JP4133621B2 - 芯材入りポリアミド樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

芯材入りポリアミド樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は中に芯材を埋設したポリアミド樹脂成形体の製造方法に係り、詳しくは比較的高負荷および高温下で使用されるギア、ローラ、車輪などを用途とする芯材を埋設したポリアミド樹脂成形体において、ポリアミド樹脂と芯材とを強固に固定させる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミド樹脂成形体は、軽量化や無給油運転や静音化等を目的として金属製ギア、ローラ、車輪などの代替品としてしばしば用いられている。しかし、極めて高負荷の条件で用いたり、通常の条件下でも長期に使用したりすることによって限界を越え、ポリアミド樹脂部と軸との境界に存在するキー溝部から破壊することがあった。
【0003】
このためポリアミド樹脂の軽量であるとともにメンテナンスフリーで長期にわたって使用できるという特長を生かしながらボス部のみは金属のものを用いる構造のものが提案されている。このポリアミド樹脂部に金属ボス部を固定する方法として、次ぎに挙げるような4つの方法が知られている。
【0004】
▲1▼常温または加熱膨張させたポリアミド樹脂パイプに金属製の芯材を圧入してその後輪切り加工・歯切りなどの仕上げ加工を行うもの。圧入方法については冷間圧入による方法や加熱膨張させたポリアミド樹脂部を金属ボス部に圧入する方法(焼嵌法)がある。
【0005】
▲2▼ポリアミド樹脂パイプと金属製の芯材をビスによって機械的に固定した後に輪切り加工・歯切りなどの仕上げ加工を行うもの。
【0006】
▲3▼ポリアミド樹脂パイプに表面ローレット加工を施した金属製の芯材を圧入した後、金属を加熱して両者を融着一体化し、その後輪切り加工・歯切りなどの仕上げ加工を行うもの。
【0007】
▲4▼ギアなどの部品1個分の薄い円筒形金型にやはり部品1個分の厚みの金属製芯材をセットし、金型と芯材のあいだに原料を注型し重合させることで芯材と樹脂を一体化するもの。
【0008】
以上のような方法の内、例えば、ポリアミド樹脂部をローレット加工を施した金属に冷間圧入し、金属を加熱してポリアミド樹脂部と金属とを融着一体化する方法が、特許文献1に開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特許第2622813号
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法は夫々問題点を有している。まず▲1▼の冷間圧入法と焼嵌法および▲2▼のビスで固定する方法では、金属ボス部との間の固定力が弱く、短期間のうちに金属ボス部とポリアミド樹脂部との間にズレが生じてしまうことがあった。
【0011】
また、高温下におけるポリアミド樹脂の熱膨張、長時間の使用による応力緩和によってポリアミド樹脂部の抱き付き力は低下し、固定力はさらに弱くなり、ビスなどによる固定ではビス穴への応力集中によってポリアミド樹脂部が破壊しやすくなる。
【0012】
また製品形状によってはビスの取り付けができないことも往々にしてあり、これを避けるために製造時の圧入代、焼嵌代を大きめに取ると樹脂側に過大な歪みが生じ、所定の大きさに加工する際や部品として使用している時に、その歪みが原因で破壊してしまうこともあった。
【0013】
▲3▼のポリアミド樹脂部を金属に冷間圧入し、金属を加熱して両者を融着一体化する方法においては、加工工数が多くて製品が高価になる問題があった。
【0014】
▲4▼のギアなどの部品1個分の成形を行う方法でも、やはり生産性が低いといった問題がある。
【0015】
そこで、本発明者らは樹脂と芯材との固定力が強く、しかも生産性の高い方法として長尺の芯材をモールド内に配置してその周囲にポリアミド樹脂を注型して重合し、長尺の成形体を得てそれを所定サイズにカットすることによって芯材入りのポリアミド樹脂成形体を製造するという方法を考えた。
【0016】
