JP4137552B2 - ねじ成形装置及びボトル缶体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ボトル缶体の口金部にキャップを被着するためにねじ部を形成するねじ成形装置と、そのねじ部を有するボトル缶体と、そのボトル缶体の口金部にキャップが被着されてなるボトルとに関する。
【0002】
【従来の技術】
金属製の缶体を絞り加工して得られる、いわゆるボトル缶体は、有底筒上に形成されたボトル缶体の開口部に口金部を形成すると、その口金部の外周にキャップを被着するためのねじ部が形成される。
【0003】
このようなねじ部を有するボトル缶体を制作するには、予め有底円筒状のボトル缶体が形成されると、そのボトル缶体の開口部を、図9(a)に示すように、一旦縮径して口金部2を形成し、次いで、その口金部2の開口端から所定距離分だけ拡径して同図(b)に示すように拡径部2′を形成した後、さらにねじ成形装置によって開口端から一定の距離に同図(c)のようにねじ部3を形成する。その場合、口金部2にねじ部3を形成したとき、ねじ部3の形成されていない拡径部分を残すことにより、膨出部4が形成される。
【0004】
従来のねじ成形装置は、図示していないが、口金部2の内周面に当接する中子と、口金部2の外周面に当接する外子とが互いに口金部2を挟み込みながらボトル缶体1の軸心周りに回転することで、口金部2の外周にねじ部3を形成するようになっている。この場合、口金部2に形成されるねじ部3の巻き数としては、図10に示すようにおよそ1.7巻程度となっている。なお、ねじ部3が形成されたボトル缶体1は、その後種々の工程を経て内部に内容物が入れられた後、図10に示すキャップ5が被着されて密閉される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のねじ成形装置は、ボトル缶体1の口金部2の内周面に当接する中子と、口金部2の外周面に当接する外子が互いに挟み込みながらボトル缶体の軸心周りに回転することで、拡径された口金部2に1.7の巻数からなるねじ部3を形成している。
【0006】
ところが、ねじ部の巻数が1.7巻程度であると、図10に示すように、口金部2の周面においてねじ部3が二本ある部分と、ねじ部3が一本しかない部分とが生じ、その本数の差に伴う問題があった。即ち、上記巻数であると、ボトル缶体1にキャップ5を被着し、ボトル缶体1内が陽圧とした場合、キャップ5を押し上げる圧力が加わることから、キャップ5が上方にずれてしまう。そのため、キャップ5がボトル缶体1に対して偏ってしまうので、キャップ5の開口端側のスコア6と6との間に設けられたブリッジ7が引張られて破断してしまい、いわゆるブリッジ切れが起こる不具合があった。
【0007】
上記不具合を解消するため、図11に示すように、ねじ部3の巻数を増やし、2.2巻にすることが試みられている。このようにボトル缶体1の口金部2に2.2巻数のねじ部3を形成すると、ねじ部3のねじ始まり部分からねじ終わり部分との間では、ねじ部3が、一段目ねじ3aと二段目ねじ3bと三段目ねじ3cとのように三段となるねじ山領域Lが存在することとなる。
【0008】
しかしながら、ボトル缶体1に2.2巻のねじ部3を形成すると、三段となるねじ山領域Lにおいては、その成形時に、ボトル缶体1の一段目ねじ3aと三段目ねじ3cとによって二段目ねじ3bが引っ張られてしまう。つまり、従来のねじ成形装置において、口金部2に2.2巻のねじ部3を形成すると、図12に示すように、一段目ねじ3aを形成する口金部2の材料により、二段目ねじ3bを形成する材料が矢印aのように一段目ねじ3a方向に引張られてしまうと共に、三段目ねじ3cを形成する口金部2の材料により、二段目ねじ3bを形成する材料が矢印bのような三段目ねじ3c方向に引張られてしまう。
【0009】
そのため、二段目ねじ3bの山(深さ)が鎖線に示す設定された箇所より浅いい寸法となり、実線に示すように若干凹んで形成されてしまう結果、二段目ねじ3bが一段目、三段目ねじ3a、3cより小さな寸法となる問題があった。
このように、二段目ねじ3bが一段目、三段目ねじ3a、3cより小さい寸法に形成されると、均等なキャップ5の封止力を得ることができず、そのため、ボトル缶体1に、飲料水を充填し、かつキャップ5を被着した場合、飲料水の内圧が上昇すると、キャップ5がずれるという不具合があった。
