JP4132316B2 - 三相電圧形インバータの制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流電圧からスイッチングにより交流電圧を発生して誘導電動機等の三相交流機器を駆動する三相電圧形インバータ(電力変換装置)の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子の発達に伴い、保守や制御の容易性等の利点を持つ三相電圧形インバータを利用した交流モータが広く使われるようになり、またよりきれいな電流波形の発生、高調波電流の防止、制御応答の高速化等のため三相電圧形インバータの制御搬送波周波数の高周波数化も進んでいる。
【0003】
図8は、スター結線の例えば誘導電動機等の負荷を駆動する従来のこのような三相電圧形インバータを示す結線図である。
スター結線負荷20の各相U、V及びWのそれぞれは三相電圧形インバータ10の出力端子11、12及び13のそれぞれに接続され、出力端子11、12及び13のそれぞれは、スイッチング素子11P、12P及び13Pのそれぞれを介して正の入力直流電圧+E/2に、またスイッチング素子11N、12N及び13Nを介して負の入力直流電圧−E/2に接続されている。以下、正の入力直流電圧+E/2に接続するスイッチング素子を上アーム、負の入力直流電圧−E/2に接続するスイッチング素子を下アームと言う。
【0004】
従来、このような三相電圧形インバータを用いて三相交流機器を駆動する場合、ある相の上アームをオンとし残りの二相の下アームをオンとするか、またはある相の下アームをオンとし残りの二相の上アームをオンとするスイッチング制御(以下3アームオンスイッチングと言う。)を交互に繰り返すことにより三相交流を生成していた。
図9は、このような3アームオンスイッチングを説明する図であり、U、V、W各相のスイッチング状態を、上アームオン(下アームオフ)を1、下アームオン(上アームオフ)を−1とし、例えばU相の上アームをオンとし、残りのV、W相の下アームをオフとする時、(1、−1、−1)の様に表している。
【0005】
スイッチング状態が(1、−1、−1)の場合、スター結線負荷20のU、V、W相の各端子には、それぞれ(+E/2、−E/2、−E/2)の電圧が印加される。従ってU相に流れる電流をI、各相の接続点21の電圧(以下コモンモード電圧と言う。)をVcとすると、V、W相に−I/2の電流が流れ、Vc=−E/6となり、U、V、W各相の印加電圧はそれぞれ(2E/3、−E/3、−E/3)となり、図9の電圧ベクトルV1欄に示すようにU相方向に向かう電圧ベクトルが得られる。
従って例えば図9のV1欄からV6欄に示すように順次スイッチング状態を変化させることにより反時計回りに回転する電圧ベクトルが生成される。
なお、このスター結線負荷の場合の二相換算電圧ベクトル、電流ベクトルの大きさはそれぞれ(2/3)1/2E、(3/2)1/2Iとなる。
【0006】
しかしながら、このような3アームオンスイッチングでは、図9に示すように上記コモンモード電圧がスイッチング状態により交互に±E/6の値を取るため、前述した搬送波周波数の高周波数化に従って、例えばモータ駆動用インバータを例に取ると下記のような問題点が顕在化してきた。
すなわち、搬送波周波数の高周波数化により生ずるコモンモード電圧の変動による高周波漏れ電流が、モータ巻線とフレーム間の浮遊容量を介して、接地線等を通してモータとインバータ間に流れ、伝導性と放射性の電磁妨害(EMI)を生じたり、モータ軸受の電蝕を起こしたり、また、インバータの制御回路の誤動作を起こしたりするようになってきた。
【0007】
このため、このコモンモード電圧の変動の影響を抑制すべく、インバータと負荷の間にコモンモードチョークやLCフィルタを挿入する受動的抑制方法や、コモンモード電圧を検知して負帰還するアクティブキャンセレーション等各種の方法が提案されてきた。
【0008】
