JP4140255B2 - 高圧放電灯点灯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、高圧放電灯点灯装置の高周波点灯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は、従来の高圧放電灯点灯装置の回路構成ブロック図である。
図7において、1は直流電源、2は例えばMOS−FETのスイッチング素子3及び4から構成されるインバータ回路、5は前記インバータ回路2のスイッチング素子3及び4を駆動制御する制御回路、6はチョークコイル7、直流カットコンデンサ8及び始動回路9からなる負荷回路、10は高圧放電灯(以下、ランプという)である。
【0003】
次に上記のように構成された高圧放電灯点灯装置の動作について説明する。
前記インバータ回路2の前記スイッチング素子3及び4は、前記制御回路5からの例えば数10kHzの周波数により交互にON・OFF制御され、前記直流電源1からの出力を高周波に変換する。高周波に変換された電力は、チョークコイル7で減流し、直流カットコンデンサ8との電流共振作用によりランプ10を点灯する。始動回路9は、ランプ10の放電開始前に電極間を絶縁破壊するために数kVの高圧を印加するが、放電開始後は切り離される。
【0004】
また、高圧放電灯は一般に、高周波で点灯する場合、ランプ内の音波の進行波と反射波の干渉作用により放電アークが曲げられ、立ち消えやランプ破壊などを引き起こすいわゆる音響共鳴現象が生じやすいことが知られている。特に1kHz以上の高周波点灯時においては、音響共鳴現象が起こらない非共鳴周波数帯を選んで点灯するのが一般的である。
音響共鳴現象を生じる周波数をfrとすると、frは、発光管内の音速vと発光管の形状に依存する関数になり、発光管内の音速vは、v=(γRT/M)1 / 2で表される。
ここで、γ:比熱比、R:気体定数、T:管内温度、M:平均分子量
従って、制御回路5は、この周波数frを避けた非共鳴周波数帯の固定の周波数で前記インバータ回路2を駆動する構成となっている。
【0005】
しかしながら、点灯開始してから安定点灯に達するまでは、非共鳴周波数帯内であっても放電アークが不安定になる場合がある。その原因として、発光管内の数種類の放電物質が順次気化していく関係上、その過程で管内の平均分子量Mが変化していくことにより音速vが変化し、非共鳴周波数帯もそれに応じて変化しているものと考えられる。つまり、点灯開始から安定点灯に到達するまでの数分間は、安定点灯時における非共鳴周波数帯の中心付近が必ずしも非共鳴周波数帯になるとは限らないことによる。
その結果、安定点灯に達するまでの数分間は音響共鳴現象が発生し、放電アークの揺れによるちらつきを引き起こし、アークの揺れが大きくなると立ち消えの原因になる場合もある。
【0006】
図8は、実際に定格電力35Wのセラミック発光管を用いて、40〜45kHz付近の非共鳴周波数帯で点灯する場合、その中心付近の周波数で点灯した場合の点灯開始からのランプ電圧及び照度の変化を模擬的に表した図である。図の縦軸の上部がランプ電圧、下部が照度を示し、横軸が時間である。
尚、図中t1は放電状態が変化する時間を、t2は安定点灯に達する時間を示し、この時間t1、t2はランプ内の構成物質によって固有の値となる。
図8に示すように、立ち上がりのt1付近で照度の振動(図の太線と縦線で示した部分)、つまり、ちらつきが発生する。ここでの照度とは、ある一点から見た明るさをいう。
また、図9、10に、前記非共鳴周波数帯40〜45kHzの下限(40kHz)あるいは上限(45kHz)の周波数でそれぞれ点灯した場合の点灯開始からのランプ電圧及び照度の変化を模擬的に表した図を示す。図8と同様、図の縦軸の上部がランプ電圧、下部が照度を示し、横軸が時間である。尚、図中のt1、t2は前述の通りである。
