以下、本発明の洗剤供給装置の実施の形態について説明する。
まず、本実施形態の洗剤供給装置の配置について説明する。図1に、本実施形態の洗剤供給装置の配置図を示す。なお、以後説明に用いる各図においては、キッチンの意匠パネルからキッチン内部に向かう方向を、後ろから前に向かう方向と定義している。また、後方から前方を見た場合を基準に、左右方向を定義している。
図に示すように、食器洗浄機90は、キッチン9の意匠パネル93に対して後方に引き出し可能である。すなわち、食器洗浄機90は、いわゆるビルトイン引出しタイプである。食器洗浄機90の洗浄槽91は、上方に開口する箱状を呈している。洗浄槽91の底壁上面には、食器かご94が固定されている。食器かご94には、皿やコップなどの食器95が載置されている。洗剤供給装置1は、洗浄槽91の後壁92に埋設されている。後壁92は、本発明の立壁に含まれる。洗剤供給装置1と食器95との間のスペースは、比較的狭小である。
次に、本実施形態の洗剤供給装置の前面側(洗浄槽91槽内側)の構成について説明する。図2に、本実施形態の洗剤供給装置の前面側の合体斜視図を示す。図3に、同洗剤供給装置の前面側の分解斜視図を示す。図に示すように、洗剤供給装置1の前面側には、基板20とパッキン200とスクリュー201と洗剤補充口211と洗剤補充蓋212と洗剤供給口213と洗剤供給ダンパ214とリンス補充口221とリンス補充蓋222とリンス供給口223とが配置されている。洗剤供給ダンパ214は、本発明の洗剤供給蓋に含まれる。
基板20は、樹脂製であって矩形板状を呈している。基板20の前面は、洗浄槽91の後壁92に開設された矩形枠920から、槽内に表出している。基板20の外縁には、スクリュー座202が合計八つ配置されている。また、基板20と後壁92との間には、ゴム製であって矩形枠状のパッキン200が介装されている。後壁92を貫通したスクリュー201がスクリュー座202に螺着されることにより、パッキン200を介して基板20が後壁92後面に固定されている。
洗剤補充口211は、基板20上部に開設されている。洗剤補充口211は、上向きであって上下方向に曲がる弧枠状を呈している。洗剤補充口211には、操作者により洗剤が補充される。洗剤補充蓋212は、樹脂製であって弧板状を呈している。洗剤補充蓋212は、洗剤補充口211を開閉可能に覆っている。洗剤補充蓋212は、手動により、あるいは後述する駆動部材により、揺動可能である。
洗剤供給口213は、洗剤補充口211の下方に開設されている。洗剤供給口213は、矩形枠状を呈している。洗剤供給ダンパ214は、樹脂製であって矩形板状を呈している。洗剤供給ダンパ214は、洗剤供給口213を開閉可能に仕切っている。洗剤供給ダンパ214は、後述する駆動部材により揺動可能である。
リンス補充口221は、洗剤補充口211の左側に並んで開設されている。リンス補充口221は、上向きであって円形を呈している。リンス補充蓋222は、樹脂製であって、上面にグリップ222aを持つ円板状を呈している。グリップ222aの中央には、樹脂製であって透明な導光柱体222bが組み込まれている。導光柱体222bは、リンス補充蓋222を上下方向に貫通している。リンス補充蓋222は、リンス補充口211に対し、脱着可能に捻り固定されている。
リンス供給口223は、洗剤供給口213の下方に配置されている。リンス供給口223は、矩形小枠状を呈している。
次に、本実施形態の洗剤供給装置の後面側(前出図1の意匠パネル93側)の構成について説明する。図4に、本実施形態の洗剤供給装置の後面側の合体後面図を示す。図5に、同洗剤供給装置の後面側の右側面図を示す。図6に、同洗剤供給装置の後面側の洗剤タンク側の分解斜視図を示す。図7に、同洗剤供給装置の後面側のリンスタンク側の分解斜視図を示す。なお、洗浄槽の後壁は、省略して示す。
これらの図に示すように、洗剤供給装置1の後面側には、基板20と洗剤タンク本体210とリンスタンク本体220とリンス供給弁224と縦リンク部3と横リンク部4と縦リンク付勢ばね5と駆動部材6とが配置されている。縦リンク付勢ばね5は、本発明の縦リンク付勢部材に含まれる。
