JP4110820B2 - 高圧放電灯点灯装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、高圧放電灯の高周波点灯のための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は、従来の高圧放電灯点灯装置の回路構成ブロック図である。
図9において、1は直流電源、2は例えばMOS−FETのスイッチング素子3及び4から構成されるインバータ回路、5は前記インバータ回路2のスイッチング素子3及び4を駆動制御する制御回路、6はチョークコイル7、直流カットコンデンサ8及び始動回路9からなる負荷回路、10は高圧放電灯(以下、ランプという)である。
【0003】
次に上記のように構成された高圧放電灯点灯装置の動作について説明する。
前記インバータ回路2の前記スイッチング素子3及び4は、前記制御回路5からの数10kHzの周波数により交互にON・OFF制御され、前記直流電源1の出力を高周波に変換する。高周波に変換された電力は、チョークコイル7で減流され、直流カットコンデンサ8との電流共振作用によりランプ10を点灯する。前記始動回路9は、ランプ10の放電開始前に電極間を絶縁破壊するために数kVの高圧を印加するが、放電開始後は切り離される。
【0004】
また、高圧放電灯は一般に、高周波で点灯する場合、ランプ内の音波の進行波と反射波の干渉作用により放電アークが曲げられ、立ち消えやランプ破壊などを引き起こす、いわゆる音響共鳴現象が生じやすいことが知られている。特に1kHz以上の高周波点灯時においては、音響共鳴現象が起こらない非共鳴周波数帯を選んで点灯するのが一般的である。
音響共鳴現象を生じる周波数をfrとすると、frは、発光管内の音速vと発光管の形状に依存する関数になり、発光管内の音速vは、v=(γRT/M) / で表される。
ここで、γ:比熱比、R:気体定数、T:管内温度、M:平均分子量
従って、制御回路5は、この周波数frを避けた非共鳴周波数帯の固定の周波数でインバータ回路2を駆動する構成となっている。
【0005】
しかしながら、非共鳴周波数帯は常時一定とは限らないことが知られている。例えば、ランプの設置方向によって非共鳴周波数帯は異なる場合がある。これはランプを垂直にして点灯した場合と水平にして点灯した場合とでは、地磁気や、ランプ管内の対流が放電アークに及ぼす影響が異なるため、微妙に音響共鳴現象を引き起こす周波数が異なり、つまりは、非共鳴周波数帯が異なることが原因とされている。また、ランプの経時変化によっても管内の放電物質の劣化により平均分子量Mが変化し、上記の音速vが変化することにより非共鳴周波数帯が移動することが知られている。
従って、従来の高圧放電灯点灯装置は、ランプの状態にかかわらず一定の周波数で点灯するため、ランプに上記のような何らかの外乱が加わり非共鳴周波数帯が移動していた場合、音響共鳴現象を回避できなくなるという問題点があった。
【0006】
上記問題点を回避すべく、特開平8−213183に示されるものが提案されている。前記特開平8−213183は、点灯中に点灯周波数を移動させ、例えばランプ両端の電圧を検知して、該ランプ電圧が最小になる周波数を選ぶよう制御を行うものである。実際に点灯周波数に対するランプ電圧と音響共鳴現象発生の関係を表すと図10に示すようになり、共鳴周波数帯においてはランプ電圧が高くなり、非共鳴周波数帯ではランプ電圧が低く安定することが分かっている。したがって、ランプ電圧が最小となる周波数で点灯すれば問題がないように思われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ランプ電圧が最小となる周波数を選んでの点灯においては以下の3つの問題点がある。
第1に、周波数移動によるサーチング動作の際に共鳴周波数帯に入ってしまった場合、音響共鳴現象が避けられず、結局はちらつきや立ち消えの原因となること。
第2に、ランプ特性のばらつきによっては、ランプ電圧が最小となる点が非共鳴周波数帯の上端付近になる場合と下端付近になる場合とあり、その結果として、ランプ電流、つまりは明るさに差が出てしまい、別途出力調整の手段が必要になってしまうこと。
