JP4134417B2 - 電界放出素子並びに電界放出型表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子源としての陰極をなす電界放出素子並びに該電界放出素子を用いた電界放出型表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は従来の電界放出型表示装置の構造の一例を示す断面図、図8は図7の電界放出型表示装置における電界放出素子(陰極)を示す平面図(D−D断面部分)、図9は従来の電界放出型表示装置の他の構造を示す断面図、図10は図9の電界放出型表示装置における電界放出素子(陰極)を示す平面図(E−E断面部分)である。
【0003】
電界放出型表示装置は、図7及び図9に示すように、絶縁材料からなる陰極基板101と、陰極基板101に所定の間隔をおいて対面する如く透光性を有したガラス等の絶縁材料からなる陽極基板110を有している。両基板101,110の外周部の間には、両基板101,110を所定の間隔をおいて固定し、且つ両基板101,110の間の空間を高真空状態に保持するために、封着用のシールガラス113(図10で示す)がある。
【0004】
陰極基板101の内面には、電子源としての陰極をなす電界放出素子(FEC,Field Emission Cathode)が形成されている。電界放出素子は、陰極基板101の内面に形成された陰極導体102と、陰極導体102の表面に形成された抵抗層103と、抵抗層103の表面に形成された絶縁層104と、絶縁層104の表面に形成されたゲート電極105と、ゲート電極105と絶縁層104に形成された多数のホール106と、ホール106内で抵抗層103の上に形成されたコーン形状のエミッタ107とを有している。
【0005】
図7及び図8で示す電界放出素子は、陰極導体102が複数のラインをなすストライプ状に形成されている。各ラインをなす陰極導体102は、所定の配置で矩形状の穴部108を複数有している。この矩形状の穴部108は、等間隔で配された九個で一画素をなす。抵抗層103は、陰極導体102の表面に対し、陰極導体102の各ラインに沿うライン形状をなし、前記矩形状の穴部108を埋める如く形成されている。絶縁層104は、抵抗層103の表面に形成されている。ゲート電極105は、陰極導体102の一画素をなす各穴部108の上に掛かるように形成されている。ホール106及びエミッタ107は、陰極導体102の各穴部108上に対し、複数(図8では四個)形成されている。なお、エミッタ107は、陰極導体102からの距離がそれぞれ等間隔で、同じ条件となるように配置されている。
【0006】
図9及び図10で示す他の構造の電界放出素子は、抵抗層103が、各陰極導体102の各ラインを跨ぐようにベタパターンで形成されている。絶縁層104とゲート電極105は、ベタパターンの抵抗層103の表面に形成されて、陰極導体102の上方において所定の配置で多数のホール106をなしており、該ホール106内にエミッタ107が形成されている。そして、ベタパターンとされた抵抗層103の上方(あるいは至近)であって、陰極基板101と陽極基板110との外周部の間となる部位には、上述のシールガラス113が設けられている。
【0007】
一方、図8及び図10に示すように、陽極基板110の内面には、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電膜からなる陽極導体111が形成されている。陽極導体111の表面には、蛍光体層112が被着されて陽極が構成されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した図8に示す従来の電界放出素子では、ストライプ状の陰極導体102の各ラインに沿って抵抗層103が設けられている。この抵抗層103には、例えばアモルファスシリコン,ポリシリコン,その他の半導体材料が用いられている。この種の半導体材料を用いた抵抗層103は、温度が下がると抵抗率が高くなるという温度特性をもっている。このため、このような抵抗層103を上記構成とした電界放出型表示装置では、設計時に設定した温度条件(例えば20℃)よりも温度が低い条件下(例えば0℃)では、電圧ドロップが生じ、ゲート電極105と陰極導体102間の電位差がとれなくなって発光しなくなるという問題があった。