洗剤タンク本体210は、樹脂製であって凹状を呈している。洗剤タンク本体210は、ゴム製のパッキン(図略)を介して、基板20のタンク枠205に伏設されている。洗剤タンク本体210は、基板20に、スクリュー(図略)により螺着されている。洗剤タンク本体210の内部には、前記洗剤補充蓋212と洗剤供給ダンパ214とが配置されている。洗剤補充蓋212の左右壁には、それぞれ補充蓋側揺動凹部212aが凹設されている。洗剤供給ダンパ214の左右壁には、それぞれ供給ダンパ側揺動凹部214aが凹設されている。
洗剤タンク本体210の右壁上部には、縦第一揺動孔210aが穿設されている。また、左壁上部からは、タンク内に向かって、縦第一揺動突起210dが突設されている。縦第一揺動孔210aと縦第一揺動突起210dと補充蓋側揺動凹部212aとは、同軸上に配置されている。また、洗剤タンク本体210の右壁下部には、縦第二揺動孔210bが穿設されている。左壁下部からは、タンク内に向かって、縦第二揺動突起210eが突設されている。縦第二揺動孔210bと縦第二揺動突起210eと供給ダンパ側揺動凹部214aとは、同軸上に配置されている。また、縦第二揺動孔210bの上方には、当接座210fが突設されている。また、洗剤タンク本体210の座壁からは、後方に向かって座壁ボス210cが突設されている。
洗剤タンク本体210と洗剤補充口211と洗剤補充蓋212と洗剤供給口213と洗剤供給ダンパ214とにより、洗剤タンク21が構成されている。
リンスタンク本体220は、透明な樹脂製であって凹状を呈している。リンスタンク本体220は、基板20のリンス枠206に伏設されている。リンスタンク本体220は、基板20後面に接合されている。リンスタンク本体220は、洗剤タンク本体210の左縁から下縁に亘って延びるL字状を呈している。
リンス供給弁224は、リンスタンク本体220のL字端に配置されている。リンス供給弁224は、弁座224aと弁体224bと弁体付勢ばね224cと押さえ部材224dとを備えている。弁座224aは、被係合枠224hを有する。弁座224aは、リンスタンク本体220に固定されている。弁体224bは、シール板224fとシャフト224eとを備えている。シール板224fは、ゴム製であって円板状を呈している。シャフト224eは、樹脂製であって左右方向に延びる細板状を呈している。シール板224fは、シャフト224eの左先端に固定されている。シャフト224eの右先端には、切り欠き状のフック224gが形成されている。弁体付勢ばね224cは、シャフト224eに環装されている。押さえ部材224dは、樹脂製であって左側に開口する有底円筒状を呈している。押さえ部材224dの外周面には、係合爪224iが配置されている。係合爪224iが前記被係合枠224hに係止された状態で、押さえ部材224dは弁座224aに固定されている。また、押さえ部材224dと弁座224aとにより区画されるスペースには、弁体付勢ばね224cが乾燥された弁体224bが収容されている。また、押さえ部材224dの右底壁には、シャフト貫通孔224jが穿設されている。前記シャフト224eのフック224gは、このシャフト貫通孔224jから、外部に突出している。弁体付勢ばね224cは、シール板224fと押さえ部材224dとの間で、圧縮されている。言い換えると、弁体付勢ばね224cは、シール板224fを弁座224aの方向に付勢している。
リンスタンク本体220の後壁上部からは、後方に向かってLED座220aが突設されている。LED座220aには、LED220bが装着されている。また、リンスタンク本体220の内部には、下壁ボス220eを介して、釘状のフロート支持部材220dが挿入されている。フロート支持部材220dには、リング状のフロート220cが環装されている。フロート220cは、リンス液面のレベルに応じて浮沈する。フロート220cを介して、液面センサ(図略)は、リンスタンク本体220内のリンス液面を検知する。リンス液面が所定レベル以下になると、液面センサからの指示により、LED220bが点灯する。前述したように、リンスタンク本体220は透明である。また、前出図2に示すように、リンス補充蓋222には、透明な導光柱体222bが組み込まれている。このため、LED220bの点灯は、リンスタンク本体220、導光柱体222bを介して、操作者に視認される。
リンスタンク本体220とリンス補充口221とリンス補充蓋222とリンス供給口223とリンス供給弁224とにより、リンスタンク22が構成されている。また、基板20と洗剤タンク21とリンスタンク22とにより、基部2が構成されている。
