JP4131174B2 - 超音波送受波器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車載用の超音波検知器などに用いられる超音波送受波器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、超音波の送波又は受波のための圧電素子を備えた超音波送受波器が、超音波検知器などに用いられている(例えば、特許文献1参照)。ここで、超音波検知器は、超音波を検知範囲に送波するとともに障害物で反射された反射波を受波することによって障害物の存在を検知するものである。
【0003】
この種の超音波検知器として、反射波を受波するための受波用圧電素子を複数備えた超音波送受波器を用い、各受波用圧電素子の出力を比較することによって障害物の方向をも検知することができるものがある(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。例えば、図7に示すように2個の圧電素子1を備えた超音波送受波器を用いた超音波検知器の場合、1個の圧電素子1が送波用圧電素子として検知範囲に向かって超音波パルスを間欠的に送波し、検知範囲に存在する障害物Tに反射された反射波を2個の圧電素子1が受波用圧電素子としてそれぞれ受波する。
【0004】
この超音波検知器の動作を図8を用いて詳しく説明する。図8の(a)は送波用圧電素子への入力信号波形を示し、図8の(b)は一方の圧電素子1の出力信号波形を示し、図8の(c)は他方の圧電素子1の出力信号波形を示す。図8の(b),(c)において、L1及びL2は残響の成分であり、E1及びE2は障害物Tで反射された反射波の成分である。超音波を送波してから反射波を受波するまでの時間t1によって障害物Tまでの距離Lを検知することができ、一方の圧電素子1が超音波を受波するまでの時間と他方の圧電素子1が超音波を受波するまでの時間との差t2から、圧電素子1が並ぶ方向に沿った直線を法線とする平面に対して超音波検知器と障害物Tとを結ぶ直線がなす角θを検知することができる。このような超音波検知器は、例えば、図9に示すように車両Cの後部の左右両端部にそれぞれ取り付けられ、車両Cの後方の検知範囲Z内の障害物Tを検知するために用いられる。障害物Tの方向を検知することができるから、単に障害物Tとの距離を検知する超音波検知器に比べ、障害物Tが自車の進路上に存在するかどうかをより正確に検知することができる。
【0005】
圧電素子1を複数備えた超音波送受波器として、例えば図10に示すものがある。この超音波送受波器は、それぞれ収納凹部21が設けられた有底円筒形状であって収納凹部21の底面に圧電素子1が固着された2個の振動ケース2を備える。振動ケース2は振動を伝えやすい材料から形成されていて、振動ケース2の圧電素子が固着された面の反対面は主に超音波が入射及び出射する入出射面22となる。また、それぞれ振動ケース2が入出射面22を露出させる形で収納される2個の凹部41が並べて設けられたハウジング4を備える。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−133136号公報(第2頁、第8図)
【特許文献2】
特開2000−187075号公報(第3頁、第4図)
【特許文献3】
特開2000−339595号公報(第3−4頁、第3図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の超音波送受波器では、図11に示すように入出射面22側からの見栄えが悪くなるうえに、圧電素子1の個数分だけ振動ケース2を用意しなければならないから、部品点数が多くなってコストが高くなる。
【0008】
そこで、複数の振動ケース2を用いる代わりに、図12に示すように1個の振動ケース2に複数の収納凹部21を設けたものが提案されている。この構成を採用すれば、部品点数は減少し、図13に示すように入出射面側からの見栄えは良くなる。しかし、上述したように振動ケース2は振動を伝えやすい材料で形成されるため、残響時間が長くなってしまう。
【0009】
ここで、上述した超音波検知器は、図14に示すように残響時間t3以内で反射波が到達する程度に障害物Tが近い位置にある場合、反射波の成分E1,E2が残響の成分L1,L2に埋まってしまうから、障害物Tの存在を検知できない。つまり、残響時間t3が長くなると、超音波検知器として用いたときに近くの障害物Tが検知できなくなる。
【0010】
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、見栄えを良くしながらも残響時間が長くなることを防ぐことができる超音波送受波器を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、超音波が出射及び入射する入出射面を有し入出射面の反対面にはそれぞれ入出射面に沿った底面を有する複数個の収納凹部が並設された振動ケースと、それぞれ収納凹部に収納され収納凹部の底面に接触した複数個の圧電素子とを備え、圧電素子のうち少なくとも1個は超音波を送波するために用いられる送波用圧電素子であって、圧電素子のうち少なくとも2個は超音波を受波するために用いられる受波用圧電素子である超音波送受波器において、振動ケースの入出射面の反対面において、送波用圧電素子が収納された収納凹部と受波