ところが、生産性は向上することができたものの、長尺で製造するということから、成形体長手方向の残留応力が過大となり、破壊されやすくなるといった問題や芯材と樹脂とのあいだにズレを生じたりするという問題が顕在化することになった。
【0017】
そこで、樹脂を収縮させないようにして樹脂の割れなどの破壊を防止するために、ポリアミドの注型成形品において通常行われているアニーリングを行わずに用いるという方法が採られた。そうすることによって樹脂の破壊を防止する効果は見られたものの、ポリアミド樹脂を低結晶性のままで使用することになるので、強度、硬度、低吸水性、耐摩耗性といった一般的な物性の面で劣ったものになってしまうという問題がある。
【0018】
また、この方法において樹脂が芯材に抱き付いて融着一体化していることから、ある程度の強度を確保することができる。しかし、さらに高い強度が望まれる場合には接着剤の使用などが考えられるが、予め芯材を接着剤で処理する方法では、成形工程における芯材の酸素存在下での加熱や、重合中の強アルカリ雰囲気下での加熱により、十分な接着力を発揮できないという問題があった。
【0019】
そこで本発明は、このような諸問題を解決し、ポリアミド樹脂の利点を生かした軽量で無給油にて長期に渡って使用でき、ポリアミド樹脂と補強材との結合力を維持しており、生産性にも優れ、かつ強度、硬度、低吸水性、耐摩耗性といった一般的な物性にも優れた芯材入りポリアミド樹脂成形体の製造方法の提供を目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するために本発明の請求項1では、成形体内部に芯材を埋設した芯材入りポリアミド樹脂成形体の製造方法において、少なくとも一方に開口を有するモールド内に芯材をセットした状態でラクタム液を注型して加熱して重合し、冷却後、所定長さにカットし、その後シランカップリング剤中に浸漬して芯材と樹脂界面に接着剤を浸透させ、次に芯材との界面の樹脂を溶融させて残留歪みを解放すると共に芯材と樹脂を接着させることを特徴とする。
【0021】
このように、一旦長尺の成形体を成形した後にカットして目的のサイズの成形体を得るという方法を採ることによって、効率よく製造することができるとともに、もともとモノマーを注型して製造するという方法では、芯材に予め接着剤を塗布しても、重合時の酸素存在下での加熱や強アルカリ雰囲気下での加熱により十分な接着力を発揮することができなかったのを、重合後にシランカップリング剤を芯材と樹脂界面に浸透させるという方法を採ることによって、解決することができる。
【0022】
請求項2では、芯材との界面の樹脂を溶融させる手段が、高周波誘導加熱により芯材を昇温させる方法であるとしており、芯材の表面のみを加熱することが可能であり、溶融させて残留歪みを解放するのに必要な芯材と樹脂の界面のみを効率よく加熱することができる。
【0023】
請求項3では、重合完了後樹脂の結晶化度が40%以下の状態で離型して冷却し、所定長さにカットしたのちにアニーリングを行い、その後シランカップリング剤に浸漬するとしている。
【0024】
このように、ポリアミドの重合後に結晶化が十分に進む前、具体的には結晶化度が40%以下の状態で離型して冷却することによって結晶化率が低い状態となっており、その状態のままで部品の長さにカットすることになるが、そうすることによって長手方向の樹脂内残留応力を解放し、その後アニーリングすることで樹脂の結晶化を進め、高強度、高硬度、低吸水性、耐摩耗性などの特性に優れた樹脂成形体を製造することができる。
【0025】
また、請求項4では芯材表面に凹凸を設けたものを使用するとしており、芯材と周囲のポリアミド樹脂とのあいだで回転してしまったり、抜けたりするというような問題を防止することができる。設ける凹凸の形状は限定されるものではなく、ローレット加工、ネジきり加工などどんなものでもよい。
【0026】
そして請求項5では、重合装置にはモールドの開口に挿入される加圧ピストンを備えており、重合する際には前記加圧ピストンをモールドの開口に挿入して加圧した状態で重合するとしており、このように芯材をモールド内に固定して加圧重合を行うことによってヒケや内部欠陥の少ない成形体を効率よく製造することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の製造方法によって得られるポリアミド樹脂成形体の平面図、図2は図1のA−A断面図、図3は本発明のポリアミド樹脂成形体において使用する芯材の斜視図である。