例えば、図10は小笠原等によって電気学会論文集D、117巻5号(平成9年)、565頁〜571頁に発表された「電圧形PWMインバータが発生するコモンモード電圧のアクティブキャンセレーション」に記載された、コモンモードノイズキャンセラを示す結線図で三相電圧形インバータ10の出力線に接続するコンデンサC1〜C3を介してコモンモード電圧Vcを検知し、これを相補トランジスタTr1、Tr2により構成するエミッタフォロアにより増幅し、その出力電圧をコモンモードトランス40により、前記出力線に負帰還することにより、コモンモード電圧の変動を交流的にキャンセルしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のこのような抑制方法は、コモンモードチョークやLCフィルタによる受動的抑制方法にあっては、抑制効果が十分でなかったり例えば周波数制御を行うインバータの場合には共振の問題があり、また負帰還によるキャンセルにあっては帰還回路の時定数により制御遅れの問題がある他、何れの方法にあってもフィルタやチョーク、またコモンモードトランス等付加部品を必要とし、価格面、大きさや重量面また電力損失面で問題があった。
【0010】
本発明はかかる問題点を解決するために、コモンモード電圧の変動の発生そのものを除去することにより、高周波漏れ電流の問題を発生することなく、且つ前記従来例のような付加部品を一切必要とすることなく三相交流機器を駆動することのできる三相電圧形インバータの制御方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る三相電圧形インバータの制御方法は、それぞれ、第1、第2および第3の出力端子のそれぞれを、正側に制御された場合には正の入力端子に接続し、負側に制御された場合には負の入力端子に接続し、中立に制御された場合には前記正負の入力端子から開放する第1、第2および第3のスイッチング手段を有し、この第1、第2および第3のスイッチング手段を制御することにより、前記正と負の入力端子に供給される直流電源電圧をスイッチングして前記第1、第2および第3の出力端子から三相出力電圧を出力する三相電圧形インバータの制御方法において、
前記第1のスイッチング手段を正側に、第2のスイッチング手段を中立に、第3のスイッチング手段を負側に制御する段階と、
前記第1のスイッチング手段を中立に、第2のスイッチング手段を正側に、第3のスイッチング手段を負側に制御する段階と、
前記第1のスイッチング手段を負側に、第2のスイッチング手段を正側に、第3のスイッチング手段を中立に制御する段階と、
前記第1のスイッチング手段を負側に、第2のスイッチング手段を中立に、第3のスイッチング手段を正側に制御する段階と、
前記第1のスイッチング手段を中立に、第2のスイッチング手段を負側に、第3のスイッチング手段を正側に制御する段階と、
前記第1のスイッチング手段を正側に、第2のスイッチング手段を負側に、第3のスイッチング手段を中立に制御する段階とからなる2アームオン段階を順次、もしくは前記第1、第2および第3のスイッチング手段の全てを中立に制御する全アームオフ段階を交えて順次、繰り返す段階を備え、前記2アームオン段階の各段階の切替時に前記全アームオフ段階を過渡的に経由させることを特徴とする。
【0013】
もしくは、前記第1、第2および第3のスイッチング手段は、それぞれが中立に制御された場合には前記第1、第2および第3の出力端子の当該それぞれの出力端子を前記正負の入力端子から開放して前記正負の入力端子に入力される直流電源電圧の中性点に接続する機能を有することが好ましい。
【0014】
また、この三相電圧形インバータのPWM(パルス幅変調)制御を行う場合には、
搬送波と、それぞれ120°位相を異にする第1、第2および第3の可変振幅信号波を生成する段階と、
前記第1、第2および第3の可変振幅信号波のそれぞれの交流成分の電位が前記搬送波の交流成分の電位以上の期間にはそれぞれ論理1となりその他の期間にはそれぞれ論理−1となる第1、第2および第3の中間制御信号を生成する段階と、