第3に、サーチングの幅が大きい場合、そのサーチング動作そのものが光出力に影響し、使用者にとって違和感を生じさせる可能性があること、である。
【0008】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、高圧放電灯の高周波点灯において、適切な点灯周波数を抽出する際の周波数の移動を最小限にし、ランプ特性がばらついても新たな制御手段を付加することなく一定のランプ電流を保ち、確実に音響共鳴現象によるちらつきや立ち消えを防止することのできる高圧放電灯点灯装置を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る請求項1記載の高圧放電灯点灯装置は、高圧放電灯と、前記高圧放電灯に1KHz以上の交流電力を供給するインバータ回路と、前記インバータ回路の出力周波数を制御する周波数制御回路と、前記高圧放電灯の両端の放電灯電圧を検出する放電灯電圧検出回路とを備えた高圧放電灯点灯装置であって、前記周波数制御回路が、点灯開始時に少なくとも非共鳴周波数帯に含まれる所定の初期出力周波数を選択し、この初期出力周波数において前記放電灯電圧検出回路により検出された放電灯電圧を記録し、前記インバータ回路の出力周波数を下降させるとともに、検出された前記放電灯電圧が、記録された前記放電灯電圧より所定値分高くなるときの周波数を、非共鳴周波数帯の下端周波数として記録し、前記インバータ回路の出力周波数を、前記下端周波数より所定周波数Δf分高い周波数に移動させるようにしたものである。
【0010】
また、請求項2記載の高圧放電灯点灯装置は、高圧放電灯と、前記高圧放電灯に1KHz以上の交流電力を供給するインバータ回路と、前記インバータ回路の出力周波数を制御する周波数制御回路と、前記高圧放電灯の両端の放電灯電圧を検出する放電灯電圧検出回路とを備えた高圧放電灯点灯装置であって、前記周波数制御回路が、点灯開始時に少なくとも非共鳴周波数帯に含まれる所定の初期出力周波数を選択し、この初期出力周波数において前記放電灯電圧検出回路により検出された放電灯電圧を記録し、前記インバータ回路の出力周波数を上昇させるとともに、検出された前記放電灯電圧が、記録された前記放電灯電圧より所定値分高くなるときの周波数を、非共鳴周波数帯の上端周波数として記録し、記インバータ回路の出力周波数を、前記上端周波数より所定周波数Δf分低い周波数に移動させるようにしたものである。
【0011】
また、請求項3記載の高圧放電灯点灯装置は、前記周波数制御回路が、前記インバータ回路の出力周波数を下降させるとともに、検出された前記放電灯電圧が、記録された前記放電灯電圧より所定値分高くなるときの周波数を、非共鳴周波数帯の下端周波数として記録し、前記インバータ回路の出力周波数を、前記下端周波数より所定周波数Δf分高い周波数に移動させる制御と、前記インバータ回路の出力周波数を上昇させるとともに、検出された前記放電灯電圧が、記録された前記放電灯電圧より所定値分高くなるときの周波数を、非共鳴周波数帯の上端周波数として記録し、前記インバータ回路の出力周波数を、前記上端周波数より所定周波数Δf分低い周波数に移動させる制御とを切り換え可能としたものである。
【0012】
また、請求項4記載の高圧放電灯点灯装置は、高い出力のモードと低い出力のモードとを切り換える出力モード切換回路を備え、前記周波数制御回路が、前記高い出力のモード時に前記非共鳴周波数帯の下端周波数より所定周波数Δf分高い周波数を選択し、前記低い出力のモード時に前記非共鳴周波数帯の上端周波数より所定周波数Δf分低い周波数を選択するようにしたものである。
【0013】
また、請求項5記載の高圧放電灯点灯装置は、前記高圧放電灯に流れる電流を検出する電流検出回路を備え、前記周波数制御回路が、前記高圧放電灯に流れる電流を所定の値に保つように、前記電流検出回路が検出する電流をもとに前記所定周波数Δfの値を可変とするようにしたものである。
【0014】
