JP4137449B2 - ズームレンズ鏡筒及びカメラ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ズームレンズ鏡筒及びカメラ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8には、従来のいわゆる沈胴式カメラの撮影レンズ鏡筒部分の構造が示されている。
【0003】
この沈胴式カメラとは、カメラ装置が撮影を行える撮影可能状態にあるときと、撮影を行えない撮影不能状態にあるときとに対応して、撮影可能状態にあるときには撮影レンズがカメラ筐体から突出し、逆に撮影不能状態にあるときには撮影レンズがカメラ筐体の内側に収納される構造を有するものである。ここで、例えば、撮影可能状態にあるときとは、カメラ装置の主電源がONされている状態をいい、また、撮影不能状態にあるときとは、該主電源がOFFされているときをいう。
【0004】
このような沈胴式カメラは、撮影不能状態にあるときは、撮影レンズをカメラ筐体内に収容しているため、撮影を行わない状態、例えば持ち運ぶときに撮影レンズを物にぶつけて損傷を負わせてしまうという事態を防止できるというメリットがある。また、撮影レンズがカメラ筐体から突出しているか収納されているかを見ることで、カメラ装置が撮影可能状態なのか、あるいは撮影不能状態なのかが一目で判るというメリットを有している。
【0005】
図示のレンズ鏡筒1は、カメラ筐体2の側に固定されている固定鏡筒3と、この固定鏡筒3に対して移動可能に保持されている移動鏡筒4とを備えて構成されている。そして、カメラ装置が、撮影可能状態にあるときには移動鏡筒4がカメラ筐体2から突出し、逆に撮影不能状態にあるときには移動鏡筒4がカメラ筐体2の内側に収納される構造になっている。
【0006】
レンズ鏡筒1には、撮影レンズ5が備えられていて、この撮影レンズ5は、ズーム光学系を構成する第1群レンズ6と第2群レンズ7、および合焦光学系を構成する第3群レンズ8の3つのレンズ群から構成されている。
【0007】
第3群レンズ8の後方、すなわち図面中右方の撮影レンズ5の結像位置には撮像素子CCD9(電荷結合素子)が配設されていて、撮影レンズ5により捕らえられた被写体光はこのCCD9の撮像面上に結像される。CCD9は、固定鏡筒3の後端部に取付けられている基盤3Mに取付けられている。
【0008】
なお、撮影レンズ5の光軸を図中一点鎖線Xとして示すこととし、以下の説明を進めていくことにする。
【0009】
レンズ鏡筒1をカメラ筐体2に対して突出および収納させるための構造について説明する。
【0010】
上述したように、レンズ鏡筒1は、固定鏡筒3と移動鏡筒4とを備えて構成されている。移動鏡筒4は、カム筒41とこのカム筒41の内側に挿入されて嵌められている案内筒42とから構成されている。この移動鏡筒4は、光軸Xに沿う前後の方向(紙面の左右方向)に移動可能な状態で、固定鏡筒3の内側に挿入されて嵌められている。つまり、固定鏡筒3の内側にはカム筒41が嵌められ、さらにその内側には案内筒42が嵌められている。なお、固定鏡筒3、カム筒41、案内筒42は、光軸Xの方向から見た断面が、それぞれ円筒形を呈している。
【0011】
移動鏡筒4は、撮影可能状態のときに、固定鏡筒3内を前方側に移動して、カメラ筐体2の前面から突出する状態となる。逆に、この移動鏡筒4は、撮影不能状態にあるときには、後方側に移動して、カメラ筐体2の内側に収納される状態となる。
【0012】
固定鏡筒3の前方端部には内側に円輪状に突出しているフランジ部3Fが形成されている。このフランジ部3Fは、フランジ部3Fの内周側の端縁面の全面が、カム筒41の外周面に均一に当接するように形成されている。
【0013】
また、カム筒41の後端部には外側に突出する円輪状のフランジ部4Fが形成されている。このフランジ部4Fは、フランジ部4Fの外周側の端縁面の全面が、固定鏡筒3の内周面に均一に当接するように形成されている。
【0014】
つまり、移動鏡筒4は、固定鏡筒3に形成されたフランジ部3Fとカム筒41に形成されたフランジ部4Fとにより、固定鏡筒3の内側に固定鏡筒3に対して支持されている。
【0015】
フランジ部4Fの外周側の端縁面と固定鏡筒3の内周面との当接部、およびフランジ部3Fの内周側の端縁面とカム筒41の外周面との当接部は円滑に摺動できるようになっていて、そのため、移動鏡筒4は、フランジ部3Fとフランジ部4Fとによりガイドされながら固定鏡筒3に対して、光軸Xに沿って前後にスムーズに移動できるようになっている。
【0016】
固定鏡筒3の上下の部分には、光軸Xと平行に延びるスリット状のガイド溝3Gが形成されている。
【0017】
また、移動鏡筒4の側、すなわち案内筒42の後端部にはガイド溝3Gと光軸Xの周方向で係合する突起部4Tが、上下の2つのガイド溝3Gについてそれぞれ形成されている。突起部4Tがガイド溝3Gに係合しているため、カム筒42を光軸Xの周りに回転させたときに、案内筒42が光軸Xの周りに回転してしまうことのないようになっている。
【0018】
移動鏡筒4の前後への移動は、移動鏡筒4に連結されている図示外の駆動モーターにより行われる。駆動モーターが、カメラ装置が撮影可能状態にあるか又は撮影不能状態にあるか、例えば、カメラ装置の主電源がONになっている状態かあるいはOFFになっている状態かによってそれぞれ対応する方向に駆動されて、移動鏡筒4が前後方向に移動させられるようになっている。すなわち、撮影不能状態から撮影可能状態となるときには、移動鏡筒4を前方に移動するように駆動モーターを駆動させるため、移動鏡筒4が固定鏡筒3の内側を前方へ移動してカメラ筐体2の前面から突出する。逆に撮影可能状態から撮影不能状態になるときには、移動鏡筒4を後方に移動するように駆動モーターが駆動させるため、移動鏡筒4が固定鏡筒3の内側を後方に移動して、カメラ筐体2の内側に収納されるようになっている。
【0019】
上述のような仕組みによって、移動鏡筒4はカメラ筐体2に対して収納および突出する沈胴および突出動作を行う。
【0020】
図示のレンズ鏡筒1は、上述のように撮影レンズ5を構成している、調整用レンズともなる第1群レンズ6、第2群レンズ7および第3群レンズ8の3つのレンズ群を有している。撮影レンズ5に捕えられた被写体像は、第3群レンズ8の後方に配置される撮像素子CCD9の撮像面上に結像する。
【0021】
第1群レンズ6と第2群レンズ7とは、撮影レンズ5の焦点距離を変える役目を果たしているもので、ズームレンズ光学系を構成し、第1群レンズ6と第2群レンズ7が、それぞれ独立に前後の方向に焦点距離に対応した所定の移動を行うことで、焦点距離を変化させ、ズーム効果を奏するようになっている。
【0022】
この第1群レンズ6と第2群レンズ7の移動は、以下に説明する仕組みによって行われる。
【0023】
移動鏡筒4は、上述したように、カム筒41とその内側に嵌められている案内筒42とを有して構成されている。カム筒41の内径と案内筒42の外径とは、カム筒41内に案内筒42を嵌めたときに、案内筒42がカム筒41に対して径方向にガタを生ずることのないように、それぞれ設定されている。
【0024】
カム筒41には、第1群レンズ6と第2群レンズ7にそれぞれ独立に対応している不図示のカム溝が形成されている。このカム溝は、カム筒41の内側面に凹状に形成された溝によって形成されている。また、これらのカム溝は、所望の焦点距離に対応した位置に、第1群レンズ6と第2群レンズ7を移動するように、光軸Xに対して所定の角度を有して形成されている。つまり、第1群レンズ6と第2群レンズ7はそれぞれに対応して形成されているカム溝に追従して移動するようになっている。
【0025】
また、案内筒42の側面には、光軸Xと平行に不図示のガイド溝が形成されている。このガイド溝は、案内筒42の側面にスリット状に形成されていて、案内筒42の側面を貫通している。
【0026】
第1群レンズ6と第2群レンズ7のカム溝が、光軸Xと角度を有する方向に形成され、さらに、案内筒42のガイド溝が、光軸Xに平行に形成されているため、案内筒42をカム筒41に挿嵌したとき、各カム溝は、案内筒42のガイド溝と交差する部分を有する。
【0027】