駆動部材6は、ケース64と往復駆動突起60と突起付勢ばね61と押さえリング62と釘部63とを備えている。ケース64は、金属製であって直方体箱状を呈している。ケース64は、前記洗剤タンク本体210の後壁に、スクリュー(図略)により、螺着されている。往復動突起60は、金属製であって円柱状を呈している。往復動突起60は、ケース64の右壁を貫通して配置されている。往復動突起60は、ケース64に収容されたソレノイドコイル(図略)の電磁力により、左方向(ケース64接近方向)にスライド可能である。押さえリング62は、金属製であって往復動突起60右先端に止着されている。突起付勢ばね61は、往復動突起60に環装されている。突起付勢ばね61は、押さえリンク62とケース64右壁との間で圧縮されている。すなわち突起付勢ばね61は、往復動突起60を右方向(ケース64離間方向)に付勢している。
縦リンク部3は、縦第一アーム30と縦第二アーム31とを備えている。縦第一アーム30は、樹脂製であって、縦第一ボス300と内側扇板301と外側扇板302とガイドリブ303とを備えている。縦第一ボス300は、左右に延びる円筒状を呈している。縦第一ボス300は、前記縦第一揺動孔210a、補充蓋側揺動凹部212aと、同軸上に配置されている。縦第一ボス300と補充蓋側揺動凹部212aとがスクリュー304により螺着され、縦第一アーム30は洗剤補充蓋212に固定されている。すなわち、縦第一アーム30および洗剤補充蓋212は、縦第一揺動軸x1を中心に、言い換えると上下前後に展開される面方向(以下、「上下前後面方向」と称す)に揺動可能である。ガイドリブ303は、部分螺旋状であって縦第一ボス300の外周面に突設されている。内側扇板301は、ガイド枠301aを有している。内側扇板301は、縦第一ボス300の右端に配置されている。外側扇板302は、扇縁302aを有している。外側扇板302は、内側扇板301の右側に配置されている。
縦第二アーム31は、樹脂製であって、縦第二ボス310とL字板311と内側突起312と縦係合部313と外側突起314と押圧突起315とを備えている。縦第二ボス310は、左右に延びる円筒状を呈している。縦第二ボス310は、前記縦第二揺動孔210b、供給ダンパ側揺動凹部214aと、同軸上に配置されている。縦第二ボス310と供給ダンパ側揺動凹部214aとがスクリュー316により螺着され、縦第二アーム31は洗剤供給ダンパ214に固定されている。すなわち、縦第二アーム31および洗剤供給ダンパ214は、縦第二揺動軸x2を中心に、言い換えると上下前後面方向に揺動可能である。L字板311は、縦第二ボス310外周面から上方に突設されている。L字板311の上端には、縦係合部313が配置されている。また、L字板311の上端右壁からは、内側突起312が突設されている。L字板311の根本からは、右側に向かって外側突起314が突設されている。押圧突起315は、縦第二ボス310下縁から前方に突設されている。押圧突起315は、左右方向に対向して合計二つ配置されている。
縦リンク付勢ばね5は、縦第二ボス310の外周面に環装されている。縦リンク付勢ばね5の一端は、洗剤タンク本体210の右壁の縦第二揺動孔210b付近に止着されている。一方、縦リンク付勢ばね5の他端は、縦第二ボス310に止着されている。縦リンク付勢ばね5は、縦第二アーム31を、洗剤供給ダンパ214が開く方向(図中前から下に回る方向)に付勢している。
横リンク部4は、横第一アーム40と横第二アーム41と横リンク付勢ばね42とを備えている。横リンク付勢ばね42は、本発明の横リンク付勢部材に含まれる。横第一アーム40は、樹脂製であって、横第一ボス400と横第一アーム本体402と係止リブ403と合体用凸部404と縦第二用受け座405とを備えている。横第一ボス400は、前後方向に延びる円筒状を呈している。横第一ボス400は、前記座壁ボス210cの内周側に配置されている。横第一ボス400は、座壁ボス210cと同軸上に配置されている。横第一アーム本体402は、横第一ボス400の後端から、下方に向かって延設されている。横第一アーム本体402の下部は、後方に屈曲する段状を呈している。係止リブ403は、段内部に配置されている。合体用凸部404は、直方体状を呈している。合体用凸部404は、横第一ボス400の後端上縁に配置されている。縦第二用受け座405は、上面が弧状の直方体状を呈している。縦第二用受け座405は、横第一ボス400の後端左右縁に対向して合計二つ配置されている。
