JP4138528B2 - 乗員拘束装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、折り畳んだエアバッグをルーフの左右両側部に沿って配置し、車両の衝突時にインフレータが発生するガスでエアバッグを膨張させて車室の側部内面に沿ってカーテン状に展開させる乗員拘束装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる乗員拘束装置は、例えば下記特許文献により公知である。この乗員拘束装置は、左右のルーフサイドレールの前後方向中央部にそれぞれインフレータを配置し、右側のインフレータで右側のエアバッグを展開し、左側のインフレータで左側のエアバッグを展開するようになっている。
【0003】
【特許文献】
特開平11−321538号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記従来の乗員拘束装置は、2個のインフレータを必要とするために部品点数が増加する問題があり、またルーフサイドレールの前後方向中央部にインフレータを配置しているので、もともとヘッドクリアランスが小さい乗員の頭部とルーフサイドレールとの距離が更に小さくなって居住性が低下する問題がある。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、乗員拘束装置の部品点数を減少させるとともに、乗員とルーフサイドレールとの間のヘッドクリアランスを増加させて居住性を改善することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、折り畳んだエアバッグをルーフの左右両側部に沿って配置し、車両の衝突時にインフレータが発生するガスでエアバッグを膨張させて車室の側部内面に沿ってカーテン状に展開させる乗員拘束装置において、ルーフの車体前後方向中央部にその下面を補強すべく設けられて左右方向に延びるルーフアーチの内部に、該ルーフアーチに沿って延びるインフレータを配置し、このインフレータの左右各端部から、左右のエアバッグに選択的にガスを供給するガス供給パイプをそれぞれ延出し、その左右のガス供給パイプの各先端を、前記左右のエアバッグの各車体前後方向中央部で該エアバッグの前後にガスを分配する前側および後側のガス分配通路にそれぞれ接続し、前記インフレータを、前記ルーフアーチ内にその長手方向に沿って配置されるパイプ状の圧力容器と、その圧力容器の両端部にそれぞれ設けられて、該圧力容器内に単一の蓄圧室を形成する一対の端部隔壁と、前記単一の蓄圧室に充填される圧縮ガスと、前記一対の端部隔壁にそれぞれ対応して前記圧力容器内に設けられて作動時には対応する端部隔壁を破壊し得る一対のインフレータ作動手段とを備え、車両に設けられたセンサの検知信号に基づく電子制御ユニットからの指令により、前記一対のインフレータ作動手段の何れか一方が選択的に作動して、対応する端部隔壁を破壊することで、前記蓄圧室内の圧縮ガスが左右のエアバッグの一方に選択的に供給されることを特徴とする乗員拘束装置が提案される。
【0007】
上記構成によれば、ルーフの車体前後方向中央部にその下面を補強すべく設けられて左右方向に延びるルーフアーチの内部に、該ルーフアーチに沿って延びるように配置したインフレータの左右各端部から、左右のエアバッグに選択的にガスを供給するガス供給パイプをそれぞれ延出し、その左右のガス供給パイプの各先端を、前記左右のエアバッグの各車体前後方向中央部で該エアバッグの前後にガスを分配する前側および後側のガス分配通路にそれぞれ接続し、前記インフレータを、ルーフアーチ内にその長手方向に沿って配置されるパイプ状の圧力容器と、その圧力容器の両端部にそれぞれ設けられて、該圧力容器内に単一の蓄圧室を形成する一対の端部隔壁と、前記単一の蓄圧室に充填される圧縮ガスと、前記一対の端部隔壁にそれぞれ対応して前記圧力容器内に設けられて作動時には対応する端部隔壁を破壊し得る一対のインフレータ作動手段とを備えて構成し、車両に設けられたセンサの検知信号に基づく電子制御ユニットからの指令により、前記一対のインフレータ作動手段の何れか一方が選択的に作動して、対応する端部隔壁を破壊することで、前記蓄圧室内の圧縮ガスが左右のエアバッグの一方に選択的に供給されるので、左右のエアバッグにそれぞれ対応して2個のインフレータを設ける場合に比べて部品点数を削減することができ、しかもルーフサイドレールにインフレータを配置する場合に比べて、ルーフサイドレールと乗員の頭部との距離を確保して居住性が高めることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0009】
