本発明は、アクティブマトリクス型液晶表示装置に係り、特に、いわゆる横電界方式と称される液晶表示装置に関する。
いわゆる横電界方式と称されるカラー液晶表示装置は、液晶層を介して互いに対向して配置される透明基板のうち、その一方または両方の液晶側の単位画素に相当する領域面に表示電極と基準電極とが備えられ、この表示電極と基準電極との間に透明基板面と平行に発生させる電界によって前記液晶層を透過する光を変調させるようにしたものである。
このようなカラー液晶表示装置は、その表示面に対して大きな角度視野から観察しても鮮明な映像を認識でき、いわゆる広角度視野に優れたものとして知られるに至った。このような構成からなる液晶表示装置としては、例えば特許文献1、特許文献2および特許文献3に詳述されている。
そして、このように構成された液晶表示装置は、映像信号線から発生される不要な電界が、表示電極と基準電極との間の電界を変動させ、表示面において、映像信号線に沿ったいわゆる縦スミアが発生するという問題が指摘されていた。この問題を解決する手段として、映像信号線と近接させて同一基板上にシールド電極が設けられたものが知られている
特許出願公表平5−505247号公報
特公昭63−21907号公報
特開平6−160878号公報
特開平6−202127号公報
しかしながら、このように構成された液晶表示装置は、同一基板にシールド電極を設けているため、シールド電極と信号電極との間の容量が大きく、駆動回路に対して負荷が大きくなりすぎ、消費電力が大きい、または駆動回路が大きくなりすぎるという問題が残存されていた。
また、このように構成された液晶表示装置は、不透明な電極を櫛歯状に形成するため、画素領域において不透明な金属の占める割合が多く、開口率を大きくできないという問題が残存されていた。
また、各画素領域に形成される基準電極は、行方向または列方向にストライプ状の共通な基準信号線を介して、電圧が印加されるようになっていることから、該基準信号線の信号供給部から遠端方向にかけて波形のなまりが生じ、表示面において該基準信号線に輝度傾斜またはいわゆる横スミアが発生するという問題が残存されていた。
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、いわゆる縦スミアの抑制、かつ、低消費電力および周辺回路規模の縮小を図った液晶表示装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、いわゆる開口率の向上を図った液晶表示装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、いわゆる輝度傾斜および横スミアの抑制を図った液晶表示装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、いわゆる低反射率化を図った液晶表示素子を提供することにある。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
手段1.
液晶層を介して互いに対向配置される透明基板の液晶側の面の各画素領域に、表示電極,基準電極,走査線,映像信号線およびアクティブ素子が設けられ、表示電極と基準電極との間に印加される電圧によって液晶層内に透明基板と平行な電界を発生せしめることにより、該液晶層を透過する光を変調させる液晶表示装置において、一方の透明基板面に、前記映像信号線の両側に基準電極が配置され
、他方の透明基板面に、画素内の前記映像信号線と、前記両側の基準電極の一部とを平面的に覆うシールド電極が形成されていることを特徴とするものである。
手段2.
液晶層を介して互いに対向配置される透明基板の液晶側の面の各画素領域に、表示電極,基準電極,走査線,映像信号線およびアクティブ素子が設けられ、表示電極と基準電極との間に印加される電圧によって液晶層内に透明基板と平行な電界を発生せしめることにより、該液晶層を透過する光を変調させる液晶表示装置において、前記映像信号線が形成されている透明基板と対向する他の透明基板面に、前記映像信号線に対して平面的に完全に重畳されたシールド電極が形成されており、かつ前記シールド電極は、基準電極と一体に形成され、さらに、表示電極を機能させるための映像信号線と基準電極に接続される基準信号線を平面的に見て完全に重畳させて構成されていることを特徴とするものである。
手段3.
手段1あるいは2において、前記シールド電極は、画素領域のみ開口を有する遮光膜と電気的に接続されているか、あるいは、一体に形成されていることを特徴とするものである。
手段4.
液晶層を介して互いに対向配置される透明基板の、一方の透明基板の液晶側の面の各画素領域に、表示電極,走査信号線,映像信号線およびアクティブ素子が設けられ、もう一方の透明基板の液晶側の面の各画素領域にマトリックス上の導電性を有する遮光層が設けられ、該遮光層に基準信号が供給され、該遮光層と表示電極間の電圧により形成される透明基板に平行な成分を有する電界により液晶層を透過する光を変調させる液晶表示装置であり、該遮光層は透明基板側に光反射率が10%以下の層、液晶層側に高導電率の層の積層構造で構成され、バックライトユニットは表示電極,走査信号線,映像信号線およびアクティブ素子が設けられた透明基板の、液晶層と反対側の領域に配置され、また表示電極,走査信号線,映像信号線およびアクティブ素子が設けられた透明基板上には前記遮光層に基準信号を供給するための接続端子部が形成され、前記遮光層と接続端子部を電気的に接続する導電層を有することを特徴とするものである。
手段1のように構成した液晶表示装置によれば、まず、一方の透明基板側に形成されている映像信号線及びそれに隣接する基準電極に対して、平面的に見て完全に重畳させた状態でシールド電極が他方の透明基板側に形成されていることにより、映像信号線から発生する不要な電気力線が、シールド電極と該映像信号線に隣接する基準電極とに終端し、表示電極と基準電極の間の電界が映像信号に依存して変動することがなくなり、いわゆる縦スミアを非常に抑制することができるようになる。
また、シールド電極を映像信号線と対向する基板側に形成することにより、シールド電極と映像信号線の液晶層の厚み分だけ遠くなり、シールド電極と映像信号線の間の容量が減少し、駆動回路に対して負荷が大きくならず、消費電力を抑え、かつ、駆動回路の縮小することができるようになる。
さらに、手段2のように構成された液晶表示装置によれば、表示電極を機能させるための映像信号線と基準電極に接続される基準信号線を平面的に見て完全に重畳させた状態で形成されていることから、実質的な画素領域を拡大させることができるため、いわゆる開口率を向上させることができるようになる。
さらに、手段3のように構成された液晶表示装置によれば、その基準電極は画素領域のみに開口を有する遮光膜と電気的に接続された形状になっていることにより、各画素領域の基準電極には、低抵抗で電圧が印加させるため、基準信号の波形なまりを抑制でき、いわゆる輝度傾斜および横スミアの抑制を図ることができるようになる。