図9、10に示すように、放電状態が変化する時間t1を境に、その前後の所定期間でそれぞれちらつき(図の太線と縦線で示した部分)が多く発生してしまう。
したがって、固定の周波数で点灯した場合、立ち上がりのいずれかの期間でちらつきが一定時間発生してしまうことになる。
【0007】
そこで、上記のような問題を回避すべく、特開昭60-148084に開示された図11に示す回路ブロック構成のものが提案されている。尚、図11において、図7と同一または相当部分には同一符号を付し説明を省略する。
図11において、14は直流又は商用周波数程度の低周波出力手段、15はインバータによる高周波出力手段、16は前記ランプ10の点灯状態を検知する点灯状態検知手段、17は前記低周波出力手段14と高周波出力手段15からの出力を切り換えるリレーである。
前記ランプ10へは、前記リレー17によって点灯状態検知手段16からの信号をもとに前記低周波出力手段14または高周波出力手段15への切り換えにより電力が供給される。ランプ10の点灯開始後、前記点灯状態検知手段16によりランプ10が安定点灯に達したと判断するまでは、前記リレー17を低周波出力手段14側に接続して低周波による点灯を行う。そして、前記点灯状態検知手段16が安定点灯に達したことを検知した後は、前記リレー17を前記高周波出力手段15側に接続して高周波点灯を行う。低周波点灯において音響共鳴現象は起きないことから、このようにして立ち上り時の現象発生によるちらつきや立ち消えを回避するようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような回路ブロック構成においては、立ち上り時の音響共鳴現象によるちらつき等を回避することができるが、高周波出力手段の他に低周波出力手段やその出力手段を切り換えるリレー回路等を設けなければならず、回路構成が大型化して、ひいてはコストアップにつながってしまうという問題点があった。
【0009】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、上記高周波出力手段以外の出力手段等を設けることなく、高圧放電灯の高周波点灯において、点灯開始から安定点灯に達するまでの期間でのちらつきや立ち消えを防止することのできる高圧放電灯点灯装置を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の高圧放電灯点灯装置は、高圧放電灯に1kHz以上の交流電力を供給するインバータ回路と、前記インバータ回路の出力周波数を制御する制御回路とを備えた高圧放電灯点灯装置であって、前記制御回路は、前記高圧放電灯の点灯開始から安定点灯に達する期間において前記出力周波数を非共鳴周波数帯内の任意の周波数に設定する場合、前記高圧放電灯の点灯開始からの第1の期間と、前記第1の期間終了から安定点灯に達するまでの第2の期間とに分割し、第1の期間では共鳴現象が第1の期間では現れない前記非共鳴周波数帯内の周波数を出力し、第2の期間では共鳴現象が第2の期間では現れない前記非共鳴周波数帯内の周波数を出力し、安定点灯に達したら安定点灯用の周波数を出力するようにしたものである。
【0012】
また、請求項2記載の高圧放電灯点灯装置は、前記第1の期間の出力周波数を、前記第2の期間の出力周波数より低くするようにしたものである。
【0013】
また、請求項3記載の高圧放電灯点灯装置は、前記高圧放電灯の両端の電圧を検出する電圧検出回路を備え、前記電圧検出回路により検出される高圧放電灯の電圧変動の振幅が所定値を超えたら、前記第1の期間を終了するようにしたものである。
【0014】
また、請求項4記載の高圧放電灯点灯装置は、前記高圧放電灯の両端の電圧を検出する電圧検出回路を備え、前記電圧検出回路により検出される前記高圧放電灯の両端電圧が所定値を超えたら前記第1の期間を終了し、さらに両端電圧に変化がなくなったら前記第2の期間を終了するようにしたものである。