また、請求項6記載の高圧放電灯点灯装置は、前記インバータ回路の出力周波数を、前記下端周波数より所定周波数Δf分高い周波数、または前記上端周波数より所定周波数Δf分低い周波数に移動させた後、記録された前記放電灯電圧をこの移動後の出力周波数において前記放電灯電圧検出回路により検出された放電灯電圧で更新するとともに、前記インバータ回路の出力周波数の前記上昇または前記下降、および更新された前記放電灯電圧より所定値分高くなるときの周波数を、非共鳴周波数帯の下端周波数または上端周波数として記録し、前記インバータ回路の出力周波数を、前記下端周波数より所定周波数Δf分高い周波数に移動させ、または前記所定周波数Δf分低い周波数へ移動させる一連の前記出力周波数の移動を連続または所定の間隔で繰り返すようにしたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における高圧放電灯点灯装置の回路構成ブロック図である。尚、図1において、上記従来例図9と同一または相当部分には同一符号を付し説明を省略する。
11は出力周波数を制御する周波数制御回路、12は前記ランプ10の両端電圧の例えば実効値を検出するランプ電圧検出回路である。
【0016】
上記のように構成された高圧放電灯点灯装置の動作について説明する。
周波数制御回路11は、前記ランプ電圧検出回路12によって検出されたランプ10の両端電圧(以下、ランプ電圧という)に基づいて出力周波数を決定し、その情報に基づき制御回路5から前記インバータ回路2へ出力する。
図2に前記周波数制御回路11での出力周波数の決定方法のフローチャートを示す。
まず、S1において制御回路5はインバータ回路2への出力周波数fLを、非共鳴周波数帯に含まれるであろう例えば周波数fL=f0の初期周波数を出力して点灯開始する。S2において、前記初期周波数f0での前記ランプ電圧検出回路12により検出されたランプ電圧V0を記録する。次にS3において、出力周波数fLを前記初期周波数f0からランプ電圧VxがVx>V0+ΔVとなる点まで下降する。そして、S4において、ランプ電圧検出回路12により検出されたランプ電圧VxがVx>V0+ΔVか否か判断され、NoであればS3に戻る。YesであればS5において、Vx>V0+ΔVになった時の周波数f1を記録し、S6において、出力周波数fLをfL=f1+Δfとなる点に移動し、fL=f1+Δfの周波数で点灯する。そして、S7で所定のインターバルをおいた後に、S2に戻り上記の動作を繰り返す。
【0017】
尚、上記において、Δfを固定値としたが、Δfを、Δf=α×f1、(αは定数)、等と設定してもよい。
【0018】
図3に上記動作における点灯周波数とランプ電圧との関係を示す。横軸が点灯周波数、縦軸がランプ電圧である。尚、図3はセラミック発光管の定格電力35Wメタルハライドランプにおける40〜45kHz付近の非共鳴周波数帯を例にとって示したものである。
図3の例に示すように非共鳴周波数帯のうちの下端と常に一定の周波数幅Δfを保って点灯することになる。
【0019】
以上のように、非共鳴周波数帯の下端周波数との周波数幅を一定に保つように周波数を移動して音響共鳴周波数帯を回避する適切な出力周波数を抽出するようにしたので、確実に音響共鳴現象によるちらつきや立ち消えを回避することができる。また、周波数の移動幅を小さくし、周波数の移動による光出力の変化を最小限にとどめることができる。
【0020】
また、ランプ特性(周波数に対するランプ電圧の傾き)が多少ばらついても、常に非共鳴周波数帯の下端付近で点灯できるので、結果として光出力のばらつきを抑制することができる。
【0021】
尚、上記実施の形態においては、非共鳴周波数帯の下端周波数との周波数幅を一定に保つようにしたが、前記非共鳴周波数帯の上端側で上端周波数との周波数幅を一定に保つようにしても同様の効果が得られる。また、非共鳴周波数帯を挟む2つの共鳴周波数帯のうち、共鳴度の弱い方に接する側を選択するほうが望ましい。
【0022】
また、ランプ点灯立ち上がり時の過渡的な期間においては、非共鳴周波数帯の上端側と下端側とで上記共鳴度の強弱の相対的関係が変化するので、上端側での制御と下端側での制御とを途中で切り換えるようにしてもよい。
【0023】
また、上記上端側と下端側との切り換えを、安定点灯に達する前に行うか安定点灯に達した後に行うか等の最適な切り換えタイミングの選択は、ランプメーカーやランプ固体のバラツキによって異なるので、それぞれの特性に合わせた制御を設定することが望ましい。
【0024】
実施の形態2.