カム溝は、光軸Xの回りに対称に120度の間隔で第1群レンズ6と第2群レンズ7のそれぞれについて、3本づつ形成されている。案内筒42のガイド溝も光軸Xの回りに対称に120度の間隔で3本形成されている。したがって、上述したカム溝とガイド溝との交差する部分は、第1群レンズ6と第2群レンズ7のそれぞれについて、光軸Xの周りに対称に120度の間隔で形成されることになる。
【0028】
第1群レンズ6はレンズ保持枠61に保持され、また第2群レンズ7はレンズ保持枠71に保持されている。レンズ保持枠61とレンズ保持枠71には、それぞれカムフォロア61Fとカムフォロア71Fが光軸Xの周りに120度の間隔で植設されている。そして、レンズ保持枠61は、3つのカムフォロアー61Fを、第1群レンズ61に対応するカム溝とガイド溝との交差する部分に係合させることで、カム筒41のカム溝と案内筒42のガイド溝とに係合するとともに、移動鏡筒4内に保持される。
【0029】
また、レンズ保持枠71についても同様に、3つのカムフォロアー71Fを、第2群レンズ71に対応するカム溝とガイド溝との交差する部分に係合させることで、カム筒41のカム溝と案内筒42のガイド溝とに係合するとともに、移動鏡筒4内に保持される。
【0030】
カムフォロア61Fとカムフォロア71Fが、カム溝とガイド溝の交差する部分に係合されて移動鏡筒4内に保持されている状態で、カム筒41を案内筒42の周りに回転させると、カム筒41の案内筒42に対する回転角度とカム溝の光軸Xに対する形成角度とに応じて、カム溝とガイド溝の交差する部分が前後に移動するため、レンズ保持枠61とレンズ保持枠71も前後に移動し、第1群レンズ6と第2群レンズ7がズーム動作をすることになる。なお、前述の移動鏡筒4の突起部4Tは、案内筒42の後端部に形成されている。また、カム筒41の回転は、図示外のモーターより光軸Xの周りへの回転駆動力を得て行われるようになっている。
【0031】
合焦光学系を構成する第3群レンズ8は、レンズ保持枠81に保持されていて、第2群レンズ7から出射する被写体光の被写体像をCCD9の撮像面上に合焦状態で結像させるように光軸Xに沿って前後に移動させられる。この第3群レンズ6の移動は、基盤3Mに取付けられるモーター10によって行われる。
【0032】
モーター10の出力軸10Sは光軸Xと平行に配設されていて、この出力軸10Sにはウォームギヤ部10Wが備えられている。レンズ保持枠81の上部には支持アーム81Aが形成されていて、この支持アーム81Aがウォームギヤ10Wにねじ結合している。
【0033】
モーター10の出力軸10Sに対して光軸Xを挟んだ反対側には、基盤3Mに植設されるガイド軸10Gが光軸Xと平行に配設されている。レンズ保持枠81の下部にはガイド軸10Gが光軸Xに沿う方向に摺動自在な状態で挿通されるガイド受部81Bが形成されている。
【0034】
したがって、レンズ保持枠81は、出力軸10Sおよびガイド軸10Gとにより支持された状態でレンズ鏡筒1内に保持されていることになる。そして、モーター10が駆動されると、レンズ保持枠81は、支持アーム81Aがウォームギヤ部10Wにねじ結合しているため、ウォームギア部10Wの回転に追従して光軸X方向に沿って移動する。
【0035】
レンズ保持枠81は、ガイド受部81Bがガイド軸10Gに挿通されているため、レンズ保持枠81が出力軸10Sの回転に引きずられて出力軸10Sの回りに回ってしまうことなく、光軸Xに沿って移動する。なお、モーター10の駆動は、図示外の自動焦点制御装置からの信号に基づいて駆動される。
【0036】
移動鏡筒4が後方に移動したとき、レンズ保持枠71とウォームギア部10Wとが干渉してしまわないように、レンズ保持枠71には、ウォームギア部10Wを避けるように光軸X方向に貫通している不図示の孔部が形成されている。
【0037】
各レンズ保持枠61、71、81への各レンズの保持構造について説明する。
【0038】
先ず、第1群レンズ6をレンズ保持枠61によって保持する構造を説明する。
【0039】
レンズ保持枠61は、内側枠61Pと外側枠61Qとを有して構成されている。内側枠61Pの外周面と外側枠61Qの内周面には、互いにねじ結合するねじ部61Sが形成されていて、内側枠61Pは外側枠61Qの内側にねじ部61Sにねじ結合している状態で嵌められている。つまり、内側枠61Pは、外側枠61Qに対し、ねじ部61Sに沿って回転させながら嵌め入れていく。
【0040】
第1群レンズ6は、レンズ6L1、レンズ6L2、レンズ6L3の3枚のレンズから構成されている。内側枠61Pには、これらの各レンズ毎に対応して、レンズ保持部6L1’ 、6L2’、6L3’が形成されていて、レンズ6L1、レンズ6L2、レンズ6L3は、それぞれのレンズに対応しているレンズ保持部6L1’ 、6L2’、6L3’に接着剤により固着されて保持されている。
【0041】
レンズ6L1、6L2、6L3の外径に対し、レンズ保持部6L1’ 、6L2’、6L3’の各内径は若干大き目に形成されていて、各レンズ6L1、6L2、6L3の周縁部と各レンズ保持部6L1’ 、6L2’、6L3’との間には若干の隙間が形成されている。そのため、各レンズ6L1、6L2、6L3は、各レンズ保持部6L1’ 、保持部6L2’、保持部6L3’に対して、光軸Xと直交する方向に隙間の分だけ移動できるようになっている。したがって、各レンズ6L1、6L2、6L3を接着剤により内側枠61Pに固着する際には、レンズ保持枠61を移動鏡筒4に保持させたときに、これら3枚のレンズの光軸が光軸Xに一致するように、各レンズ6L1、6L2、6L3を光軸Xと直交する方向にそれぞれ位置を調整しながら、各レンズ6L1、6L2、6L3を各レンズ保持部6L1’ 、6L2’、6L3’に固着するようにする。
【0042】
そうして、レンズ6L1、6L2、6L3が保持された内側枠61Pを外側枠61Qにねじ結合させて、内側枠61Pと外側枠61Qを一体として構成する。
【0043】
次に、第2群レンズ7をレンズ保持枠71によって保持する構造を説明する。
【0044】
レンズ保持枠71は、レンズ保持枠61のように2部材で構成されておらず、1部材で構成されている。
【0045】
第2群レンズ7を構成するレンズ7L1、レンズ7L2,レンズ7L3の内、レンズ7L2はレンズ保持部7L2’に、レンズ7L3はレンズ保持部7L3’に接着剤により固着されて保持されている。
【0046】
レンズ7L1は、レンズ7L2に接合されているため、レンズ7L2がレンズ保持部7L2’に固着されることで、レンズ7L2を介してレンズ保持枠71に保持される。なお、レンズ7L1は、レンズ7L2と光軸を一致させた状態で接合されている。
【0047】
レンズ7L2、7L3の外径に対し、これらのレンズに対応するレンズ保持部7L2’、7L3’の内径は若干大き目に形成されていて、各レンズ7L2、7L3の周縁部と各レンズ保持部7L2’、7L3’との間には若干の隙間が形成されている。そのため各レンズ7L2、7L3は、レンズ保持部7L2’、7L3’に対して、光軸Xと直交する方向に隙間の分だけ移動することができる。
【0048】
レンズ7L2、7L3をレンズ保持枠71に接着剤により固着する際には、、レンズ保持枠71を移動鏡筒4に保持させたときに、レンズ7L1、7L2およびレンズ7L3の3枚のレンズの光軸が光軸Xに一致するように、レンズ7L2、レンズ7L3を光軸Xと直交する方向にそれぞれ位置を調整しながら、それぞれレンズ保持部7L2’ 、保持部7L3’に固着する。
【0049】
次に、第3群レンズ8をレンズ保持枠81によって保持する構造を説明する。
【0050】
レンズ保持枠81も、レンズ保持枠61と違い、レンズ保持枠71と同様に1の部材で構成されている。第3群レンズ8を構成するレンズ8Lは、レンズ保持枠81のレンズ保持部8L’に接着剤により固着されて保持される。
【0051】
レンズ8Lの外径に対し、レンズ保持部8L’の内径は若干大き目に形成されていて、レンズ8Lの周縁部とレンズ保持部8L’との間には若干の隙間が形成されている。そのためレンズ8Lは、レンズ保持部8L’に対して、光軸Xと直交する方向に隙間の分だけ移動することができる。
【0052】