さらに手段4のように構成された液晶表示によれば、手段1から手段3の作用を合わせ持つと共に、液晶表示素子の反射率を低減できるため、低反射率化を実現することができる。
以上説明したことから明らかなように,本発明による液晶表示装置によれば、いわゆる縦スミアを抑制することができるようになる。また、消費電力の低減、周辺回路規模の縮小を図ることができるようになる。更に、いわゆる開口率の向上を図ることができるようになる。更に輝度傾斜および横スミアの抑制を図ることができるようになる。更に、低反射率化を図ることができるようになる。
以下、実施例の図に従って本発明を詳細に説明する。
図2は、本発明による液晶表示装置とその周辺の回路とから構成される液晶装置の一実施例を示した概略図である。同図において、液晶表示装置1はその外囲器として透明基板1Aと透明基板1Bとを備え、それらの間に液晶層を介在させている。そして、いわゆる下側基板となる透明基板1Aの液晶層側の面には、図中x方向に延在しかつy方向に並設された走査信号線2および基準信号線4が形成されている。走査信号線2と基準信号線4は、ある走査信号線2に対し、(−)y方向に近接して配置された基準信号線4、基準信号線4と(−)y方向に大きく離間して配置された走査信号線2、走査信号線2と(−)y方向に近接して配置された基準信号線4というように、順次配置されている。またこれら信号線2および4と絶縁されて、y方向に延在しかつx方向に並設された映像信号線3が形成されている。
これら走査信号線2および基準信号線4と映像信号線3とで囲まれた矩形状の比較的面積の大きな領域は画素領域となり、これら各画素領域がマトリクス状に配列されて表示部が構成されるようになっている。なお、各画素領域内にはそれぞれ表示電極が形成され、該画素領域の周辺の一部には薄膜トランジスタTFTおよび蓄積容量Cstgが配置されている(これらはいずれも図示されていない)。
一方、透明基板1Bの液晶層側の面には、前記映像信号線3に重畳して図中y方向に延在しかつx方向に併設して、シールド電極31が形成されている。このシールド電極31は、前記映像信号線3からの電界を終端することにより、前記映像信号線3から画素内への漏れ込み電界を低減し、映像信号線3から画素内への漏れ込み電界を原因とする縦スメアの発生を抑制することを目的に配置されている。
そして、液晶表示装置1には、その外部回路として垂直走査回路5および映像信号駆動回路6が備えられ、該垂直走査回路5によって前記走査信号線2のそれぞれに順次走査信号(電圧)が供給され、そのタイミングに合わせて映像信号駆動回路6は映像信号線3に映像信号(電圧)を供給するようになっている。
なお、垂直走査回路5および映像信号駆動回路6は、液晶駆動電源回路7から電源が供給されていると共に、CPU8からの画像情報がコントローラ9によってそれぞれ表示データ及び制御信号に分けられて入力されるようになっている。
また、前記基準信号線4及びシールド電極31に印加される電圧も液晶駆動電源回路7から供給されるようになっている。なお本実施例では、基準信号線4に印加される電圧は、映像信号駆動回路6の耐圧を小さくする目的で交流電圧を用いている。また、シールド電極31には、基準信号線と同一の電位をあたえることで、表示電極と基準電極間の表示領域の横電界をより効率良く形成できる。また、液晶駆動電源回路7の基準アース電位にシールド電極31を接続してもよい。
図1は、前記液晶表示装置1における一つの画素領域における詳細な構成を示した平面図である。同図において、実線は透明基板1A側に形成された構成を示し、点線は透明基板1B側に形成された構成を示している。なお、図1において、III-III 線における断面図を図4に、IV-IV 線における断面図を図5に、V −V 線における断面図を図6にそれぞれ示している。また図3は、図1のシールド電極31の配置を示す平面図である。
まず、透明基板1Aの液晶層側の面には、そのx方向に延在して走査信号線2が、例えばアルミニウムAlで形成されている。また、(+)方向側に隣接する画素領域における走査信号線2と近接して(−)y方向側に基準信号線4が、例えばアルミニウムAlで形成されている。さらに(+)y方向には、該基準信号線4と大きく離間して走査信号線2が位置されている。この走査信号線2及び前記基準信号線4と後述の映像信号線3とで囲まれた領域によって画素領域が形成されることは上述したとおりである。
また、各画素領域において、基準信号線4と一体に、基準電極14が3本形成されている。基準電極14のうち2本は、後述する映像信号線3に隣接して配置され、基準信号線4から(−)y方向に延在して配置されている。他の1本は、画素領域のほぼ中央を分割するように、基準信号線4から(−)y方向に延在して配置される。また3本の基準電極14はいずれも、該基準信号線4より(−)y方向に位置する走査信号線2とは離間して配置されている。
そして、この走査信号線2等が形成された透明基板1Aの表面には、該走査信号線2、該基準信号線4及び該基準電極14をも被って例えばシリコン窒化膜からなる絶縁膜11(図4、5、6参照)が形成されている。この絶縁膜11は、後述する映像信号線3に対する走査信号線2及び基準信号線4の層間絶縁膜として、薄膜トランジスタTFTの形成領域に対してはゲート絶縁膜として、蓄積容量Cstgの形成領域に対しては誘電体膜として機能するようになっている。
この絶縁膜11の表面には、まずその薄膜トランジスタTFTの形成領域において半導体層12が形成されている。この半導体層12は、例えばアモルファスSiからなり、走査信号線2上において映像信号線3に近接された部分に重畳して形成されている。これにより、走査信号線2の一部は薄膜トランジスタTFTのゲート電極を兼ねた構成になっている。
そして、絶縁膜11の表面には、そのy方向に延在して隣接配置される映像信号線3が、例えばクロムCrとAlとの順次積層体によって形成されている。この映像信号線3はその一部が延在されて前記半導体層12の表面の一部に形成されたドレイン電極3Aが一体となって形成されている。
さらに、画素領域における絶縁膜11の表面には表示電極15が形成されている。この表示電極15は一つの画素領域を例えば3分割するようにコ字状に形成されている。すなわち、表示電極15の一端は薄膜トランジスタTFTのソース電極15Aと一体に形成されて、(+)y方向に延在され、基準信号線4上を(+)x方向に延在した後さらに(−)y方向に延在されて形成されている。
この場合、表示電極15のうちで基準信号線4上に形成された部分は誘電体膜としての前記絶縁膜11を備える蓄積容量Cstgを構成し、この蓄積容量Cstgによって例えば薄膜トランジスタTFTがオフした際に表示電極15に映像情報を長く蓄積させる効果を奏するようにしている。
