JP4140747B2 - 蛍光ガラス線量計素子自動交換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍光ガラス素子を保持した金属製フレーム(以下、カードと称する)を内蔵する、一端に開口部を有するホルダからカードを出し入れする蛍光ガラス線量計素子自動交換装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
蛍光ガラス線量計は、放射線被曝量と紫外線励起による蛍光との間の直線関係を利用して放射線被曝量を測定するものであるが、一つの蛍光ガラス線量計が一定量以上の放射線を被曝すると、感度が低下して放射線被曝量と蛍光との間の直線関係に誤差を生じ、正確な測定が難しくなる。このため、所定量の放射線を被曝した蛍光ガラス線量計は、未被曝のガラス素子またはアニール処理により被曝による蛍光中心を消去したガラス素子と交換する必要がある。このようなガラス素子の交換装置の一例としては、登録実用新案第2557089号に示された蛍光ガラス線量計の自動交換装置がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の蛍光ガラス線量計の自動交換装置においては、ホルダから抜き出したカードを収納する容器は、カードを直接収納しており、さらにカードの脱落を防止する機構を有していないため、以下に述べるような問題点があった。
【0004】
すなわち、カード収納容器内においてガラスが破損した場合、残留したガラス片や収納容器内壁の傷等により、次回以降に収納されるカードに悪影響を与えるおそれがあるため、収納容器内部を確認する必要があるが、その際、内蔵されているすべてのカードを一旦取り出さなければならず、場合によっては、収納容器を分解しなければならないといった事態も生じ、作業が面倒であった。
【0005】
また、従来のカード収納容器にはカードの脱落を防止する機構が設けられていないため、カード収納容器を持ち運ぶ際に、容器の姿勢や振動によってカードが脱落しやすいという問題点があった。さらに、工程・品質管理等の必要から、カード収納容器からカードを抜き取り確認する場合の作業においても、取扱いが面倒であった。
【0006】
また、従来の蛍光ガラス線量計の自動交換装置では、複数個のカードを一度に交換する構造となっているため、カードトランスファの構成や動作が非常に複雑であり、また、一つのカードが引っかかった場合でも、交換作業全体が阻害されてしまうという欠点があった。
【0007】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、カード収納容器内のカードの確認が容易で、カード収納容器の取扱いが安全、且つ簡便な蛍光ガラス線量計素子自動交換装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の蛍光ガラス線量計素子自動交換装置は、蛍光ガラス素子からなるカードを装填する一端に開口部を有するホルダを複数個収納するホルダマガジンと、前記ホルダマガジンを複数個収納するホルダコンテナと、前記ホルダコンテナから所定のホルダマガジンを引き出し、カード取り出し位置に順次搬送するホルダマガジントランスファと、前記カードを複数個収納するカードマガジンと、前記カードマガジンを複数個収納するカードコンテナと、前記カードコンテナから所定のカードマガジンを引き出し、カード取り出し位置に順次搬送するカードマガジントランスファと、前記ホルダマガジンに収納されたホルダとカードマガジンとの間で、カードを交換するカードトランスファとを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
上記の構成を有する請求項1に記載の発明によれば、ホルダマガジンに収納された各ホルダと、ホルダマガジンに対応する形状に構成されたカードマガジンとの間でカードを交換し、ホルダから抜き取られたカードは、所定個数まとめてカードマガジンに収納されるので、カードマガジン単位でカードの品質の確認や、破損したカードの除去・確認作業が簡単に行える。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の蛍光ガラス線量計素子自動交換装置において、前記カードコンテナには、内部に収納されるカードマガジンの脱落防止手段が設けられていることを特徴とするものである。
上記の構成を有する請求項2に記載の発明によれば、カードを収納したカードコンテナからのカードマガジン及びカードの脱落を防止することが可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の蛍光ガラス線量計素子自動交換装置において、前記カードトランスファの動作が、水平方向の往復動作であることを特徴とするものである。