横第二アーム41は、樹脂製であって、横第二ボス410と横第二アーム本体412と釘部用U字枠413と合体用孔414と被ガイド突起415と横係合部416とを備えている。横第二ボス410は、前後方向に延びる円筒状を呈している。横第二ボス410は、前記横第一ボス400の内周側に挿入されている。横第二ボス410は、前記座壁ボス210cおよび横第一ボス400と同軸上に配置されている。また、スクリュー43は、横第二ボス410および横第一ボス400を貫通して、座壁ボス210cに螺着されている。したがって、横第二アーム41および横第一アーム40は、横揺動軸yを中心に、言い換えると上下左右に展開される面方向に揺動可能である。ここで、横揺動軸yと、前記縦第一揺動軸x1および縦第二揺動軸x2とは、直交している。したがって、横第一アーム40および横第二アーム41の揺動方向と、縦第一アーム30および縦第二アーム31の揺動方向とは直交している。横第二アーム本体412は、横第二ボス410の後端から、上方に向かって延設されている。横第二アーム本体412の上部は、後方に屈曲する段状を呈している。上部後面には、横係合部416が配置されている。また、上部左側には、釘部用U字枠413が配置されている。また、上部前面からは、鉛筆状の被ガイド突起415が突設されている。合体用孔414は、矩形枠状を呈している。合体用孔414は、横第二ボス410の後端上縁に、前記合体用凸部404と対向して配置されている。
横リンク付勢ばね42は、横第一ボス400に環装されている。横リンク付勢ばね42は、前記座壁ボス210cの前底壁と横第一アーム本体402との間において、圧縮されている。したがって、横リンク付勢ばね42は、横第一アーム40を横第二アーム41方向に付勢している。
次に、本実施形態の洗剤供給装置のリンク機構について説明する。図8に、本実施形態の洗剤供給装置の縦リンク部、横リンク部付近の拡大斜視図を示す。図9に、同洗剤供給装置の縦リンク部、横リンク部付近の拡大分解斜視図を示す。なお、図9において、洗剤タンク本体210は省略して示す。また、これらの図に示すのは、後述する手動開閉モードの状態である。
これらの図に示すように、手動開閉モードにおいては、駆動部材6の釘部63は、横第二アーム41の釘部用U字枠413に係止されている。横第二アーム41の横係合部416の後方には、縦リンク付勢ばね5に付勢され、縦第二アーム31の縦係合部313が圧接している。つまり、縦第二アーム31は、縦リンクばね5の付勢力が蓄積された状態で、横第二アーム41により押さえつけられている。横第二アーム41の被ガイド突起415は、縦第一アーム30のガイドリブ303に当接している。横第二アーム41の合体用孔414は、合体用凸部404と、所定間隔離間して、前後方向に対向している。
縦第二アーム31の内側突起312は、縦第一アーム30の内側扇板301のガイド枠301a内に、挿入されている。これに対し、縦第二アーム31の外側突起314は、縦第一アーム30の外側扇板302の扇縁302aに、当接している。縦第二アーム31の押圧突起315は、横第一アーム40の縦第二用受け座405に当接している。つまり、横第一アーム40は、横リンク付勢ばね42により、横第二アーム41方向および縦第二アーム31方向に付勢された状態で、縦第二アーム31により押さえつけられている。また、縦第二アーム31は、前述したように横第二アーム41により押さえつけられている。したがって、横第二アーム41により、縦リンク付勢ばね5および横リンク付勢ばね42の付勢力が、共に蓄積されている。横第一アーム40の係止リブ403は、リンス供給弁224のフック224gと係合している。
次に、本実施形態の洗剤供給装置の動きについて、食器洗浄機の工程と対応させながら説明する。表1に、食器洗浄機の工程と洗剤供給装置の動きとの対応表を示す。
表に示すように、食器洗浄機の工程は、食器収容工程、予備洗浄工程、本洗浄工程、リンス工程、すすぎ工程、乾燥工程、食器回収工程の順に行われる。洗剤供給装置のモードには、手動開閉モードとメイン洗剤モードとリンスモードと手動復帰モードとサブ洗剤モードとがある。メイン洗剤モードおよびサブ洗剤モードは、それぞれ本発明の洗剤モードに含まれる。