前記第1と第2の中間制御信号の論理が等しい期間には論理0となり、その他の期間には前記第1の中間制御信号と同一論理となる第1の制御信号と、前記第2と第3の中間制御信号の論理が等しい期間には論理0となり、その他の期間には前記第2の中間制御信号と同一論理となる第2の制御信号と、前記第3と第1の中間制御信号の論理が等しい期間には論理0となり、その他の期間には前記第3の中間制御信号と同一論理となる第3の制御信号とを生成する段階と、
前記第1、第2および第3の制御信号のそれぞれが論理1の期間には、前記第1、第2および第3のスイッチング手段のそれぞれを正側に制御し、前記第1、第2および第3の制御信号のそれぞれが論理0の期間には、前記第1、第2および第3のスイッチング手段のそれぞれを中立に制御し、前記第1、第2および第3の制御信号のそれぞれが論理−1の期間には、前記第1、第2および第3のスイッチング手段のそれぞれを負側に制御する段階とを備えたことを特徴とする。
【0015】
この場合、前記第1、第2および第3の制御信号が、第3、第1および第2の中間制御信号のそれぞれの論理が変化する際にも過渡的に論理0となるよう制御されることが好ましい。
【0016】
もしくは、前記第1、第2および第3のスイッチング手段は、それぞれが中立に制御された場合には前記第1、第2および第3の出力端子の当該それぞれの出力端子を前記正負の入力端子から開放して前記正負の入力端子に入力される直流電源電圧の中性点に接続する機能を有することが好ましい。
【0017】
また、何れの場合のも、前記第1、第2および第3の出力端子にはデルタ結線負荷が接続されることが好ましい。
【0018】
さらにまた、前記第1、第2および第3の出力端子はそれぞれ同一容量のコンデンサを介して前記正負の入力端子に入力される直流電源電圧の中性点に接続されていることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
前述のように、本発明の三相交流機器駆動装置及び駆動方法はデルタ結線の負荷であることがより好ましく、最初にデルタ結線負荷を例にとって実施の形態について説明する。
【0020】
図2は、デルタ結線負荷を駆動する三相電圧形インバータを示す結線図であり、スター結線負荷20がデルタ結線負荷30に置き替わっていること以外は図8と同様であり重複した説明は省略する。
【0021】
前述した3アームオンスイッチングに代えて本発明では、U、V、W各相の内のある相の上アームをオンとし、他の一方の相の下アームをオンとし、残りの一相については上アーム、下アームともオフとするスイッチング制御(以下2アームオンスイッチングと言う。)を交互に繰り返すことにより三相交流を生成発生する。
【0022】
図1は、このような2アームオンスイッチングの一例を示す図で、例えば電圧ベクトルV1’欄のスイッチング状態(1、0、−1)は、三相電圧形インバータ10のU相の上アーム11Pをオン、下アーム11Nをオフ、V相の上下アーム12P、12Nをオフ、W相の上アーム13Pをオフ、下アーム13Nをオンに制御することを表している。
この場合、デルタ結線負荷30のWU結線をa相、UV結線をb相、VW結線をc相とすると、a相には−E、b、c相にはE/2の電圧が印加される。従って三相電圧形インバータ10のU相に流れる電流をIとすると、デルタ結線負荷30のa,b、c各相にはそれぞれ−2I/3、I/3、I/3の電流が流れ、図1に示すように−WU方向すなわちW相からU相に向かう方向の電圧ベクトルを得ることができる。
【0023】
従って例えば図1のV1’欄からV6’欄に示すように順次スイッチング状態を変化させることにより、スター結線負荷20の場合の図9と同様に反時計回りに回転する電圧ベクトルを生成することができる。
また、このデルタ結線負荷の場合の二相換算電圧ベクトル、電流ベクトルの大きさはそれぞれ(3/2)1/2E、(2/3)1/2Iとなる。
【0024】