図4は、本実施の形態2における高圧放電灯点灯装置の回路構成ブロック図である。図4において、上記実施の形態1の図1と同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
13は外部からの命令に応じて、例えば定格点灯モードと低出力モードとを切り換える出力モード切換回路である。この出力モード切換回路13によって、前記定格点灯モードでは周波数制御回路11で非共鳴周波数帯の下端付近の周波数を選択し、前記低出力モードでは非共鳴周波数帯の上端付近の周波数を選択するものである。尚、上端付近の周波数においては、チョークコイル7のインピーダンスが下端付近の周波数の場合よりも高くなるため、負荷電流(ランプ電流)が絞られ減光し、消費電力もそれに応じて低減される。
【0025】
上記実施の形態1においては、非共鳴周波数帯がさほど広くないランプでの前記非共鳴周波数帯の下端または上端のいずれか一方で周波数を移動して適切な出力周波数を抽出して点灯を行うようにしたものであるが、本実施の形態においては、非共鳴周波数帯が広いランプでの前記非共鳴周波数帯の下端あるいは上端で周波数を移動して適切な出力周波数を抽出して点灯を行うようにしたものである。
【0026】
次に上記のように構成された高圧放電灯点灯装置の動作について説明する。
周波数制御回路11は、前記出力モード切換回路13での定格点灯モードと低出力モードの切り換え情報をもとに、前記ランプ電圧検出回路12によって検出されたランプ10のランプ電圧に基づいて出力周波数を決定し、その情報に基づき制御回路5から前記インバータ回路2へ出力する。
図5に前記周波数制御回路11での出力モード切換回路13による定格点灯モードと低出力モードの切り換え情報に基づく、非共鳴周波数帯の下端付近の出力周波数fLあるいは上端付近の出力周波数fHの決定方法のフローチャートを示す。
【0027】
まず、S11において制御回路5はインバータ回路2への出力周波数を、非共鳴周波数帯に含まれるであろう例えば初期周波数f0を出力して点灯開始する。S12において、前記初期周波数f0での前記ランプ電圧検出回路12により検出されたランプ電圧V0を記録する。そして、S13において、前記出力モード切換回路13の出力モードが低出力モードか否か判断され、Noの場合、つまり、非共鳴周波数帯の下端付近の周波数を抽出する定格点灯モードの場合は、S14において、出力周波数fLを前記初期周波数f0からランプ電圧VxがVx>V0+ΔVとなる点まで下降する。そして、S15においてランプ電圧検出回路12により検出されたランプ電圧VxがVx>V0+ΔVか否か判断され、NoであればS14に戻る。YesであればS16において、Vx>V0+ΔVになった時の周波数f1を記録し、S17において、出力周波数fLをfL=f1+Δfとなる点に移動し、fL=f1+Δfで点灯する。
【0028】
前記S13でYesの場合、つまり、非共鳴周波数帯の上端付近の周波数を抽出する低出力モードの場合は、S18において、出力周波数fHを前記初期周波数f0からランプ電圧VxがVx>V0+ΔVとなる点まで上昇する。そして、S19においてランプ電圧検出回路12により検出されたランプ電圧VxがVx>V0+ΔVか否か判断され、NoであればS18に戻る。YesであればS20において、Vx>V0+ΔVになった時の周波数f2を記録し、S21において、出力周波数fHをfH=f2−Δfとなる点に移動し、fH=f2−Δfの周波数で点灯する。そして、S22において、所定のインターバルをおいた後に、S12に戻り上記の動作を繰り返す。
【0029】
図6に上記動作における点灯周波数とランプ電圧との関係を示す。横軸が点灯周波数、縦軸がランプ電圧である。
図6に示すように、前記出力モード切換回路13での定格点灯モードあるいは低出力モードの切り換え情報により、非共鳴周波数帯のうちの下端側又は上端側と常に一定の周波数幅Δfを保って点灯することになる。
【0030】
以上のように、前記出力モード切換回路での切り換え情報により、非共鳴周波数帯の下端あるいは上端で周波数を移動して音響共鳴周波数帯を回避する適切な出力周波数を抽出するようにしたので、上記実施の形態1同様に確実に音響共鳴現象によるちらつきや立ち消えを回避することができ、また、周波数の移動幅を小さくし、周波数の移動による光出力の変化を最小限にとどめることができる。さらに、非共鳴周波数帯の下端付近の周波数と上端付近の周波数を用いての例えば段調光動作が可能になる。
【0031】
実施の形態3.
