いたときでも、ドライフィルムの密着不良やボイドの発生を防止できるので好都合である。
【0039】
図3(D),(E)の工程は、第1の実施の形態と同様であり、絶縁樹脂板1の感光性レジスト5を設けた側の全面を、サンドブラスト機によってサンドブラスト処理し、絶縁樹脂層21を貫通するすり鉢状のビアホール6が穴4aの位置に形成され、そのビアホール6の底面に第1導体層2が露出する。その後、図3(E)のように、デスミア工程を省略してめっき法でビアホール6の内面に第1及び第2導体層2,4を接続する接続導体部7をビアホール6内面に形成する。
【0040】
図3の本発明の第3の実施の形態では、転写法で第2導体層4を形成することで、絶縁樹脂板1に第1導体層2を形成したものの上に、絶縁樹脂層を介し第2導体層4を転写形成した際、図3(C)のように、絶縁樹脂層21の上面と第2導体層4の上面が同一高さ面となり、第2導体層4が、幅に比べて高さの大きなハイアスペクト導体であっても、感光性レジスト5としてのドライフィルムの密着不良やボイドの発生を防止できる。従って、ハイアスペクト導体を用いる場合に特に有効である。その他の作用効果は第1の実施の形態で述べた通りである。
【0041】
【実施例】
以下、本発明に係る基板の製造方法を実施例で詳述する。
【0042】
実施例1
図1(A)の絶縁樹脂板1として、厚さが300μmのガラスクロス入りビニルベンジル基板を用い、その片面の全面に下地導体層として無電解銅めっき層を0.3μmの厚さに形成し、その上に光沢硫酸銅めっきで30μm厚の銅層を形成した。これら無電解銅めっき層及び光沢硫酸銅めっきの銅層とで第1導体層2を形成している。
【0043】
次に、その上に絶縁樹脂層3として厚さ20μmのビニルベンジル層を形成して、その上にパターンめっき法で内径70μm、外径100μm、厚さ10μmのドーナツ状パターンを有する第2導体層4を基板全面にわたって400μmピッチで形成した。前記パターンめっき法における電気銅めっきには光沢硫酸銅めっき液を使用した。
【0044】
次に、感光性レジスト5として厚さ40μmのドライフィルムを第2導体層形成後の基板のパターン面に貼り付け、標準的なフォトリソグラフィー法(ドライフィルムの露光、現像処理)で、ドーナツ状パターンの中心と略同心で直径85μmの穴部5aを形成した。
【0045】
次に、平均粒径が20μmのアルミナ粉を用いて、ニッチュー製のブラスト機で圧力0.3Mpa、噴出量400g/mmで、ノズル幅100mmのノズルを使用し、スキャン幅400mmで図1(A)のレジスト5を設けた後の基板に対して1分間サンドブラストを行った。このとき、銅の導体層とビニルベンジルのエッチング速度の比率は1:20で導体層もサンドブラスト加工ではレジストになる。サンドブラスト加工後の穴形状(図1(B)のビアホール6の形状)はトップ径が72μm、ボトム径50μmであり、この後にデスミア工程を省略してめっき法で図1(C)のようにビアホール内面に銅の接続導体部7を形成したが良好な信頼性を示した。
【0046】
実施例2
図2(A)の絶縁樹脂板11として、厚さが60μmのガラスクロス入りビニルベンジル基板を用い、その片面の全面に無電解銅めっき層を0.3μmの厚さに形成し、その上に光沢硫酸銅めっきで30μm厚の銅層を形成した。これら無電解銅めっき層及び光沢硫酸銅めっきの銅層とで第1導体層12を形成している。
【0047】
次に、基板11の反対面にパターンめっき法で内径100μm、外径140μm、厚さ10μmのドーナツ状パターンを有する第2導体層14を基板全面にわたって400μmピッチで形成した。前記パターンめっき法における電気銅めっきには光沢硫酸銅めっき液を使用した。
【0048】
次に、感光性レジスト15として厚さ40μmのドライフィルムを第2導体層形成後の基板のパターン面に貼り付け、標準的なフォトリソグラフィー法で、ドーナツ状パターンの中心と略同心で直径120μmの穴部15aを形成した。
【0049】
