しかしながら、DVD−Video等に施された暗号が破られ、暗号が解かれた状態でコンテンツがDVD−RW等に書き込まれた場合には、暗号化キー情報とは無関係に再生が可能となるという技術的な問題がある。
本発明は、例えば上記問題点に鑑みなされたものであり、より強固にコンテンツを保護することが可能な情報記録媒体、情報記録装置及び方法、並びにコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
(情報記録媒体)
以下、本発明の情報記録媒体について説明する。
本発明の情報記録媒体は上記課題を解決するために、ユーザ情報が記録可能なユーザ情報記録エリアを備え、該ユーザ情報記録エリアは、前記ユーザ情報の記録再生を妨げるプリ記録エリアを、再生専用記録媒体における再生制御情報が記録される記録エリア部分に対応する端部分に有する。
本発明の情報記録媒体によれば、再生専用記録媒体の記録情報がユーザ情報記録エリアにコピーされる場合に、その記録情報における再生制御情報がコピーされるはずの領域がプリ記録エリアに該当する。ここに「再生制御情報」とは、例えば再生専用記録媒体における映像情報、音声情報等のコンテンツ情報の再生を制御するための制御情報を意味し、該コンテンツ情報を再生するために必要な情報である。そのため、上述の如きコピーを試みた場合には、プリ記録エリアにおいて再生制御情報の記録が禁止又は制限される。こうしてコピーされた記録情報は、再生制御情報が欠落しているために正常な再生が著しく困難となる。即ち、プリ記録エリアが、ユーザ情報記録エリアに対する記録再生を妨げるように機能し、再生専用記録媒体からコピーされた情報については、たとえ暗号が解かれた状態であっても再生が阻止される。
また、ユーザ情報記録領域は、プリ記録エリア以外の部分にはユーザが自由に書き込み可能であることから、ユーザデータ容量の規格値を保障することが可能であり、プリ記録エリアに情報を記録しないようにすれば、通常の書き込み方式を大きく改変することなく記録することができる。
更に、このようにプリ記録エリアをユーザ情報記録エリアの端部に寄せておくことにより、ユーザ情報記録エリアのうち実際に書き込み可能な領域が、物理的に連続する一つの領域にまとめられる。これはデータ管理上都合がよく、記録再生時の制御も比較的容易とすることができる。即ちユーザによる情報を記録する際に、プリ記録エリアの存在が邪魔になることは殆ど無い。
従って、このようなプリ記録エリアを有する情報記録媒体では、互換性を維持しつつ、再生専用記録媒体に記録されたコンテンツを保護することが可能である。
本発明の情報記録媒体の一態様では、前記情報記録媒体は、前記ユーザ情報記録エリアに先行するリードインエリアと、前記ユーザ情報記録エリアに後続するリードアウトエリアとを更に備え、前記端部分は、前記ユーザ情報記録エリアのうち、前記リードインエリア又は前記リードアウトエリアに隣接する部分である。
この態様によれば、プリ記録エリアは、ユーザ情報記録エリアの始端(即ち、リードインエリアと隣接する部分)、又はユーザ情報記録エリアの終端(即ち、リードアウトエリアと隣接する部分)に設定される。このようにプリ記録エリアを端に寄せておくと、データ管理上都合がよく、記録再生時の制御も比較的容易とすることが可能である。
本発明の情報記録媒体の他の態様では、前記プリ記録エリアには、エンボスピットが予め形成されている。
この態様によれば、プリ記録エリアは、領域内に予めエンボスピットが形成されることにより上書き不能とされる。よって、再生専用記録媒体からコピーされる記録情報のうち再生制御情報が、この情報記録媒体に書き込まれないようにすることができる。
本発明の情報記録媒体の他の態様では、前記プリ記録エリアには、記録用レーザの照射によるプリピットが予め形成されている。
この態様によれば、プリ記録エリアは、領域内にプリピットが予め形成されることにより上書き不能とされる。よって、再生専用記録媒体からコピーされる記録情報のうち再生制御情報が、この情報記録媒体に書き込まれないようにすることができる。尚、このようなプリピットは、例えば、レーザ光を照射することでの加熱などによる非可逆変化記録方式或いは破壊書込み方式で書き込まれる。
本発明の情報記録媒体の他の態様では、前記ユーザ情報記録エリアの一部を構成する記録領域が夫々形成されると共に、相互に積層された複数の記録層を有し、前記ユーザ情報記録エリアの始端部分と終端部分とが、相異なる前記記録層における相対する領域に夫々配置されており、前記プリ記録エリアが、前記終端部分に設定されている。
この態様によれば、まず、ユーザ情報記録エリアが複数の記録層に跨がって設けられ、その始端部分と終端部分とが、相異なる記録層における相対する領域に夫々配置されている。このような構成は、情報記録媒体が多層型の場合に採用される、記録トラックパスが相隣接する2層間で逆方向を向く“オポジット方式”において実現される。
ユーザ情報記録エリアの読み出しは始端部分から開始されるが、再生専用記録媒体からコピーされた情報を読み出す場合には、再生制御情報を読み出す必要がある。このとき、ユーザ情報記録エリアの始端部分から、再生制御情報が記録されているはずの終端部分、即ちプリ記録エリアにジャンプして再生が行われるが、始端部分と終端部分とが記録層の積層方向に相対しているために、レーザ光の照射位置は層面方向に殆ど又は全く変えないで済むなど、この間のサーチ時間は短くて済む。
本発明の情報記録媒体の他の態様では、前記プリ記録エリアに、前記ユーザ情報記録エリアに記録された情報の再生を阻止するように機能する再生制限情報が書き込まれている。
この態様によれば、再生専用記録媒体からコピーされた情報の再生において、その情報の再生制御情報を利用すべく、再生制御情報が記録されているはずの領域、即ちプリ記録エリアから読み出しが行われる。その際、再生制御情報の代わりに再生制限情報が読み出され、再生制限情報に基づいてユーザ情報記録エリアからの再生が阻止される。
よって、再生専用記録媒体からコピーされた情報の再生を、より確実に阻止することが可能となる。
このプリ記録エリアに再生制限情報が書き込まれた態様では、前記再生制限情報が、所定の領域に記録された情報をループ再生させる制御情報を含むようにしてもよい。
