JP4132296B2 - 重荷重用ラジアルタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、高内圧・高荷重条件下で使用され、特に荒れ地などを主として走行する建設車両に使用するのに適した重荷重用ラジアルタイヤに関するものであり、より詳細には、ラジアルカーカスのクラウン部と通常の補強ベルトとの間に、空気圧を適用したタイヤの膨張圧に伴うラジアルカーカスからの加圧力が補強ベルトに作用するのを緩和するため、少なくとも1層の狭幅コード傾斜層からなる緩衝ベルトを配設したベルト構造を有する上記タイヤの耐久性の向上を図る。
【0002】
【従来の技術】
ラジアルタイヤは、ラジアルカーカスのクラウン部とトレッドの間に、トレッドを補強し、いわゆるたが締め効果を発揮させるなどの理由から、広幅コード傾斜層で形成される補強ベルトを配設し、また、加硫成形時等における径成長に追随させ、ラジアルカーカスのプライコードとのいわゆるパンタグラフ作用による補強効果を発揮させる等の理由から、補強ベルトを構成する各広幅コード傾斜層のコードのタイヤ赤道面に対する配設角度を通常は20〜40°の範囲にし、さらに、有効に補強効果を高めるなどの理由から、広幅コード傾斜層のうちの少なくとも2層を、コードがタイヤ赤道面を挟んで交差する、いわゆる交差ベルトとするのが一般的である。
【0003】
上記構成のタイヤに空気を充填して内圧を適用した場合、ラジアルカーカスは、補強ベルトを配設しない状態、即ち、たが締めされていない状態の放射面輪郭形状、いわゆる自然平衡形状に近づこうとする傾向がある。
【0004】
しかし、上記タイヤは、一般に補強ベルトでたが締めされているため、カーカスクラウン部は、実際には自然平衡形状の曲率半径よりも大きい曲率半径になっており、内圧適用時には自然平衡形状に近づこうとして曲率半径が小さくなる方向、即ち、径成長する方向に変形しようとするため、特に補強ベルトの幅中央部はカーカスの膨径に伴って加圧される一方、補強ベルトの両端部は、ラジアルカーカスからタイヤ径方向外方に離れる傾向にあり、このような補強ベルトの両端部をもつタイヤの場合、タイヤ負荷転動時に大きな変形を繰り返し受けることによって、タイヤの耐久性を悪化させるおそれがあり、この傾向は、高内圧・高荷重が適用される重荷重用ラジアルタイヤにおいては特に顕著である。
【0005】
内圧適用時のタイヤの膨径に伴って生じるカーカスからの加圧力が補強ベルトに作用するのを緩和するための手段としては、カーカスのクラウン部と補強ベルトとの間に、コードがタイヤ赤道面を挟んで交差するように2 層の狭幅コード傾斜層を積層形成し、それらのコードのタイヤ赤道面に対する角度を、補強ベルトを構成する広幅コード傾斜層のコードの前記角度よりも小さくした緩衝ベルトを配設するのが有用であり、例えば特公平3−23361 号公報や同3−23362 号公報等に開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、補強ベルトは、その特性上、負荷転動時のタイヤの接地面で剪断変形をしながら伸びるため、通常、これらの剪断変形及び伸びによって補強ベルトを構成する広幅コード傾斜層間に歪みが発生してセパレーションが生じる傾向があるが、発明者が上掲公報に記載されたベルト構造を有するタイヤの耐久性について検討したところ、このベルト構造を有するタイヤは、広幅コード傾斜層間でのセパレーションは抑制されるものの、緩衝ベルトと補強ベルト間でセパレーションが発生しやすい傾向があり、特に、補強ベルトを構成する最内広幅コード傾斜層のコードと、緩衝ベルトを構成する外側狭幅コード傾斜層のコードとの角度差が10°以上である場合には、緩衝ベルトと補強ベルト間でセパレーションが顕著に発生しやすくなり、最悪の場合には、最内コード傾斜層と外側コード傾斜層のいずれかのコードが破断しがちであることが判明した。