レンズ8Lをレンズ保持枠81に固着する際に、レンズ8Lの光軸が、レンズ保持枠81をモータ10の出力軸10Sとガイド軸10Gに保持したとき、光軸Xと一致するように、レンズ8Lを前記の隙間分だけレンズ保持部8L’に対して移動させてレンズ7Lの光軸が光軸Xに一致するように固着する。
【0053】
上述したように、第1群レンズ6と第2群レンズ7とはズーム光学系を構成し、第3群レンズ8は合焦光学系を構成している。したがって、第1群レンズ6と第2群レンズ7によって捕えられた被写体光が第3群レンズ8によりCCD9の撮像面に合焦状態で結像される。そして、CCD9の撮像面に被写体像が結像している状態で、第1群レンズ6と第2群レンズ7をズーム動作させても、合焦状態を保ちながら、結像の倍率を変化させることができる。
【0054】
ところが、このことはズームレンズの本来的な動作であって、カム溝の形成位置の精度が不十分であったり、あるいはレンズ保持枠61、71、81に、各保持枠に保持されるレンズを接着剤で固着する際に、所定の位置より前後の方向にずれて固着されてしまったような場合など、光学設計通りの位置にレンズが配設されていない場合には、合焦状態になっている結像を変倍させようとして、第1群レンズ6と第2群レンズ7にズーム動作を行わせると、合焦状態が失われてしまい、再び第3群レンズ8を合焦動作させる必要がある。
【0055】
そのため、第1群レンズ6を保持するレンズ保持枠61の内側枠61Pを外側枠61Qに対して前後に変位して、第1群レンズ6の前後位置を調整することで、カム溝の形成位置のずれなどの相殺を行い、ズーム動作を行ってもCCD9の撮像面上での結像状態の変化を少なくするようにする手段が採られる。
【0056】
レンズが保持されているレンズ保持枠61、レンズ保持枠71およびレンズ保持枠81を移動鏡筒4に保持し、レンズ鏡筒1が組み上がった状態で、レンズ保持枠61の内側枠61Pと外側枠61Qのねじ部61Sのねじ結合の量を調整して、内側枠61Pを外側枠61Qに対して前後に変位させる。
【0057】
外側枠61Qに対して内側枠61Pを変位させると、この内側枠61Pに保持される第1群レンズ6が、ズーム動作による焦点距離を変化させるためのレンズ移動とは別に独立に光軸X方向の前後に変位する。そうして、第1群レンズ6と第2群レンズ7をズーム動作させても、CCD9の撮像面に結像する被写体像の合焦状態が崩れないような位置に第1群レンズ6を変位させて、この位置から第1群レンズ6が動かないように、内側枠61Pと外側枠61Qとを接着剤で固着する。
【0058】
第1群レンズ6の位置を前側へ変位させるには、内側枠61Pと外側枠61Qのねじ部61Sのねじ結合の量を少なくし、逆に、後方に変位させるには、内側枠61Pと外側枠61Qのねじ部61Sのねじ結合の量を多くするように調整する。
【0059】
第1群レンズ6の位置調整が終わった後、外側枠61の前端部に筒飾り11を装着して、レンズ鏡筒1の内部などが外部から見えないように体裁を整える。
【0060】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、内側枠61Pと外側枠61Qのねじ部61Sが形成されている円筒部の筒体が偏芯しているなどのことが原因で、内側枠61Pを外側枠61Qに対し回転させたときに、第1群レンズ6の光軸が光軸Xからずれてしまうという問題点が有る。
【0061】
そこで、本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、ズームレンズを構成するレンズの一部をズーム動作とは独立に光軸方向に変位させる際に、この変位されるレンズの光軸が他のレンズの光軸とずれを生ずることのないようにすることができるズームレンズ鏡筒及びカメラ装置を提供することを目的とする。
【0062】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、ズームレンズ光学系と、ズームレンズ光学系からの被写体光を結像面に結像させる合焦光学系と、ズームレンズ光学系を構成しているレンズのなかの少なくとも1のレンズであって、焦点距離を変化させるための移動とは独立して光軸方向に変位され、結像面での結像状態を変化させるための調整用レンズの光軸方向への変位位置を調整する調整用レンズ位置調整手段を備えるズームレンズ鏡筒において、調整用レンズ位置調整手段は、調整用レンズを保持する内側枠と、内側枠に対し光軸に沿う方向へ附勢力を作用させる弾性手段と、弾性手段による附勢力を受ける内側枠を内周側に光軸方向に変位可能に保持する外側枠と、弾性手段の附勢力を受けて光軸に沿って前後方向に附勢される内側枠をその前後方向について位置決めする位置決め手段と、内側枠を外側枠に対し光軸方向に沿う方向への変位を許容するが、光軸周りへの回転を制限するガイド手段と、内側枠の外周側に突出して形成され内側枠を外側枠に対して支持する内側枠フランジ部と、外側枠の内周側に突出して形成され内側枠を外側枠に対して支持する外側枠フランジ部とを備え、弾性手段は、内側枠フランジ部と外側枠フランジ部との間、または内側枠フランジ部と位置決め手段との間に配設されることとする。
【0063】
ズームレンズ鏡筒をこのように構成することで、調整用レンズが変位する前後で、調整用レンズの光軸が回転しないように調整用レンズを変位させることができるので、調整用レンズを変位させても、調整用レンズの光軸が他のレンズの光軸からずれてしまうことがなくなる。
【0064】
また、ズームレンズ鏡筒をこのように構成することで、内側枠は、弾性手段により位置決め手段側に附勢されることになる。そのため、内側枠が自動的に位置決め手段の位置決め位置に変位するので、位置決めのための変位操作を簡単に行うことができる。
【0065】
また、他の発明は、上述の発明に加え、位置決め手段は、内側枠と外側枠とが光軸方向で互いに対面する間隙に配設されるスペーサであることとする。
【0066】
ズームレンズ鏡筒をこのように構成することで、スペーサの厚さにより内側枠の位置を決めることができるため、位置決め操作を簡単に行うことができる。
【0067】
また、他の発明は、上述の発明に加え、位置決め手段は、外側枠に固定されると共に内側枠の前面側に配置される筒飾りであることとする。
【0068】
筒飾りを位置決め手段として使用することで、部品点数の削減を行えることができる。
【0069】
また、他の発明は、上述の発明に加え、ガイド手段は、内側枠に形成される凸部と、外側枠に形成される内側枠の凸部に係合する凹部、または、内側枠に形成される凹部と、外側枠に形成される凹部に係合する凸部であることとする。
【0070】
ズームレンズ鏡筒中のガイド手段を内側枠と外側枠に形成したので、部品点数を少なくすることができる。また、凹部と凸部の係合によってガイドされているので簡単な構成でガイド手段を構成できる。
【0071】
また、他の発明は、上述の発明に加え、ガイド手段の一部は、一端を内側枠あるいは外側枠の何れか一方に固定されている金属体で形成されるポールであって、このポールが固定されない側の内側枠あるいは外側枠がポールに摺動可能に係合していることとする。
【0072】
ズームレンズ鏡筒中のガイド手段の一方を金属体で形成されるポールで構成するため、内側枠あるいは外側枠のガイドを精度良く行うことができる。
【0073】
また、他の発明は、上述の発明に加え、内側枠と外側枠とはともに筒体から構成され、内側枠は、外側枠の内側でかつ内側枠の前後を外側枠に対して支持されて保持されることとする。
【0074】
ズームレンズ鏡筒をこのように構成することで、ズームレンズ鏡筒中の内側枠を外側枠に対し前後2箇所で支持することができるため、内側枠を外側枠に対し安定的に保持することができる。
【0075】
また、他の発明は、上述の発明に加え、カメラ装置に、上述のズームレンズ鏡筒を有することとする。このようにカメラ装置を構成することで、組立の際、調整用レンズが変位する前後で、調整用レンズの光軸が回転しないように調整用レンズを変位させることができるので、調整用レンズを変位させても、調整用レンズの光軸が他のレンズの光軸からずれてしまうことがなくなる。この結果、このズームレンズ鏡筒を組み込んだカメラ装置は、常に安定した品質のズーム撮影が可能となる。
【0076】
