JP4138299B2 - 高密度リポタンパク−コレステロール上昇剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物を含有してなる高密度リポタンパク(HDL)−コレステロール上昇剤に関する。また、本発明は、スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物を含有してなる家族性高コレステロール血症予防・治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
血清脂質濃度の異常増加を高脂質血症(hyperlipidemia)または高脂血症(hyperlipemia)と呼ぶ。血清脂質にはコレステロール(コレステロールエステル,遊離コレステロール)、リン脂質(レシチン,スフィンゴミエリンなど)、トリグリセライド(中性脂肪)、遊離脂肪酸、その他のステロール類などがあるが、とくに臨床的に問題となるのは、コレステロール,トリグリセライドの増加である(COMMON DISEASE SERIES No.19 高脂血症 中村治雄編集 1991年10月10日発行南江堂)。
高コレステロール血症が、高血圧、喫煙とともに心筋梗塞、狭心症、脳梗塞等の動脈硬化性疾患の三大危険因子であることは、数多くの疫学調査によって明らかにされている。従って、血中コレステロール値の適切なコントロールは、虚血性心疾患をはじめとする動脈硬化性疾患の予防または治療に極めて重要である。血中コレステロール値を低下させる薬剤としては、コレスチラミン(Cholestyramine)、コレスチポール(Colestipol)等の胆汁酸を捕捉してその吸収を阻害するもの(例えば米国特許第4027009号に開示)、メリナミド(Melinamide)(英国特許第1123004号に開示)等のアシルコエンザイムAコレステロールアシル転移酵素(ACAT)を阻害してコレステロールの腸管吸収を抑制するもの、さらに最近では3―ヒドロキシ−3―メチルグルタリルコエンザイムA(HMG―CoA)還元酵素を阻害するロバスタチン(Lovastatin)(米国特許第4231938号に開示)、シンバスタチン(Simvastatin)(米国特許第4231938号に開示)、(米国特許第4444784号に開示)、プラバスタチン(Pravastatin)(米国特許第4346227号に開示)等のコレステロールの生合成を抑制する薬剤が注目されている。しかし、HMG−CoA還元酵素を阻害するとコレステロールの生合成以外に、ユビキノン、ドリコールやヘムAのような、その他の生体に必要な成分の生合成も阻害されるため、それらに起因する副作用が懸念される等十分に満足できる薬剤ではない。
【0003】
ユビキノン、ドリコール、ヘムA等は、コレステロール生合成経路上のファルネシルピロリン酸から生合成されることが知られており、従ってこれらの欠損による副作用をなくするためには、コレステロール生合成経路において、ファルネシルピロリン酸以降の酵素系を阻害することが望ましい。例えば、2,3−オキシドスクアレンシクラーゼ(EC 5.4.99.7)は、2,3−オキシドスクアレンをラノステロールに変換する酵素であり、2,3−オキシドスクアレンシクラーゼの阻害は、コレステロールへの変換に利用されるラノステロールの生成を阻害することによりコレステロール合成量を減らす結果となり、最終的に血中コレステロールの低下をもたらす。更に、2,3−オキシドスクアレンシクラーゼを阻害した結果蓄積する2,3−オキシドスクアレンは、ジオキシドスクアレンを経てオキシステロールに代謝変換され、このオキシステロールはHMG−CoA還元酵素のレプレッサーであることが知られている〔エフ・アール・テイラー(F. R. Taylor)ら,ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.),1986年,第261巻(32),第15039頁から第15044頁〕。従って、2,3−オキシドスクアレンシクラーゼ阻害薬はコレステロール生合成経路におけるファルネシルピロリン酸以降の一酵素を阻害するだけでなく、HMG−CoA還元酵素を転写レベルで抑制することによる相乗効果により、 コレステロール生合成を強力に阻害することができる。2,3−オキシドスクアレンシクラ−ゼ阻害薬としては、ジフェニル誘導体〔欧州特許第464465号に開示〕、アミノアルコキシベンゼン誘導体〔欧州特許第410359号に開示〕およびピペリジン誘導体〔ディー・エス・ドッド(D. S. Dodd)ら,ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.),1992年,第57巻,第2794頁から第2803頁および第7226頁から第7234頁および特開平4−234362に記載〕、デカリン誘導体、アザデカリン誘導体およびインダン誘導体〔WO 80/08450; ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.),1981年,第254巻,第11258頁から第11263頁; エヌ・ガースト(N. Gerst)ら,バイオケミカル・ファーマコロジー(Biochem Pharmacology),1988年,第37巻,第1955頁から第1964頁;エム・ダブリュウ・ワンナメイカー(M. W. Wannamaker),ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J. Med. Chem.),1992年,第35巻,第3581頁から第3583頁;特開平5−140112および特開昭64−3144に記載〕、2−アザ−2,3−ジヒドロスクアレンおよび2,3−エピミノスクアレン〔エイ・ドゥリアッチ(A. Duriatti)ら,バイオケミカル・ファーマコロジー(Biochem. Pharmacology),1985年,第34巻,第2765頁から第2777頁に記載〕、スクアレノイドエポキシドビニルエーテル〔エム・セルチ(M. Ceruti)ら,ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイエティー・パーキン・トランスアクション 1(J. Chem. Soc. Perkin. Trans,1),1988年,第461頁から第469頁に記載〕、 29−メチリデン−2,3−オキシドスクアレン〔ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J. Amer. Chem. Soc.),1991年,第113巻,第9673頁から第9674頁に記載〕、 アザシクロアルカン誘導体〔特開平6−192256に開示〕およびアリールシクロアルキルアミン誘導体〔特開平6−211763〕等が報告されている。
コレステロール生合成を阻害する化合物はいくつかの症候群の治療に有用である。特に、高コレステロール血症および高脂血症が挙げられ、これらはアテローム性動脈硬化血管病変およびそれらの続発症、例えば、冠動脈疾患(CHD)、脳虚血、間欠性跛行、壊疽等の発症におけるリスク因子である。アテローム性動脈硬化は血管内膜におけるマクロファージや血管平滑筋細胞の増殖とそれらの細胞へのコレステロール蓄積といった血管病変が主である。アテローム性動脈硬化の発症に高コレステロール血症、特に低密度リポタンパク(LDL)−コレステロールの高値が重大なリスク因子であることは一般に認められている。疫学的研究から心臓病の発症頻度が血中コレステロール低下により減少し得ることが明らかになった(Lipidology 2(4),234,1991 参照)ことから、これまでは、血中脂質低下剤によりアテローム性動脈硬化性血管病変を抑制しようとしてきた。しかしながら、血中脂質低下剤はあくまでも予防的であり、治療を目指したものではない。
肝低密度リポタンパク(LDL)受容体は、コレステロール恒常性に主要な役割を果たしている。特にLDL受容体遺伝子の異常に基づく遺伝病である家族性高コレステロール血症は最も高頻度で認められる遺伝疾患の一つであり、高LDLコレステロール血症、黄色種および若年性粥状動脈硬化の成因となる。LDLの形態で循環しているコレステロールは、非常に特異的なLDL受容体により血漿から除去され、受容体仲介細胞内取込みにより細胞内に取込まれる。細胞内に取込まれると、LDL粒子はリソソームで分解され、それによりコレステロールが遊離され、遊離コレステロールの細胞内濃度を高める。増加した遊離コレステロール濃度は肝細胞に信号を送ってコレステロール生合成経路中のキー酵素の遺伝子の転写速度を低下させ、新規コレステロール合成の低下を生ずる。また、LDL受容体 mRNAおよびタンパク質は細胞内に増加したコレステロールによリダウンレギュレートされ、増加したLDLコレステロールを血漿から除去する肝臓の能力が低下する。従って、LDL受容体を独立にアップレギュレートする機構は血漿コレステロール濃度を一層大きく低下させると予想され、LDL受容体をアップレギュレートするような薬剤は、新たな血中脂質低下剤となり得る可能性がある。
また、トリグリセライド低下剤としては、フィブリン酸系化合物、例えば、クロフィブラート(英国特許第860303号),フェノフィブラート(ドイツ特許第2250327号)などが医薬に供されている。
また、高密度リポタンパク(HDL)−コレステロールが、心臓病の発症頻度を抑制することも疫学的に知られており、またその理由として、HDLが泡沫化細胞からコレステロールを引き抜くことが認められていた。
一方、スクアレン合成酵素を阻害することによるコレテロールの生合成阻害作用を有する化合物としては、例えば、スクアレスタチン類(例えば、米国特許第5506262号、米国特許第5430055号、米国特許第5409950号、米国特許第5369125号、特開平7-173166号、特開平9-124655号、特開平9-227566号 Annual Review of Microbiology, Vol.49, 607-639頁, 1995年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.38, 3502-3513頁, 1995年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.39, 207-216頁, 1996年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.39, 1413-1422頁, 1996年など)、基質アナローグのリン酸化合物およびカルボン酸化合物(例えば、米国特許第5374628号、米国特許第5441946号、米国特許第5428028号、特開平7-041554号、WO9504025号、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.38, 2596-2605頁, 1995年、Arzniemittel-Forschung Drug Research, Vol.46, 759-762頁, 1996年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.31, 1869-1871頁, 1988年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.39, 657-660頁, 1996年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.39, 661-664頁, 1996年など)、カルボン酸誘導体(例えば、WO9740006号、WO9633159号、WO9521834号、WO9748701号、欧州特許第645377号、欧州特許第645378号、欧州特許第814080号、欧州特許第790235号、特開平7-173120号、特開平10-316634号、特開平10-298134号、特開平10-298177号、特開平10-316617号、特開平9-136880号、WO2000-00458号、WO98-29380号、Bioorganic Medicinal Chemistry Letters, Vol.5, 1989-1994頁, 1995年、Bioorganic Medicinal Chemistry Letters, Vol.6, 463-466頁, 1996年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.40, 2123-2125頁, 1997年など)、キヌクリジン誘導体などのアミン系化合物(例えば、米国特許第5385912号, 米国特許第5494918号, 米国特許第5395846号, 米国特許第5451596号、特開平8-134067号、特開平2000-169474号、特開平10-152453号、特開平2000-502716号、WO9403541号、WO 9405660号、WO9535295号、WO9626938号、WO9531458号、WO9500146号、WO9725043号、WO9812170号など)などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物が、高密度リポタンパク(HDL)−コレステロールの血中含有量に関与し、特に血漿中の含有量を上昇させるとの報告はなく、また、高脂血症予防・治療作用あるいは家族性高コレステロール血症予防・治療作用等において十分に満足できる効果を有する新規な薬剤の開発が待たれているのが現状である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物が、高密度リポタンパク(HDL)−コレステロール上昇剤として有用であることを初めて見い出すと共に、さらに高脂血症予防・治療作用、家族性高コレステロール血症予防・治療作用等を有する医薬品として臨床的に十分に有用であることを見い出して、本研究を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は
(1)スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物またはその塩、またはそのプロドラッグを含有してなる高密度リポタンパク−コレステロール上昇剤;
(2)原発性低高密度リポタンパク−コレステロール血症予防・治療剤である前記(1)記載の剤;
(3)タンジェール病予防・治療剤である前記(1)記載の剤;
(4)スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物が、式
【化11】
〔式中、R1は水素または置換されていてもよい炭化水素基を、R2およびR3は同一または異なって水素,置換されていてもよい炭化水素基あるいは置換されていてもよい複素環基を、X'はエステル化されていてもよいカルボキシル基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基あるいは脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基から構成される置換基を、環Aは置換されていてもよいベンゼン環または置換されていてもよい複素環を、環J'は環構成原子として3個以下のヘテロ原子を含有する7または8員の複素環を、環J'はR1,R2,R3およびX'以外にさらに置換基を有していてもよい〕で表わされる化合物またはその塩である前記(1)記載の剤;
(5)R1が置換されていてもよい脂肪族非環状炭化水素基である前記(4)記載の剤;
(6)脂肪族非環状炭化水素基が分枝状アルキル基である前記(5)記載の剤;
(7)R2またはR3が置換されていてもよいフェニル基である前記(4)記載の剤;
(8)X'がエステル化されていてもよいカルボキシル基で置換されているアルキル基である前記(4)記載の剤;
(9)X'が脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基で置換されているアルキル基である前記(4)記載の剤;
(10)複素環残基が
【化12】
である前記(9)記載の剤;
(11)X’が置換されていてもよいカルバモイル基で置換されたアルキル基である前記(4)記載の剤;
(12)置換されていてもよいカルバモイル基が置換されていてもよい環状アミノカルボニル基である前記(11)記載の剤;
(13)アルキル基が直鎖状の炭素数1ないし4のアルキル基である前記(8)、(9)または(11)記載の剤;
(14)環Aで示される複素環が
【化13】
である前記(4)記載の剤;
(15)環J'の置換基がオキソまたはチオキソである前記(4)記載の剤;
(16)環Aと環J'とからなる縮合環が
【化14】
である前記(4)記載の剤;
(17)R2およびR3がそれぞれ、水素原子,置換されていてもよいアルキル基,置換されていてもよいフェニル基または置換されていてもよい芳香族複素環基である前記(4)記載の剤;
(18)式
【化15】
〔式中、R1は水素または置換されていてもよい炭化水素基を、R2およびR3は同一または異なって水素,置換されていてもよい炭化水素基あるいは置換されていてもよい複素環基を、X1は結合手または2価の原子鎖を、Yはエステル化されていてもよいカルボキシル基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基またはプロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基を、環Bは置換されていてもよいベンゼン環を示す〕で表わされる化合物またはその塩、またはそのプロドラッグを含有してなる前記(1)記載の剤;
(19)R1が置換されていてもよい脂肪族非環状炭化水素基である前記(18)記載の剤;
(20)脂肪族非環状炭化水素基が分枝状アルキル基である前記(19)記載の剤;
(21)R2またはR3が置換されていてもよいフェニル基である前記(18)記載の剤;
(22)X1が直鎖状または分枝状のアルキレンである前記(18)記載の剤;
(23)X1が直鎖状の炭素数1ないし4のアルキレンである前記(18)記載の剤;
(24)Yがエステル化されていてもよいカルボキシル基である前記(18)記載の剤;
(25)Yが置換されていてもよいカルバモイル基である前記(18)記載の剤;
(26)Yが脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基である前記(18)記載の剤;
(27)複素環残基が
【化16】
である前記(26)記載の剤;
(28)式
【化17】
〔式中、Rbは置換されていてもよい水酸基で置換されていてもよい低級アルキル基を、Xbは置換されていてもよいカルバモイル基または脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環基を、R1bは低級アルキル基を、Wはハロゲン原子を示す。〕で表わされる化合物またはその塩、またはそのプロドラッグを含有してなる前記(1)記載の剤;
(29)Rbが水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,t−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシおよび2−アミノプロピオニルオキシから選ばれた1ないし3個の置換基を有していてもよいC1−6アルキルである前記(28)記載の剤;
(30)R1bがメチルである前記(28)記載の剤;
(31)Wが塩素原子である前記(28)記載の剤;
(32)Xbが式
【化18】
〔式中、R2 bおよびR3 bはそれぞれ水素原子、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基またはアシル基であるか、あるいはR2 bおよびR3 bは隣接する窒素原子と一緒になって、窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし3個環構成原子として含んでいてもよい置換されていてもよい5または6員含窒素複素環を形成していてもよい〕で表される基である前記(28)記載の剤;
(33)Xbが式
【化19】
〔式中、R"は水素原子またはC1−4アルキルを示す〕で表される基である前記(28)記載の剤;
(34)式
【化20】
〔式中、R1cは置換基を有していてもよい1−カルボキシエチル基、置換基を有していてもよいカルボキシ−C3−6直鎖アルキル基、置換基を有していてもよいC3−6直鎖アルキル−スルホニル基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C5−7シクロアルキル)−C1−3アルキル基、または 式 −X1−X2−Ar−X3−X4−COOH(式中、X1およびX4はそれぞれ結合手または置換基を有していてもよいC1−4アルキレン基を示し、X2およびX3はそれぞれ結合手、−O−または−S−を示し、Arは置換基を有していてもよい2価の芳香環基を示す。但し、X1が結合手のとき、X2は結合手を示し、X4が結合手のとき、X3は結合手を示す)で表される基を示し、R2cはアルカノイルオキシ基および/または水酸基で置換されていてもよいC3−6アルキル基を示し、R3cは低級アルキル基を示し、Wはハロゲン原子を示す〕で表される化合物またはその塩、またはそのプロドラッグを含有してなる前記(1)記載の剤;
(35)R1cが3−カルボキシプロピル基、1−カルボキシエチル基、それぞれ置換基を有していてもよいC3−6直鎖アルキル−スルホニル基、(カルボキシ−C5−7シクロアルキル)−C1−3アルキル基、(カルボキシフリル)−アルキル基、カルボキシ−C6−10アリール基、(カルボキシ−C2−3アルキル)−C6−10アリール基または(カルボキシ−C1−3アルキル)−C7−14アラルキル基である前記(34)記載の剤;
(36)R1cが置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−C6−10アリール基である前記(34)記載の剤;
(37)R2cがアルカノイルオキシ基および/または水酸基を有するC3−6アルキル基である前記(34)記載の剤;
(38)R2cが水酸基、アセトキシ、プロピオニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシおよびパルミトイルオキシから選ばれた1ないし3個の置換基を有していてもよいC3−6アルキル基である前記(34)記載の剤;
(39)R3cがメチル基である前記(34)記載の剤;
(40)Wが塩素原子である前記(34)記載の剤;
(41)3位がR−配位で5位がS−配位である前記(34)記載の剤;
(42) N−プロパンスルホニル−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
(2R)−2−〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノプロピオン酸、