【0009】
また、図8に示す如く抵抗層103が陰極導体102のラインに沿って設けられていると、この抵抗層103の上に形成されているエミッタ107が冷陰極であるため、動作時において高真空状態とされた雰囲気中に発生したガスがエミッタ107の表面に吸着し易く、電流寿命特性に劣化が生じるという問題もあった。
【0010】
また、図10に示す他の構造の電界放出素子では、ストライプ状に形成された各陰極導体102の各ラインを跨ぐようにベタパターンで抵抗層103を形成し、この抵抗層103の上方(あるいは至近)にシールガラス113が設けられている。このため、このような抵抗層103の構成をなす電界放出型表示装置では、陰極導体102に信号が入った時に生じる配線間の電位差によって抵抗層103が加熱する。また、シールガラス113と各基板101,110には熱膨張係数の差があるため、抵抗層103の加熱による急激な温度変化があると、シールガラス113や基板101,110にクラックが生じてしまうという問題があった。
【0011】
そこで本発明は、上記課題を解消するために、抵抗層のもつ温度特性に伴う未発光を防止するとともに、シールガラスや基板のクラックにつながる抵抗層の加熱を防止することができる電界放出素子並びに電界放出型表示装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明による請求項1に記載の電界放出素子は、陰極基板の内面に形成された複数の陰極導体と、前記陰極導体上に形成された抵抗層と、前記抵抗層上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極と前記絶縁層に対し前記抵抗層に達するように形成されたホールと、前記ホール内の前記抵抗層上に形成されたエミッタとを備えた電界放出素子において、
複数の前記陰極導体は、各々所定幅に形成されたラインパターンをなすとともに、各々独立した電圧が印加され、隣接する前記陰極導体に向かって互いに接続することなく延出された延出部を有し、
前記抵抗層は前記陰極導体を直接被覆しライン形状をなすとともに、前記延出部を覆うように複数の前記陰極導体間を一部連続して跨ぐ如く形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の電界放出素子は、陰極基板の内面に形成された陰極導体と、前記陰極導体上に形成された抵抗層と、前記抵抗層上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極と前記絶縁層に対し前記抵抗層に達するように形成されたホールと、前記ホール内の前記抵抗層上に形成されたエミッタとを備えた電界放出素子において、
前記陰極導体は長手状の共通配線を介し、その長手方向に沿って所定間隔で並設するように複数接続されたラインパターンをなし、
前記陰極基板の内面には、前記陰極導体の共通配線に略平行する如く長手状に形成されて、その長手方向と略直交して前記陰極導体の間に延出した複数の延端部をなす温度制御電極を有し、
前記抵抗層は、前記陰極導体及び前記温度制御電極上を直接覆う如くライン形状をなしていることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の電界放出素子は、請求項2に記載の電界放出素子において、前記エミッタが、前記陰極導体の上にある前記抵抗層上に形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の電界放出素子は、請求項2に記載の電界放出素子において、前記エミッタが、前記陰極導体の間を跨ぐ前記抵抗層上に形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明による請求項5に記載の電界放出型表示装置は、請求項1〜請求項4の何れかに記載の電界放出素子と、
前記陰極基板の内面と対面する内面に陽極導体を有し、且つ、該陽極導体上に蛍光体層を有して表示部をなす陽極基板と、