上述の課題を解決するため、ズームレンズ光学系と、ズームレンズ光学系からの被写体光を結像面に結像させる合焦光学系と、ズームレンズ光学系を構成しているレンズのなかの少なくとも1のレンズであって、焦点距離を変化するための変位とは独立して光軸方向に変位され、結像面での結像状態を変化させるための調整用レンズの光軸方向への変位位置を調整する調整用レンズ位置調整手段を備えるズームレンズ鏡筒において、調整用レンズ位置調整手段は、調整用レンズを保持する第1保持手段と、この第1保持手段を保持する第2保持手段と、第2保持手段の側に固定され、第1保持手段を第2保持手段に対して光軸方向に相対移動可能に支持するねじ軸と、ねじ軸にねじ結合するとともに、第1保持手段と、前後の方向で当接する部分を有するナットと、第1保持手段を第2保持手段に対し光軸方向に沿う方向への変位を許容するが、光軸周りへの回転を制限するガイド手段とを備えることとしている。
【0077】
ズームレンズ鏡筒をこのように構成することで、調整用レンズが変位する前後で、調整用レンズの光軸が回転しないように調整用レンズを変位させることができるので、調整用レンズを変位させても、調整用レンズの光軸が他のレンズの光軸からずれてしまうことがなくなる。
以上
【0078】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
【0079】
この実施の形態のズームレンズ鏡筒は、先に説明した従来のレンズ鏡筒1における第1群レンズ6のレンズ保持枠61に係る構成を除いて、そのレンズ鏡筒1と同様の構成となっている。そこで、従来技術と同様の構成部分については説明を省略することとし、調整用レンズとなる第1群レンズ6のレンズ保持枠(以下、第1群レンズ保持枠という)に係る構成のみを図を参照しながら説明していく。
【0080】
図1に第1の実施の形態を示す。図1に示される第1群レンズ保持枠101は、第1保持手段としての内側枠101Pと第2保持手段としての外側枠101Qとを有していて、内側枠101Pが外側枠101Qの枠内に嵌められている。この第1群レンズ保持枠101は、先述した従来のレンズ保持枠61に相当する部分となっている。
【0081】
内側枠101Pには、外周側に突出すると共に外周の全周に渡って形成されたフランジ部101Aが設けられている。また、外側枠101Qにも内周側に突出すると共に内周の全周に渡って形成されたフランジ部101Bが設けられている。このフランジ部101Aとフランジ部101Bは、内側枠101Pを外側枠101Qの枠内に嵌め入れたとき、第1群レンズ6の光軸が光軸Xに一致する状態で、内側枠101Pが外側枠101Qに支持されるように形成されている。さらに、フランジ部101Aとフランジ部101Bは、内側枠101Pを外側枠101Qに嵌め入れたとき、フランジ部101Aの外周縁面101A’の全面が外側枠101Qの内周面に沿って当接し、また、フランジ部101Bの内周縁面101B’の全面も内側枠101Pの外周面に沿って当接するように形成されている。さらに、フランジ部101Aは内側枠101Pの前側寄りに形成され、フランジ部101Bは内側枠101Pの後側寄り部分に当接するように外側枠101の略中央からわずかに後ろよりの位置に形成されている。
【0082】
したがって、内側枠101Pを外側枠101Qに対してがたを生ずることなく、しかも前後の2箇所で安定的に支持できるようになっている。
【0083】
さらに、フランジ部101Aとフランジ部101Bは、外周縁面101A’と内周縁面101B’がそれぞれ、外側枠101Qの内周面と内側枠101Pの外周面とできるだけ少ない面積で当接するように、比較的薄肉に形成されている。つまり、外周縁面101A’と内周縁面101B’が少ない面積で、外側枠101Qの内周面と内側枠101Pの外周面に当接するようにすることで、外周縁面101A’と内周縁面101B’の面精度が、第1群レンズ6の光軸と光軸Xとのずれ量に与える影響を小さくすることができる。この当接幅(薄肉の程度)について言えば、フランジ部101Aに関しては、対応するレンズ6L1が内側枠101Pに当接する幅に対して0.6から1.2倍といった略同一または若干小さな幅としてあり、フランジ部101Bに関しては、レンズ6L3の内側枠101Pに当接する幅に対して0.9から1.5倍といった略同一または若干大きな幅としてある。
【0084】
なお、図8で説明した従来技術においても、ねじ部61Sの前後に内側枠61Pと外側枠61Qにそれぞれフランジ部が形成されているが、図8に示される構成では、内側枠61Pは実質的にねじ部61Sにより外側枠61Qに支持されているものでる。これに対して、本実施の形態は、フランジ部101Aとフランジ部101Bにより内側枠101Pが外側枠101Qに対して支持されるものであり従来技術とは異なっている。
【0085】
フランジ部101Aとフランジ部101Bの間には、内側枠101Pの外周に螺旋状に巻かれて設けられた変位手段としての金属製のコイルスプリング102が、フランジ部101Aとフランジ部101Bが互いに対向する面101Amと面101Bmに反力を取るように配設されている。
【0086】
第1群レンズ保持枠101の前端には、略円輪体をした位置決め手段としての筒飾り103が備えられている。この筒飾り103は、外周縁103Aを外側枠101Qの前端縁に接着剤により固着することで外側枠101Qに取付けられてる。
【0087】
また、筒飾り103の背面側、つまり、レンズ6L1側のフランジ部101Aと対向する面には、後方に突出した枠押え部103Bが形成されている。筒飾り103を外側枠101Qの前端縁に取付けると、枠押え部103Bがフランジ部101Aの前面部に当接するようになっている。
【0088】
したがって、内側枠101Pは、コイルスプリング102の附勢力により枠押え部103Bの側に押圧されて、枠押え部103Bにより、前方向の位置を規定された状態で外側枠101Q内に保持されている。つまり、枠押え部103Bの肉厚Dにより、第1群レンズ6の前後方向の位置が決められることになる。
【0089】
本実施の形態においては、枠押え部103Bの肉厚Dが異なる数種の筒飾り103を予め用意しておき、これらを外側枠101Qに、例えば、手指で押さえて仮取り付けをしてみて、CCD9の撮像面での結像状態が一番よいものを選択し、外側枠101Qに接着剤で固着して取付ける。
【0090】
内側枠101Pの外周面には、光軸Xを挟む左右に光軸Xと平行な凹溝状のガイド溝101Cが形成されている。一方、外側枠101Qの内周面には、ガイド溝101Cに係合する光軸Xと平行な凸片状のガイド突起101C’が形成されている。そして、このガイド溝101Cとガイド突起101C’が、内側枠101Pの回転を阻止するガイド手段として機能し、内側枠101Pが、外側枠101Qに対して、前後へ変位するのを許容する一方で、光軸Xの周りに回動するのを防止している。
【0091】
以上のように、光軸Xに沿う方向の附勢力をコイルスプリング102により内側枠101Pに作用させ、この附勢された内側枠101Pを枠押え部103Bにより位置決めして、第1群レンズ6の前後方向の位置合わせをするようにしている。さらにこれに併せて、ガイド溝101Cとガイド突起101C’の係合により、内側枠101P、すなわち第1群レンズ6が光軸Xの周りに回転をすることなく、第1群レンズ6の前後の位置を調整することができる。
【0092】
ここで、上述のように構成される第1群レンズ保持枠101の組み立てについて簡単に説明する。先ず、スプリング102を外側枠101Qの内側に前方の開口部から入れる。次いで、内側枠101Pを、ガイド外側枠101Qの内側に前方の開口部から嵌め入れる。その際、内側枠101P側のガイド溝101Cが外側枠101Q側のガイド突起101C’に係合するように、内側枠101Pを外側枠Qの内側に嵌め入れる。このようにして外側枠Qに嵌め入れられた内側枠101Pは、フランジ部101Aと101Bにより外側枠Qに支持されている。また、フランジ部101Aとフランジ部101Bの間にはスプリング102が配設されることになる。その後、数種類用意してある筒飾り103を順次仮取り付けし、この数種類の筒飾り103の内で、CCD9の撮像面での結像状態が最良になるように第1群レンズ6を位置させることができる筒飾り103を外側枠101Qに固着して、組み立て作業を完了する。
【0093】