【0010】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、ねじ山領域が三段となるようにねじ部の巻数を増やしても、ねじ部を長さに沿い確実に略同様の高さ(深さ)に形成することができ、内容物の圧力でキャップがボトル缶体からずれることのないねじ成形装置を提供することにあり、他の目的は、そのねじ成形装置によって形成されたねじ部を有するボトル缶体及びボトルを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、ボトル缶体の口金部の内周面に当接し、かつ外周に前記口金部に形成すべきねじ部を設けるためのねじ形成部を有する中子と、前記口金部の外周面に当接し、かつ外周に中子の前記ねじ形成部と対応する形状のねじ形成部を有する外子とを備え、中子と外子が前記口金部を挟み込みながらボトル缶体の軸心周りに回転し、前記口金部の外周面に対して、一段目ねじと二段目ねじと三段目ねじとの三段からなるねじ山領域を有する巻数のねじ部を形成するねじ成形装置であって、中子の前記ねじ形成部は、口金部の前記ねじ山領域内の二段目ねじを形成する二段目ねじ形成部のねじ山が、これと隣接する一段目ねじ形成部と三段目ねじ形成部のねじ山より高く形成されていることを特徴とする。
【0012】
この発明に係るねじ成形装置によれば、中子に設けられているねじ形成部において、口金部のねじ山領域内の二段目ねじを形成する二段目ねじ形成部のねじ山が、これと隣接する一段目ねじ形成部と三段目ねじ形成部のねじ山より高く形成しているので、中子と外子で口金部の外周面にねじ部を形成すると、ねじ山領域内の二段目ねじが一段目ねじと三段目ねじとに引張られても、二段目ねじの高さが一段目ねじと三段目ねじとの高さと略同様の寸法にすることができ、口金部に設けられたねじ部のそれぞれの段のねじの高さを略同様の高さにすることができる。
【0013】
請求項2に係る発明は、ボトル缶体の口金部の内周面に当接し、かつ外周に前記口金部に形成すべきねじ部を設けるためのねじ形成部を有する中子と、前記口金部の外周面に当接し、かつ外周に中子の前記ねじ形成部と対応する形状のねじ形成部を有する外子とを備え、中子と外子が前記口金部を挟み込みながらボトル缶体の軸心周りに回転し、前記口金部の外周面に対して、一段目ねじと二段目ねじと三段目ねじとの三段からなるねじ山領域を有する巻数のねじ部を形成するねじ成形装置であって、中子の前記ねじ形成部は、口金部の前記ねじ山領域内の二段目ねじを形成する二段目ねじ形成部のねじ山を、これと隣接する一段目ねじ形成部と三段目ねじ形成部のねじ山より高く形成し、外子の前記ねじ形成部は、口金部の前記ねじ山領域内の二段目ねじを形成する二段目ねじ形成部を、これと隣接する一段目ねじ形成部と三段目ねじ形成部との深さより深くして形成していることを特徴とする。
【0014】
この発明に係るねじ成形装置によれば、中子に設けられているねじ形成部において、口金部の前記ねじ山領域内の二段目ねじを形成する二段目ねじ形成部のねじ山を、これと隣接する一段目ねじ形成部と三段目ねじ形成部のねじ山より高く形成すると共に、外子に設けられているねじ形成部において、口金部のねじ山領域内の二段目ねじを形成する二段目ねじ形成部を、これと隣接する一段目ねじ形成部と三段目ねじ形成部との深さより深くして形成しているので、このような中子と外子で口金部の外周面にねじ部を形成すると、ねじ山領域内の二段目ねじが一段目ねじと三段目ねじとに引張られても、二段目ねじの高さが一段目ねじと三段目ねじとの高さと略同様の寸法にすることができ、口金部に設けられたねじ部のそれぞれの段のねじの高さを略同様の高さにすることができる。
【0015】
請求項3に係る発明は、ボトル缶体の製造方法であって、請求項1または2に記載のねじ成形装置を用いて、開口部に設けられた口金部の外周面に、一段目ねじと二段目ねじと三段目ねじとの三段からなるねじ山領域を有する巻数のねじ部を設けることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1から図7はこの発明の第一の実施の形態に係るねじ成形装置を示す図であって、図1はねじ成形装置と対向する位置にボトル缶体が位置決めされた状態を示す説明図、図2はねじ成形装置がボトル缶体の口金部にねじ部を形成している状態を示す説明図、図3はねじ成形装置の中子を示すねじ形成部の外観図、図4は図3の中子におけるねじ形成部の拡大図、図5はねじ成形装置によってボトル缶体の口金部に形成されたねじ部を示す上から見た説明図、図6はボトル缶体の口金部にねじ部を形成する状態を示す説明図、図7はボトル缶体の口金部に形成されたねじ山領域内の二段目ねじの高さと、口金部におけるねじ部の角度との関係を示す説明図である。