【0007】
そのため、発明者は、緩衝ベルトと補強ベルト間でのセパレーションを防止するためさらに鋭意検討した結果、補強ベルトを構成する最内広幅コード傾斜層のコードと、緩衝ベルトを構成する外側狭幅コード傾斜層のコードとの間に位置する第1ゴム層のゴム厚みの適正化を図れば、緩衝ベルトと補強ベルト間でのセパレーションを有効に防止できることを見出した。
【0008】
また、緩衝ベルトを構成する内側狭幅コード傾斜層と、カーカスプライとの間においても、緩衝ベルトと補強ベルトとの間と同様な問題が生じる場合があることも判明し、この場合にも、緩衝ベルトを構成する内側狭幅コード傾斜層と、カーカスを構成するプライコードとの間に位置する第2ゴム層のゴム厚みの適正化を図れば、緩衝ベルトとカーカスプライとの間でのセパレーションを有効に防止できることも見出した。
【0009】
この発明の目的は、ラジアルカーカスのクラウン部と補強ベルトとの間に緩衝ベルトを配設し、この緩衝ベルトを構成する外側狭幅コード傾斜層のコードと、補強ベルトを構成する最内広幅コード傾斜層のコードとの間に位置する第1コード層のゴム厚みの適正化を図ることにより、緩衝ベルトと補強ベルト間で生じがちなセパレーションを有効に防止して耐久性に優れた、高内圧・高荷重条件下で使用され、特に荒れ地などを主として走行する建設車両に使用するのに適した重荷重用ラジアルタイヤを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明は、一対のビードコア間でトロイド状に延びるラジアルカーカスのクラウン部とトレッドの間に、コードがタイヤ赤道面に対して傾斜して延びる少なくとも1層の広幅のコード傾斜層からなる補強ベルトと、この補強ベルトのタイヤ径方向内側に位置し、コードがタイヤ赤道面に対して傾斜して延びる少なくとも1層の狭幅のコード傾斜層からなる緩衝ベルトとを有し、補強ベルトを形成する最内広幅コード傾斜層のコードと、緩衝ベルトを形成する外側狭幅コード傾斜層のコードの交角が鋭角側で測定して10°以上である重荷重用ラジアルタイヤにおいて、TRAに規定するデザインリムに装着し、最大荷重に対応する空気圧を適用したタイヤの幅方向断面にて、緩衝ベルトを形成する狭幅コード傾斜層はいずれも、それらの幅がトレッド幅の20〜60%の範囲内であり、かつタイヤ赤道面に対するコードの配設角度が15°以下の範囲内であり、最内広幅コード傾斜層のコードと、外側狭幅コード傾斜層のコードとの間に位置する第1ゴム層のゴム厚みが、狭幅コード傾斜層のコードの径の0.9 〜3.0 倍の範囲であることを特徴とする重荷重用ラジアルタイヤである。
【0011】
また、緩衝ベルトは、コードがタイヤ赤道面を挟んで互いに交差する2層の狭幅コード傾斜層を積層して形成するか、又は、1層の狭幅コード傾斜層からなるのが好ましい。
【0012】
尚、ここでいう「広幅コード傾斜層」とは、具体的にはトレッド幅の65〜85%の範囲の幅をもつコード傾斜層を意味し、「TRAに規定するデザインリム」とは、“THE TIRE and RIM ASSOCIATION INC."が発行する“YEAR BOOK(1997)"に規定される“DESIGN RIM" を意味し、また、「最大荷重」とは、TRAに規定される“maximum load" を意味する。
【0013】
さらに、「トレッド幅」とは、タイヤをデザインリムに装着し、最大荷重に対応する空気圧を適用し、静止した状態で平板に対し垂直に置き、最大荷重を負荷したときの接地端位置を定め、これらの接地端位置を、無負荷状態にしたタイヤ上でタイヤ幅方向に沿って結んだときの線分長さを意味する。
【0014】