【0015】
また、請求項5記載の高圧放電灯点灯装置は、タイマーを備え、前記タイマーによる計時情報をもとに前記高圧放電灯の点灯開始から所定時間経過後に前記第1の期間あるいは前記第2の期間を終了するようにしたものである。
【0016】
また、請求項6記載の高圧放電灯点灯装置は、不揮発性メモリを備え、前回消灯直前の高圧放電灯の両端電圧を記憶し、次回点灯時に、前記記憶された両端電圧に対する所定の割合の電圧を新たな所定値として、該所定値を超えたら前記第1の期間を終了し、さらに両端電圧に変化がなくなったら前記第2の期間を終了するようにしたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における高圧放電灯点灯装置の回路構成ブロック図である。尚、図1において、上記従来例図7と同一または相当部分には同一符号を付し説明を省略する。
図1において、11は出力周波数を切り換える周波数切換制御回路、12は前記ランプ10の電圧の例えば実効値を検出するランプ電圧検出回路、13はタイマーである。
【0018】
次に上記のように構成された高圧放電灯点灯装置の動作について説明する。
まず、点灯開始時に、制御回路5は前記周波数切換制御回路11の信号に基づき非共鳴周波数帯内の相対的に低い周波数f1を出力する。前記ランプ電圧検出回路12は、前記ランプ10のランプ電圧を検出し、該検出値を前記周波数切換制御回路11に入力する。周波数切換制御回路11では、入力されたランプ電圧の検出値をもとに電圧変動の振幅を算出し、該算出された振幅が所定値以上になったら、前記非共鳴周波数帯内の相対的に高い周波数f2に切り換え、その信号に基づき制御回路5は周波数f2を出力する。尚、前記ランプ電圧の変動は、ちらつきがない場合には発生しないが、ちらつきの発生時は照度と同様にランプ電圧も変動することが分かっている。
前記低い周波数f1から高い周波数f2に切り換えた後は、タイマー13によって経過時間をカウントし、所定時間Taが経過したら前記周波数f2による点灯を終了し、安定点灯用の制御に切り換える。
【0019】
図2に点灯開始からの経過時間におけるランプ電圧、照度及び点灯周波数の変化を模擬的に表した図を示す。縦軸の上側がランプ電圧を、中側が照度を、下側が点灯周波数を示し、横軸が時間である。
尚、図中t1は放電状態が変化する時間を、t2は安定点灯に達する時間を示し、前述したように、この時間t1、t2はランプ内の構成物質によって固有の値を持つものである。
点灯開始時は低い周波数f1でスタートするので、図2のt1までは上記従来例図9と同様にちらつきの現象は発生しない。仮にこのまま前記周波数f1で点灯し続けた場合、前記図9のようにt1から後の時間帯でちらつき現象が発生してしまうが、前記ランプ電圧検出回路12によって、t1後にちらつき始めた時のランプ電圧を検出し、その検出情報をもとに周波数切換制御回路11において算出された電圧変動の振幅が、所定値以上であれば前記高い周波数f2に切り換える。
【0020】
尚、ランプ電圧を検出してから、その検出情報をもとに前記周波数f2に切り換えるために、前記t1と周波数f2に切り換える時間との間に時間差Δtが発生するが、このΔtは非常に短いので、ちらつきが発生しても使用者に違和感を与えない程度の短いものとなる。
【0021】
前記周波数f1からf2に切り換えた後は、上記図10のt1以降と同様の条件になるのでちらつき現象は発生しない。また、安定点灯に達するまでに要する時間は数十秒であるので、前記タイマー13によって切り換え後の経過時間をカウントし、図2に示す所定時間Ta後に周波数f2による点灯を終了し、安定点灯用の制御を行うようにする。
【0022】
尚、前記t2と周波数f2の終了時は必ずしも一致しないが、もともと音響共鳴現象は起こらない周波数及び時間帯なので、このずれが原因となるちらつき等は発生しない。
【0023】