各モードにより、洗剤補充蓋は、蓋が完全に閉まる全閉位置と、蓋が完全に開く全開位置と、蓋が全閉位置と全開位置との中間で止まる半開位置とに切り替わる。同様に、各モードにより、洗剤供給ダンパは、全閉位置と全開位置とに切り替わる。また、リンス供給弁は、リンスモードにおいて、まず全閉位置から全開位置に切り替わり、次いで全開位置から全閉位置に切り替わる。以下、食器洗浄機の各工程ごとに具体的に説明する。
食器収容工程においては、前出図1に示すように、まず、操作者が食器洗浄機90の洗浄槽91を引き出す。洗浄槽91は、キッチン9の意匠パネル93から、後方(室内)に突出する。次いで、操作者は、食器かご94に食器95を並べる。それから、操作者は、手動で前出図2に示す洗剤補充蓋212を開ける。すなわち、本工程においては、洗剤供給装置1は手動開閉モードにある。
図10に、本実施形態の洗剤供給装置の縦リンク部および横リンク部の模式右側面分解図を示す。また、図11に、同洗剤供給装置の手動開閉モード(全閉位置)における透過右側面図を示す。(a)は、縦リンク部および横リンク部の透過右側面図である。(b)は、洗剤タンク本体内の透過右側面図である。なお、説明の便宜のため、図10に示すように、各部材はデフォルメして模式的に示す。
図11に示すように、操作者が洗剤補充蓋212を全閉位置から開けると、洗剤補充蓋212と縦第一揺動軸x1により連結された縦第一アーム30も、図中時計回りに揺動する。ガイド枠301aの一端には、全閉位置決め絞り部301bが配置されている。全閉位置においては、全閉位置決め絞り部301bと縦第二アーム31の内側突起312とが干渉している。この干渉により、全閉位置の位置決めが行われている。洗剤補充蓋212を開ける際には、相対的に、内側突起312が全閉位置決め絞り部301bを乗り越える。乗り越えた内側突起312がガイド枠301aの他端まで移動すると、洗剤補充蓋212は、全開位置に切り替わる。
図12に、本実施形態の洗剤供給装置の手動開閉モード(全開位置)における透過右側面図を示す。(a)は、縦リンク部および横リンク部の透過右側面図である。(b)は、洗剤タンク本体内の透過右側面図である。
洗剤補充蓋212を開けた操作者は、図に示すように、洗剤タンク本体210に洗剤を補充する。また、前出図2に示す導光柱体222bが点灯していれば、操作者は、手動でリンス補充蓋222を開け、リンスも補充する。そして、再び、洗剤補充蓋212を前出図11に示す全閉位置まで揺動させる。つまり、手動開閉モードにおいては、前出表1に示すように、洗剤補充蓋212は、全閉→全開→再び全閉の順に切り替えられる。
洗剤補充蓋212を閉めた操作者は、前出図1に示すように、洗浄槽91をキッチン9内に押し込む。そして、意匠パネル93に区画された操作部(図略)のスタートボタンを押す。これにより、食器洗浄が開始される。
予備洗浄工程においては、水または温水により、食器の洗浄が行われる。本工程においては、洗剤供給装置は作動しない。
本洗浄工程においては、前出表1に示すように、メイン洗剤モードとサブ洗剤モードとが択一的に行われる。すなわち、前記手動開閉モードにおいて、洗剤補充後の洗剤補充蓋212が全閉位置まで閉められた場合は、メイン洗剤モードが行われる。一方、洗剤補充後の洗剤補充蓋212が全開位置のままの場合(つまり操作者が閉め忘れた場合)は、サブ洗剤モードが行われる。ここでは、メイン洗剤モードについて説明する。サブ洗剤モードについては後述する。
図13に、本実施形態の洗剤供給装置の縦リンク部および横リンク部のメイン洗剤モード(全閉位置)における後面図を示す。図14に、同縦リンク部および横リンク部のメイン洗剤モード(開き中)における後面図を示す。図15に、同縦リンク部および横リンク部のメイン洗剤モード(半開位置)における後面図を示す。図16に、縦第二アームと横第二アームとの係合状態の模式図を示す。図17に、本実施形態の洗剤供給装置のメイン洗剤モード(半開位置)における透過右側面図を示す。(a)は、縦リンク部および横リンク部の透過右側面図である。(b)は、洗剤タンク本体内の透過右側面図である。なお、図16(a)は、図13のA視図である。また、図16(b)は、図14のB視図である。また、図16(c)は、図15のC視図である。