また、ラジアルカーカスと緩衝ベルトの間でのセパレーションを有効に防止してより一層の耐久性の向上を図る必要がある場合には、ラジアルカーカスのクラウン部に位置するプライコードと、緩衝ベルトを形成する内側狭幅コード傾斜層のコードとの間に位置する第2ゴム層のゴム厚みを、狭幅コード傾斜層のコードの径の1.3 〜5.0 倍の範囲にすることが好ましい。
尚、第1及び第2ゴム層のゴム厚みは、タイヤ赤道面位置で測定したときのゴム厚みを意味する。
【0015】
加えて、補強ベルトは、コードがタイヤ赤道面を挟んで交差するように積層した2層の広幅のコード傾斜層で構成した交差ベルトを有し、交差ベルトを構成する広幅コード傾斜層のコードのタイヤ赤道面に対する配設角度が、いずれも10〜40°の範囲であること、第1及び第2ゴム層のゴムは、100 %伸長時の引張応力が 2.5〜7.5 MPa であること、そして、トレッドと補強ベルトの間に、補強ベルトの全面を覆い、タイヤ赤道面に対して15〜40°の角度で傾斜して延びる高伸長性コードのゴム引き層で構成される保護層を配設することがより好適である。
尚、「100 %伸長時の引張応力」は、JIS K6301 の規定に従い、室温にて測定した。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1に、この発明に従う重荷重用ラジアルタイヤの代表的なクラウン部の幅方向半断面を示し、図中1は重荷重用ラジアルタイヤ、2はラジアルカーカス、3はクラウン部、4はトレッド、5はタイヤ赤道面、8は補強ベルト、13は緩衝ベルトである。
【0017】
図1のクラウン部を有するタイヤ1は、一対のビードコア(図示せず)間でトロイド状に延びるラジアルカーカス2のクラウン部3とトレッド4の間に、コード6a,7a がタイヤ赤道面5に対して傾斜して延びる少なくとも1層の広幅のコード傾斜層6,7(図1では2層でかつこれらで交差ベルトを形成してある。)からなる補強ベルト8と、この補強ベルト8のタイヤ径方向内側9に位置し、コードがタイヤ赤道面に対して傾斜して延びる少なくとも1層の狭幅のコード傾斜層(図1ではコード11a,12a がタイヤ赤道面を挟んで互いに交差するように2層の狭幅のコード傾斜層11,12 を積層して形成してある。)からなる緩衝ベルト13とを有し、特に、補強ベルト8を形成する最内広幅コード傾斜層6のコード6aと、緩衝ベルト13を形成する外側狭幅コード傾斜層12のコード12a の交角は鋭角側で測定して10°以上に限定する。
【0018】
前記交角を10°以上に限定した理由は、緩衝ベルト13を配設した従来タイヤにおいて、前記交角が10°以上である場合に補強ベルト8と緩衝ベルト13間でセパレーションの発生が顕著になるからであり、この発明では、特に前記交角が10°以上である場合において生じがちな補強ベルト8と緩衝ベルト13間でセパレーションの発生を有効に抑制せんとするものである。
【0019】
尚、緩衝ベルトは、現存するベルトの中で最も剛性が得られるベルトであり、少なくとも1層の狭幅コード傾斜層で構成すればよいが、例えば、3層以上の狭幅コード傾斜層で緩衝ベルトを構成した場合には、剛性が上がりすぎる事によるエンベロープ性の低下等の懸念があり、また、ベルト端歪みが大きくなるという不都合が生じる傾向がある。従って、現在のタイヤ、特に重荷重用タイヤの場合には、その緩衝ベルトを構成する狭幅コード傾斜層の層数を1層又は2層にすることがより好適である。また、図1では、コード傾斜層6,7,11,12のコード6a,7a,11a,12a を、説明の便宜上、いずれも長方形で線図的に表してある。
【0020】