用圧電素子が収納された収納凹部との間に仕切り凹部が設けられていて、入出射面を露出させる形で振動ケースを収納するハウジングと、送波用圧電素子が発生させる超音波に対する吸音率が振動ケースの材料よりも高い弾性材料からなりハウジングの内面と振動ケースとの間に挟まれて振動ケースをハウジングに保持する保持体とを備え、保持体には仕切り凹部に収納される吸音部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、各収納凹部について、入出射面に沿った一方向における幅寸法と、入出射面に沿って前記一方向に直交する方向における幅寸法とを互いに異ならせてあることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下では圧電素子を2個有する例について説明するが、圧電素子の数は3個以上でもよい。
【0015】
本実施形態は、図1に示すように、2個の収納凹部21が並設された振動ケース2と、各収納凹部21にそれぞれ収納された圧電素子1とを備える。
【0016】
詳しく説明すると、振動ケース2は例えばアルミニウムのような金属からなり、長円形平板形状の平板部26と、平板部26の裏面に長手方向に並べて間に隙間を空けて突設された2個の筒状部24とを備える。圧電素子1は、平板部26の裏面であって筒状部24に囲まれた部位にそれぞれ固着されている。つまり、筒状部24に囲まれた部位が収納凹部21であり、2個の筒状部24に挟まれた部位が仕切り凹部23である。また、平板部26の表面が、超音波が出射及び入射する入出射面22となっている。
【0017】
圧電素子1は円盤状に形成されており、両面に電極を有する。圧電素子1の一方の電極は振動ケース2の収納凹部21の底面に接触して振動ケース2とリード線6とを介して引き出され、他方の電極はリード線6を介して引き出され、それぞれ圧電素子1の出力を解析するための外部の回路に接続され、超音波の受波に用いられる。ここで、一方の圧電素子1は、超音波を発生させるための駆動回路にも接続され、超音波の送波に用いられる。つまり、各圧電素子1はそれぞれ受波用圧電素子であって、さらに、駆動回路に接続された圧電素子1は送波用圧電素子も兼ねている。また、仕切り凹部23は、入出射面22の反対面において、送波用圧電素子が収納された収納凹部21と受波用圧電素子が収納された収納凹部21との間に設けられていることになる。さらに、各収納凹部21には、残響を抑制するための緩衝充填材3がそれぞれ充填されている。
【0018】
また、本実施形態は、断面長円形の有底筒状に形成されたハウジング4を備える。振動ケース2は、ハウジング4の開口から入出射面22を露出させる形でハウジング4に収納されている。
【0019】
また、ハウジング4と振動ケース2との間には、送波用圧電素子が発生させる超音波に対する吸音率が振動ケース2の材料よりも高い例えば合成ゴムのような弾性材料からなる保持体5が設けられている。保持体5には、保持凹部51が2個並べて設けられている。保持体5の外周の寸法はハウジング4の内周と同程度に形成され、保持凹部51の内周の寸法は振動ケース2の筒状部24の外周の寸法と同程度に形成されている。振動ケース2の各筒状部24がそれぞれ保持凹部51に圧入され、保持体5がハウジング4に圧入されることにより、振動ケース2はハウジング4に保持されている。また、保持体5において2個の保持凹部51を仕切る部位には、仕切り凹部23に収納される吸音部52が設けられている。
【0020】
ここで、図2に示すように、各収納凹部21について、入出射面22の短手方向における幅寸法は、入出射面22の長手方向における幅寸法よりも大きくしてある。従って、超音波検知器として用いた場合の検知範囲は入出射面22の長手方向よりも短手方向に広くなっている。例えば入出射面22の短手方向と車両Cの上下方向とを合わせれば、図3に示すように車両Cの左右方向については検知範囲Z内の障害物の方向を検知可能としながら、図4に示すように上下方向に広い検知範囲Zが得られることにより、路面Gの上の背の低い障害物T1と、路面Gから離れた位置の障害物T2との両方を検知可能とすることができる。
【0021】
上記構成によれば、1個の振動ケース2に複数の圧電素子1を収納していることにより、図12に示す従来例と同様に、入出射面22を平坦にすることができる。従って、図11に示すようにそれぞれ1個の収納凹部21が設けられた複数の振動ケース2を用いる場合に比べて図5に示すように見栄えが良くなる上に、部品点数が減少するからコストを低減することができる。かつ、送波用圧電素子が収納された収納凹部21と隣接する収納凹部21との間には仕切り凹部23が設けられているので、入出射面22に交差する方向における振動ケース2の厚み寸法が仕切り凹部23が設けられた部位で薄くなることにより、送波用圧電素子の振動の他の圧電素子1への振動ケース2を介した伝播が抑制されるから、仕切り凹部23を設けない場合に比べて残響時間を短縮することができる。従って、本実施形態を超音波検知器に用いた場合、より近距離の障害物を検知可能となる。また、保持体5には仕切り凹部23に収納される吸音部52が設けられているから、残響が吸音部52で吸収されることにより、吸音部52を設けない場合に比べてより速く残響を減衰させることができるから、残響時間を更に短縮することができる。
【0022】