図1〜図6は本発明の第1参考例を示すもので、図1はエアバッグの非展開時の自動車の車室内面を示す図、図2はエアバッグの展開時の自動車の車室内面を示す図、図3は図1の3方向矢視図、図4は展開したエアバッグの側面図、図5は乗員拘束装置の分解斜視図、図6は図3の6−6線拡大断面図である。
【0010】
図1および図2に示すように、前列シート11、中央列シート12および後列シート13を備えたRV車は、Aピラー14、Bピラー15、Cピラー16およびDピラー17を備えており、Aピラー14およびBピラー15間にフロントドア18が配置され、Bピラー15およびCピラー16間にリヤドア19が配置され、Dピラー17の後方にテールゲート20が配置される。乗員拘束装置Cの折り畳まれたエアバッグ21は、Aピラー14およびDピラー17に挟まれたルーフ22の側部に沿って車体前後方向に収納される。尚、乗員拘束装置Cは、実質的に同一構造のものが車体の左右両側にそれぞれ設けられているが、以下その代表として車体の右側に設けられたものについて説明する。
【0011】
図4および図5から明らかなように、エアバッグ21は2枚重ねの基布31を縫製32…して構成されるもので、その上縁に沿って前後方向に延びる筒状の前側および後側のガス分配通路21a,21bを備えるとともに、前側のガス分配通路21aから下向きに分岐して前列シート11の乗員の頭部を保護する複数個のセル21c…と、後側のガス分配通路21bから下向きに分岐して中央列シート12の乗員の頭部を保護する複数個のセル21d…と、後側のガス分配通路21bから下向きに分岐して後列シート13の乗員の頭部を保護する複数個のセル21e…とを備える。
【0012】
前列シート11の乗員用のセル21c…の前方にはガスが供給されない非膨張部21fが形成され、前列シート11の乗員用のセル21c…および中央列シート12の乗員用のセル21d…の間にはガスが供給されない非膨張部21gが形成され、中央列シート12の乗員用のセル21d…および後列シート13の乗員用のセル21e…の間にはガスが供給されない非膨張部21hが形成される。そしてエアバッグ21の上縁に沿って形成された複数個の取付部21i…が、ルーフ22、Aピラー14およびDピラー17に固定される。
【0013】
折り畳まれたエアバッグ21は前後に2分割された布製のカバー33,34によって包まれる。各々のカバー33,34は下縁に沿って縫製されて筒状に構成されており、その長手方向に沿って形成したミシン目状の破断部33a…,34a…が破断することで、エアバッグ21の膨張を可能にする。エアバッグ21の上縁に沿って形成された複数個の取付部21i…は、カバー33,34の上面に形成された開口33b…,34b…を通して上方に突出する。
【0014】
図3〜図5から明らかなように、ルーフ22の中央部にインフレータ35が左右方向(車幅方向)に配置される。インフレータ35は、ルーフ22の下面を補強するルーフアーチ36の凹部に保持される。インフレータ35の左右各端部から延びるガス供給パイプ37はガス分配パイプ38の中央部に接続され、その前端のガス噴出口38aが前側のガス分配通路21aの後端の前部ガス供給口21jに挿入されて固定バンド39で固定され、その後端のガス噴出口38bが後側のガス分配通路21bの前端の後部ガス供給口21kに挿入されて固定バンド40で固定される。このとき、固定バンド39,40と干渉しないように前後のガス供給口21j,21kの下方において基布31が台形状に切り取られて開口21mが形成される。
【0015】
図6から明らかなように、インフレータ35はパイプ状の圧力容器41を備えており、その内部は2個の端部隔壁41a,41aおよび1個の中央隔壁41bで2個の蓄圧室42,42に区画されており、それぞれの蓄圧室42,42に圧縮ガスが充填されている。圧力容器41の両端部には端部隔壁41a,41aを破壊するインフレータ作動手段43,43が設けられており、これらのインフレータ作動手段43,43は、側突センサ44あるいはロールオーバーセンサ45からの信号が入力される電子制御ユニット46に接続される。
【0016】
次に、上記構成を備えた本発明の第1参考例の作用を説明する。