なお、前述した薄膜トランジスタTFTのドレイン電極3A及びソース電極15Aと半導体層11の界面にはリン(P)がドープされて高濃度層となっており、これにより前記各電極におけるオーミックコンタクトを図っている。この場合、半導体層11の表面の全域に前記高濃度層を形成した後、前記各電極を形成し、該電極をマスクとして該電極形成領域以外の高濃度層をエッチングすることにより上記の構成とすることができる。
そして、このように薄膜トランジスタTFT、映像信号線3、及び蓄積容量Cstgが形成された絶縁膜11の上面には、例えばシリコン窒化膜からなる保護膜16(図4、図5、図6参照)が形成され、この保護膜16の上面には配向膜17が形成されて、液晶表示装置のいわゆる下側基板を構成している。なお、この下側基板の液晶層側と反対側の面には、偏光板18が配置されている。
そして、いわゆる上側基板となる透明基板1Bの液晶側の部分には、図1の破線で示すように、遮光膜30が形成されている。この遮光膜30は、例えば黒色顔料を分散した有機樹脂によって形成されている。さらに、図1の長い破線で示すように、シールド電極31が、映像信号線3に平面的に完全に重畳して形成されている。すなわち、図3に示すように、シールド電極31は映像信号線3を完全に被うようにして構成されている。シールド電極31は、例えばいわゆる透明電極となるITO(Indium-Tin-Oxide)によって形成されている。この場合、シールド電極は遮光効果を持たないため、その境界は図1に示すように遮光層30の境界の内側にあることが望ましい。むろん、シールド電極31は金属材料、例えばCrで構成してもよい。
上述のように、シールド電極31を設ける目的は、映像信号線3から発生する不要な電気力線を、シールド電極31に終端させて、表示電極15と基準電極14との間の電界が映像信号に依存して変動することをなくし、いわゆる縦スミアを抑制することにある。
図8は、映像信号線3上を充分に被うシールド電極31の幅と、縦スメア強度との関係を示した実験データである。同図において、W3は次の式で定義されるものである。
W3=(W2−W1)/2
ここで、W1は映像信号線3の幅を示し、W2は該映像信号線3上を被うシールド電極31の幅を示している。
縦スメア強度Tが3%以下となった場合に該縦スメアを目視できないことが経験即上知られていることから、上記データからW3の幅として4.7μm以上が好適となる。このことは、該シールド電極31の幅を映像信号線3の幅よりも9.4μm以上広くすることにより、該縦スメアを解消できるようになる。
また、下側基板1B上には、基準電極14が映像信号線の両脇に平面的に形成されているため、前記のシールド電極の作用と合わさり、前記映像信号線の電界をより効果的に抑制できる。
また、シールド電極31を上側基板1B上に配置することにより、シールド電極31を下側基板1B上に配置した場合に比べ、映像信号線3とシールド電極31間の寄生容量を、大幅に低減することができる。これにより、シールド電極31を下側基板1B上に配置した場合に比べ、消費電力を低減することができ、さらに映像信号駆動回路の規模の縮小を図ることができるようになる。
図4は、図1のIII-III 線における断面を示した断面図である。同図において、透明基板1A(下側基板)に形成された基準電極14および表示電極15との間に電圧が印加されることによって電界Eは液晶層LC内を、前記透明基板1Aと略平行に発生するようになる。
なお、図4においては、液晶層LCの層厚よりも表示電極15と基準電極14との平面的に観た離間距離が小さく描かれているが、実際には液晶層LCの層厚に対して表示電極15と基準電極14のとの平面的に観た離間距離はかなり大きくなっており、このため、前記電界Eは透明基板に対して略平行に発生するようになっている。
そして、透明基板1B側のシールド電極31は、該透明基板1Bの表面に形成されたカラーフィルタ25を被って形成された平坦化膜27の上面に、映像信号線3と重畳しかつ遮光層30の領域の内側になるよう形成されている。前記シールド電極31の上面には、配向膜28が形成されている。また、透明基板1Bの液晶側と反対側の面には偏光板29が配置されている。
図7は、シールド電極31を、液晶駆動電源回路7に接続するための、液晶表示装置1の構成を説明するための模式断面図である。上側基板1B上に形成されたシールド電極31は、導電層40により、下側基板1A上に設けられたシールド電極接続用端子41に接続される。導電層40の構成としては、たとえば、導電性ビーズを分散したシール材を用いシールド電極31とシールド電極接続用端子41とを電気的に接続している。むろん導電層40の構成としては、銀ペースト等の導電性を有する材料であれば特に限定されることはない。
シールド電極接続用端子41と液晶駆動電源回路7との電気的接続は、たとえば独立した配線により接続している。しかし、映像信号線3のうちの少なくとも1本を、シールド電極接続用端子41と液晶駆動電源回路7との電気的接続のための専用線とし、映像信号線3と映像信号駆動回路6との接続時に、液晶駆動電源回路7と電気的に接続される構成としてもよい。また、走査信号線2のうちの、表示領域外の少なくとも1本を、シールド電極接続用端子41と液晶駆動電源回路7との電気的接続のための専用線とし、走査信号線3と垂直走査回路5との接続時に、液晶駆動電源回路7と電気的に接続される構成としてもよい。
次に、透明基板1A側に形成された配向膜17と偏向板18、透明基板1B側に形成された配向膜28と偏光板29との関係を図9を用いて説明する。表示電極15と基準電極14の間に印加される電界の方向207に対して、配向膜17及び28のラビング方向208の角度φLCは、いずれも85度となっている。また、一方の偏光板18の偏光透過軸方向209の角度φPは、φLCと等しくなっている。また、もう一方の偏光板29の偏光透過軸方向は、209と直交している。また、液晶層LCとしては、誘電率異方性Δεが正で、その値が7.3(1kHz)、屈折率異方性Δnが0・073(589nm、20°C)のネマチック液晶の組成物を用いている。
このような構成とすることにより、液晶層LC内に透明基板1Aと平行な電界を発生せしめることにより、該液晶層LCを透過する光を変調させることができるようにする。
なお、いわゆる横電界方式によって、液晶層の透過光を変調できる構成を採用するかぎり、上述した配向膜及び偏光板の構成、液晶の材料等は限定されることがないことはもちろんである。
実施例1との違いを中心に、以下に説明する。図14は、図2に対応する図である。図2の構成と異なっている部分は、まず、下側基板1Bに基準信号線4及び基準電極14が形成されていない構成となっている。このため、実施例1の蓄積容量Cstgの代わりに、付加容量Caddが各画素に配置されている。(これらはいずれも図示されていない)。