そして、この発明の主な特徴は、TRAに規定するデザインリムに装着し、最大荷重に対応する空気圧を適用したタイヤの幅方向断面にて、緩衝ベルト13を形成する狭幅コード傾斜層11,12 はいずれも、それらの幅がトレッド幅の20〜60%の範囲内であり、かつタイヤ赤道面5に対するコード11a,12a の配設角度が15°以下の範囲内であり、最内広幅コード傾斜層6のコード6aと、外側狭幅コード傾斜層12のコード12a との間に位置する第1ゴム層14のゴム厚みt1 を、狭幅コード傾斜層11,12 のコード11a,12a の径Dの0.9 〜3.0 倍の範囲にすることにあり、この第1ゴム層14のゴム厚みt1 の適正化を図ることによって、補強ベルト8と緩衝ベルト13間で生じがちであったセパレーションの発生を有効に抑制することができる。
【0021】
尚、第1ゴム層14のゴム厚みt1 を、狭幅コード傾斜層11,12 のコード11a,12a の径Dの0.9 〜3.0 倍の範囲としたのは、第1ゴム層14のゴム厚みt1 が0.9 Dmm未満だと、第1ゴム層14のゴム厚みが薄すぎて、補強ベルト8を形成する最内広幅コード傾斜層6のコード6aと、緩衝ベルト13を形成する外側狭幅コード傾斜層12のコード12a とが近接するため、これらの層間で発生するせん断歪みを有効に低減することができず、セパレーションを十分に緩和できないからであり、また、第1ゴム層14のゴム厚みt1 が3.0 Dmmを超えると、第1ゴム層14のゴム厚みが厚くなりすぎて、補強ベルトとしての効果、具体的には、補強ベルトが例えば交差ベルトを有する場合には、交差ベルトがタイヤの径成長の際のたが締め効果を十分に発揮することができなくなり、剛性が極端に低下するため径成長の抑制効果が低下してしまうからである。
【0022】
また、狭幅コード傾斜層11,12 の幅をトレッド幅の20〜60%の範囲に限定したのは、狭幅コード傾斜層11,12 の幅が、前記範囲よりも広いと、このコード傾斜層端部の歪みが急激に増大するからであり、また、前記範囲よりも狭いと、補強ベルトに作用する内圧適用時の前記カーカスからの加圧力を十分に低減することができなくなるからである。
【0023】
さらに、狭幅コード傾斜層11,12 のコードの前記配設角度を15°以下の範囲内に限定したのは、コードの前記配設角度が前記範囲よりも大きいと、たが締め効果が薄らいで、補強ベルトに作用する内圧適用時の前記カーカスからの加圧力を十分に低減することができなくなるからである。
【0024】
また、ラジアルカーカスと緩衝ベルトの間でも、補強ベルト8と緩衝ベルト13の間の場合と同様な理由からセパレーションが生じる傾向がある。
【0025】
加えて、製造上の観点から述べると、ラジアルカーカスのプライコード2aと、緩衝ベルト13を形成する内側狭幅コード傾斜層11のコード11a とが近接位置にある場合には、図2に示すように、成型前のプライコード2a1 ( 図2の一点鎖線) が、成型後には波状の配設形状( 図2のプライコード2a2 )になる傾向がある。
【0026】
即ち、緩衝ベルトは、BTドラム上でリング状に形成されてから製品タイヤになるまでの間で、ある程度拡張する必要があるが、このとき、成型時のベルトはせん断変形をしながら伸びていき、この際、プライコード2a1 は緩衝ベルトを形成する内側狭幅コード傾斜層11のコード11a の変形に引きずられる結果、波状の配設形状のプライコード2a2 に変化する傾向がある。
【0027】
この現象は、特にベルトの拡張率が5%以上でかつ内側狭幅コード傾斜層11のコード11a のタイヤ赤道面5に対する配設角度が15°以下の場合に顕著に現れる。
【0028】
そして、このようなプライコードが波状の配設形状になるのは、プライコードに局部的に圧縮歪みが加わるため好ましくない。
【0029】