を備え、前記陰極基板と陽極基板の外周部を封着した内部を高真空雰囲気としたことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第一実施形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明による電界放出素子の第一実施形態を示す平面図、図2は同電界放出素子を用いた電界放出型表示装置の断面図(図1におけるA−A断面部分)である。
【0019】
第一実施形態における電界放出素子は、陰極基板1の内面に形成された陰極導体2と、陰極導体2上に形成された抵抗層3と、抵抗層3上に形成された絶縁層4と、絶縁層4上に形成されたゲート電極5と、ゲート電極5と絶縁層4に対して抵抗層3に達するように形成されたホール6と、ホール6内の抵抗層3上に形成されたエミッタ7とを備えている。
【0020】
陰極基板1は、略矩形状をなす絶縁材料の板体からなる。この陰極基板1の内面(後述する陽極基板と対向する面)に形成された陰極導体2は、所定間隔をおいて多数本のラインパターンが並ぶストライプ状に形成されている。陰極導体2の各ラインには、矩形状の穴部8が形成されている。穴部8は、本実施形態では等間隔で配された九個を一画素(単位領域)分としている。また、陰極導体2の各ライン間において、上記画素をなす部位には、互いに隣接する画素に向かって延出された延出部9が形成されている。
【0021】
抵抗層3は、陰極導体2の各穴部8を埋めるようにして陰極導体2の各ライン上に沿うライン形状をなしている。この抵抗層3は、陰極導体2の各ライン間で延出された延出部9上において、陰極導体2の各ラインにおける隣接する各画素間を跨ぐように一部連続して形成されている(図1中符号3a)。また、抵抗層3には、アモルファスシリコン,ポリシリコン,その他の半導体材料が用いられている。
【0022】
絶縁層4およびゲート電極5は、抵抗層3上に積層されている。また、ホール6は、ゲート電極5と絶縁層4にエッチングによって形成されている。このホール6は、陰極導体2の穴部8上において、平面視で穴部8内に等間隔となるように複数(本実施形態では四個)設けられている。エミッタ7は、コーン形状をなし、各ホール内の抵抗層3上にそれぞれ形成されている。
【0023】
また、上記電界放出素子を用いた電界放出型表示装置は、陰極基板1の内面と対面する陽極基板10を有している。この陽極基板10は、透光性を有し上記陰極基板1と略同形の絶縁材料からなる板体をなしている。陽極基板10の内面には、透光性を有するITO(Indium Tin Oxide)等の導電膜からなる陽極導体11が形成されている。陽極導体11の表面には、所定の厚さで蛍光体層12が被着されて発光部を構成している。
【0024】
陰極基板1と陽極基板10は、それぞれの内面を対面した状態で、所定間隔をおくように各外周部の間にシールガラス13を介在して封着した外囲器をなしている。この外囲器の内部は高真空状態に保持されている。
【0025】
上記電界放出型表示装置は、電界放出素子の選択された単位領域から放出される電子の射突を受けることにより、発光部が選択的に発光して陽極基板の外面側に任意の画像を表示させる。
【0026】
このような構成の電界放出素子では、各ライン間で一部連続して形成された抵抗層3aが、陰極導体2に信号が入った時に生じる配線間の電位差によって温められる。ゆえに、抵抗層3aがエミッタ7に対するヒータの代わりとなる。これにより、温度が下がると抵抗率が高くなる温度特性をもっているアモルファスシリコン等の半導体材料を抵抗層3(3a)に用い、設計時に設定した温度条件(例えば20℃)よりも温度が低い条件下(例えば0℃)であっても、抵抗率の変化が少なくなるため、電圧ドロップが生じることなく、ゲート電極5と陰極導体2間の電位差がとれるので発光させることが可能となる。
【0027】
また、上記の如く抵抗層3aがエミッタ7に対するヒータとなるため、抵抗層3が陰極導体2のラインに沿って設けられていても、エミッタの表面へのガスの吸着を低減し、電流寿命特性の劣化を抑えることが可能となる。
【0028】
また、陰極導体2における延出部9を設けたことにより、陰極導体2の各ラインの間隔(ギャップ)が変わるため、上記の如く抵抗層3aによって温められた熱を制限して必要な分の熱だけを得ることが可能となる。
【0029】