図7は、本実施の形態3における高圧放電灯点灯装置の回路構成ブロック図である。尚、図7において、上記実施の形態1の図1と同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
図7において、14は前記ランプ10に流れる負荷電流を検出する負荷電流検出回路、15は負荷電流検出用の抵抗である。
【0032】
本実施の形態においては、周波数制御回路11において、前記負荷電流検出回路14の検出値を取り込み、該検出値をもとに前述のΔfの値を可変することにより負荷電流をフィードバックし、明るさを一定に保つようにしたものである。
【0033】
次に上記のように構成された高圧放電灯点灯装置の動作について説明する。
図8に前記周波数制御回路11での出力周波数の決定方法のフローチャートを示す。
まず、S21において制御回路5はインバータ回路2への出力周波数fLを、非共鳴周波数帯に含まれるであろう例えば周波数fL=f0の初期周波数を出力して点灯開始する。S22において、前記初期周波数f0での前記ランプ電圧検出回路12により検出されたランプ電圧V0及び前記負荷電流検出回路14により検出された負荷電流i0を記録する。次にS23において、出力周波数fLを前記初期周波数f0からランプ電圧VxがVx>V0+ΔVとなる点まで下降する。そして、S24において、前記ランプ電圧検出回路12により検出されたランプ電圧VxがVx>V0+ΔVか否か判断され、Noであれば、S23に戻る。Yesであれば、S25において、Vx>V0+ΔVになった時の周波数f1を記録する。次にS26において、前記S22で記録された負荷電流i0を目標値i1と比較し、その差分に応じてΔfの値を、例えばΔf=a×(i0−i1)+bとなるように決定する。尚、a、bは定数である。そして、S27において、出力周波数fLをfL=f1+Δfとなる点に移動し、fL=f1+Δfの周波数で点灯する。
【0034】
したがって、前記負荷電流i0が小さいときは周波数幅Δfを小さくして、周波数fLを下げることによってランプ電流を増やすように制御し、負荷電流i0が大きいときはΔfを大きくして周波数fLを上げることによりランプ電流を減らすように制御することによって、ランプ電流を所定の値に保つようにして、明るさを一定に保つようにするものである。
そして、S28で所定のインターバルをおいた後に、S22に戻り上記の動作を繰り返す。
【0035】
以上のように、ランプに流れる電流を検出する電流検出回路により、該検出電流をもとにΔfを可変とし、負荷電流をフィードバックするようにしたので、音響共鳴現象を回避できるとともに、周波数の移動による光出力のゆれを防ぎ、かつ、明るさを一定に保つことができる。
【0036】
尚、上記実施の形態1〜3の出力周波数の決定動作フローにおいて、所定のインターバルを設けるようにしたが、インターバルを設けずに連続的に動作を行うようにしてもよい。
【0037】
以上のように本発明に係る請求項1の高圧放電灯点灯装置は、高圧放電灯と、前記高圧放電灯に1KHz以上の交流電力を供給するインバータ回路と、前記インバータ回路の出力周波数を制御する周波数制御回路と、前記高圧放電灯の両端の放電灯電圧を検出する放電灯電圧検出回路とを備えた高圧放電灯点灯装置であって、前記周波数制御回路が、点灯開始時に少なくとも非共鳴周波数帯に含まれる所定の初期出力周波数を選択し、この初期出力周波数において前記放電灯電圧検出回路により検出された放電灯電圧を記録し、前記インバータ回路の出力周波数を下降させるとともに、検出された前記放電灯電圧が、記録された前記放電灯電圧より所定値分高くなるときの周波数を、非共鳴周波数帯の下端周波数として記録し、前記インバータ回路の出力周波数を、前記下端周波数より所定周波数Δf分高い周波数に移動させ、音響共鳴周波数帯を回避する出力周波数となるようにしたので、確実に音響共鳴現象によるちらつきや立ち消えを回避することができる。
【0038】