さらに、透明基板1Bの液晶層側の面には、前記映像信号線3に重畳して図中y方向に延在しかつx方向に併設して、前記基準電極14を兼ねるシールド電極32が形成されている。また、この基準電極14を兼ねるシールド電極32は、画素領域の中央部にも、y方向に延在して配置されている。図3に対応する図11に、前記基準電極を兼ねるシールド電極32の平面構成を示す。
前記基準電極14を兼ねるシールド電極32に印加される電圧は、液晶駆動電源回路7から供給されるようになっている。この電圧は、実施例1で基準信号線4に印加されていた電圧と同じである。
図10は、図1に対応する画素領域における詳細な構成を示した平面図である。また図4に対応する断面図を図12に、図6に対応する付加容量Cadd付近の断面図を図13にそれぞれ示す。各図において、透明基板1Aの液晶層側の面には、そのx方向に延在して走査信号線2が、例えばアルミニウムAlで形成されている。この走査信号線2等が形成された透明基板1Aの表面には、該走査信号線2を被って例えばシリコン窒化膜からなる絶縁膜11(図12、13参照)が形成されている。この絶縁膜11は、映像信号線3に対する走査信号線2の層間絶縁膜として、薄膜トランジスタTFTの形成領域ではゲート絶縁膜として、付加容量Caddの形成領域に対しては誘電体膜として機能するようになっている。
画素領域における絶縁膜11の表面には表示電極15が形成されている。この表示電極15は一つの画素領域を例えば3分割するようにコ字状に形成されている。すなわち、表示電極15の一端は薄膜トランジスタTFTのソース電極15Aと一体に形成されて、(+)y方向に延在され、(+)y方向に隣接する画素の走査信号線2上を、(+)x方向に延在した後さらに(−)y方向に延在されて形成されている。
この場合、表示電極15のうちで走査信号線2上に形成された部分は誘電体膜としての前記絶縁膜11を備える付加容量Caddを構成し、この付加容量Caddによって例えば薄膜トランジスタTFTがオフした際に表示電極15に映像情報を長く蓄積させる効果を奏するようにしている。
そして、いわゆる上側基板となる透明基板1Bの液晶側の部分には、図10の破線で示すように、遮光膜30が形成されている。この遮光膜30は、例えば黒色顔料を分散した有機樹脂によって形成されている。さらに、図10の破線で示すように、図1のシールド電極31と同様に、映像信号線3に平面的に完全に重畳して、基準電極14を兼ねるシールド電極32が形成されている。さらに、本実施例では、画素領域の中央部にも、前記基準電極14を兼ねるシールド電極32がy方向に延在して形成されている。ここで、基準電極14を兼ねるシールド電極32は、ITOにより構成し、これにより、下側基板1A上に基準信号線を形成する必要をなくし、その分の領域も開口領域とすることによって、実施例1の効果に加え、開口率を向上させるようにしている。
図12は、図4に対応する断面図である。同図において、透明基板1A(下側基板)に形成された表示電極15と、透明基板1B(上側基板)に形成された基準電極14を兼ねるシールド電極32との間に電圧が印加されることによって電界Eは液晶層LC内を、前記透明基板1Aと平行に発生するようになる。なお、図12においては、液晶層LCの層厚よりも表示電極15と基準電極を兼ねるシールド電極32との平面的に観た離間距離が小さく描かれているが、実際には液晶層LCの層厚に対して表示電極15と基準電極を兼ねるシールド電極32との平面的に観た離間距離はかなり大きくなっており、このため、前記電界Eは透明基板に対して平行に発生するようになっている。
透明基板1B側の基準電極を兼ねるシールド電極32は、該透明基板1Bの表面に形成されたカラーフィルタ25を被って形成された平坦化膜26の上面に、映像信号線と重畳しかつ遮光層の領域の内側になるよう形成されている。また本実施例では、画素領域の中央部にもy方向に延在して形成されている。基準電極14を兼ねるシールド電極32の上面には、平坦化膜27が形成され、その上に配向膜28が形成されている。また、透明基板1Bの液晶側と反対側の面には偏光板29が配置されている。
なお、いわゆる横電界方式によって、液晶層の透過光を変調できる構成を採用するかぎり、上述した配向膜及び偏光板の構成、液晶の材料等は限定されることがないことはもちろんである。
本実施例では、基準電極14を兼ねるシールド電極32を、例えばCr等の金属材料で構成することにある。実施例2では、ITOで基準電極14を兼ねるシールド電極32を構成するため、画素の中央部の基準電極を兼ねるシールド電極32が遮光されないため、光が透過し、コントラスト比の低下を招く。また、画素中央の基準電極14を兼ねるシールド電極32上に遮光層を設ける場合を想定すると、コントラスト比の低下は避けられるが、開口率の低下と基板上下合わせ裕度の低下という問題が生じる。
それ故、基準電極14を兼ねるシールド電極32を金属材料で構成し、これにより、画素中央の基準電極を兼ねるシールド電極32は、それ自身が、自身に対しての遮光膜としての効果を奏することになり、実施例2で得られた縦スメア低減と開口率向上という効果をいささかも損なうことなく、コントラスト比の改善を実現できる。
実施例1との違いを中心に、以下に説明する。図17は、液晶表示装置とその周辺回路を示す構成図である。同図において、液晶表示装置1を構成する透明基板1Bの液晶層側の面には、映像信号線3および走査信号線2に重畳して、マトリクス状に、遮光層30を兼ねるシールド電極33が形成されている。この遮光層30を兼ねるシールド電極33は、導電性と遮光性を兼ね備えることが要件される。本実施例では、例えばCrのような金属で構成した。この遮光層30を兼ねるシールド電極33は、実施例1でシールド電極31を接続したのと同様の手法により、液晶駆動電源回路7と電気的に接続した。
図15は、一つの画素領域における詳細な構成を示した平面図である。同図において、実線は透明基板1A側に形成された構成を示し、点線は透明基板1B側に形成された構成を示している。遮光層30を兼ねるシールド電極33の平面パターンは各画素単位にマトリクス状の形状であり、本実施例においては実施例1の遮光層30の平面パターンとほぼ同一である。したがって、換言すれば、遮光層を兼ねるシールド電極33は、遮光層30がシールド電極を兼ねる構成となっている。
図16は、画素の断面構造を示す図である。透明基板1B側には、遮光層を兼ねるシールド電極33を形成した後、該透明基板1Bの表面にカラーフィルタ25、次いで平坦化膜27が形成されている。その上面には、配向膜28が形成されている。本実施例では、遮光層30を兼ねるシールド電極33を構成することにより、遮光膜30とシールド電極33を別個に形成する必要がなくなるため、実施例1の効果に加え、生産性を向上することができる。
