JP4139449B2 - 有機エレクトロルミネツセンス素子材料およびそれを使用した有機エレクトロルミネツセンス素子 - Google Patents
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- Electroluminescent Light Sources (AREA)
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は平面光源や表示に使用される有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子用発光材料および高輝度の発光素子に関するものである。詳しくは低印加電圧にて高輝度、高効率で緑色から橙色に発光させることができる発光材料およびそれを用いたEL素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機物質を使用した有機EL素子は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子としての用途が有望視され、多くの開発が行われている。一般に有機EL素子は、発光層及び該層を挟んだ一対の対向電極から構成されている。発光は、両電極間に電界が印加されると、陰極から電子が注入され、陽極から正孔が注入される。更に、この電子と正孔が発光層において再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出する現象である。
【0003】
従来の有機EL素子は、駆動電圧が高く、発光輝度や発光効率も低かった。また、特性劣化も著しく実用化には至っていなかった。近年、10V以下の低電圧で発光する高い蛍光量子効率を持った有機化合物を含有した薄膜を積層した有機EL素子が報告され(アプライド フィジックス レターズ、51巻、913頁、1987年)、関心を集めている。この方法は、金属キレート錯体、蛍光帯層、アミン化合物を正孔注入層に使用して、高輝度の緑色発光を得ており、6〜7Vの直流電圧で輝度は数1000cd/m2に達している。しかしながら実用的な素子を考えた場合、更なる高輝度化、高効率発光素子の開発が望まれている。また、フルカラーディスプレイ、光源としての利用を考えた場合、実用上は三原色あるいは白色を出す必要がある。上記の素子は発光材料として8−キノリノールのAl錯体(Alq)を用いており、発光色は緑色であり、他の発光色のEL素子の開発が望まれている。これまで緑色以外に発光する発光材料が種々開発されているものの発光輝度、発光効率が低い、耐久性が低いなどの問題があり、実用に供し得なかった。
【0004】
一方、有機EL素子において高輝度発光を実現しているものは有機物質を真空蒸着によって積層している素子であるが、製造工程の簡略化、加工性、大面積化等の観点から塗布方式による素子作製が望ましい。しかしながら、従来の塗布方式で作製した素子では発光輝度、発光効率の点で蒸着方式で作製した素子に劣っており、高輝度、高効率発光化が大きな課題となっていた。また、有機低分子化合物を有機ポリマー媒体に分散して塗布した素子では、長時間発光させた場合有機低分子化合物が凝集すなるなどの原因により均質な面状発光が難しいといった課題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低電圧駆動で高輝度、高効率の発光が可能で、繰り返し使用時での安定性の優れ、均質面状発光可能な有機EL素子用材料および有機EL素子の提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この課題は下記手段によって達成された。
(1)下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
一般式(I)
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 およびR6 はそれぞれ水素原子または置換基を表す。XはO、SまたはN−R(Rは水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基またはヘテロ環基を表す。)を表す。YはC−G1 (G2 )(G1 、G2 はそれぞれ水素原子、シアノ基、オキシカルボニル基、アシル基、スルホニル基、チオエーテル基、カルバモイル基またはスルファモイル基を表す。但し、G1 、G2 が共に水素原子であることはない。)
(2)一対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物薄膜を形成した有機エレクトロルミネッセンス素子において、少なくとも一層が(1)記載の有機エレクトロルミネッセンス素子材料を含有する層であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
(3)一対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物薄膜を形成した有機エレクトロルミネッセンス素子において、少なくとも一層が(1)記載の有機エレクトロルミネッセンス素子材料をポリマーに分散した層であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0009】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の一般式(I)で表される化合物について詳細に説明する。
R1 、R2 、R3 、R4 、R5 およびR6 はそれぞれ水素原子または置換基を表す。R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 で表される置換基としては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(例えばイミダゾリル、ピリジル、フリル、ピペリジル、モルホリノなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
【0010】
置換基として好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、アミノ基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アラルキル基、アリール基、アミノ基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、ヘテロ環基である。
特に好ましくはR2 が置換、未置換のアミノ基またはヒドロキシ基であり、最も好ましくはR2 が置換、未置換のアミノ基である。
ここで、置換、未置換のアミノ基は、−NR2a(R2b)で表される基であり、R2aおよびR2bは同一または異なっていてもよく、水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基またはヘテロ環基を表す。なお、R2aとR2bは連結して5員環ないし6員環を形成してもよく、またR2a、R2bがベンゼン環と結合して縮合環を形成してもよい。
【0011】
R2a、R2bで表される脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜20、更に好ましくは1〜12であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは2〜20、更に好ましくは2〜12であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは2〜20、更に好ましくは2〜12であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)であり、好ましくはアルキル基、アルケニル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アリル基である。