従って、本実施形態を超音波検知器に用いた場合、仕切り凹部23を設けない従来構成では図14に示すように検知できなかった近距離の障害物に対しても、図6に示すように残響時間t3が短縮されたことにより、反射波に対応する成分E1,E2に基づいた検知が可能となる。
【0023】
なお、圧電素子1を3個以上用いる場合は、収納凹部21を圧電素子1と同数設けるとともに、送波用圧電素子が収納された収納凹部21と受波用圧電素子が収納された収納凹部21との間にそれぞれ仕切り凹部23を設ければよい。
【0024】
【発明の効果】
請求項1の発明は、超音波が出射及び入射する入出射面を有し入出射面の反対面にはそれぞれ入出射面に沿った底面を有する複数個の収納凹部が並設された振動ケースと、それぞれ収納凹部に収納され収納凹部の底面に接触した複数個の圧電素子とを備え、圧電素子のうち少なくとも1個は超音波を送波するために用いられる送波用圧電素子であって、圧電素子のうち少なくとも2個は超音波を受波するために用いられる受波用圧電素子である超音波送受波器において、振動ケースの入出射面の反対面において、送波用圧電素子が収納された収納凹部と受波用圧電素子が収納された収納凹部との間に仕切り凹部が設けられているので、それぞれ1個の収納凹部が設けられた複数の振動ケースを用いる場合に比べて見栄えが良くなる上に、部品点数が減少するからコストを低減することができる。かつ、仕切り凹部を設けない場合に比べ、入出射面に交差する方向における振動ケースの厚み寸法が仕切り凹部が設けられた部位で薄くなることにより、送波用圧電素子の振動の受波用圧電素子への振動ケースを介した伝播を抑制することができるから、残響時間を短縮することができる。従って、超音波検知器に用いた場合、より近距離の障害物を検知可能となる。また、入出射面を露出させる形で振動ケースを収納するハウジングと、送波用圧電素子が発生させる超音波に対する吸音率が振動ケースの材料よりも高い弾性材料からなりハウジングの内面と振動ケースとの間に挟まれて振動ケースをハウジングに保持する保持体とを備え、保持体には仕切り凹部に収納される吸音部が設けられているから、残響が吸音部で吸収されることにより、吸音部を設けない場合に比べて残響をより速く減衰させることができ、従って残響時間を更に短縮することができる。
【0025】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、各収納凹部は、入出射面に沿った一方向における幅寸法と、入出射面に沿って前記一方向に直交する方向における幅寸法とを互いに異ならせてあるから、超音波の放射方向及び検知方向に指向性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す断面図である。
【図2】同上を示す別の断面における断面図である。
【図3】同上の使用法の一例を示す説明図である。
【図4】同上の使用法の一例を別の視点から示す説明図である。
【図5】同上を示す平面図である。
【図6】同上の効果を示す説明図であり、(a)は送波用圧電素子への入力信号波形、(b)は一方の圧電素子の出力信号波形、(c)は他方の圧電素子の出力信号波形を示す。
【図7】超音波検知器の動作の一例を示す説明図である。
【図8】超音波検知器の動作の一例を示す説明図であり、(a)は送波用圧電素子への入力信号波形、(b)は一方の圧電素子の出力信号波形、(c)は他方の圧電素子の出力信号波形を示す。
【図9】超音波検知器の使用法の一例を示す説明図である。
【図10】従来例を示す断面図である。
【図11】同上を示す平面図である。
【図12】別の従来例を示す断面図である。
【図13】同上を示す平面図である。
【図14】同上の問題点を示す説明図であり、(a)は送波用圧電素子への入力信号波形、(b)は一方の圧電素子の出力信号波形、(c)は他方の圧電素子の出力信号波形を示す。
【符号の説明】
1 圧電素子
2 振動ケース
21 収納凹部
22 入出射面
23 仕切り凹部
4 ハウジング
5 保持体
52 吸音部
Claims (2)
- 超音波が出射及び入射する入出射面を有し入出射面の反対面にはそれぞれ入出射面に沿った底面を有する複数個の収納凹部が並設された振動ケースと、それぞれ収納凹部に収納され収納凹部の底面に接触した複数個の圧電素子とを備え、圧電素子のうち少なくとも1個は超音波を送波するために用いられる送波用圧電素子であって、圧電素子のうち少なくとも2個は超音波を受波するために用いられる受波用圧電素子である超音波送受波器において、振動ケースの入出射面の反対面において、送波用圧電素子が収納された収納凹部と受波用圧電素子が収納された収納凹部との間に仕切り凹部が設けられていて、入出射面を露出させる形で振動ケースを収納するハウジングと、送波用圧電素子が発生させる超音波に対する吸音率が振動ケースの材料よりも高い弾性材料からなりハウジングの内面と振動ケースとの間に挟まれて振動ケースをハウジングに保持する保持体とを備え、保持体には仕切り凹部に収納される吸音部が設けられていることを特徴とする超音波送受波器。
- 各収納凹部は、入出射面に沿った一方向における幅寸法と、入出射面に沿って前記一方向に直交する方向における幅寸法とを互いに異ならせてあることを特徴とする請求項1記載の超音波送受波器。
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