図1及び図2に示す実施形態のねじ成形装置10を説明する前に、このねじ成形装置10で取り扱うボトル缶体1は、内部に炭酸飲料、果汁飲料等の内容物を入れるためのものであって、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる薄板金属によって有底筒状に形成された後、そのボトル缶体1の開口部に缶胴部よりも小径の口金部2が形成され、その後、口金部2の周囲にねじ形成装置10によってねじ部3が形成される(図9参照)。
【0021】
そして、ねじ成形装置10は、ボトル缶1の口金部2の内周面に当接される中子11と、外周面に当接される外子12とを有し、中子11と外子12とで口金部2を挟み込みながらボトル缶体1の軸心O周りに回転することで、口金部2の周囲にねじ部3が形成されるようになっている。
これら中子11及び外子12は、図1及び図2に示すように、その外周面にねじ部3を形成するための凹凸状のねじ形成部21、22が螺旋状に、しかも互いに対応する形状でそれぞれに形成されており、第一ハウジング41に対する第二ハウジング42の位置に応じて径方向に移動するカムローラC1、C2によって径方向に移動されることにより、互いの凹凸形状間にボトル缶体1の口金部2を挟み込んでねじ部3を形成すべく変形させることができるようになっている。
【0022】
中子11及び外子12は、第二ハウジング42の内方に備えられている。第二ハウジング42は、第一ハウジング41に対して先端側に付勢保持されると共に、第三ハウジング44を固定している。第三ハウジング44には、押さえ環47が軸Oを中心に回転自在に取り付けられている。押さえ環47には、ばね45を介して先端側に付勢された弾性部材46が取り付けられている。弾性部材46は、ボトル缶体1に形成されたテーパ状の肩部に沿う円錐面46aと缶胴部に沿う円筒面46bとを有し、ボトル缶体1に対してねじ成形装置10が前進した際にボトル缶体1に押し付けられるようになっている。
【0023】
なお、図1及び図2において、符号35はワーク保持部30側に固定されたストッパー部材であって、このストッパー部材35に押さえ環47が当接することにより、押さえ環47が固定された第三ハウジング44、第二ハウジング42及びその内側に備えられた中子11、外子12のワーク保持部30に対する軸方向最前進位置が決定される。
ワーク保持部30は、詳細に図示されていないが、ボトル缶体1の底部を嵌め込むことでボトル缶体1を保持するダイリング31と、エアにより膨張してボトル缶体1の缶胴部を締め付け保持するリング状中空弾性部材32とでチャック機能をなしている。
【0024】
このねじ形成装置10は、予め、ワーク保持部30のダイリング31に底部が保持されたボトル缶体1が、図1に示すように、対向する位置に位置決めされると、まず、ワーク保持部30の前進により円筒面46bがボトル缶体1の肩部から缶胴部に嵌め込まれ、次いで、ワーク保持部30がより前進して押さえ環47がストッパー部材35に当接し、第二ハウジング42及び第三ハウジング44の前進が停止され、ワーク保持部30が更に前進して第一ハウジング41と第二ハウジング42との軸方向の間隔が狭められる。
【0025】
このとき、第一ハウジング41が図2に示すように所定位置まで前進することで、第一ハウジング41が第二ハウジング42に対して移動し、カムローラC1、C2が第一ハウジングの斜面41a、41bに沿ってそれぞれ移動すると、それに伴って中子11がボトル缶体1の口金部2の内周面に移動して当接すると共に、外子12が口金部2の外周面に移動して当接することにより、中子11と外子12とで口金部2を挟み込み、この状態でさらに装置10全体が軸心O周りに回転することで、口金部2にねじ部3が形成されるようになっている。
【0026】
その場合、ボトル缶1の口金部2に形成されるねじ部3は、本例では図11に示すように巻数が2.2巻として形成される。このねじ部3は、図11のように、口金部2の外周面において一段目ねじ3aと二段目ねじ3bと三段目ねじ3cとの三段からなるねじ山領域Lが存在することとなる。