本実施例と実施例4の違いは、遮光層を兼ねるシールド電極33の構成のみである。本実施例では、遮光層を兼ねるシールド電極33を2層構造としている。図18は、画素の断面構造図である。遮光層を兼ねるシールド電極33は、順次積層されたCr層33AおよびITO層33Bの2層より構成されている。これにより、電気的接続部、すなわち、図7において、シールド電極31の代わりに遮光層を兼ねるシールド電極33を設けた場合に、該遮光層を兼ねるシールド電極に導電層40が接する領域において、導電層と直接接触するのはITO層33Bとなる。酸化物からなるITO層33Bは、異種材料との接続部における長期的信頼性の観点において、金属材料より優れた特性を示すことが明らかにされている。またCr層33AとITO層33Bを一体として形成することにより、ホト工程を増加させることなしに、2層構造の遮光層を兼ねるシールド電極33を構成できる。したがって、本実施例では、実施例4の効果に加え、遮光層を兼ねるシールド電極33の長期的信頼性を増大させることができる。
本実施例では、実施例5のシールド電極を兼ねる遮光層の構成を、実施例5の電気的接続部において、ITO単層として構成する。これにより、端子部は長期的信頼性に優れたITO単層となるため、実施例5に比べ、さらに長期的信頼性を増大できる。
実施例2との違いを中心に説明する。図19は、一つの画素領域における詳細な構成を示した図である。図10の構成と異なっている部分は、遮光層30と基準電極を兼ねるシールド電極32との代わりに、遮光層および基準電極を兼ねるシールド電極34を、上側基板1B側に配置したことである。
図20は、基板1B上のシールド電極34と基板1A上の各種配線との位置関係を示す平面図である。基準電極および遮光層を兼ねるシールド電極34は、実施例2の図10の、遮光層30と基準電極を兼ねるシールド電極32との役割を兼ねるために、遮光層30と、基準電極を兼ねるシールド電極32を重ね合わせた形状を有する。
図21は、液晶表示装置とその周辺回路を示す構成図である。基準電極および遮光層を兼ねるシールド電極34には、液晶駆動電源回路7より基準電位(電圧)が供給される。本実施例では、映像信号駆動回路6の耐圧を低減する目的で、基準電位(電圧)として交流電圧を用いた。
図22は、画素の断面構造図である。本実施例では、図12の構成での遮光膜30と基準電極を兼用するシールド電極32の2層を、基準電極および遮光膜を兼ねるシールド電極34の1層で兼用したことである。基準電極および遮光層を兼ねるシールド電極34は、遮光性と導電性を合わせ持つ必要がある。そこで本実施例では、基準電極および遮光層を兼ねるシールド電極34を、例えばCrのように、金属材料で構成する。本実施例では、実施例2の場合と比べ上側基板1Bの構成が簡略化されるため、実施例2の場合に比べ、低コスト化が実現できる。また、生産性の向上も実現できる。
また、基準電極および遮光層を兼ねるシールド電極34は、画素領域のみに開口部を有するマトリクス状の形状となる。基準電極および遮光層を兼ねるシールド電極34は、基準電極および基準信号線を兼ねるため、これは比較的大きな面積に基準電極及び基準信号線が形成されることを意味する。このため、各画素領域の基準電極および遮光層を兼ねるシールド電極34には、低抵抗で電圧が印加させるため、基準信号の波形なまりを抑制でき、いわゆる輝度傾斜および横スミアが抑制されるという効果も奏するようになる。
実施例7との違いを中心に説明する。図23は、1画素の断面図である。図22の構成と異なっている部分は、基準電極および遮光層を兼ねるシールド電極34にある。すなわち、透明基板1Bの液晶側の面には、まず基準電極および遮光層を兼ねるシールド電極34が形成され、それらを被ってカラーフィルター25、平坦化膜27、および配向膜28が順次形成されている。ここで、基準電極および遮光層を兼ねるシールド電極34の材料としては、例えばCrを用いている。このようにした場合、図22に示されている平坦化膜26を不要とする構成にできるようになる。これにより、実施例7の場合に比べ、さらに生産性向上と低コスト化が実現できる。
また、実施例7では、平坦化膜26上に基準電極および遮光層を兼ねるシールド電極34を形成している。一方、本実施例では透明基板1B上に直接、基準電極および遮光層を兼ねるシールド電極34を形成する。表面の平坦性を考えると、カラーフィルターを被って構成される平坦化膜26より、透明基板1Bの方が、明らかに平坦性に優れる。これは、基準電極および遮光層を兼ねるシールド電極34の形状不良、すなわち断線部や欠損部が生じる確率が、図22の構造より図23の構造の方が低いことを意味する。したがって、本実施例では、実施例7に比べ、不良率の低減も実現できる。
実施例8との違いを中心に説明する。図24は、1画素の断面図である。図23の構成と異なっている部分は、基準電極および遮光層を兼ねるシールド電極34が、34Aおよび34Bの2つの異なる材料の積層体からなっていることである。すなわち、透明基板1B側に形成される材料が光に対して低反射率の材料からなる材料層34Aからなり、液晶層LC側に形成される材料が高導電率の材料からなる材料層34Bからなっている。
低反射率の材料からなる材料層34Aとしては、例えばカーボンを含有する有機材料からなるもの、高導電率の材料からなる材料層34Bとしては、例えばCr等の金属を選択することができる。そして、液晶層LCを透過させる光の光源とするいわゆるバックライトは透明基板1A(下側基板)の背後に配置させるようになっている。
このように構成した液晶表示装置は、透明基板1B(上側基板)を通して表示面を観察するようになるが、この際、基準電極および遮光層を兼ねるシールド電極34における光反射を大幅に減少させることができるようになる。実施例8の場合と比較すると、実施例8の場合の基準電極および遮光層を兼ねるシールド電極34に対する光反射率が約30%であったものが、本実施例では約1%程度に減少させることができることが判明した。このことから、鮮明な表示画像を得ることができるようになるという効果を奏するようになる。
なお、上述した実施例では、積層体からなる基準電極および遮光層を兼ねるシールド電極34は、透明基板1B側に形成される材料が光に対して低反射率の材料からなる材料層34Aからなり、液晶層LC側に形成される材料が高導電率の材料からなる材料層34Bからなっているものである。
しかし、これらの積層関係を透明基板1Bの背後にバックライトを配置させることを条件として、全く逆にしても同様の効果が得られることは言うまでもない。また、上述した実施例では、光に対して低反射率の材料からなる材料層として、カーボンを含有する有機材料を用いたものである。しかし、この材料に限定されることはなく、顔料を分散した有機材料、あるいは金属材料を分散させた有機材料を用いるようにしても同様の効果を奏することは言うまでもない。また金属材料を分散させた有機材料を用いる場合には、金属材料として複数の異なる金属材料を組み合わせて分散するようにしてもよい。これにより、いわゆる吸収波長の平坦化を図ることができ、反射光に色がついてしまうのを防止できる効果を奏するようになる。