前出図11に示す全閉位置においては、図16(a)、あるいは図13中実線ハッチングで示すように、横第二アーム41の横係合部416の後面に、縦第二アーム31の縦係合部313が、圧接している。この状態で、駆動部材6のソレノイドコイルが通電されると、図13および図16(a)に示すように、往復駆動突起60がケース内に没入する。ここで、往復動突起60と一体の釘部63は、横第二アーム41の釘部用U字枠413に係止されている。このため、横第二アーム41は、横揺動軸yを中心に、図13中において反時計回りに揺動する。したがって、横係合部416は、縦係合部313に対して、左方向にスライドする。そして、図14および図16(b)に示すように、横係合部416から縦係合部313が解放される。図16(b)において、縦係合部313つまり縦第二アーム31は、縦リンク付勢ばね5により、前方に付勢されている。このため、縦第二アーム31は、図17(a)に示すように、縦第二揺動軸x2を中心に、図中時計回りに揺動する。縦第二アーム31と洗剤供給ダンパ214とは、縦第二揺動軸x2により連結されている。したがって、図17(b)に示すように、洗剤供給ダンパ214も図中時計回りに揺動し、全閉位置から全開位置に切り替わる。
一方、図14に点線ハッチングで示すように、スライドする横第二アーム41の被ガイド突起415は、縦第一アーム30のガイドリブ303に摺接している。このため、被ガイド突起415が左方向にスライドすると、ガイドリブ303は上方に押し上げられる。この押し上げがきっかけとなり、縦第一アーム30の揺動が始まる。図17(a)に示すように、縦第一アーム30の外側扇板302の扇縁302aには、縦第二アーム31の外側突起314が摺接している。この摺接を介して、縦第二アーム31の揺動力が縦第一アーム30に伝達される。このため、縦第一アーム30は、縦第一揺動軸x1を中心に、図17中時計回りに揺動する。縦第一アーム30と洗剤補充蓋212とは、縦第一揺動軸x1により連結されている。このため、図17(b)に示すように、洗剤補充蓋212も図中時計回りに揺動し、全閉位置から半開位置に切り替わる。この揺動は、縦第二アーム31の半開位置決め突起317が、前出図10に示す洗剤タンク本体210の当接座210fに当接することで、終了する。すなわち、縦リンク付勢ばね5により付勢されている半開位置決め突起317が、当接座210fに当接することで、洗剤補充蓋212は半開位置に保持される。図17(b)に示すように、半開位置の洗剤補充蓋212から給水され、全開位置の洗剤供給ダンパ214から排水されることにより、洗剤タンク本体210内の洗剤は、固着することなく、食器洗浄機の洗浄槽内に供給される。
また、図17(a)に示すように、縦第二アーム31の押圧突起315が図中時計回りに揺動することで、横リンク付勢ばね42の付勢力により、横第一アーム40が後方に移動する。このため、横第一アーム40の合体用凸部404が、横第二アーム41の合体用孔414に挿入係止される。すなわち、横第一アーム40と横第二アーム41とが合体する。
また、図16(c)に示すように、横係合部416から縦係合部313が解放されると、駆動部材6に対する通電が断たれる。このため、往復動突起60および釘部63は、突起付勢ばね61の付勢力により右方向に復元する。したがって、横第二アーム41も図16(a)の位置まで復動する。
以上説明したように、本モードにおいては、洗剤補充蓋212が全閉位置から半開位置に切り替わる。また、洗剤供給ダンパ214が全閉位置から全開位置に切り替わる。また、横第一アーム40と横第二アーム41とが合体する。
リンス工程においては、前出表1に示すように、リンスモードに切り替えられる。図18に、本実施形態の洗剤供給装置の縦リンク部および横リンク部のリンスモード(全開位置)における後面図を示す。図に示すように、本モードにおいては、再び通電された駆動部材6が駆動する。前述のメイン洗剤モード同様に、駆動部材6の釘部63に引っ張られて、横第二アーム41は、左方向に揺動する。ここで、横第一アーム40と横第二アーム41とは合体している。このため、横第一アーム40および横第二アーム41は、横揺動軸yを中心に、反時計回りに一体揺動する。したがって、横第一アーム40下端の係止リブ403は、右方向に揺動する。係止リブ403は、リンス供給弁のフック224gに係合している。係止リブ403に引っ張られて、フック224gつまり前出図7に示す弁体224bも右方向にスライドする。このため、シール板224fが、弁体付勢ばね224cの付勢力に抗して、弁座224aから離座する。このシール板224fと弁座224aとの隙間を介して、リンスタンク本体220内のリンスが前出図2に示すリンス供給口223から洗浄槽内に供給される。駆動部材6への通電が遮断されると、前述のメイン洗剤モード同様に、横第二アーム41は、右方向に揺動し復帰する。このため、横第一アーム40は左方向に揺動する。そして、弁体224bは弁体付勢ばね224cの付勢力により左方向にスライドし、シール板224fが弁座224aに再び着座する。