また、上記の如く抵抗層3をライン形状にパターニングしたことにより、シールガラス13部分にベタな状態で抵抗層3が存在することなく、必要な部分(画素部分)だけが加熱されるので、シールガラス13と各基板1,10の間に急激な温度変化がなく、シールガラス13や基板1,10にクラックが生じることがない。
【0030】
なお、上述した第一実施形態では、陰極導体2に穴部8を設け、この穴部8上となる抵抗層3上にエミッタ7を形成した構成であるが、陰極導体2に穴部8を設けずに、陰極導体2上となる抵抗層3上にエミッタ7を形成した構成であっても上記効果を得ることが可能である。
【0031】
以下、本発明の第二実施形態を図面を参照して具体的に説明する。
図3は本発明による電界放出素子の第二実施形態を示す平面図、図4は同電界放出素子を用いた電界放出型表示装置の断面図(図3におけるB−B断面部分)である。
【0032】
第二実施形態の電界放出素子は、略矩形状をなす絶縁材料の板体からなる陰極基板1の内面に形成された陰極導体2と、同じく陰極基板1の内面に形成された温度制御電極20と、陰極導体2及び温度制御電極20上に形成された抵抗層3と、抵抗層3上に形成された絶縁層4と、絶縁層4上に形成されたゲート電極5と、ゲート電極5と絶縁層4に対して抵抗層3に達するように形成されたホール6と、ホール6内の抵抗層3上に形成されたエミッタ7とを備えている。
【0033】
陰極導体2は、略矩形状をなし、所定間隔をおいて複数並設されている。並設された各陰極導体2の側部には、陰極導体2と共に陰極基板1の内面に形成され、各陰極導体2の並設された方向に長手状の共通配線2aが設けられている。各陰極導体2は共通配線2aにそれぞれ共通接続されている。共通配線2aに接続された各陰極導体2は、共通配線2aの長手方向に沿うラインパターンをなし、このラインパターンを陰極基板1上に複数並設している。また、矩形状の陰極導体2の略中央部分には、略矩形状の穴部8が形成されている。なお、上記各陰極導体2は一画素(単位領域)をなす。
【0034】
温度制御電極20は、陰極基板1上において上記陰極導体2の各ラインパターンの側部に沿ってそれぞれ設けられている。温度制御電極20は、共通配線2aに接続された各陰極導体2の両側に導出される延端部20aと、各延端部20aを接続する如く共通配線2aと平行する長手状の共通電極20bとからなり、いわゆる櫛歯状をなしている。ゆえに、一画素をなす各陰極導体2は、温度制御電極20の延端部20a及び共通電極20bによって、その周囲が略囲まれている。
【0035】
抵抗層3は、各陰極導体2の各穴部8を埋めるようにして共通配線2aを含む各陰極導体2のライン上及び、このラインに沿う温度制御電極20上を共に覆う如くライン形状をなしている。また、抵抗層3は、一画素分の陰極導体2を囲む温度制御電極20の延端部20aを含む一画素分の領域の間(隣接する延端部20a間)には形成されていない。また、抵抗層3には、アモルファスシリコン,ポリシリコン,その他の半導体材料が用いられている。
【0036】
絶縁層4およびゲート電極5は、抵抗層3上に積層されている。また、ホール6は、ゲート電極5と絶縁層4にエッチングによって形成されている。このホール6は、各陰極導体2の穴部8上において、平面視で穴部8内に等間隔となるように複数(本実施形態では四個)設けられている。エミッタ7は、コーン形状をなし、各ホール6内の抵抗層3上にそれぞれ形成されている。
【0037】
また、上記電界放出素子を用いた電界放出型表示装置は、陰極基板1の内面と対面する陽極基板10を有している。この陽極基板10は、透光性を有し上記陰極基板1と略同形の絶縁材料からなる板体をなしている。陽極基板10の内面には、透光性を有するITO(Indium Tin Oxide)等の導電膜からなる陽極導体11が形成されている。陽極導体11の表面には、所定の厚さで蛍光体層12が被着されて発光部を構成している。
【0038】
陰極基板1と陽極基板10は、それぞれの内面を対面した状態で、所定間隔をおくように各外周部の間にシールガラス(図3中不図示)を介在して封着した外囲器をなしている。この外囲器の内部は高真空状態に保持されている。
【0039】