すなわち、負荷の各相インピーダンスが同一であれば、スター結線負荷に比べてデルタ結線の場合には、直流電源の電圧を2/3とし、三相電圧形インバータ10の電流容量を3/2とすることにより同一の出力を得ることができる。反対に、三相電圧形インバータ10の出力電圧、電流容量を同一とすると、例えばモータ各相巻線の導体断面積を2/3、巻数を3/2とし、各相の負荷インピーダンスをスター結線負荷の9/4にすることにより同一の出力を得ることができる。
【0025】
さらに、このような2アームオンスイッチングにおいてはU、V、W各相の1つにE/2、他の1つに−E/2の電圧が全体として均等に印加されるため、各スイッチング状態の定常状態においてはデルタ結線負荷30の仮想中性点の電圧であるコモンモード電圧は図1に示すように常に0電位となるため、負荷の外に漏洩する高周波電流を発生することがない。
【0026】
デルタ結線負荷がモータのような誘導性負荷の場合には、スイッチング状態の切替時に三相電圧形インバータ10の各スイッチング素子に設けられるフライホイールダイオードを経由して過渡電流が流れる。
図3は図1のV1’欄のスイッチング状態からV2’欄のスイッチング状態への切替時に負荷各相を流れる過渡電流を示す摸式図で、図3(a)に示すV1’欄のスイッチング状態のときの負荷電流が、U相の上アーム11PがオフとなるためU相の下アーム11Nのスイッチング素子のフライホイールダイオードを経由して流れ、U相が負電源に接続された状態となる。従って切替直後の負荷各相の電位は図3(b)に示す様にV相が正電源電位E/2に、U相とW相が共に負電源電位−E/2に接続された形、すなわち図9のV3欄のスイッチング状態と等価となり−E/6のコモンモード電圧が発生する。
このようにスイッチング状態をV1’欄〜V6’欄相互間で直接切り換えた場合には同様の過渡電流によるコモンモード電圧の変動が発生する。
【0027】
しかしながら、2アームオンスイッチングにおいては、例えば電圧ベクトルV1’〜V6’の相互間の切替時にV0’欄(全アームオフ)のスイッチング状態を経由することにより、この過渡電流によるコモンモード電圧の変動をも防止することができる。
図4は図1のV1’欄のスイッチング状態からV0’欄(全アームオフ)のスイッチング状態への切替時に負荷各相を流れる過渡電流を示す摸式図で、図4(a)に示すV1’欄のスイッチング状態のときの負荷電流が、当該2アーム11Pおよび13Nのスイッチング素子がオフとなることにより相補関係にあるアーム11Nと13Pのスイッチング素子のフライホイールダイオードを経由して流れるが、切替直後の負荷各相の電位は図4(b)に示す様にUW2相が逆電位に接続された形、すなわち図1のV4’欄のスイッチング状態と同様となりコモンモード電圧も0電位に維持される。
V2’欄〜V5’欄のスイッチング状態からV0’欄のスイッチング状態(全アームオフ)への切替時も同様である。
【0028】
従って、2アームオンスイッチングにおいてモータのような誘導性負荷を駆動する場合、一旦全アームオフ、すなわち図1のV0’欄のスイッチング状態を経由して各V1’〜V6’欄のスイッチング状態に制御することとし、過渡電流によるコモンモード電圧の変動をも防止することが望ましい。
【0029】
また、三相電圧形インバータ10として、例えば中性点クランプ電圧形インバータを用いる等により、各相の上下アームがオフ状態の時、十分に大きい容量素子を介して正負電源のそれぞれに接続された中性点電位節点に接続されるよう制御することにより、過渡状態を含めて常に各相の内2相を正負電源に、他の1相を中性点電位節点に接続されるよう三相電圧形インバータ10を制御しコモンモード電位を0電位に維持することとしてもよい。
【0030】
以上述べた様に、三相形電圧インバータを本発明の2アームオンスイッチングにより制御することにより、インバータまたは負荷の仕様を若干変更するのみで、従来例のようなフィルタやチョーク、またコモンモードトランス等を付加することなく、また電力損失を伴うことなくコモンモード電圧の変動に起因する高周波漏れ電流の障害を除去することができる。