この場合、一旦プリ記録エリアが読み取られた後は、所定の領域でループ再生が行われるために、ユーザ情報記録エリア内の他の領域にジャンプして再生を続行することがすることができない。
本発明の情報記録媒体の他の態様では、前記プリ記録エリアに、予め規定された再生終了エリアにジャンプして前記ユーザ情報記録エリアに記録された情報の再生を終了させる再生終了情報が書き込まれている。
この態様によれば、再生専用記録媒体からコピーされた情報の再生において、再生制御情報を利用すべくプリ記録エリアが読み取られた後は、再生終了情報に基づいて、リードアウトエリア等の予め規定された再生終了エリアにジャンプして、ユーザ情報記録エリアからの再生が終了される。
よって、再生専用記録媒体からコピーされた情報の再生を、より確実に阻止することが可能となる。
本発明の情報記録媒体の他の態様では、前記プリ記録エリアに、前記ユーザ情報記録エリアに記録された情報の再生を禁止する旨を表示させる再生不可能告知情報が書き込まれている。
この態様によれば、再生専用記録媒体からコピーされた情報の再生において、再生制御情報を利用すべくプリ記録エリアが読み取られた後は、上述したように、ユーザ情報記録エリアからの再生は終了されるが、それと共に、再生不可能告知情報に基づいて、ユーザ情報記録エリアに記録された情報の再生を禁止する旨が表示される。
よって、ユーザに対し、この再生終了が再生装置の不具合によるものではなく、再生の対象が保護すべきコンテンツであることに起因することを知らせることができる。
本発明の情報記録媒体の他の態様では、前記プリ記録エリア、及び前記ユーザ情報記録エリア外の領域の少なくとも一方に、前記プリ記録エリアの再生期間及びそれ以前の期間、前記ユーザ情報記録エリアに記録された情報の走査指示を無効化する旨の走査禁止情報が書き込まれている。
この態様によれば、再生専用記録媒体からコピーされた情報の再生において、プリ記録エリアの再生期間及びそれ以前の期間におけるユーザ情報記録エリアに対する走査指示が、走査禁止情報に基づいて無効化される。即ち、上記期間中に再生装置に対して走査指示が入力され、現時点での読み取り位置から走査が開始されると、一部なりともコピーされた情報が再生されるおそれがあるが、ここでは、上記期間若しくはそれ以前に読み取られるように予め再生禁止情報が書き込まれているために、そうした事態が防止される。
よって、再生専用記録媒体からコピーされた情報の再生を、より確実に阻止することが可能となる。
本発明の情報記録媒体の他の態様では、前記プリ記録エリアの開始アドレス及び終了アドレスは固定されている。
この態様によれば、プリ記録エリアの開始アドレス及び終了アドレスは、固定化された制御情報の一部として情報記録媒体に記録されたり、規格化されたりしている。そのため、プリ記録エリアの位置及び範囲を予め知ることができるため、通常の情報書き込みにおいて、誤ってプリ記録エリアにまで情報を書き込むような事態を未然防止することが可能である。
また、再生専用記録媒体に記録するコンテンツの再生制御情報の記録位置及び範囲を、プリ記録エリアのアドレス情報に基づいて設定することにより、前述の原理に基づいて当該コンテンツの保護を担保することができる。
(情報記録装置)
本発明の情報記録装置は上記課題を解決するために、ユーザ情報が記録可能なユーザ情報記録エリアを備え、該ユーザ情報記録エリアが、前記ユーザ情報の記録再生を妨げるプリ記録エリアを、再生専用記録媒体における再生制御情報が記録される記録エリア部分に対応する端部分に有する情報記録媒体に対して、記録すべき情報を記録する情報記録装置であって、前記記録すべき情報を前記ユーザ情報記録エリアに書込可能な書込手段と、前記プリ記録エリアのアドレス情報に基づいて、前記ユーザ情報記録エリアのうち前記プリ記録エリアを除いた領域に前記記録すべき情報を書き込むように前記書込手段を制御する制御手段とを備えている。
本発明の情報記録装置によれば、本発明の情報記録媒体に対して適正に情報を記録することが可能である。
ユーザ情報記録エリア内は、プリ記録エリアを除く領域が実質的な記録可能領域、即ちユーザが自由に書き込みできる領域である。本発明の情報記録媒体に情報を記録する場合には、プリ記録エリアに情報を書き込まないことが肝要である。そこで、書込手段により情報を書き込む際には、制御手段のプリ記録エリアのアドレス情報に基づく制御によって、ユーザ情報記録エリアのうちプリ記録エリアを除いた領域にだけ書き込むように書込手段は制御される。その際、利用するプリ記録エリアのアドレス情報は、既知の場合には制御手段内に予め記憶させておいてもよいし、情報記録媒体から読み取るようにしてもよい。
尚、本発明の情報記録装置においても、上述した本発明の情報記録媒体についての各種態様に対応する態様を適宜採ることが可能である。
(情報記録方法)
本発明の情報記録方法は上記課題を解決するために、ユーザ情報が記録可能なユーザ情報記録エリアを備え、該ユーザ情報記録エリアが、前記ユーザ情報の記録再生を妨げるプリ記録エリアを、再生専用記録媒体における再生制御情報が記録される記録エリア部分に対応する端部分に有する情報記録媒体に対して、記録すべき情報を記録する情報記録方法であって、前記プリ記録エリアのアドレス情報に基づいて、前記ユーザ情報記録エリアのうち前記プリ記録エリアを除いた領域に前記記録すべき情報を書き込む書込工程を含んでいる。
本発明の情報記録方法は、上述した本発明の情報記録装置と同様の作用及び効果を奏する。尚、本発明は、上述した本発明の情報記録装置についての各種態様と同様の態様を適宜採ることが可能である。
本発明のコンピュータプログラムは、上記課題を解決するために、本発明の情報記録装置に備えられたコンピュータを制御するコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記制御手段及び前記書込手段として機能させる。
本発明のコンピュータプログラムによれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させる、或いは、当該コンピュータプログラムを、例えば通信手段等を介してコンピュータにダウンロードさせた上で実行させることで、上述した本発明の情報記録装置を比較的簡単に実現できる。