そこで、ラジアルカーカス2と緩衝ベルト13の間でのセパレーションをも有効に防止するとともに、プライコードが波状の配設形状になるのを防止する必要がある場合には、ラジアルカーカス2のクラウン部3に位置するプライコード2aと、緩衝ベルト13を形成する内側狭幅コード傾斜層11のコード11a との間に位置する第2ゴム層15のゴム厚みt2 を狭幅コード傾斜層11,12 のコード11a,12a の径Dの1.3 〜5.0 倍の範囲にすることが好ましい(尚、コード11a,12a の径は同じである。)。
【0030】
ここで、第2ゴム層15のゴム厚みt2 を、狭幅コード傾斜層11,12 のコード11a,12a の径Dの1.3 〜5.0 倍の範囲としたのは、第2ゴム層15のゴム厚みt2 が1.3 Dmm未満だと、第1ゴム層15のゴム厚みが薄すぎて、ラジアルカーカスプライ2と、緩衝ベルト13を形成する内側狭幅コード傾斜層11との層間で発生するせん断歪みを低減することができず、セパレーションを十分に緩和できないからであり、加えて、成型の際にプライコード2aが緩衝ベルト13の内側狭幅コード傾斜層11のコード11a の変形に引きずられて波状の配設形状になるから好ましくない。
【0031】
また、第2ゴム層15のゴム厚みt2 が5.0 Dmmを超えると、第2ゴム層15のゴム厚みが厚くなりすぎて、補強ベルトとしての効果、具体的には、補強ベルトが例えば交差ベルトを有する場合には、交差ベルトがタイヤの径成長の際のたが締め効果を十分に発揮することができなくなり、剛性が極端に低下するため径成長の抑制効果が低下してしまうからである。
【0032】
さらに、この発明の重荷重用タイヤは、高内圧・高荷重条件下で使用されるため、補強ベルト8は、図1に示すように、コードがタイヤ赤道面を挟んで交差するように積層した2層の広幅コード傾斜層6,7で構成した交差ベルトを有することが好ましい。
【0033】
また、このとき、交差ベルトを構成する広幅コード傾斜層6,7のコード6a,7a のタイヤ赤道面5に対する配設角度は、タイヤが路面上に存在する小石や岩等の突起物を踏みしめたときに、この突起物がトレッドを貫通して補強ベルトにまで達したときの可動性を付与してタイヤ故障が生じるのを防止する等の点から、いずれも10〜40°の範囲であることがより好ましい。
【0034】
また、補強ベルト8を上記突起物から保護する必要がある場合には、トレッド4と補強ベルト8の間に、補強ベルト8の全面を覆い、タイヤ赤道面に対して15〜40°の角度で傾斜して延びる高伸長性コードのゴム引き層で構成される保護層を配設することがより好ましい。
高伸長性コードとしては、例えば破断時の伸びが4.0 %以上のものを用いるのが好ましい。
【0035】
また、図1では、第1ゴム層14と第2ゴム層15を、コード傾斜層6,7,11,12を構成するゴム部分を一部に含んだ状態で形成した場合を示してあるが、これらを、コード傾斜層6,7,11,12を構成するゴム部分だけで形成してもよく、特に限定はしない。
【0036】
また、第1及び第2ゴム層14,15 のゴムは、第1及び第2ゴム層のゴムは、100 %伸長時の引張応力が 2.5〜7.5 MPa であることがより好適である。
【0037】
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
【0038】
【実施例】
次に、この発明に従う重荷重用ラジアルタイヤを試作し、耐久性の評価を行ったので、以下で説明する。
実施例1〜6のタイヤは、タイヤサイズが37.00 R57(トレッド幅:840mm )である建設車両用タイヤであり、緩衝ベルト13を形成するコード傾斜層11,12 (但し、実施例6ではコード傾斜層が1層)の幅(mm)、コード11a,12a の配設角度( °) 及びコード径D(mm)、補強ベルト8を形成するコード傾斜層6,7の幅(mm)及びコード6a,7a の配設角度( °) 、保護層16の幅(mm)及びコードの配設角度( °) 、第1ゴム層14のゴム厚さt1 、及び第2ゴム層15のゴム厚さt2 については表1に示す。