【0027】
中子11の外周には、上記ねじ部3を形成するため、図3に示すように凹凸状のねじ形成部21が設けられ、該ねじ形成部21には、ねじ部3のねじ山領域Lと対応するねじ山領域L1が設けられている
【0028】
そして、この実施形態では、ねじ形成部21において、ねじ山領域L1の一段目〜三段目ねじ形成部21a〜21cのうち、図4に示すように、二段目ねじ形成部21bのねじ山が一段目ねじ形成部21a及び三段目ねじ形成部21cのねじ山より高く(深く)形成されている。
【0029】
即ち、中子11のねじ形成部21において、口金部2に設けられるねじ部3の一段目ねじ3aを形成するための一段目ねじ形成部21aと、ねじ部3の二段目ねじ3bを形成するための二段目ねじ形成部21bと、ねじ部3の三段目ねじ3cを形成するための三段目ねじ形成部21cとのうち、二段目ねじ形成部21bのねじ山だけが、一段目ねじ形成部21a及び三段目ねじ形成部21cよりも若干高くして形成されている。
【0030】
この場合、中子11におけるねじ山領域L1としては、図5に示すように、ねじ部3のねじ始まり部3Aからねじ部3の形成方向と反対方向に−10°の角度であって、かつそこからねじ終わり方向へ40°の角度へ至る範囲に相当しており、従って、口金部2に形成されたねじ部3のねじ始まり部3Aから350〜400°の角度の範囲に相当している。
そして、ねじ山領域L1内の二段目ねじ形成部21bは、上記の角度範囲内で一段目ねじ形成部21a及び三段目ねじ形成部21cより高く形成されている。
なお、図5において、符号2aはボトル缶体1の口金部2の内周壁である。
【0031】
この実施形態のねじ成形装置10は、上記のように構成されているので、ボトル缶体1にねじ部3を設けるため、図1に示すように、ダイリング31及びリング状中空弾性部材32からなるワーク保持部30に底部が保持されたボトル缶体1が、対向する位置に位置決めされると、ワーク保持部30の前進により円筒面46bがボトル缶体1の肩部から缶胴部に嵌め込まれ、次いで、ワーク保持部30がより前進して押さえ環47がストッパー部材35に当接し、第二ハウジング42及び第三ハウジング44の前進が停止され、ワーク保持部30が更に前進して第一ハウジング41と第二ハウジング42との軸方向の間隔が狭められる。
【0032】
このとき、第一ハウジング41が、図2に示すように所定位置まで前進することで、第一ハウジング41が第二ハウジング42に対して移動し、カムローラC1、C2が第一ハウジングの斜面41a、41bに沿ってそれぞれ移動し、それに伴って中子11がボトル缶体の口金部2内周部に移動して当接すると共に、外子12が口金部2外周部に移動して当接することにより、中子11と外子12とで口金部2を挟み込み、この状態でさらに装置全体が軸心O周りに回転することで、口金部2に図11のようなねじ部3が形成されることとなる。
【0033】
その場合、中子11と外子12との回転によって2.2巻のねじ部3を口金部2の外周面に沿って形成すると、口金部2においては、ねじ部3の一段目ねじ3aと三段目ねじ3cとが両者の間の二段目ねじ3bを、図6に示す鎖線から実線のように、それぞれの方向a、bに引張ってしまい、二段目ねじ3bが小さな寸法に形成されるおそれがある。
【0034】
しかしながら、上述のように、ねじ成形装置10の中子11の外周に設けられたねじ形成部21において、三段からなるねじ山領域L1の範囲では、図4に示すように、二段目ねじ形成部21bの高さが一段目ねじ形成部21a及び三段目ねじ形成部21cの高さより若干高い寸法に形成されているので、ねじ部3の形成時、ねじ部3の一段目ねじ3a及び三段目ねじ3cを形成する口金部2の材料が二段目ねじ3bを形成する材料を互いに引張ることがあっても、結果的には、口金部2に形成される二段目ねじ3bの高さが他の段のねじ、つまり、一段目ねじ3aと三段目ねじ3cと略同様の高さに形成することができる。
【0035】
従って、中子11における二段目ねじ形成部21bだけの高さを大きくすることで、ボトル缶体1に形成されたねじ部3を全て略同様の高さ及び深さにできるので、その後、図10に示すように、ボトル缶体1の口金部2にキャップ5を被着したとき、内容物の圧力によってキャップ5がずれるのを防止することができるばかりでなく、キャップ5にブリッジ切れが発生することもない。