尚、本発明のコンピュータプログラムも、上述した本発明の情報記録装置における各種態様に対応して各種態様を採ることが可能である。
コンピュータ読取可能な媒体内のコンピュータプログラム製品は上記課題を解決するために、本発明の情報記録装置(但し、その各種態様を含む)に備えられたコンピュータにより実行可能なプログラム命令を明白に具現化し、該コンピュータを、前記制御手段及び前記書込手段の少なくとも一部として機能させる。
本発明のコンピュータプログラム製品によれば、当該コンピュータプログラム製品を格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラム製品をコンピュータに読み込めば、或いは、例えば伝送波である当該コンピュータプログラム製品を、通信手段を介してコンピュータにダウンロードすれば、上述した本発明の前記制御手段及び前記書込手段の少なくとも一部を比較的容易に実施可能となる。更に具体的には、当該コンピュータプログラム製品は、上述した本発明の前記制御手段及び前記書込手段の少なくとも一部として機能させるコンピュータ読取可能なコード(或いはコンピュータ読取可能な命令)から構成されてよい。
以上説明したように、本発明の情報記録媒体によれば、ユーザ情報記録エリアの端部分にプリ記録エリアを有しているので、互換性を維持しつつ、再生専用記録媒体に記録されたコンテンツを保護することが可能である。
本発明の情報記録装置によれば、書込手段及び制御手段を備えているので、本発明の情報記録媒体に対して適正に情報を記録することが可能である。
また、本発明の情報記録方法によれば、書込工程を含んでいるので、本発明の情報記録媒体に対して適正に情報を記録することが可能である。
また、本発明のコンピュータプログラムによれば、コンピュータを上述した本発明の情報記録装置として機能させるので、本発明の情報記録媒体に対して適正に情報を記録することが可能である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされる。
100…光ディスク、200…ROMディスク、101、201…リードインエリア、102、202…データエリア、103、203…リードアウトエリア、104、204…ミドルエリア、105…プリ記録エリア、106…透明基板、PB…ビデオ再生制御情報、FS…ファイルシステム。
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例毎に順に図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
本発明に係る第1実施例について、図1から図6を参照して説明する。
(光ディスクの構造)
先ず、図1を参照して、本発明の第1実施例に係る光ディスクの基本構造について説明する。図1(a)は、本発明の情報記録媒体の第1実施例に係る複数の記録領域を有する光ディスクの基本構造を示しており、図1(b)は、該光ディスクの概略断面と、これに対応付けられた、その半径方向における記録領域構造を示している。
図1(a)及び図1(b)において、光ディスク100は、例えばDVD−RやDVD−RWのように一回又は繰り返し記録可能な情報記録媒体である。例えば直径12cm程度のディスク本体は、記録層であるL0層及びL1層が透明基板106に積層されることで構成されている。L0層及びL1層の各記録面には、例えば、センターホール1を中心にスパイラル状或いは同心円状に、グルーブトラックやランドトラック等のトラック10が設けられており、その中央には、本発明における「ユーザ情報記録エリア」の一例たるユーザデータエリア102が、外周側及び内周側を緩衝エリアで挟まれるように設定されている。緩衝エリアは、記録又は再生位置が基板外に外れることを防止する領域であり、ここでは、リードインエリア101、リードアウトエリア103及びミドルエリア104を指す。即ち、L0層の記録面は、内周側からリードインエリア101、ユーザデータエリア102及びミドルエリア104に区分されている。また、L1層の記録面は、内周側からリードアウトエリア103、ユーザデータエリア102及びミドルエリア104に区分されている。これらの各領域においては、アドレスが割り付けられたセクタ毎にデータが区分され、また16セクタ毎に、エラー訂正処理の単位である1つのECC(Error Correcting Code)ブロックを構成している。
このような2層型の光ディスク100では、図1(b)中、透明基板106側から照射されるレーザ光LBの集光位置をL0層又はL1層のいずれに合わせるかに応じて、一方の記録層を選択して記録再生を行うことができる。また、ここでは、2層型の光ディスク100の記録又は再生手順として、L0層の内周側から外周側(即ち、リードインエリア101からミドルエリア104)、更にはL1層の外周側から内周側(即ち、ミドルエリア104からリードアウトエリア103)へと向かう方向に記録又は再生が行われるオポジット方式が採用されている。オポジット方式では、L0層の走査が終わり、L1層の走査が開始される時に、光ディスクの最外周にある光ピックアップを最内周へ移動させる必要はなく、L0層からL1層への焦点距離だけを切り換えればよいため、L0層からL1層への切り換え時間がパラレル方式と比較して短いという利点がある。
リードインエリア101は、光ディスク100の記録又は再生時に最初にアクセスされる領域であり、その内部には、スクランブルに用いる暗号化キー情報が記録されるリファレンスコード領域や、各種の制御情報が記録されるコントロールデータ領域が設定されている。
ユーザデータエリア102は、記録すべきコンテンツに対応するデータを記録する領域である。記録すべきデータには、例えば、画像データや音声データ、或いはコンピュータで読み取り可能なプログラムデータ等がある。