【0017】
側突センサ44あるいはロールオーバーセンサ45によって車両の側面衝突やロールオーバーが検知されると、電子制御ユニット46からの指令で例えば左右一方のインフレータ作動手段43が作動して左右一方の端部隔壁41aを破壊し、左右一方の蓄圧室42に充填されたガスがガス供給パイプ37およびガス分配パイプ38を介してエアバッグ21の前後のガス分配通路21a,21bに供給され、そこから各セル21c…,21d…,21e…に流入する。その結果、折り畳み状態でルーフ22の側部に沿って収納されていた左右一方のエアバッグ21が膨張し、その圧力でルーフガーニッシュを押し下げて形成した開口を通して、エアバッグ21が車室内に下向きに展開する。展開したエアバッグ21の前側のセル21c…は前列シート11の乗員の頭部を保護し、中央のセル21d…は中央列シート12の乗員の頭部を保護し、後側のセル21e…は後列シート13の乗員の頭部を保護する。
【0018】
以上のように、ルーフ22のルーフアーチ36内部の左右方向中央部に単一のインフレータ35を配置し、このインフレータ35から左右のエアバッグ21,21に選択的にガスを供給して展開させるので、左右のエアバッグ21,21にそれぞれ対応して2個のインフレータを設ける場合に比べて部品点数を削減することができる。またルーフサイドレールにインフレータを配置する場合に比べて、ルーフサイドレールと乗員の頭部との距離を確保して居住性が高めることができる。
【0019】
次に、図7に基づいて本発明の実施例を説明する。
【0020】
第1参考例のインフレータ35の圧力容器41は中央隔壁41bで2個の蓄圧室42,42に区画されているが、実施例のインフレータ35の圧力容器41は中央隔壁41bを備えておらず、単一の蓄圧室42が左右のエアバッグ21,21に対して設けられる。この実施例によっても、前記第1参考例と同様の作用効果を達成することができる。
【0021】
次に、図8および図9に基づいて本発明の第参考例を説明する。
【0022】
第1参考例、および実施例のインフレータ35はルーフ22のルーフアーチ36内部で車体左右方向に配置されているが、第参考例のインフレータ35は車体中心線に沿って車体前後方向に配置されている。インフレータ35から車体前方に延びるガス入口パイプ51の先端に分配弁52が設けられており、分配弁52から左右方向に分岐する2本のガス出口パイプ53,53がガス供給パイプ37,37を介して左右のエアバッグ21,21にそれぞれ接続される。分配弁52は、電子制御ユニット46に接続されたアクチュエータ54の出力軸55に固定されて左右に回転し、ガス入口パイプ51を左右のガス出口パイプ53,53に選択的に接続するバタフライ型の弁体56を備える。
【0023】
車両の側面衝突やロールオーバーが検知されると電子制御ユニット46からの指令で分配弁52のアクチュエータ54が作動し、弁体56を左右一方に揺動させる。これと同時にインフレータ作動手段(図示せず)を作動させることで、圧力容器41内のガスを分配弁52を介して左右一方のエアバッグ21に供給することができる。
【0024】
この第参考例によっても、単一のインフレータ35で左右のエアバッグ21,21を選択的に作動させることができるので、左右のエアバッグ21,21にそれぞれ対応して2個のインフレータを設ける場合に比べて部品点数を削減することができ、しかもルーフサイドレールにインフレータを配置する場合に比べて、ルーフサイドレールと乗員の頭部との距離を確保して居住性を高めることができる。
【0025】
次に、図10に基づいて本発明の第参考例を説明する。
【0026】
参考例では分配弁52がバタフライ型の弁体56を備えているが、第参考例の分配弁52はロータリ型の弁体56を備えている。この第参考例によっても、前記第参考例と同様の作用効果を達成することができる。
【0027】
尚、本発明の技術範囲には含まれないが、単一のインフレータを車体のフロアに配置し、そのインフレータから左右のエアバッグに選択的にガスを供給することができる。
【0028】
以上、本発明の実施例,参考例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である