上記電界放出型表示装置は、電界放出素子の選択された単位領域から放出される電子の射突を受けることにより、発光部が選択的に発光して陽極基板の外面側に任意の画像を表示させる。この際、温度制御電極20にも同時に電位が印加される。
【0040】
このような構成の電界放出素子では、陰極導体2を囲む如く温度制御電極20を設けたことにより、陰極導体2の電位に対して所望の電位差を保持することが可能となり、各々異なる電位が印加される陰極導体2のラインの抵抗層3の発熱部分の温度が制御できる。これにより、アモルファスシリコン等の半導体材料を抵抗層3に用い、設計時に設定した温度条件(例えば20℃)よりも温度が低い条件下(例えば0℃)であっても、ゲート電極5と陰極導体2間の電位差がとれるので発光させることが可能となる。
【0041】
また、上記の如く温度制御電極20を設けたため、抵抗層3が陰極導体2のラインに沿って設けられていても、エミッタの表面へのガスの吸着を低減し、電流寿命特性の劣化を抑えることが可能となる。
【0042】
また、上記の如く抵抗層3をライン形状にパターニングしたことにより、シールガラス部分にベタな状態で抵抗層3が存在することなく、必要な部分(画素部分)だけが加熱されるので、シールガラスと各基板1,10の間に急激な温度変化がなく、シールガラスや基板1,10にクラックが生じることがない。
【0043】
なお、上述した第二実施形態では、陰極導体2に穴部8を設け、この穴部8上となる抵抗層3上にエミッタ7を形成した構成であるが、陰極導体2に穴部8を設けずに、陰極導体2上となる抵抗層3上にエミッタ7を形成した構成であっても上記効果を得ることが可能である。
【0044】
以下、本発明の第三実施形態を図面を参照して具体的に説明する。
図5は本発明による電界放出素子の第三実施形態を示す平面図、図6は同電界放出素子を用いた電界放出型表示装置の断面図(図5におけるC−C断面部分)である。
【0045】
第三実施形態の電界放出素子は、略矩形状をなす絶縁材料の板体からなる陰極基板1の内面に形成された陰極導体2と、同じく陰極基板1の内面に形成された温度制御電極20と、陰極導体2及び温度制御電極20上に形成された抵抗層3と、抵抗層3上に形成された絶縁層4と、絶縁層4上に形成されたゲート電極5と、ゲート電極5と絶縁層4に対して抵抗層3に達するように形成されたホール6と、ホール6内の抵抗層3上に形成されたエミッタ7とを備えている。
【0046】
陰極導体2は、長手状の共通配線2aに共通接続されるように、共通配線2aの長手方向に所定間隔をおいて略鉛直方向に導出された、いわゆる櫛歯形状をなしている。陰極導体2は、共通配線2aの長手方向に沿うラインパターンをなし、このラインパターンを陰極基板1上に複数並設している。また、陰極導体2の共通配線2aから導出された部位は、幅の異なる形状をなし、太幅形状の間に細幅形状を有した構成とされている。
【0047】
温度制御電極20は、陰極基板1上において上記陰極導体2の各ラインパターンの側部に沿ってそれぞれ設けられている。温度制御電極20は、共通配線2aに共通接続された陰極導体2間に導出される延端部20aと、各延端部20aを接続する如く共通配線2aと平行する長手状の共通電極20bとからなり、いわゆる櫛歯形状をなしている。ゆえに、陰極電極2の櫛歯形状と、温度制御電極20の櫛歯形状は、互いに開口する端部を向き合うよう配されている。
【0048】
抵抗層3は、陰極導体2のライン上及び、このラインに沿う温度制御電極20上を共に覆う如くライン形状をなしている。この抵抗層3には、アモルファスシリコン,ポリシリコン,その他の半導体材料が用いられている。
【0049】
絶縁層4およびゲート電極5は、抵抗層3上に積層されている。また、ホール6は、ゲート電極5と絶縁層4にエッチングによって形成されている。このホール6は、図5に示すように、陰極導体2及び温度制御電極20の上に掛かることなく、陰極導体2の共通配線2aと、温度制御電極20の共通電極20bの間であって、且つ、太幅形状の陰極導体2間において、陰極導体2の周縁から平面視で等間隔となるように複数(本実施形態では84個)設けられている。エミッタ7は、コーン形状をなし、各ホール6内の抵抗層3上にそれぞれ形成されている。
【0050】