尚、本実施例では、ユーザデータエリア102のうちリードアウトエリア103に隣接する範囲に、プリ記録エリア105が設定されている。その詳細は後述するが、プリ記録エリア105は、光ディスク100がDVD−RWの場合はエンボスピットによって、DVD−Rの場合は記録用レーザの照射によるプリピットによって、かかるプリ記録エリアへのユーザデータの記録再生を妨げる領域として予め形成される。
リードアウトエリア103は、ユーザデータエリア102の記録又は再生における終端に後続する領域であり、リードアウトエリア103であることを示す情報が記録されている。更に、ミドルエリア104は、L0層及びL1層に対する記録又は再生位置が基板外へ外れることを防止する基本機能を有するが、層間ジャンプの際に記録又は再生位置が基板外に外れることを防止する、言わば“ジャンプ緩衝用エリア”として機能する。具体的には、L0層において、コンテンツ等の記録すべき情報が記録されると共に引き続いて、所定量の緩衝用データがL0層のミドルエリア104の一部に書き込まれる。そして、このL0層のミドルエリア104からL1層への層間ジャンプを経て、所定量の緩衝用データが、L1層のミドルエリア104の一部として書き込まれると共に引き続いて、L1層において、記録すべき情報が記録される。
次に、図2から図6を参照して、光ディスク100の特徴部分の構成及び作用について説明する。
図2から図4はいずれも、本実施例に係る光ディスク100を上側に、ROMディスク200を下側に、互いに対応させて表している。図2は、各記録媒体におけるデータ領域のレイアウトを示している。尚、図2における記録層の配置は、図1(b)とは上下が逆となっている。図3は、各記録媒体のデータ構造を、図4は、データ読み出しの手順を表している。図5及び図6は夫々、ROMディスク200による正規のコンテンツ、及び光ディスク100にコピーされたコンテンツの再生動作手順を示している。
図2に示したように、光ディスク100は、再生専用のROM(Read Only Memory)ディスク200と基本的構造を殆ど同様とされることで、互換性が維持されている。即ち、ROMディスク200の記録領域は、光ディスク100のリードインエリア101、ユーザデータエリア102、リードアウトエリア103及びミドルエリア104に夫々対応するリードインエリア201、ユーザデータエリア202、リードアウトエリア203及びミドルエリア204に区分されている。
但し、ROMディスク200には、予めユーザデータエリア202にコンテンツデータが記録されている。そして、コンテンツの実データの記録に伴い、ユーザデータエリア202の先頭の領域202aには、ファイルシステムFSが書き込まれ、ユーザデータエリア202の最後尾の領域202cには、コンテンツ毎のビデオ再生制御情報PB1が書き込まれている。
ユーザデータエリア202のコンテンツデータは、相対アドレスで書き込まれており、そのアドレス情報がビデオ再生制御情報PB1に含まれている。更に、各種データがどこに記録されているかといった格納情報は、ファイルシステムFSで管理されている。尚、ここで、ROMディスク200が、本発明に係る「再生専用記録媒体」の一例であり、ビデオ再生制御情報PB1が、本発明に係る「再生制御情報」の一例である。
これに対し、本実施例では、光ディスク100のうち、ROMディスク200におけるビデオ再生制御情報PB1の領域202cと対応する領域に、プリ記録エリア105が設定されている。ここで、プリ記録エリア105は、図示したように光ディスク100内の8.535GBytesから8.544GBytesの間の領域に設定されている。そのため、ユーザデータエリア102は、四捨五入して8.54GBytes、つまり規格に準拠したサイズとなっている。
このため、ROMディスク200のコンテンツデータを光ディスク100にデッドコピーする場合、ユーザデータエリア102には、ユーザデータエリア202のコピーデータがファイルシステムFSを先頭に領域102aから書き込まれてゆくが、ユーザデータエリア102の実質的な記録領域はプリ記録エリア105の直前までであり、プリ記録エリア105以降は物理的に書き込み不能である。つまり、仮にハードコピー或いはデッドコピーを行ったとしても、この光ディスク100には、ROMディスク200のコンテンツは、プリ記録エリア105と対応する領域202cのデータ、即ちビデオ再生制御情報PB1がそっくり抜け落ちた状態でしか記録されないことになる。尚、本実施例では、プリ記録エリア105には、このプリ記録エリア105の情報をループ再生させる制御情報が書き込まれている。
図3に示したデータ構造からは、こうしたビデオ再生制御情報PB1の記録領域202cとプリ記録エリア105との対応関係が一目で理解できる。
(光ディスクにおける再生)
このような構成をとることにより、光ディスク100における読み取り動作は、ROMディスク200からコンテンツがコピーされた場合には以下のように行われる。
先ず、ROMディスク200における通常の再生は、再生装置上で図4及び図5に示した手順で行われる。尚、ここでは、ROMディスク200をDVD−Videoとし、再生装置もDVD再生可能な構成とする。この再生装置は、通常と同様に構成されてよく、その図示及び説明は省略する。尚、再生装置として、後述する記録再生装置300(図7参照)と同様に構成され、ROMディスク200に対応可能な記録再生装置を適用することもできる。
再生装置では、例えばROMディスク200の挿入をきっかけとして光ピックアップのフィーカス位置合わせ等のサーボ系処理がなされ、ROMディスク200がローディングされる(ステップS11)。次いで、ROMディスク200のうちリードインエリア201から各種情報が読み出され、それに基づいて挿入ディスクのメディアの種類が判別される(ステップS12)。ここではDVDであることが判明しているので、引き続き領域202aからファイルシステムFSが読み出され、チェックされる(ステップS13)。このとき、コンテンツの先頭アドレス“A”が取得される。