3-〔3-〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(2,2-ジメチルプロピル)−2−オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノフェニル〕プロピオン酸、
4-〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(2,2−ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノブタン酸、
トランス−4−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボン酸、
トランス−4−〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボン酸、
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノ〕−4−フルオロフェニル〕プロピオン酸、
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノ〕−4−メチルフェニル〕プロピオン酸、
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノ〕−4−メチルフェニル〕プロピオン酸、
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノメチル〕フェニル〕プロピオン酸、
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノメチル〕フェニル〕プロピオン酸、
3-〔3-〔〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノ〕-4-メトキシフェニル〕プロピオン酸、
2−〔2−〔〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノ〕エチル〕フラン−3−カルボン酸、
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼン−3−イル〕アセチル〕アミノ〕−4−フルオロフェニル〕プロピオン酸、
3-〔3-〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕 アミノフェニル〕プロピオン酸、
N−メタンスルホニル−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
N−メタンスルホニル−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
N−〔2−(ピロリジン−1−イル)エチル〕−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
N−〔2−(ピロリジン−1−イル)エチル〕−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
N−メタンスルホニル−[(3R,5S)−1−〔3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
N−メタンスルホニル−[(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸、
N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸、
N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸 エチルエステル、
N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸 エチルエステル、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−3−〔1H(または3H)−テトラゾール−5−イル〕メチル−4,1−ベンゾオキサゼピン−2−オン、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−3−〔1H(または3H)−テトラゾール−5−イル〕メチル−4,1−ベンゾオキサゼピン−2−オン、
(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−3−〔1H(または3H)−テトラゾール−5−イル〕メチル−4,1−ベンゾオキサゼピン−2−オン、
(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−3−〔1H(または3H)−テトラゾール−5−イル〕メチル−4,1−ベンゾオキサゼピン−2−オン、
N−〔2−(ピロリジン−1−イル)エチル〕−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンズオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンズオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(4−エトキシ−2−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンズオキサゼピン−3−酢酸、
4-〔3-〔〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノ〕-4-メトキシフェニル〕ブタン酸、
5-〔3-〔〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノ〕-4-メトキシフェニル〕ペンタン酸、
5-〔3-〔〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノ〕-4-フルオロフェニル〕ペンタン酸またはその薬理学的に許容し得る塩、またはそのプロドラッグを含有してなる前記(1)記載の剤;
(43)スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物またはその塩、またはそのプロドラッグを含有してなる家族性高コレステロール血症予防・治療剤;
(44)スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物またはその塩、またはそのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする哺乳動物における高密度リポタンパク−コレステロール上昇方法;
(45)スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物またはその塩、またはそのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする哺乳動物における原発性低高密度リポタンパク−コレステロール血症の予防・治療方法;
(46)スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物またはその塩、またはそのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする哺乳動物におけるタンジェール病の予防・治療方法;
(47)スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物またはその塩、またはそのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする哺乳動物における家族性高コレステロール血症の予防・治療方法;
(48)スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物またはその塩、またはそのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することにより、哺乳動物における高密度リポタンパク−コレステロールを上昇させることを特徴とする高脂血症または動脈硬化の予防・治療方法;
(49)高密度リポタンパク−コレステロール上昇のための医薬の製造のためのスクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物またはその塩、またはそのプロドラッグの使用;
(50)原発性低高密度リポタンパク−コレステロール血症予防・治療のための医薬の製造のためのスクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物またはその塩、またはそのプロドラッグの使用;
(51)タンジェール病予防・治療のための医薬の製造のためのスクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物またはその塩、またはそのプロドラッグの使用;
(52)家族性高コレステロール血症予防・治療のための医薬の製造のためのスクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物またはその塩、またはそのプロドラッグの使用;などに関する。
【0007】
本発明で用いられる「スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物」としては、スクアレン合成酵素阻害作用を有するものであれば何れでもよく、例えば、スクアレスタチン類(例えば、米国特許第5506262号、米国特許第5430055号、米国特許第5409950号、米国特許第5369125号、特開平7-173166号、特開平9-124655号、特開平9-227566号 Annual Review of Microbiology, Vol.49, 607-639頁, 1995年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.38, 3502-3513頁, 1995年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.39, 207-216頁, 1996年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.39, 1413-1422頁, 1996年など)、基質アナローグのリン酸化合物およびカルボン酸化合物(例えば、米国特許第5374628号、米国特許第5441946号、米国特許第5428028号、特開平7-041554号、WO9504025号、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.38, 2596-2605頁, 1995年、Arzniemittel-Forschung Drug Research, Vol.46, 759-762頁, 1996年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.31, 1869-1871頁, 1988年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.39, 657-660頁, 1996年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.39, 661-664頁, 1996年など)、カルボン酸誘導体(例えば、WO9740006号、WO9633159号、WO9521834号、WO9748701号、欧州特許第645377号、欧州特許第645378号、欧州特許第814080号、欧州特許第790235号、特開平7-173120号、特開平10-316634号、特開平10-298134号、特開平10-298177号、特開平10-316617号、特開平9-136880号、特開2001-187777、WO2000-00458号、WO98-29380号、Bioorganic Medicinal Chemistry Letters, Vol.5, 1989-1994頁, 1995年、Bioorganic Medicinal Chemistry Letters, Vol.6, 463-466頁, 1996年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.40, 2123-2125頁, 1997年など)、キヌクリジン誘導体などのアミン系化合物(例えば、米国特許第5385912号, 米国特許第5494918号, 米国特許第5395846号, 米国特許第5451596号、特開平8-134067号、特開平2000-169474号、特開平10-152453号、特開平2000-502716号、WO9403541号、WO 9405660号、WO9535295号、WO9626938号、WO9531458号、WO9500146号、WO9725043号、WO9812170号など)など、特願2000−190253号(PCT/JP01/05347)明細書、米国特許第6207644号等に開示の化合物などが挙げられるが、なかでも、式
【化21】
〔式中、R1は水素または置換されていてもよい炭化水素基を、R2およびR3は同一または異なって水素,置換されていてもよい炭化水素基あるいは置換されていてもよい複素環基を、X'はエステル化されていてもよいカルボキシル基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基あるいは脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基から構成される置換基を、環Aは置換されていてもよいベンゼン環または置換されていてもよい複素環を、環J'は環構成原子として3個以下のヘテロ原子を含有する7ないし8員の複素環を、環J'はR1,R2,R3およびX'以外にさらに置換基を有していてもよい〕で表わされる化合物;あるいは、式
【化22】
〔式中、R1は水素または置換されていてもよい炭化水素基を、R2およびR3は同一または異なって水素,置換されていてもよい炭化水素基あるいは置換されていてもよい複素環基を、X1は結合手または2価の原子鎖を、Yはエステル化されていてもよいカルボキシル基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基またはプロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基を、環Bは置換されていてもよいベンゼン環を示す〕で表わされる化合物;などが好ましく用いられる。
他のスクアレン合成酵素阻害薬としては、A-104109(アボットラボラトリーズ), F-10863-A(三共製薬), ER-28448、ER-27856(ER-28448 prodrug)とキヌクリジン誘導体〔quinuclidine derivatives〕(エーザイ), RPR-107393(ローヌプーランローラー), チアジアゾール誘導体〔thiadiazole derivatives〕(ノボノルディスク),イソプロピルアミン誘導体〔isopropylamine derivatives〕(山之内製薬), イソキヌクリジン誘導体〔isoquinuclidine derivatives〕(寿製薬), マロン酸誘導体〔malonic acid derivatives〕ジオキソラン誘導体〔dioxolane derivatives〕(日本化薬),プロピオニル誘導体〔propionyl derivatives〕(第一製薬)などが挙げられ、これらのスクアレン合成酵素阻害薬も本発明の剤として用いることもできる。
本発明で用いられる「スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物」は、塩、プロドラッグなどの形態で用いることもできる。
本発明の「スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物」の塩としては、医薬品として許容される塩ないし生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。このような塩としては、例えば無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)などが用いられる。さらに本発明の「スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物」がカルボン酸などの酸性基を有している場合、「スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物」は、例えば無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属、またはアンモニアなど)あるいは有機塩基(例えば、トリエチルアミンなどのトリ−C1−3アルキルアミンなど)と塩を形成していてもよい。
本発明のスクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物またはその塩〔以下、SSI化合物と称することがある〕のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応によりSSI化合物に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こしてSSI化合物に変化する化合物、胃酸等により加水分解などを起こしてSSI化合物に変化する化合物をいう。SSI化合物のプロドラッグとしては、SSI化合物のアミノ基がアシル化、アルキル化、りん酸化された化合物(例えば、SSI化合物のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化された化合物など)、SSI化合物の水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化、ほう酸化された化合物(例えば、SSI化合物の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物など)、あるいは、SSI化合物のカルボキシル基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、SSI化合物のカルボキシル基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物など)等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によってSSI化合物から製造することができる。
またSSI化合物のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような、生理的条件でSSI化合物に変化するものであってもよい。
また、SSI化合物は水和物であってもよい。
SSI化合物の光学的に活性な形態が必要とされる場合、例えば、光学的に活性な出発物質を使用して、あるいは従来の方法を使用する該化合物のラセミ形態の分割によって得ることができる。また、SSI化合物は分子内に不斉炭素を有することもあるが、R配位またはS配位の2種類の立体異性体が存在する場合、それら各々またはそれらの混合物のいずれも本発明に含まれる。
【0008】
式(I)および(Ia)において、R1で示される「置換されていてもよい炭化水素基」の炭化水素基としては、脂肪族鎖式(非環式)炭化水素基、脂環式炭化水素基およびアリール基などが挙げられるが、なかでも脂肪族鎖式炭化水素基が好ましい。
該炭化水素基の脂肪族鎖式炭化水素基としては、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられる。なかでも分枝状アルキル基が好ましい。該アルキルとしては、例えばメチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,sec−ブチル,tert−ブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,1−メチルプロピル,n−ヘキシル,イソヘキシル,1,1−ジメチルブチル,2,2−ジメチルブチル,3,3−ジメチルブチル,3,3−ジメチルプロピル,2−エチルブチル,n−ヘプチルなどのC1−7アルキルが挙げられ、なかでも、n−プロピル,イソプロピル,イソブチル,ネオペンチルなどのC3−5アルキルが好ましく、特にイソブチル,ネオペンチルなどが好ましい。該アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、2−メチルアリル、1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル等のC2−6アルケニルが挙げられ、なかでも、ビニル、アリル、イソプロペニル、2−メチルアリル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、3−メチル−2−ブテニル等が特に好ましい。該アルキニル基としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル等のC2−6アルキニルが挙げられ、中でもエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル等が特に好ましい。
【0009】
該炭化水素基の脂環式炭化水素基としては、飽和または不飽和の脂環式炭化水素基、例えば、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基等が挙げられる。該シクロアルキル基としては炭素数3〜9個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル等が挙げられ、中でも、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のC3−6シクロアルキル基が好ましい。該シクロアルケニル基としては、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、3−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル、1−シクロブテン−1−イル、1−シクロペンテン−1−イル等のC5−6シクロアルケニル基が挙げられる。該シクロアルカジエニル基としては、例えば、2,4−シクロペンタジエン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル、2,5−シクロヘキサジエン−1−イルのC5−6シクロアルカジエニル基などが挙げられる。
該炭化水素基のアリール基としては、炭素数6〜16の単環式または縮合多環式芳香族炭化水素基が挙げられ、例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニル等が挙げられ、なかでもフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−10のアリール基が特に好ましい。
【0010】