なお、弾性手段として、本実施の形態においては、金属製のコイルスプリング102を例示しているが、これを樹脂製としたり、コイルスプリング102の替わりに、例えば、筒状のゴムを利用したり、空気ばねなどを利用することが考えられる。また、位置決め手段についても、本実施の形態においては、外側枠101に筒飾り103を固着することを例示しているが、CCD9の撮像面における結像が適当な合焦状態になったときに、内側枠101Pを接着剤を用いて直接外側枠101Qに固着して位置決めすることも考えられる。また、両フランジ101A、101Bをそれぞれ全周に渡って設けるのではなく、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所等、間隔を空けて複数箇所のみ設けるようにしてもよい。
【0094】
ところで、上述した第1保持手段としての内側枠101Pと、第2保持手段としての外側枠101Qと、変位手段としてのコイルスプリング102、と位置決め手段としての筒飾り103と、ガイド手段としてのガイド溝101Cとガイド突起101C’とにより、調整用レンズ位置調整手段は構成されている。
【0095】
図2に第2の実施の形態を示す。
【0096】
第2の実施の形態に示される第1群レンズ枠201は、位置決め手段としての筒飾り203を第2保持手段としての外側枠201Qにねじ着により取付けるように構成したものである。なお、外側枠201Qと筒飾り203以外の構成については、第1の実施の形態と同様なので、同一符号を使用しその説明を省略する。
【0097】
筒飾り203と外側枠201Qの前端部とには、互いにねじ結合するねじ部203Sが形成されていて、筒飾り203は、このねじ部203Sにねじ結合されて、外側枠201Qに取付けられている。
【0098】
筒飾り203には、上記の第1の実施の形態における枠押え部103Bと同様の枠押え部203Aが形成されている。
【0099】
この筒飾り203を外側枠201Qに取付けると、枠押え部203Aに、コイルスプリング102により前方に附勢されている内側枠101Pのフランジ部101Aが当接し、筒飾り203は、内側枠101Pの前後方向の位置を規定する。すなわち、内側枠101Pに保持される第1群レンズ6の前後の位置が筒飾り203により決められる。本実施の形態では、筒飾り203のねじ部203Sへのねじ結合の量を調整することにより、第1群レンズ6の前後の位置が調整される。
【0100】
つまり、第1群レンズ6を前方に変位させるには、筒飾り203とねじ部203Sのねじ結合の量を少なくし、逆に、後方に変位させるにはねじ結合の量を多くすることにより、第1群レンズ6の前後の位置を調整する。
【0101】
本実施の形態によれば、第1群レンズ6が光軸Xの周りに回転することなく、第1群レンズ6の前後の位置を調整することができることに加えて、第1群レンズ6の調整位置は、筒飾り203のねじ部203Sへのねじ結合の量を変えることにより行うようにしているため、無段階に行うことができる。
【0102】
すなわち、上述の第1の実施の形態においては、予め用意された枠押え部103Bの肉厚Dの異なる数種類の筒飾り103の中から、合焦状態の比較的良いものを選択して取付けることとしているため、適当な肉厚Dの筒飾り103が用意されていない場合も考えられ、最適な合焦状態が得られない虞もあるが、本実施の形態においては、無段階で第1群レンズ6の位置を調整することができる。そして、調整が完了した状態で、筒飾り203と外側枠201Qとを接着剤で固着し、振動などにより筒飾り203が回転して、ねじ結合する量が変わり第1群レンズ6の前後の位置が変わってしまうことのないようにする。
【0103】
ここで、上述のように構成される第1群レンズ保持枠201の組み立てについて簡単に説明するが、筒飾り203の取り付けまでは前述した第1の実施の形態と同様であるので省略する。外側枠201Q内に、スプリング102と内側枠101Pとを組み入れた状態で、筒飾り203を外側枠201にねじ部203Sによりねじ結合する。そうして、筒飾り203を回転して筒飾り203のねじ部203Sへのねじ結合の量を変えることにより、CCD9の撮像面での結像状態が最良になるように、第1群レンズ6の前後の位置を調整できたところで、筒飾り203を外側枠201Qに接着剤で固定して組み立て作業を完了する。
【0104】
図3に第3の実施の形態を示す。
【0105】
第3の実施の形態は、第1保持手段としての内側枠301Pのフランジ部301Aと第2保持手段としての外側枠301Qのフランジ部301Bとの間に位置決め手段としてのスペーサ302を挟み、内側枠301Pの前後方向の位置をスペーサ302の厚さにより調整している。そして、内側枠301Pに対し、筒飾り303に備えられる変位手段としての金属製の板ばね303Aが内側枠301Pをスペーサ302の方向、つまり後方に変位させる力を作用させるようにしたものである。
【0106】
なお、本実施の形態において、第1の実施の形態と同様な構成部分については、同一符号を使用し、その説明を省略する。
【0107】
図3に示される第1群レンズ保持枠301は、第1保持手段となる内側枠301Pと第2保持手段となる外側枠301Qとを有して構成されていて、内側枠301Pは、外側枠301Qの内側に嵌め入れられたとき、内側枠301P側に形成されるフランジ部301Aと外側枠301Q側に形成されるフランジ部301Bとにより外側枠301Qに対して支持されるようになっている。また、内側枠301Pは、第1群レンズ6の光軸が光軸Xに一致する状態でフランジ部301Aとフランジ部301Bとにより外側枠301Qに対して支持されている。
【0108】
フランジ部301Aは、内側枠301Pの外周面に全周に渡ってそれぞれ設けられる大径部301A1と小径部301A2とから形成されていて、大径部301A1の外周縁面301A1’が、外側枠301Qの内周面に当接し、小径部301A2の外周縁面301A2’は外側枠301Qに当接しないようになっている。つまり、内側枠301Pは、フランジ部301Aの大径部301A1とフランジ部301Bとにより、外側枠301Qに対して支持されるようになっている。フランジ部301Bは、外側枠301Qの内周面に全周に渡って設けられている。
【0109】
フランジ部301Aの大径部301A1とフランジ部301Bは、内側枠301Pを外側枠301Qに嵌め入れたとき、大径部301A1の外周縁面301A1’の全面が外側枠301Qの内周面に沿って当接し、また、フランジ部301Bの内周縁面301B’の全面が内側枠301Pの外周面に沿って当接するように形成されている。そして、さらにこれに加えて、大径部301A1を内側枠301Pの前側寄りに形成し、フランジ部301Bを内側枠301Pの後側寄りに当接する位置に形成している。そのため、内側枠301Pを外側枠301Qに対してがたを生ずることなく、しかも前後の2箇所で安定的に支持できるようにしてている点については、上述の第1の実施の形態と同様である。
【0110】
また、大径部301A1の外周縁面301A1’とフランジ部301Bの内周縁面301B’が、それぞれ外側枠301Qの内周面と内側枠301Pの外周面にできるだけ少ない面積、すなわち前後の幅を小さくして当接するようにして、外周縁面301A1’と内周縁面301B’の面精度が、第1群レンズ6の光軸の光軸Xとのずれ量に与える影響を小さくしている点についても、上記の第1の実施の形態と同様である。なお、各当接面の幅と、レンズ6L1、6L3の内側枠301Pに対する当接面の幅との関係は、第1の実施の形態と同様となっている。
【0111】
フランジ部301Aの小径部301A2とフランジ部303Bとの間には、スペーサ302が配設される。スペーサ302は円輪体をしている。スペーサ302は、その円輪の孔部に、小径部301A2から後方に延びている内側枠301Pの筒体部分が通されていて、内側枠301Pに支持されている。
【0112】
筒体部にスペーサ302を支持した内側枠301Pを、スペーサ302が、フランジ部301Aの小径部301A2とフランジ部303Bとに接して挟持されるまで外側枠301Q内に嵌め入れると、内側枠301Pは外側枠301Qに対して、スペーサ302の厚さDsに応じて、前後方向への位置決めが行われることになる。
【0113】