ファイルシステムFSによって挿入ディスクのフォーマットがDVD−Videoであることが判明すると、図4に示したユーザデータエリア202の最も先頭であり、アドレス“A”で指定されるデータ領域202bのファイルがロードされる(ステップS14)。このファイル内に格納されたパラメータがチェックされ(ステップS15)、後述するリモコン制御のオフ状態を確定した(ステップS16)後、更に先頭のファイルからコンテンツメニューがロードされ(ステップS17)、再生装置にて表示される。次に、ユーザによるタイトル選択、指示により(ステップS18)、再生装置において再生すべきコンテンツが確定される。
次いで、再生すべきコンテンツの先頭アドレス“0”からデータが再生され(ステップS19)、アドレス“0”に対応するナビパックが読み出される(ステップS20)。そして、読み出したナビゲーション情報に応じ、ユーザデータエリア202のうちアドレス“Z”で表される領域にジャンプして(ステップS21)、アドレス“Z”で指定される領域202cからデータ、即ちビデオ再生制御情報PB1が再生される(ステップS22)。
次に、このアドレス“Z”に対応するナビパックが読み出される(ステップS23)。再生対象とするデータのアドレスを表す変数Nを1に設定してから(ステップS24)、ユーザデータエリア202のうちアドレス“N(即ち、1)”で表される領域にジャンプする(ステップS25)。この時点で、変数Nのリモコン制御をオン状態とし(ステップS26)、以下、アドレス“0”の次のアドレス“1”から、指定されたコンテンツ内のデータが順次再生される。即ち、アドレス“N”からデータが再生され(ステップS27)、コンテンツ内のデータ再生がまだ終了していなければ(ステップS28:No)、変数Nに1を加え(ステップS29)、アドレス“N”で表される領域にジャンプして(ステップS30)、コンテンツ全体のデータ再生が終了する(ステップS28:Yes)まで、アドレス“N”からのデータ再生を繰り返す。尚、以上の動作からもわかるように、コンテンツデータのアドレス(0、1、…、N)は、相対アドレスとなっている。
これに対し、図2ないし図3のように、ROMディスク200のコンテンツデータがデッドコピーされた光ディスク100における再生は、再生装置上で図4及び図6に示したような手順で行われる。
この場合の再生装置における動作手順は、光ディスク100から再生すべきコンテンツを選択、指定するまでは、上述のROMディスク200の再生時と同様である。
その後も同様にして、再生すべきコンテンツの先頭アドレス“0”からデータが再生され(ステップS120)、アドレス“0”に対応するナビパックが読み出される(ステップS121)。そして、読み出したナビゲーション情報に応じ、ユーザデータエリア202のうちアドレス“Z”で表される領域にジャンプして(ステップS122)、アドレス“Z”からデータが再生される(ステップS123)。
アドレス“Z”は、図4に示したように、プリ記録エリア105を指している。そのため、ビデオ再生制御情報PB1に代わって、プリ記録エリア105に予め書き込まれたデータが読み出され、それが、例えば、本発明に係る「再生制限情報」の一例である制御情報であれば、再生装置はその情報に従って以降の動作を行うことになる。
ここで、光ディスク100はオポジット方式で走査される(図2参照)ので、アドレス“Z”の領域にジャンプする際にはレーザ光の照射位置は層面方向に殆ど又は全く変えないで済み、サーチ時間が短くて済む。
プリ記録エリア105には、前述のように、プリ記録エリア105の情報をループ再生させる制御情報が書き込まれており、意図的にプリ記録エリア105で無限ループが形成される。即ち、アドレス“Z”に対応するナビパックが読み出されると(ステップS124)、再生対象とするデータのアドレスを表すフラグ変数Nを1に設定してから(ステップS125)、再びアドレス“Z”で表される領域にジャンプする(ステップS126)。以降は、強制終了されるまで一連のステップが繰り返される。その間、例えば再生装置には意味のない同一画面が表示される。
その結果、この場合には、光ディスク100からは実際に意味のあるコンテンツ再生が阻止される。また、本実施例では、ROMディスク200から光ディスク100にデッドコピーする場合に、コンテンツデータ自体が含むビデオ再生制御情報PB1を欠落させるようにしたので、コンテンツ全体の論理的に正常な再生が困難となる。実際のシーケンスでは、ビデオ再生制御情報PB1の読み出し以降は、正常な操作が困難となる。これは、デッドコピーされたコンテンツの暗号化操作に関わらず行われるため、コンテンツをより確実に保護できる。
このように、光ディスク100によれば、不正にコピーされたコンテンツの視聴が阻止され、延いては、不正コピーの防止にも寄与することから、より強固なコンテンツ保護を図ることができる。しかも、このような効果は、プリ記録エリア105を設けるだけで発揮される。
また、本実施例では、プリ記録エリア105に、ビデオ再生制御情報PB1の代わりとして無限ループのプログラムデータを予め書き込んでおくようにしたので、ROMディスク200からコンテンツがデッドコピーされた場合には、DVD−Videoのコンテンツシーケンスがプリ記録エリア105を利用した時点でコンテンツの実データにはアクセスできなくなる。よって、より確実にコピー後のコンテンツの再生を阻止することが可能となる。
尚、ループの位置は、必ずしもプリ記録エリア105でなくともよく、例えばプリ記録エリア105から他の適当な領域にジャンプした後にループするようにしてもよい。
或いは、プリ記録エリア105にリードアウトエリア103にジャンプする制御情報を予め書き込んでおき、DVD−Videoのコンテンツシーケンスがプリ記録エリア105を利用した時点で再生終了とするようにしてもよい。
また、プリ記録エリア105が読み出される際に、例えば“このデータは再生できません”等の表示を行うように、プリ記録エリア105に予めその旨の制御情報を書き込んでおいてもよい。
プリ記録エリア105に書き込む情報は、どのようなものであってもよく、上記の例の他にもいろいろ考えられる。但し、コンテンツ保護をより確実にするには、デッドコピーされたコンテンツの再生を阻止するように機能する制御情報等であることが好ましい。