【0031】
またさらに、図9の3アームオンスイッチングでは例えば電圧ベクトルをV1からV2に遷移させるため、V相が下アームオンから上アームオンへ切り換えられているように、各スイッチの全ての切替において、その上下のアームのオンオフを同時に切り換える必要があり、例えば制御信号の遅延のばらつきにより上下アームが共にオンにならないようにするため短絡防止期間を必要とし、さらにはこのために発生する出力電圧の歪みを補償するオンディレー補償を行う必要があったが、図1の2アームオンスイッチングでは、全てのスイッチがオフ状態を経由して上アームオンまたは下アームオンに制御されるため、このようなオンディレー補償を必要としない利点を持つ。
【0032】
なお、三相電圧形インバータを用いて負荷のPWM(パルス幅変調)制御を行う場合等には、負荷を駆動しない状態すなわち零電圧ベクトルを発生する必要があり、従来の3アームオンスイッチングでは例えば図9の電圧ベクトルV7またはV0欄のように全相の上アームまたは下アームをオンとしていた。
2アームオンスイッチングでは図1の電圧ベクトルV0’欄に示すように全アームオフに制御することとなる。この場合、前述の中性点クランプ電圧形インバータのようなオフ時にアームが中性点電圧に接続される三相電圧形インバータを用いない場合には、負荷の全相が電源側から遮断されコモンモード電圧が不定となる可能性があるが、例えば図5のように三相電圧形インバータ10の出力側にインピーダンス要素C1〜C3を組み合わせて中性点を作り、直流電源側の零電位に接続することにより全アームオフの負荷電位を安定させることができる。
【0033】
以上、本発明の2アームオンスイッチングをデルタ結線負荷に適用した場合の実施形態について説明したが、本発明はデルタ結線に限られるものではなく、スター結線負荷についても例えば図1と同様に2アームオンスイッチングを適用することにより、各相に印加される電圧波形が単純矩形波となる点等の相違点があるが、デルタ結線負荷時と同様コモンモード電圧の変動による高周波漏れ電流の発生することのないインバータ制御を行うことができる。
【0034】
図6は、図1のスイッチング状態(1、0、−1)に相当する、スター結線負荷時の電圧ベクトルを示す概念図であり、図6に示すように、図1と同様のスイッチングを行うことによりコモンモード電圧を0Vとして、デルタ結線負荷と30°異なる回転電圧ベクトルを得ることができる。なお、この場合の二相換算電圧ベクトル、電流ベクトルの大きさはそれぞれ(1/2)1/2E、21/2Iとなる。
【0035】
以下、上記実施形態の2アームオンスイッチングを用いた三相電圧形インバータによるPWM制御の具体的実施例について、図7の波形図を参照して説明する。なお、本波形図においては、過渡電流対策としての零電圧ベクトルV0’は表現を省略してある。
よく用いられる従来の3アームオンスイッチングによる三相電圧形インバータのPWMスイッチング信号の生成方法の一つに三角波搬送波と、図7のa相〜c相に示す、三角搬送波の3倍の周期を持ちそれぞれ位相を120°異にする3つの正弦波信号波を用いる方法がある。
【0036】
この方法は、例えば、
a相正弦波信号波≧三角搬送波なら、as=1
a相正弦波信号波<三角搬送波なら、as=−1
となるように各相について制御信号as、bs、csを生成し、この制御信号as、bs、csを用いて、それぞれが1の場合U、V、W各相のそれぞれの上アームをオンとし、それぞれが−1の場合にU、V、W各相のそれぞれの下アームをオンとすることにより、図7に示すように図9の3アームオンスイッチングの各電力ベクトルV0〜V7を出力する。
この様にして正弦波信号波の振幅を制御することにより、零電圧ベクトルV0およびV7のパルス幅を変調して三相電圧形インバータの出力を制御する。
【0037】
図1に示す実施形態の2アームオンスイッチングにより、PWM制御を行う場合には、制御信号us、vs、wsを、例えば図7に示すように、
as=bsなら、us=0
as≠bsなら、us=as