R1で示される「置換されていてもよい炭化水素基」の置換基としては、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルケニル基、置換されていてもよい複素環基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい水酸基、置換されていてもよいチオール基、ハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、オキソ等が挙げられ、該炭化水素基はこれらの任意の置換基で置換可能な位置に1〜5個(好ましくは1〜3個)置換されていてもよい。該置換されていてもよいアリール基のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニル等のC6−16のアリール基が挙げられ、なかでもフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−10のアリール基が好ましい。該置換されていてもよいアリールの置換基としては、炭素数1〜3個のアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、炭素数1〜3個のアルキル基(例、メチル、エチル、プロピル等)等が挙げられ、該アリール基はこれらの任意の置換基で1〜2個置換されていてもよい。該置換されていてもよいシクロアルキル基のシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等のC3−7シクロアルキル基等が挙げられる。該置換されていてもよいシクロアルキル基の置換基とその置換数としては、前記置換されていてもよいアリール基における置換基と同様な種類と個数が挙げられる。該置換されていてもよいシクロアルケニル基のシクロアルケニル基としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等のC3−6シクロアルケニル基等が挙げられる。該置換されていてもよいシクロアルケニル基の置換基とその置換数としては、前記置換されていてもよいアリール基における置換基と同様な種類と個数が挙げられる。該置換されていてもよい複素環基の複素環基としては、環系を構成する原子(環原子)として、酸素、硫黄、窒素のうち少なくとも1個好ましくは1〜4個のヘテロ原子をもつ芳香族複素環基および飽和あるいは不飽和の非芳香族複素環基(脂肪族複素環基)が挙げられるが、好ましくは芳香族複素環基である。該芳香族複素環基としては、5〜6員の芳香族単環式複素環基(例、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等)および5〜6員環が2〜3個縮合した芳香族縮合複素環基(例:ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ〔b〕チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、フェナトリジニル、フェナトロリニル、インドリジニル、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジニル等)が挙げられるが、なかでもフリル、チエニル、インドリル、イソインドリル、ピラジニル、ピリジル、ピリミジニルなどの5〜6員芳香族単環式複素環基が好ましい。該非芳香族複素環基としては、例えば、オキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、チオラニル、ピペリジル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル等4〜8員非芳香族複素環基が挙げられる。該置換されていてもよい複素環基は1〜4個好ましくは1〜2個の置換基を有していてもよく、このような置換基としては、炭素数1〜3個のアルキル基(例:メチル、エチル、プロピル等)等が挙げられる。該置換されていてもよいアミノ基(アミノ基、モノ−またはジ−置換アミノ基が含まれる),置換されていてもよい水酸基、および置換されていてもよいチオール基における置換基としては、例えば低級(C1−3)アルキル(例、メチル、エチル、プロピル等)等が挙げられる。また、R1で表わされる置換されていてもよい炭化水素基における炭化水素基が脂環式炭化水素基またはアリール基である場合、置換基としては、さらに炭素数1〜3個のアルキル基(例、メチル,エチル,プロピルなど)でもよい。
さらに、上述のように、R1はオキソ基と置換基として有していてもよく、R1としては、このようなオキソ置換されて炭化水素基であるカルボン酸アシル基も含まれる。このような例としては例えば置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアシル基(例、ホルミル,アセチル,プロピオニル,ブチリル,イソブチリル,バレリル,イソバレリル,ピバロイル,ヘキサノイル,ジメチルアセチル,トリメチルアセチルなど)が挙げられる。また該アシル基は、置換可能な位置に1〜5個の置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン(例、フッ素,塩素,臭素)が挙げられる。
【0011】
式(I)および(Ia)において、R2およびR3で示される「置換されていてもよい炭化水素基としては、R1で示される「置換されていてもよい炭化水素基」として述べた基が挙げられる。但し、アルキル基とアリール基とそれらの置換基としては下記のものであってもよい。すなわち「置換されていてもよいアルキル基」のアルキル基としては炭素数1〜6個の低級アルキル基(例:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル等)が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル等のC1−4アルキル基が挙げられ、例えばこの様な置換されていてもよいアルキル基は1〜4個の置換基を有していてもよく、このような置換基としては、ハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、炭素数1〜4個の低級アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ等)等が挙げられる。
「置換されていてもよいアリール基」としては、単環式または縮合多環式芳香族炭化水素基が挙げられ、例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニル等があげられ、なかでもフェニルが特に好ましい。「置換されていてもよいアリール基」の置換基としては、ハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など),置換されていてよい低級アルキル,置換されていてよい低級アルコキシ,置換されていてもよい水酸基,ニトロ,シアノなどが挙げられ、これらの置換基の同一または異なる1〜3個(好ましくは1〜2個)で置換されていてもよい。該低級アルキルとしては、例えば、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,sec−ブチル,tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられるが、特にメチル,エチルが好ましい。該低級アルコキシとしては、メトキシ,エトキシ,n−プロポキシ,イソプロポキシ,n−ブトキシ,イソブトキシ,sec−ブトキシ,tert−ブトキシ等の炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられるが、特にメトキシ,エトキシが好ましい。該置換されていてもよい低級アルキル基または置換されていてもよい低級アルコキシ基の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)等が挙げられ、任意の位置に1〜5個置換されていてもよい。該置換されていてもよい水酸基における置換基としては、例えば低級(C1−4)アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル等)、C3−6シクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、C6−10アリール基(例、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等)、C7−12アラルキル基(例、ベンジル、フェネチルなど)などが挙げられる。また、これらの置換基は、隣接する置換基同志で環を形成していてもよく、R2またはR3で示される「置換されていてもよいアリール基」のアリール基がフェニル基である場合例えば、
【化23】
で示されるものが用いられていてもよく、さらにこの様な基は低級(C1−3)アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル等)などで1〜4個置換されていてもよい。
【0012】
R2およびR3で示される「置換されていてもよい複素環基」の複素環基としては、R1で表される「置換されていてもよい炭化水素基」の置換基としてあげた「置換されていてもよい複素環基」に関連して詳述されている複素環基が挙げられるが、なかでもフリル,チエニル,インドリル,イソインドリル,ピラジニル,ピリジル,ピリミジル,イミダゾリルなどの5〜6員芳香族単環式複素環が特に好ましい。該複素環基の置換基としては、炭素数1〜3個のアルキル(例、メチル,エチル,プロピルなど)などが挙げられ、これらの置換基を1〜4個有していてもよい。
前記した中でも、R2およびR3としては、置換されていてもよいフェニル基が好ましく、さらに好ましくは、置換されたフェニル基、特に、塩素、臭素等のハロゲン,低級(C1−3)アルコキシなどで1〜3個、好ましくは1〜2個置換されたフェニル基が好ましい。またR2,R3のいずれか一方は水素が好ましい。
【0013】
式(I)において、X'で示される「エステル化されていてもよいカルボキシル基から構成される置換基」としては、エステル化されていてもよいカルボキシル基およびエステル化されていてもよいカルボキシル基を有している置換基が挙げられる。該エステル化されていてもよいカルボキシル基としては、下記Yで定義されるエステル化されていてもよいカルボキシル基で挙げられるものと同様なものが挙げられる。
X'で示される「置換されていてもよいカルバモイル基から構成される置換基」としては、置換されていてもよいカルバモイル基および置換されていてもよいカルバモイル基を有している置換基が挙げられる。該置換されていてもよいカルバモイル基としては、下記Yで定義される置換されていてもよいカルバモイル基で挙げられるものと同様なものが挙げられる。
X'で示される「置換されていてもよい水酸基から構成される置換基」としては、置換されていてもよい水酸基および置換されていてもよい水酸基を有している置換基が挙げられる。該置換されていてもよい水酸基としては、下記Yで定義される置換されていてもよい水酸基で挙げられるものと同様なものが挙げられる。
X'で示される「置換されていてもよいアミノ基から構成される置換基」としては、置換されていてもよいアミノ基および置換されていてもよいアミノ基を有している置換基が挙げられる。該置換されていてもよいアミノ基としては、下記Yで定義される置換されていてもよいアミノ基で挙げられるものと同様なものが挙げられる。
X'で示される「脱プロトン化しうる水素原子を有する、置換されていてもよい複素環残基から構成される置換基」としては、脱プロトン化しうる水素原子を有する(すなわち活性プロトンを有する)、置換されていてもよい複素環残基および脱プロトン化しうる水素原子を有する、置換されていてもよい複素環残基を有している置換基が挙げられる。該置換されていてもよい複素環残基としては、下記Yで定義される脱プロトン化しうる水素原子を有する、置換されていてもよい複素環残基で挙げられるものと同様なものが挙げられる。
X'としては、例えば、式(a)
【化24】
〔式中、Xは結合手または2価もしくは3価の原子鎖を、Yはエステル化されていてもよいカルボキシル基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基または脱プロトン化しうる水素原子を有する、置換されていてもよい複素環残基を、破線部分は単結合または二重結合を示す〕で表される基が挙げられる。
【0014】
式(a)中、Xで示される「2価の原子鎖」としては、好ましくは、直鎖部分を構成する原子数が1〜7個、さらに好ましくは1〜4個である2価の鎖であればいずれでもよく、側鎖を有していてもよい。
例えば、
【化25】
で表わされるものが挙げられ、式中、m、nは独立して0、1、2または3を表わし、Eは結合手または酸素原子、イオウ原子、スルホキシド、スルホン、−N(R5)−、−NHCO−、−CON(R6)−あるいは−NHCONH−を表わす。ここでR4およびR6は水素、置換されていてもよい低級アルキル基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいフェニル基を示す。また、R5は水素、低級アルキル基、アラルキル基またはアシル基を示す。
R4およびR6で示される「置換されていてもよい低級アルキル基」のアルキル基としては、炭素数1〜6個の直鎖もしくは分枝状の低級アルキル基(例:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル等)が挙げられる。該置換されていてもよい低級アルキル基は1〜4個好ましくは1〜2個の置換基をもっていてもよく、これらの置換基としては、芳香族複素環基(例、フリル、チエニル、インドリル、イソインドリル、ピラジニル、ピリジル、ピリミジル、イミダゾリルなどN、O、Sのヘテロ原子を1〜4個含む5〜6員芳香族複素環)、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい水酸基、置換されていてもよいチオール基、エステル化されていてもよいカルボキシル基、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)などが挙げられる。該置換されていてもよいアミノ基(アミノ基またはモノ−またはジ置換アミノ基)、置換されていてもよい水酸基、および置換されていてもよいチオール基における置換基としては、低級(C1−3)アルキル(例、メチル、エチル、プロピルなど)などが挙げられる。該エステル化されていてもよいカルボキシル基としては、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、フェノキシカルボニル、1−ナフトキシカルボニルなどC2−5アルコキシカルボニルおよびC7−11アリールオキシカルボニルが挙げられるが、好ましくはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニルである。
【0015】
R4およびR6で示される「置換されていてもよいアラルキル基」のアラルキル基としてはベンジル、ナフチルメチル、フェニルプロピル、フェニルブチル等C7−C15アラルキル基が挙げられる。該置換されていてもよいアラルキル基は1〜4個好ましくは1〜2個の置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、炭素数1〜3個のアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ基)、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基等が挙げられる。
R4およびR6で示される「置換されていてもよいフェニル基」の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、C1−3アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシなど)、C1−3アルキル(例、メチル、エチル、プロピル)などが挙げられる。
ただし、R4はメチレン鎖ごとに異なっていてもよい。
また、R5で示される「低級アルキル基」および「アラルキル基」としては、炭素数1〜4個の低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル等)、炭素数7〜15個のアラルキル基(例、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、ナフチルメチル等)がそれぞれ挙げられる。
【0016】
R5で示される「アシル基」としては、低級(C1−6)アルカノイル基(例、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイルなど)、低級(C3−7)アルケノイル基(例、アクリロイル、メタクリロイル、クロトノイル、イソクロトノイルなど)、C4−7シクロアルカンカルボニル基(例、シクロプロパンカルボニル基、シクロブタンカルボニル基、シクロペンタンカルボニル基、シクロヘキサンカルボニル基など)、低級(C1−4)アルカンスルホニル基(例、メシル、エタンスルホニル、プロパンスルホニルなど)、C7−14アロイル基(例、ベンゾイル、p−トルオイル、1−ナフトイル、2−ナフトイルなど)、C6−10アリール低級(C2−4)アルカノイル基(例、フェニルアセチル、フェニルプロピオニル、ヒドロアトロポイル、フェニルブチリルなど)、C6−10アリール低級(C3−5)アルケノイル基(例、シンナモイル、アトロポイルなど)、C6−10アレーンスルホニル基(例、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル基など)などが挙げられる。
さらに、Xとしては、二重結合を含んでいる炭素鎖または−L−CH(OH)−(Lは結合手または直鎖状もしくは分枝状のアルキレン鎖を示す)でもよい。該「二重結合を含んでいる炭素鎖」としては、好ましくは、直鎖部分を構成する炭素数が1〜7個、さらに好ましくは1〜4個であるものが挙げられ、側鎖を有していてもよい。該炭素鎖における二重結合は、直鎖部分あるいは分枝鎖部分のいずれか一方または両方に含まれるものであるが、好ましくは直鎖部分に含まれるものが挙げられる。また、該炭素鎖に含まれる二重結合の数は可能な限り特に限定されないが、1〜2個が好ましい。
【0017】
該二重結合を含んでいる炭素鎖としては、例えば、メチン,ビニレン,プロペニレン,ブテニレン,ブタジエニレン,メチルプロペニレン,エチルプロペニレン,プロピルプロペニレン,メチルブテニレン,エチルブテニレン,プロピルブテニレン,メチルブタジエニレン,エチルブタジエニレン,プロピルブタジエニレン,ペンテニレン,ヘキセニレン,ヘプテニレン,ペンタジエニレン,ヘキサジエニレン,ヘプタジエニレンなどが挙げられるが、好ましくは、メチン,ビニレン,プロペニレン,ブテニレン,ブタジエニレンが挙げられる。ここで、該炭素鎖が3価である場合、該炭素鎖は、環J’の環上の置換可能な炭素原子と二重結合で結ばれている。
Lで示される「直鎖状もしくは分枝状のアルキレン鎖」としては、例えば、直鎖状もしくは分枝状の炭素数1〜6個のアルキレン鎖が挙げられ、例えば、メチレン,エチレン,トリメチレン,テトラメチレン,ペンタメチレン,ヘキサメチレン,ヘプタメチレン,プロピレン,エチルメチレン,エチルエチレン,プロピルエチレン,ブチルエチレン,メチルテトラメチレン,メチルトリメチレンなどの2価基が挙げられるが、好ましくは、メチレン,エチレン,トリメチレン,プロピレンなどの炭素数1〜3個のものが挙げられる。
【0018】
前記した中でも、X'としては、式(b)
【化26】
〔式中、X1は結合手または2価の原子鎖を、Yはエステル化されていてもよいカルボキシル基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基または脱プロトン化しうる水素原子を有する、置換されていてもよい複素環残基を示す〕で表される基が好ましい。
式(b)中、X1で示される2価の原子鎖としては、前記Xで定義された2価の原子鎖と同様なものが挙げられる。
式(a)および(b)中、XまたはX1で示される「2価の原子鎖」としては、好ましくは、直鎖部分を構成する炭素数が1〜7個(より好ましくは1〜4個)である直鎖状あるいは分枝鎖状のアルキレン鎖が挙げられる。該アルキレン鎖としては、例えば、メチレン,エチレン,トリメチレン,テトラメチレン,ペンタメチレン,ヘキサメチレン,ヘプタメチレン,プロピレン,エチルメチレン,エチルエチレン,プロピルエチレン,ブチルエチレン,メチルテトラメチレン,メチルトリメチレンなどの2価基が挙げられるが、好ましくは、メチレン,エチレン,トリメチレン,プロピレンなどの炭素数1〜4個のものが挙げられる。
式(a)および(b)において、Yで示される「エステル化されていてもよいカルボキシル基」としては、炭素数2−7の低級アルコキシカルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニルなど)、C7−14アリールオキシカルボニル(例、フェノキシカルボニル、1−ナフトキシカルボニル)、C8−12アラルキルオキシカルボニル(例、ベンジルオキシカルボニルなど)などが挙げられる。なかでもカルボキシル基、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルが好ましい。
【0019】
Yで示される「置換されていてもよいカルバモイル基」の置換基としては、置換されていてもよい低級(C1−6)アルキル(例、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,ブチル,イソブチル,sec−ブチル,tert−ブチル,ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキシル,イソヘキシル等)、置換されていてもよいC3−6シクロアルキル(例、シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシルなど)、置換されていてもよいC6−14アリール基(例、フェニル,1−ナフチル,2−ナフチルなど)、置換されていてもよいC7−11アラルキル基(例、ベンジル,フェネチルなど)などが挙げられ、これらの置換基は同一または異なって1個または2個置換されていてもよい。該置換されていてもよい低級(C1−6)アルキルおよび置換されていてもよいC3−6シクロアルキルにおける置換基としては、低級(C1−5)アルキル(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,t−ブチル,ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル)でエステル化されていてもよいカルボキシル基、ヘテロ原子を1〜4個含む5〜6員芳香族複素環基(例、フリル,チエニル,インドリル,イソインドリル,ピラジニル,ピリジル,ピリミジル,イミダゾリルなど),アミノ基,水酸基,フェニル基などが挙げられ、これらの置換基は、同一または異なって1〜3個置換していてもよい。該置換されていてもよいアリール基および置換されていてもよいアラルキル基の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素),低級(C1−4)アルキル基(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,t-ブチルなど)でエステル化されていてもよいカルボキシル基などが挙げられる。 また、該置換されていてもよいカルバモイル基において、2個の窒素原子上の置換基が窒素原子と一緒になって環状アミノ基を形成していてもよく、このような環状アミノ基の例としては、1−アゼチジニル,1−ピロリジニル,ピペリジノ,モルホリノ,1−ピペラジニルなどが挙げられる。また、該環状アミノ基は、さらに置換基を有していてもよい。