本実施の形態においては、厚さDsの異なるスペーサ302を予め数種類用意しておき、これらを仮取り付けしてみて、CCD9の撮像面での結像状態が一番良いものを選択し、この選択したスペーサ302を装着して、筒飾り303を外側枠301Qに接着剤で固着して取付ける。なお、スペーサ302は、輪ゴムのような円輪状のものとしても良いが、間隔を空けて2箇所、3箇所等、複数箇所に所定幅をもって設置するようにしても良い。
【0114】
筒飾り303の後面側には、フランジ部301Aに当接し、内側枠301Pを後方に附勢する凹凸を有する波形をした円輪状の板ばね303Aが備えられていているため、内側枠301Pは、板ばね303Aの附勢力を受けてがたつくこと無く外側枠301Q内に保持されることとなる。
【0115】
本実施の形態によれば、スペーサ302の選択のみで位置調整を行うことができるため、位置調整作業が簡単である。なお、本実施の形態において、変位手段として板ばね303Aを例示しているが、例えば、弾性ゴムを筒飾り303とフランジ部301Aとの間に挟持し、この弾性ゴムにより内側枠301Pに対してスペーサー302の方向に変位する力を作用するようにしてもよい。また、両フランジ301A、301Bをそれぞれ全周に渡って設けるのではなく、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所等、間隔を空けて複数箇所のみ設けるようにしてもよい。
【0116】
ここで、上述のように構成される第1群レンズ保持枠301の組み立てについて簡単に説明する。先ず、数種類用意されているスペーサー302の内の1つを外側枠301Qの内側に前方の開口部から入れる。次いで、内側枠301Pを、外側枠301Qの内側に前方の開口部から嵌め入れる。その際、内側枠301P側のガイド溝101Cが外側枠301Q側のガイド突起101C’に係合するように、内側枠301Pを外側枠301Qの内側に嵌め入れる。このようにして外側枠301Qに嵌め入れられた内側枠301Pは、フランジ部301Aと301Bにより外側枠301Qに支持されている。また、フランジ部301Aとフランジ部301Bの間にはスペーサー302が配設されることになる。そうして、この後、同様の手順で、内側枠301Pと他のスペーサー302とを外側枠301Q内に組み入れる。そして、用意したスペーサー302の中で最もCCD9の撮像面での結像状態が最良になるように第1群レンズ6を位置させることができたスペーサー302を組み込んだ状態で、筒飾り303を外側枠301Qに接着剤で固着して取り付けし組み立て作業を完了する。
【0117】
図4に第4の実施の形態を示す。
【0118】
第4の実施の形態は、第1保持手段となる内側枠401P側に取付けられるナット402と、第2保持手段となる外側枠401Qの側に回動自在に取付けられるねじ軸403とのねじ結合の作用により、ナット402を前後に移動させ、この移動に内側枠401Pを追従させて前後に変位させるものである。
【0119】
以下の説明において、第1の実施の形態と同様の構成部分については、同一符号を使用しその説明を省略する。
【0120】
図4に示される第1群レンズ保持枠401は、第1保持手段としての内側枠401Pと第2保持手段としての外側枠401Qとを有していて、内側枠401Pが外側枠401Qの枠内に嵌め入れられている。
【0121】
内側枠401Pには、その外面の全周に渡ってフランジ部401A1が形成され、また、外側枠401Qにもその内面の全周に渡ってフランジ部401Bが形成されている。フランジ部401A1とフランジ部401Bは、内側枠401Pを外側枠401Qの枠内に嵌め入れられたとき、内側枠401Pが、第1群レンズ6の光軸が光軸Xに一致する状態で、外側枠401Qによって支持されるように形成されている。
【0122】
さらに、フランジ部401A1とフランジ部401Bは、内側枠401Pを外側枠401Qに嵌められたとき、フランジ部401A1の外周縁面401A1’の全面が外側枠401Qの内周面に沿って当接し、また、フランジ部401Bの内周縁面401B’の全面が内側枠401Pの外周面に沿って当接するように形成されている。さらに、フランジ部401A1は内側枠401Pの前側寄りに形成され、フランジ部401Bは内側枠401Pの後側寄りに当接する位置に形成されている。したがって、内側枠401Pを外側枠401Qに対してがたを生ずること無く、しかも前後の2箇所で安定的に支持するようにしている点については、上述の第1の実施の形態と同様である。
【0123】
さらに、フランジ部401A1とフランジ部401Bは、外周縁面401A1’と内周縁面401B’が、それぞれ外側枠401Qの内周面と内側枠401Pの外周面とできるだけ少ない面積で当接するように、比較的薄肉に形成されている。つまり、外周縁面401A1’と内周縁面401B’の面精度で、外側枠401Qの内周面と内側枠401Pの外周面に当接するようにすることで、外周縁面401A1’と内周縁面401B’の面精度が、第1群レンズ6の光軸の光軸Xとのずれ量に与える影響を小さくするようにする点についても、上記の第1の実施の形態と同様である。なお、各当接面の幅と、レンズ6L1、6L3の内側枠401Pに対する当接面の幅との関係は、第1の実施の形態と同様となっている。
【0124】
フランジ部401A1の後方には、ナット402が丁度挟まれて配設される間隔を開けて、フランジ部401A2が形成されている。このフランジ部401A2は、外側枠401Qの内周面に当接しないように形成されている。
【0125】
外側枠401Qのフランジ部401Bには、ねじ軸403とガイド手段としてのガイドポール404とが、光軸Xを挟んで互いに反対側の位置に、かつ光軸Xに平行に設けられている。
【0126】
ねじ軸403は、フランジ部401Bに対して円滑に回転できるようにフランジ部401Bを挿通していて、フランジ部401Bから抜け落ちないように、フランジ部401Bを挟むように2つの抜け止め用のワッシャ403’、403’が配置されている。ねじ軸403に取り付けられる抜け止め用のワッシャ部403’ 、403’は、ねじ軸403が、前後にがたつかず、かつ、スムーズに回転するのを妨げないように形成されている。
【0127】
ガイドポール404は、フランジ部401Bに固定的に植設されている。内側枠401Pのフランジ部401A1とフランジ部401A2には、ねじ軸403とガイドポール404がそれぞれ挿通する貫通孔401A1Hと貫通孔401A2Hが形成されている。
【0128】
内側枠401Pは、貫通孔401A1Hと貫通孔401A2Hに、ねじ軸403とガイドポール404がそれぞれ挿通された状態で、外側枠401Q内に嵌め入れられる。ねじ軸403とガイドポール404は、外側枠401Q内に嵌め入れられた内側枠401Pが、前後にスムーズに変位することができ、しかも、光軸Xの周りに内側枠401Pが回転することを防止するガイド手段としての機能を有する。
【0129】
また、ねじ軸403には、フランジ部401A1とフランジ部401A2の間に配設されるナット402がねじ結合している。このナット402は、ねじ軸403を回転させてもそれに釣られて回転してしまうことなく、また、前後方向にがたつくことのなくフランジ部401A1とフランジ部401A2の間に配設されている。具体的には、ナット402は正面から見た外形が四角形となっていて、ナット402の下側の側面が内側枠401Pに当接しているため、ナット402の回転が阻止される。また、ナット402の前後の面にはフランジ部401A1とフランジ部402A2が当接していて前後方向へのがたつきが阻止される。
【0130】
したがって、ねじ軸403を回転させると、ナット402とねじ軸403とのねじ結合による作用により、ナット402がねじ軸403に沿って前後に移動し、内側枠401Pはナット402の移動に追従して、前後に変位する。
【0131】
第1群レンズ6の位置調整に際しては、CCD9の撮像面での結像の合焦状態が最適になるように、ねじ軸403を回転させて、内側枠401Pを前後に変位させて位置決めを行う。そして、位置が決まったところで、内側枠401Pを外側枠401Qに対して接着剤などにより固着して調整位置がずれないようにする。筒飾り406は、その後、外側枠401Qの前端部に接着剤で固着する。なお、ねじ軸403を金属製とすれば、ねじピッチを細かくすることができ、精度の良い位置合わせをすることができる。