【0028】
本発明の方法により製造されるポリアミド樹脂成形体1は、例えば図1及び図2に示すような円盤体であり、図3に示すように側面4にローレット加工を施した金属製の芯材2の外周にポリアミド樹脂からなる外周部3を形成したものであり、外周部3には、例えば後の機械加工により歯部(図示せず)が形成され、高負荷用のギアとして使用されるものである。
【0029】
芯材2の側面4にローレット加工を施すことによって、ポリアミド樹脂からなる外周部3が芯材2に対して機械的にロックされるため、外周部3が芯材2から容易に抜けたり回転したりするのを阻止している。他にも芯材2の形態としては図3に示すものに限られるわけではなく、ネジ切り加工を施したものや、一定間隔で軸方向および回転方向の溝を設けたものなど凹凸を設けたものなら同様の効果を発揮することができる。
【0030】
本発明では以上のような芯材入りポリアミド樹脂成形体を製造するのに次ぎに説明するような方法を採っている。
【0031】
図4は本発明の製造方法において金型内に芯材を設置し注型したところの断面図、図5は本発明の製造方法において加圧して重合しているところの断面図、そして図6は成形体を離型しているところの断面図を示す。
【0032】
上記ポリアミド樹脂成形体1を製造する際に使用する成形装置10は、図4に示すように、アルミ、鉄等からなる熱伝導率が高く円筒形状のジャケット部12とジャケット部12の内径とほぼ同じ外径を有する円柱状の底部11とからなるモールドMと、やはりジャケット部12の内径とほぼ同じ外径を有する加圧ピストン13からなり、モールドM内には底部11とジャケット部12で形成されるキャビティ14を有している。前記ジャケット部12は底部11とは独立して上下動可能に取り付けられている。
【0033】
また、上部の開口から前記ジャケット部12の内径と同じ外径の加圧ピストン13が挿入されるようになっていて、加圧ピストン13は油圧シリンダなどの加圧手段に接続されており、キャビティ14内を加圧できるようになっている。底部11および加圧ピストン13の周囲にはパッキン15が装着されており重合性ラクタム液が漏れないようになっている。
【0034】
この成形装置10のキャビティ14の、前記成形体1の厚み方向に相当するサイズが成形体1の厚みよりも長尺になっており、重合して得られた中間成形体16をカットすることによって一度に複数の成形体1を得られるようになっている。
【0035】
この成形装置10を用いた本発明のポリアミド樹脂成形体の重合方法を説明する。ここではギア用途に用いる所定の厚みを有する円筒状の成形体を成形する手順を例に挙げて説明することにする。
【0036】
まず、成形装置10のキャビティ14内の中央に厚み方向に長尺の芯材2をセットする。ジャケット部12を予備加熱し100〜180℃に温度調整した後、上部の開口から実質上無水のラクタムに少なくともアニオン重合触媒とアニオン重合開始剤とを加えた重合性ラクタム液17を注型する(図4)。
【0037】
ここで上記ω−ラクタムは脱水タンク内において減圧下で脱水して実質上無水の状態にした後、窒素などの不活性気体で置換される。脱水タンク中のω−ラクタムは、計量されて2つの注型タンクへ入れられ、その後所定量のアニオン重合触媒がω−ラクタムの入った一方の注型タンクに、また所定量のアニオン重合開始剤がω−ラクタムの入った他方の注型タンクに投入されるように構成されていてもよい。
【0038】
続いて、上部の開口から加圧ピストン13を下降させてキャビティ14内に挿入しラクタム液17の表面に到達した後さらに少し下降してラクタム液17を加圧した状態にする。このときの加圧は2MPa以上で行うことが好ましい(図5)。加圧ピストン13による重合ラクタム液への加圧であるが、2MPa未満であると、加圧が不十分で成形体にヒケや内部欠陥が発生しやすくなるので好ましくない。
【0039】
加圧した状態で、20〜160分経過すると重合が完了し、加圧した状態で樹脂を結晶化させて離型し、所定長さに輪切り加工(カット)することによって芯材2の周囲にポリアミド樹脂からなる外周部3を有した所定サイズの成形体1を得ることができる。