上記の構成を有する請求項3に記載の発明によれば、カードトランスファの動作が一方向の往復動作であることから、従来のように複雑な機構が不要となるため、装置の簡易化が可能となり、また、交換作業の精度も大幅に向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】
続いて、本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について、図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
[1.構成]
(ホルダマガジン)
図1に示すように、本実施形態においては、カード1は一端に開口部を有するホルダ2内に収納され、また、カード1を装填したホルダ2は、20個ずつ、それぞれの断面形状が凹状のホルダ収納部を有するホルダマガジン3に収納されるように構成されている。なお、このホルダマガジン3の一端には、磁気固着が可能な金属片4が取り付けられている。また、カード1の一端には、後述するカードトランスファに設けられた爪及びプッシャブロックと係合する突起1aが形成されている。
【0014】
(ホルダマガジンコンテナ)
前記ホルダマガジン3は、一端に開口部を有するホルダマガジンコンテナ(以下、ホルダコンテナという)5に多段(本実施形態においては、20段)に収納されるように構成されている。このホルダコンテナ5には、その内壁に、ホルダマガジン3を多段に収納するための桟5aが、所定の間隔をおいて配設されている。また、側板5bと背板5cとの間には、ホルダコンテナ5からホルダマガジン3が脱落することを防止するための棒状のストッパプレート5dが配設されている。
【0015】
(カードマガジン)
図2に示すように、本実施形態においては、カード1は、20個ずつ、それぞれの断面形状が凹状のカード収納部を有するカードマガジン12に収納されるように構成されている。なお、このカードマガジン12の一端にも、磁気固着が可能な金属片14が取り付けられている。また、カードマガジン12には、後述するカードトランスファに設けられたプッシャブロックが通るための溝12aが設けられている。
【0016】
(カードマガジンコンテナ)
前記カードマガジン12は、一端に開口部を有するカードマガジンコンテナ(以下、カードコンテナという)6に多段(本実施形態においては、20段)に収納されるように構成されている。このカードコンテナ6には、その内壁に、カードマガジン12を多段に収納するための桟6aが、所定の間隔をおいて配設されている。また、側板6bと背板6cとの間には、カードコンテナ6からカードマガジン12が脱落することを防止するための棒状のストッパプレート6dが配設されている。
なお、前記ホルダコンテナ5及びカードコンテナ12の構成については、本出願人が別途出願した特願平11−152221号の明細書に詳述されている。
【0017】
(蛍光ガラス線量計素子自動交換装置)
図3は、本発明に係る蛍光ガラス線量計素子自動交換装置の概略図を示したものである。
すなわち、装置の向かって右側には、手前側にホルダコンテナ5、奥側にカードコンテナ6をセットするコンテナテーブル7が配設され、このコンテナテーブル7は、コンテナテーブル駆動装置8によって上下動可能に構成されている。
【0018】
また、装置の向かって左側には、ホルダコンテナ5内からホルダマガジン3を引き出すホルダマガジントランスファ9と、カードコンテナ6内からカードマガジン12を引き出すカードマガジントランスファ11が並置されている。なお、ホルダマガジン3及びカードマガジン12のチャッキングには、それぞれ電磁石10a、10bが用いられている。
また、装置中央部には、ホルダマガジン3とカードマガジン12との間でカード1を移し替えるカードトランスファ13が配置されている。
【0019】
(カードトランスファ)
図4は、カードトランスファ13の構成を示したものであり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は正面図である。
すなわち、図4に示したように、本実施形態のカードトランスファには、カード1の一端に設けられた突起1aを引っかける爪14と、それをカムとレールにより上下させる第1のモータ15を有するカードフィンガユニット16が、スライドレール17を介して取り付けられている。また、このカードフィンガユニット16は、図中右側に配設された第2のモータ18によって、待機位置とカード取り出し位置の間を水平移動するように構成されている。
【0020】
そして、図3に示したホルダマガジントランスファ9とカードマガジントランスファ11とによって引き出されたホルダマガジン3とカードマガジン12は、図4(A)に示すように並置され、第2のモータ18によってカード取り出し位置に水平移動したカードフィンガユニット16によって、カードの移し替えを行えるように構成されている。
【0021】
(解錠装置)
カードトランスファ部には、図3に示した位置に、ホルダ内に収納されたカードを保持するためのロックを解除する解錠装置が設けられている。なお、この解錠装置については、本出願人が別途特許出願しているので、本明細書においては概説する。