となるように各相について生成し、この各相の制御信号us、vs、wsを用いて、それぞれが1の場合U、V、W各相のそれぞれの上アームをオンとし、それぞれが−1の場合にU、V、W各相のそれぞれの下アームをオンとし、またそれぞれが0の場合にU、V、W各相のそれぞれの上下アームをオフすることにより、図7に示すように図1の2アームオンスイッチングの各電力ベクトルV0’〜V6’が得られる。
【0038】
以上、可変振幅正弦波信号波とその3倍の周波数の三角波搬送波を用いた2アームオンスイッチングによるPWM制御信号の生成について説明したが、例えば可変振幅矩形波信号波や、鋸波搬送波を用いる場合も、また、より高い周波数比の搬送波でスイッチングする場合も全く同様にして2アームオンスイッチングによるPWM制御信号を生成することができる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る2アームオンスイッチングにより三相電圧形インバータを制御することにより、負荷のコモンモード電圧の変動そのものを抑止することができ、フィルタやチョーク、またコモンモードトランス等、従来の3アームオンスイッチングの場合に高周波漏れ電流の抑止に用いられる付加部品を必要とすることなく、またこのための電力損失を伴うことなく、三相交流機器の高周波漏れ電流障害の発生を防止することができる。
【0040】
また、本発明に係る2アームオンスイッチングによれば、従来の3アームオンスイッチングの場合の上下アームの短絡防止期間の設定やこのための出力歪みを補償するオンディレー補償も不要となり、特にデルタ結線負荷について、従来のスター結線負荷の3アームオンスイッチングに比べてより簡単で安定した、また高品質波形によるPWM制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る2アームオンスイッチングの電圧ベクトルとスイッチング状態の一例を示す図である。
【図2】デルタ結線負荷を駆動する三相電圧形インバータを示す結線図である。
【図3】図1のV1’欄のスイッチング状態からV2’欄のスイッチング状態への切替時に負荷各相を流れる過渡電流を示す摸式図である。
【図4】図1のV1’欄のスイッチング状態からV0’欄のスイッチング状態への切替時に負荷各相を流れる過渡電流を示す摸式図である。
【図5】負荷電位安定化回路の一例を示す結線図である。
【図6】図1のスイッチング状態(1、0、−1)に相当する、スター結線負荷時の電圧ベクトルを示す概念図である。
【図7】2アームオンスイッチングを用いた三相電圧形インバータによるPWM制御の一実施例を説明する波形図である。
【図8】スター結線負荷を駆動する三相電圧形インバータを示す結線図である。
【図9】3アームオンスイッチングの電圧ベクトルとスイッチング状態の関係を説明する図である。
【図10】先行技術に係るコモンモードノイズキャンセラを示す結線図である。
【符号の説明】
10 三相電圧形インバータ
11、12、13 出力端子
11P、11N、12P、12N、13P、13N スイッチング素子
20 スター結線負荷
21 接続点
30 デルタ結線負荷
40 コモンモードトランス
Claims (7)
- それぞれ、第1、第2および第3の出力端子のそれぞれを、正側に制御された場合には正の入力端子に接続し、負側に制御された場合には負の入力端子に接続し、中立に制御された場合には前記正負の入力端子から開放する第1、第2および第3のスイッチング手段を有する三相電圧形インバータの制御方法において、
前記第1のスイッチング手段を正側に、第2のスイッチング手段を中立に、第3のスイッチング手段を負側に制御する段階と、
前記第1のスイッチング手段を中立に、第2のスイッチング手段を正側に、第3のスイッチング手段を負側に制御する段階と、
前記第1のスイッチング手段を負側に、第2のスイッチング手段を正側に、第3のスイッチング手段を中立に制御する段階と、
前記第1のスイッチング手段を負側に、第2のスイッチング手段を中立に、第3のスイッチング手段を正側に制御する段階と、
