JP4136390B2 - 化粧材 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は建材、家具などの表面材として使用される新規な化粧材に関するものであり、詳しくは優れた耐摩耗性を備え、耐汚染性、耐薬品性、耐摩耗性、払拭性、撥水性のほか、曲げ加工性、切断性等の加工性に優れる化粧材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、メラミン樹脂化粧板は特に耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性等の要求される場所、例えばカウンター、テーブル、キッチンカウンター等の用途に広く採用されている。該メラミン樹脂化粧板としてはメラミン樹脂が含浸された透明なオーバレイ紙、酸化チタンが混抄された隠蔽性のあるベース紙に印刷の施された化粧紙にメラミン樹脂が含浸されたパーターン紙並びにクラフト紙など厚い紙にフェノール樹脂を含浸されたコア紙の複数枚とを積層したのちホットプレスで熱圧成型したものが一般的に採用されている。
【0003】
斯かるメラミン樹脂化粧板は前記のような優れた表面性能を備える反面、表面が熱硬化性樹脂であり、架橋構造からなるため、例えば、新たな機能を附加することは難しい問題がある。また、硬質であるが故に曲げ加工性、切断性等の加工性に不足する課題が残されていた。
【0004】
一方、表面に未含浸紙に樹脂コートしたコート紙を配し、前記のようなコア紙を重ねて成型した化粧材は、樹脂コートの樹脂の選択性があり、樹脂タイプにより撥水性、撥油性、耐摩耗性、耐擦傷性などの表面性能を付与することができる。しかしコートした樹脂の浸透が必ずしも充分ではなく、紙間の補強効果が得られにくく紙間の強度が弱いために耐セロテープ性が弱い、硬度が低く傷がつきやすいなどの問題や、コア紙に含浸されている樹脂の色調が表面より目立つ等の問題が生じていた。
【0005】
また、テーブル、カウンターなど水平面での使用では、絶えず物品などの移動が繰り返されて摺れるため耐摩耗性に優れた化粧材が求められる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は斯かる状況に鑑みて、検討した結果為されたものであって、耐摩耗性に優れ、意匠性並びに多様な表面性能と加工性を備える化粧板を提供せんとするものである。
【0007】
本発明におけるコート紙とは坪量23〜100g/m2の化粧紙の表面に樹脂、例えばシリコン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリル・シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル・ウレタン系樹脂、ウレタン・シリコン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ビニルエステル樹脂等の樹脂に耐摩耗性付与材を配合した組成物が10g/m2以上、好ましくは10〜50g/m2塗布されたものが使用される。
【0008】
これらの中でも特に耐候性を確保したい場合にはアクリル系樹脂を使用することが好ましく、払拭性、耐撥水性、耐汚染性等の表面性能を付与するためにはシリコン系樹脂が選定される。また、表面層から紙間への浸透を良好にして紙層強度を特に高くしたい場合には、好ましくは樹脂の平均分子量を数百以下に設定するか、コート時には低分子量体で浸透後に反応するウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などのタイプの樹脂が好ましい。
【0009】