【0040】
また、通常ならば上記のように、熱のかかった状態でしばらく放置して結晶化を進めるところを、本発明では外周部3を形成する樹脂の結晶化が十分に進む前に、加圧ピストン13を上昇させるとともに底部11を固定した状態でジャケット部12のみ上昇させ、重合が完了した中間成形体16を離型して冷却してもよい(図6)。
【0041】
この場合、中間成形体16は樹脂が未だ低結晶化度の成形体であるが、結晶化度としては40%以下とすることが好ましい。ただし、結晶化度が20%より低いようなものの場合は、重合が完全に完了していないため、金型からの離型ができず好ましくない。
【0042】
樹脂の結晶化が十分に進む前に離型して冷却した場合は、更にこの低結晶化度の中間成形体16をアニーリング(加熱処理)する前に輪切り加工(カット)して所望の成形体のサイズとするとともに長尺時の長手方向の樹脂内残留応力を解放する。
【0043】
次にアニーリングオーブンなどを用いてアニーリング(加熱処理)し、結晶化を進めて結晶化度を42%以上とし芯材入りポリアミド樹脂成形体を得る。ここでアニーリング後の結晶化度が42%未満であると、高強度、高硬度、低吸水性、耐摩耗性といった注型ポリアミド樹脂本来の性能を発揮できない。
【0044】
本発明では、所定サイズにカットした後に、芯材2とポリアミド樹脂からなる外周部3との間の接着力を高めるために、シランカップリング剤中に浸漬して、芯材2と外周部3を形成する樹脂との界面にシランカップリング剤を浸透させ、その後高周波誘導加熱によって芯材表面を加熱して芯材2と外周部3の樹脂との界面において樹脂を溶融させ、界面における樹脂を湧き出させる。そうすることによって樹脂の収縮により生じていた残留歪みを解放することができるとともに、芯材2とポリアミド樹脂からなる外周部3とを高い強度をもって接着することができる。
【0045】
カットした成形体をシランカップリング剤中に浸漬するのは、芯材2と外周部3を形成するポリアミド樹脂との界面にシランカップリング剤を浸透させるためであり、0〜50℃雰囲気中で10〜100秒程度浸漬することが好ましい。
【0046】
このときに使用するシランカップリング剤としては、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン化合物、また、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン化合物が挙げられる。市販品としては、例えば東レ・ダウコーニング・シリコーン社製の品番SH6040(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)がある。
【0047】
成形体の最終用途がギアである場合には、所定サイズにカットした成形体1を更に芯材2の周囲のポリアミド樹脂部分をギア形状に加工することで最終製品であるギアを得ることができる。
【0048】
芯材2のキャビティ14内へのセットであるが、長尺の芯材2の上端部および下端部付近に芯材ガイド18を芯材2に対して直角方向に取り付けてジャケット部12の内壁にも固定することによって芯材2のポリアミド樹脂に対する同心度を確保することができる。芯材ガイド18はこの形態に限らず例えば底部11に設けた凹部をもって芯材ガイドとし、芯材をその凹部に装着することによって芯材を固定する方法をとっても構わない。また、凹部に装着するのと芯材ガイドを用いる方法を併用することも可能である。
【0049】
本発明で使用する上記ラクタムは、実質上無水のα−ピペリドン、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、ω−エナントラクタム、カプリルラクタム、ω−デカノラクタム、ω−ウンデカノラクタム等あるいはこれらの2種類以上の混合物であり、工業的に有利なラクタムはε−カプロラクタムとω−ラウロラクタムである。
【0050】
また、本発明で使用するアニオン重合触媒は、水素化ナトリウム、水素化リチウム、ナトリウム、カリウム等公知のラクタムの重合触媒を使用することができ、その添加量はラクタムに対して0.1〜2.0モル%である。
【0051】