すなわち、図5に示したように、ブラケット21の片面には、可動板22を取り付けた直動ユニット23が配置されており、この可動板22には、ブロック24と連結板25を介して、永久磁石からなる解錠用磁石26を保持する磁石保持部材27が取り付けられている。
【0022】
一方、前記ブラケット21の反対面にはパルスモータ28が配置され、その出力軸の先端に取り付けられた偏心カム29にはベアリング30が配設されている。このベアリング30は、前記可動板22の上部に形成された長穴部に係合しており、偏心カム29及びベアリング30の反転運動に伴って、前記可動板22が上下動するように構成されている。
【0023】
そして、ホルダコンテナから取り出されたホルダマガジン3が、所定のカード取り出し位置に達すると、前記ブラケット21に設けられたパルスモータ28の回転によって可動板22が下降し、磁石保持部材27がホルダ2と当接し、磁石保持部材27によって保持された解錠用磁石26が、ホルダ2の内部に備えられたロック用板バネ(図示せず)を吸引し、その結果、ホルダ2内のロックが外れ、カード1が取り出し可能な状態となる。
【0024】
[2.作用]
続いて、上記のような構成を有する本実施形態の作用について説明する。
【0025】
[2−1.蛍光ガラス線量計素子の自動交換機能]
(ホルダマガジン→カードマガジン)
カードが収納されたホルダマガジン3はホルダコンテナ5に、カードが収納されていないカードマガジン12はカードコンテナ6にそれぞれ収納され、コンテナテーブル7にセットされる。コンテナテーブル7はコンテナテーブル駆動装置8によりマガジン取り出し位置まで持ち上げられる(図3参照)。
【0026】
続いて、ホルダマガジントランスファ9の電磁石10aをホルダマガジン3の金属片4に吸着させることによって、ホルダマガジン3をホルダコンテナ5から引き出し、20個収納されたホルダの内、1つ目のホルダ2をカードトランスファ13位置にセットする(図4参照)。
同様に、カードマガジントランスファ11の電磁石10bをカードマガジン12の金属片14に吸着させることによって、カードの収納されていないカードマガジン12をカードコンテナ6から引き出し、1つ目のカード収納部をカードトランスファ13位置にセットし(図4参照)、上述した解錠装置によってホルダ2のロックを外す。
【0027】
続いて、図4(C)に示したように、待機位置にあったカードフィンガユニット16が、第2のモータ18の駆動力によって、爪14が上がった状態で図の左側に移動し、カード取り出し位置に移動する。そして、爪14が下がることにより、ホルダ2内のカード1の突起1aを、爪14とプッシャブロック19で挟む。
【0028】
そして、カードフィンガユニット16が図の右側に所定距離移動することにより、ホルダ2内から引き出されたカード1がカードマガジン12内に収納された時点で、カードフィンガユニット16は一旦停止する。続いて、爪14が上がり、カード1はフリーの状態となる。その後、カードフィンガユニット16はさらに図の右側に移動し、カードマガジンの搬送に支障のない待機位置で停止する。
【0029】
このようにしてカードトランスファ13部において、カード1はホルダマガジン3内のホルダ2より取り出され、空のカードマガジン12内に移される。ホルダマガジン3内の各ホルダ2に装填されたすべてのカード1について、以上の動作が行われた後、移し替えの終わったホルダマガジン3とカードマガジン12は、ホルダマガジントランスファ9及びカードマガジントランスファ11によって、それぞれホルダコンテナ5、カードコンテナ6に戻される。
【0030】
続いて、コンテナテーブル7がコンテナテーブル駆動装置8により、次のマガジン取り出し位置まで持ち上げられ、上記の動作を繰り返すことで、連続して400個のホルダからカード抜き取り作業を自動的に行うことができる。
【0031】
(カードマガジン→ホルダマガジン)
また、カードトランスファ13の動作順序を切り替えることにより、カード1を収納したカードコンテナ6から、カード未装填のホルダを収納したホルダコンテナ5へのカード移し替えも自動的に行うことができる。
すなわち、カードの収納されたカードマガジン12と、空のホルダ2が収納されたホルダマガジン3が、カードトランスファ13位置に並列に搬送される。続いて、図4(C)に示したように、待機位置にあったカードフィンガユニット16が、第2のモータ18の駆動力によって、爪14が上がった状態で図の左側に移動し、カード取り出し位置に移動する。そして、プッシャブロック19でカード1の突起1aを押して、カードマガジン12からカード1を押し出し、このカード1をホルダマガジン3に収納された空のホルダ2内に収納する。その後、カードフィンガユニット16は図の右側に移動し、待機位置で停止する。
【0032】
[2−2.脱落防止機能]