耐摩耗性を向上させるための耐摩耗性付与材として、平均粒子径が5〜100μmの高硬度の粒子、例えば、α−アルミナ、シリカ、酸化クロム、酸化鉄、ダイヤモンド、コランダム、窒化ケイ素、炭化硼素などがある。中でもα−アルミナは硬度が高く、耐摩耗性の付与効果が顕著であるため使用に適している。なお、樹脂との密着性、分散性などを向上するためにシランカップリング剤などで処理することがなされてもよい。粒子径のサイズが5μm以下では配合量によって配合物の粘度が高くなる傾向があり、好ましくない。100μm以上では配合物中での沈降性が高まり適さない。
【0010】
該コート紙の下に配置される樹脂含浸紙には坪量18〜25g/m2のセルロース紙などからなる薄葉紙が基材として使用される。坪量が18g/m2未満では薄すぎて強度が不足するため、樹脂含浸時に切断したり、取り扱い時に破れるなどの問題が多くなるため好ましくない。25g/m2を越えるとコスト高になり、性能上も不必要になるため適さない。
【0011】
該薄葉紙に対するメラミン樹脂の含浸率は200〜500重量%が適している。200重量%未満では樹脂量が不十分なため、成型時に表面のコート紙に対する樹脂の浸透が不十分になり好ましくない。500重量%を越えると該薄葉紙を補強させるには過剰な樹脂分となるため適さない。
【0012】
コア層の材質は従来のメラミン樹脂化粧板に採用されていたものが使用できる。具体的には坪量が80〜200g/m2未晒しクラフト紙に熱硬化性樹脂、例えばフェノール樹脂初期縮合物、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等を含浸させた樹脂含浸コア紙が使用できる。含浸率は40〜60重量%が適合している。40重量%未満では浸透している樹脂が不足するためコア層の層間強度が不十分になる懸念があり好ましくない。60重量%を越えると成型時に樹脂が外部に染み出したり、過剰品質になるため適合しない。
【0013】
以下、本発明について実施例、比較例により更に説明する。
【実施例】
実施例1
坪量30g/m2のグラビア印刷された薄葉紙にベースのシリコン変性アクリル樹脂の固形分に対して平均粒子径20μmのα−アルミナ5重量%をロールミルで均一に混合させた固形分60%の組成物が塗布レベルで30g/m2表面に塗布された化粧紙、坪量25g/m2のセルロース紙にメラミン樹脂を200重量%含浸させた含浸紙、坪量150g/m2の未晒しクラフト紙にフェノール樹脂をクラフト紙に対して60重量%含浸させた樹脂含浸コア紙5枚を積層させ、3ミリ厚のステンレス板の間に挿入し、140℃、50kg/cm2で30分間熱圧成形して実施例1の化粧板を得た。耐摩耗性など表面性能と曲げ性能は表1の通りであった。
【0014】
実施例2
実施例1と同一のグラビア印刷された薄葉紙にアクリル樹脂の固形分に対して実施例1で使用したα−アルミナを5重量%添加しロールミルで均一に混合した固形分60%の組成物が塗布レベルで30g/m2塗布された印刷紙に実施例1で採用したと同一の含浸紙、コアー紙5枚を積層し、実施例1と同一条件で熱圧成型して実施例2の化粧板を得た。
表面性能と曲げ性能は表1の通りであった。
【0015】
比較例1
実施例1においてシリコン変性アクリル樹脂が表面に塗布されていないグラビア印刷された薄葉紙を使用する以外は全て同一にして比較例1の化粧板を成型した。
表面性能と曲げ性能は表1の通りであった。
【0016】
比較例2
坪量30g/m2のセルロース紙にメラミン樹脂を300%含浸した含浸紙、坪量80g/m2の酸化チタンを混抄した印刷紙にメラミン樹脂を100重量%含浸したパターン紙、実施例1に使用したコア紙5枚を積層し、実施例1と同一条件で熱圧成型して比較例2の化粧板を得た。表面性能並びに曲げ性能は表1の通りであった。
【0017】
実施例、比較例の性能を以下の表に示す。
【表1】
【0018】
試験方法
耐汚染性;JISK6902の耐汚染性テストによる。
◎は汚染なし。〇は汚染材料が1%ヨウ素アルコール溶液、2%マーキュロクローム水溶液で汚染あり。△は汚染材料が1%ヨウ素アルコール溶液、2%マーキュロクローム水溶液、クレヨン、靴ずみで汚染あり。×は大分部の汚染材料について汚染あり。