そして、アニオン重合開始剤としては、例えばN−アセチル−ε−カプロラクタム、イソシアネート、ジイソシアネート、尿素誘導体、ウレタン、イソシアヌレート誘導体であり、その添加量はラクタムに対して0.05〜1.0モル%の範囲が好ましい。
【0052】
上記製造方法では、アニオン重合触媒をラクタムに添加し溶解した後、アニオン重合開始剤を注型時または注型後に添加混合する方法、またはアニオン重合触媒を含むラクタムとアニオン重合開始剤を含むラクタムとを同時に注型する方法によって調整する。
【0053】
また、ラクタムの重合は100〜210℃の温度で実施可能であるが、好ましくは130から180℃である。
【0054】
尚、本発明方法を実施するに際して、上記成分以外に重合を阻害しない油類、ワックス、ステアリン酸カルシウム等の滑剤や、カーボン繊維、ガラス繊維などの補強材を添加することも可能である。
【0055】
【実施例】
次に本発明および従来技術の方法を用いて芯材入りポリアミド樹脂成形体を製造した。
【0056】
(実施例)
内径90mm、長さ1200mmの円筒形金型内中心部に表面ローレット加工を施した直径60mm、長さ1000mmの鉄製の芯材をセットし、予熱後金型と芯材の間隙に重合性ε−カプロラクタム液を注型した。
【0057】
金型を150℃に維持して30分後に金型から芯材入り成形体を取り出した。樹脂部分の結晶化度は35%であった。
【0058】
これを20mmの厚さにカットした後にオーブン内で190℃×3時間の条件で熱処理(アニーリング)を行った。得られた成形体の樹脂部分の結晶化度は45%であった。続いて、シランカップリング剤浴中に50秒浸漬した後に、高周波誘導加熱により芯材表面を加熱し、芯材との界面の樹脂を溶融して残留歪みを取り除いた成形体を得た。シランカップリング剤としては東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSH6040(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)を用いた。
【0059】
得られた成形体を用いて、−40℃と120℃の雰囲気に交互にさらす熱衝撃試験を行い、クラックが発生するまでのサイクル数を測定、およびポリアミド樹脂からなる外周部にくさびを打ちこむ破壊試験を行い、破壊された様子を観察した。その結果を表1に示す。結果は同じ条件で製造した複数のサンプルを用いて行い、表1にはまとめて記載した。
【0060】
(比較例)
アニーリング後にシランカップリング剤浴中での浸漬、および高周波誘導加熱を行わなかった以外は、全て実施例と同様にして成形体を得た。また、実施例と同様に−40℃と120℃の雰囲気に交互にさらす熱衝撃試験、およびポリアミド樹脂からなる外周部にくさびを打ちこんで破壊させる試験を行った。その結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
Figure 0004133621
【0062】
表1の結果より、シランカップリング剤を芯材とポリアミド樹脂からなる外周部の界面に浸透させるとともに、高周波誘導加熱により樹脂を溶融させた実施例では、収縮による残留歪みが解放されており、しかも芯材とポリアミド樹脂との間の接着力も高い、優れた芯材入りポリアミド樹脂成形体が得られているということがわかる。
【0063】
【発明の効果】
以上のようなに本発明の請求項1では、成形体内部に芯材を埋設した芯材入りポリアミド樹脂成形体の製造方法において、少なくとも一方に開口を有するモールド内に芯材をセットした状態でラクタム液を注型して加熱して重合し、冷却後、所定長さにカットし、その後シランカップリング剤中に浸漬して芯材と樹脂界面にシランカップリング剤を浸透させ、次に芯材との界面の樹脂を溶融させて残留歪みを解放すると共に芯材と樹脂を接着させることを特徴とする。
【0064】
このように、一旦長尺の成形体を成形した後にカットして目的のサイズの成形体を得るという方法を採ることによって、効率よく製造することができるとともに、もともとモノマーを注型して製造するという方法では、芯材に予め接着剤を塗布しても、重合時の酸素存在下での加熱や強アルカリ雰囲気下での加熱により十分な接着力を発揮することができなかったのを、重合後にシランカップリング剤を芯材と樹脂界面に浸透させるという方法を採ることによって、解決することができる。