ホルダから抜き取られたカードを収納したカードコンテナ6は、コンテナテーブル7等の平らな面上におかれた状態ではストッパプレート6dが上方にスライドするため、カードマガジン12はカードコンテナ6の開口面から取り出すことができるが、それ以外の状態においては、ストッパプレート6dは自重により下がるため、ストッパプレート6dに設けられた突起(図示せず)がカードマガジン12にはまり込むため、カードコンテナ6の開口面からのカードマガジン12の脱落が防止される。
【0033】
[3.効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、ホルダマガジンに収納されたホルダからのカードの抜き取り・再装填が簡単に、且つ自動的に行える。また、ホルダから抜き取られたカードは、所定個数まとめてカードマガジンに収納されるので、カードマガジン単位でカードの品質の確認や、破損したカードの除去・確認作業が簡単に行える。
さらに、カードトランスファの動作が一方向の往復動作であることから、従来のように複雑な機構が不要となるため、装置の簡易化が可能となり、また、交換作業の精度も大幅に向上する。また、カードを収納したカードコンテナ6からのカードマガジン12及びカード1の脱落を防止することも可能となる。
【0034】
[4.他の実施形態]
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次に例示するような変形例が考えられる。すなわち、処理するカードあるいはコンテナの個数を増減しても良く、また、ホルダコンテナとカードコンテナを分離し、別個のテーブルにセットする等の変形が可能である。なお、少量(数百個程度)の素子を取り扱う場合には、装置の大きさ・複雑さやコンテナの重さの点で、上述した実施形態のような方式が好ましい。
【0035】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、カード収納容器内のカードの確認が容易で、カード収納容器の取扱いが安全、且つ簡便な蛍光ガラス線量計素子自動交換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る蛍光ガラス線量計素子自動交換装置で使用するホルダ、ホルダマガジン及びホルダコンテナの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る蛍光ガラス線量計素子自動交換装置で使用するカードマガジン及びカードコンテナの構成を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る蛍光ガラス線量計素子自動交換装置の構成を示す斜視図である。
【図4】図3に示した蛍光ガラス線量計素子自動交換装置のカードトランスファ部分を示す図であって、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は正面図である。
【図5】図3に示した蛍光ガラス線量計素子自動交換装置の解錠装置部分を示す概略図である。
【符号の説明】
1…カード、1a…突起、2…ホルダ、3…ホルダマガジン、4…金属片、5…ホルダコンテナ、5d,6d…ストッパプレート、6…カードコンテナ、7…コンテナテーブル、8…コンテナテーブル駆動装置、9…ホルダマガジントランスファ、10…電磁石、11…カードマガジントランスファ、12…カードマガジン、12a…溝、13…カードトランスファ、14…爪、15…モータ(爪上下用)、16…カードフィンガユニット、17…スライドレール、18…モータ(水平移動用)、19…プッシャブロック
Claims (3)
- 蛍光ガラス素子からなるカードを装填する一端に開口部を有するホルダを複数個収納するホルダマガジンと、
前記ホルダマガジンを複数個収納するホルダコンテナと、
前記ホルダコンテナから所定のホルダマガジンを引き出し、カード取り出し位置に順次搬送するホルダマガジントランスファと、
前記カードを複数個収納するカードマガジンと、
前記カードマガジンを複数個収納するカードコンテナと、
前記カードコンテナから所定のカードマガジンを引き出し、カード取り出し位置に順次搬送するカードマガジントランスファと、
前記ホルダマガジンに収納された前記ホルダと前記カードマガジンとの間で、カードを交換するカードトランスファとを備えたことを特徴とする蛍光ガラス線量計素子自動交換装置。 - 前記カードコンテナには、内部に収納されるカードマガジンの脱落防止手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の蛍光ガラス線量計素子自動交換装置。
- 前記カードトランスファの動作が、水平方向の往復動作であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蛍光ガラス線量計素子自動交換装置。
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