耐撥水性;協和界面科学(株)の画像処理式3点クリック法の接触角計(型式CA−X)により測定した。測定原理/針先から液体試料を出して固体試料に触れさせ、液滴を作り、液滴の左端(L)と右端(R)並びに頂点(T)3点の座標を求める。L、R、Tの3点から液滴の直径(2r)と高さ(h)を求め、次の式より接触角θを算出する。
Tanθ=h/r →θ=2 Tan−1(h/r)
〇はθが71°以上、△は60〜70°、×は60°未満
【0019】
耐セロテープ性;事務用セロテープを空気を含まないように貼り、裏面を強く擦る。
テープを貼って15分以内に角度約45度で瞬間に引っ張り剥がす。剥離が認められない場合を合格○、外観に僅かでも異常がある場合は不合格×とする。
耐摩耗性;JISK6902に規定する耐摩耗性テストにより評価する。◎は790回以上、〇は500〜790回、△は500〜101回、×は100回以下
【0020】
耐熱性;JISK6902に規定する耐熱性試験による。◎は異常なし、〇は軽微な艶落ち、△は艶変化、色変化×は膨れ、顕著な変色
払拭性;油性ペンでコイル2巻(大きさ約2センチ*3センチ)を描き、5秒後にキムワイプで拭き取り、色残りがない場合を1回とする。同様に 繰り返し合格回数を測定する。◎は2回以上合格、〇は1回合格、△汚れの染み込みはないが、拭き取りにくい、×は汚れが染み込む。
【0021】
曲げ加工性;縦150ミリ、横300ミリの試験片の化粧面に加熱温度に応じたテンペラックを塗り、加熱支持台の上にのせ、60ミリ上方よりシーズヒーターにてテンペラックが溶けるまで加熱(温度160〜180℃)する。加熱した試験片をシーズヒーターから離し、外曲げ成型する。各曲げ半径を持つ半円柱体を頂部に持ち、該半円柱体の直径と同一の厚みを持つ板体と該半円柱体とが接続された凸状型と、該凸状型の板体の幅より幅が10ミリ広い凹部を持つ凹状型とからなる曲げ試験器を使用し、両型の内部に試験片の横方向を差し入れ、試験片を曲げテストする。◎は曲げ半径が3〜5ミリにおいて合格、〇は曲げ半径が6〜8ミリにおいて合格、△は曲げ半径が9〜12ミリにおいて合格、×は曲げ半径が13ミリ以上で合格
【0022】
【発明の効果】
本発明になる化粧材は表面に耐摩耗性付与剤が配合された樹脂が塗布されたコート紙と薄葉紙にメラミン樹脂が含浸された含浸紙と、クラフト紙等に熱硬化性樹脂の含浸されたコア紙とが成型一体化されたもので、優れた耐摩耗性を備えている。また、成型時に該樹脂含浸紙に含浸されているメラミン樹脂が該コート紙の裏面から表面層に向けて浸透し硬化しており、該コート紙の表面には塗布された樹脂表面に存在した状態で一体に成型されているため、成型された化粧材の表面層は塗布された樹脂とメラミン樹脂とが複合化された状態で補強されており、表面層が容易に剥離するなどの問題がない。
【0023】
更に表面は塗布された配合物の樹脂の特性、即ち撥水性、耐汚染性、撥油性などの表面性能が確保され、かつ従来のメラミン樹脂化粧板の欠点であつた曲げ加工性を大幅に向上させることが出来た。しかも、従来のメラミン樹脂化粧板の生産ではメラミン樹脂を含浸したオーバレイ紙、パターン紙並びにフェノール樹脂を含浸したコア紙を成型のために準備する必要があつたが、本発明の化粧材では、このオーバレイ紙の調製が不要になるため生産工程を合理化できるため生産性が大幅に向上できる。
Claims (1)
- シリコーン系及び/又はアクリル系樹脂に耐摩耗性付与材の配合された組成物が化粧紙の表面に塗布されたコート紙と、坪量18〜25g/m2の薄葉紙にメラミン樹脂が200〜500重量%含浸された樹脂含浸紙と、熱硬化性樹脂が含浸された樹脂含浸コア紙とが熱圧一体に成型され、コート紙の塗布組成物が薄葉紙に含浸されたメラミン樹脂で補強されることを特徴とする化粧板。
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