このように、本モードにおいては、まず、駆動部材6の電磁力により、リンス供給弁224が全閉位置から全開位置に切り替わる。次いで、弁体付勢ばね224cの付勢力により、リンス供給弁224が全開位置から再び全閉位置に切り替わる。
すすぎ工程においては、リンス洗浄後の食器が水または温水によりすすがれる。乾燥工程においては、すすがれた食器が温風により乾燥される。これら両工程においては、洗剤供給装置は作動しない。所定時間乾燥後、食器洗浄機は自動的に停止する。
食器回収工程においては、乾燥後の食器の回収が行われる。すなわち、前出図1に示すように、まず、操作者が食器洗浄機90の洗浄槽91を後方に引き出す。次いで、操作者は、食器かご94から食器95を回収する。それから、操作者は、手動で前出図2に示す洗剤補充蓋212を開ける。本工程においては、洗剤供給装置1は手動復帰モードにある。
図19に、本実施形態の洗剤供給装置の手動復帰モード(半開位置)における透過右側面図を示す。(a)は、縦リンク部および横リンク部の透過右側面図である。(b)は、洗剤タンク本体内の透過右側面図である。図20に、同洗剤供給装置の手動復帰モード(開き中)における透過右側面図を示す。(a)は、縦リンク部および横リンク部の透過右側面図である。(b)は、洗剤タンク本体内の透過右側面図である。
図19に示すように、操作者が洗剤補充蓋212を半開位置から開けると、洗剤補充蓋212と縦第一揺動軸x1により連結された縦第一アーム30も、図中時計回りに揺動する。縦第一アーム30が所定角度揺動すると、図20(a)に示すように、縦第一アーム30の内側扇板301の復帰用スロープ301cが、縦第二アーム31の内側突起312に当接する。
図21に、同洗剤供給装置の手動復帰モード(洗剤供給ダンパ閉じ中)における透過右側面図を示す。(a)は、縦リンク部および横リンク部の透過右側面図である。(b)は、洗剤タンク本体内の透過右側面図である。復帰用スロープ301cが内側突起312に当接すると、縦第二アーム31は、図中反時計回りに揺動する。このため、縦第二アーム31と縦第二揺動軸x2により連結された洗剤供給ダンパ214も、図21(b)に示すように反時計回りに揺動する。
ここで、縦第二アーム31は、図中時計回りに、縦リンク付勢ばね5により付勢されている。したがって、操作者は、縦リンク付勢ばね5の付勢力に抗しながら、洗剤供給蓋212を開けることになる。また、縦第二アーム31の押圧突起315は、横第一アーム40の縦第二用受け座405に当接している。このため、操作者が縦第二アーム31を揺動させると、押圧突起315に押された横第一アーム40が、横リンク付勢ばね42の付勢力に抗しながら、前方向にスライドする。このスライドにより、横第二アーム41から横第一アーム40が分離される。このように、操作者は、縦リンク付勢ばね5の付勢力のみならず横リンク付勢ばね42の付勢力にも抗しながら、洗剤供給蓋212を開けることになる。
ところで、前記手動開閉モードに復帰させるためには、前出図16(a)に示すように、縦リンク付勢ばね5および横リンク付勢ばね42の付勢力を蓄積した縦第二アーム31の縦係合部313を、再び横第二アーム41の横係合部416により、係止する必要がある。言い換えると、縦係合部313を横係合部416の後方にリセットする必要がある。以下、リセットのための機構について説明する。図22に、本実施形態の洗剤供給装置の手動復帰モード(開き中)における縦第二アームと横第二アームとの位置関係図を示す。図23に、縦第二アームと横第二アームとの再係合状態の模式図を示す。なお、説明の便宜上、図22においては、縦第二アーム31を一点鎖線で描く。図22に示すように、横第二アーム41において横係合部416が配置されている立壁の右面には、テーパ部417が形成されている。テーパ部417は、前方に向かって尖るように形成されている。このテーパ部417に、操作者により揺動される縦第二アーム31の縦係合部313が摺接する。