以上のように、ランプ点灯の立ち上がり時にランプ電圧検出回路によるランプ電圧検出情報をもとに、点灯周波数を非共鳴周波数帯内の相対的に低い周波数f1から高い周波数f2に切り換え、タイマーによって周波数f2切り換え後の所定時間経過後に安定点灯用の制御に移行するようにして、音響共鳴現象を回避するようにしたので、点灯開始から安定点灯に達するまでの期間でのちらつきや立ち消えを回避することができる。
【0024】
また、上記実施の形態においては、ランプ電圧変動の振幅に所定値(閾値)を設けて周波数切換制御を行っているので、ランプ特性のバラツキあるいはランプメーカーの違いによって、ランプ点灯立ち上がり時の放電状態が変化する時間t1がばらついても確実に周波数の切換えを行うことができ、ちらつきを回避することができる。
【0025】
尚、上記実施の形態においては、前記タイマー13によって周波数f1からf2に切り換えた後の経過時間をカウントし、所定時間Ta後に周波数f2による点灯を終了し、安定点灯用の制御に移行するようにしたが、ランプ点灯開始からの経過時間をカウントし、例えば所定時間Tbの経過後は、ランプ電圧検出回路12のランプ電圧の検出値にかかわらず安定点灯用の制御に移行するようにしてもよい。つまり、ランプによっては音響共鳴現象によるランプ電圧の変動が発生しないものもあり、その場合はランプ点灯開始から所定時間経過後に安定点灯用の制御に移行させるものである。
【0026】
また、上記実施の形態においては、ランプ電圧検出情報をもとに周波数f1から周波数f2に切り換えるようにしたが、これに限られるものではなく、例えばランプ電流や照度等の検出情報をもとに周波数f1から周波数f2に切り換えるようにしてもよい。
【0027】
実施の形態2.
図3は、この発明の実施の形態2における高圧放電灯点灯装置の回路構成ブロック図である。尚、図3において上記実施の形態1の図1と同一または相当部分には同一符号を付し説明を省略する。
上記実施の形態1においては、ランプ点灯立ち上がり時にランプ電圧検出回路12によるランプ電圧検出情報をもとに周波数f1から周波数f2に切り換え、タイマー13によって前記周波数f2切り換え後の所定時間経過後に安定点灯用の制御に移行するようにしたが、本実施の形態においては、ランプ電圧検出回路12のみを用いて、ランプ電圧検出情報をもとに周波数の切り換えから安定点灯用の制御移行までを行うようにしたものである。
尚、本実施の形態におけるランプ点灯立ち上がり時の周波数f1及びf2の選択、並びに時間t1及びt2の定義は上記実施の形態1と同様である。
【0028】
次に動作について説明する。
点灯開始時は、前記周波数切換制御回路11による周波数f1でスタートし、前記ランプ電圧検出回路12により検出されたランプ10のランプ電圧が、所定値V1を超えたら周波数f1からf2に切り換える。そして、f2に切り換え後前記ランプ電圧の変化がなくなったら、つまりフラットな状態を検出した時点で安定点灯に達したものとして、その後は安定点灯用の制御を行う。
【0029】
図4にランプ点灯開始からの経過時間におけるランプ電圧、照度及び点灯周波数の変化を模擬的に表した図を示す。縦軸の上側がランプ電圧を、中側が照度を、下側が点灯周波数を示し、横軸が時間である。
点灯開始は周波数f1でスタートし、仮にこのまま周波数f1で点灯し続けた場合、上記従来例図9のようにt1から後の時間帯でちらつきが発生してしまうが、前記ランプ電圧検出回路12により検出されるランプ10の電圧が、図4に示す所定値V1を超えたら(図の時間t1付近)、周波数f1からf2に切り換える。周波数f2に切り換え後は結果的に上記図10に示すt1以降と同様の条件となるのでちらつきが発生しない。そして、f2に切り換え後前記ランプ電圧検出回路12により検出されるランプ電圧の変化がなくなったら、その時点(図の時間t2付近)で安定点灯に達したものとして、その後は安定点灯用の制御を行う。