【0065】
請求項2では、芯材との界面の樹脂を溶融させる手段が、高周波誘導加熱により芯材を昇温させる方法であるとしており、芯材の表面のみを加熱することが可能であり、樹脂を溶融させて残留歪みを解放するのに必要な芯材と樹脂の界面のみを効率よく加熱することができる。
【0066】
請求項3では、重合完了後樹脂の結晶化度が40%以下の状態で離型して冷却し、所定長さにカットしたのちにアニーリングを行い、その後シランカップリング剤に浸漬するとしている。
【0067】
このように、重合後にポリアミドの結晶化が十分に進む前、具体的には結晶化度が40%以下の状態で離型して冷却することによって結晶化率が低い状態となっており、その状態のままで部品の長さにカットすることになるが、そうすることによって長手方向の樹脂内残留応力を解放し、その後アニーリングすることで樹脂の結晶化を進め、高強度、高硬度、低吸水性、耐摩耗性などの特性に優れた樹脂成形体を製造することができる。
【0068】
また、請求項4では芯材表面に凹凸を設けたものを使用するとしており、芯材と周囲のポリアミド樹脂とのあいだで回転してしまったり、抜けたりするというような問題を防止することができる。設ける凹凸の形状は限定されるものではなく、ローレット加工、ネジきり加工などどんなものでもよい。
【0069】
そして請求項5では、重合装置にはモールドの開口に挿入される加圧ピストンを備えており、重合する際には前記加圧ピストンをモールドの開口に挿入して加圧した状態で重合するとしており、このように芯材をモールド内に固定して加圧重合を行うことによってヒケや内部欠陥の少ない成形体を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法によって得られるポリアミド樹脂成形体の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】ポリアミド樹脂成形体に使用する心材の斜視図である。
【図4】本発明の製造方法に用いる製造装置に心材をセットしラクタムを注型したところの断面図である。
【図5】本発明の製造方法に用いる製造装置で重合しているところの断面図である。
【図6】本発明の製造方法に用いる製造装置から脱型しているところの断面図である。
【符号の説明】
1 ポリアミド樹脂成形体
2 芯材
3 外周部
4 側面
10 製造装置
11 底部
12 ジャケット部
13 加圧ピストン
14 キャビティ
15 パッキン
16 中間成形体
17 重合性ラクタム液
18 芯材ガイド

Claims (5)

  1. 成形体内部に芯材を埋設した芯材入りポリアミド樹脂成形体の製造方法において、少なくとも一方に開口を有するモールドからなる重合装置を用い、前記モールド中に芯材をセットした状態で、実質上無水のラクタムに少なくともアニオン重合触媒とアニオン重合開始剤とを加えた重合性ラクタム液をモールド内に注型して加熱して重合し、冷却後、所定長さにカットし、その後シランカップリング剤中に浸漬して芯材と樹脂界面にシランカップリング剤を浸透させ、次に芯材との界面の樹脂を溶融させて残留歪みを解放すると共に芯材と樹脂を接着させることを特徴とする芯材入りポリアミド樹脂成形体の製造方法。
  2. 芯材との界面の樹脂を溶融させる手段が、高周波誘導加熱により芯材を昇温させる方法である請求項1記載の芯材入りポリアミド樹脂成形体の製造方法。
  3. 重合完了後樹脂の結晶化度が40%以下の状態で離型して冷却し、所定長さにカットしたのちにアニーリングを行い、その後シランカップリング剤に浸漬する請求項1または2に記載の芯材入りポリアミド樹脂成形体の製造方法。
  4. 芯材表面に凹凸を設けている請求項1から3のいずれかに記載の芯材入りポリアミド樹脂成形体の製造方法。
  5. 重合装置にはモールドの開口に挿入される加圧ピストンを備えており、重合する際には前記加圧ピストンをモールドの開口に挿入して加圧した状態で重合する請求項1または4記載の芯材入りポリアミド樹脂成形体の製造方法。
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