【0012】
R2a、R2bで表されるアリール基としては、好ましくは炭素数6〜30の単環または二環のアリール基(例えばフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20のフェニル基、更に好ましくは6〜12のフェニル基である。
【0013】
R2a、R2bで表される表されるヘテロ環基は、N、OまたはS原子の少なくとも一つを含む3ないし10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環であり、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
ヘテロ環基として好ましくは、5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、より好ましくは窒素原子を含む5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、更に好ましくは窒素原子を1ないし2原子含む5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。
ヘテロ環の具体例としては、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。ヘテロ環として好ましくは、ピペリジン、トリアジン、キノリンである。
【0014】
R2a、R2bで表される脂肪族炭化水素基、アリール基及びヘテロ環基は置換基を有してもよく、置換基としてはR1 からR6 の置換基として挙げたものが適用できる。
R2a、R2bとして好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1ないし8の置換、未置換のアルキル基(置換基としてはR1 からR6 の置換基として挙げたものが適用できる。)であり、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチルなど)であり、R2a、R2bがベンゼン環と結合して縮合環(例えばユロリジン環など)を形成するのも好ましい。
【0015】
XはO、SまたはN−R(Rは水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基またはヘテロ環基を表す。)を表す。
Rで表される脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜20、更に好ましくは1〜12であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは2〜20、更に好ましくは2〜12であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは2〜20、更に好ましくは2〜12であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)であり、好ましくはアルキル基、アルケニル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アリル基である。
【0016】
Rで表されるアリール基としては、好ましくは炭素数6〜30の単環または二環のアリール基(例えばフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20のフェニル基、更に好ましくは6〜12のフェニル基である。
【0017】
Rで表される表されるヘテロ環基は、N、OまたはS原子の少なくとも一つを含む3ないし10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環であり、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
ヘテロ環基として好ましくは、5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、より好ましくは窒素原子を含む5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、更に好ましくは窒素原子を1ないし2原子含む5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。
ヘテロ環の具体例としては、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。ヘテロ環として好ましくは、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾールベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾールであり、より好ましくはイミダゾール、ピリジン、キノリン、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾールであり、更に好ましくは、ピリジン、キノリンである。
【0018】
Rで表される脂肪族炭化水素基、アリール基及びヘテロ環基は置換基を有してもよく、置換基としてはR1 からR6 の置換基として挙げたものが適用できる。Rとして好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基であり、より好ましくはアルキル基、フェニル基である。
Xとして好ましくはO、N−Rであり、より好ましくはOである。
【0019】
YはC−G1 (G2 )(G1 、G2 はそれぞれ水素原子、シアノ基、オキシカルボニル基、アシル基、スルホニル基、チオエーテル基、カルバモイル基またはスルファモイル基を表す。但し、G1 、G2 が共に水素原子であることはない。)を表す。
G1 、G2 で表されるオキシカルボニル基、アシル基、スルホニル基およびチオエーテル基は、脂肪族炭化水素基、アリール基またはヘテロ環基で置換されたオキシカルボニル基、アシル基、スルホニル基、チオエーテル基であり、この場合の脂肪族炭化水素基、アリール基およびヘテロ環基部分は、上記Rで表される脂肪族炭化水素基、アリール基及びヘテロ環基と同義である。
G1 、G2 で表されるカルバモイル基およびスルファモイル基は無置換または脂肪族炭化水素基、アリール基またはヘテロ環基で置換されたカルバモイル基およびスルファモイル基であり、この場合の脂肪族炭化水素基、アリール基およびヘテロ環基部分は、上記Rで表される脂肪族炭化水素基、アリール基及びヘテロ環基と同義である。
【0020】
またG1 、G2 はそれが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、形成される環としては通常メロシアニン色素で酸性核として用いられるものが適用でき、その具体例としては以下のものが挙げられる。
(a)1、3−ジカルボニル核:例えば1,3−インダンジオン核、1,3−シクロヘキサンジオン、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオンなど。