そのような制御情報は、プリ記録エリア105に限らず、リードインエリア101等のそれ以外の領域に書き込まれていてもよい。例えば、リードインエリア101の読み出しからプリ記録エリア105の読み出しまでの期間に、例えばリモコン等のキーを受け付けると、ユーザデータエリア102がスキャンされ、コンテンツが再生されてしまうことがある。そこで、これらの領域にフラグを設定し、上記読み出し動作期間中はキーを受け付けないようにする等の再生指示を無効化する制御情報を設定しておくとよい。
更に、光ディスク100及びROMディスク200には2層型であるがオポジット方式が採用されているので、その記録再生は図2に矢印で示したように行われる。そのため、本実施例における光ディスク100によれば、ユーザデータエリア102の先頭領域からプリ記録領域105までの物理的な距離が一層型ないしパラレル方式の場合に比べて短く、プリ記録領域105のサーチ時間が短くて済むという利点がある。
尚、光ディスク100におけるプリ記録エリア105の位置は、ROMディスク200等のコピー防止対象の記録媒体における再生制御情報の記録位置との関係で決まる。そのため、両者の構成や記録再生方式、各領域のレイアウト等は、物理的又は論理的に対称であることが望ましく(図2及び図3参照)、互換性を維持することが可能である。ここでは、プリ記録エリア105をユーザデータエリア102の終端に設定したが、これは、通常の再生専用記録媒体では、ROMディスク200のように、データ管理の観点から制御情報は大抵終端側に記録されることによる。プリ記録エリア105をできるだけユーザデータエリア102の端部に寄せることで、内部の記録領域を使いやすくすることができ、都合がよい。
ところで、光ディスク100がDVD−R又はDVD−R/Wの場合、容量の規格は8.54GBytesであるが、実際には8.544GBytesでも8.535GBytesでも規格内といえる(記録層が単層の場合は、4.70GBytesが規格値であり、4.704GBytesでも4.695GBytesでも規格内)。即ち、9MBytesの許容量がある。そこで、光ディスク100のプリ記録エリア105の範囲を、8.535GBytes以降、8.544GBytes以内に収める一方で、例えばDVD−VideoたるROMディスク200には、このデータ範囲にアクセスするように制御情報を記録しておけば、光ディスク100のユーザ記録容量は8.54GBytesであり、同じく8.54GBytesのDVD−Videoデータでアクセスが可能である。記録層が単層の場合も同様に、プリ記録エリアを規格容量のマージン内で設定すればよい。
従って、この光ディスク100では、互換性を維持しつつ、コンテンツ保護機能を発揮することができる。
尚、光ディスク100におけるプリ記録エリア105の位置及び範囲は、ROMディスク200のビデオ再生制御情報PBの記録位置及び記録範囲と連関している。即ち、保護対象とするコンテンツが記録された記録媒体(ここではROMディスク200)が新たに作成される場合には、コンテンツ内のビデオ再生制御情報の位置及び範囲を、光ディスク100に予め設定されたプリ記録エリア105の位置及び範囲に基づいて設定される。或いは、保護対象とするコンテンツが記録された記録媒体(ここではROMディスク200)が既にある、もしくは、ビデオ再生制御情報の記録領域が予めわかっている場合には、そのビデオ再生制御情報が記録された領域202cの位置及び範囲に基づいて、光ディスク100のプリ記録エリア105の位置及び範囲を設定してもよい。このように、本実施例の光ディスク100は、ROMディスク200と互いに対応関係にある場合に、上記効果を発揮することができる。
(光ディスクにおける記録)
以上では光ディスク100の不正コピーに関する側面について説明したが、光ディスク100は、本来ユーザが自由にデータを書き込むための記録媒体であり、上記不正コピーとは別に適法なコピーについては正常に記録再生できることが求められている。この点について、光ディスク100は、プリ記録エリア105を設けたこと以外、記録面に特別な作為はないことから、そのようなデータの記録再生は通常通り行うことが可能である。
但し、光ディスク100では、プリ記録エリア105の分だけ、事実上の書き込み可能領域はROMディスク200に比べて狭くなっている。そこで、この書き込み可能な領域の終端のアドレスを、これ以上は書き込まないようにLast Recordable Addressに規定し、そのアドレス情報を例えばリードインエリア101内に予め記録しておくか、規格値として固定しておけば、正常に書き込みがなされることが担保される。尚、この書き込み可能な領域、即ち実質的なユーザデータエリアの開始アドレス及び終了アドレスは、プリ記録エリア105の開始アドレス及び終了アドレスに基づいて求めることができる。
以下では、光ディスク100に記録する具体的方法について、更に図7を参照して説明する。図7は、本実施例に係る記録再生装置の構成を示している。
(情報記録装置の構成)
図7における記録再生装置300は、本発明の「情報記録装置」の一例として、CPU(Central Processing Unit)の制御下で、本発明の「情報記録方法」に基づいて光ディスク100に情報を記録すると共に光ディスク100に記録された情報を読み取る機能を有している。この記録再生装置300は、スピンドルモータ351、光ピックアップ352、信号記録再生手段353、CPU(ドライブ制御手段)354、メモリ355、データ入出力制御手段306、操作制御手段307、操作ボタン310、表示パネル311、及びバス357を備えて構成されている。このうち、スピンドルモータ351、光ピックアップ352、信号記録再生手段353、CPU(ドライブ制御手段)354及びメモリ355によって、ディスクドライブ(以下、適宜ドライブと称す)が構成されていてもよい。また、データ入出力制御手段306、操作制御手段307、操作ボタン310及び表示パネル311によって、ホストコンピュータ(以下、適宜ホストと称す)が構成されてもよい。或いは、CPU(ドライブ制御手段)354及びバス357によって通信手段が構成されていてもよい。
スピンドルモータ351は、光ディスク100を回転及び停止させる手段であり、光ディスク100へのアクセス時に動作するように構成されている。より詳細には、スピンドルモータ351は、図示しないサーボユニット等によりスピンドルサーボを受けつつ所定速度で光ディスク100を回転及び停止させるように構成されている。