また、上記電界放出素子を用いた電界放出型表示装置は、陰極基板1の内面と対面する陽極基板10を有している。この陽極基板10は、透光性を有し上記陰極基板1と略同形の絶縁材料からなる板体をなしている。陽極基板10の内面には、透光性を有するITO(Indium Tin Oxide)等の導電膜からなる陽極導体11が形成されている。陽極導体11の表面には、所定の厚さで蛍光体層12が被着されて発光部を構成している。
【0051】
陰極基板1と陽極基板10は、それぞれの内面を対面した状態で、所定間隔をおくように各外周部の間にシールガラス(図5中不図示)を介在して封着した外囲器をなしている。この外囲器の内部は高真空状態に保持されている。
【0052】
上記電界放出型表示装置は、電界放出素子の選択された単位領域から放出される電子の射突を受けることにより、発光部が選択的に発光して陽極基板の外面側に任意の画像を表示させる。この際、温度制御電極20にも同時に電位が印加される。
【0053】
このような構成の電界放出素子では、陰極導体2を囲む如く温度制御電極20を設けたことにより、陰極導体2の電位に対して所望の電位差を保持することが可能となり、各々異なる電位が印加される陰極導体2のラインの抵抗層3の発熱部分の温度が制御できる。特に、本実施形態では、上述した第一実施形態および第二実施形態と異なり、エミッタ7直下の抵抗層3が発熱する構成であるため、エミッタ7への加熱効率がよい。
これにより、アモルファスシリコン等の半導体材料を抵抗層3に用い、設計時に設定した温度条件(例えば20℃)よりも温度が低い条件下(例えば0℃)であっても、ゲート電極5と陰極導体2間の電位差がとれるので発光させることが可能となる。
【0054】
また、上記の如く温度制御電極20を設けたため、抵抗層3が陰極導体2のラインに沿って設けられていても、エミッタの表面へのガスの吸着を低減し、電流寿命特性の劣化を抑えることが可能となる。
【0055】
また、上記の如く抵抗層3をライン形状にパターニングしたことにより、シールガラス部分にベタな状態で抵抗層3が存在することなく、必要な部分(画素部分)だけが加熱されるので、シールガラスと各基板1,10の間に急激な温度変化がなく、シールガラスや基板1,10にクラックが生じることがない。
【0056】
なお、上述した第一乃至第三実施形態ではエミッタ7がコーン形状であるスピント形の電界放出素子を採用しているが、エッチングによって形成した縦型電界放出エミッタでもよく、また方向性に優れていれば、平面形電界放出エミッタでもよい。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による電界放出素子は、複数のラインパターンをなす陰極導体上に、抵抗層をライン形状をなすように形成するとともに、該抵抗層を陰極導体の各ライン間の所定箇所を跨ぐ如く形成したことにより、各ライン間の所定箇所を跨ぐ抵抗層が陰極導体に信号が入った時に生じる配線間の電位差によって温められてエミッタに対するヒータの代わりとなる。これにより、抵抗層にアモルファスシリコン等の半導体材料を用いた場合でも、設計時に設定した温度条件温度が低い条件下であっても、抵抗率の変化が少なくなる。ゆえに、この電界放出素子を電界放出型表示装置に用いた場合には、電圧ドロップが生じることなく、ゲート電極と陰極導体間の電位差がとれるので十分な発光状態を得ることができる。
【0058】
また、抵抗層をライン形状にパターニングしたことにより、各基板間を封着するシールガラス部分にベタな抵抗層が存在しないので、必要な部分(画素部分)だけの加熱が実施され、シールガラスと各基板間に急激な温度変化がなくなり、シールガラスや基板へのクラックを防止することができる。
【0059】
また、抵抗層がエミッタに対するヒータとなるため、エミッタの表面へのガスの吸着を低減し、電流寿命特性の劣化を抑えることができる。
【0060】
また、陰極導体に対し、該陰極導体の各ライン間を跨ぐ抵抗層下にて接続することなく延出された延出部を備えたことにより、陰極導体の各ラインの間隔(ギャップ)が変わるので、上記の如く抵抗層によって温められた熱を制限して必要な分の熱だけを得ることができる。
【0061】