(b)ピラゾリノン核:例えば1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−ベンゾチアゾイル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オンなど。
(c)イソオキサゾリノン核:例えば3−フェニル−2−イソオキサゾリン−5−オン、3−メチル−2−イソオキサゾリン−5−オンなど。
(d)オキシインドール核:例えば1−アルキル−2,3−ジヒドロ−2−オキシインドールなど。
(e)2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核:例えばバルビツル酸または2−チオバルビツル酸およびその誘導体など。誘導体としては例えば1−メチル、1−エチル等の1−アルキル体、1,3−ジメチル、1,3−ジエチル、1,3−ジブチル等の1,3−ジアルキル体、1,3−ジフェニル、1,3−ジ(p−クロロフェニル)、1,3−ジ(p−エトキシカルボニルフェニル)等の1,3−ジアリール体、1−エチル−3−フェニル等の1−アルキル−1−アリール体、1,3−ジ(2―ピリジル)等の1,3位ジヘテロ環置換体等が挙げられる。
(f)2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核:例えばローダニンおよびその誘導体など。誘導体としては例えば3−メチルローダニン、3−エチルローダニン、3−アリルローダニン等の3−アルキルローダニン、3−フェニルローダニン等の3−アリールローダニン、3−(2−ピリジル)ローダニン等の3位ヘテロ環置換ローダニン等が挙げられる。
(g)2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン(2−チオ−2,4−(3H,5H)−オキサゾールジオン核:例えば3−エチル−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオンなど。
(h)チアナフテノン核:例えば3(2H)−チアナフテノン−1,1−ジオキサイドなど。
(i)2−チオ−2,5−チオゾリジンジオン核:例えば3−エチル−2−チオ−2,5−チアゾリジンジオンなど。
(j)2,4−チオゾリジンジオン核:例えば2,4−チアゾリジンジオン、3−エチル−2,4−チアゾリジンジオン、3−フェニル−2,4−チアゾリジンジオンなど
(k)チアゾリン−4−オン核:例えば4−チアゾリノン、2−エチル−4−チアゾリノンなど。
(l)4−チアゾリジノン核:例えば2−エチルメルカプト−5−チアゾリン−4−オン、2−アルキルフェニルアミノ−5−チアゾリン−4−オンなど。
(m)2,4−イミダゾリジンジオン(ヒダントイン)核:例えば2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2,4−イミダゾリジンジオンなど。
(n)2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン(2−チオヒダントイン)核:例えば2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオンなど。
(o)イミダゾリン−5−オン核:例えば2−プロピルメルカプト−2−イミダゾリン−5−オンなど。
G1 、G2 及びそれが結合する炭素原子で形成される環として好ましくは1,3−ジカルボニル核、ピラゾリノン核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)、2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン核、2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン核、2,4−チアゾリジンジオン核、2,4−イミダゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン核、2−イミダゾリン−5−オン核であり、更に好ましくは1,3−ジカルボニル核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)であり、特に好ましくは環状1,3−ジカルボニル核、バルビツル酸誘導体、2−チオバルビツル酸誘導体である。
【0021】
また、一般式(I)で表される化合物は多量体であったり、R1 〜R6 、Yを介してポリマー鎖に連結していてもよい。
一般式(I)で表される化合物のうち、好ましくは一般式(I−a)で表される化合物である。
一般式(I−a)
【0022】
【化3】
【0023】
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 はそれぞれ一般式(I)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。Qaは5ないし6員環を形成する原子群を表す。)
一般式(I)で表される化合物のうち、より好ましくは一般式(I−b)で表される化合物である。
一般式(I−b)
【0024】
【化4】
【0025】
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 はそれぞれ一般式(I)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。Qbは5ないし6員環を形成する原子群を表す。)
一般式(I)で表される化合物のうち、更に好ましくは一般式(I−c)または(I−d)で表される化合物である。
一般式(I−c)
【0026】
【化5】
【0027】
一般式(I−d)
【0028】
【化6】
【0029】
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 はそれぞれ一般式(I)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。Rc1およびRc2はそれぞれ水素原子または置換基を表し、Rc1とRc2とで連結して環を形成してもよい。Rc1、Rc2で表される置換基はR1 からR6 の置換基として挙げたものが適用できる。Rc1、Rc2として好ましくは水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基およびRc1とRc2が連結して環を形成したものであり、更に好ましくはRc1とRc2が連結してベンゼン環を形成したものである。Rd1およびRd2はそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基およびヘテロ環基を表す。この場合の脂肪族炭化水素基、アリール基およびヘテロ環基は、上記Rで表される脂肪族炭化水素基、アリール基及びヘテロ環基と同義であり、また好ましい範囲も同様である。Ydは酸素原子または硫黄原子を表す。)
一般式(I)で表される化合物のうち、更に好ましくは一般式(I−e)または(I−f)で表される化合物である。
一般式(I−e)
【0030】
【化7】
【0031】
一般式(I−f)
【0032】
【化8】
【0033】
(式中、R1 、R2a、R2b、R3 、R4 、R5 、R6 はそれぞれ一般式(I)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。Rc1、Rc2はそれぞれ一般式(I−c)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。Rd1、Rd2、Ydはそれぞれ一般式(I−d)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