【0030】
尚、図4に示すように、前記ランプ電圧が所定値V1を超える時間とt1とが現実には必ずしも一致するとは限らないが、両者はほぼ一致する。たとえ、ランプ電圧がV1を超える時間とt1とに多少のずれがあっても、音響共鳴現象が生じてちらつきが発生する時間は、使用者に違和感を与えない程度の短いものとなる。
【0031】
以上のように、本実施の形態においては、ランプ点灯の立ち上がり時に、ランプ電圧検出回路によるランプ電圧検出情報をもとに、ランプ電圧が所定値を超えたら周波数f1からf2に切り換え、さらに、ランプ電圧の変化がなくなったら安定点灯に達したものとみなし、その後は安定点灯用の制御を行うようにしたので、ランプ電圧検出情報をもとにした簡単な制御により立ち上がり時の音響共鳴現象によるちらつきや立ち消えを回避することができる。
【0032】
尚、上記実施の形態においては、ランプ電圧の所定値V1を固定値としたが、一般にランプ電圧はランプの経年変化により上昇するので、前記所定値V1を固定値とせずに、例えば周波数切換制御回路11に不揮発性メモリを備え、前回消灯時のランプ電圧(例えばV2)を記憶しておき、次回点灯開始時のV1を、前記記憶されたランプ電圧V2をもとに算出する。例えば前記V1を前記ランプ電圧V2に対する所定の割合となる値とするようにしてもよい。
【0033】
また、上記実施の形態においては、ランプ電圧検出情報をもとに周波数を切り換えるようにしたが、これに限られるものではなく、例えばランプ電流や照度等の検出情報をもとに周波数を切り換えるようにしてもよい。
【0034】
実施の形態3.
図5は、この発明の実施の形態3における高圧放電灯点灯装置の回路構成ブロック図である。尚、図5において上記実施の形態1の図1と同一または相当部分には同一符号を付し説明を省略する。
上記実施の形態2においては、ランプ電圧検出回路12によるランプ電圧検出情報をもとに点灯立ち上がり時の周波数の切り換えから安定点灯用の制御移行までを行うようにしたが、本実施の形態においては、タイマーのみを用いて点灯開始からの計時情報をもとに周波数の切り換えから安定点灯用の制御移行までを行うようにしたものである。
尚、本実施の形態において、周波数f1及びf2の選択、並びに時間t1、t2の定義は上記実施の形態1と同様である。
【0035】
次に動作について説明する。
点灯開始時は、周波数切換制御回路11による周波数f1でスタートし、前記タイマー13により点灯開始からの計時情報をもとに、点灯開始から第1の所定時間を経過したら周波数f1から周波数f2に切り換え、さらに第2の所定時間が経過したら安定点灯用の制御を行う。
【0036】
図6に点灯開始からの経過時間におけるランプ電圧、照度及び点灯周波数の変化を模擬的に表した図を示す。縦軸の上側がランプ電圧を、中側が照度を、下側が点灯周波数を示し、横軸が時間である。
尚、図中のt11は例えば放電状態が変化する前記t1の推定時間である点灯開始からの第1の所定時間を、t12は例えば安定点灯に達する前記t2の推定時間である第2の所定時間をそれぞれ示す。
点灯開始は周波数f1でスタートし、仮にこのまま周波数f1で点灯し続けた場合、上記従来例図9のようにt1から後の時間帯でちらつきが発生してしまうが、前記タイマー13により点灯開始から第1の所定時間t11(図の時間t1)を経過したら、周波数f2に切り換えるようにする。周波数f2切り換え後は上記実施の形態2と同様に、結果的に図10に示すt1以降と同様の条件となるので、ちらつきが発生しない。そして、さらに第2の所定時間t12(図の時間t2)が経過したら安定点灯用の制御を行う。
【0037】
尚、前記第1の所定時間t11とt1あるいは第2の所定時間t12とt2とは、現実には必ずしも一致するとは限らないが、前記第1の所定時間t11と第2の所定時間t12とを、ある程度の誤差の範囲で前記t1とt2にそれぞれ設定することができるので、これらに多少のずれがあっても、音響共鳴現象が生じてちらつきが発生する時間は、使用者に違和感を与えない程度の短いものとなる。