さらに、光に対して低反射率の材料からなる材料層として、たとえばMo等の金属を用いてもよいことは言うまでもない。この場合、反射率低減に関しては上述の実施例ほどではないが、このような積層体の製法に信頼性を向上させることができるという効果を奏することができるようになる。すなわち、カーボンを主成分とする材料層は、その製法に種々の制限を有すると共に、平坦に形成することが比較的困難で、その上層の形成する高導電層に断線するという憂いが生じるが、このような憂いを大幅に排除できるという効果を奏する。
また、いずれも金属層によって構成することにより、一方の材料層に断線が生じても、他方の材料層によってその断線を補完できるという効果を奏するようになる。また、低反射率の金属酸化物、例えばCrOを用いた場合には、積層体の製法の信頼性の向上と、反射率低減の効果の、両立を図ることができるようになる。
図21は、本発明による液晶表示素子とその周辺の回路とから構成される液晶装置の一実施例を示した概略図である。同図において液晶表示素子1は、その外囲器として透明基板1Aと透明基板1Bとを備え、それらの間に液晶層を介在させている。そして、いわゆる下側基板となる透明基板1Aの液晶層側の面には、図中x方向に延在しかつy方向に並設された走査信号線2が形成されている。また走査信号線2と絶縁されて、y方向に延在しかつx方向に並設された映像信号線3が形成されている。
これら走査信号線2と映像信号線3とで囲まれた矩形状の比較的面積の大きな領域は画素領域となり、これら各画素領域がマトリクス状に配列されて表示部が構成されるようになっている。なお、各画素領域内にはそれぞれ表示電極が形成され、該画素領域の周辺の一部には薄膜トランジスタTFTおよび付加容量Caddが配置されている。(これらはいずれも図示されていない)。
一方、透明基板1Bの液晶層側の面には、導電性を有し、表示面側の表面反射率が10%以下である遮光層34が形成されている。この遮光層34は、前記映像信号線3からの電界を終端することにより、前記映像信号線3から画素内への漏れ込み電界を低減し、映像信号線3から画素内への漏れ込み電界を原因とする縦スメアの発生を抑制する効果を有する。そして、液晶表示素子1には、その外部回路として垂直走査回路5および映像信号駆動回路6が備えられ、該垂直走査回路5によって前記走査信号線2のそれぞれに順次走査信号(電圧)が供給され、そのタイミングに合わせて映像信号駆動回路6は映像信号線3に映像信号(電圧)を供給するようになっている。
なお、垂直走査回路5および映像信号駆動回路6は、液晶駆動電源回路7から電源が供給されていると共に、CPU8からの画像情報がコントローラ9によってそれぞれ表示データ及び制御信号に分けられて入力されるようになっている。また、前記遮光層34には基準信号が印加され、その信号電圧も液晶駆動電源回路7から供給されるようになっている。なお本実施例では、遮光層34に印加される電圧は、交流電圧を用いているが、直流電圧を用いても良い。
図19は、前記液晶表示素子1における一つの画素領域における詳細な構成を示した平面図である。同図において、実線は透明基板1A側に形成された構成を示し、点線は透明基板1B側に形成された構成を示している。まず、透明基板1Aの液晶層側の面には、そのx方向に延在して走査信号線2が、例えばAlで形成されている。この走査信号線2及と後述の映像信号線3とで囲まれた領域によって画素領域が形成されることは上述したとおりである。
そして、この走査信号線2等が形成された透明基板1Aの表面には、該走査信号線2、及び該基準電極14をも被って例えばシリコン窒化膜からなる絶縁膜11が形成されている。(図5、図13、図24参照)この絶縁膜11は、後述する映像信号線3に対する走査信号線2の層間絶縁膜として、薄膜トランジスタTFTの形成領域に対してはゲート絶縁膜として、付加容量Caddの形成領域に対しては誘電体膜として機能するようになっている。
この絶縁膜11の表面には、まずその薄膜トランジスタTFTの形成領域において半導体層12が形成されている。この半導体層12は、例えばアモルファスSiからなり、走査信号線2上において映像信号線3に近接された部分に重畳して形成されている。これにより、走査信号線2の一部は薄膜トランジスタTFTのゲート電極を兼ねた構成になっている。
そして、絶縁膜11の表面には、そのy方向に延在して隣接配置される映像信号線3が、例えばCrとAlとの順次積層体によって形成されている。この映像信号線3はその一部が延在されて前記半導体層12の表面の一部に形成されたドレイン電極3Aが一体となって形成されている。
さらに、画素領域における絶縁膜11の表面には表示電極15が形成されている。この表示電極15は一つの画素領域を例えば3分割するようにコ字状に形成されている。すなわち、表示電極15の一端は薄膜トランジスタTFTのソース電極15Aと一体に形成されて、(+)y方向に延在され、基準信号線4上を(+)x方向に延在した後さらに(−)y方向に延在されて形成されている。
この場合、表示電極15のうちで走査信号線2上に形成された部分は誘電体膜としての前記絶縁膜11を備える付加容量Caddを構成し、この付加容量Caddによって例えば薄膜トランジスタTFTがオフした際に表示電極15に映像情報を長く蓄積させる効果を奏するようにしている。
なお、前述した薄膜トランジスタTFTのドレイン電極3A及びソース電極15Aと半導体層11の界面にはリン(P)がドープされて高濃度層となっており、これにより前記各電極におけるオーミックコンタクトを図っている。この場合、半導体層11の表面の全域に前記高濃度層を形成した後、前記各電極を形成し、該電極をマスクとして該電極形成領域以外の高濃度層をエッチングすることにより構成とすることができる。
そして、このように薄膜トランジスタTFT、映像信号線3、及び付加容量Caddが形成された絶縁膜11の上面には、例えばシリコン窒化膜からなる保護膜16(図5、図13、図24参照)が形成され、この保護膜16の上面には配向膜17が形成されて、液晶表示素子のいわゆる下側基板を構成している。なお、この下側基板の液晶層側と反対側の面には、偏光板18が配置されている。
そして、いわゆる上側基板となる透明基板1Bの液晶側の部分には、図19の破線で示すように、導電性を有し、表示面側の反射率が10%以下である遮光膜34が形成されている。この遮光膜34は、例えば透明基板側から順に酸化クロムCrO、クロムCrを積層して構成されている。
図24において、透明基板1(下側基板)に形成された表示電極15と、透明基板1B(上側基板)に形成された前記遮光層34の間に電圧が印加されることによって電界Eは液晶層LC内を、前記透明基板1Aと平行な成分を有するように発生するようになる。