【0034】
以下に一般式(I)で表される化合物の具体例を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
【化9】
【0036】
【化10】
【0037】
【化11】
【0038】
【化12】
【0039】
【化13】
【0040】
【化14】
【0041】
【化15】
【0042】
【化16】
【0043】
【化17】
【0044】
【化18】
【0045】
【化19】
【0046】
一般式(1)で表される化合物は種々の合成法により合成することができるが、例えばクマリン誘導体のカルボニル基をチオカルボニル基に変換した後、活性メチレン化合物と反応させる方法などが適用できる。
以下に本発明の一般式(I)で表される化合物の合成について具体例を示す。
合成例1.例示化合物12の合成
中間体aの合成
7−(N,N−ジエチルアミノ)−4−メチルクマリン231.3g、Lawesson試薬242.7g、トルエン500mlの混合物を、110℃のオイルバスで加熱しながら1時間攪拌した。室温まで冷却後、析出した不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。エタノール500mlを加え加熱後放置し、析出した固体を濾取することにより、中間体aを185.7g得た。収率75%
【0047】
【化20】
【0048】
例示化合物12の合成
上記中間体a49.5g、マロノニトリル19.8gおよびアニソール100mlの混合物を、150℃のオイルバスで加熱しながら24時間攪拌した。アセトニトリル400mlを加え放置し、析出した固体を濾取し、例示化合物12を40.2g得た。
収率72% 融点:183〜185℃
【0049】
合成例2.例示化合物17の合成
上記中間体a49.5g、N,N’−ジエチルチオバルビツル酸76.9g、トシルクロリド38.1gおよびアセトニトリル100mlの混合物を、80℃のオイルバスで加熱しながら4時間攪拌した。反応溶液をアセトニトリル1400mlと水600mlの混合溶液に加え、析出した固体を濾取し、例示化合物17を64.5g得た。
収率78% 融点:250℃以上
【0050】
本発明の一般式(I)で表される化合物のEL素子材料としての用途は特に限定されないが、発光材料として用いることが好ましい。また、本発明の一般式(I)で表される化合物を含有した層の形成方法は、特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法などの方法が用いられ、特性面、製造面で抵抗加熱蒸着、コーティング法が好ましい。
【0051】
本発明の発光素子は陽極、陰極の一対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物薄膜を形成したで素子であり、発光層のほか正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、保護層などを有してもよく、またこれらの各層はそれぞれ他の機能を備えたものであってもよい。各層の形成にはそれぞれ種々の材料を用いることができる。
【0052】
陽極は正孔注入層、正孔輸送層、発光層などに正孔を供給するものであり、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物などを用いることができ、好ましくは仕事関数が4eV以上の材料である。具体例としては酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、およびこれらとITOとの積層物などが挙げられ、好ましくは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からITOが好ましい。陽極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは50nm〜1μmであり、更に好ましくは100nm〜500nmである。
【0053】
陽極は通常、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、透明樹脂基板などの上に層形成したものが用いられる。ガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。基板の厚みは、機械的強度を保つのに十分であれば特に制限はないが、ガラスを用いる場合には、通常0.2mm以上、好ましくは0.7mm以上のものを用いる。
陽極の作製には材料によって種々の方法が用いられるが、例えばITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾルーゲル法など)、酸化インジウムスズの分散物の塗布などの方法で膜形成される。
陽極は洗浄その他の処理により、素子の駆動電圧を下げたり、発光効率を高めることも可能である。例えばITOの場合、UV−オゾン処理などが効果的である。
【0054】
陰極は電子注入層、電子輸送層、発光層などに電子を供給するものであり、電子注入層、電子輸送層、発光層などの負極と隣接する層との密着性やイオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。陰極の材料としては金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物を用いることができ、具体例としてはアルカリ金属(例えばLi、Na、K等)またはそのフッ化物、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)またはそのフッ化物、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金またはそれらの混合金属、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属、インジウム、イッテリビウム等の希土類金属等が挙げられ、好ましくは仕事関数が4eV以下の材料であり、より好ましくはアルミニウム、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属等である。陰極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは50nm〜1μmであり、更に好ましくは100nm〜1μmである。
陰極の作製には電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、コーティング法などの方法が用いられ、金属を単体で蒸着することも、二成分以上を同時に蒸着することもできる。さらに、複数の金属を同時に蒸着して合金電極を形成することも可能であり、またあらかじめ調整した合金を蒸着させてもよい。
陽極及び陰極のシート抵抗は低い方が好ましく、数百Ω/□以下が好ましい。
【0055】
発光層の材料は、電界印加時に陽極または正孔注入層、正孔輸送層から正孔を注入することができると共に陰極または電子注入層、電子輸送層から電子を注入することができる機能や、注入された電荷を移動させる機能、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層を形成することができるものであれば何でもよい。好ましくは発光層に本発明の一般式(I)で表される化合物を含有するものであるが、本発明の一般式(I)で表される化合物の他の発光材料を用いることもできる。例えばベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物等が挙げられる。発光層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。発光層の形成方法は、特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)、LB法などの方法が用いられ、好ましくは抵抗加熱蒸着、コーティング法である。