【0020】
Yで示される「置換されていてもよい水酸基」の置換基としては、例えば低級(C1−4)アルキル(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,t−ブチルなど)、C3−6シクロアルキル基(例、シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシルなど)、置換されていてもよいC6−10アリール基(例、フェニル,1−ナフチル,2−ナフチルなど)、置換されていてもよいC7−11アラルキル基(例、ベンジル,フェネチルなど)などが挙げられる。該置換されていてもよいアリール基および置換されていてもよいアラルキル基の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素),低級(C1−4)アルキル基(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,t-ブチルなど)でエステル化されていてもよいカルボキシル基などが挙げられる。
Yで示される「置換されていてもよいアミノ基」としてはモノ置換およびジ置換アミノ基を含み、これらの置換基としては、例えば低級(C1−4)アルキル(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチルなど)、C3−6シクロアルキル基(例、シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシルなど)、置換されていてもよいC6−10アリール基(例、フェニル,1−ナフチル,2−ナフチルなど)、置換されていてもよいC7−11アラルキル基(例、ベンジル,フェネチルなど)などが挙げられる。該置換されていてもよいアリール基および置換されていてもよいアラルキル基の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素),低級(C1−4)アルキル基(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチルなど)でエステル化されていてもよいカルボキシル基などが挙げられこれらの置換基を1〜4個好ましくは1〜2個有していてもよい。また、2個の窒素原子上の置換基が窒素原子と一緒になって環状アミノ基を形成していてもよく、このような環状アミノ基の例としては、1−アゼチジニル,1−ピロリジニル,ピペリジノ,モルホリノ,1−ピペラジニルなどが挙げられる。また、該環状アミノ基は、さらに置換基を有していてもよい。
【0021】
Yで示される「脱プロトン化しうる水素原子を有する、置換されていてもよい複素環残基」の複素環残基としては、N,S,Oのうちの少なくとも1個を含む5〜7員(好ましくは5員)の単環状の複素環残基(好ましくは、含窒素複素環残基)が挙げられ、これらが脱離してプロトンを形成しうる水素原子を有しているのがよい。例えば、テトラゾール−5−イルまたは式
【化27】
〔式中、iは−O−または−S−を、jは>C=O,>C=Sまたは>S(O)2を示す〕で表される基(なかでも、2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル,2,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル,2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−チアジアゾール−3−イルが好ましい)などが挙げられる。
前記複素環残基は、置換されていてもよい低級アルキル基(好ましくはC1−4アルキル)またはアシル基などで保護されていてもよい。該置換されていてもよい低級アルキル基としては、C1−3アルキル,ニトロ,C1−3アルコキシで置換されていてもよいフェニルまたはC1−3アルコキシで置換されていてもよいC1−4アルキル(メチル,トリフェニルメチル,メトキシメチル,エトキシメチル,p−メトキシベンジル,p−ニトロベンジルなど)などが挙げられる。該アシル基としては、低級(C2−5)アルカノイル,ベンゾイルなどが挙げられる。
前記した中でも、X'としては、エステル化されていてもよいカルボキシル基で置換されているアルキル基、脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基で置換されているアルキル基または置換されていてもよいカルバモイル基で置換されているアルキル基が好ましい。
式(I)において、環Aで示される複素環としては、R1で表わされる炭化水素基の置換基に関連して詳述されている複素環基が挙げられるが、なかでも
【化28】
で表されるものが好ましい。
【0022】
環Aで示される「置換されていてもよいベンゼン環」および「置換されていてもよい複素環」の置換基としては、ハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、炭素数1〜4個の置換されていてもよい低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル等)、炭素数1〜4個の置換されていてもよい低級アルコキシ基(例:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ等)、水酸基、ニトロ基、シアノなどが挙げられる。環Aはこれらの置換基を1〜3個、好ましくは1〜2個有していてもよい。また、これらの置換基は、隣接する置換基同志で環を形成してもよい。該置換されていてもよい低級アルキル基または置換されていてもよい低級アルコキシ基の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)等が挙げられ、任意の位置に1〜3個置換されていてもよい。環Aとしてはメトキシもしくは塩素原子で置換されたものが好ましく、特に塩素原子で置換されたものが好ましい。
式(Ia)において、環Bで示される「置換されていてもよいベンゼン環」の置換基としては、ハロゲン(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素)、炭素数1〜4個の置換されていてもよい低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル等)、炭素数1〜4個の置換されていてもよい低級アルコキシ基(例:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ等)、水酸基、ニトロ基、シアノなどが挙げられる。環Bはこれらの置換基を1〜3個、好ましくは1〜2個有していてもよい。また、これらの置換基は、隣接する置換基同志で環を形成してもよい。該置換されていてもよい低級アルキル基または置換されていてもよい低級アルコキシ基の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)等が挙げられ、任意の位置に1〜3個置換されていてもよい。環Bとしてはメトキシもしくは塩素原子で置換されたものが好ましく、特に塩素原子で置換されたものが好ましい。
【0023】
式(I)において、環J'で示される「環構成原子として3個以下のヘテロ原子を含有する7ないし8員の複素環」における複素環としては、例えば、O,S(O)q(qは0,1または2を示す)およびNのうちの少なくとも1個を含む7〜8員の飽和もしくは不飽和の複素環が挙げられる。ただし、該複素環の環を構成する原子(環構成原子)におけるヘテロ原子は3個以下である。
また、環J'は、R1,R2,R3,X'で示される基以外に、さらに置換基を置換可能な位置に、1〜2個有していてもよい。該置換基としては、該置換基が環J'上の窒素原子に結合する場合、アルキル基(例、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,tert−ブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル等のC1−6アルキルなど),アシル基(例、ホルミル,アセチル,プロピオニル,ブチロイル等のC1−4アシル基)などが挙げられる。該アルキル基またはアシル基は、さらにハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素)で1〜5個置換されていてもよい。また、該置換基が環J'上の炭素原子に結合する場合、該置換基としては、オキソ,チオキソ,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基などが挙げられる。該置換されていてもよい水酸基および置換されていてもよいアミノ基としては、前記Yで定義された「置換されていてもよい水酸基」および「置換されていてもよいアミノ基」と同様なものが挙げられる。
環J'としては、R1,R2,R3,X'で示される基以外に、置換可能な位置に、オキソまたはチオキソが置換しているものが好ましい。
【0024】
環Aと環J'とからなる縮合環としては、例えば
【化29】
などが挙げられる。
【0025】
式(I)としては、式(I')
【化30】
〔式中、R1,R2,R3,X',環Aは前記と同意義を示す。環J1は7員の複素環を、Z1は−N(R7)−(R7は水素,アルキル基またはアシル基を示す),−S(O)q−(qは0,1または2を示す),−CH2−または−O−を、KはCまたはNを、GはOまたはSを示す。〕で表わされるものが好ましい。
【0026】
前記式(Ia)中、R7で示されるアルキル基としては、炭素数1〜6個の直鎖もしくは分枝状の低級アルキル基(例、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,tert−ブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチルなど)が挙げられ、ハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素)などで1〜5個置換されていてもよい。
R7で示されるアシル基としては、C1−4アシル基(例、フォルミル,アセチル,プロピオニル,ブチロイルなど)が挙げられ、ハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素)などで1〜5個置換されていてもよい。
式(I')中、Z1としては、S(O)q(qは0,1または2を示す),Oが好ましい。またKとしてはCが、GとしてはOが好ましい。
式(I')としては、さらに好ましくは、式(I'')
【化31】
〔式中、R1,R2,R3,X1,Y,環Aは前記と同意義を示す。Z2はS(O)q(qは0,1または2を示す)またはOを示す〕で表わされるものが好ましい。
【0027】
式(I)で表わされる化合物としては、前記式(Ia)
【化32】
で表される化合物が好ましい。
式(Ia)としては、式(Ia')
【化33】
〔式中、R1,環Bは前記と同意義を示す。Qは水素または金属イオンを、環Cは置換されていてもよいフェニル基を示す〕で表されるものであってもよい。式中、7員環の面に対して、3位と5位の置換基が逆方向を向いているトランスを示し、(R)はR−配置を示す。
前記式(Ia')において、Qで示される金属イオンとしては、ナトリウムイオン,カリウムイオン,カルシウムイオン,アルミニウムイオンなどが挙げられるが、なかでもナトリウムイオン,カリウムイオンが好ましい。
環Cで示される「置換されていてもよいフェニル基」の置換基としては、前記R2およびR3で定義された「置換されていてもよい炭化水素基」の例として述べた「置換されていてもよいアリール基」の置換基としてあげたものと同様なものが挙げられる。
【0028】
式(I)で表わされる化合物の塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機塩、例えば酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、フマール酸塩、マレイン酸塩、トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩等の金属塩、例えばトリエチルアミン塩、グアニジン塩、アンモニウム塩、ヒドラジン塩、キニーネ塩、シンコニン塩等の塩基の塩等の薬理学的に許容されうる塩が挙げられる。とりわけナトリウム塩が好ましい。
【0029】
式(I)で表わされる化合物を以下に具体的に例示すると、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
【0030】
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
【0031】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
【0032】
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
【0033】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
【0034】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2−クロロフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
【0035】
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2−クロロフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(4−エトキシ−2−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−イソブチル−2−オキソ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−酢酸、
【0036】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1−イソブチル−2−オキソ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−酢酸、
N−〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−イル〕−アセチル〕グリシン、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−3−ジメチルアミノカルボニルメチル−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン、
7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−〔1〕−ベンズアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−2−チオキソ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−チエノ〔2,3−e〕オキサゼピン−3−酢酸、
【0037】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−チエノ〔2,3−e〕オキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−1−イソブチル−5−(2−メトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−チエノ〔2,3−e〕オキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(3−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(3−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
【0038】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(3−エトキシ−2−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(4−エトキシ−2−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(3−エトキシ−2−メトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(4−エトキシ−2−メトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
【0039】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−3−ヒドロキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−3−ヒドロキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、およびこれら塩
などが挙げられる。
【0040】
前記一般式(I)で表される化合物およびその塩〔以下、塩も含めて単に化合物(I)と称することがある。〕は、例えば、EPA567026号、WO95/21834(特願平6−15531号)、EPA645377(特願平6−229159号)、EPA645378(特願平6−229160号)などで開示され、これらの公報の開示にしたがって製造することができる。
【0041】
式(I)で表わされる化合物としては、前記式(Ib)
【化34】
で表される化合物が好ましい。
式(Ib)で表わされる化合物としては、
Rbが水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,t−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシおよび2−アミノプロピオニルオキシから選ばれた1ないし3個の置換基を有していてもよいC1−6アルキルである化合物;
Rbが水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,t−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシおよび2−アミノプロピオニルオキシから選ばれた1ないし3個の置換基を有していてもよい分枝状のC3−6アルキルである化合物;
Rbが2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル、3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル、3−アセトキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピルまたは3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピルである化合物;
R1bがメチルである化合物;
Wが塩素原子である化合物;
Xbが式
【化35】
〔式中、R2bおよびR3bはそれぞれ水素原子、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基またはアシル基であるか、あるいはR2bおよびR3bは隣接する窒素原子と一緒になって窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし3個環構成原子として含んでいてもよい置換されていてもよい5または6員含窒素複素環を形成する〕で表される基である化合物;
Xbで表される基において、
R2bが水素原子またはC1−7アルキル基を示し、
R3bが
(1)(a)C1−7アルキル、(b)C3−7シクロアルキル、(c)C2−6アルケニル、(d)C6−10アリールおよび(e)C6−10アリール−C1−4アルキルから選ばれる炭化水素基〔ここで(a)C1−7アルキル、(b)C3−7シクロアルキルおよび(c)C2−6アルケニルはそれぞれ
(i)C1−6アルキルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(ii)C1−6アルキルまたはC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基、
(iii)スルホン酸基、
(iv)C1−6アルキルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(v)C1−3アルキルでアルキル化されていてもよい水酸基、
(vi)C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基、
(vii)カルバモイル基、
(viii)水酸基、塩素原子、フッ素原子、アミノスルホニルおよびC1−3アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいアミノ基より選ばれる1ないし5個の置換基で置換されていてもよいフェニル基、
(ix)C1−3アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいアミノ基、
(x)ピペリジン,ピロリジン,モルホリン,チオモルホリン,ピペラジン,4−メチルピペラジン,4−ベンジルピペラジン,4−フェニルピペラジン,1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンまたはフタルイミドから導かれるC1−3アルキル、ベンジルまたはフェニルで置換されていてもよい環状アミノ基および
(xi)ピリジン,イミダゾール,インドールまたはテトラゾ−ルから導かれる芳香族5〜6員複素環基