なお、図24においては、液晶層LCの層厚よりも表示電極15と遮光層34との平面的に観た離間距離が小さく描かれているが、実際には液晶層LCの層厚に対して表示電極15と遮光層34のとの平面的に観た離間距離はかなり大きくなっており、前記電界Eは透明基板に対して平行な成分を発生するようになっている。
遮光層34は、34Aと34Bの2層を、透明基板1B上に順次積層した構造となっている。本実施例では、透明基板1B上に、CrO、Crを順次積層し、一括してパターニングすることにより、34Aを低反射率のCrO、34Bを導電性のCrとして形成した。そして、下側基板1Aの、液晶層と反対側の面にバックライトユニットを配置した。これにより、上側基板1B側が表示面となるため、遮光層34のうち、低反射率のCrOが表示面側とすることができ、外部光の液晶表示素子へのうつり込みが低減する効果を奏する。
外部光の液晶表示素子からの反射は、透明基板1Bの遮光層による反射に加え、透明基板1Aの金属性の表示電極、基準電極、走査電極による反射が影響する。本実施例では、実施例1の透明基板1A上の金属で構成された基準電極の役割を、低反射に構成された遮光層で実現するため、透明基板1Aの金属電極による反射を低減できる。また、実施例1に比べ透明基板1A上の配線総数を低減できるため、歩留り向上の効果も奏することができる。
また、本実施例では遮光層34は、実施例1において透明基板1A上に形成されていた基準電極及び基準信号線の双方をかねることになる。遮光層34はマトリクス状の形状となるため、これは比較的大きな面積に基準電極及び基準信号線が形成されることと等価である。このため、遮光層34には、低抵抗で電圧が印加させるため、基準信号の波形なまりを抑制でき、いわゆる輝度傾斜および横スミアが抑制されるという効果も奏するようになる。
また、遮光層34、及び遮光層34を被った領域を有する形状に形成されたカラーフィルタ25を被って保護膜27が形成されている。いわゆる横電界方式の液晶表示装置は、いわゆる縦電界方式の液晶表示素子と異なり、遮光層及びカラーフィルターを被っての基準電極としてのITOは形成されていない。このため、横電界方式の液晶表示素子においては、遮光層及びカラーフィルターにより液晶が汚染される可能性があるが、保護膜27を設けることによりこれを抑制する効果を奏することができる。保護膜27の上面には、配向膜28が形成されている。また、透明基板1Bの液晶側と反対側の面には偏光板29が配置されている。
図25は、遮光層34を、液晶駆動電源回路7に接続するための、液晶表示素子1の端子部の構成を説明するための模式断面図である。下側基板1A上に、接続用端子41がITOで形成されている。ITOを用いた理由は、信頼性を向上するためである。接続端子に平面的にみて重畳する領域において、上側基板1B上の遮光層34は露出しており、導電層40により、下側基板1A上に設けられた接続用端子41に接続される。
本実施例では、導電層40として、導電性ビーズを分散したシール材を用いた。導電層40中、40Aは樹脂成分、40Bが導電性ビーズであり、40Bが遮光層の導電部34Bと接続用端子41の双方に接することにより電気的に接続している。
本実施例では、導電層40は液晶表示素子1のシール材を兼用している。したがって、40Bの導電性ビーズの直径は、液晶表示素子の基板間ギャップを考慮して決定することが望ましい。導電性ビーズとしては、プラスチック球に金をコーティングした材料を用いた。また、導電性ファイバでも同用の効果を奏することができる。すなわち、40Bとしては、導電性を有するビーズもしくはファイバであれば、全て本実施例に含まれる。
また、走査信号線2と垂直走査回路5及び映像信号線3と映像信号駆動回路6の接続用端子は、信頼性向上の目的からITO単層、もしくはITOを最上層に積層して一般に構成される。走査信号線2と垂直走査回路5の接続端子部の断面構造の一例を、図26に示す。同図において、走査信号線2と垂直走査回路5の接続用端子42は、接続用端子41と同層に形成されている。本実施例では映像信号線3と映像信号駆動回路6の接続用端子も、同様に接続用端子41と同層に形成した。これにより、接続用端子41の形成を目的とした工程の追加は不要とすることができる。
上述のように、液晶の汚染を防止するためには、導電層と液晶が直接触れないことが望ましい。そこで本実施例では、遮光層34と接続用端子41が電気的に接続する領域をシール材から液晶層側の領域にははみ出さないように構成した。
図27は、本実施例の遮光層34と接続用端子41の接続の平面構成を模式的に示した図である。透明基板1A上には、接続用端子41が形成されている。透明基板1Bには、Fig.21に示すようにマトリックス状の遮光層が形成されている。シール材を兼用する導電層40に囲まれた領域内に、液晶が封入されている。なお通常、液晶の封入口領域にはシール材は形成されず、代わりに液晶封入後に封止材を形成して液晶を封入するが、図27は説明用の模式図であるため、これらについては無視してある。矩型状の領域43には保護膜27がなく、該領域で導電性ビーズにより遮光層34と接続用端子41の電気的接続が実現される。接続用端子41と液晶駆動電源回路7との電気的接続は、独立した配線により接続している。しかし、映像信号線3と映像信号駆動回路6の接続配線のうちの少なくとも1本を、接続用端子41と液晶駆動電源回路7の接続に用いてもよい。また、走査信号線2と垂直走査回路5の接続配線のうちの少なくとも1本を、接続用端子41と液晶駆動電源回路7の接続に用いてもよい。
次に、透明基板1A側に形成された配向膜17と偏向板18、透明基板1B側に形成された配向膜28と偏光板29との関係を図9を用いて説明する。表示電極15と基準電極14の間に印加される電界の方向207に対して、配向膜17及び28のラビング方向208の角度φLCは、いずれも85度となっている。また、一方の偏光板18の偏光透過軸方向209の角度φPは、φLCと等しくなっている。また、もう一方の偏光板29の偏光透過軸方向は、209と直交している。また、液晶層LCとしては、誘電率異方性Δεが正で、その値が7.3(1kHz)、屈折率異方性Δnが0・073(589nm、20℃)のネマチック液晶の組成物を用いている。
このような構成とすることにより、液晶層LC内に透明基板1Aと平行な電界を発生せしめることにより、該液晶層LCを透過する光を変調させることができるようにする。なお、いわゆる横電界方式によって、液晶層の透過光を変調できる構成を採用するかぎり、上述した配向膜及び偏光板の構成、液晶の材料等は限定されることがないことはもちろんである。また、遮光層34のうち、34Aとしては、光反射率が約10%以下の層、34Bとしては、Al,Cr,Mo,Ta,Ti,Wおよびその合金のうち少なくとも一つよりなる層を有する場合は、全て本実施例の範躊に含む。