【0056】
正孔注入層、正孔輸送層の材料は、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれか有しているものであればよい。その具体例としては、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー等が挙げられる。正孔注入層、正孔輸送層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。正孔注入層、正孔輸送層は上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
正孔注入層、正孔輸送層の形成方法としては、真空蒸着法やLB法、前記正孔注入輸送剤を溶媒に溶解または分散させてコーティングする方法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)が用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解または分散することができ、樹脂成分としては例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などが挙げられる。
【0057】
電子注入層、電子輸送層の材料は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれか有しているものであればよい。その具体例としては、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルビジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等が挙げられる。電子注入層、電子輸送層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。電子注入層、電子輸送層は上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子注入層、電子輸送層の形成方法としては、真空蒸着法やLB法、前記電子注入輸送剤を溶媒に溶解または分散させてコーティングする方法(スピンコート法、キャスト法、ディップコート法など)などが用いられる。コーティング法の場合、樹脂成分と共に溶解または分散することができ、樹脂成分としては例えば、正孔注入輸送層の場合に例示したものが適用できる。
【0058】
保護層の材料としては水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2 、Al2 O3 、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2 O3 、Y2 O3 、TiO2 等の金属酸化物、MgF2 、LiF、AlF3 、CaF2 等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
保護層の形成方法についても特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法を適用できる。
【0059】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
実施例1.
25mm×25mm×0.7mmのガラス基板上にITOを蒸着法にて150nmの厚さで製膜したもの(東京三容真空(株)製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を洗浄後、ポリ(N−ビニルカルバゾール)40mg、2−(4−ビフェニルイル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール12mg及び表1記載の化合物3.0×10-6モルを1,2−ジクロロエタンに溶解し、3000rpmでスピンコートした。次いで陰極としてAlを10-5〜10-6Torrの真空中で、基板温度室温の条件下蒸着した。
この素子にITO電極を陽極、Al電極を陰極として大気中で直流電圧を印加して発光特性を評価した。
評価結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【化21】
【0062】
表1の結果から明らかなように、本発明の化合物は比較化合物に比べ、低電圧駆動、高輝度発光が可能であり、また経時でのダークスポットの発生が少ないといった均質面状発光性、耐久性面での優れた性能を示した。特に通常発光輝度の低い塗布方式で良好な発光特性が得られた。
【0063】
実施例2.
25mm×25mm×0.7mmのガラス基板上にITOを蒸着法にて150nmの厚さで製膜したもの(東京三容真空(株)製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を洗浄後、ポリ(N−ビニルカルバゾール)40mg及び表2記載の化合物3.0×10-6モルを1,2−ジクロロエタンに溶解し、5000rpmでスピンコートした。次いで下記亜鉛錯体を膜厚が50nmになるように10-5〜10-6Torrの真空中で、基板温度室温の条件下蒸着し、その上に陰極としてマグネシウムと銀が10:1となるように10-5〜10-6Torrの真空中、基板温度室温下で共蒸着した。
この素子にITO電極を陽極、Mg:Ag電極を陰極として大気中で直流電圧を印加して発光特性を評価した。
評価結果を表2に示す。
【0064】
【化22】
【0065】
【表2】
【0066】
表2の結果から明らかなように、本発明の化合物は比較化合物に比べ、低電圧駆動、高輝度発光が可能であり、また経時でのダークスポットの発生が少ないといった均質面状発光性、耐久性面での優れた性能を示した。
【0067】
【発明の効果】
本発明により、従来に比べて低電圧駆動、高輝度、長寿命の有機EL素子を得ることができた。特に通常発光輝度の低い塗布方式でも良好な発光特性が得られ、製造コスト面等で有利な素子作製が可能である。
Claims (3)
- 一対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物薄膜を形成した有機エレクトロルミネッセンス素子において、少なくとも一層が請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子材料を含有する層であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 一対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物薄膜を形成した有機エレクトロルミネッセンス素子において、少なくとも一層が請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子材料をポリマーに分散した層であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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