すなわち、図23(a)に示すように、縦係合部313は、前方からテーパ部417に接近する。そして、図23(b)に示すように、縦係合部313左端がテーパ部417に当接する。縦係合部313左端がテーパ部417に当接すると、縦係合部313の持つ前から後方向の応力が、テーパ部417を介して、右から左方向の応力に変換される。この変換された応力により、往復駆動突起60は、駆動部材6のケース内に没入する。そして、図23(c)に示すように、縦係合部313はテーパ部417を乗り越える。その後、図23(d)に示すように、縦係合部313が横係合部416の後方にリセットされる。すなわち、前出図12に示す手動開閉モードの全開位置に復帰する。
以上説明したように、本モードにおいては、手動により、洗剤補充蓋が半開位置から手動開閉モードの全開位置に復帰する。また、洗剤供給ダンパが全開位置から全閉位置に復帰する。
次に、サブ洗剤モードについて説明する。本モードは、前記食器収容工程の手動開閉モード終了時において、洗剤補充後の洗剤補充蓋212が全開位置の場合に行われる。図24に、本モードの場合の内側扇板と縦第二アームとの位置関係図を示す。なお、図に示すのは、手動開閉モードの洗剤補充蓋全開位置を示す前出図12から、内側扇板301と縦第二アーム31とを抜粋したものである。図12において駆動部材6が駆動されると、前記メイン洗剤モード時と同様に、横第二アーム41から縦第二アーム31が解放される。解放された縦第二アーム31は、縦リンク付勢ばねの付勢力により、図中時計回りに揺動する。揺動の際、図24に示すように、縦第二アーム31の内側突起312は、復帰用スロープ301cを乗り越える。復帰用スロープ301cつまり縦第一アーム30は、このとき内側突起312から受ける応力により、図中反時計回りに揺動する。縦第二アーム31の揺動は、前記メイン洗剤モード時と同様に、前出図10における半開位置決め突起317が当接座210fに当接することにより終了する。
このようにして、本モードにおいては、洗剤補充蓋212が、全開位置から前出図17に示す半開位置に、切り替わる。また、洗剤供給ダンパ214が全閉位置から全開位置に切り替わる。また、前記メイン洗剤モード時と同様に、横第一アーム40と横第二アーム41とが合体する。なお、本モード後においては、前述したリンス工程、すすぎ工程、乾燥工程、食器回収工程が順次行われる。
次に、本実施形態の洗剤供給装置の効果について説明する。本実施形態の洗剤供給装置1によると、単一の駆動部材6により、互いに交差する面展開方向に動く縦リンク部3と横リンク部4とを駆動することができる。すなわち、比較的簡単な駆動機構により、互いに交差する面展開方向に動く洗剤補充蓋212および洗剤供給ダンパ214とリンス供給弁224とを、駆動することができる。また、駆動機構が簡単なため、洗剤供給装置1はコンパクトである。したがって、省スペース性に優れている。また、洗剤補充口211およびリンス補充口221は、共に上向きに開口している。このため、洗剤、リンスの補充作業が容易である。
また、本実施形態の洗剤供給装置1によると、縦リンク部3は、縦第一アーム30と縦第二アーム31とから構成されている。また、横リンク部4は、横第一アーム40と横第二アーム41と横リンク付勢ばね42とから構成されている。このため、部品点数が少なくて済む。また、横第一アーム40と横第二アーム41とは、合体用凸部404と合体用孔414との係脱により、合体、分離可能である。このため、メイン洗剤モードあるいはサブ洗剤モードにおいては、両アームを分離することで、横第二アーム41の揺動力が横第一アーム40に伝わりリンス供給弁224が誤作動するのを抑制することができる。一方、リンスモードにおいては、両アームを係合させることで、横第二アーム41の揺動力を横第一アーム40に確実に伝えることができる。すなわち、リンス供給弁224を確実に作動させることができる。
以上、本発明の洗剤供給装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。例えば、上記実施形態の洗剤補充蓋212は、半開位置を経て全開位置と全閉位置とを切り替えたが、全開位置と全閉位置との間だけを切り替えるものであってもよい。また、本実施形態の洗剤供給装置1は、ビルトイン引出しタイプに限らず立壁(前出図1の後壁92)を持つあらゆるタイプの食器洗浄機に採用することができる。