前記第1のスイッチング手段を中立に、第2のスイッチング手段を負側に、第3のスイッチング手段を正側に制御する段階と、
前記第1のスイッチング手段を正側に、第2のスイッチング手段を負側に、第3のスイッチング手段を中立に制御する段階とからなる2アームオン段階を順次、もしくは前記第1、第2および第3のスイッチング手段の全てを中立に制御する全アームオフ段階を交えて順次、繰り返す段階を備え、
前記2アームオン段階の各段階の切替時に前記全アームオフ段階を過渡的に経由させることを特徴とする三相電圧形インバータの制御方法。 - 前記第1、第2および第3のスイッチング手段は、それぞれが中立に制御された場合には前記第1、第2および第3の出力端子の当該それぞれの出力端子を前記正負の入力端子から開放して前記正負の入力端子に入力される直流電源電圧の中性点に接続する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の三相電圧形インバータの制御方法。
- それぞれ、第1、第2および第3の出力端子のそれぞれを、正側に制御された場合には正の入力端子に接続し、負側に制御された場合には負の入力端子に接続し、中立に制御された場合には前記正負の入力端子から開放する第1、第2および第3のスイッチング手段を有する三相電圧形インバータのPWM(パルス幅変調)制御方法において、
搬送波と、それぞれ120°位相を異にする第1、第2および第3の可変振幅信号波を生成する段階と、
前記第1、第2および第3の可変振幅信号波のそれぞれの交流成分の電位が前記搬送波の交流成分の電位以上の期間にはそれぞれ論理1となりその他の期間にはそれぞれ論理−1となる第1、第2および第3の中間制御信号を生成する段階と、
前記第1と第2の中間制御信号の論理が等しい期間には論理0となり、その他の期間には前記第1の中間制御信号と同一論理となる第1の制御信号と、前記第2と第3の中間制御信号の論理が等しい期間には論理0となり、その他の期間には前記第2の中間制御信号と同一論理となる第2の制御信号と、前記第3と第1の中間制御信号の論理が等しい期間には論理0となり、その他の期間には前記第3の中間制御信号と同一論理となる第3の制御信号とを生成する段階と、
前記第1、第2および第3の制御信号のそれぞれが論理1の期間には、前記第1、第2および第3のスイッチング手段のそれぞれを正側に制御し、前記第1、第2および第3の制御信号のそれぞれが論理0の期間には、前記第1、第2および第3のスイッチング手段のそれぞれを中立に制御し、前記第1、第2および第3の制御信号のそれぞれが論理−1の期間には、前記第1、第2および第3のスイッチング手段のそれぞれを負側に制御する段階とを備えたことを特徴とする三相電圧形インバータの制御方法。 - 前記第1、第2および第3の制御信号が、第3、第1および第2の中間制御信号のそれぞれの論理が変化する際にも過渡的に論理0となるよう制御されることを特徴とする請求項3に記載の三相電圧形インバータの制御方法。
- 前記第1、第2および第3のスイッチング手段は、それぞれが中立に制御された場合には前記第1、第2および第3の出力端子の当該それぞれの出力端子を前記正負の入力端子から開放して前記正負の入力端子に入力される直流電源電圧の中性点に接続する機能を有することを特徴とする請求項3に記載の三相電圧形インバータの制御方法。
- 前記第1、第2および第3の出力端子にはデルタ結線負荷が接続されることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の三相電圧形インバータの制御方法。
- 前記第1、第2および第3の出力端子はそれぞれ同一容量のコンデンサを介して前記正負の入力端子に入力される直流電源電圧の中性点に接続されていることを特徴とする請求項1または4に記載の三相電圧形インバータの制御方法。
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