JP4135463B2 - キュメン法フェノールの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、キュメン法フェノールの製造方法において、キュメンを酸素酸化してキュメンハイドロパーオキシドとする装置から排気される供給時より酸素濃度の低下したガスを有効に利用する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
キュメン法フェノールの製造プロセスは、キュメンを酸素酸化してキュメンハイドロパーオキシドを含む反応液を生成させる酸化工程、得られた反応液から未反応のキュメンを分離して濃縮されたキュメンハイドロパーオキシドを取得する濃縮工程、キュメンハイドロパーオキシドを酸分解してフェノールとアセトンとを含む反応液を生成させる酸分解工程、及びこの反応液に精製処理を施して精製されたフェノール及びアセトンを取得する精製工程からなっている。代表的な精製工程では、酸分解工程の反応液を、先ず中和及び水洗して無機成分を除去し、次いで、反応液を蒸留して粗フェノールと粗アセトンとに分離する。粗フェノール及び粗アセトンは、それぞれ更に蒸留して精製されたフェノール及び精製されたアセトンに仕上げる。この間に抽出、その他の精製処理を行うこともある。したがって、キュメン法フェノールのプラントは、キュメンの酸化反応器、反応液中のキュメンハイドロパーオキシドの濃縮装置、キュメンハイドロパーオキシドの酸分解装置、及び酸分解反応液から精製されたフェノール及びアセトンを取得するための中和槽、水洗槽及び蒸留塔などを含む精製装置等から構成されている。また、これらの装置に加えて、プラント内には反応や精製の各段階での反応液や精製物などを一時的に貯蔵するための貯槽が多数設置されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
石油化学プラントの多くでは、貯槽の気相部にシールガスとして不活性ガス、通常は窒素ガスが供給されている。これは、空気が気相部に混入した場合の酸素、炭酸ガス、水分等による貯槽内貯蔵物の劣化や、気相部における爆発性ガスの形成を避けるためである。キュメン法フェノールのプラントも例外ではなく、プラント内ではキュメンから精製されたフェノール及びアセトンに至る全工程において、貯槽の気相部にシールガスとして不活性ガスが供給されている。その供給方法としては、貯槽の気相部に不活性ガスを常時流通させる方法や、気相部を不活性ガスで加圧状態に保ち、圧力が所定の値以下に低下したら不活性ガスを補給する方法が挙げられる。また、減圧蒸留塔その他の減圧装置の圧力調整にも、不活性ガスが用いられている。これらの用途に供するため、キュメン法フェノールのプラントでは、通常は不活性ガスとして窒素ガスを用いているが、これを他のより安価に入手し得るもので代替することが望まれている。本発明は、この要望に応えようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、キュメンの酸化反応器から排出される酸化反応器に導入した空気又は酸素濃度を調整した空気よりも酸素濃度が著しく低下したガスが、窒素ガスの代わりに貯槽や圧力調整装置に使用できることを見出し、本発明を完成させた。
【0005】
すなわち、本発明の要旨は、キュメン及び酸素と不活性ガスとを含む混合ガスを酸化反応器に供給し、キュメンを酸素酸化してキュメンハイドロパーオキシドを含む反応液を生成させる酸化工程、酸化工程で生成した反応液から未反応のキュメンを分離してキュメンハイドロパーオキシドを取得する濃縮工程、濃縮されたキュメンハイドロパーオキシドを酸分解してフェノールとアセトンとを含む反応液を生成させる酸分解工程、並びに酸分解工程で得られた反応液に多段階の蒸留を含む精製処理を施して、精製されたフェノールとアセトンとを取得する精製工程の各工程を含むキュメン法フェノールの製造方法において、酸化反応器から排出される酸素濃度の低下した混合ガスを、プロセス内で不活性ガスを必要とする装置に供給することを特徴とする方法に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
キュメンの酸化反応器に導入する酸素と不活性ガスとを含む混合ガスとしては、空気、及び酸素濃度を増加又は減少させた空気等が挙げられ、このうち、空気及び/又は酸素濃度を増加させた空気が好ましい。
【0007】
酸化反応器は、反応を1段階で行わせるものでも、2段階以上の多段階で行わせるものでもよい。後者の場合には、通常、各段階毎に酸素と不活性ガスとを含む混合ガスを追加供給する。
酸化反応は、酸化反応器にキュメン及び酸素と不活性ガスとを含む混合ガスを連続的に供給し、40〜120℃で、常圧下又は加圧下で行うのが好ましい。
【0008】
また、酸化反応は、塩基性化合物又はその水溶液の存在下に行ってもよい。塩基性化合物としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム及び水酸化カリウム等が挙げられる。塩基性化合物は、キュメン100重量部に対して、通常0.0001〜10.0重量部、好ましくは0.001〜5.0重量部で用いる。更に、少量のハイドロパーオキシド、又は遷移金属錯体等の触媒を存在させてもよい。
【0009】
酸化反応器からは、導入した混合ガスよりも低い酸素濃度で、飽和蒸気圧相当分のキュメンを含有したガスが排気される。キュメンと酸素含有ガスとの比率、反応温度及び滞留時間等を調節することにより、酸素濃度が、0.1〜8.0体積%以下のガスが排気されるように酸化反応を制御するのが好ましい。酸素濃度が0.1〜7体積%、特に0.1〜6体積%となるように制御するのが更に好ましい。