【0038】
以上のように、本実施の形態においてはランプ点灯の立ち上がり時に、タイマーの計時情報をもとに点灯開始から第1の所定時間が経過したら周波数f1からf2に切り換え、さらに第2の所定時間が経過したら安定点灯用の制御に移行するようにしたので、タイマーを用いた簡単な回路構成で立ち上り時の音響共鳴現象によるちらつきや立ち消えを回避することができる。
【0039】
尚、上記実施の形態1〜3において、前記周波数f1とf2を同じ非共鳴周波数帯に属する周波数としたが、例えばランプが複数の非共鳴周波数帯を持つ場合には、そのうちの異なる非共鳴周波数帯を用いて周波数f1とf2を設定してもよい。
【0040】
また、上記実施の形態1〜3において、安定点灯に達した後の点灯周波数は、音響共鳴現象を起こさない周波数であれば任意の周波数としてよい。
【0041】
【発明の効果】
【0042】
請求項1の高圧放電灯点灯装置は、高圧放電灯に1kHz以上の交流電力を供給するインバータ回路と、前記インバータ回路の出力周波数を制御する制御回路とを備えた高圧放電灯点灯装置であって、前記制御回路は、前記高圧放電灯の点灯開始から安定点灯に達する期間において前記出力周波数を非共鳴周波数帯内の任意の周波数に設定する場合、前記高圧放電灯の点灯開始からの第1の期間と、前記第1の期間終了から安定点灯に達するまでの第2の期間とに分割し、第1の期間では共鳴現象が第1の期間では現れない前記非共鳴周波数帯内の周波数を出力し、第2の期間では共鳴現象が第2の期間では現れない前記非共鳴周波数帯内の周波数を出力し、安定点灯に達したら安定点灯用の周波数を出力するようにしたので、点灯開始から安定点灯に達するまでの期間での音響共鳴現象によるちらつきや立ち消えを防止することができる高圧放電灯点灯装置が得られる。
【0043】
また、請求項2の高圧放電灯点灯装置は、前記第1の期間の出力周波数を、前記第2の期間の出力周波数より低くするようにしたので、点灯立ち上がり時のちらつき防止を確実に行うことができる。
【0044】
また、請求項3の高圧放電灯点灯装置は、前記高圧放電灯の両端の電圧を検出する電圧検出回路を備え、前記電圧検出回路により検出される前記高圧放電灯の電圧変動の振幅が所定値を超えたら、前記第1の期間を終了するようにしたので、簡単な回路構成により、いかなる高圧放電灯に対しても適切なタイミングで周波数の切り換え動作を行うことができる。
【0045】
また、請求項4の高圧放電灯点灯装置は、前記高圧放電灯の両端の電圧を検出する電圧検出回路を備え、前記電圧検出回路により検出される前記高圧放電灯の両端電圧が所定値を超えたら前記第1の期間を終了し、さらに両端電圧に変化がなくなったら前記第2の期間を終了するようにしたので、いかなる高圧放電灯に対しても点灯開始から安定点灯に達するまでの期間において、誤検出することなく周波数の切り換え動作を行うことができる。
【0046】
また、請求項5の高圧放電灯点灯装置は、タイマーを備え、前記タイマーによる計時情報をもとに前記高圧放電灯の点灯開始から所定時間経過後に前記第1の期間あるいは前記第2の期間を終了するようにしたので、より簡単な回路構成により、点灯開始から安定点灯に達するまでの期間での周波数の切り換え動作を行うことができる。
【0047】
また、請求項6の高圧放電灯点灯装置は、不揮発性メモリを備え、前回消灯直前の高圧放電灯の両端電圧を記憶し、次回点灯時に、前記記憶された両端電圧に対する所定の割合の電圧を新たな所定値として、該所定値を超えたら前記第1の期間を終了し、さらに両端電圧に変化がなくなったら前記第2の期間を終了するようにしたので、高圧放電灯の経年変化にともなう高圧放電灯の電圧上昇にも適切に対応して周波数の切り換え動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1における高圧放電灯点灯装置の回路構成ブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態1に係る点灯開始からの経過時間におけるランプ電圧、照度及び点灯周波数の変化を模擬的に表した図である。