より選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよく、
(d)C6−10アリールおよび(e)C6−10アリール−C1−4アルキルはそれぞれ
(i)C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(ii)C1−6アルキルまたはC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基、
(iii)スルホン酸基、
(iv)C1−4アルキルスルホニル、C6−10アリールスルホニルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルスルホニル基、
(v)C1−6アルキルまたはC6−10アリ−ル−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(vi)C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、C1−6アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基、スルホン酸基、C1−4アルキルスルホニル、C6−10アリールスルホニルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルスルホニル基、C1−6アルキルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基で置換されていてもよいC1−3アルキル基および
(vii)ハロゲン
より選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよい〕、
(2)テトラゾリル,4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,3,5−ジオキソ−1,2,4−オキサジアゾリジニル,4,5−ジヒドロ−5−オキソ−イソオキサゾリル,4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−イソオキサゾリル,2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1,3,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−テトラゾリルまたは2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−テトラゾリル基、または
(3)(i)1または2個のハロゲンで置換されていてもよいC2−7アルカノイル基、および(ii)C1−3アルキル、C1−3アルコキシおよびハロゲンから選ばれる1ないし4個の置換基で置換されていてもよいC6−10アリールスルホニル基、C1−4アルキルスルホニル基またはC6−10アリール−C1−4アルキルスルホニル基
から選ばれるアシル基を示すか、
またはR2bおよびR3bは隣接の窒素原子と一緒になってピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、2−オキソピペラジン、2,6−ジオキソピペラジン、モルホリンまたはチオモルホリンより導かれる5員または6員環〔ここで、5員または6員環は
(A)C1−3アルキルまたはC2−7アルカノイルで置換されていてもよい水酸基、
(B)C1−6アルキルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(C)C1−6アルキルまたはC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基、
(D)スルホン酸基、
(E)C1−6アルキルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(F)C1−6アルキルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、C1−6アルキルまたはC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基、スルホン酸基、C1−6アルキルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、C1−3アルキルまたはC2−7アルカノイルで置換されていてもよい水酸基、C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基、カルバモイル基、および水酸基、ハロゲン、アミノスルホニルおよびC1−3アルキルで置換されていてもよいアミノ基より選ばれた1ないし5個の置換基で置換されていてもよいフェニル、C1−3アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいアミノ基またはテトラゾリルで置換されていてもよいC1−6アルキルおよびC2−5アルケニル、
(G)C1−3アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいアミノ基、
(H)ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、チオモルホリン、4−メチルピペラジン、4−ベンジルピペラジン、または4−フェニルピペラジンから導かれる環状アミノ基、
(I)シアノ基、
(J)カルバモイル基、
(K)オキソ基、
(L)テトラゾリルまたは2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル基、
(M)C6−10アリールスルホニル、C1−4アルキルスルホニルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル基、
(N)C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基、
および
(O)水酸基、ハロゲン、アミノスルホニルおよびC1−3アルキルで置換されていてもよいアミノ基から選ばれる1ないし5個の置換基で置換されていてもよいフェニル基
より選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよい〕を形成する化合物;
Xbで表される基において、
R2bおよびR3bは隣接するカルバモイル基の窒素原子と一緒になってピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、2−オキソピペラジンまたは2,6−ジオキソピペラジンより導かれる5員または6員環を形成し、その5員または6員環はそれぞれ
(i)C1−6アルキルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(ii)C1−6アルキルまたはC2−7アルカノイル−C1−6アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基、
(iii)スルホン酸基、
(iv)C1−6アルキルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(v)C1−3でアルキル化されていてもよい水酸基、
(vi)C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基、
(vii)カルバモイル基、
(viii)水酸基、ハロゲン、アミノスルホニルおよびC1−3アルキルで置換されていてもよいアミノ基より選ばれた1ないし5個の置換基で置換されていてもよいフェニル基、
(ix)C1−3アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいアミノ基、
および
(x)テトラゾリル基
から選ばれる1〜2個の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基で置換されていてもよい環である化合物;
Xbで表される基において、
R2bが水素原子またはC1−7アルキル、R3bがC1−4アルキルスルホニルである化合物;
Xbで表される複素環基がテトラゾリル、4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル、4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル、2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル、2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル、3,5−ジオキソ−1,2,4−オキサジアゾリジニル、4,5−ジヒドロ−5−オキソ−イソオキサゾリル、4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−イソオキサゾリル、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1,3,4−オキサジアゾリル、2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−テトラゾリルまたは2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−テトラゾリルである化合物;
R1bがメチル、
Wが塩素原子、
Rbが水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシおよび2−アミノプロピオニルオキシより選ばれる1個ないし3個の置換基で置換された分枝状のC3−6アルキル、
Xbが式
【化36】
〔式中、R2b 'は水素原子またはC1−7アルキルを示し、R3b 'はC1−4アルキルを示す。〕で表される基である化合物;
R1bがメチル、
Wが塩素原子、
Rbが水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシおよび2−アミノプロピオニルオキシより選ばれる1個ないし3個の置換基で置換された分枝状のC3−6アルキル、
Xbが式
【化37】
〔式中、Rb'は水素原子またはC1−7アルキルを示し、nは1ないし5の整数を示す。〕で表される基である化合物;
R1bがメチル、
Wが塩素原子、
Rbが水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシおよび2−アミノプロピオニルオキシより選ばれる1個ないし3個の置換基で置換された分枝状のC3−6アルキル、
Xbが式
【化38】
〔式中、R"は水素原子またはC1−4アルキルを示す〕で表される基である化合物;
R1bがメチル、
Wが塩素原子、
Rbが水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシおよび2−アミノプロピオニルオキシより選ばれる1個ないし3個の置換基で置換された分枝状のC3−6アルキル、
Xbがテトラゾリルである化合物;
Rbが1個または2個の水酸基で置換されていてもよい低級アルキル、
Xbが
(1)(a)C1−7アルキル、(b)C3−7シクロアルキル、(c)C2−6アルケニル、(d)C6−10アリールおよび(e)C7−14アリールアルキルから選ばれる炭化水素基〔ここで(a)C1−7アルキル、(b)C3−7シクロアルキル、(c)C2−6アルケニルはそれぞれ
(i)C1−6アルキルまたはC7−10アリールアルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(ii)リン酸基、
(iii)スルホン酸基、
(iv)C1−6アルキルまたはC7−10アリールアルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(v)C1−3アルキルでアルキル化されていてもよい水酸基、
(vi)C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基、
(vii)カルバモイル基、
(viii)水酸基、塩素原子、フッ素原子、アミノスルホニルおよびC1−3アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいアミノ基より選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基、
(ix)C1−3アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいアミノ基、
および
(x)ピペリジン,ピロリジン,モルホリン,チオモルホリン,ピペラジン,4−メチルピペラジン,4−ベンジルピペラジンまたは4−フェニルピペラジンから導かれるC1−3アルキル、ベンジルまたはフェニルで置換されていてもよい環状アミノ基および
(xi)ピリジン,イミダゾール,インドールまたはテトラゾ−ルから導かれる芳香族5〜6員複素環基
より選ばれる1ないし4個の置換を有していてもよく、
(d)C6−10アリールおよび(e)C7−14アリールアルキルはそれぞれ
(i)C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(ii)リン酸基、
(iii)スルホン酸基、
(iv)C1−6アルキルまたはC7−10アリールアルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(v)C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、C1−6アルキルまたはC7−10アリールアルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基で置換されていてもよいC1−3アルキル基
または
(vi)ハロゲン原子
より選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよい〕で置換されていてもよいカルバモイル基、
(2)テトラゾリル,4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,3,5−ジオキソ−1,2,4−オキサジアゾリジニル,4,5−ジヒドロ−5−オキソ−イソオキサゾリル,4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−イソオキサゾリル,2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1,3,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−テトラゾリルまたは2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−テトラゾリル基、
(3)(i)1または2個のハロゲンで置換されていてもよいC2−7アルカノイル基、および(ii)C1−3アルキル、C1−3アルコキシおよびハロゲンから選ばれる1ないし4個の置換基で置換されていてもよいC6−10アリールスルホニル基、C1−4アルキルスルホニル基またはC7−14アリールアルキルスルホニル基から選ばれるアシル基で置換されていてもよいカルバモイル、
または
(4)ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、2−オキソピペラジン、2,6−ジオキソピペラジン、モルホリンおよびチオモルホリンより導かれる環状アミノカルボニル基
〔ここで環状アミノカルボニル基は
(A)水酸基、
(B)C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(C)リン酸基、
(D)スルホン酸基、
(E)C1−6アルキルまたはC7−10アリールアルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(F)前記(A)、(B)、(C)、(D)または(E)で置換されていてもよいC1−3アルキルまたはC2−5アルケニル、
(G)C1−3アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいアミノ基、
(H)ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、チオモルホリン、4−メチルピペラジン、4−ベンジルピペラジンまたは4−フェニルピペラジンから導かれる環状アミノ基、
(I)シアノ基、
(J)カルバモイル基、
(K)オキソ、
(L)C1−3アルコキシ、
(M)テトラゾリルまたは2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリルから導かれる複素環基および
(N)C6−10アリールスルホニル、C1−4アルキルスルホニルまたはC7−14アリールアルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル基より選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよい〕である化合物;
Rbが2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル基である化合物;などが好ましい。
前記式中、Rbで示される低級アルキル基としては、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキチル等C1−6アルキルが挙げられる。なかでも、C3−6アルキル基が好ましく、C4−5アルキル基がより好ましい。とりわけイソブチル,ネオペンチル等の分枝状C4−5アルキル基が好ましい。
Rbで示される低級アルキルの置換基としては例えば炭素数C2−20アルカノイルまたはC1−7アルキルで置換されていてもよい水酸基などが挙げられる。このような置換基としては例えば水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシおよび2−アミノプロピオニルオキジ等が挙げられる。
このような置換基は置換可能な位置に1〜3個置換していてもよい。
さらに、Rbで示される置換されていてもよい低級アルキルとしては例えば、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル,3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル,3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル,3−アセトキシ−2−ヒトロキシメチル−2−メチル−プロピルおよび3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル等が挙げられる。
Xbで示される置換されていてもよいカルバモイル基は式
【化39】
で表される基のようなものが挙げられる。
【0042】
R2bおよびR3bで示される「置換されていてもよい炭化水素」としては置換されていてもよいC1−7の直鎖または分枝状のアルキル基(例えばメチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,1,1−ジメチルエチル,n−ペンチル,3−メチルブチル,2−メチルブチル,1−メチルブチル,1−エチルプロピル,n−ヘキシル,4−メチルペンチル,3−メチルペンチル,2−メチルペンチル,2−エチルブチル,1−エチルブチル,ネオペンチル,ヘキシル,ヘプチル)、置換されていてもよいC3−7のシクロアルキル基(シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシル,シクロヘキシルメチル等)、置換されていてもよいC2−6の直鎖または分枝状のアルケニル基(例えば、ビニル,アリル,イソプロペニル,2−メチルアリル,1−プロペニル,2−メチル−1−プロペニル,2−メチル−2−プロペニル,1−ブテニル,2−ブテニル,3−ブテニル,2−エチル−1−ブテニル,2−メチル−2−ブテニル,3−メチル−2−ブテニル,1−ペンテニル,2−ペンテニル,3−ペンテニル,4−ペンテニル,4−メチル−3−ペンテニル,1−ヘキセニル,2−ヘキセニル,3−ヘキセニル,4−ヘキセニル,5−ヘキセニル等)、置換されていてもよいC6−10アリール基(例えば、フェニル,ナフチル基)および置換されていてもよいC7−14アリールアルキル基(例、ベンジル,フェネチル,ナフチルメチル)等が挙げられる。
【0043】
該「置換されていてもよいC1−7の直鎖または分枝状のアルキル基、置換されていてもよいC3−7シクロアルキル基,C2−6の直鎖または分枝状のアルケニル基」の置換基としては、C1−6のアルキル基またはC6−10アリール−C1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル,フェニル,ベンジル等)でエステル化されていてもよいカルボキシル基,C1−6アルキル(例えば、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキシル等)またはアセチルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル基のようなC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基,スルホン酸基,C1−6のアルキル基またはC6−10アリール−C1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル,ベンジル等)で置換されていてもよいスルホンアミド基,C1−3のアルキル基(例、メチル,エチル,プロピル等)でアルキル化されていてもよい水酸基およびスルフヒドリル基,カルバモイル基,1ないし5個の置換基〔例えば、水酸基,塩素,フッ素,アミノスルホニル基,C1−3のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル等)で置換されていてもよいアミノ基〕で置換されていてもよいフェニル基,C1−3のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル等)でモノ−またはジ−置換されていてもよいアミノ基,環状アミノ基(例えば、ピペリジン,ピロリジン,モルホリン,チオモルホリン,ピペラジン,4−メチルピペラジン,4−ベンジルピペラジン,4−フェニルピペラジン,1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン,フタルイミド等の環状アミンから導かれるC1−3アルキル、 ベンジル、フェニル等で置換されていてもよく、さらに酸素原子、硫黄原子を環構成原子として含んでいてもよい5〜6員環状アミノ基)および、N,O,Sから選ばれるヘテロ原子を1〜4個含む芳香族5〜6員複素環(例えば、ピリジン,イミダゾール,インドール,テトラゾール等)が挙げられる。