光ピックアップ352は、光ディスク100への記録再生を行う手段であり、半導体レーザ装置及びレンズから構成される。より詳細には、光ピックアップ352は、光ディスク100に対してレーザービーム等の光ビームを、再生時には読み取り光として第1のパワーで照射し、記録時には書き込み光として第2のパワーで且つ変調させながら照射する。
信号記録再生手段353は、スピンドルモータ351と光ピックアップ352を制御することで光ディスク100に対して記録再生を行う。より具体的には、信号記録再生手段353は、例えば、レーザダイオード(LD)ドライバ及びヘッドアンプ等によって構成されている。レーザダイオードドライバ(LDドライバ)は、光ピックアップ352内に設けられた図示しない半導体レーザを駆動する。ヘッドアンプは、光ピックアップ352の出力信号、即ち、光ビームの反射光を増幅し、該増幅した信号を出力する。より詳細には、信号記録再生手段353は、OPC(Optimum Power Calibration)処理時には、CPU354の制御下で、図示しないタイミング生成器等と共に、OPCパターンの記録及び再生処理により最適なレーザパワーの決定が行えるように、光ピックアップ352内に設けられた図示しない半導体レーザを駆動する。尚、信号記録再生手段353は、光ピックアップ352と共に、本発明に係る「書込手段」の一例を構成する。
メモリ355は、記録再生データのバッファ領域や、信号記録再生手段353で使用出来るデータに変換する時の中間バッファとして使用される領域など記録再生装置300におけるデータ処理全般及びOPC処理において使用される。また、メモリ355はこれらレコーダ機器としての動作を行うためのプログラム、即ちファームウェアが格納されるROM領域と、映像データの圧縮伸張で用いるバッファやプログラム動作に必要な変数が格納されるRAM領域などから構成される。
CPU(ドライブ制御手段)354は、記録再生装置300全体の制御を行う手段であり、バス357を介して信号記録再生手段353及びメモリ355と接続され、各制御手段に指示を行うように構成されている。通常、CPU354が動作するためのソフトウェア又はファームウェアは、メモリ355に格納されている。尚、CPU354は、メモリ355と共に、本発明に係る「制御手段」の一例を構成する。
データ入出力制御手段306は、記録再生装置300に対する外部からデータ入出力を制御し、メモリ355上のデータバッファへの格納及び取り出しを行うように構成されている。データの入出力が映像信号である場合には、データ入力時には外部から受け取ったデータをMPEGフォーマットに圧縮(エンコード)してからメモリ355へ出力し、データ出力時には、メモリ355から受け取ったMPEGフォーマットのデータを伸張(デコード)してから外部へ出力する。
操作制御手段307は、操作ボタン310から記録再生装置300に対する動作指示を受け付ける機能、及び、表示パネル311に表示データを送出する機能を有している。具体的には、記録又は再生といった操作ボタン310による指示をCPU354に伝達し、記録中や再生中といった記録再生装置300の動作状態を表示パネル311に出力するように、図示しないCPU及びメモリ等によって構成されている。
このような記録再生装置300は、例えば、映像を記録再生する家庭用レコーダ機器である。記録再生装置300は、メモリ355に格納されたプログラムをCPU354で実行させることでレコーダ機器としての動作、即ち、放送受信チューナや外部接続端子からの映像信号をディスクに記録し、テレビジョン受像機などの外部表示装置にディスクから再生した映像信号を出力することができる。
(本発明の情報記録装置による記録動作の流れ)
次に、図2ないし図3に示した光ディスク100の構造、図7及び図8を参照して、記録再生装置300による光ディスク100への記録動作について説明する。ここに図8は、本発明の情報記録方法の実施例として、記録再生装置300による光ディスク100に対する記録動作手順を示している。
光ディスク100が装填されると(ステップS201)、CPU354の制御下で、光ピックアップ352によりシーク動作が行われ、例えばDVD−R又はRW等の光ディスクの種類が判別される(ステップS202)。より具体的には、コントロールデータゾーンに例えば、物理的に記録された管理情報内の“Book Type”の値によって判別される。
引き続き、光ディスク100への記録処理に必要な各種管理情報が取得される(ステップS103)。この管理情報によって、記録済み領域のアドレス情報、記録層の数、並びに、記録層は、オポジットトラックパス、パラレルトラックパス又は単層であるかが識別される。
尚、ここでは特に、この管理情報によって、リードアウトエリアが予め形成されているか否か、プリ記録領域105はエンボスピット又は記録用レーザの照射によるプリピットのいずれであるか、並びに、プリ記録領域105の開始アドレス及び終了アドレスが識別される。但し、これらの識別情報は、仮に光ディスク100の規格形態が定められている場合には予め取得可能であり、例えばメモリ355にライティングソフトウェアとは別に又はその一部として予め記憶されていてもよい。
続いて、光ディスクが排出されるか否かが判定される(ステップS204)。ここで、排出されない場合(ステップS204:No)、更に、ドライブにおいて、記録を開始するように指示されたか否かが判定される(ステップS205)。記録を開始するように指示された場合(ステップS205:Yes)、最適記録レーザパワーを検出するOPC処理が行われ(ステップS206)、その最適記録レーザパワーが検出可能であれば(ステップS207:Yes)、CPU354の制御下で、L0層とL1層とに記録する情報量が算出され、L0層における折り返し点とL1層における対応アドレスが算出される(ステップS208)。その際、L1層における書き込み許容量は、書き込み可能な領域の終端のアドレス、即ちLast Recordable Addressに基づき算定される。このアドレスは、プリ記録エリア105の開始アドレスから割り出すことができる。