【0029】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、ルーフの車体前後方向中央部にその下面を補強すべく設けられて左右方向に延びるルーフアーチの内部に、該ルーフアーチに沿って延びるように配置したインフレータの左右各端部から、左右のエアバッグに選択的にガスを供給するガス供給パイプをそれぞれ延出し、その左右のガス供給パイプの各先端を、前記左右のエアバッグの各車体前後方向中央部で該エアバッグの前後にガスを分配する前側および後側のガス分配通路にそれぞれ接続し、前記インフレータを、ルーフアーチ内にその長手方向に沿って配置されるパイプ状の圧力容器と、その圧力容器の両端部にそれぞれ設けられて、該圧力容器内に単一の蓄圧室を形成する一対の端部隔壁と、前記単一の蓄圧室に充填される圧縮ガスと、前記一対の端部隔壁にそれぞれ対応して前記圧力容器内に設けられて作動時には対応する端部隔壁を破壊し得る一対のインフレータ作動手段とを備えて構成し、車両に設けられたセンサの検知信号に基づく電子制御ユニットからの指令により、前記一対のインフレータ作動手段の何れか一方が選択的に作動して、対応する端部隔壁を破壊することで、前記蓄圧室内の圧縮ガスが左右のエアバッグの一方に選択的に供給されるので、左右のエアバッグにそれぞれ対応して2個のインフレータを設ける場合に比べて部品点数を削減することができ、しかもルーフサイドレールにインフレータを配置する場合に比べて、ルーフサイドレールと乗員の頭部との距離を確保して居住性が高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1参考例に係る、エアバッグの非展開時の自動車の車室内面を示す図
【図2】 本発明の第1参考例に係る、エアバッグの展開時の自動車の車室内面を示す図
【図3】 図1の3方向矢視図
【図4】 本発明の第1参考例に係る、展開したエアバッグの側面図
【図5】 本発明の第1参考例に係る、乗員拘束装置の分解斜視図
【図6】 図3の6−6線拡大断面図
【図7】 本発明の実施例に係る、前記図6に対応する図
【図8】 本発明の第参考例に係る、前記図3に対応する図
【図9】 図8の9部拡大図
【図10】 本発明の第参考例に係る、前記図9に対応する図
【符号の説明】
21 エアバッグ
21a 前側のガス分配通路
21b 後側のガス分配通路
22 ルーフ
35 インフレータ
36 ルーフアーチ
37 ガス供給パイプ
41 パイプ状の圧力容器
41a 端部隔壁
42 蓄圧室
43 インフレータ作動手段
44 センサ(側突センサ)
45 センサ(ロールオーバーセンサ)
46 電子制御ユニット

Claims (1)

  1. 折り畳んだエアバッグ(21)をルーフ(22)の左右両側部に沿って配置し、車両の衝突時にインフレータ(35)が発生するガスでエアバッグ(21)を膨張させて車室の側部内面に沿ってカーテン状に展開させる乗員拘束装置において、
    ルーフ(22)の車体前後方向中央部にその下面を補強すべく設けられて左右方向に延びるルーフアーチ(36)の内部に、該ルーフアーチ(36)に沿って延びるインフレータ(35)を配置し、このインフレータ(35)の左右各端部から、左右のエアバッグ(21)に選択的にガスを供給するガス供給パイプ(37)をそれぞれ延出し、その左右のガス供給パイプ(37)の各先端を、前記左右のエアバッグ(21)の各車体前後方向中央部で該エアバッグ(21)の前後にガスを分配する前側および後側のガス分配通路(21a,21b)にそれぞれ接続し
    前記インフレータ(35)を、前記ルーフアーチ(36)内にその長手方向に沿って配置されるパイプ状の圧力容器(41)と、その圧力容器(41)の両端部にそれぞれ設けられて、該圧力容器(41)内に単一の蓄圧室(42)を形成する一対の端部隔壁(41a,41a)と、前記単一の蓄圧室(42)に充填される圧縮ガスと、前記一対の端部隔壁(41a,41a)にそれぞれ対応して前記圧力容器(41)内に設けられて作動時には対応する端部隔壁(41a,41a)を破壊し得る一対のインフレータ作動手段(43,43)とを備え、
    車両に設けられたセンサ(44,45)の検知信号に基づく電子制御ユニット(46)からの指令により、前記一対のインフレータ作動手段(43,43)の何れか一方が選択的に作動して、対応する端部隔壁(41a,41a)を破壊することで、前記蓄圧室(42)内の圧縮ガスが左右のエアバッグ(21)の一方に選択的に供給されることを特徴とする乗員拘束装置。
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