【0044】
さらにXbで示される「置換されていてもよいカルバモイル基」のカルバモイル基を形成する置換されていてもよいアミノ基の置換基としてのC6−10アリール基およびC6−10アリール−C1−4アルキル基の置換基としては、C1−4のアルキル基(メチル,エチル,プロピル,tert−ブチル基等)でエステル化されていてもよいカルボキシル基、C1−6アルキル(メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキシル)またはピバロイルオキシメチル基、アセチルオキシメチル基のようなC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキル基でモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基、スルホン酸基、C1−4アルキルスルホニル、C6−10アリールスルホニルまたはC6−10アリール−C1−4アルキルスルホニル、C1−6のアルキル基またはC6−10アリ−ル−C1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル,ベンジル等)で置換されていてもよいスルホンアミド基およびC1−4のアルキル基でエステル化されていてもよいカルボキシル基,メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキシル等のC1−6のアルキル基またはピバロイルオキシメチル基などのC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキル基でモノまたはジ置換されていてもよいリン酸基,スルホン酸基およびC1−6アルキル,C6−10アリ−ル−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基で置換されていてもよいC1−3のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル),ハロゲン(フッ素,塩素)等が挙げられる。
該「炭化水素基」は置換可能な位置に置換基を1ないし5個有していてもよい。
【0045】
R2bおよびR3bで示される「置換されていてもよい複素環基」としては、オキソ基,チオキソ基等の置換基を1〜2個(好ましくは1個)有していてもよく、かつ脱プロトン化しうる水素原子を有する複素環基が好ましい。かかる複素環基は、S、O、Nから選ばれるヘテロ原子を1〜4個、好ましくは2〜3個含む5〜6員複素環基が好ましい。具体的にはテトラゾリル,4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,3,5−ジオキソ−1,2,4−オキサジアゾリジニル,4,5−ジヒドロ−5−オキソ−イソオキサゾリル,4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−イソオキサゾリル,2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1,3,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−テトラゾリルおよび2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−テトラゾリル等が挙げられる。とりわけテトラゾリル基が好ましい。
【0046】
R2bおよびR3bで示される「アシル基」としては、カルボン酸から誘導されるカルボン酸アシル基(例えば、アセチル,プロピオニル,ブチリル,ベンゾイル等C2−7カルボン酸アシル基)および置換基を有していてもよいC6−10アリールスルホニル基,C1−4アルキルスルホニル基およびC6−10アリ−ル−C1−4アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル,エチルスルホニル,フェニルスルホニル,ナフチルスルホニル,フェニルメチルスルホニル,フェニルエチルスルホニル,ナフチルメチルスルホニル,ナフチルエチルスルホニル等)が挙げられる。アリール,アルキル−およびアリールアルキルスルホニル基の置換基としては、C1−C3のアルキル(例メチル,エチル,プロピル等),C1−3のアルコキシ(例メトキシ,エトキシ,プロポキシ等),ハロゲン(塩素,フッ素,臭素)等が挙げられ、これらが1〜4個好ましくは1〜2個置換可能な位置に置換していてよい。
前記、カルボン酸アシル基は、ハロゲン(塩素、フッ素、臭素)を1〜2個置換基として有していてもよい。
【0047】
R2bおよびR3bは隣接のカルバモイルの窒素原子と一緒になって形成する、C1−3アルキルまたはC2−7アルカノイルなどで置換されていてもよい環状アミノ基としては、例えば、ピペラジン,ピペリジン,ピロリジン,ピペラジン−2−オン,ピペラジン−2,6−ジオン,モルホリン,チオモルホリンのような環状アミンであって、さらに、窒素原子、硫黄原子、酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1〜3個環構成原子として含んでいてもよい5または6員環状アミンから導かれる基が挙げられる。これらの環状アミノ基は、1〜4個、好ましくは1〜2個の置換基を有していてもよい。該置換基としては、C1−3アルキルまたはC2−7アルカノイルで置換されていてもよい水酸基,C1−4のアルキル基(メチル,エチル,プロピル,tert−ブチル基等)またはC7−10アリールアルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、C1−6アルキルまたはC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキル基(アセチルオキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基)でモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基,スルホン酸基およびC1−6のアルキル基またはC6−10アリ−ル−C1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル,ベンジル等)で置換されていてもよいスルホンアミド基、「C1−6アルキルまたはC6−10アリ−ル−C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、C1−6アルキルまたはC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキル基(アセチルオキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基など)でモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基、スルホン酸基、C1−6アルキルまたはC6−10アリ−ル−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、C1−3アルキルまたはC2−7アルカノイルで置換されていてもよい水酸基、C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基、カルバモイル基、1ないし5個の置換基(例えば、水酸基、ハロゲン、アミノスルホニル、C1−3アルキルで置換されていてもよいアミノ基など)で置換されていてもよいフェニル、C1−3アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいアミノ基またはテトラゾリル」で置換されていてもよいC1−6アルキルおよびC2−5アルケニル、C1−3のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル等)でモノ−またはジ−置換されていてもよいアミノ基,環状アミノ基(例えば、ピペリジン,ピロリジン,モルホリン,チオモルホリン,4−メチルピペラジン,4−ベンジルピペラジン,4−フェニルピペラジン等の、C1−C3アルキル,ベンジル,フェニルで置換されていてもよく、さらに窒素原子、硫黄原子、酸素原子から選ばれるヘテロ原子を含んでいてもよい5−または6−員環状アミンから導かれる基),シアノ基,カルバモイル基,オキソ基,C1−3アルコキシ(例えば、メトキシ,エトキシ,エチレンジオキシ等),前記したのと同様な脱プロトン化しうる水素原子を有するオキソ基又チオキソ基で置換されていてもよい複素環基(例えば、テトラゾリル,2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル等),Xで示される「置換されていてもよいカルバモイル基」のカルバモイルを形成する置換されていてもよいアミノ基の置換基として挙げたC6−10アリールスルホニル,C6−10アリ−ル−C1−4アルキルスルホニルおよびC1−4アルキルスルホニル(メチルスルホニル,エチルスルホニル,プロピルスルホニル,ブチルスルホニル,イソプロピルスルホニル,tert−ブチルスルホニル,フェニル,スルホニル,ベンジルスルホニル等)、C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基または1ないし5個の置換基(例えば、水酸基、ハロゲン、アミノスルホニルおよびC1−3アルキルで置換されていてもよいアミノ基など)で置換されていてもよいフェニルで置換されたカルバモイル基等が挙げられる。
【0048】
Xbで表される置換されていてもよいカルバモイル基の例としては例えば
【化40】
【化41】
等が挙げられる。
R2b’およびRb’としては水素原子およびC1−7アルキル等が挙げられる。とりわけ水素原子が好ましい。
R2b,R2b 'およびRb'で表されるC1−7アルキルとしては前記の「炭化水素基」のC1−7アルキルと同様のものが挙げられる。
R”としては水素原子およびC1−4アルキル等が挙げられる。とりわけ水素原子が好ましい。
R3b 'およびR"で表されるC1−4アルキルとしては例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル等が挙げられる。
【0049】
Xbで示される脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環基としてはブレンステッド酸的活性プロトンを有する含窒素(好ましくは1〜4個の窒素原子を含む)5〜6員複素環が好ましく、窒素原子、硫黄原子、酸素原子を1〜4個好ましくは2〜3個含んでいるのがよい。これらの置換基としては、オキソ基,チオキソ基等があげられ、これらの置換基を1〜2個、特に1個有していてもよい。Xで示される「脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環基」としては、例えば、テトラゾリル,2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル等のXで示される「置換されていてもよいカルバモイル基」の置換基としての「置換されていてもよい複素環基」として例示したものなどが挙げられる。
R1bで示される「低級アルキル基」としては、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,tert−ブチル,ペンチル,ヘキシル等のC1−C6アルキル基が挙げられる。とりわけC1−C3のアルキル基が好ましい。R1bとしてはとくにメチル基が薬理活性面から好ましい。
Wで示される「ハロゲン原子」としては、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。とりわけ塩素原子が好ましい。
【0050】
式(Ib)で表される化合物の塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機塩、例えば酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩等の金属塩、例えばトリエチルアミン塩、グアニジン塩、アンモニウム塩、ヒドラジン塩、キニーネ塩、シンコニン塩等の塩基の塩等の薬理学的に許容されうる塩が挙げられる。
また、式(Ib)で表される化合物の水和物および非水和物も本発明に包含されるものである。
式(Ib)で表わされる化合物またはその塩は、3位と5位に不斉炭素が存在するが、7員環の面に対して、3位と5位の置換基が逆方向を向いている異性体であるトランス体が好ましく、特に3位の絶対配置がR配置で、5位の絶対配置がS配置のものが好ましい。
【0051】
式(Ib)で表される化合物またはその塩としては具体的には以下のものが好ましい。
N−メタンスルホニル−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
N−メタンスルホニル−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
N−〔2−(ピロリジン−1−イル)エチル〕−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
N−〔2−(ピロリジン−1−イル)エチル〕−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
【0052】
N−メタンスルホニル−[(3R,5S)−1−〔3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセトアミド、
N−メタンスルホニル−[(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
N−[〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸、
N−[〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸、
N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸 エチルエステル、
N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸 エチルエステル、
【0053】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−3−〔1H(または3H)−テトラゾ−ル−5−イル〕メチル−4,1−ベンゾオキサゼピン−2−オン、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−3−〔1H(または3H)−テトラゾ−ル−5−イル〕メチル−4,1−ベンゾオキサゼピン−2−オン、
(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−3−〔1H(または3H)−テトラゾ−ル−5−イル〕メチル−4,1−ベンゾオキサゼピン−2−オン、
(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−3−〔1H(または3H)−テトラゾ−ル−5−イル〕メチル−4,1−ベンゾオキサゼピン−2−オン
N−〔2−(ピロリジン−1−イル)エチル〕−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド;など
【0054】
式(Ib)で表される化合物またはその塩は、例えば、EPA567026号、WO95/21834(特願平6−15531号に基づくPCT出願)、EPA645377(特願平6−229159号に基づく出願)、EPA645378(特願平6−229160号に基づく出願)、WO9710224号などの公報の開示の方法、またはそれに準ずる方法にしたがって製造することができる。
【0055】
式(I)で表わされる化合物としては、前記式(Ic)
【化42】
で表される化合物が好ましい。
式(Ic)で表わされる化合物としては、
R1cが置換基を有していてもよい(カルボキシ−C2−3アルキル)−C6−10アリール基である化合物;
R1cが置換基を有していてもよい(カルボキシ−C2− 3アルキル)−フェニル基である化合物;
R1cが置換基を有していてもよい(カルボキシフリル)−アルキル基である化合物;
R2cが水酸基、アセトキシ、プロピオニルオキシ、tert−ブトキシカルボニルオキシおよびパルミトイルオキシから選ばれた1ないし3個の置換基を有していてもよいC3−6アルキル基である化合物;
R2cが2,2−ジメチルプロピル、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピルまたは3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピルである化合物;
R3cがメチル基である化合物;
Wが塩素原子である化合物;
3位がR−配位で5位がS−配位である化合物;などが好ましい。
【0056】
前記式中、R1cは置換基を有していてもよい1−カルボキシエチル基、置換基を有していてもよいカルボキシ−C3−6直鎖アルキル基、置換基を有していてもよいC3−6直鎖アルキル−スルホニル基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C5−7シクロアルキル)−C1−3アルキル基、または 式 −X1−X2−Ar−X3−X4−COOH(式中、X1およびX4はそれぞれ結合手または置換基を有していてもよいC1−4アルキレン基を示し、X2およびX3はそれぞれ結合手、−O−または−S−を示し、Arは置換基を有していてもよい2価の芳香環基を示す。但し、X1が結合手のとき、X2は結合手を示し、X4が結合手のとき、X3は結合手を示す)で表される基を示す。
R1 cで示される置換基を有していてもよいカルボキシ−C3−6直鎖アルキル基におけるC3−6直鎖アルキル基としては、n−プロピル,n−ブチル,n−ペンチル,n−ヘキシルが挙げられる。これらのうち、n−プロピル,n−ブチルが好ましく、n−プロピルがより好ましい。
前記式中、R1 cで示される置換基を有していてもよいC3−6直鎖アルキル−スルホニル基におけるC3−6直鎖アルキル基としては、n−プロピル,n−ブチル,n−ペンチル,n−ヘキシルが挙げられる。これらのうち、n−プロピル,n−ブチルが好ましく、n−プロピルがより好ましい。
R1 cで示される置換基を有していてもよい(カルボキシ−C5−7シクロアルキル)−C1−3アルキル基におけるC5−7シクロアルキル基としては、シクロペンチル,シクロヘキシル,シクロヘプチルが挙げられる。これらのうち、シクロペンチル,シクロヘキシルが好ましく、シクロヘキシルがより好ましい。
R1cで示される置換基を有していてもよい(カルボキシ−C5−7シクロアルキル)−C1−3アルキル基におけるC1−3アルキル基としては、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピルが挙げられる。これらのうち、メチル,エチルが好ましく、メチルがより好ましい。
R1cとしての 式 −X1−X2−Ar−X3−X4−COOHで表される基において、X1およびX4で示される「置換基を有していてもよいC1−4アルキレン基」における「C1−4アルキレン基」としては、例えば、メチレン、ジメチレン、トリメチレン、テトラメチレンなどが挙げられ、C1−3アルキレン基が好ましく、なかでも、直鎖状のものが好ましく用いられる。
Arで示される「置換基を有していてもよい2価の芳香環基」における「2価の芳香環基」としては、例えば、2価の芳香族炭化水素基、2価の芳香族複素環基などが挙げられる。
ここで、2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、C6−10アリール基(例、フェニル,ナフチルなど)から1個の水素原子を除去して形成される基などが挙げられ、2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレンが好ましく用いられる。
2価の芳香族複素環基としては、例えば、環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし2個)含む芳香族複素環基から1個の水素原子を除去して形成される基などが挙げられる。
ここで、芳香族複素環基としては、例えばフリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等の5ないし6員の芳香族単環式複素環基(好ましくは、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、ピリジルなど)、および例えばベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ〔b〕チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピラニル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、ブテリジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、フェナトリジニル、フェナトロリニル、インドリジニル、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジニル等の8〜12員の芳香族縮合複素環基(好ましくは、前記した5ないし6員の芳香族単環式複素環基がベンゼン環と縮合した複素環または前記した5ないし6員の芳香族単環式複素環基の同一または異なった複素環2個が縮合した複素環、より好ましくは前記した5ないし6員の芳香族単環式複素環基がベンゼン環と縮合した複素環)等が挙げられる。
【0057】