【0036】
しかも、中子11のねじ形成部21における二段目ねじ形成部21bは、口金部2に形成されるねじ部3の深さが、例えば0.7mmに設定されているとき、そのねじ部のねじ始まり部3Aからねじ部の方向と反対方向で−10°の角度で、かつねじ部の方向に沿って40°の角度の範囲であり、従って、口金部2に設けられたねじ部3の350〜400°の角度範囲に相当している。
【0037】
因みに、口金部2に形成されたねじ部3のねじ山領域Lにおける二段目ねじ3bの高さを測定したところ、図7に示すように、350°から400°の範囲では設定深さ(0.7mm)より、山形状に若干大きな程度となっている。この場合の誤差は、350°から400°の範囲では0.01〜0.05mmの微小値であり、キャップ5のずれ等を招くことがないのが確認された。
但し、この実施形態によれば、中子11の二段目ねじ形成部21bにより、ねじ部3の二段目ねじ3bが一段目ねじ3a、三段目ねじ3cより若干大きく形成された例を示したが、キャップずれやキャップのブリッジ切れを防げる程度の大きさであればよく、従って、設定高さ(0.7mm)に対し、0.60〜085mmの高さ、つまり、85〜121%の高さとなっていればよく、更に好ましいのは0.65〜0.75mmの範囲であればよい。
【0038】
そして、このねじ成形装置10によってボトル缶体1の口金部2にねじ部3を形成すると、一段目〜三段目ねじ3a〜3cが略同様の深さからなるねじ部3を確実に形成することができ、良好なねじ部3を有するボトル缶体1が得られる。
【0039】
更に、このようなボトル缶体1にキャップ5を被着すれば、キャップ5が圧力が高い内容物を入れても、キャップ5がずれるおそれがなくなり、それだけ信頼性の高いボトルを確実に得ることができる。
【0040】
図8はこの発明の第二の実施の形態に係るねじ成形装置を示している。
前述した実施形態では、中子11のねじ形成部21の二段目ねじ形成部21bを大きくした例を示したが、この実施形態では、中子11のねじ形成部21の一段目〜三段目ねじ形成部21a〜21cがそのまま同じ深さに形成される他、外子12の外周面に設けられている一段目〜三段目ねじ形成部22a〜22cを有するねじ形成部22において、二段目ねじ形成部22bの深さを、一段目ねじ形成部22a及び三段目ねじ形成部22cのそれより大きく形成したことに特徴を有している。
この場合、二段目ねじ形成部22bの高さとしては、中子11における二段目ねじ形成部21bの大きさに対応させている。
【0041】
従って、この実施形態によれば、外子22の二段目ねじ形成部22bの高さが、他のねじ形成部22a、22cの高さより大きく形成されるので、口金部2にねじ部3を形成すると、結果的に前述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0042】
なお、図示実施形態では、中子11のねじ形成部21における二段目ねじ形成部21b、及び外子12のねじ形成部22における二段目ねじ形成部22bの深さをそれぞれ大きくした例を示したが、例えば、それら二段目ねじ形成部21bと22bとの双方を同時に他のもの(21a、21cと22a、22c)より大きくしても同様の作用効果を得ることができる。
また、図示実施形態では、ねじ成形装置10がボトル缶体1の口金部2に2.2巻のねじ部3を形成した例を示したが、巻数をそれ以上増やした場合、例えば2.5巻のような巻数に形成した場合にも適用することができ、図示実施形態に限定されるものではない。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、中子に設けられているねじ形成部において、口金部の前記ねじ山領域内の二段目ねじを形成する二段目ねじ形成部のねじ山を、これと隣接する一段目ねじ形成部と三段目ねじ形成部のねじ山より高く形成したので、中子と外子で口金部の外周面にねじ部を形成すると、口金部に設けられたねじ部のそれぞれの段のねじの高さを略同様の高さにすることができる結果、被着したキャップがずれたりブリッジ切れが発生するそおれのない良好なねじ部を形成することができる効果が得られる。
【0044】