次に、L0層に記録すべき情報が有るか否かが判定される(ステップS209)。L0層に記録すべき情報が有る場合(ステップS209:Yes)、L0層に例えばセクタ単位又はECCブロック単位でデータの書き込みが行われる(ステップS210)。そして、L0層のミドルエリア104の一部に緩衝用データが書き足される(ステップS211)。更に、層間ジャンプを経て、L1層のミドルエリア104の一部として緩衝用データが書き足される(ステップS212)。
次に、L1層に記録すべき情報が有るか否かが判定される(ステップS213)。L1層に記録すべき情報が有る場合(ステップS213:Yes)、L1層において、例えばセクタ単位又はECCブロック単位で書き込みが行われる(ステップS214)。
本実施例では、上述のように、L1層に書き込むべきデータ量がLast Recordable Addressに基づいて予め定められているため、ここで誤ってプリ記録エリア105にまでデータを書き込むようなことが未然に防止されている。従って、光ディスク100には、適正にデータが記録される。
その後は、通常通りの処理が行われる。まず、ユーザデータエリア102内のファイルシステム(FS)を更新すべきか否かが判定され(ステップS215)、更新すべき場合には(ステップS215:Yes)、ファイルシステムが更新される(ステップS216)。
続いて、ファイナライズ処理が開始され、リードインエリア101に管理情報等が記録され(ステップS217)、リードアウトエリア103に緩衝用データが書き足される(ステップS218)。そして、L0層のミドルエリア104の残りの一部に緩衝用データが書き足され(ステップS219)。そして、層間ジャンプを経て、L1層のミドルエリア104の残りの一部に緩衝用データが書き足される(ステップS220)。
以上より、一連のシーケンシャル記録は終了される。
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例について、図9を参照して説明する。
図9は、図2と対応しており、図中上側に配置された本実施例に係る光ディスク110と、これに対応する図中下側に配置されたROMディスク210との夫々におけるデータ領域のレイアウトを示している。尚、本実施例の光ディスク110において、第1実施例の光ディスク100と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図9において、光ディスク110は、基本的構造は光ディスク100と同様であるが、プリ記録エリア115を、L0層のデータエリア112の終端、つまりミドルエリア104の直前の領域に設定している点で光ディスク100と異なっている。プリ記録エリア115は、データ構造上は、コンテンツとコンテンツの間に設けられていることになるが、物理的構成上は、2層のうち片方の終端に設けられている。第1実施例と同様、プリ記録エリア115によってデータエリア112のコンテンツデータが分断されないので、データ管理上都合がよい。
このような光ディスク110は、図9に示したROMディスク210に対して、コンテンツ保護機能を発揮する。即ち、ROMディスク210は、プリ記録エリア115と対応するデータ領域212cに、ビデオ再生制御情報PB2が記録されている。尚、こうした構成のために、光ディスク110及びROMディスク210は、夫々、矢印で図示した手順で再生動作を行う。
その他の作用及び効果は、第1実施例と同様である。
以上、実施例を挙げて本発明について説明したが、本発明の情報記録媒体、情報記録装置及び方法、並びにコンピュータプログラムは、上述の実施例の他にも種々の変形実施が可能である。例えば、第1及び第2実施例では、プリ記録エリアの位置及び範囲を、ビデオ再生制御情報の記録領域の位置及び範囲と完全に対応させるようにしたが、プリ記録エリアの位置及び範囲を、光ディスクのうち、ビデオ再生制御情報の記録領域と対応する領域の少なくとも一部が含まれるように設定しても構わない。この場合、ビデオ再生制御情報は不完全な状態でしか取得できず、実施例と同様、コンテンツの再生を阻止することが可能である。
或いは、第1及び第2実施例では、プリ記録エリアをリードアウトエリアの直前に設定したが、リードインエリアの直後であってもよい。以上の説明からもわかるように、プリ記録エリアは、保護対象とするコンテンツの再生制御情報の位置及び範囲に対応して設定されているだけで原理的にはコンテンツ保護の目的を達成することが可能である。しかしながら、プリ記録エリアを例えばデータエリアの中央に設定すると、記録データがプリ記録エリアで分断される場合を考慮しなければならず、データ管理が煩雑になる等の弊害が考えられる。そこで、本発明では、プリ記録エリアを、データエリアの端部に設定するものとしている。
また、本発明の情報記録媒体におけるプリ記録エリアに対しての「上書き不能」とは、全く書き込めないことの他に、完全な再生ができない程度の物理的な書き換えがなされる場合をも含んでいる。
また、本発明の情報記録媒体においては、リードインエリア、リードアウト又はミドルエリアは、更に細分化された構成であってもよい。また、2層型の光ディスクの場合は、記録再生方式として、上述のオポジット方式以外にパラレル方式を採用してもよい。また、本発明の情報記録媒体は、2層片面、即ちデュアルレイヤーに限定されるものではなく、2層両面、即ちデュアルレイヤーダブルサイドであってもよい。更に、記録層は、上述の如く2層に限られることなく、単層或いは3層以上であってもよい。
上記実施例では、本発明の情報記録媒体の具体例として、2層型DVD−R又はDVD−R/W等の光ディスクについて説明したが、本発明は、その他の種類の情報記録媒体、例えばブルーレイ(Blue-ray)ディスク等の大容量記録媒体などにも適用可能である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報記録媒体、情報記録装置及び方法、並びにコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。