また、ラジアルカーカス2は、1プライで構成され、プライコード2aは、コード径が3.2mm 、コード材質をスチールとした。
その他のタイヤ構造については、一般的な建設車両用ラジアルタイヤとほぼ同様なものを用いた。
尚、参考のため、緩衝ベルトをもたず、4層の広幅コード傾斜層からなる補強ベルトを有する従来例、及び第1ゴム層のゴム厚みt1 が適正範囲外である比較例1〜4についても試作したので併せて表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
(耐久性の評価)
耐久性は、タイヤをデザインリム( リムコンター: 27.00 インチ, リム幅:27.00インチ, リム径:57 インチ) に装着し、回転ドラム上でタイヤ空気圧700kPa、タイヤ荷重51500kg の条件下で15km/hの速度で走行させ、300 時間走行させた後、タイヤを解体し、補強ベルト8と緩衝ベルト13間、及び緩衝ベルト13とラジアルカーカスのプライ2間のセパレーション長さ(亀裂長さ)を測定し、これによって評価した。表2にこれらの評価結果を示す。尚、表2の数値は、いずれも比較例1のセパレーション長さを100 とした指数比で示してあり、これらの数値はいずれも小さいほど優れている。
【0041】
【表2】
【0042】
表2の結果から、実施例1〜6はいずれも、第1ゴム層14及び第2ゴム層15のゴム厚みの適正化を図っていない比較例1に比べて耐久性が顕著に優れているのがわかる。
また、比較例2〜4は、第1ゴム層14のゴム厚みt1 がこの発明の適正外であるので、従来例と同様、十分な耐久性が得られなかった。
【0043】
【発明の効果】
この発明は、補強ベルト8を構成する広幅コード傾斜層6,7間の歪みを緩衝ベルト13の配設によって低減してこれらの層6,7間でのセパレーションを防止することができ、加えて、緩衝ベルト13と補強ベルト8間で生じがちなセパレーションを第1ゴム層14のゴム厚みt1 の適正化を図ることによって有効に抑制することができ、この結果、耐久性に優れた重荷重用ラジアルタイヤ、特に荒れ地などを主として走行する建設車両に使用するのに適した重荷重用ラジアルタイヤを提供することを可能にした。
【0044】
また、ラジアルカーカスのクラウン部に位置するプライ2と、緩衝ベルト13を形成する内側狭幅コード傾斜層11との間に位置する第2ゴム層15のゴム厚みt2 の適正化を図れば、ラジアルカーカス2と緩衝ベルト13の間でのセパレーションをも有効に防止できるとともに、プライコード2aが波状の配設形状になるのを防止することができる。
【0045】
さらに、補強ベルト8が交差ベルトを有する場合に、交差ベルトを構成する広幅コード傾斜層6,7のコード6a,7a のタイヤ赤道面5に対する配設角度をいずれも10〜40°の範囲にすれば、タイヤが路面上に存在する小石や岩等の突起物を踏みしめたときに、この突起物がトレッド4を貫通して補強ベルト8にまで到達したときの可動性を付与することができるため、タイヤ故障が生じにくくなる。
【0046】
また、トレッド4と補強ベルト8の間に、補強ベルト8の全面を覆い、タイヤ赤道面に対して15〜40°の角度で傾斜して延びる高伸長性コードのゴム引き層で構成される保護層16を配設しても、前記突起物がトレッド4を貫通して補強ベルト8に到達するのを有効に防止することができる。
【0047】