また、請求項2の高圧放電灯点灯装置は、高圧放電灯と、前記高圧放電灯に1KHz以上の交流電力を供給するインバータ回路と、前記インバータ回路の出力周波数を制御する周波数制御回路と、前記高圧放電灯の両端の放電灯電圧を検出する放電灯電圧検出回路とを備えた高圧放電灯点灯装置であって、前記周波数制御回路が、点灯開始時に少なくとも非共鳴周波数帯に含まれる所定の初期出力周波数を選択し、この初期出力周波数において前記放電灯電圧検出回路により検出された放電灯電圧を記録し、前記インバータ回路の出力周波数を上昇させるとともに、検出された前記放電灯電圧が、記録された前記放電灯電圧より所定値分高くなるときの周波数を、非共鳴周波数帯の上端周波数として記録し、記インバータ回路の出力周波数を、前記上端周波数より所定周波数Δf分低い周波数に移動させ、音響共鳴周波数帯を回避する出力周波数となるようにしたので、確実に音響共鳴現象によるちらつきや立ち消えを回避することができる。また、周波数の移動幅を小さくし、周波数の移動による光出力の変化を最小限にできる。
【0039】
また、請求項3の高圧放電灯点灯装置は、前記周波数制御回路が、前記インバータ回路の出力周波数を下降させるとともに、検出された前記放電灯電圧が、記録された前記放電灯電圧より所定値分高くなるときの周波数を、非共鳴周波数帯の下端周波数として記録し、前記インバータ回路の出力周波数を、前記下端周波数より所定周波数Δf分高い周波数に移動させる制御と、前記インバータ回路の出力周波数を上昇させるとともに、検出された前記放電灯電圧が、記録された前記放電灯電圧より所定値分高くなるときの周波数を、非共鳴周波数帯の上端周波数として記録し、前記インバータ回路の出力周波数を、前記上端周波数より所定周波数Δf分低い周波数に移動させる制御とを切り換え可能としたので、点灯立ち上がり時の過渡的な期間であっても確実に音響共鳴現象を回避することができる。
【0040】
また、請求項4の高圧放電灯点灯装置は、高い出力のモードと低い出力のモードとを切り換える出力モード切換回路を備え、前記周波数制御回路が、前記高い出力のモード時に前記非共鳴周波数帯の下端周波数より所定周波数Δf分高い周波数を選択し、前記低い出力のモード時に前記非共鳴周波数帯の上端周波数より所定周波数Δf分低い周波数を選択する構成としたので、簡単な構成で非共鳴周波数帯の上端周波数あるいは下端周波数を用いての出力切り換えができ、かつ、音響共鳴現象を回避することができる。
【0041】
また、請求項5の高圧放電灯点灯装置は、前記高圧放電灯に流れる電流を検出する電流検出回路を備え、前記周波数制御回路が、前記高圧放電灯に流れる電流を所定の値に保つように、前記電流検出回路が検出する電流をもとに前記所定周波数Δfの値を可変とするようにしたので、音響共鳴現象を回避できるとともに、高圧放電灯に流れる電流を所定の値に保つことができ、つまり明るさを一定に保つことができ、別途出力調整手段を設けなくてもよく、装置を小型化することができる。
【0042】
また、請求項6の高圧放電灯点灯装置は、前記インバータ回路の出力周波数を、前記下端周波数より所定周波数Δf分高い周波数、または前記上端周波数より所定周波数Δf分低い周波数に移動させた後、記録された前記放電灯電圧をこの移動後の出力周波数において前記放電灯電圧検出回路により検出された放電灯電圧で更新するとともに、前記インバータ回路の出力周波数の前記上昇または前記下降、および更新された前記放電灯電圧より所定値分高くなるときの周波数を、非共鳴周波数帯の下端周波数または上端周波数として記録し、前記インバータ回路の出力周波数を、前記下端周波数より所定周波数Δf分高い周波数に移動させ、または前記所定周波数Δf分低い周波数へ移動させる一連の前記出力周波数の移動を連続または所定の間隔で繰り返すようにしたので、高圧放電灯の経時変化等によって非共鳴周波数帯が移動した場合においても確実に音響共鳴現象を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1における高圧放電灯点灯装置の回路構成ブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態1に係るフローチャート図である。
【図3】 この発明の実施の形態1に係る点灯周波数とランプ電圧との関係を表した図である。
【図4】 この発明の実施の形態2における高圧放電灯点灯装置の回路構成ブロック図である。
【図5】 この発明の実施の形態2に係るフローチャート図である。
【図6】 この発明の実施の形態2に係る点灯周波数とランプ電圧との関係を表した図である。
【図7】 この発明の実施の形態3における高圧放電灯点灯装置の回路構成ブロック図である。
【図8】 この発明の実施の形態3に係るフローチャート図である。
【図9】 従来の高圧放電灯点灯装置の回路構成ブロック図である。
【図10】 点灯周波数に対するランプ電圧と音響共鳴現象発生の関係を表した図である。
【符号の説明】