【0132】
ここで、上述のように構成される第1群レンズ保持枠401の組み立てについて簡単に説明する。先ず、ねじ軸403とガイドポール404がそれぞれ貫通孔401A2Hに挿通するようにして、内側枠401Pを外側枠401Q内に前方の開口部から内側に嵌め入れる。ねじ軸403がナット402まで貫通孔401A2Hに挿通されると、ねじ軸403がナット402に突き当りそれ以上挿通できない状態になる。このようになったら、ねじ軸403をナット402にねじ込まれる方向に回転し、ナット402を通り抜け、ねじ軸403とガイドポール404が貫通孔401A1Hに挿通するまでねじ軸403を回転し続ける。そうして、次に、CCD9の撮像面での合焦状態が最適になるように第1群レンズ6が位置するように、ねじ軸403を回転させて、内側枠401Pを前後に変位させる。CCD9の撮像面での合焦状態が最適な位置に内側枠401Pが変位された状態で、内側枠401Pを外側枠401Qに対して接着剤などで固着する。そして最後に筒飾り406を外側枠401Qに固着して組み立て作業を完了する。
【0133】
ところで、第1保持枠としての内側枠401Pと、第2保持枠としての外側枠401Qと、ねじ軸403と、ナット402と、ガイド手段としてのガイドポール404とにより、調整用レンズ位置調整手段は構成されている。
【0134】
図5に第5の実施の形態を示す。
【0135】
図5に示される実施の形態は、上述した第4の実施の形態がねじ軸403をナット402に対して回転させて、内側枠401Pを変位させるのに対し、ねじ軸501を非回転としナット502をねじ軸501の周りに回転させることで、内側枠401Pを変位させるようにしたものである。
【0136】
なお、以下に説明する本実施の形態においては、上述の第4の実施の形態と同様の構成部分については、同一符号を用い、その説明を省略することとする。
【0137】
上述の第4の実施の形態が、ねじ軸403をフランジ部401Bに回転自在に設けていたのに対し、本実施の形態では、ねじ軸501は、フランジ部401Bに固定的に植設されている。
【0138】
ガイドポール404については、第4の実施の形態と同様に、フランジ部401Bに固定的に植設されている。なお、ねじ軸501とガイドポール404は、第4の実施の形態と同様に光軸Xを挟んで反対側でかつ光軸Xに平行に設けられている。
【0139】
ナット502は、フランジ部401A1とフランジ部401A2との間にねじ軸501にねじ結合された状態で配設され、ねじ軸501のねじ溝に沿って回転できるようになっている。ナット502は磁性体で形成されていて、磁力を作用させると回転するようになっている。つまり、ナット502に磁力を作用させて回転させると、ねじ軸501に沿って前後に移動し、これに追従して内側枠401Pも前後に変位されることになる。
【0140】
ナット502は、フランジ部401A1とフランジ部401A2との間に、ナット502自体はスムーズに回転するが、内側枠401Pが前後にがたつくことのないように挟持されている。
【0141】
本実施の形態においては、調整用コイル504を用い、この調整用コイル504に通電して磁化させ、ナット502に磁力を作用させることで、ナット502を回転させる。そして、このナット502を前後に移動させて、内側枠401Pをナット502の移動に追従させて前後に変位させて、CCD9の撮像面での結像の合焦状態が最適になるように位置決めを行う。そうして、位置が決まったところで、内側枠401Pを外側枠401Qに対して接着剤などにより固着して調整位置がずれないようにする。なお、両フランジ401A、401Bをそれぞれ全周に渡って設けるのではなく、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所等、間隔を空けて複数箇所のみ設けるようにしてもよい。また、各当接面の幅と、レンズ6L1、6L3の内側枠401Pに対する当接面の幅との関係は、第1の実施の形態と同様となっている。
【0142】
ここで、上述のように構成される第1群レンズ保持枠401の組み立てについて簡単に説明する。先ず、ねじ軸501とガイドポール404がそれぞれ貫通孔401A2Hに挿通するようにして、内側枠401Pを外側枠401Q内に前方の開口部から内側に嵌め入れる。ねじ軸501がナット502まで貫通孔401A2Hに挿通されると、ねじ軸501がナット502に突き当りそれ以上挿通できない状態になる。このようになったら、ナット502をねじ軸501にねじ込まれる方向に回転し、ねじ軸501がナット502を通り抜け、ねじ軸501とガイドポール404が貫通孔401A1Hに挿通するまでナット502を回転し続ける。
【0143】
そうして、次に、CCD9の撮像面での合焦状態が最適になるように第1群レンズ6が位置するように、ナット502を回転させて、内側枠401Pを前後に変位させる。CCD9の撮像面での合焦状態が最適な位置に内側枠401Pが変位された状態で、内側枠401Pを外側枠401Qに対して接着剤などで固着する。そして最後に筒飾り406を外側枠401Qに固着して組み立て作業を完了する。なお、ナット502の回転は、調整用コイル504を治具として用い、調整用コイル504を通電して、ナット502に磁力を作用させることにより行う。
【0144】
図6に第6の実施の形態を示す。
【0145】
図6に示される第1群レンズ保持枠601は、第1保持枠となる内側枠601Pと、この内側枠601Pが嵌め入れられる第2保持枠となる外側枠601Qとを有して構成されている。
【0146】
内側枠601Pの前側寄りには、その外面の全周に渡ってフランジ部601Aが形成され、外側枠601Qには、嵌め入れられた内側枠601Pの後側寄りに位置するとともに、その内面の全周に渡るフランジ部601Bが形成されている。内側枠601Pが、フランジ部601Aとフランジ部601Bとにより、前後の2箇所で安定的に支持されている点、および、フランジ部601Aの外周縁面601A’の全面が外側枠601Qの内周面に当接し、また、フランジ部601Bの内周縁面601B’の全面が内側枠601Pの外周面に当接している点は、第1の実施の形態と同様である。したがって、内側枠601Pは、外側枠601Qによってがたを生ずること無くしかも安定的に支持されている。
【0147】
また、フランジ部601Aとフランジ部601Bは、外周縁面601A’と内周縁面601B’がそれぞれ、外側枠601Qの内周面と内側枠601Pの外周面と、できるだけ少ない面積で当接するように、比較的薄肉に形成されている点も、第1の実施の形態と同様である。したがって、外周縁面601A’と内周縁面601B’の面精度が第1群レンズ6の光軸の光軸Xとのずれ量に与える影響を小さくすることができる。なお、各当接面の幅と、レンズ6L1、6L3の内側枠601Pに対する当接面の幅との関係は、第1の実施の形態と同様となっている。
【0148】
外側枠601Qの内周面には、光軸Xを挟んで上下の位置に、前後に延設されるラック状の一定ピッチの係合部602が形成されている。
【0149】
内側枠601Pには、外側枠601Qの内周面に対し光軸Xと直交する方向に附勢力を有し、係合部602に係合する弾性爪603が形成されている。
【0150】
本実施の形態では、弾性爪603の係合部602との前後方向の係合位置を調整して、CCD9の撮像面での結像の合焦状態が良好となるように内側枠601Pの前後の位置決めを行う。
【0151】
内側枠601Pの外周面には、光軸Xを挟む左右に、光軸Xと平行な凹溝状のガイド溝601Cが形成され、また、外側601Qの内周面には、ガイド溝601Cに係合する凸片状のガイド突起601C’が形成されている。
【0152】
このガイド溝601Cとガイド突起601C’は、上述の第1の実施の形態でも説明したように、内側枠601Pが、外側枠601Qに対して、前後への変位を許容されながら、光軸Xの周りに回動するのを防止しているものである。
【0153】