X1およびX4で示される「置換基を有していてもよいC1−4アルキレン基」における「C1−4アルキレン基」;ならびにArで示される「置換基を有していてもよい2価の芳香環基」における「2価の芳香環基」がそれぞれ有していてもよい置換基としては、(i)C1−6のアルキル基またはC6−10アリール−C1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル,フェニル,ベンジル等)でエステル化されていてもよいカルボキシル基,(ii)C1−6アルキル(例えば、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキシル等)またはアセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル基のようなC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキルでモノまたはジ−置換されていてもよいリン酸基,(iii)スルホン酸基,(iv)C1−6のアルキル基またはC6−10アリール−C1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル,ベンジル等)で置換されていてもよいスルホンアミド基,(v)C1−3のアルキル基(例、メチル,エチル,プロピル等)でアルキル化されていてもよい水酸基およびスルフヒドリル基,(vi)カルバモイル基,(vii)1ないし5個の置換基〔例えば、水酸基,塩素,フッ素,アミノスルホニル基,C1−3のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル等)で置換されていてもよいアミノ基〕で置換されていてもよく、OまたはSを介して結合していてもよいフェニル基,(viii)C1−3のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル等)でモノ−またはジ−置換されていてもよいアミノ基,(ix)C1−3アルキル(例、メチル,エチル等)、ベンジル、フェニル等で1ないし3個置換されていてもよい環状アミノ基(例えば、ピペリジン,ピロリジン,モルホリン,チオモルホリン,ピペラジン,4−メチルピペラジン,4−ベンジルピペラジン,4−フェニルピペラジン,1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン,フタルイミド等の環状アミンから(水素原子を一個除いて)導かれる環状アミノ基などの窒素原子の外に酸素原子、硫黄原子を環構成原子として含んでいてもよい5〜6員環状アミノ基),(x)N,O,Sから選ばれるヘテロ原子を1〜4個含み、OまたはSを介して結合していてもよい5−6員芳香族複素環基(例えば、ピリジル,イミダゾリル,インドリル,テトラゾリル等),(xi)ハロゲン原子(例、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素など),(xii)C1−4アルコキシ基、C1−4アルキルチオ基、カルボキシルおよびフェニルから選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよいC1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,t−ブチル等)、C1−4アルコキシ基(例えば、メトキシ,エトキシ,プロポキシ,イソプロポキシ,ブトキシ,t−ブトキシ等)またはC1−4アルキルチオ基(例えば、メチルチオ,エチルチオ,プロピルチオ,イソプロピルチオ,ブチルチオ,t−ブチルチオ等)、(xiii)C5−7シクロアルキル基(例、シクロペンチル,シクロヘキシル,シクロヘプチル等)、(xiv)C1−7アルカノイルオキシ(例、ホルミルオキシ,アセトキシ,プロピオニルオキシ,ブチリルオキシ,t−ブトキシカルボニルオキシ,イソブチリルオキシ,バレリルオキシ,ピバロイルオキシ等)が挙げられる。このような置換基は、置換可能位置に1ないし6個、好ましくは1ないし3個存在し得る。また、2個の置換基が結合して、C3−6アルキレン、C3−6アルキレンオキシ、C3−6アルキレンジオキシなどを形成していてもよく、例えば、フェニル基上の隣接した2個の置換基が結合して、C4アルキレンを形成する場合は、テトラヒドロナフタレン基を形成することとなる。
R1cとしての 式 −X1−X2−Ar−X3−X4−COOHで表される基の具体例としては、置換基を有していてもよい(カルボキシ−ヘテロアリール)−C1−4アルキル基〔好ましくは、置換基を有していてもよい(カルボキシ−フリル)−C1−4アルキル基〕、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C6−10アリール)−C1−4アルキル基、置換基を有していてもよいカルボキシ−ヘテロアリール基、置換基を有していてもよいカルボキシ−C6−10アリール基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−ヘテロアリール基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−C6−10アリール基〔好ましくは、(カルボキシ−C2−3アルキル)−C6−10アリール基〕、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−ヘテロアリール−C1−4アルキル基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−C7−14アラルキル基〔好ましくは、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−3アルキル)−C7−14アラルキル基〕、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルコキシ)−C6−10アリール基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルコキシ)−C6−10アリール−C1−4アルキル基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−C6−10アリールオキシ−C1−4アルキル基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C6−10アリールオキシ)−C1−4アルキル基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキルチオ)−ヘテロアリール基などが挙げられる。
ここで、ヘテロアリールとしては、前記した「芳香族複素環基」と同様な
ものが挙げられ、該ヘテロアリールは、前記した「芳香族複素環基」が有していてもよい置換基と同様な置換基を有していてもよい。また、C6−10アリールとしては、フェニル,ナフチル,アズレニルが挙げられ、フェニルが好ましく用いられ、該C6−10アリールは、前記した「芳香族複素環基」が有していてもよい置換基と同様な置換基を有していてもよい。 R1で示される置換基を有していてもよい(カルボキシフリル)−C1−4アルキル基におけるアルキル基としては、例えばメチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル、n−ブチル,イソブチル,1,1−ジメチルエチル等のC1−4の直鎖または分枝状のアルキル基等が挙げられる。これらのうち、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル等のC1−4アルキル基が好ましく、メチル,エチル,n−プロピルがより好ましい。該カルボキシフリル基としては、例えば3−カルボキシ−2−フリル、4−カルボキシ−2−フリル、2−カルボキシ−3−フリル、2−カルボキシ−5−フリル等が挙げられる。こらのうち、3−カルボキシ−2−フリル、4−カルボキシ−2−フリルが好ましく、3−カルボキシ−2−フリルがより好ましい。
R1cで示される置換基を有していてもよい(カルボキシ−C2−3アルキル)−C6−10アリール基におけるC2−3アルキルとしては、エチル,n−プロピル,イソプロピルが挙げられ、エチル,n-プロピルが好ましい。C6−10アリール基としては、フェニル,ナフチル,アズレニルが挙げられ、フェニルが好ましい。
R1cで示される置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−3アルキル)−C7−14アラルキル基における、C1−3アルキル基としては、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピルが挙げられ、メチル,エチルが好ましく、エチルが特に好ましい。C7−14アラルキル基(C6−10アリール−C1−4アルキル基)としては、フェニルメチル,1−フェニルエチル,2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル,2−フェニルプロピル,4−フェニルブチル,(1−ナフチル)メチル,(2−ナフチル)メチル、1−(1−ナフチル)エチル,1−(2−ナフチル)エチル、3−(1−ナフチル)プロピル,3−(1−ナフチル)プロピル、4−(1−ナフチル)ブチル、4−(2−ナフチル)ブチルが挙げられ、フェニルメチル,1−フェニルエチル,3−フェニルプロピル,(1−ナフチル)メチル、(2−ナフチル)メチル、(1−ナフチル)エチル、(2−ナフチル)エチルが好ましく、フェニルメチル,2−フェニルエチルが特に好ましい。
R1cで示される各基で置換基を有する場合の置換基としては、Arで示される「置換基を有していてもよい2価の芳香環基」における「2価の芳香環基」が有していてもよい置換基と同様なものが挙げられ、このような置換基は、置換可能位置に1ないし6個、好ましくは1ないし3個存在し得る。また、R1で示される各基において、カルボキシル部分は無置換であることが好ましいが、カルボキシル以外の任意の部分は、置換可能位置に置換可能な置換基を有していてもよい。
R1cとしては、3−カルボキシプロピル基、1−カルボキシエチル基、それぞれ置換基を有していてもよいC3−6直鎖アルキル−スルホニル基、(カルボキシ−C5−7シクロアルキル)−C1−3アルキル基、(カルボキシフリル)−アルキル基、カルボキシ−C6−10アリール基、(カルボキシ−C1−4アルキル)−C6−10アリール基〔好ましくは、(カルボキシ−C2−3アルキル)−C6−10アリール基〕、(カルボキシ−C1−3アルキル)−C7−14アラルキル基などが好ましく、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−C6−10アリール基が好ましく、置換基を有していても良い(カルボキシ−C2−3アルキル)−C6−10アリール基がさらに好ましく、とりわけ、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C2− 3アルキル)−フェニル基が好ましい。
【0058】
R2 cで示される、アルカノイルオキシ基または水酸基で置換されていてもよいC3−6アルキル基におけるC3−6アルキル基としては例えば、n−プロピル,イソプロピル,1,1−ジメチルエチル,n−ブチル,イソブチル,n−ペンチル,2,2−ジメチルプロピル,イソペンチル,n−ヘキシル,イソヘキシル等が挙げられる。これらのうち、イソプロピル,1,1−ジメチルエチル,n−ブチル、イソブチル,2,2−ジメチルプロピル,イソヘキシルが好ましく、2,2−ジメチルプロピルが特に好ましい。
R2 cで示される、アルカノイルオキシ基または水酸基で置換されていてもよいC3−6アルキル基におけるアルカノイルオキシ基としては例えば、ホルミルオキシ,アセトキシ,プロピオニルオキシ,ブチリルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,イソブチリルオキシ,バレリルオキシ,ピバロイルオキシ,ラウリルオキシ,パルミトイルオキシ,ステアロイルオキシ等のC1−20アルカノイルオキシ基(好ましくは、C1−7アルカノイルオキシ基など)などが挙げられる。これらのうち、アセトキシ,プロピオニルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシが好ましく、アセトキシが特に好ましい。アルカノイルオキシ基または水酸基は置換可能な位置に1〜3個置換していてもよい。
R2cで示されるアルカノイルオキシ基または水酸基で置換されていてもよいC3−6アルキル基の好ましい例としては、2,2−ジメチルプロピル,3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル,3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル,3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル,3−アセトキシ−2−ヒトロキシメチル−2−メチル−プロピルおよび3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル等が挙げられる。これらのうち、2,2−ジメチルプロピル,3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル,3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピルが特に好ましい。
また、R2としては、アルカノイルオキシ基および/または水酸基を有するC3−6アルキル基が好ましい。
【0059】
R3cで示される低級アルキル基としては、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,tert−ブチル,ペンチル,ヘキシル等のC1−6アルキル基が挙げられる。とりわけC1−3のアルキル基が好ましい。R3cとしてはとくにメチル基が薬理活性面から好ましい。
Wで示されるハロゲン原子としては、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。とりわけ塩素原子が好ましい。
【0060】
式(Ic)で表わされる化合物は遊離体であっても、薬理学的に許容される塩であっても本発明に含まれる。このような塩としては、式(Ic)で表わされる化合物がカルボキシル基等の酸性基を有する場合、無機塩基(例、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、鉄、銅等の遷移金属等)や有機塩基(例、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどの有機アミン類、アルギニン、リジン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸類等)などとの塩を形成していてもよい。
本発明の式(Ic)で表わされる化合物がアミノ基等の塩基性基を有する場合、無機酸や有機酸(例、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、炭酸、重炭酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)、アスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸等との塩を形成してもよい。
【0061】
式(Ic)で表わされる化合物またはその塩は、3位と5位に不斉炭素が存在するが、立体異性体の混合物であってもよく、また公知手段で異性体を分離することもできる。7員環の面に対して3位と5位の置換基が逆方向を向いている異性体であるトランス体が好ましく、特に3位の絶対配置がR配置で、5位の絶対配置がS配置のものが好ましい。またラセミ体または光学活性体であってもよい。光学活性体は公知の光学分割手段によりラセミ体より分離することができる。
【0062】
本発明の式(Ic)で表わされる化合物またはその塩としては具体的には以下のもなどが好ましい。
N−プロパンスルホニル−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、もしくはその塩
(2R)−2−〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノプロピオン酸、もしくはその塩
3-〔3-〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(2,2-ジメチルプロピル)−2−オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
4-〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(2,2−ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノブタン酸、もしくはその塩
トランス−4−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボン酸、もしくはその塩
トランス−4−〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボン酸、もしくはその塩
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノ〕−4−フルオロフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノ〕−4−メチルフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノ〕−4−メチルフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノメチル〕フェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノメチル〕フェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
3-〔3-〔〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノ〕-4-メトキシフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
2−〔2−〔〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノ〕エチル〕フラン−3−カルボン酸、もしくはその塩
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼン−3−イル〕アセチル〕アミノ〕−4−フルオロフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
3-〔3-〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕 アミノフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
4-〔3-〔〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノ〕-4-メトキシフェニル〕ブタン酸、もしくはその塩
5-〔3-〔〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノ〕-4-メトキシフェニル〕ペンタン酸、もしくはその塩
5-〔3-〔〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノ〕-4-フルオロフェニル〕ペンタン酸、もしくはその塩などが挙げられる。
【0063】
前記式(Ic)で表わされる化合物またはその塩は、例えば、EPA567026号、WO95/21834(特願平6−15531号に基づくPCT出願)、EPA645377(特願平6−229159号に基づく出願)、EPA645378(特願平6−229160号に基づく出願)などの公報、特願2000−190253号(PCT/JP01/05347)明細書などに開示の方法、またはそれに準ずる方法にしたがって製造することができる。
本発明の式(I)で表される化合物の原料化合物も、前記と同様の塩が用いられるが、反応に支障のない限り特に限定されない。
【0064】
本発明の高密度リポタンパク−コレステロール上昇剤は、優れた高密度リポタンパク−コレステロール上昇作用を有し、かつ低毒性である。よって、これらの化合物およびその塩は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ヒツジ、サル、ヒト等)において、例えば原発性低高密度リポタンパク−コレステロール血症予防治療薬、タンジェール病予防治療薬などの他、心筋梗塞予防治療薬、動脈硬化性疾患予防治療薬、高脂血症予防治療薬、家族性高コレステロール血症予防治療薬、糖尿病予防治療薬、糖尿病性合併症予防治療薬等として安全に用いることができる。
本発明の高密度リポタンパク−コレステロール上昇剤および家族性高コレステロール血症予防・治療剤において、活性成分であるスクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物またはその塩、またはそのプロドラッグ(SSI化合物またはそのプロドラッグ)は、原末のままでもよいが、通常製剤用担体、例えば賦形剤(例えば、炭酸カルシウム、カオリン、炭酸水素ナトリウム、乳糖、澱粉類、結晶セルロース、タルク、グラニュー糖、多孔性物質等)、結合剤(例えば、デキストリン、ゴム類、アルコール化澱粉、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン等)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファー化澱粉等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、澱粉、安息香酸ナトリウム等)、着色剤(例えば、タール色素、カラメル、三二酸化鉄、酸化チタン、リボフラビン類等)、矯味剤(例えば、甘味類、香料等)、安定剤(例えば、亜硫酸ナトリウム等)および保存剤(例えば、パラベン類、ソルビン酸等)等の中から適宜、適量用いて、常法に従って調製された形で投与される。前記製剤を含む本発明の剤は、SSI化合物またはそのプロドラッグを疾病を治療および予防するのに有効な量を適宜含有する。SSI化合物またはそのプロドラッグの本発明製剤中の含有量は、通常製剤全体の0.1ないし100重量%である。また本発明で用いられる製剤は、活性成分としてSSI化合物またはそのプロドラッグ以外の他の医薬成分を含有していてもよく、これらの成分は本発明の目的が達成される限り特に限定されず、適宜適当な配合割合で使用が可能である。剤形の具体例としては、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、注射剤、徐放性注射剤、吸入剤、軟膏剤等が用いられる。これらの製剤は常法(例えば日本薬局方記載の方法等)に従って調製される。
【0065】
具体的には、錠剤の製造法は、SSI化合物またはそのプロドラッグをそのまま、賦形剤、結合剤、崩壊剤もしくはそのほかの適当な添加剤を加えて均等に混和したものを、適当な方法で顆粒とした後、滑沢剤等を加え、圧縮成型するかまたは、SSI化合物またはそのプロドラッグをそのまま、または賦形剤、結合剤、崩壊剤もしくはそのほかの適当な添加剤を加えて均等に混和したものを、直接圧縮成型して製するか、またはあらかじめ製した顆粒にそのまま、もしくは適当な添加剤を加えて均等に混和した後、圧縮成型しても製造することもできる。また、本剤は、必要に応じて着色剤、矯味剤等を加えることができる。さらに、本剤は、適当なコーティング剤で剤皮を施すこともできる。注射剤の製造法は、SSI化合物またはそのプロドラッグの一定量を、水性溶剤の場合は注射用水、生理食塩水、リンゲル液等、非水性溶剤の場合は通常植物油等に溶解、懸濁もしくは乳化して一定量とするか、またはSSI化合物またはそのプロドラッグの一定量をとり注射用の容器に密封して製することができる。