1 直流電源、 2 インバータ回路、 5 制御回路、 6 負荷回路、
10 高圧放電灯、 11 周波数制御回路、 12 ランプ電圧検出回路、
13 出力モード切換回路、 14 負荷電流検出回路、 15 抵抗。

Claims (6)

  1. 高圧放電灯と、前記高圧放電灯に1KHz以上の交流電力を供給するインバータ回路と、前記インバータ回路の出力周波数を制御する周波数制御回路と、前記高圧放電灯の両端の放電灯電圧を検出する放電灯電圧検出回路とを備えた高圧放電灯点灯装置であって、
    前記周波数制御回路が、点灯開始時に少なくとも非共鳴周波数帯に含まれる所定の初期出力周波数を選択し、この初期出力周波数において前記放電灯電圧検出回路により検出された放電灯電圧を記録し、
    前記インバータ回路の出力周波数を下降させるとともに、検出された前記放電灯電圧が、記録された前記放電灯電圧より所定値分高くなるときの周波数を、非共鳴周波数帯の下端周波数として記録し、
    前記インバータ回路の出力周波数を、前記下端周波数より所定周波数Δf分高い周波数に移動させることを特徴とする高圧放電灯点灯装置。
  2. 高圧放電灯と、前記高圧放電灯に1KHz以上の交流電力を供給するインバータ回路と、前記インバータ回路の出力周波数を制御する周波数制御回路と、前記高圧放電灯の両端の放電灯電圧を検出する放電灯電圧検出回路とを備えた高圧放電灯点灯装置であって、
    前記周波数制御回路が、点灯開始時に少なくとも非共鳴周波数帯に含まれる所定の初期出力周波数を選択し、この初期出力周波数において前記放電灯電圧検出回路により検出された放電灯電圧を記録し、
    前記インバータ回路の出力周波数を上昇させるとともに、検出された前記放電灯電圧が、記録された前記放電灯電圧より所定値分高くなるときの周波数を、非共鳴周波数帯の上端周波数として記録し、
    記インバータ回路の出力周波数を、前記上端周波数より所定周波数Δf分低い周波数に移動させることを特徴とする高圧放電灯点灯装置。
  3. 前記周波数制御回路が、
    前記インバータ回路の出力周波数を下降させるとともに、検出された前記放電灯電圧が、記録された前記放電灯電圧より所定値分高くなるときの周波数を、非共鳴周波数帯の下端周波数として記録し、前記インバータ回路の出力周波数を、前記下端周波数より所定周波数Δf分高い周波数に移動させる制御と、
    前記インバータ回路の出力周波数を上昇させるとともに、検出された前記放電灯電圧が、記録された前記放電灯電圧より所定値分高くなるときの周波数を、非共鳴周波数帯の上端周波数として記録し、前記インバータ回路の出力周波数を、前記上端周波数より所定周波数Δf分低い周波数に移動させる制御と
    を切り換え可能としたことを特徴とする請求項1又は2記載の高圧放電灯点灯装置。
  4. 高い出力のモードと低い出力のモードとを切り換える出力モード切換回路を備え、前記周波数制御回路が、前記高い出力のモード時に前記非共鳴周波数帯の下端周波数より所定周波数Δf分高い周波数を選択し、前記低い出力のモード時に前記非共鳴周波数帯の上端周波数より所定周波数Δf分低い周波数を選択することを特徴とする請求項3記載の高圧放電灯点灯装置。
  5. 前記高圧放電灯に流れる電流を検出する電流検出回路を備え、前記周波数制御回路が、前記高圧放電灯に流れる電流を所定の値に保つように、前記電流検出回路が検出する電流をもとに前記所定周波数Δfの値を可変とすることを特徴とする請求項〜4のいずれかに記載の高圧放電灯点灯装置。
  6. 前記インバータ回路の出力周波数を、前記下端周波数より所定周波数Δf分高い周波数、または前記上端周波数より所定周波数Δf分低い周波数に移動させた後、
    記録された前記放電灯電圧をこの移動後の出力周波数において前記放電灯電圧検出回路により検出された放電灯電圧で更新するとともに、前記インバータ回路の出力周波数の前記上昇または前記下降、および更新された前記放電灯電圧より所定値分高くなるときの 周波数を、非共鳴周波数帯の下端周波数または上端周波数として記録し、
    前記インバータ回路の出力周波数を、前記下端周波数より所定周波数Δf分高い周波数に移動させ、または前記所定周波数Δf分低い周波数へ移動させる一連の前記出力周波数の移動を連続または所定の間隔で繰り返すことを特徴とする請求項〜5のいずれかに記載の高圧放電灯点灯装置。
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