本実施の形態においては、内側枠601Pを外側枠601Qに嵌め入れられるときには、ガイド溝601C’にガイド突起601C’を係合させ、ガイド突起601C’をガイド溝601C’に沿わせて、CCD9の撮像面での結像状態が良好になるところまで、弾性爪603と係合部602の係合力に抗して内側枠601Pを外側枠601Qに嵌め入れる。そして、内側枠601Pがこのように挿嵌されると、内側枠601Pは、係合部602に対して附勢されている弾性爪603と係合部602との係合により位置決めされる。
【0154】
その後、筒飾り604を外側枠601Qに取付け、第1保持枠601の前方からの見掛けをよくする。
【0155】
本実施の形態によれば、弾性爪603が係合部602に係合することにより、内側枠601Pの位置決めができるので、簡易に位置調整を行うことができる。
【0156】
図7に第7の実施の形態を示す。
【0157】
図7(A)に示される第1群レンズ保持枠701は、上述の各実施の形態で示したように内側枠と外側枠の2つの枠体から構成されているものと異なり、1つの枠体から構成されている。
【0158】
カムフォロア702は、第1群レンズ保持枠701に植設される植設ピン702Aとカム溝に係合するフォロア部702Bとを備えて構成されている。このカムフォロア702の植設ピン702Aとフォロア部702Bは互いに中心位置が異なるように形成されている。
【0159】
図7(A)に示されるように、フォロア部702Bが植設ピン702Aに対して前方にずれた状態で、植設ピン702Aを第1群レンズ保持枠701に植設したときと、図7(B)に示されるように、フォロア部702Bが植設ピン702Aに対して後方にずれた状態で、植設ピン702Aを第1群レンズ保持枠701に植設したときとで、組み立て後の第1群レンズ6が光軸方向に異なる位置となる。
【0160】
つまり、図7(A)のように、フォロア部702Bが植設ピン702Aに対して前方にずれた状態で、植設ピン702Aを第1群レンズ保持枠701に植設すると、第1群レンズ6が後方に変位する。逆に、図7(B)に示されるように、フォロア部702Bが植設ピン702Aに対して後方にずれた状態で、植設ピン702Aを第1群レンズ保持枠701に植設すると、第1群レンズ6が前方に変位する。
【0161】
すなわち、フォロア部702Bを植設ピン702Aに対して前方にずれるようにカムフォロア702を第1群レンズ保持枠701に植設すれば、第1群レンズ保持枠701は後方に変位し、逆に、フォロア部702Bを植設ピン702Aに対して後方にずれるようにカムフォロア702を第1群レンズ保持枠701に植設すれば、第1群レンズ保持枠701は前方に変位する。
【0162】
そして、フォロア部702Bを植設ピン702Aに対して前側に偏芯させたときと、後側に偏芯させたときとで、CCD9の撮像面での結像状態の良い方の向きで、カムフォロア702を第1群レンズ保持枠701に植設する。
【0163】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施が可能である。たとえば、撮像媒体としては、撮像素子CCD(電荷結合素子)が好ましいが、従来の光学フィルムを採用しても良い。また、本発明のズームレンズ鏡筒は、ズーム機能を有するカメラ装置に適用するのが最も好ましいが、双眼鏡など他の光学装置に適用しても良い。
【0164】
【発明の効果】
本発明のズームレンズ鏡筒及びカメラ装置によれば、調整用レンズが変位する前後で、調整用レンズの光軸が回転しないように調整用レンズを変位させることができるので、調整用レンズを変位させても、調整用レンズの光軸が他のレンズの光軸からずれてしまうことがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るズームレンズ鏡筒の第1の実施の形態を示す図で、(A)は要部側面断面図で、(B)は筒飾りを外した状態の正面図である。
【図2】本発明に係るズームレンズ鏡筒の第2の実施の形態を示す図で、(A)は要部側面断面図で、(B)は筒飾りを外した状態の正面図である。
【図3】本発明に係るズームレンズ鏡筒の第3の実施の形態を示す図で、(A)は要部側面断面図で、(B)は筒飾りを外した状態の正面図である。
【図4】本発明に係るズームレンズ鏡筒の第4の実施の形態を示す図で、(A)は要部側面断面図で、(B)は筒飾りを外した状態の正面図である。
【図5】本発明に係るズームレンズ鏡筒の第5の実施の形態を示す図で、(A)は要部側面断面図で、(B)は筒飾りを外し、調整用コイルを付加した状態の正面図である。
【図6】本発明に係るズームレンズ鏡筒の第6の実施の形態を示す図で、(A)は要部側面断面図で、(B)は筒飾りを外した状態の正面図である。
【図7】本発明に係るズームレンズ鏡筒の第7の実施の形態を示す図で、(A)は要部側面断面図とカムフォロアー部分の平面図で、(B)はカムフォロアー部分の他の例の断面図と平面図で、(C)は筒飾りを外した状態の正面図である。
【図8】従来のズームレンズ鏡筒を示す側面断面図である。
【符号の説明】
5 撮影レンズ
6 第1群レンズ(調整用レンズ)
7 第2群レンズ
8 第3群レンズ
101P 内側枠(第1保持手段)
101Q 外側枠(第2保持手段)
102 スプリング(変位手段)
103 筒飾り(位置決め手段)
101C ガイド溝
101C’ ガイド突起
Claims (7)
- ズームレンズ光学系と、上記ズームレンズ光学系からの被写体光を結像面に結像させる合焦光学系と、上記ズームレンズ光学系を構成しているレンズのなかの少なくとも1のレンズであって、焦点距離を変化させるための移動とは独立して光軸方向に変位され、結像面での結像状態を変化させるための調整用レンズの光軸方向への変位位置を調整する調整用レンズ位置調整手段を備えるズームレンズ鏡筒において、
上記調整用レンズ位置調整手段は、上記調整用レンズを保持する内側枠と、
上記内側枠に対し光軸に沿う方向へ附勢力を作用させる弾性手段と、
上記弾性手段による附勢力を受ける上記内側枠を内周側に光軸方向に変位可能に保持する外側枠と、
上記弾性手段の附勢力を受けて光軸に沿って前後方向に附勢される上記内側枠をその前後方向について位置決めする位置決め手段と、
上記内側枠を上記外側枠に対し光軸方向に沿う方向への変位を許容するが、光軸周りへの回転を制限するガイド手段と、
上記内側枠の外周側に突出して形成され上記内側枠を上記外側枠に対して支持する内側枠フランジ部と、
上記外側枠の内周側に突出して形成され上記内側枠を上記外側枠に対して支持する外側枠フランジ部と、
を備え、
上記弾性手段は、上記内側枠フランジ部と外側枠フランジ部との間、または上記内側枠フランジ部と上記位置決め手段との間に配設される、
ことを特徴とするズームレンズ鏡筒。 - 請求項1記載のズームレンズ鏡筒において、前記位置決め手段は、前記内側枠と前記外側枠とが光軸方向で互いに対面する間隙に配設されるスペーサであることを特徴とするズームレンズ鏡筒。
- 請求項1記載のズームレンズ鏡筒において、前記位置決め手段は、前記外側枠に固定されると共に前記内側枠の前面側に配置される筒飾りとしたことを特徴とするズームレンズ鏡筒。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項記載のズームレンズ鏡筒において、前記ガイド手段は、前記内側枠に形成される凸部と、前記外側枠に形成される前記凸部に係合する凹部、または、前記内側枠に形成される凹部と、前記外側枠に形成される前記凹部に係合する凸部であることを特徴とするズームレンズ鏡筒。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項記載のズームレンズ鏡筒において、前記ガイド手段の一部は、一端を前記内側枠あるいは前記外側枠の何れか一方に固定されている金属体で形成されるポールであって、このポールが固定されない側の前記内側枠あるいは前記外側枠が前記ポールに摺動可能に係合していることを特徴とするズームレンズ鏡筒。
- 請求項1から請求項5のいずれか1項記載のズームレンズ鏡筒において、前記内側枠と前記外側枠とはともに筒体から構成され、前記内側枠は、前記外側枠の内側でかつ前記内側枠の前後を前記外側枠に対して支持されて保持されることを特徴とするズームレンズ鏡筒。
- 請求項1から請求項6のいずれか1項記載のズームレンズ鏡筒を有していることを特徴とするカメラ装置。
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