経口用製剤担体としては、例えばデンプン、マンニトール、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の製剤分野において常用されている物質が用いられる。注射用担体としては、例えば蒸留水、生理食塩水、グルコース溶液、輸液剤等が用いられる。その他、製剤一般に用いられる添加剤を適宜添加剤することもできる。
また、本発明の製剤は、徐放性製剤として用いることもできる。本発明の徐放性製剤は、例えば水中乾燥法(o/w法、w/o/w法等)、相分離法、噴霧乾燥法あるいはこれらに準ずる方法によって製造されたマイクロカプセル(例えばマイクロスフェア・マイクロカプセル、マイクロパーティクル等)をそのまま、あるいはこのマイクロカプセルまたは球状、針状、ペレット状、フィルム状、クリーム状の医薬組成物を原料物質として種々の剤型に製剤化し、投与することができる。該剤型としては、例えば非経口剤(例えば、筋肉内、皮下、臓器等への注射または埋め込み剤;鼻腔、直腸、子宮等への経粘膜剤等)、経口剤(例えば、硬カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、散剤、懸濁剤等)等が挙げられる。
本発明の徐放性製剤が注射剤である場合は、マイクロカプセルを分散剤(例えば、Tween 80,HCO−60等の界面活性剤;カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等の多糖類;硫酸プロタミン、ポリエチレングリコール等)、保存剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、ブドウ糖等)、局所麻酔剤(例えば、塩酸キシロカイン、クロロブタノール等)等とともに水性懸濁剤とするか、植物油(例えば、ゴマ油、コーン油等)あるいはこれにリン脂質(例えば、レシチン等)を混合したもの、または中鎖脂肪酸トリグリセリド(例えば、ミグリオール812等)とともに分散して油性懸濁剤として徐放性注射剤とする。
本発明の徐放性製剤がマイクロカプセルである場合、その平均粒子径は、約0.1ないし約300μmであり、好ましくは、約1ないし約150μm、さらに好ましくは約2ないし約100μmである。
マイクロカプセルを無菌製剤にするには、製造全工程を無菌にする方法、ガンマ線で滅菌する方法、防腐剤を添加する方法等が挙げられるが、特に限定されない。
【0066】
本発明の高密度リポタンパク−コレステロール上昇剤は、低毒性で、医薬品として有用であり、優れた高密度リポタンパク−コレステロール上昇作用を有する。それゆえ、本発明の剤は、この薬理作用に基づく疾患の予防治療薬として有用である。
すなわち、動脈硬化、高脂血症、糖尿病、糖尿病性合併症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、不整脈、末梢血管疾患、血栓症、膵障害、虚血性心疾患、脳虚血、心筋梗塞後遺症、心弁膜症、アルツハイマー病等の治療または予防に用いることができる。加えて家族性高コレステロール血症、原発性低HDL血症、Tangier病、および閉経後の糖尿病患者に多発する虚血性心疾患の治療および予防に適している。
本発明の高密度リポタンパク−コレステロール上昇剤は、LDL低下作用を有するが、HDL上昇作用を示さない薬剤と比較すると、LDL低下作用のみでは治療効果がない原発性低HDL血症、Tangier病などの予防・治療に有用である。高脂血症治療薬の最終目的は心筋梗塞等の致死的な疾患の発症を予防することであり、LDL低下作用を有するが、HDL上昇作用を示さない薬剤でも心筋梗塞などに対してある程度の発症予防効果が認められるが、高密度リポタンパク−コレステロール上昇剤は心筋梗塞等の発症をより強力に予防することが可能である。更に、LDL低下作用を有するが、HDL上昇作用を示さない薬剤では治療効果が認められない患者や疾患・症状(例えば、難治性の高脂血症など)にも有効であり、血清脂質が正常レベルであるヒトにおいても、心筋梗塞等の致死的な疾患の発症率を抑制し、治療効果を改善することが可能である。
また、高脂血症、特に高トリグリセリド血症、高リポタンパク血症および高コレステロール血症並びにそれから生じるアテロ−ム性動脈硬化血管病変およびそれらの続発症、例えば、冠動脈疾患、脳虚血、動脈瘤、脳動脈硬化、末梢動脈硬化症、間欠性跛行、壊疽等の治療および予防に特に適している。
本発明の高密度リポタンパク−コレステロール上昇剤の更に注目に値する適用例として、アルツハイマー病の予防、治療が挙げられる。血中コレテロールの上昇は、アルツハイマー病の危険因子であることが知られている。式(I)で表わされる化合物またはその塩、またはそのプロドラックなどのSSI化合物は、その優れた高密度リポタンパク−コレステロール上昇および脂質低下作用により、アルツハイマー病の予防、治療に用いることができ、その際、SSI化合物は、単独あるいは以下に例示する薬剤と組み合わせて投与することができる。この場合の可能な組み合わせは、例えば、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(例えば、アリセプト、エクセロンなど)、アミロイドβ産生・分泌阻害薬(例えば、JT-52やLY-374973などのγあるいはβセクレターゼ阻害剤、あるいはSIB-1848など)、アミロイドβ凝集阻害薬(例えば、PTI-00703やBETABLOC(AN-1792)など)などが挙げられる。
本発明における式(I)で表わされる化合物またはその塩、プロドラック(以下、その塩およびプロドラックも含めて、単に式(I)の化合物または化合物(I)と称することがある)は、低毒性であり、高密度リポタンパク−コレステロール上昇作用を有する。更に、スクアレン合成酵素阻害作用、トリグリセライド低下作用を有し、すぐれた脂質低下作用を有するので、哺乳動物(例、マウス、ラット、ウサギ、犬、ネコ、牛、豚、サル、ヒト等)高コレステロール血症、高トリグリセライド血症等の高脂血症の予防治療に安全な医薬として有用であり、また腎炎,腎症などの腎疾患、動脈硬化、虚血性疾患、心筋梗塞、狭心症、動脈瘤、脳動脈硬化、末梢動脈硬化症、血栓症、高血圧症、骨粗鬆症、糖尿病(例えば、インスリン抵抗性に基づく型など)、膵障害、経皮的冠動脈形成術(PTCA)後の再狭搾の予防治療に安全な医薬として有用である。
【0067】
以下、本発明の有用性をさらに詳しく述べる。
式(I)の化合物は優れたトリグリセライド低下作用およびコレステロール低下作用並びにそれらの生物学的性質を有しており、高脂血症、特に高トリグリセライド血症、高リポタンパク血症および高コレステロール血症並びにそれから生じるアテローム性動脈硬化血管病変およびそれらの続発症、例えば、冠動脈疾患、脳虚血、脳卒中、間欠性跛行、壊疽等の治療および予防に特に適している。
これらの疾患の治療において、式(I)の化合物は単独で治療のために使用されてもよく、またはその他の脂質低下薬またはコレステロール低下薬などの他の医薬成分と共に組合わせて(同時投与あるいは時間差を設けて投与して)使用されてもよく、この場合、これらの化合物は経口製剤として投与されることが好ましく、また必要により直腸製剤として坐薬の形態で投与されてもよい。この場合の可能な組み合わせ成分としては、例えばフィブレート類〔例、クロフィブレート、ベンザフィブレート、ジェムフィプロジル、フェノフイブレート、Wy−1463、GW9578等〕などのPPARα 作動薬,ニコチン酸、その誘導体および類縁体〔例、アシピモックスおよびプロブコール〕,胆汁酸結合樹脂〔例、コレスチラミン、コレスチポール等〕,コレステロール吸収を抑制する化合物〔例、シトステロールやネオマイシン、βラクタム誘導体等〕,コレステロール生合成を阻害する化合物〔例、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、アトロバスタチン、ZD−4522、イタバスタチン等のHMG−CoA還元酵素阻害薬〕,スクアレンエポキシダーゼ阻害薬〔例、NB−598および類縁化合物等〕が挙げられる。
更に別の可能な組み合わせ成分は、オキシドスクアレン−ラノステロールサイクラーゼ阻害薬(例えばデカリン誘導体、アザデカリン誘導体およびインダン誘導体など)やMTP(ミクロソームトリグリセリド転送タンパク阻害薬(implitapideなど)などである。
【0068】
加えて、式(I)の化合物は、高カイロミクロン血症に関連する疾患、例えば、急性膵炎の治療に適している。膵炎発症の機序については、カイロミクロンによって膵毛細血管に微小塞栓がおこる、あるいは高カイロミクロン血症のため膵リパーゼによってトリグリセライドが分解されて生成する遊離脂肪酸が増加し局所を強く刺激するためにおこるともいわれている。したがって、本発明の式(I)の化合物はトリグリセライド低下作用を有するので膵炎の治療が可能であり、単独で、または既知の治療法と組み合わせて膵炎の治療に使用し得る。本疾患の治療のために、本発明の化合物(I)は経口投与または局所投与でき、またはそれらは単独であるいは既知の活性化合物と組み合わせて使用し得る。この場合の可能な組み合わせ成分は、例えば抗酵素療用にアプロチニン(トラジロール),メシル酸ガベキサート(エフオーワイFOY),メシル酸ナファモスタット(フサン),シチコリン(ニコリン),ウリナスタチン(ミラクリッド)等があげられる。又疼痛の除去の目的で、抗コリン作動薬、非麻薬性鎮痛薬、麻薬も使用される。
式(I)の化合物の更に注目に値する適用例として、続発性高脂血症がある。これには、糖尿病、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群あるいは慢性腎不全などが含まれ、これらの疾患によって高脂血症が発症するが、多くの場合、高脂血症がこれらの疾患を憎悪させる、いわゆる悪循環を形成している。脂質低下作用から考えて、式(I)の化合物はこれらの疾患の治療および進展予防にも適しており、その際それらは単独で、または以下に挙げる医薬と組み合わせて投与できる。
【0069】
糖尿病治療薬:キネダック,アバンデイア、ベンフィル,ヒューマリン,オイグルコン,グリミクロン,ダオニール,ノボリン,モノタード,インシュリン類,グルコバイ,ジメリン,ラスチノン,バシルコン,デアメリンS,イスジリン類;
甲状腺機能低下症治療薬:乾燥甲状腺(チレオイド),レボチロキシンナトリウム(チラージンS),リオチロニジンナトリウム(サイロニン、チロミン);
ネフローゼ症候群治療薬:プレドニゾロン(プレドニン),コハク酸プレドニゾロンナトリウム(プレドニン),コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム(ソル・メドロール),ベタメタゾン(リンデロン);
抗凝固療法剤:ジピリダモール(ベルサンチン),塩酸ジラゼプ(コメリアン)等;
慢性腎不全治療薬:利尿薬〔例、フロセミド(ラシックス),ブメタニド(ルネトロン),アゾセミド(ダイアート)〕,降圧薬(例、ACE阻害薬、(マレイン酸エナラプリル(レニベース))およびCa 拮抗薬(マニンヒロン)、α受容体遮断薬などと組み合わせて、好ましくは経口投与で使用し得る。
【0070】
高脂血症は動脈硬化症を増悪させ、高血圧症を引き起こすことから、式(I)の化合物は高血圧症の治療・予防にも適しており、その際式(I)の化合物は単独、あるいは以下に例示する薬剤と組合わせて投与することができる。この場合の可能な組合わせは、例えばアンジオテンシン−II拮抗薬〔例、ロサルタンカリウム(ニュウロタン)、カンデサルタンレキセチル(プロブレス)等〕、ACE阻害薬〔例、マレイン酸エナラプリル(レニベース)、リシノプリル(ゼストリル、ロンゲス)、塩酸デラプリル(アテカット)、カプトプリル等〕、カルシウム拮抗薬〔例、トシル酸アムロジピン(アムロジン、ノルバスク)、塩酸マニジピン(カルスロット)等〕、降圧利尿剤、α受容体遮断薬、β受容体遮断薬などが挙げられる。
式(I)の化合物のさらに注目すべき適応症は、血中コレステロールの上昇に伴う骨粗鬆症である。式(I)の化合物の優れた脂質低下作用により、血中コレステロールの上昇に伴う骨粗鬆症の治療・予防に用いることができ、その際式(I)の化合物は単独あるいは以下に例示する薬剤と組合わせて投与することができる。この場合の可能な組合わせとしては、例えば性ホルモンおよび関連薬剤〔例、エストロゲン製剤、イプリフラボン(オステン)、ラロキシフェン、オサテロン、チボロン等〕、カルシトニン類、ビタミンD製剤〔例、アルファカルシドール、カルシトリオール等〕、ビスホスホン酸類(例、エチドロネート、クロドロネート等)などの骨吸収抑制剤、フッ素化合物、PTHなどの骨形成促進剤などが挙げられる。
【0071】
本発明の式(I)の化合物の更に可能な用途は、血栓形成の抑制である。血中トリグリセライド値と血液凝固に関与する第VII因子とは正相関し、ω−3系脂肪酸の摂取によりトリグリセライドが低下すると共に、凝固は抑制されることから、高トリグリセライド血症が血栓形成を促進する。また、正脂血症者よりも高脂血症患者のVLDLが血管内皮細胞からのプラスミノーゲンアクチベータインヒビター分泌を強く増加させたことから、トリグリセライド(以下TG)が線溶能を低下させるとも考えられる。それゆえ、TG低下作用から考えて、式(I)の化合物は血栓形成の予防および治療に適している。その際それらは単独で、または既知の下記治療薬と組み合わせて、好ましくは経口投与で使用し得る。
血栓形成予防治療薬:血液凝固阻止薬〔例、ヘパリンナトリウム,ヘパリンカルシウム,ワルファリンカルシウム(ワーファリン)〕,血栓溶解薬〔例、ウロキナーゼ〕,抗血小板薬〔例、アスピリン,スルフィンピラゾロ(アンツーラン),ジピリダモール(ペルサンチン),アクロピジン(パナルジン),シロスタゾール(プレタール)〕
前記した公知のSSI化合物も、式(I)の化合物と同様な疾患の予防・治療に用いることができ、また、式(I)の化合物と同様な併用薬を用いることができる。
【0072】
また、本発明の高密度リポタンパク−コレステロール上昇剤は血糖低下作用を示し、肥満型糖尿病ラットにおいて血糖低下作用を示すことから、インスリン抵抗性を改善する。それらの生物学的性質を考えると、高血糖症およびそれから生じる続発症、例えば、糖尿病性腎症および腎不全期に認められる合併症、貧血、骨代謝異常、嘔吐、悪心、食欲不振、下痢などの循環器疾患、神経障害などの神経症状、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性血管障害並びにインスリン抵抗性およびそれから生じる、例えば高血圧症や耐糖能異常、さらにその続発症、例えば、心臓病、脳虚血、間欠性跛行、壊疽等の治療および予防に特に適している。
これらの疾患の治療において、本発明の高密度リポタンパク−コレステロール上昇剤は単独で予防治療のために使用されてもよく、またその他の血糖低下薬または降圧薬と共に使用されてもよく、この場合、これらの化合物は経口製剤として投与されることが好ましく、また必要により直腸製剤として坐薬の形態で投与されてもよい。この場合組み合わせが可能な成分としては、例えば、(1)インスリン製剤(例えば、ヒトインスリン等)、(2)スルホニルウレア剤(例えば、グリベンクラミド、グリクラジド等)、(3)α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、ボグリボース、アカルボース等)、(4)インスリン感受性増強剤(例えば、ピオグリタゾン、トログリタゾン等)、(5)アルドース還元酵素阻害剤(例えば、エパルレスタット、トルレスタット等)、グリケーション阻害剤(例えば、アミノグアニジン等)等が挙げられる。
婦人科疾患治療薬(更年期障害治療薬(結合型エストロゲン、エストラジオール、エナント酸テストステロン・吉草酸エストラジオール等)、乳癌治療薬(クエン酸タモキシフェン等)、子宮内膜症・子宮筋腫治療薬(酢酸リュープロリン、ダナゾール等)等との組み合わせ、あるいはこれら薬剤と糖尿病治療薬との組み合わせも可能である。
更に降圧剤との組み合わせが可能であり、例えば、(1)利尿薬(例えば、フロセミド、スピロノラクトン等)、(2)交感神経抑制薬(例えば、アテノロール等)、(3)アンジオテンシンII拮抗薬(例えば、ロサルタン、カンデサルタン等)、(4)アンジオテンシンI変換酵素阻害薬(例えば、マレイン酸エナラプリル、塩酸デラプリル等)、(5)カルシウム拮抗薬(例えば、ニフェジピン、塩酸マニジピン等)等が挙げられる。
本発明の製剤の投与量は、投与経路、症状、患者の年令あるいは体重等によっても異なるが、例えば、動脈硬化治療剤、血糖低下剤、糖尿病合併症治療剤、原発性低高密度リポタンパク−コレステロール血症治療剤、タンジェール病治療剤、家族性高コレステロール血症治療剤などとして、成人患者に経口的に投与する場合、スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物またはその塩、またはそのプロドラッグとして1日当たり0.2〜50mg/day、好ましくは1.5〜30mg/dayを1〜数回に分けて投与するのが望ましい。投与経路は経口、非経口のいずれでもよい。
また、本発明の徐放性製剤の投与量は、投与経路、症状、患者の年令あるいは体重等の他に、放出の持続時間等によっても種々異なるが、活性成分の有効濃度が体内で保持される量であれば特に制限されず、その投与回数は、1日ないし3日あるいは1週間ないし3ヶ月に1回等状況によって適宜選ぶことができる。
【0073】
【発明の実施の形態】
本発明は、さらに下記の実施例で詳しく説明されるが、これらの例は単なる実例であって本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
【0074】
【実施例】
以下に、本発明の製剤の薬理効果を示す実験結果について記載する。
試験例1
雄性コモンマーモセット(300−500g)を正常食(CMS−1、日本クレア)と水を自由に与えて飼育した。体重を測定し、大腿静脈から血液を採取して、血漿中の総コレステロール(TC)、HDL-コレステロール(HDL−C)およびトリグリセリド(TG)を和光純薬キット(和光純薬製)を用い、自動分析機(日立7070)にて測定し、1群5匹に分けた。被検化合物を0.5%メチルセルロースで懸濁液として1日1回4日間強制経口投与した。5日目の朝、体重を測定し、さらに大腿静脈から血液を採取して、血漿中の総コレステロール、トリグリセリドおよびHDL−コレステロールを前記と同様の方法で測定した。なお、非HDL−C(non−HDL−C)は総コレステロールからHDL−コレステロールを差し引いて求めた。
結果を表1に示す。
【表1】
被検化合物:
N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸
試験例2
LDL受容体欠損動物であるWHHL(Watanabe heritable hyperlipidemic)ウサギ(2-3 ヶ月齢、雄 4 羽、雌 8 羽)を使用した。体重を測定し、耳中心動脈から血液を採取した。血漿中のコレステロール(TC)およびトリグリセライド(TG)値を、和光純薬キット(和光純薬製)を用いた自動分析装置(日立7070)にて測定し、6 羽ずつ 2 群に分けた。被検化合物は基礎飼料(RC-4、オリエンタル酵母)に0.2% となるように混和し、混餌飼料を一日 120g与えた(100 mg/kg/day 相当量)。対照群には基礎飼料を一日 120g与えた。投与開始時、14 日間投薬終了時の血中脂質値を、表2および表3に示す。
【表2】
被検化合物:
N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸
【表3】
被検化合物:
N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸
【0075】
製剤例
下記の組成に従い、化合物A175g、D−マンニトール175g、コーンスターチ118.65gおよびクロスカルメロースナトリウム105gからなる混合物を、バーチカルグラニュレーター(FM−VG−10型、パウレックス社製)で充分混合後、ヒドロキシプロピルセルロース19.25gを溶解した水溶液で練合する(練合条件:400rpm,10分間)。白色の練合物を流動乾燥機(FD−3S,パウレックス社製)を用い送風温度60℃で30分間乾燥後、パワーミル(P−3型,昭和化学機械工作所製)を用い1.5mmφパンチングスクリーンで篩過して顆粒とする。この顆粒525.14g、クロスカルメロースナトリウム31gおよびステアリン酸マグネシウム1.86gを加え、混合機(TM−15型,昭和化学機械工作所製)で5分間混合し打錠用顆粒とする。この顆粒を錠剤機(Correct 19K,菊水製作所製)で8.0mmφの隅角平面杵を用いて180mg、圧力0.7ton/cm2 で打錠し、錠剤2,350錠を得る。
化合物A:N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸
得られる50mg錠を1日一回夕方に経口投与する。
【0076】
【発明の効果】
本発明の製剤は、優れた高密度リポタンパク−コレステロール上昇作用を有するので、例えば、原発性低高密度リポタンパク−コレステロール血症予防治療薬、タンジェール病予防治療薬などの他、動脈硬化性疾患予防治療薬、高脂血症予防治療薬、家族性高コレステロール血症予防・治療薬、糖尿病予防治療薬、糖尿病性合併症予防治療薬等として安全かつ有利に用いることができる。
Claims (6)
- N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸またはその塩を含有してなる高密度リポタンパク−コレステロール上昇剤。
- 原発性低高密度リポタンパク−コレステロール血症予防・治療剤である請求項1記載の剤。
- N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸またはその塩を含有してなる家族性高コレステロール血症予防・治療剤。
- 高密度リポタンパク−コレステロール上昇のための医薬の製造のためのN−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸またはその塩の使用。
- 原発性低高密度リポタンパク−コレステロール血症予防・治療のための医薬の製造のためのN−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸またはその塩の使用。
- 家族性高コレステロール血症予防・治療のための医薬の製造のためのN−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸またはその塩の使用。
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