また、その他の構成の電界放出素子として、陰極導体を長手状の共通配線を介して長手方向に沿って所定間隔で並設するように複数接続されたラインパターンとし、陰極基板の内面において、共通配線と平行して長手状とされ、陰極導体の間に延出した複数の延端部をなす温度制御電極を設け、これら陰極導体及び前記温度制御電極上に沿うライン形状の抵抗層をなしても、上記効果を同様に得ることができる。
【0062】
また、温度制御電極を設けた電界放出素子において、特にエミッタを陰極導体の間を跨ぐ抵抗層上に形成すれば、エミッタ直下の抵抗層が発熱するため、エミッタへの加熱効率がよくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電界放出素子の第一実施形態を示す平面図。
【図2】図1の電界放出素子を用いた電界放出型表示装置の断面図(図1におけるA−A断面部分)。
【図3】本発明による電界放出素子の第二実施形態を示す平面図。
【図4】図3の電界放出素子を用いた電界放出型表示装置の断面図(図3におけるB−B断面部分)。
【図5】本発明による電界放出素子の第三実施形態を示す平面図。
【図6】図5の電界放出素子を用いた電界放出型表示装置の断面図(図5におけるC−C断面部分)。
【図7】従来の電界放出型表示装置の構造の一例を示す断面図。
【図8】図7の電界放出型表示装置における電界放出素子を示す平面図(D−D断面部分)。
【図9】従来の電界放出型表示装置の他の構造を示す断面図、
【図10】図9の電界放出型表示装置における電界放出素子を示す平面図(E−E断面部分)。
【符号の説明】
1…陰極基板、2…陰極導体、2a…共通配線、3,3a…抵抗層、4…絶縁層、5…ゲート電極、6…ホール、7…エミッタ、9…延出部、10…陽極基板、11…陽極導体、12…蛍光体層、20…温度制御電極、20a…延端部。
Claims (5)
- 陰極基板の内面に形成された複数の陰極導体と、前記陰極導体上に形成された抵抗層と、前記抵抗層上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極と前記絶縁層に対し前記抵抗層に達するように形成されたホールと、前記ホール内の前記抵抗層上に形成されたエミッタとを備えた電界放出素子において、
複数の前記陰極導体は、各々所定幅に形成されたラインパターンをなすとともに、各々独立した電圧が印加され、隣接する前記陰極導体に向かって互いに接続することなく延出された延出部を有し、
前記抵抗層は前記陰極導体を直接被覆しライン形状をなすとともに、前記延出部を覆うように複数の前記陰極導体間を一部連続して跨ぐ如く形成されていることを特徴とする電界放出素子。 - 陰極基板の内面に形成された陰極導体と、前記陰極導体上に形成された抵抗層と、前記抵抗層上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極と前記絶縁層に対し前記抵抗層に達するように形成されたホールと、前記ホール内の前記抵抗層上に形成されたエミッタとを備えた電界放出素子において、
前記陰極導体は長手状の共通配線を介し、その長手方向に沿って所定間隔で並設するように複数接続されたラインパターンをなし、
前記陰極基板の内面には、前記陰極導体の共通配線に略平行する如く長手状に形成されて、その長手方向と略直交して前記陰極導体の間に延出した複数の延端部をなす温度制御電極を有し、
前記抵抗層は、前記陰極導体及び前記温度制御電極上を直接覆う如くライン形状をなしていることを特徴とする電界放出素子。 - 前記エミッタが、前記陰極導体の上にある前記抵抗層上に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電界放出素子。
- 前記エミッタが、前記陰極導体の間を跨ぐ前記抵抗層上に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電界放出素子。
- 請求項1〜請求項4の何れかに記載の電界放出素子と、
前記陰極基板の内面と対面する内面に陽極導体を有し、且つ、該陽極導体上に蛍光体層を有して表示部をなす陽極基板と、
を備え、前記陰極基板と陽極基板の外周部を封着した内部を高真空雰囲気としたことを特徴とする電界放出型表示装置。
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