次に、平均粒径が20μmのアルミナ粉を用いて、ニッチュー製のブラスト機で圧力0.3Mpa、噴出量400g/mmで、ノズル幅100mmのノズルを使用し、スキャン幅400mmで図2(A)のレジスト15を設けた後の基板に対して1分間サンドブラストを行った。このとき、銅の導体層とビニルベンジルのエッチング速度の比率は1:20で導体層もサンドブラスト加工ではレジストになる。サンドブラスト加工後の穴形状(図2(B)のビアホール16の形状)はトップ径が102μm、ボトム径70μmであり、この後にデスミア工程を省略してめっき法で図1(C)のようにビアホール内面に銅の接続導体部17を形成したが良好な信頼性を示した。
【0050】
以上本発明の実施の形態及び実施例について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る基板の製造方法によれば、絶縁樹脂層又は絶縁樹脂板にビアホールを形成する場合に、ビアホールの形成個数にかかわらず基板毎(あるいは基板が多数集合したウエハ毎)に一括してサンドブラスト処理が可能であり、量産性が高い。
【0052】
また、サンドブラスト処理によるビアホール形成は、レーザーによるビアホール形成に比較して設備費が安価であり、また、サンドブラスト処理は発熱が無いため熱変性層が形成されない。このため、デスミアが不要となり、高信頼性を確保でき、コスト低減が可能である。
【0053】
サンドブラスト処理においては、絶縁樹脂板や層間絶縁樹脂層と銅等の導体層とではエッチングレートの差が大きく、導体層がレジストとして機能するから、導体層のビアホール形成位置に穴を形成するとともに当該導体層で配線パターンを形成しておくことで、前記導体層の穴の位置に必然的にビアホールが形成されることになり(セルフアライメント)、配線パターンに対するビアホールの位置にずれは発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基板の製造方法の第1の実施の形態(実施例1)を示す説明図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態(実施例2)を示す説明図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態を示す説明図である。
【符号の説明】
1,11 絶縁樹脂基板
2,12 第1導体層
3 絶縁樹脂層
4,14 第2導体層
5,15 感光性レジスト
6,16 ビアホール
7,17 接続導体部
Claims (6)
- 複数の導体層と、導体層間に介在する絶縁樹脂層とを有する基板の製造方法において、
ビアホール形成位置に穴を有するとともに所定の配線パターンをなす導体層を絶縁樹脂層上に設ける工程と、
前記ビアホール形成位置に穴を有する導体層で覆われない前記絶縁樹脂層上と、前記穴及びその周囲を除く前記導体層上とをレジストで覆う工程と、
サンドブラスト処理により前記導体層の穴に露出した前記絶縁樹脂層にビアホールを形成する工程とを含むことを特徴とする基板の製造方法。 - 前記絶縁樹脂層の厚さが20μm以下である請求項1記載の基板の製造方法。
- 前記導体層を転写法で形成する請求項1又は2記載の基板の製造方法。
- 前記絶縁樹脂層がビニルベンジルである請求項1,2又は3記載の基板の製造方法。
- 絶縁樹脂板を挟んでその両面に導体層を設けた基板の製造方法において、
ビアホール形成位置に穴を有するとともに所定の配線パターンをなす導体層を前記絶縁樹脂板の少なくとも片面に設ける工程と、
前記ビアホール形成位置に穴を有する導体層で覆われない前記絶縁樹脂板上と、前記穴及びその周囲を除く前記導体層上とをレジストで覆う工程と、
サンドブラスト処理により前記導体層の穴に露出した前記絶縁樹脂板にビアホールを形成する工程とを含むことを特徴とする基板の製造方法。 - 前記絶縁樹脂板がビニルベンジルである請求項5記載の基板の製造方法。
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