【0010】
本発明に係る製造方法では、上記方法の排気ガスをプロセス内において不活性ガスを必要とするところに不活性ガスの代わりとして用いる。その主要なものはプラント内の種々の貯槽や減圧装置などである。通常は酸化反応器から排出されるガスを熱交換機等により冷却してキュメンを凝縮させ、キュメン濃度を1000ppm以下に低下させた排気ガスを用いるのが好ましい。また、特開平4−334528号公報に記載されているように、排気ガスを更に酸化触媒と接触させて有機物を燃焼させてから用いてもよい。
【0011】
貯槽としては、原料のキュメンから製品のフェノール、アセトン及びα−メチルスチレンに至るまでのプロセス内の原料、反応生成物及び製品の貯槽が挙げられる。例えば、キュメン、キュメンハイドロパーオキシドの酸分解反応で得られた酸分解生成物を中和・水洗して得られる中和生成物、中和生成物から蒸留分離した粗フェノール及び粗アセトン、粗フェノール及び粗アセトンを分離した後の蒸留残留物、蒸留残留物の熱分解生成物、熱分解生成物から粗フェノール及び粗アセトン等を分離した後のキュメン及びα−メチルスチレンを含む混合物、並びに精製したフェノール、アセトン及びα−メチルスチレン等の貯槽が挙げられる。
【0012】
排気ガスは、貯槽の気相部に一定流量で流通させるか、又は常圧若しくは微加圧状態の貯槽が所定の圧力を保持するように供給する。このうち、常圧又は微加圧状態の貯槽に供給するのが好ましい。
減圧系の装置としては、濃縮系や精製系の装置が挙げられ、このうち蒸留塔が好ましい。
【0013】
蒸留塔としては、キュメンの酸化反応液からキュメンを回収するための蒸留塔、フェノール、アセトン及びα−メチルスチレンを精製するための蒸留塔などが挙げられる。
蒸留塔の圧力を調整する方法としては、減圧とする系内に一定流量で排気ガスを流通させると共に、対応する一定量の系内ガスを系外へ抜き出す方法や、減圧とする系内の圧力が低下したときに所定の圧力を保持するのに必要な量を系内に導入する方法等が挙げられる。
【0014】
なお、上述した排気ガスの利用方法は、ブタンから無水マレイン酸を製造する方法及びプロピレンからアクロレイン又はアクリル酸を製造する方法等の酸素酸化反応を用いた製造装置から排出されるガスにも適用できる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
1重量%のキュメンハイドロパーオキシドを含むキュメンを収容した酸化反応器に空気を流通させ、105℃で4時間酸素酸化反応を行った。
【0016】
この反応器から、供給した空気に対し82体積%のガスが排出された。このガスを熱交換機で1℃に冷却しキュメンを凝縮させて得られたガス(以下「オフガス」という。)は、組成が酸素3.0体積%、キュメン500体積ppmのものであった。
キュメンハイドロパーオキシドの濃縮装置にオフガスを圧力調整用として導入し、20kPa−A以下の圧力で蒸留してキュメンを留出させ、塔底からキュメンハイドロパーオキシド濃縮物を得た。
【0017】
このキュメンハイドロパーオキシド濃縮物を酸分解装置に供給し、オフガスを圧力調整用として導入し、100kPa−A以下の圧力で硫酸で分解する酸分解反応を行い、フェノール及びアセトンを含む酸分解混合物を得た。
この酸分解混合物に水酸化ナトリウム水溶液を混合して中和後、油水分離し、油層を貯槽に導入した。この貯槽の気相部には、オフガスをシールガスとして供給した。この油層をいくつかの蒸留塔を含む精製装置で精製し、フェノール、アセトン及びα−メチルスチレン並びにリサイクルキュメンをそれぞれ取得した。減圧蒸留塔の圧力調整用ガスとしては、オフガスを用いた。得られた各製品の品質は、不活性ガスとして窒素ガスを用いて製造したものと同程度であった。

Claims (4)

  1. キュメン及び酸素と不活性ガスとを含む混合ガスを酸化反応器に供給し、キュメンを酸素酸化してキュメンハイドロパーオキシドを含む反応液を生成させる酸化工程、酸化工程で生成した反応液から未反応のキュメンを分離してキュメンハイドロパーオキシドを取得する濃縮工程、濃縮されたキュメンハイドロパーオキシドを酸分解してフェノールとアセトンとを含む反応液を生成させる酸分解工程、並びに酸分解工程で得られた反応液に多段階の蒸留を含む精製処理を施して、精製されたフェノールとアセトンとを取得する精製工程の各工程を含むキュメン法フェノールの製造方法において、酸化反応器から排出される酸素濃度の低下した混合ガスを、プロセス内で不活性ガスを必要とする装置に供給することを特徴とする方法。
  2. 混合ガスが、空気又は酸素濃度を増加若しくは減少させた空気であり、酸化反応器から酸素濃度が、0.1〜8体積%のガスを排出させることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 酸素濃度の低下した混合ガスを、原料のキュメンから製品のフェノール、アセトン及びα−メチルスチレンに至るまでのプロセス内の原料、反応生成物及び製品の貯槽の少なくとも一つの気相部に供給することを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  4. 酸素濃度の低下した混合ガスを、プロセス内で減圧に維持されている少なくとも一つの装置の圧力調整用ガスとして用いることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
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