加えて、第1及び第2ゴム層14,15 のゴムは、100 %伸長時の引張応力を 2.5〜7.5 MPa にすることによって、耐久性をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従う重荷重用ラジアルタイヤの特徴部分を線図的に示した幅方向半断面図である。
【図2】従来タイヤにおいて、ラジアルカーカスのプライコードがタイヤ成形時の緩衝ベルトの内側狭幅コード傾斜層のコードの変形に引きずられて波状の配設形状になる変化する傾向があることを説明するための図である。
【符号の説明】
1 重荷重用ラジアルタイヤ
2 ラジアルカーカス
3 クラウン部
4 トレッド
5 タイヤ赤道面
6 最内広幅コード傾斜層
7 広幅コード傾斜層
8 補強ベルト
9 タイヤ径方向内側
11 内側狭幅コード傾斜層
12 外側狭幅コード傾斜層
13 緩衝ベルト
14 第1ゴム層
15 第2ゴム層
16 保護層
Claims (7)
- 一対のビードコア間でトロイド状に延びるラジアルカーカスのクラウン部とトレッドの間に、コードがタイヤ赤道面に対して傾斜して延びる少なくとも1層の広幅のコード傾斜層からなる補強ベルトと、この補強ベルトのタイヤ径方向内側に位置し、コードがタイヤ赤道面に対して傾斜して延びる少なくとも1層の狭幅のコード傾斜層からなる緩衝ベルトとを有し、補強ベルトを形成する最内広幅コード傾斜層のコードと、緩衝ベルトを形成する外側狭幅コード傾斜層のコードの交角が鋭角側で測定して10°以上である重荷重用ラジアルタイヤにおいて、
TRAに規定するデザインリムに装着し、最大荷重に対応する空気圧を適用したタイヤの幅方向断面にて、
緩衝ベルトを形成する狭幅コード傾斜層はいずれも、それらの幅がトレッド幅の20〜60%の範囲内であり、かつタイヤ赤道面に対するコードの配設角度が15°以下の範囲内であり、
最内広幅コード傾斜層のコードと、外側狭幅コード傾斜層のコードとの間に位置する第1ゴム層のゴム厚みが、狭幅コード傾斜層のコードの径の0.9 〜3.0 倍の範囲であることを特徴とする重荷重用ラジアルタイヤ。 - 緩衝ベルトは、コードがタイヤ赤道面を挟んで互いに交差する2層の狭幅コード傾斜層を積層して形成した請求項1に記載した重荷重用ラジアルタイヤ。
- 緩衝ベルトは、1層の狭幅コード傾斜層からなる請求項1に記載した重荷重用ラジアルタイヤ。
- ラジアルカーカスのクラウン部に位置するプライコードと、緩衝ベルトを形成する内側狭幅コード傾斜層のコードとの間に位置する第2ゴム層のゴム厚みが、狭幅コード傾斜層のコードの径の1.3 〜5.0 倍の範囲である請求項1、2又は3に記載した重荷重用ラジアルタイヤ。
- 補強ベルトは、コードがタイヤ赤道面を挟んで交差するように積層した2層の広幅コード傾斜層で構成した交差ベルトを有し、交差ベルトを構成する広幅コード傾斜層のコードのタイヤ赤道面に対する配設角度は、いずれも10〜40°の範囲である請求項1〜4のいずれか1項に記載した重荷重用ラジアルタイヤ。
- 第1及び第2ゴム層のゴムは、100 %伸長時の引張応力が 2.5〜7.5 MPa である請求項1〜5のいずれか1項に記載した重荷重用ラジアルタイヤ。
- トレッドと補強ベルトの間に、補強ベルトの全面を覆い、タイヤ赤道面に対して15〜40°の角度で傾斜して延びる高伸長性コードのゴム引き層で構成される保護層を配設した請求項1〜6のいずれか1項に記載した重荷重用ラジアルタイヤ。
Priority Applications (7)
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US09/581,474 US6615889B1 (en) | 1998-10-20 | 1999-07-28 | Heavy duty radial tire |
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