【図3】 この発明の実施の形態2における高圧放電灯点灯装置の回路構成ブロック図である。
【図4】 この発明の実施の形態2に係る点灯開始からの経過時間におけるランプ電圧、照度及び点灯周波数の変化を模擬的に表した図である。
【図5】 この発明の実施の形態3における高圧放電灯点灯装置の回路構成ブロック図である。
【図6】 この発明の実施の形態3に係る点灯開始からの経過時間におけるランプ電圧、照度及び点灯周波数の変化を模擬的に表した図である。
【図7】 従来の高圧放電灯点灯装置の回路構成ブロック図である。
【図8】 35Wのセラミック発光管を用いて40〜45kHz付近の非共鳴周波数帯の中心付近周波数で点灯した場合の点灯開始からのランプ電圧及び照度の変化を模擬的に表した図である。
【図9】 上記非共鳴周波数帯の下限の周波数で点灯した場合の点灯開始からのランプ電圧及び照度の変化を模擬的に表した図である。
【図10】 上記非共鳴周波数帯の上限の周波数で点灯した場合の点灯開始からのランプ電圧及び照度の変化を模擬的に表した図である。
【図11】 他の従来の放電灯点灯装置のブロック回路図である。
【符号の説明】
1 直流電源、 2 インバータ回路、 5 制御回路、 6 負荷回路、 10 高圧放電灯、 11 周波数切換制御回路、 12 ランプ電圧検出回路、 13 タイマー。
Claims (6)
- 高圧放電灯に1kHz以上の交流電力を供給するインバータ回路と、前記インバータ回路の出力周波数を制御する制御回路とを備えた高圧放電灯点灯装置であって、前記制御回路は、前記高圧放電灯の点灯開始から安定点灯に達する期間において前記出力周波数を非共鳴周波数帯内の任意の周波数に設定する場合、前記高圧放電灯の点灯開始からの第1の期間と、前記第1の期間終了から安定点灯に達するまでの第2の期間とに分割し、第1の期間では共鳴現象が第1の期間では現れない前記非共鳴周波数帯内の周波数を出力し、第2の期間では共鳴現象が第2の期間では現れない前記非共鳴周波数帯内の周波数を出力し、安定点灯に達したら安定点灯用の周波数を出力することを特徴とした高圧放電灯点灯装置。
- 前記第1の期間の出力周波数を、前記第2の期間の出力周波数より低くしたことを特徴とする請求項1記載の高圧放電灯点灯装置。
- 前記高圧放電灯の両端の電圧を検出する電圧検出回路を備え、前記電圧検出回路により検出される前記高圧放電灯の電圧変動の振幅が所定値を超えたら、前記第1の期間を終了することを特徴とした請求項1又は2記載の高圧放電灯点灯装置。
- 前記高圧放電灯の両端の電圧を検出する電圧検出回路を備え、前記電圧検出回路により検出される前記高圧放電灯の両端電圧が所定値を超えたら前記第1の期間を終了し、さらに両端電圧に変化がなくなったら前記第2の期間を終了することを特徴とした請求項1又は2記載の高圧放電灯点灯装置。
- タイマーを備え、前記タイマーによる計時情報をもとに前記高圧放電灯の点灯開始から所定時間経過後に前記第1の期間あるいは前記第2の期間を終了することを特徴とした請求項1又は2記載の高圧放電灯点灯装置。
- 不揮発性メモリを備え、前回消灯直前の高圧放電灯の両端電圧を記憶し、次回点灯時に、前記記憶された両端電圧に対する所定の割合の電圧を新たな所定値として、該所定値を超えたら前記第1の期間を終了し、さらに両端電圧に変化がなくなったら前記第2の期間を終了することを特徴とした請求項1又は2記載の高圧放電灯点灯装置。
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