請求項2に係る発明によれば、中子と外子で口金部の外周面にねじ部を形成したとき、ねじ山領域内の二段目ねじが一段目ねじと三段目ねじとに引張られても、二段目ねじの高さが一段目ねじと三段目ねじとの高さと略同様の寸法にすることができるように構成したので、口金部に設けられたねじ部のそれぞれの段のねじの高さを略同様の高さにすることができる結果、より信頼性の高いねじ部を確実に形成できるという効果が得られる。
【0045】
請求項3に係る発明によれば、請求項1または2に記載のねじ成形装置によって口金部にねじ部を設けるので、口金部に設けられたねじ部のそれぞれの段のねじの高さを略同様の高さにすることができる結果、被着したキャップがずれたりブリッジ切れが発生するそおれのない良好なねじ部を形成することができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第一の実施の形態に係るねじ成形装置を示す図であって、ねじ成形装置と対向する位置にボトル缶体が位置決めされた状態を示す説明図である。
【図2】 ねじ成形装置がボトル缶体の口金部にねじ部を形成している状態を示す説明図である。
【図3】 ねじ成形装置の中子を示すねじ形成部の外観図である。
【図4】 図3の中子におけるねじ形成部の拡大図である。
【図5】 成形装置によってボトル缶体の口金部に形成されたねじ部を示す上から見た説明図である。
【図6】 ボトル缶体の口金部にねじ部を形成する状態を示す説明図である。
【図7】 ボトル缶体の口金部に形成されたねじ山領域内の二段目ねじの高さ(修正高さ)と、口金部におけるねじ部の角度との関係を示す説明図である。
【図8】 この発明の第二の実施の形態に係るねじ成形装置を示す図であって、外子に設けられたねじ形成部を示す要部の説明図である。
【図9】 ボトル缶体にねじ部を形成するまでの工程を示す説明図である。
【図10】 ねじ部を有するボトル缶体にキャップを被着する説明図である。
【図11】 ボトル缶体に三段からなるねじ部を設けたときの説明図である。
【図12】 従来のねじ成形装置により、ボトル缶体に三段からなるねじ部を形成したときの問題点を示す要部の説明図である。
【符号の説明】
1 ボトル缶体
2 口金部
3 ねじ部
3a 一段目ねじ
3b 二段目ねじ
3c 三段目ねじ
10 ねじ成形装置
11 中子
12 外子
21 中子のねじ形成部
22 外子のねじ形成部
21b 中子のねじ形成部における二段目ねじ形成部
22b 外子のねじ形成部における二段目ねじ形成部
Claims (3)
- ボトル缶体の口金部の内周面に当接し、かつ外周に前記口金部に形成すべきねじ部を設けるためのねじ形成部を有する中子と、前記口金部の外周面に当接し、かつ外周に中子の前記ねじ形成部と対応する形状のねじ形成部を有する外子とを備え、
中子と外子が前記口金部を挟み込みながらボトル缶体の軸心周りに回転し、前記口金部の外周面に対して、一段目ねじと二段目ねじと三段目ねじとの三段からなるねじ山領域を有する巻数のねじ部を形成するねじ成形装置であって、
中子の前記ねじ形成部は、口金部の前記ねじ山領域内の二段目ねじを形成する二段目ねじ形成部のねじ山が、これと隣接する一段目ねじ形成部と三段目ねじ形成部のねじ山より高く形成されていることを特徴とするねじ成形装置。 - ボトル缶体の口金部の内周面に当接し、かつ外周に前記口金部に形成すべきねじ部を設けるためのねじ形成部を有する中子と、前記口金部の外周面に当接し、かつ外周に中子の前記ねじ形成部と対応する形状のねじ形成部を有する外子とを備え、
中子と外子が前記口金部を挟み込みながらボトル缶体の軸心周りに回転し、前記口金部の外周面に対して、一段目ねじと二段目ねじと三段目ねじとの三段からなるねじ山領域を有する巻数のねじ部を形成するねじ成形装置であって、
中子の前記ねじ形成部は、口金部の前記ねじ山領域内の二段目ねじを形成する二段目ねじ形成部のねじ山を、これと隣接する一段目ねじ形成部と三段目ねじ形成部のねじ山より高く形成し、
外子の前記ねじ形成部は、口金部の前記ねじ山領域内の二段目ねじを形成する二段目ねじ形成部を、これと隣接する一段目ねじ形成部と三段目ねじ形成部との深さより深くして形成していることを特徴とするねじ成形装置。 - 請求項1または2に記載のねじ成形装置を用いて、開口部に設けられた口金部の外周面に、一段目ねじと二段目ねじと三段目ねじとの三段からなるねじ山領域を有する巻数のねじ部を設けることを特徴とするボトル缶体の製造方法。
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