本実施例と実施例10の違いは、遮光層34の構成である。図28に、端子部の構成を説明するための模式断面図を示す。本実施例では、遮光層34を、34A,34B,34Cの3層で構成した。34AはCrO,34BはCr、34CはITOで構成した。したがって、本実施例では実施例10と同じ効果を奏することができる。さらに本実施例では、遮光層34のうちの最も液晶側の層となる34CをITOで構成した。
これにより、遮光層と導電層40の接続の、信頼性を向上することができる。また、遮光層の液晶層側の表面がITOとなるため、遮光層による液晶の汚染を防止できるため、液晶層中においても遮光層が露出した領域を設けることができる。これにより、導電層40による遮光層34と接続用端子41の接続領域を、ほぼ平坦に構成することができるため、接触抵抗の低減と、液晶表示素子の基板間ギャップの精度を向上することができる。
また、本実施例では、遮光層34中のITO層34Cについて、液晶表示素子の表示領域内では形成されていない場合を含む。この場合、遮光層34の形成時に、34Cは34Aおよび34Bと一括してパターニングすることができなくなるため、工程数の増加が生じる。しかし、ITOエッチング時の表示領域内へのITO残査を低減することができるため、ITO残査に起因する表示不良を低減できるため、歩留り向上の効果を奏することができる。
実施例12と実施例10の違いは、遮光層34と接続用端子41の接続部の構成にある。図29は、端子部の構成を説明するための模式断面図である。本実施例では、導電層40と遮光層34の電気的接続を、遮光層34と接続した遮光層接続端子44により行った。遮光層接続端子44としては、本実施例ではITOを用いた。本実施例では、導電層40に直接接続する領域を低腐食性のITO単層とすることができるため、実施例11に比べ、さらに接続部の腐食に対する信頼性を向上することができる。
本実施例と実施例12の違いは、遮光層34と接続用端子41の接続部の構成にある。図30は、端子部の構成を説明するための模式断面図である。本実施例では、遮光層34と接続用端子41を電気的に接続する導電層と、シール材を別個のものとして構成した。実施例12では、シール材中の基板間のギャップを支持するためのビーズに導電性ビーズを用いることにより、シール材と導電層40を兼用した。本実施例では、シール材46は絶縁性材料で構成し、別に導電層45を設けた。シール材は、樹脂材料中に絶縁性のプラスチックファイバを分散した材料を用いた。一方、導電層45には、実施例12の導電層40と同様の材料を用いた。本実施例の導電層45は、プラスチックビーズの表面に金をコーティングした導電性ビーズ45Bを、樹脂45A中に分散した材料を用いた。
本実施例では、導電層45はシール材46の内側、即ち液晶層中の領域に形成した。これにより、大気中の水分による導電層45の劣化を防止することができる。
図31は、本実施例の遮光層34と接続用端子41の接続の平面構成を模式的に示した図である。導電層45はシール材46で囲まれた矩型領域の内側に形成した。また導電層45の面積は、図31に示すように、シール材46よりも小さい面積となる。これにより、導電層中の導電性ビーズ、もしくは導電性ファイバの使用量を大幅に低減することができる。導電性ビーズ、もしくは導電性ファイバは、一般に絶縁性材料に金をコーティングして形成されるため、非常に価格が高い。したがって、この使用量を低減することにより、本実施例では実施例12に比べ部材コストの低減効果を奏することができる。
本実施例と実施例13の違いは、導電層45をシール材46で囲まれた矩型領域の外側に形成した点にある。この場合も、実施例13と同様の部材コストの低減効果を奏することができる。さらに本実施例では、導電層45による液晶材料の汚染を考慮する必要が無くなるため、導電層45として、例えば銀ペースト等の、より低価格の材料を用いることが可能となり、実施例13の構成よりさらに部材コストの低減効果を奏することができる。
本実施例と実施例10の違いは、接続用端子41の構成にある。図32は、端子部の構成を説明するための模式断面図である。本実施例では、接続用端子41を2層以上で構成した。本実施例では、接続用端子41を41A,41Bの2層で形成し、41AをITO、41Bを映像信号線と同一材料とした。これにより、接続端子41での断線確率を低減できるため、実施例10に比べ信頼性の向上と歩留り向上の効果を奏することができる。また抵抗値が低減できるため、液晶駆動電源回路から遮光層34にいたる接続抵抗を低減することができる。また41Bは映像信号線と一括して形成できるため、工程数の増化は招かない。41Bとして走査信号線と同一材料を用いた場合も同様である。また本実施例では、41Aと41Bは、一部領域で保護膜16を介在した構造となっているが、介在しない場合も含まれることはいうまでもない。
本発明は、上述したように液晶等に適用され、液晶製造産業において実用可能性がある。
実施例1を示す平面図である。
実施例1の液晶表示装置とその周辺回路を示す構成図である。
実施例1におけるシールド電極の位置関係を示す平面図である。
図1のIII-III 線における断面図である。
図1のIV-IV 線における断面図である。
図1のV-V 線における断面図である。
実施例1による液晶表示装置の、シールド電極の電気的接続の方法を示す説明図である。
シールド電極幅と縦スメアとの関係を示す説明図である。
実施例1による液晶表示装置の配向膜および偏光板との関係を示した説明図である。
実施例2を示す平面図である。
実施例2における基準電極を兼用するシールド電極の配置を示す平面図である。
図10のIII-III 線における断面図に対応する図である。
図10のV-V 線における断面図に対応する図である。
実施例2の液晶表示装置とその周辺回路を示す構成図である。
実施例4を示す平面図である。
図15のIII-III 線における断面図に対応する断面図である。
実施例4の液晶表示装置とその周辺回路を示す構成図である。
実施例5を示す断面図である。
実施例7を示す平面図である。
実施例7における基準電極と遮光層を兼用するシールド電極の位置関係を示す平面図である。
実施例7の液晶表示装置とその周辺回路を示す構成図である。
実施例7を示す断面図である。
実施例8を示す断面図である。
実施例9を示す断面図である。
実施例10を示す断面図である。
実施例10を示す断面図である。
実施例10を示す平面図である。
実施例11を示す断面図である。
実施例12を示す断面図である。
実施例13を示す断面図である。
実施例13を示す平面図である。
実施例15を示す断面図である。
符号の説明
1・・・液晶表示装置、1A,1B・・・透明基板、2・・・走査信号線、3・・・映像信号線、4・・・基準信号線、14・・・基準電極、15・・・表示電極、30・・・遮光膜、31・・・シールド電極。